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要介護3~5の重度の方のためのレクリエーション。
レクリエーションを楽しむ権利はどなたにもある。
寝たきりで過ごすもどかしさは高齢者ご本人様にしか分かりません。
十羽一絡げにレクリエーションを提供せずに個別に提供してみましょう。
現在の慢性的な人員不足の特養で個別にレクリエーションは難しいですがチャレンジしてみませんか?
食事は食中毒が懸念されるので〇時~〇時の間に…。
あらゆるリスクを考えていきますと、どうしても時間が付いて回る…そんな業務のあり方になります。
お食事で言えば、作る人から後片付けの厨房スタッフのお仕事の都合…。
食事を介助して全員に摂取いただく介護職員のお仕事の都合…。
介助以外にも、現場での準備、食べていただく姿勢やおしぼりやエプロンの準備…。
食べこぼしてしまった後のお掃除…。
いろいろな絡みが存在するものです。
要介護度が重度になるほど、じつはこの時間の縛りがネックになります。
高齢者さんの1人1人で、抱えている障害やご病気が異なりますから、ネックになるのです。
食べる時間、排泄する時間…体内時計の進みはとても個人差があり、異なるものですから。
この辺りを注視して、さらにレクリエーション!となりますと、みんなで一斉にレッツゴー!とはならなくて当然だと思いませんか?
ですから、時間を気にせずにレクリエーションを提供してみよう!というタイトルになったわけです。
全員で一斉に楽しむレクリエーションも出来ないことはないですが、けっこうな負担が高齢者さんご本人は当然ながら、提供する側にも生じてしまうものです。
ここは発想を転換して1人1人が取り組み、成果を目指すレクリエーションを企画してみてはいかがでしょう?
1人1人の高齢者さんに対してアプローチすることを考えますと、50人の高齢者がおられれば50通りのレクリエーションが誕生します。
バラバラにスタートして、50通りのレクリエーションを済ませるなんてことは介護職員さんの頭脳から時間を作る作業、結果を分析することまで、負担はとても大きいものになってしまいます。
何より50通りを考え、経過をリードして把握し、事故リスクゼロで成果を確認することは至難の業です。
もし…50通りを企画して安全に達成する道があれば…実践されますか?
じつは、簡単な解決方法があるのです。
□ ケアプランに盛り込んで整理する
□ ケアマネージャーが評価に臨み、ケアプランを改訂する
この2点がコツの第一歩です。
ケアプランで日課としてレクリエーションを組む時に、個人個人の特性や趣向からレクリエーションを設定します。
どんなレクリエーションを、どのように取り組むのかまで、丁寧にチーム内で決めてしまいます。
あとはケアマネージャーが定期的にレクリエーションの進捗程度を確認して、軌道修正の音頭をとるわけです。
書面化することが第一歩。
参加した実績や完成した作品は、そのままモニタリングとしての成果になります。
あとはケアマネージャーさんの企画力とモニタリング力が重要というところです。
ここで、間違っても現場の介護職員さんにモニタリングを書かせるという手間省きをケアマネージャーさんが選択してはいけません。
ケアマネ―ジャーさんの第三者視点で記録することを重視しましょう。
これを外すと、レクリエーションは確実に寂れてしまい、やれなくなってしまいます。
そう、書く書類が増えて、仕事が増えた!と介護職員さんはなりがちで良質なケアプランから遠くなってしまうわけです。
仕事の押しつけや命令ではなくて、自らが積極的にケアプラン運営に参画することがケアマネージャーには求められています。
コツの第二歩。
時間と内容をケアプランに定めましたら、
□ 全員分をタイムスケジュールで整理した表を作る。
□ 全員分の月間達成表を作る。
□ 作品完成など目に見えるものは撮影して残す。
これで漏れなく時間をかけて高齢者さん全員のレクリエーションが成立します。
最初の準備と流れの把握、結果の整理と分析、全体の流れを把握するととても楽に達成できます。
さて、効果取り…聞き慣れない言葉遣いでしょう。
1章で時間に縛られないようにしよう!という話題。
2章で個別性を大切にしよう!という話題。
そしてここ3章は1つのまとめになるわけですが、効果取りをしよう!という話題です。
障害やご病気が重い方ほど、わずかな時間や労力で、効果を見出せるようにせねばなりません。
起きられる時間、活動できる時間が個別に違うナイーブさがあるからです。
1人ずつに個別レクリエーションを実施できない施設の人員の実状…。
これを加味して、レクリエーションを産み出す効果的なご提案があります。
何日かけてレクリエーションを行っても良いじゃないですか。
数日かけることで、大作が完成することもありますからね。
完成したり、完結することで得られる満足感は、きっと何物にも替え難い喜びがあります。
この喜びを得ることこそが、効果取りです。
言葉を話せない方には、顔のパーツ1つ1つに語り掛けてみましょう。
□ 眉が動かせる
□ 唇を動かせる
□ 血圧が変動する
□ 静かに寝息を立てられる
このような微弱な反応を、バイタルサインチェックの際に拾いながら、記録してみましょう。
関わり方1つで変化をもたらせることも多々あります。
□ 音
□ 匂い
□ 光
あらゆるパターンで刺激を楽しんでいただくのです。
笑っていただける方には、一言の台詞を発声いただくことへ。
お話ができる方には、足底を踏みしめる一歩へ。
失われた機能は緩やかな復権へ。
ご本人様の努力が、少しずつ1日1ミリずつでも進歩するように、お手伝いをレクリエーションの中で企画していきましょう。
まとめ…と言いつつ具体例をば…。
声をかけても、体を揺すっても反応が無い…。
食事だけは口元に匙を近づけると口を開いてくださる…。
食べることだけが残された楽しみとなった寝たきりの高齢者さん…。
そのような方も実際にはおられます。
熱いものは火傷するのでリスクがあるなら、冷たい物や食感のいろいろを提供して記録に残してみましょう。
さしすせそ…。
□ 砂糖
□ 塩
□ 酢
□ しょうゆ
□ ソース
副菜
□ 肉
□ 魚
□ 野菜
□ 穀物
□ 果物
どんな組み合わせで、どんな新しい反応を見せていただけるのだろう?
□ 1日1回の取り組み
□ 2日続けての取り組み
□ 1週間の空白後の取り組み
□ 1ヶ月ぶりの取り組み
□ 1年振りの取り組み
このようなデータから得られる結果もきっとあるのではないでしょうか?
出来ることは無限にあります。
これをケアプランにして、毎日レクリエーションとして、工夫を1つずつ丁寧に楽しんでいただくのです。
再び創造する…レクリエーションの本質にも合致します。
きっと復権されることもそうですが、努力して挑戦するレクリエーションの過程は、高齢者ご本人様の好みの調査に近いかもしれません。
寝たきりの方の好み…分かってくると、介護のお仕事でお世話をすること全体がとても楽しくなります。
簡単にまとめますと、
時間にしばられず数日かけて成果を得ればいいんです!
というお話でした。