月に願いを団子に情熱を!〜22歳介護士はるかの大逆転お月見レクリエーション〜

目次
はじめに…月夜に輝け22歳の逆転劇
🎻BGMをご用意しました。お好みで▷ボタンでお楽しみください。
「ねえ先輩、お月見って…団子を食べるイベントですよね?」
入職1年目、ピチピチ22歳の介護士・はるかがそんな一言を口にしたのは、9月初旬のことだった。
秋の行事担当に任命されたはるかは、スケジュール表の端っこに小さく書かれた「お月見会(未定)」の文字を見つけた。
未定?未定って…何も決まってないってことですよね?
はい、そうです。
ガチのノープランでした。
高齢者施設の秋は、なんだかんだで忙しい。
敬老の日が過ぎたら、次はハロウィン準備、冬支度、年末の準備もチラつく。
だからこそ、うっかり流されがちな「お月見」。
でも、はるかには一つだけ、子どもの頃の思い出があった。
それは、祖母の家で見た“まんまるお月様とほかほかの団子”。
「きれいねえ」とつぶやいた祖母の横顔が、やけに印象に残っていた。
――あれを、高齢者さんたちにも見せてあげられたら。
その一心で、はるかは立ち上がる。
しかし現実はそう甘くない。
夜間イベント=施設の掟を破る挑戦。
反対意見も多数。
それでも彼女は、団子の粉よりも粘り強く、月明かりのようにしなやかに、お月見レクリエーションの奇跡を起こしていく──
これは、「22歳・独身介護士」が施設の常識をくるっと裏返して、お月様のようにまんまるな笑顔を咲かせた、笑いと涙とちょっぴり団子の味がする、秋の小さなサクセスストーリーです🩷。
第1章…お月見?それって団子食べる日でしたっけ?事件
それは9月最初の金曜日のこと。
夜勤明けで眠そうな目をこすりながらも、施設の職員会議にちゃっかり出席していた新人介護士のはるか。
22歳、独身、趣味はカフェ巡りとアニメ鑑賞。
おしゃれとお団子にはちょっとうるさい乙女である。
その日、施設長が突然言い放った。
「今年のお月見イベント、はるかさんが担当でお願いしますね」
え?……え???
議事録を書く手が止まり、筆箱のフタも開いたまま、はるかの脳内はフリーズ。
「お月見って……団子を食べるやつですよね?」と、とっさに口をついて出た言葉は、まさにフラグであった。
先輩職員たちの間に一瞬の沈黙が流れ、その後「あ〜、そうだね、団子は…作るけど…」と誰かがぼそり。
話を聞けば聞くほど、はるかの不安は増していく。
どうやら施設では、ここ数年「お月見」と名のつく行事は昼間のお団子作りと壁画制作だけで済まされていたという。
肝心の月?見ません。
月見の“月”成分ゼロ。
だって夜は静かに寝ましょう、という不文律があるらしい。
「え、でも“お月見”って夜じゃないんですか…?」という素朴な疑問に、ベテラン看護師の佐藤さん(62歳、趣味は盆栽)が「若い子は理想を語るけどね〜」と鼻で笑う。
くっ…悔しい。
はるかは思った。
せっかくなら、利用者さんたちに本物の月を見てほしい。
あの、まんまるで、うさぎがぴょんぴょん跳ねてそうな、お月様を。
たとえ“月見団子=おやつの一種”と認識されていても、お団子だけでは終わらせたくない。
しかも、施設の書庫で見つけた古いアルバムには、20年前の「本物の十五夜イベント」の写真がちゃんとあった。
利用者さんが家族と一緒に縁側で月を眺めてる、素敵な笑顔ばかりの写真。
「やってたじゃん……!」とひとり呟くはるか。
よし、やってやろうじゃないの。
まだまだ若い、無謀さと情熱だけはある。
今ここで、月見の夜を取り戻す。
はるかの中に、ちょっとした“革命魂”が目を覚ました。
お月見?
それって団子を食べる日でしょ?なんて言わせない。
見せてやる、本物の月と、本物の笑顔と、…ついでにスゴい企画力ってやつを!🩷
――こうして、のちに「ムーンライト作戦」と名付けられる施設史上最大級の夜間レク企画が、静かに幕を開けたのであった。
第2章…先輩たちの伝説と謎の“お月見封印ルール”
「やめときなって、あれはタブーなんだから」
はるかが夜のお月見イベントをやりたい、と言った途端、空気が凍った。
相談したのはレク委員のベテラン・吉田さん。おやつタイムには必ず手作りプリンを持参してくれる、通称“プリンの妖精”。
その笑顔が曇るなんて、ただごとじゃない。
「昔ね…やったのよ。夜に。あれは確か…平成一桁のころだったかしら」
吉田さんの語り口が、いつの間にか怪談調になる。
「お月見レク、立派にやったのよ。団子も十五個、ちゃんとピラミッドにして…利用者さんの俳句もいっぱい読んで…それはそれは風情のある夜だったわ。でもね…」
……でもね?
「終わった後、片づけでドタバタしてたら、職員ひとり、腰をギックリやってね。その後すぐに、別の職員が風邪ひいてダウン。利用者さんの一人が、団子をのどに詰まらせて…」
……あの、それって全部、ただの“季節の変わり目あるある”では?
「それ以来、うちの施設では“夜間レクは封印”って暗黙の了解になったの」
……都市伝説みたいなノリで、お月見が封じられた?そんなアホな。
けれど、職員会議で提案しても、反応は鈍かった。
「夜間イベントは家族対応が面倒になる」
「夜に騒がれると近隣から苦情が来る」
「職員の夜勤体制に影響が出る」
……まあ、確かに正論。
はるかは夜勤明けの眠い頭をフル回転させて、思った。
これって「無理な理由」じゃなくて、「やらない理由」を列挙してるだけじゃない?
誰も「やっちゃダメ」とは言ってない。
やらないだけ。
若さゆえの無鉄砲と、たまに発動する正義感とで、はるかの心は燃え始めた。
しかも、利用者さん数名に「昔、お月見したことありますか?」と尋ねると、
「庭でススキ飾ってたわ」
「母が里芋を炊いてくれてねぇ」
「うちのばあちゃん、月に向かってお供えする時だけ正座してたんだよ、月見ざぶとんって言ってた」
もう、聞いてるこっちが泣きそうになるエピソードのオンパレードだった。
これはもう、ただの行事じゃない。
高齢者さんたちの“心のアルバム”に触れる、大切な夜だ。
記憶を揺さぶり、昔を思い出してもらう“回想法”にもなるし、月を見て、団子を食べて、詩を詠むことで、感情のリハビリにもつながる。
ついでに、若手職員のはるかにとっては、施設の“レク常識”を打ち破るチャレンジにもなる。
これはきっと、みんなにとっての“変化のきっかけ”。
だから、夜間レクを封じた“伝説”なんかに、負けてたまるか🩷。
はるかは決めた。
伝説は、更新するためにある。
夜のお月見イベントを、誰もが納得する「意味と成果のあるレク」に変えてみせる。
さあ、ムーンライト作戦の作戦会議、始めましょう。
第3章…それでも私は月が見たい!無謀な提案と反対の嵐
「えーっと……まず、屋上にレッドカーペットを敷いて、月見団子は三段盛りで、BGMは尺八とジャズの融合で…」
企画書を片手に、はるかはちょっと震えていた。
なぜなら今、施設全体ミーティングのど真ん中で“夜のお月見大作戦”のプレゼン真っ最中だからである。
しかも、前列には施設長、看護主任、厨房責任者、生活相談員、あと異様に目力の強い清掃スタッフさんまで座ってる。
はるかはスライドのページをめくりながら、必死で説明を続けた。
「高齢者さんにとって、お月見は回想法の好機なんです。記憶の扉を開く行事なんです。月明かりの下で、団子を味わい、和歌や俳句を詠むことで、情緒と感受性を取り戻す…」
そう言いながら、目の端で見えたのは、あくびをかみ殺す相談員と、腕組みで無言の施設長。
…うん、たぶん手ごわい。
ここで一発かまさなきゃ。
はるかは深呼吸して、勝負に出た。
「皆さん、利用者さんたちの“本当の笑顔”を、いつ最後に見ましたか?」
一瞬、空気が揺れる。
「敬老会や誕生日会の“型どおりの笑顔”じゃなくて、“昔を思い出して泣き笑いする、本物の笑顔”です」
そこから、はるかは“熱い介護魂”全開モードに突入した。
子どものころに見た祖母とのお月見、昔話に花を咲かせる利用者の表情、壁画では再現できない“本物の月光”の力…話すうちに、なぜか会議室が少し静かになった。
「ですが…」
施設長が重々しく口を開いた。
「ボランティアの確保、夜間の安全管理、家族の対応、記録の精度…やるべきことは山積です」
そこから始まった“現実的な反対意見フェスティバル”。
ナース「夜間に冷えるので、高齢者さんの体調が心配です」
厨房「団子、夜にもう一回蒸すんですか…?」
清掃スタッフ「ススキのカス、あとで回収するの大変なんですよ」
相談員「うーん、家族の同意書も必要かな」
もはやプレゼン会場は“月見レク反対合唱団”状態である。
だが、はるかは思った。「誰かがやらなきゃ、ずっとこのまま」
「全部、対策考えてあります!」と一言。
目を見開く施設長。ざわつく職員たち。
「高齢者さんの防寒対策には、ひざかけと“お月見ポンチョ”を手作りします!団子は昼間作って冷凍、夜に蒸し直すだけでOK!ススキはフェイクで!俳句は事前募集!家族には“事後報告”じゃなくて“事前ワクワク予告”で気持ちを巻き込みます!」
さらに、スマホで撮った試作ポスターを見せた瞬間、空気が変わった。
そこには“夜空に浮かぶ月とうさぎのシルエット”の前で、ほほ笑む高齢者さんのイラスト。
「わあ、かわいい…」と、思わずつぶやいたのは、あの目力の強い清掃スタッフさんだった。
一人がうなずくと、連鎖のように周囲も少しずつ賛同の表情に変わっていく。
施設長は深くため息をついたあと、ひと言。
「責任、取れるかい?」(部下に丸投げかよ…責任とるのは…あんたでは?パワハラだな…🩷)
はるかは、すっと背筋を伸ばした。
「はい、最後まで全力でやります」
こうして、歴史を変える「夜のお月見レクリエーション」が、しぶしぶに正式に認可された。
そしてこの瞬間から、はるかの長くて短い“準備の日々”が始まったのだった。
第4章…月と団子と俳句とドローン!? 作戦名“ムーンライトミッション”始動
許可は下りた。
が、そこからが本当の勝負だった。
「やるって言ったけど、具体的にどうするの?」
先輩職員からのジト目に、はるかはひきつった笑顔でうなずいた。
とはいえ、はるかは密かに作戦名まで決めていた。名付けて――“ムーンライトミッション”。
なんだか007っぽくてカッコいい。コードネームがあるだけで、なんとなく本気感が増す気がする。
まずは“団子班”を発足。厨房と交渉し、日中に一気にお団子をこねて成形。
冷凍保存しておき、夜は業務用蒸し器で一気に再加熱するという画期的(?)なプランが採用された。
ちなみに団子にはこっそり“かぼちゃパウダー”を練り込んでみた。
黄色い月見団子。
インスタ映えもバッチリだ。
もちろん糖質も計算済み、管理栄養士も感心するバランス。
続いて“照明班”。
月が見えなかった時のために、太陽光に限りなく近いLEDランタンを3台レンタル。
さらに、町内会から提灯を拝借し、ぼんやりと浮かび上がる“和の風情”を再現することに成功。
試しにライトを点けた夜、あまりに幻想的すぎて、清掃スタッフの中村さんが「これは…天国か?」とつぶやいたという。
次に“防寒班”。
はるかは布屋に駆け込み、やわらかいフリース素材を買い漁った。
そして“お月見ポンチョ”の手作りキットを配布し、職員と家族参加型の縫製ワークショップを開催。
縫い目はガタガタでも、ぬくもりはフワフワ。
利用者さんからも「これ着たら、月におでかけできそう」と大好評だった。
さらに、若手職員の一人がぽろりと「俳句とか詠んでもらえたら良い思い出になりますよね」と言ったのをきっかけに、“文芸班”が結成。
俳句、短歌、川柳なんでもOK、テーマは“秋”“団子”“昔の思い出”。
はるかがワードでテンプレートを作成し、家族にも配布。
思いのほかノリノリな反応が続出。
「ばあちゃん、恋の句を詠んでる…!」という報告に一同ザワつく。
そして、極めつけは“ドローン班”。
これはさすがにやりすぎでは?という声もあったが、はるかの大学時代の友人がドローン愛好家で、たまたまボランティアに来てくれるという奇跡が起きた。
月夜の施設を上空から撮影し、後日ムービーに編集。
BGMは尺八とピアノの融合、タイトルはもちろん「ムーンライトメモリーズ」。
準備期間はたった2週間。
でも、はるかの「やると決めたらやる精神」が施設全体に伝染した。
ふだんは“決められたことを淡々とこなす”職員たちが、だんだんと笑顔で動き始めた。
「このレク、ちょっと楽しみだね」と、誰かがこっそり言った。
その言葉が、はるかの胸にじんわりと灯る。
かくして、団子と照明と俳句と防寒と…ドローン(!?)まで巻き込んだ壮大な計画は、着々と準備を整えていった。
あとは、月が顔を出してくれることを祈るばかり🩷。
はるかはその夜、祖母にLINEでメッセージを送った。
「ばあちゃん、今度、施設でお月見やるんだよ。ちゃんと、月、見るんだよ」
“すごいね、月のウサギさんも拍手してくれるね”と、かえってきた返信に、はるかはほっこり笑って、目を閉じた。
そして、いよいよ十五夜の夜がやってくる──。
第5章…そして奇跡の十五夜がやってきた
十五夜当日。
空は朝から曇天だった。
天気アプリは“曇り時々雨”のアイコンを見せてくる。
…いやいや、信じないぞ。
はるかは朝から3回、てるてる坊主に話しかけた。
「いいかい、今日だけは仕事してくれよ?」
準備は万端だった。
団子も蒸し直し完了、飾りつけも済み、俳句の短冊もずらりと並ぶ。
ポンチョ部隊は着替えを済ませ、職員たちは全員“月見マーク付きのバンダナ”を着用。
どこを見ても、完璧なムーンライト仕様。
あとは…月、だけ。
夕方になっても、空はまだ厚い雲に覆われていた。
集まった利用者さんの中には「残念ねぇ、仕方ないねぇ」と優しく笑う方もいたけれど、はるかの心はザワザワしていた。
やっぱり無謀だったのか? 期待させすぎたのか?
――しかし。
午後6時32分。
誰かが叫んだ。
「あ!雲が動いてる!」
全員の視線が夜空に集まった。
ゆっくりと、うすぼんやりと、雲の切れ間から、ひとすじの銀色の光が差し込む。
そして次の瞬間、まるでスポットライトのように、空に浮かんだそれは――
まんまるの月。
完璧な、黄金色の十五夜だった。
どよめきと、拍手と、涙。
誰かの笑い声。
誰かの「わあ、きれい…」という小さなささやき。
その場にいた全員が、声もなく、ただただその光を見上げていた。
照明いらずの、月光ショー。
幻想的という言葉すら足りないほどの、美しさだった。
お団子を配る手もふるえた。
俳句を読む利用者さんの声に、何人もの職員が目頭を押さえていた。
ある利用者さんは、月に向かって手を合わせ、ただ一言だけ「ありがとねぇ」とつぶやいた。
そして、ドローンはその瞬間をしっかり記録していた。
満月の下で団子を食べ、俳句を詠み、ポンチョを羽織ったお年寄りたちが静かに微笑む。
施設長がつぶやいた。
「…いい夜だな」
あの清掃スタッフさんが「来年もやりたいっスね」とポンと背中を叩いてきた。
はるかは、空を見た。
そこには、自分の背中を押してくれた祖母の記憶と、今日という一日を一緒に作った全員の努力と、そして、何より「やってよかった」の満足感が、全部、詰まっていた。
月は静かに、ゆっくりと昇っていった。
まるで、施設の空気ごと、明るく照らしながら。
こうして、「夜のお月見は無理」と言われていたあの伝説は、ひとりの若き介護士の情熱と、みんなの力で、優しく、見事に、更新されたのであった🩷。
第6章…翌朝の食堂で…団子の行方とはるかの未来
お月見の夜が明けて、施設の朝はいつもより静かだった。
前夜の感動的なイベントの余韻が残っていたのか、それともただ単に皆が寝不足だったのか、それは誰にもわからない。
はるかは、ぼんやりと食堂のコーヒーをすすっていた。
ふだんはバタバタの早番タイム、だけど今日は少しだけ、みんなの動きがゆっくり。
いや、のんびり?
それもそのはず、昨日の“感動の十五夜ナイト”は、心に沁みると同時に、なかなかの体力戦でもあった。
食堂の一角では、利用者さんたちが小さな輪になって話していた。
「昨日は夢みたいだったわねぇ」
「団子、もうちょっと食べたかったなあ」
「俳句、孫にLINEしたら“え、じいちゃんって詩人なの?”って言われたわよ」
中には自作の俳句を握りしめたまま、ずっとニコニコしている方も。
まるで宝物でも手にしているかのように。
そんな中、厨房のおばちゃんがボソッとつぶやいた。
「夜の団子が思ったより余ってさ、今朝の味噌汁に入れてみたんだけど、これが意外とイケるのよ。団子汁ってやつね」
……なんと。
あの黄色いかぼちゃ団子が、今朝の味噌汁に“第二の人生”を歩んでいたのである。
これには利用者さんたちも大笑い。
「あら、月見からの朝見ねぇ」
「私、あの団子、3回は味わってるわよ」と口々に冗談を飛ばす始末。
そんな光景を見て、はるかは思った。
成功って、きっとこういうことなんだ。
イベント当日に拍手をもらっただけじゃなくて、翌日にも話題が残る。
誰かが笑って、誰かが思い出して、そして少しだけ前向きになれる。
夜空に浮かんだ月は、ただの照明じゃなかった。
心に明かりを灯す“きっかけ”だったんだと、はるかはようやく実感する。
その日のお昼、施設長に呼び止められた。
「今回のイベント、すごく良かった。記録もよくまとまってるし、利用者さんも家族も喜んでる。
はるかさん、よくやったね」
うっすら目が潤んだのは、きっと寝不足のせい――ということにしておこう。
そのあと生活相談員から、「来月の秋祭り企画も、もしよかったら…」と声がかかったが、はるかは笑顔でひと言だけこう返した。
「…やります。ドローン飛ばします!」
まわりの職員たちが「え、また!?」とどよめく中、はるかの心の中には、もう次の空が広がっていた。
団子が味噌汁に変身するように、何事もアイデアと行動力次第。
若手介護士だって、施設の“空気”を変えることができる。
そして、月のようにまんまるい笑顔を、たくさん咲かせることができるんだ🩷。
その証拠に、食堂の片隅ではまた誰かが言っていた。
「はるかちゃん、来年の月見もよろしくね」
はるかは、ぺこりと頭を下げた。
「もちろんです。また、月に願いを届けますね」
その背中に、今日もやさしい朝日が差し込んでいた。
月が終われば、また太陽の番――そう、次の感動のステージは、もう始まっているのだ。
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まとめ…伝統行事は心のバトン~若い力が未来を照らす~
お月見という言葉は、なんだか静かで、控えめで、ちょっぴりノスタルジックな響きを持っている。
けれど、今回の施設での“ムーンライトミッション”が教えてくれたのは、その静けさの中に潜む力強さ。
月を見上げるという、ただそれだけの行為が、人と人をつなぎ、心を揺らし、そして未来へと物語を運んでいくということだった。
介護施設という場所では、毎日がスケジュールの上に成り立っている。
食事、入浴、服薬、排泄、記録、報告、業務、会議…。
そこに「夜に団子と月を楽しむ」なんて、いかにも非効率で“やらなくてもいい”ことに見えてしまうかもしれない。
でも、“やらなくてもいい”ことの中にこそ、“やってよかった”が詰まっている。
夜のレクリエーションは手間がかかる。
予測もつかない。
けれど、その先にある利用者さんの本物の笑顔と、かけがえのない時間。
それは、介護という仕事において、何よりも価値あるものだった。
お月見を通して、22歳の新人介護士・はるかが掴んだのは、ただのイベントの成功ではなかった。
それは「変えられないと思っていた空気を、自分の手で変えられるんだ」という、確かな自信と実感。
高齢者さんの過去を尊重しながら、今を明るくし、そして未来へと“優しさのバトン”をつないでいく――それが、介護の中にある、ほんとうのクリエイティビティなのかもしれない🩷。
そして、はるかだけじゃない。
この物語を読んでくださったあなたも、きっとどこかで“月”を見上げる日が来る。
そのとき、あなたのそばにいる人が、あたたかく笑ってくれますように。
お団子は1人で食べるより、誰かと一緒に食べた方がずっと美味しい。
それは、たぶん、人生も同じ――なのかもしれません。
[ ⭐ 今日も閲覧ありがとう 💖 ]
読み込み中…読み込み中…読み込み中…読み込み中…😌来場された皆様、今日という日の来訪、誠にありがとうございます
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