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ご病気で寝たきりになってしまわれた高齢者さん…。
ベッドの上で見つめる天井には何が見えているのでしょう?
心で何を感じられているのか?
周囲で介護に臨む私たちは、寝たきりの高齢者さんへのアプローチをどうすべきなのでしょう?
今日は寝たきりの高齢者さんに、少しでも楽しみを実感いただく工夫を記事にしてみました(*^▽^*)
病院や施設で、ベッドの上で天井を見つめ、衣食住の全ての介助を受けて過ごされる寝たきりの高齢者さん。
身じろぎもせず、見つめる目は何を捉えて、どう心に響いているのだろう…。
あるいは発語ができるけども、独り言でつながれない方…。
意識はあっても、言葉を発せられない方…。
症状はいろいろと重度軽度入り交じりつつ複数の課題を抱え、寝たきりと一言で書いてみたところで千差万別の世界でもあります。
寝ている時間が長いほど…。
口腔摂取が出来ないほど、衰えるのが早い。
目立つところでは、口から喉が弱ることで発語が出来なくなるばかりか、食べ物を飲み込む嚥下能力が低下してしまい、痰が絡み、窒息や肺炎のリスクが高まってしまう。
見えないところでは、四肢の不活発化から筋肉が縮む萎縮が起こり、伴い関節が固まったり、変形をきたす…変形を留める活動量を保持することは現代の医学や介護の体制ではとても見込めないものです。
こうした寝たきりの高齢者さんの反応は、とても微弱で見落とされがちでもあります。
寝たきりになってしまったからといって、体が血液を循環して栄養を補給する限り、生命の時間は経過していくものです。
生命がある間、わずかでも、その方にあった楽しみを提供したいと思うのが介護職員ですよね。
日夜、研鑽と工夫を熱意でもって重ねるところでもあります。
無理と言われると本記事が成立しなくなるので…。
ここは可能!工夫ありきで主張します。
□ 瞼を閉じて、真っ暗闇から明るい場所に移動しますと、目は閉じたままでも明暗を感じますよね。
□ 静寂から雑多な場所に出ますと耳は音を拾います。
□ 鼻も様々な匂いをかぎわけるでしょう?
□ 肌は大気の流れを感じるでしょう。
□ 口に含めば味を感じられるかもしれません。
寝たきりになったからと言って、この5つの機能・五感がゼロになったとは言えません。
もちろん、脳出血などで広範囲の脳が死滅した場合など、各機能と脳を結ぶ導線が遮断されてしまう場合などもあるかもしれません。
さて、病院や施設などでレクリエーションを催される時、寝たきりの高齢者さんは居室でしょうか?
レクリエーションのフロアに、それも職員の近くにおられるでしょうか?
出来ましたら、積極的に参加できる方を遠い位置に、寝たきりの高齢者さんのように受動的に参加される方は職員の周囲へ…。
皆さんで味わうレクリエーションとして満喫したいものです。
寝たきりの高齢者さんが、実際にレクリエーションを体感して感想を述べられることもありませんけど、五感で感じるいろいろが豊かに作用して効果があると信じたいところです。
介護職員さんの熱意と工夫、努力はきっと寝たきりの高齢者さんに届いていることでしょう。
まずは受診をしましょう。
リクライニング式車椅子、もしくはストレッチャーで受診をします。
回るのは1回1医療機関。
寝たきりの高齢者さんの体力が少なく負担が大きいからですよね。
回る診療科目は、
□ 眼科
□ 耳鼻咽喉科
□ 歯科
□ 皮膚科
□ 胃腸科
この辺りでどれも大事な点を点検、確認していきます。
眼科は視野狭窄や目の病気、異常がないかを確認。
そして光などで微弱な反応が出ていただければ次段階のレクリエーション手段の幅が広がりますよね。
耳鼻咽喉科では、耳垢を落とすことと鼻から喉にかけて異物がないか通り道をキープすること。
多少の刺激と痛みがありますが、これも高齢者さんの反応によりレクリエーションのヒントに結びついていきます。
歯科は咀嚼力を伴う方のためと思われがちですが、残存する歯の強度や欠落しそうな部分などの点検を行えます。
さらに口腔全般における刺激方法などの情報も得られますのでレクリエーションのヒントを得られます。
皮膚科は、日頃の介護士さんの発見した皮膚異常の改善と共にアレルギーなどの反応がないかの点検を行えます。
肌で感じるレクリエーションをどこまで、あるいはどのように行ったら良いかの助言をいただくことも出来ます。
胃腸科は、胃カメラは負担も大きいのですが異常の有無を知っておくことも大事です。
仮に嚥下が行えず、胃瘻を造設していたとして、注入頻度などに影響していきますし、注入する食事にも影響が出ることがあります。
まずは受診での確認ありき。
だって、あれこれ楽しんでいただく方向性が、高齢者さんにとって害になってしまっては元も子もないですからね。
ここまでならば、楽しめる…そんなライン引きをお医者様に検査データを踏まえて線引きしていただくことはとても重要です。
その上でですね、五感に働きかける方法…。
« 目 »
□ 陰影の切り替わり
□ 見える物の移り変わり
この辺りを激しくない範囲で切り替えて楽しんでいただくことが出来るのではないでしょうか。
« 耳 »
□ 音楽、リズムなど様々なジャンルを定時的に聞いていただくのはいかがでしょう?
□ 無音の時間を一定時間、設けることで精神的に静寂による安定を得ていただいてはいかがでしょう?
□ 耳かきを定期的に…忘れずに介助させていただきましょう。
□ 音を楽しむ…油で揚げる美味しそうな音から電車の音など様々な音の世界を感じていただくことにも効果が見込めるかもしれません。この辺りはプロフィールなどで高齢者さんの生活歴に沿って提供すると思わぬ効果がある可能性がありますよね。
« 鼻 »
□ 鼻のゴミは定期的に確認して除きます。鼻毛も鼻炎の元になりますので居室の清掃と共に鼻腔の保清を心掛けましょう。
□ 甘い匂い、酸っぱい匂い、香ばしい匂い、様々な匂いを嗅いでいただき、反応を体感いただくことは楽しみにつながる可能性があります。是非、お試しください。
« 口 »
□ 口腔の歯の保清と共に舌や口腔全般の粘膜の状況の確認をするようにしましょう。
□ 一般的にアイスマッサージが採用されることが多いですが、逆にホットも試しましょう。ただし、火傷せずに温かで楽しめる温度に配慮が大切です。
□ 鼻と同じく様々な味を体感いただくことが大事ですが、誤嚥リスクを避けるために水分のトロミ剤の程度に配慮することと水分ゼロで塗布に近い状況で提供することも必要かもしれません。最終的にお食事に影響することもあり、実践後には口腔保清を行い、無味無臭で終えるようにしましょう。
« 触 »
□ 様々な物に触れていただくのも楽しみの1つでしょう。
□ 皮膚異常を起こすことに配慮しつつ、最終的には殺菌保清して終わるようにしましょう。
□ 温冷の温度差は幅を持たせても良いですが、急激に皮膚が温度変化を感じることは避けましょう。
□ 硬柔、様々な角度でいろいろな物に触れていただく機会を持ちましょう。
こうして寝たきりの高齢者さんを対象にしてレクリエーションを考えてみますと、いろいろな発想ができますでしょう?
よりお元気な方が混ざって行う場合には、クイズ形式にして目隠しや耳栓をして、体感いただくと楽しめるかもしれませんね(*^▽^*)
寝たきりの方も楽しませて差し上げたい!
できればわずかなりと回復していただきたい!
そんな思いを介護職員の誰もが抱きます。
でも、日頃のお食事や排泄、お風呂といった介助を、入居者さん全員に提供するとなると、本題のような個別レクリエーションに近い提供と観察は難しいところではないでしょうか…。
とはいえ、あくまで記事は私の思い付き…。
現場の優秀な介護職員の皆様であれば、アレンジして取り組まれるはず…。
そんな思いを込めて記事を作成してみました。
是非、寝たきりの高齢者さんにも楽しみの充実を…(*^▽^*)