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6月22日。
世間では「かにの日」なんて、ちょっぴりユニークな記念日がひっそりと待ちかまえています。
由来は星座の「かに座」が始まるからとか、五十音で「か」が6番目、「に」が22番目だからとか、なるほど感心してしまうこじつけもまた、愛おしい。
さて、かにと言えば――そう、「さるかに合戦」。
誰もが一度は耳にしたことのある昔話ですね。
小さなカニたちが、ひどい目に遭わされながらも仲間と力を合わせ、ずるいサルを懲らしめるあの物語。
子どもの頃は「わぁ、カニさんたちよくがんばった!」と拍手を送りましたが、大人になった今、ふと考えます。
これって実は、いじめやパワハラ、理不尽な世界に立ち向かう小さな命たちの、壮絶なサバイバル物語じゃないか、と。
笑いながら読み進めていたあの「さるかに合戦」が、実は現代にも通じるヒントを秘めていたとしたら?
かにの日をきっかけに、今日は少しだけ立ち止まって、昔話を現代にアップデートしてみることにしましょう。
きっと、そこには――今をたくましく、優しく生き抜くための、小さな知恵が詰まっているはずだから🩷。
さるかに合戦。
それは、誰もが知っているようで、案外きちんとは覚えていない昔話のひとつです。
ある日、カニが一粒の柿の種を拾いました。
ほくほくしながら、これを育てて、きっとおいしい実をたくさん収穫しようと夢に胸をふくらませていたところに、ずる賢いサルが登場します。
「そんな種なんかより、こっちの美味しいおにぎりと交換してあげるよ」
甘い言葉に乗せられ、カニは種とおにぎりを交換してしまいます。
けれどもサルは、おにぎりをちらつかせるだけで結局渡さず、のうのうと立ち去ってしまいました。
なんてやつだ。
読んでいるだけで、腹立たしさでおにぎりを握りつぶしてしまいそうです。
仕方なくカニは拾った種を植え、せっせと水をやり、日を浴びさせ、大切に育てます。
すると、やがて大きな柿の木が実をつけました。
その実りの季節、またもやサルがやってきます。
「俺さまが収穫してあげるから」
カニが信じたのも束の間、サルは高い木に登り、熟した柿の実を自分だけ食べてしまいます。
しかも、まだ固い青柿をカニに投げつけ、ケガまでさせるという横暴ぶり。
こうしてカニは大きな痛手を負い、泣き寝入りするかと思いきや、ここから話は急展開。
カニの子どもたちが、栗、蜂、臼といった強力な仲間たちを集め、サルに立ち向かう計画を練るのです。
栗は熱々に焼かれて、サルを飛び上がらせ、
蜂は鋭い針でサルを刺し、
臼はずしんと重たく押しつぶす。
まるでアクション映画のクライマックスのような総攻撃を経て、カニの子どもたちは、見事にサルをこらしめることに成功しました。
勧善懲悪、めでたしめでたし。
悪いことをしたら、どこかで必ずしっぺ返しを受けるんだよ、という、日本らしい正義感と仲間の大切さを教えてくれるお話でした。
だけど、ふと思うのです。
この物語、ちょっとだけ視点を変えたら――今の時代にもぴったり当てはまるんじゃないかって🩷。
昔話のさるかに合戦を、ちょっと真面目な顔をしてじっくり眺めてみると、そこに浮かび上がるのは、単なる悪者退治の物語ではありません。
サルは、強い立場にいる存在。
カニは、小さくて弱い存在。
立場を利用して、サルは好き勝手に振る舞い、カニは何もできずに傷つけられてしまう。
――これ、どこかで見たことがある気がしませんか。
たとえば、学校のいじめ。
会社のパワハラ。
家庭内での力関係。
SNSでの言葉の暴力。
小さな世界から大きな世界まで、現代もなお、さるかに合戦はあちこちで繰り広げられているのかもしれません。
しかも厄介なことに、現代のサルたちは、柿の実だけじゃなく、情報も、評価も、居場所さえも好きなように握ってしまうことがあります。
種を育ててコツコツ頑張っても、横から奪われたり、無かったことにされたり。
うっかり青い柿をぶつけられて、心に大きな青アザを作ってしまうこともあるでしょう。
だけど、昔のカニたちがそうだったように、現代のカニたちにも、味方になってくれる誰かが必ずいます。
たった一人じゃなくてもいい。
焼き栗のように熱く支えてくれる人。
蜂のように鋭く声を上げてくれる人。
臼のようにドシンと頼もしい味方。
見渡せば、きっとどこかに仲間がいるはずです。
さるかに合戦は、ただの復讐劇ではありませんでした。
傷つけられた悲しみを、一人じゃない力で跳ね返す物語🩷だったのです。
今の世の中も、ちょっとだけ視点を変えれば、小さなカニたちが静かに、でも確かに、笑いながら立ち上がる景色が見えてきます。
大丈夫。
現代版さるかに合戦、ここにあり。
そんな未来を信じて、次はいよいよ、今を生きるカニたちの物語をお届けしましょう。
あるところに、新入社員のカニくんがいました。
ピカピカのスーツを身にまとい、夢と希望を胸に会社の門をくぐったその日、彼は運命の出会いをします。
出会ってしまったのです。
サル課長に。
「まぁまぁ新人くん、うちの部署へようこそ」
サル課長はニッコリ笑いながら、自分の手柄話を延々と語り、カニくんに膨大な雑用を押し付け、ついにはカニくんが育てたアイデア企画まで、あっさり自分の成果にしてしまいました。
「まだ若いからさ、君は種を蒔くだけでいいんだよ」
「実がなるのは、経験豊富な俺たちさ」
そう言ってサル課長は、熟れた柿の実――カニくんの努力の結晶――を美味しそうにかじり取り、カニくんには、まだ青くて渋い、苦しい思いだけを押し付けました。
カニくんは、しばらくはじっと耐えました。
だって、新人だし、空気を読めと言われれば黙るしかない。
だけど、毎日毎日、理不尽な扱いを受けて、心にたくさんの青アザができてしまったのです。
そんなある日。
カニくんはふと、社内の小さな「同期グループチャット」に顔を出しました。
そこにいたのは、
熱い栗山くん、
チクリと鋭い針を持つ蜂野さん、
そしてどっしりと構える臼田さん。
カニくんがぽつりとこぼした言葉を、栗山くんが受け止めました。
「それ、おかしくない?おれたちで声あげようよ」
蜂野さんはすかさず「コンプライアンス窓口に匿名で相談できるよ」と助言し、臼田さんは、どっしり「記録を残しておこう。全部」と、冷静にアドバイスをくれました。
カニくんたちは、焦らず、でも確実に準備を進めました。
怒りの栗、鋭い蜂の一刺し、重たい臼の証拠書類。
すべてが揃ったとき、サル課長は、急に態度を変えました。
慌てふためき、妙にへりくだり、急にカニくんを「期待してるからね!」と褒め始める始末。
けれどももう遅かったのです。
栗も蜂も臼も、みんなで一丸となったカニくんを、サル課長ひとりの力では、もう押さえつけることはできませんでした。
カニくんは、初めて自分の力で、自分の未来を守ったのです。
そこにあるのは、派手な復讐劇ではありませんでした。
ただ、まっすぐな思いと、小さな勇気と、そして仲間の力。
それだけが、カニくんを救ったのです。
そして、気づけばカニくんは、次の柿の種を手にしていました。
こんどこそ、自分の手で、大きな柿の実を育てるために🩷。
カニくんは、青空の下でそっと深呼吸をしました。
勝った、とか、負けた、なんて、実はもうどうでもよかったのです。
サル課長がどうなったかよりも、自分がちゃんと、自分を大事にできたこと。
そして、そっと寄り添ってくれた仲間たちがいたこと。
それが、何よりもうれしかった。
会社の中には、まだまだいろんなサルがいます。
笑顔で柿を奪うサル、上から石を投げるサル、ちょっと太ったサルや、やたら話が長いサルまで。
だけど、そんなサルたちを恐れるあまり、縮こまって種を捨ててしまうのは、やっぱりもったいない。
種は、育てればちゃんと芽を出します。
水をやり、日差しを浴びせ、ときには風に吹かれて泣きたくなることがあっても、それでもあきらめずに育てていけば、きっと、甘くて大きな柿の実が実る日がくる。
カニくんは、もう知っていました。
自分ひとりじゃないこと。
助けを求めたっていいこと。
それは甘えなんかじゃない、強さなんだってこと。
だから、今日も笑って歩いていきます。
ポケットの中には、新しい種をひとつ、そっと忍ばせて。
未来はきっと、カニくんたちの味方をしてくれるでしょう。
どんなにズルいサルがいても、どんなに意地悪な風が吹いても、かにたちは、笑って生きていくのです。
柔らかく、たくましく、そして、誇り高く🩷。
6月22日は、かにの日。
それは、ただの「カニが美味しいよ」の日ではなくて、小さくても力強く、やさしく、賢く生きるカニたちを思い出す日でもあるのかもしれません。
さるかに合戦は、遠い昔の話。
だけど、時代がどれだけ変わっても、誰かが理不尽に種を奪われたり、青い柿をぶつけられて傷つくことは、やっぱりなくならない。
そんなときに、思い出してほしいのです。
たとえ自分が小さなカニでも、仲間がいれば、立ち向かう力になることを。
栗がいて、蜂がいて、臼がいる。
そんな仲間たちと一緒に、大切な種を守り、大きな実を育て、そして、どんな風が吹いても、笑って生きていくことができる。
生きるって、ときどき痛かったり、悔しかったり、転んだり、泣いたりするけれど、でも、それでも前に進むことが、なによりかっこいい。
かには、負けない。
かには、笑う。
かには、きっと、大きな幸せを運んでくる。
そんな希望を、今日、そっとポケットにしまって、またひとつ、未来に向かって歩き出そうじゃありませんか。
6月22日、かにの日に寄せて――
すべての小さな勇気と、やさしい笑顔に、エールを送ります🩷。
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