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高齢者施設でお月見会を夜間に開催してみませんか?
お月見の文化は古く平安時代からある日本の風習です。
現代の高齢者さんたちの子どもの頃を振り返ってみると、
ご両親や祖父母とお月見をして楽しまれたご家庭が多かったのではないかと思います。
施設で夜間にお月見の行事を開くコツはどこにあるのでしょう?
その辺りの記事を書いてみました。
ほとんどの施設で、9月になりますと、『 お月見 』に関する行事が、じつは設定されています。
でも、残念なことにお昼間でしかありません。
お月見に欠かせない 『 お月見団子 』 も作ってます。
高齢者さんと共にクッキングでお団子を作り、皆で…。
お昼やおやつに食べてしまう…。
お月見のお団子までレクリエーションで出来ているのに、
肝心の行事となる夜のお月様は、皆で見ずに終わってしまう…。
何とも、勿体ない気分を感じてしまいませんか?
壁画をちぎり絵で制作したり、水彩画にしてみたり…。
お団子も作り…。
詩歌を詠んでみたり…。
施設に入居されている高齢者さんは20時頃に規則正しく就寝時間を迎えてしまう。
…これって職員さんと施設のルールで寝かされてしまう…
と、言うのが正しい表現かもしれません。
一般のご家庭で、毎日20時に寝床に就く…。
そんなご家庭での過ごし方って、本当はありえないでしょう?
お月見は元々、里芋を中心とする野菜の収穫祭とお月様を愛でながら、
夜通し、あるいは夜更かしをして遊ぶ日なのです。
十五夜が有名ですが、当日に必ず月が出るとも限らないので、
フライングのお月様だったり、
天候が悪く、遅れたお月様にも名前を付けて呼ぶような
何日にも渡って遊ぶ風習が残るほどで、根強い庶民の遊びの日だったのです。
日付が変わるまで遊び楽しむという記録もあるほどで…。
やはりお月見のレクリエーションですから、
本番のお月様を拝んで楽しむことがメインです。
ここに眼目があると言えます。
介護の出来る職員さんは、限られた貴重な存在です。
ボランティアさんを呼んで手伝っていただく…。
高齢者さんや職員さんのご家族様もお招きして共に楽しむ。
そんな方法もあるのではないでしょうか。
お昼間に壁画を作り、イメージを固める。
夜にお月見をお団子と共に楽しむという流れはどうでしょう?
まず企画書ですが…。
単に遊ぶ、お月様を見るというだけでは、企画書として通りません。
理由を適切に設定して、後に効果を評価できねばなりません。
□ 記憶を回顧する、回想法の一環として行う。
□ ご家族様を招き、団欒や共有の場を設け交流いただく。
□ お月見の由来を学び、文化の継承を謳う。
いずれも意義がありますが、効果を数値にして残しにくいという目的になります。
結果の記録が大事です。
そこで俳句や短歌などを詠んで、作品を完成させることで
記録として、残していただくのはいかがでしょう?
作品の全ては、年始の皇居で行われる歌会始めの選考会へ出品させていただく。
参加されたご家族や職員の分も含めて、全部、出品してみてはいかがでしょう?
あるいはパソコンで処理をして小冊子にして、
利用者さんやご家族さんに記念品として、後日、お配りして振り返りの材料とする
と共に、施設でのメモリアル記録として書棚の1冊とすることもできますよね。
夜なので、基本的に体の運動面での眼目を盛り込みにくいことが欠点です。
夜に運動したら、その後にお風呂…なんてできませんから。
静かに楽しむ=あまり運動になってはいけない。
そんな構図になっちゃいます。
ここでポイントとなるのは高齢者さんの睡眠時間。
お月様を穏やかな心境で、愛でてリラックス効果を得て、良眠を引き出す。
満足感が、より良質な眠りを引き出すという視点が1つ。
つまり寝た時間、起きた時間、その間のご様子の記録も大切だということです。
眠る時間が短くなってしまうと、翌日のお昼休みの時間を若干だけ長くすることもコツの1つです。
とはいえ、お昼寝は30分未満を保持します。
再び夜に響くようになってしまいますから。
高齢者さんによっては1日で疲れきってしまうかもしれません。
そうです、前後3日のスケジュールを調整して加減するというビジョンも成功のコツの1つになります。
生活の中で緩急、長短など変化に富んだ融通無碍な時間活用が出来ますと、
高齢者さんの生活のクオリティーは当然ですが、
精神面でも、体力面でも緩やかに強化が図られます。
平板なスケジューリングでは、個別性が損なわれ、画一化して下落するだけのことです。
全体に波があることで全体を引き上げる工夫につながっていく…。
けっして数値には評しきれない分析の芽がそこには必ずあります。
中心となるお月見のレクリエーション企画は、
夜ですから、人数が集まるほどに、近隣への騒音や苦情の対策に配慮せねばなりません。
近隣住民への事前の周知や協力のご案内など、周到な根回しをすることも大事です。
ボランティアさんの獲得と合わせて、慎重に進めていきましょう。
次に高齢者さんの生活に、夜間のお月見レクリエーションを設定することで、
緩急をもたらす効果を求めることになるのですが、
当然ながら、その匙加減は目に見えません。
時間の掛け過ぎは、高齢者さん個々人の能力差もありますが、
当然の如く、全ての高齢者さんの身体的な負担となってしまいます。
賑やかにお月見をし過ぎても、精神的に高揚し過ぎても、高齢者さんの睡眠の妨げになりかねません。
もちろん、明日の介護を考えた時に介護職員さんの体力的な負担や都合も考慮せねばなりません。
あとは…、夜間の気候の涼しさを通り越して寒い日もあるので、高齢者さんの上着など着衣の加減も大事です。
高齢者さんへの様々な影響を注視しながら、
レクリエーション全体の匙加減を設定して運営することが大切です。
現代では物も多く豊かになった分、
お月見の風習は一般家庭でも、あまりしないかもしれません。
でも戦中戦後の物や娯楽の少ない時代を生きた高齢者さんたちは、
お月見の風習を大事に過ごしてこられたと思います。
施設という集団生活の中、施設設計や職員配置という施設側の都合次第で、
昔ながらで、高齢者さんに馴染み深いお月見の風習をご提供できないというのは、
高齢者さん自身こそ口にされませんが、
寂しいところの1つではないでしょうか…。
もちろん、本記事を読んでいただいた介護職員さんにも、忸怩たる思いが残ることでしょう。
是非、心温まるお月見の行事を成功させてみてください。