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お盆の期間に、精霊棚を作り、精霊馬と精霊牛などを飾るという風習があるのをご存じですか?
キュウリとナスで作る、よく目にするお盆の飾りです。
お盆の迎え火や送り火と同じく、ご先祖様の霊をお迎えするための儀式の1つです。
地域によっては開催時期にも違いがあるお盆の風習ですが、今回は飾りの意味や飾り方、並べ方、最後の名残り惜しいですが後始末、処分のあり方の一例を記事にしてみました(*^▽^*)
キュウリは馬を示していて 『 精霊馬 ( しょうりょううま ) 』 と呼ばれます。
キュウリは足の早い馬に見立てられ、ご先祖様の精霊に早く到来いただくという願いが込められています。
またナスは牛を示していて 『 精霊牛 ( しょうりょううし ) 』 と呼ばれます。
それぞれ麻幹 ( おがら ) 、箸木 ( はしぎ ) を足に見立てています。マッチ棒を用いる地域もあります。
ナスは足の遅い牛に見立てられ、ご先祖様の帰り道は、名残りを惜しみつつ、ゆっくりと帰っていただくという願いが込められています。
ご先祖様があの世から現世へ行き来する乗り物の意味がある風習です。
日本では古来より農耕が糧の主軸で、馬と牛は農耕馬、農耕牛として活躍すると共に大事にされてきたいわれがあり、身近な生き物で馴染み深いのでお盆の祭事と結びついたことは、何ら不思議な事ではありません。
玄関先には盆提灯を飾り、ご先祖様が迷わずに無事に到着できる目印とします。
あ、盆提灯を玄関前に飾るところと精霊棚の左右に飾る、両方に飾る、あるいは1つで飾るなど、地域差があります。
またほおずきや萩、桔梗などを精霊棚(しょうりょうだな) にお供えする花を、盆花といって玄関内にも飾ります。
さて精霊棚とも盆棚とも呼ばれる位牌を置いてお供え物をする棚や台を用意します。
屋内に置く地域や屋外に置く地域もあるようです。
棚や台には真菰 ( マコモ ) で編んだ茣蓙 ( ゴザ ) を敷きます。
現代では白い布で代用することもあるようです。
精霊棚に並べるのは、位牌と三具足 ( 香炉・燭台・花立 ) です。
位牌を中央に香炉、左に花立、右に燭台の順です。
五具足を揃える場合は香炉を中心はそのままに内から燭台、花立が外になるように左右対称に置きます。
もちろん精霊馬や精霊牛も並べます。
お迎えする時には内側に向け、お見送りする日には外側に向ける習慣もあります。
生花には定番のほおづきの他、萩や桔梗など秋の草花など地方によっても異なります。
しかし棘のある花や毒のある花は避ける決まりがあります。
お供え物は故人の好きだったものや季節の果実、野菜などを飾ります。
他には御霊具膳という精進料理をお供えする場合や『 盆団子 ( ぼんだんご ) 』、七夕から引き継がれたという素麺を置く場合もあります。
『 水の子 ( みずのこ ) 』 というさいの目に切った胡瓜と茄子、洗った米を混ぜて蓮の葉にのせて器に盛った物。
『 禊萩 ( みそはき ) 』とも『閼伽水 ( あかみず ) 』とも呼ばれる禊萩の花を数本束ねて水を入れて蓮の葉の上にのせて器に盛った物。
生花のほおづきだけを別に盆提灯に見立てて盛ることもあります。
蓮の葉の上に置く習慣もあります。
この辺りは蓮がもともとは器の代わりだったとも言われます。
お盆の最後、お役目を終えた精霊馬や精霊牛は、送り火と共に燃やします。
あるいは精霊流し、灯篭流しと共に川の流れにのせてお見送りする場合もあります。
またお寺でお焚き上げをしていただく場合もあります。
近年では自治体により川に流すと汚染につながるとか、火を使うと迷惑になるとして、禁止されていたりするのです。
精霊流しをして下流で回収してお焚き上げするなど工夫されている自治体もあります。
どうしても途中で腐ってしまったり、処分を考える場合には白紙で包み、清めの塩をしてから処分することが一般的になっています(*^▽^*)
さてお盆の大事な飾りの1つである精霊馬と精霊牛について、意味や飾り方、そして後始末のあり方まで、いろいろと調べてまとめてみたのですが…。
分かったことは、1つに地域によって、慣習がいろいろあるので慣習を守ろうとするほどに、奥が深いということです。
とはいえ、新しい向きとして、馬と牛では古いので軒先にミニカーでバスや電車をつるすという地域もあるのだとか…。
大勢のご先祖様を乗せて早く着く…現代的ではありますが…風情がねぇ…。でもご先祖様には驚きの新体験も提供してみたくなりますよね…。
あと2つめに、1つ1つのお盆の仏具や段取りについて意味があることです。
多少、地域によって中身にずれもありますが、きっと記事にない事柄もたくさんあると思います。
それこそ有史以来の風習も中には含まれていることでしょうし、長い歳月に培われたご先祖様たちから受け継いだ風習を考えて記事にするにつけ、私は自ずから身震いを感じ、真摯に取り組んだ次第です。
そこには確実なご先祖様方の叡智と崇拝の心を大切にしてきた歴史を感じますよね(*^▽^*)