雪が降った日こそ~高齢者施設で“思い出”が動き出す雪レク提案~

[ 冬が旬の記事 ]

はじめに…窓の外の雪を「今日のイベント」に変える話

雪が降ると、街はちょっと静かになります。車の音も、人の足音も、フワッと吸い込まれていく感じ。そんな日に施設の窓から外を見ると、白い世界がゆっくり出来あがっていく。……なのに現場では、だいたいこうなります。「寒いから外はムリ」「転びそう」「濡れる」「忙しい」。そして、雪は“眺めるだけで終わる景色”になりがちです。

でも、雪って本当は、ものすごく強い「思い出のスイッチ」なんですよね。子どもの頃の雪合戦、通学路の長靴、家の前の雪かき、ストーブの前で手をあぶった記憶。子育てをしていた頃なら、子どもに手袋をはめて、雪だるまを作って、帰ったら靴下がビショビショで「あらまぁ!」って笑った日もあったはず。雪は、暮らしそのものにくっついている記憶を、勝手に引っぱり出してきます。

ところが施設に入ると、その「雪に触れる当たり前」が、いきなりゼロになりやすい。ここが、とてももったいないんです。雪は、外に出なくても、上手に扱えば、会話を引き出して、表情を柔らかくして、五感をチョコンと起こしてくれる“天然のレクリエーション素材”になります。しかも、季節が勝手に用意してくれるので、準備物が少なくて済む。現場向きです。

この提案記事は、「外に出られないから無理」で終わらせずに、施設の中で安全に、楽しく、懐かしく雪を活かすためのアイデアをまとめたものです。テーマは大きく分けて3つ。雪を“眺める”を行事に変えること。雪を“語る”で談話を弾ませること。そして、雪を“少しだけ触れる”で五感を刺激すること。どれも難しい技は要りません。必要なのは、ちょっとした段取りと、ほんの少しの遊び心です。

さぁ、雪の日を「ただ寒い日」から「今日は雪の日だから、面白い日」に変えていきましょう。窓の外で溶ける前に、思い出の方を先に溶かして、場を温める作戦です。

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第1章…雪は無料のタイムマシン~思い出が自然にほどける~

雪が降ると、何故か人は昔の話をしやすくなります。これは「気のせい」じゃなくて、ちゃんと理由があります。雪って、暮らしの中の“手触り”が濃いんです。冷たさ、しんとした音、白い明るさ、手袋のゴワゴワ、長靴の重さ、吐く息の白さ。こういう体の感覚は、頭の中の古い引き出しをスルッと開けやすい。だから雪は、施設の中でも「思い出の扉」を開ける鍵になりやすいんですね。

例えば窓の外に雪が舞っているだけで、「昔は雪が積もると学校が休みでね」「いや、休みじゃなくて“遅れて行け”だったよ」「雪かきが大変でさぁ、父ちゃんが朝から怒ってた」みたいな会話が、勝手に始まります。ここ、実は凄い大事なポイントです。レクリエーションって、スタッフが頑張って盛り上げるほど、参加する人が“お客さん”になってしまうことがあります。でも雪は、本人の中から話が出てくる。これが強い。会話が自然で、表情がその人らしくなるんです。

しかも雪の話題は、記憶の種類が豊富です。「遊び」「家のしごと」「恋バナ」「食べ物」「服装」「道具」「家族」まで、ぜんぶ雪にくっついています。雪合戦や雪だるまはもちろん、雪だるまを作ろうとして途中で倒れて「首が取れた!」と大騒ぎした話、ストーブの前で靴下を乾かして焦がした話、こたつから出たくなくて宿題が遅れた話。笑える話が山ほど眠っています。雪は“懐かしい”だけでなく、“面白い”も一緒に連れて来るんです。

雪の話が出やすい「問い掛け」は正解が無いものが最強

雪の日に場を温めるなら、質問は難しくしない方が勝ちです。大事なのは、答えに正解がないこと。つまり「その人の物語が出る質問」にすることです。

「子どもの頃、雪の日の遊びは何でした?」「雪が降ると家で誰が何をしていました?」「雪の日のご飯って何が浮かびます?」「雪の日の通学、どんな靴でした?」こういう問いは、思い出の映像を引っ張り出しやすい。ここでスタッフがやることは、凄い技じゃなくて、相槌と追加の一言です。「それ、良いですね」「その頃の手袋ってどんな感じでした?」「雪だるま、誰が一番上手でした?」みたいに、話の“細部”を優しく聞くと、物語が立体になります。

面白いのは、雪の話って、勝手に“役割”が生まれるところです。「雪かき班長」「雪だるま職人」「長靴評論家」「ストーブ番」みたいに、冗談っぽい称号が付けられる。これが施設の談話室では、絶妙にウケます。「〇〇さん、雪かき班長だったんですか!今も指示、的確そうですねぇ」なんて言うと、照れ笑いが出たりします。照れ笑いは、場の空気を柔らかくする魔法です。

思い出は“個人”から“皆の笑い”へ育つ

さらに雪の話は、個人の記憶が、皆の共通体験に変わりやすいのも良いところです。「分かる分かる」「うちもそうだった」「あの長靴、重かったよね」って、自然に相槌が入って、談話が弾む。気づくと、普段あまり会話がない方が、ポツンと一言参加してくれることもあります。「私はね、雪が降ると外が明るくて好きだった」みたいな短い言葉でも、場がフッと温かくなるんです。

ここでちょっとだけ現場あるあるを言うと、雪の日って忙しいのに、なぜか“静かな時間”も生まれやすいんですよね。外出が減る分、落ち着く瞬間がある。そこに雪の談話を差し込むと、スタッフ側も「今日は良い時間だったな」と感じやすい。やることが増えるというより、いつもの時間に“意味”が足されるイメージです。

雪が降ったら、まずは窓の外を一緒に見て、一言だけ添えてみてください。「今日の雪、綺麗ですね。昔の雪、どんなでした?」たったそれだけで、雪は景色から“タイムマシン”に変わります。次の章では、この「眺める雪」を、ちゃんとイベントにしてしまう“雪見カフェ作戦”を、現場で回しやすい形にして紹介していきます。


第2章…外に出なくても出来る~雪見カフェと語りの場作り~

雪の日に「よし、外で雪遊びだ!」と勢いよく言えたら最高なんですが、現場はそう甘くないですよね。寒さ、転倒、衣類の濡れ、付き添い人数、車椅子の導線、玄関の段差、そして何より“今日の人員配置”。雪はロマンなのに、予定表は現実です。だから第2章は、最初から潔くいきます。外へ出ない。代わりに、雪を「室内イベント」にしてしまう。これが一番、現場で成功します。

ポイントは、ただ窓から眺めるのではなく、雪を“理由”にして、談話の場を自然に立ち上げることです。名付けて「雪見カフェ」。難しいことはしません。やることは3つだけ。集まる場所を決める、温かい物を用意する、そして一言の合図を出す。それだけで、雪の日は行事になります。

雪見カフェは「飲み物」より「ひと言」で完成する

まず場所。窓際がベストですが、窓が小さいならテレビ前でも大丈夫です。大事なのは、参加者が同じ方向を見られること。人は同じ景色を見ると、自然に同じ話題を共有しやすくなります。そこにスタッフが、サラッと言います。「本日、雪見カフェ開店です」。たったこれだけで場の空気が変わります。いつものお茶が、突然“イベントドリンク”になります。ネーミングって、ほんとに偉い。

飲み物は、ココアでも、甘酒でも、生姜湯でも、温かいお茶でも。嚥下や好みに合わせて、いつもの範囲で良いんです。ここで大切なのは、豪華さじゃなくて“季節の感じ”。湯気が立つだけで、雪との対比で「あったかいねぇ」が出ます。雪の日って、会話が自然に「温かい」「冷たい」に寄り添ってくれるので、場がほぐれやすいんです。

さらに一工夫するなら、「香り」を足すのが強いです。みかん、ゆず、シナモン、ほうじ茶、ココア。香りは記憶と直結しやすいので、回想のスイッチになります。「昔、こたつでみかん食べたね」「ゆず湯を思い出すなぁ」って、雪の話題が“冬の暮らし”へ広がります。

会話が弾む“雪の司会”は上手くやらなくて良い

雪見カフェの司会は、上手に回す必要がありません。むしろ「上手にやろう」とすると、質問攻めになってしまって、話す側が疲れます。おすすめは、会話を転がす“ひと言カード”を持っておくことです。カードと言っても頭の中で十分な話。例えば、「雪の日の通学」「雪の日のご飯」「雪かき」「雪遊び」「雪の失敗談」。この中から1つだけ投げて、後は相槌で流れを作る。

面白いのは、雪の話題って必ず“ツッコミどころ”が出るところです。「昔の長靴は重かった」「うちの父ちゃんは雪かきで筋トレしてた」「雪だるまの顔が怖くて近所の子が泣いた」みたいに、自然に笑いがどころが入ります。ここでスタッフが「それ、今ならホラー映画ですよ!」と軽く返すと、談話室は小さな舞台になります。高齢者の語りは、基本的に“オチ”が強い人が多いので、聞いている側も楽しいんです。

もし会話が止まったら、景色に戻れば大丈夫です。「雪、けっこう積もってきましたね」「あの木のところ、白くなってきましたね」。景色は沈黙を救ってくれます。無理に盛り上げなくても、雪が勝手に演出してくれる。これが雪の日イベントの良いところです。

“見るだけ”にしない小さな演出でイベント感が跳ね上がる

外に出ない代わりに、室内で「手の中の冬」を作ると満足感が上がります。例えば、窓際に小さな飾りを置く。折り紙の雪の結晶でもいいし、白い紙を切って作った結晶でも良い。工作までしなくても、「今日だけテーブルに雪の結晶を置きました」で十分です。見る景色と、目の前の飾りが繋がると、場がグッと“行事っぽく”なります。

もう1つ、地味に効くのが「写真」です。窓の外だけを撮って、談話室の掲示板に貼る。そこに「雪見カフェ開催」と一言添える。これだけで、参加できなかった方にも話題が広がります。「今日は雪だったのね」「カフェやったの?」と、翌日の会話の種になります。雪の日を1日で終わらせず、翌日以降にも延長できるし、次回以降はさらに深まるんです。

雪の日は“冷え”が敵、だから室内イベントが向いている

ここで現場目線の大事な話もしておきます。雪の日は、室内でも冷えやすいです。窓際は特に冷えます。だからこそ、外に出ずにイベントにするなら、座る位置や膝掛け、足元の温かさに気を配るだけで、安心感が全然違います。雪見カフェは、心を温めるイベントですが、体もちゃんと温めて成立します。ここを押さえると「またやろう」が出やすくなります。

雪見カフェの良さは、準備が少ないのに、談話が自然に弾んで、参加者の表情が緩むところです。そして、ここまでが第2章の結論です。雪は“外で遊べない日”じゃなくて、“室内で語りが育つ日”。雪の日は、談話室が一番輝きます。

次の第3章では、さらに一歩進めて、「触れる雪」を安全に取り入れて、五感をちょこんと起こす方法を紹介します。外へ出るのではなく、雪を少しだけ“連れてくる”作戦です。これがまた、雪の日の会話の火力を爆上げするんですよ。


第3章…触れる雪で五感スイッチ~短時間・少量・安全のコツ~

雪見カフェで場が温まってきたら、次の一手は「雪に触れる」です。ここで急に外に出る必要はありません。むしろ外へ出ると、雪はロマンから一気に現実になって“業務”になります。上着、手袋、転倒、帰った後の乾燥、そして玄関がビシャビシャ問題。雪が降った日は、玄関が小さな湖になりがちです。なので第3章は、雪を「連れてくる」。これでいきましょう。

触れる雪は、五感のスイッチになります。目で見るだけの雪は「風景」ですが、触れた瞬間に「体験」へ変わります。冷たさ、フワッとした軽さ、ギュッと握ると固くなる感じ。そういう感覚が出ると、思い出話も一段ギアが上がります。「そうそう、こういう冷たさだった」「素手で握って怒られた」「手袋の中が濡れると最悪だった」って、話がどんどん“暮らし”に戻ってくるんです。

雪を連れてくる時のコツは「少量・新しい・清潔」

まず大前提として、雪は食べ物ではありません。触って楽しむものです。口に入れない。ここを最初に決めておくと、現場の注意力の向きと安心感が段違いです。

持ち込む雪は少量で十分です。両手で抱える必要はありません。むしろ少量が正解です。スタッフが外で「新しく降った雪」を、清潔な容器にほんの少しだけ入れて持ち込みます。地面に触れた雪や、既に溶けて泥っぽい雪は避ける。これだけでも、衛生面の不安がグッと下がります。

室内では、テーブルの上にタオルを敷き、その上に容器を置きます。触る時は手袋や軍手でも良いですし、素手で少しだけ触っても構いませんが、その場合は「数十秒で切り上げて、温かいおしぼりへ」の流れを作るのが安心です。雪は冷たいので、長時間は要りません。短いほど良い。短い体験ほど「もっと触りたい」が出て、次に繋がります。

触れる遊びは“卓上サイズ”が一番盛り上がる

触れる体験は、大掛かりにしなくて良いんです。卓上サイズで十分に楽しい。むしろ卓上サイズが、会話が出やすいです。

例えば、ほんの小さな雪玉を作って「ミニ雪だるま」を作ります。大きい雪だるまは体力が要りますが、ミニなら指先で完結します。雪玉を2つ重ねるだけで完成です。ここで誰かが「目はどうする?」と言い出したら勝ちです。紙を小さく千切って目にする人、豆粒を想像する人、人生経験が表に出ます。スタッフが「顔がついた瞬間、人格が出ましたね」と言うと、笑いも出ます。

もう少し“見て楽しい”方向なら、透明な容器に雪を入れて、上からそっと触ってもらうだけでも十分です。雪の粒が指で押されて沈む感じ、パリッと固まる感じが見えるので、「おぉ」と声が出ます。ここに「雪は握ると固くなるんですよ」とひと言添えると、雪の性質が“体験の学び”になります。学びと言っても授業じゃなく、遊びの中の豆知識です。これがまた気持ち良いんです。

さらに、雪の音に注目する遊びもあります。雪を指でちょんちょんと触って、静かな部屋で「音がするかな?」と耳を澄ます。聞こえるかどうかは二の次で、「静かな雪の日の音」を一緒に楽しむ時間になります。雪って、触るだけじゃなく“場の空気”まで変えるので、ここが面白いところです。あ、握りまくると本当にキュッと音もなりますけどね。

安全は「禁止」ではなく「段取り」で守ると空気が固くならない

雪を持ち込む時に一番怖いのは、空気が“注意だらけ”になってしまうことです。「危ないからダメ」「汚いからダメ」「冷たいからダメ」と言い始めると、雪が一気に“説教素材”になります。雪は悪くないのに、雪がしょんぼりします。なので、安全は段取りで守るのがコツです。

例えば、触る前にスタッフが明るく宣言します。「今日は雪を“ちょっとだけ用意しました”と触れます。短い時間で、触ったら温かいおしぼりで手をぬくぬくにします」。これだけで、参加者も安心します。触る時間を短くする、見守りを厚くする、口に入れない距離感を作る、床に雪が落ちたらすぐ拭けるようにタオルを用意しておく。こういう段取りは、言葉で強く縛らなくても自然に守れます。

それでも「私は冷たいのは苦手」と言う方もいます。もちろん無理は不要です。その場合は“見る担当”になってもらうのが最高です。「監督お願いします。雪だるまの出来を採点してください」。これ、地味に盛り上がります。参加できない人が“役割を持つ”と、場から置いていかれません。雪レクの目的は、全員が同じことをすることじゃなく、全員が同じ時間を楽しむことです。

雪を触った後が本番!~思い出話が「急速に増える」~

面白いのは、雪って触った直後に話が増えることです。見るだけだと「綺麗だね」で終わりがちですが、触ると体が思い出を呼びます。「昔は手袋が毛糸でね」「濡れると凍ってカチカチ」「長靴の中が冷たくて泣きそう」みたいに、細部の話が出ます。細部が出ると、話は一気に“その人の物語”になります。

スタッフはここで、質問を増やし過ぎないのがコツです。出てきた話を大事に拾う。「それ、今の子に言ったら誰も信じませんよ」「当時の雪かきは筋トレですね」「長靴の中が冷たいのは、冬あるあるの王様です」。こんなふうに軽く返すと、笑いが出て、次の話が続きます。雪は冷たいのに、談話室は温かい。矛盾してるようで、これが雪の日の良さです。

次の第4章では、この雪の日の良い時間を「その日限り」で終わらせずに、施設の中に“宝物”として残す方法を紹介します。雪は溶けます。でも、会話は残せます。残せる形にすると、次の雪の日がもっと楽しみになりますよ。


第4章…雪の日を“現場の宝物”にする~記録と家族に繋ぐ一手~

雪の日のレクリエーションって、やっている最中は凄く良い空気なのに、翌日にはスッと現物の雪と共に消えてしまいがちです。雪は溶けるし、忙しさは戻るし、「昨日、何が良かったっけ?」が流れていく。ここが惜しいんです。だから第4章は、雪の日の良い時間を“その日限りの思い出”で終わらせず、施設の中にちゃんと残していくという話です。大袈裟な記録じゃなくていい。むしろ「小さく、軽く、続く形」にします。

雪の日の会話は「言葉のアルバム」にすると強い

雪の日に出てくる話って、何故か名言が混ざります。しかも本人は名言だと思っていません。サラッと言うんです。
「雪は嫌いだけど、雪の日の静けさは好きだ」
「手袋は片方なくすまでが冬」
「雪かきは早朝のスポーツ」
……こういう、クスッと笑える言葉や、胸がじんわりする言葉が出たら、その場で1つだけメモします。たった1つで良いんです。欲張って10個書こうとすると続きません。雪はフワフワですが、現場はガチガチに忙しいので、ここは短くいきましょう。

メモした言葉は、談話室の掲示板に「本日の雪言葉」とでも題して貼ります。すると参加できなかった方が通りがかりに見て、「誰が言った言葉なの?」と人を巻き込んだ話題になります。雪の日が翌日にも入居者さんの間で“延長戦”の始まりになるんです。簡単に消せるホワイトボードで書くと微修正から追加までラクチンですよね。毎日のご飯メニューしか書かないホワイトボードは勿体ないです。

そしてこの「延長戦」は地味に大きい。レクリエーションは、その場の盛り上がりだけじゃなく、施設の中で会話が増えること自体が大きな価値になります。雪が降るのは年に何回もないかもしれませんが、貼り紙は残ります。雪が去っても、話は残る。これが“宝物化”です。もちろん、雪も降らず温かい日が続くのに掲載し続けるのも愚かなことです。適切な頃に次の話題に内容を譲るのも大事なことです。

写真は「窓の外だけ」でも十分に続ける思い出の伴うイベントになる

残す写真も同じです。人物を撮らなくても大丈夫。窓の外の雪景色だけでも十分です。
「雪見カフェ開催」
「ミニ雪だるま誕生」
みたいに一言添えて掲示すると、「昨日は雪だったんだね」「やったんだね」と、自然に話が回ります。

もちろん施設ごとのルールは最優先です。顔出しや個人が特定される写り込みは避ける。ここさえ守れば、雪の写真は“安全で強い季節の素材”になります。しかも雪景色は、文章だけでは出せない空気感を伝えてくれます。見る側の心の中に「冬の思い出」を呼びやすいんですね。

家族に伝えると、雪の日が“面会の話題”になる

さらにおすすめなのが、家族へのひと言です。連絡帳でも、面会時でも、電話でもいい。内容は短くて良いんです。
「今日は雪が降ったので、窓辺で雪見カフェをしました。昔の雪の話で盛り上がりましたよ」
これだけで、家族は話題を持って面会に来られます。「どんな話をしたの?」「昔の雪ってどんなだった?」と、質問が生まれる。面会の会話は、準備がないと天気と体調で終わりがちです。そこに雪の日の話題が入ると、会話が一段深くなります。

面会って、本人と家族の時間であると同時に、スタッフにとっても“関係がほどける時間”になります。家族が笑うと、本人も笑いやすい。本人が笑うと、スタッフの安心も増える。雪の日の小さな工夫が、関係作りの助けになるんです。

ここでちょっとユーモアを足すなら、家族へのひと言に「本日の称号」を添えるのも楽しいです。
「本日の雪かき班長:〇〇さん(想像の中で腕まくり)」
みたいに書くと、家族がフフッと笑ってくれます。もちろん、実際に行動してもらうわけじゃありません。ネタが産む笑いは、ケアの空気から家族の笑顔まで柔らかくしてくれます。

雪の日レクは「個別ケアのヒント」を拾える日でもある

雪の日の語りや触れる体験は、実は“その人らしさ”が出やすい時間でもあります。触りたい人、見ていたい人、語りたい人、黙って聞いていたい人。反応はそれぞれです。ここで大事なのは、「参加の形は1つじゃない」と確認できること。次のレクリエーションにも活かせます。

例えば、雪を触るのは嫌だ、苦手だけど、会話には参加した方。次は“監督役”が合うかもしれません。雪の話はしないけど、窓の外を見て表情が柔らかくなった方。次は窓辺の席が合うかもしれません。こういう小さな気付きは、忙しい日常では拾いにくい。雪の日は、自然が“観察の舞台”を作ってくれる日でもあるんです。

そして、この気付きも、長い記録にしなくていい。「雪の日、窓辺で表情良い」「雪だるま監督役で笑顔」みたいに思い出しやすい比喩も入れて短く残すだけで、次の担当者も助けることになります。現場はリレーです。バトンが軽いほど、受け取りやすいんです。何よりユニークな記録で意味が分かるほど価値が高いでしょう?先の例文だと記録を覗いた皆がイメージを一生懸命に想像する。ここに最大の価値を見出せるとも思いませんか?

「次の雪の日の合図」を決めておくと毎回うまく回る

最後に、宝物化の仕上げです。雪の日が来たら何をするかを、チームの中で1つだけ決めておきます。決めるのは難しいことじゃなくていい。
「雪が降ったら雪見カフェ」
これを合言葉にするだけで、次の雪の日は迷いません。迷わないということは、慣れて単純に実行できるということです。実行できると、続きます。続くと、施設の文化になります。

雪は、毎日降るわけじゃありません。だからこそ、降った日が“特別な日”になります。特別な日を、ただ通り過ぎるのか、思い出の扉として開くのか。雪の日の良い時間を、小さく残して、家族にも繋いで、次の雪の日の合図まで用意しておく。これで雪は、景色ではなく、現場の宝物になります。

次はいよいよ「まとめ」です。雪は溶けるけれど、会話は残る。その着地を、気持ちよく、ちょっと笑える形で締めましょう。

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まとめ…雪は溶けても会話は残る~次の雪の日が楽しみになる~

雪の日って、現場からすると「寒い」「滑る」「濡れる」「予定が狂う」と、正直なところ厄介な面もあります。雪はフワフワしているのに、仕事はフワフワしてくれない。むしろガチガチに忙しい。だからこそ、雪を「外に出られない残念な日」として片付けてしまいがちです。

でも、ここまで読んでくださったあなたなら、もう気づいているはずです。雪は、ただの天気じゃありません。雪は“思い出の扉”を開ける材料です。窓の外の白い景色は、昔の暮らしを連れてきます。雪見カフェのひと言で場が行事になり、正解のない問いかけで語りがほどけ、卓上の少しの雪で五感が動き、笑いが生まれます。そしてその笑いは、「今日ここにいる自分は、まだ楽しい時間を作れる」という小さな自信に繋がります。

大掛かりなレクリエーションが出来なくても大丈夫です。むしろ雪の日は、派手なことをしない方が成功しやすい。見る、語る、少し触る。この3つを、短時間で、優しく、楽しく。現場の負担を増やすのではなく、いつもの時間に“季節の意味”を足していく感じです。

そして一番大切なのは、雪の日の良い時間を、その場だけで終わらせないことでしたね。「本日の雪言葉」を1つ残す。窓の外の写真を1枚貼る。家族にひと言伝える。次の雪の日の合言葉を決めておく。これだけで、雪は“たまたま降った日”から、“施設の中で育つ文化”になります。

最後に、雪の日の合図を1つ置いて終わりましょう。雪が降ったら、誰かが言います。「本日、雪見カフェ開店です」。この一言で、窓の外の雪は、ただの景色ではなくなります。思い出がほどけ、談話が弾み、手が少し冷たくなって、最後におしぼりでぬくぬくして、「今日、楽しかったね」で締める。雪は溶けちゃいます。でも、その日の会話は、意外と長く残るものです。

次の雪の日、あなたの施設の窓辺に、小さな“思い出の扉”が開きますように。雪だるまは卓上サイズで十分です。大きいのはフロアから見える外に置いておきましょう。溶けるのも早いので。…ええ、雪と同じで、私たちも「無理すると溶けちゃいます」からね。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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