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夏の始まりを告げる７月。
青空に入道雲、セミの声に汗ばむ額――それだけなら風情もあるのですが、病院や介護施設の現場においては、もうひとつの“夏の訪れ”が鼻をついてやってきます。
そう、「におい」です。
どこからともなく漂ってくる、なんとも形容しがたいあの感じ。
「え？誰？何か…落ちてる？」と振り返る職員がひとり、またひとり。
湿度が高くなると、ちょっとした体臭や排泄臭も濃度２倍。
空調の風がそれをスーッと運んで、まるで見えない何かと職員の追いかけっこが始まります。
この季節の“香ばしさ”には、匂いの元だけでなく、人間関係や連携の難しさまでがブレンドされており、ただの鼻の話では済まされません。
さて、今年の７月もやってきます。
エプロンにファブリーズをぶら下げるのは誰でしょう？
陰の主役たちの奮闘を、今日もこっそり追ってみることにしましょう🩷。
７月になると、気温と湿度が手を取り合って本気を出してきます。
もはや外に出るだけで“蒸し風呂体験”がついてくるおまけ付き。
そんな中、施設や病院ではさらにハードな現場が待っています。
介助中の職員は、制服の背中が一瞬で汗に染まり、マスクの内側はまるで小さなサウナ。
これに排泄介助が重なると…もう鼻から心が飛び出しそうになります。
においがただのにおいで終わらず、湿度によって“広がり”と“粘り”が加わり、空気中にしっかりと根を張っているように感じるのです。
ふとした瞬間に漂ってくるその感触、「あっ、今日も本番が始まったな…」と悟る職員も少なくありません。
しかも、この季節は換気をしたくてもエアコンの効きを優先して窓が開けられないことが多く、結果として“密閉された優しさの箱”がにおいを保温するという現象まで発生。
エアコンの風に乗ってにおいがスーッと流れてくる瞬間、利用者さんの手を握りながら「誰よりも現場を感じる五感センサー持ってるの、私かもしれない」と謎の自負が生まれることも。
まさに、鼻が現場力を測るリトマス紙となる季節🩷。
暑さとにおいと介助の三重奏が、今日も優しくも濃密に現場を包み込んでいます。
気温３０度を超えたあたりから、洗濯室に異変が起き始めます。
タオルが山のように積まれ、バケツは常にフル稼働、乾燥機の音が遠くからでも聞こえてくると、「あ、今日はまた大物が出たな」と察する職員もいます。
７月はとにかく汗をかく。
利用者さんも例外ではありません。
朝着替えても昼にはびしょびしょ、寝具もいつの間にか湿っていて、どこからが汗でどこからが尿かわからない事態も続出します。
ベッドに敷いた防水シーツはまさに命綱。
とはいえ洗って干して畳んで戻して、またすぐ汚れる…その繰り返しで、洗濯スタッフがタイムループの中にいるような顔になっているのも、この季節ならではの風景です。
パジャマは何着あっても足りず、「あれ？この柄、昨日も見たような…」というデジャヴが起こるのは日常茶飯事。
利用者さんのご家族から「最近、洗濯量が増えたようですね」と言われても、「ええ、はい…まさかの１日５着替えコースです」とは言いづらく、笑顔でうなずいてごまかすしかない現場のつらさ。
介助職員が替えのエプロンを持っていないと、ほんの数分で“香ばしい”仕上がりになってしまい、勤務終了後に「何この匂い？あ、私か…」と自覚する瞬間に無言で肩を落とす。
そんなあるあるが７月にはぎっしり詰まっています🩷。
においとの闘いに立ち向かうため、頼りにされるのが“対策グッズ”たちです。
芳香剤、消臭スプレー、脱臭機、ビーズ状の謎の玉…。
しかし、それらが必ずしも期待通りの働きをしてくれるとは限らないのがこの世界。
まず芳香剤。
バニラの香りやラベンダーの香りが、強烈なアンモニア臭と出会った瞬間、そこに誕生するのは誰も予期しなかった新種のにおい。
「甘いのに酸っぱい…何これ？」と、もはや嗅覚が混乱するレベルです。
次に登場するのが消臭スプレー。
振ればその場ではシュッと落ち着いたように感じるものの、時間が経てば「ごまかしただけだったね」と静かに戻ってくるにおいの主張。
さらにビーズタイプの消臭剤を部屋の隅に配置すると、誰かが「こんなの気休めでしょ？」と囁きはじめ、職員同士の空気がなんとなく湿っぽくなるのもよくある展開です。
では空調はどうかと言えば、エアコンのフィルターが夏の湿気と見事にコンビを組み、ほんのりとしたカビ臭を添えて空気をお届けするという、あまり嬉しくないサービスも。
定期的に掃除はしていても、利用者さんのベッドに向かって送風されるたび、「あっち向けないかなあ…」と願う職員の切ない背中が印象的です。
においは目に見えないけれど、確実に人の心に影響します。
だからこそ、使い勝手のいいアイテムが一つでもあると、職場の空気も変わるのです。
例えば、無香タイプの高性能脱臭機を導入した日。
職員が「何か今日は鼻が楽」と口にしたその瞬間、心の中でガッツポーズを決める管理者もいるかもしれません🩷。
においの問題がやっかいなのは、物理的な発生源だけじゃありません。
そう、それを“どう感じるか”には個人差という見えない壁があるのです。
ある職員は、「うっ、くさい…！誰か何とかして！」と鼻を押さえながら逃げ出したくなる勢い。
ところがその隣で、ベテランのスタッフが涼しい顔で「え？全然わからないけど」と答えると、その瞬間に空気が凍るのです。
「いやいや、あなたの鼻が鈍ってるだけでしょ！」と心の中でツッコミつつも、表情には出せない、そんなプチストレスがたまっていくのも現場あるある。
そして、厄介なのは利用者のご家族も含めて“鼻の感度”がバラバラだということ。
「この部屋、においません？」と聞かれてドキッとする日もあれば、「わたし、匂いに敏感なんで」と言われた瞬間、内心で“匂い警察”の来訪を察知してしまう日もあるのです。
一方で、においの指摘ってとても繊細な話題。
「ちょっと匂いますね」と言っただけで「えっ…私の介助が悪いってこと？」と誤解されかねず、言葉選びには慎重にならざるを得ません。
だからこそ、気を遣いすぎて黙って耐えるタイプと、はっきり言えるタイプの温度差で、ちょっとしたすれ違いが生まれる。
現場の空気が“湿っぽく”なるのは、何も気候のせいだけではないのです。
結局のところ、においの話をどう共有するかは「信頼関係」がカギになります。
誰もが嫌な思いをせず、「あ、これちょっと気になるね。何か対策しようか」と自然に言い合えるチームは、実はとっても空気がクリーン。
においのあるところに人の気配あり。
だからこそ、このテーマにはちょっとした“鼻力”と“気配り力”が求められているのです🩷。
７月のにおい問題は、暑さと湿度にすっかり乗っ取られた現場の“空気感”に直結します。
ただ臭うだけなら換気すればいい、という単純な話ではなく、それが日々の介助や人間関係、さらには自己肯定感にまで静かに影響してくるからやっかいなのです。
誰もが気になるけれど、誰もはっきりとは言いづらい。
そんな微妙なテーマに立ち向かうには、最新の消臭グッズや設備も心強い味方ですが、何より頼りになるのは職員同士の「言い合える関係」と「気づき合える空気」。
鼻を利かせて気づける人も、気づかないことで空気を和らげる人も、どちらも現場に必要な存在です。
だからこそ、どちらかを責めたりせずに、「どうしたら今日、少しでも快適に過ごせるか？」を一緒に考えられるチームが、結果的に匂いも空気も人間関係も整えてくれるのです。
においを感じたら、誰かのせいにせずにまず深呼吸。
そして静かにスプレーを手に取る。
そんな７月の優しさが、実はこの季節の“最強アイテム”なのかもしれません🩷。
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