大寒のレクリエーション特集!高齢者施設で楽しむ冬のあったかゲーム&簡単クッキング
目次
はじめに…大寒の寒さを“遊び時間”に変えてみよう
1月下旬、1年の内で一番空気がキリッと冷え込む時期が「大寒」です。外は風が冷たくて雪混じり、窓の外を眺めるだけで肩が竦んでしまうような日も多くなりますよね。そんな季節こそ、高齢者施設や病院、デイサービスの中では「寒さに負けない時間作り」がとても大切になってきます。
寒い時期はどうしても活動量が落ちてしまいがちです。ベッドやこたつ、ソファで過ごす時間が長くなると、筋力やバランス力が少しずつ落ちて、転倒のリスクや体調不良に繋がることもあります。また、外に出る機会が減ることで、人との会話が少なくなり、気持ちまで冷えこんでしまう方も少なくありません。だからこそ、室内で楽しめて、体と心の両方を温めてくれる企画が、冬のケアには欠かせないのです。
大寒は、ただ「寒い時期」というだけでなく、昔から暮らしの知恵や願い事がたくさん詰まった季節でもあります。ふきのとうが顔を出し始める話、冷たい「寒の水」のおいしさ、栄養たっぷりの卵を大事に食べてきた風習、体の芯から温まる甘酒の習慣。さらに、若い頃に挑戦した寒稽古や、テレビで見た寒中水泳の思い出など、話題のタネはいくつも転がっています。こうした昔ながらの知恵や行事を、今の高齢者さんの暮らしに合わせて「無理なく」「安全に」「ちょっと楽しく」アレンジしてあげることが、企画作りのポイントになります。
この記事では、「大寒」という季節ならではのテーマを入り口にして、体操や座談会、簡単なゲーム、クッキングなど、様々な形のレクリエーションに発展させていく流れをご紹介していきます。難しい準備はなるべく減らしつつも、「季節を感じる」「よく笑う」「少し頑張る」「終わった後に達成感が残る」といった要素をしっかりと盛り込んでいきますので、通所系の事業所でも、入所系の施設でも、そのまま企画書に書き起こしやすい内容になっていると思います。
また、大寒をテーマにした時間作りは、その日だけのお楽しみで終わらせるのではなく、「日々の機能訓練」や「ご家庭での暮らし」にも繋がる工夫を入れておくと、職員側のやりがいもグッと高まります。例えば、水やタオル、卵といった身近な物を使って、手首や指先を使う動き、姿勢を保つ動き、仲間と協力する体験をさりげなく盛り込むことで、「楽しく遊んでいるつもりが、気がつけばしっかり運動になっていた」という時間に変えていくことが出来ます。
大寒の厳しい寒さは、高齢者さんにとって決して楽な季節ではありませんが、施設の中の一時を少し工夫するだけで、「寒いね」と肩を竦めるだけの日から、「今日はこんなことをしたよ」と誰かに話したくなる1日に変わっていきます。これから続く各章では、昔の暮らしの話から始めて、体操、ゲーム、クッキングや外出企画まで、段階を追ってご紹介していきますので、自分の事業所の雰囲気や利用者さんの状態に合わせて、取り入れやすいところから是非、試してみてくださいね。
[広告]第1章…大寒ってどんな日?冬の暮らしと昔ながらの知恵を紐解く
大寒は、二十四節気の中でも「1年で一番寒さが厳しい」と言われる時期です。暦の上ではだいたい1月20日頃から始まり、立春の前日まで続きます。ちょうど雪や冷たい雨が多く、朝になると水溜まりがカチカチに凍っていたり、外に出るだけで鼻の奥がツンと痛くなるような、あの冬のピークの頃だとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
昔の人たちは、この厳しい寒さをただ我慢するのではなく、「自然が一番引き締まる時期」と考えて、暮らしの中に様々な工夫を取り入れてきました。寒さに負けない体作りを意識したり、厳しい環境の中でグッと美味しくなる食材を大事に食べたり、家族で温もりを分け合ったりと、心も体も温める知恵がギュッと詰まった季節なのです。
大寒にまつわる代表的なキーワードとして、ふきのとう、寒の水、卵、甘酒などがあります。ふきのとうは、まだ雪が残るような土の中から顔を出す春の使者です。「こんな寒いのに、もう春の準備が始まっているんだ」と感じさせてくれる、小さな希望の印とも言えます。寒の水は、大寒の時期に汲み上げた水のことで、「1年の内で一番澄んでいて美味しい」とされてきました。古くから味噌作りやお酒作りに使われ、「この時期の水で仕込むと長持ちする」と信じられてきた地域もあります。
卵は、今では年中手に入る身近な食材ですが、昔は「滋養のある特別なご馳走」として扱われていました。大寒の日に産まれた卵は「大寒卵」と呼ばれ、縁起が良い、病気に負けない体になる、商売や勉強の運が良くなる、そんな言い伝えが各地に残っています。高齢者さんの中には、「子どもの頃、お正月や特別な日にやっと卵が1個もらえた」という思い出をお持ちの方も少なくありません。そんな昔話を切っ掛けに座談会を開くと、自然と笑顔が生まれてきます。
甘酒も、大寒の話題には欠かせません。麹で作る甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養が豊富で、冷えた体を内側から温めてくれます。雪の降る夜、囲炉裏やこたつの傍で、家族みんなで湯気の立つ甘酒をすする光景を思い出される方もいるでしょう。お酒が苦手な方でも、アルコールの入っていないタイプなら安心して楽しめますし、施設のレクとして少量の甘酒を味わう時間を作るだけでも、冬ならではの「ゆっくりとした幸せな一時」になります。
一方で、寒中水泳や寒稽古のように、「寒さに敢えて立ち向かう行事」も大寒にはよく登場します。川や海に飛び込む寒中水泳、薄着で汗を流す寒稽古は、高齢者さんご本人が実際に行うのはとても難しいですが、若い頃に武道やスポーツをされていた方なら、「昔は寒い道場で素足のまま練習したよ」といったエピソードを話してくださるかもしれません。写真や動画を見ながら、「今やったら絶対風邪を引いちゃうね」と笑い合うだけでも、立派なコミュニケーションの時間になります。
このように、大寒は「ただ冷えるだけの日」ではなく、暮らしの知恵、食べ物、行事、思い出がいくつも重なった季節です。レクリエーションを考える時は、このキーワードたちを小さなヒントとして拾い集めて、無理のない形にアレンジしていくことがポイントになります。ふきのとうから「春を探すゲーム」に発展させたり、寒の水から「水を大事に使う遊び」へ繋げたり、大寒卵や甘酒から「体がポカポカになるメニュー」を考えたりと、工夫次第でいろいろな企画に広げることが出来るのです。
次の章からは、この大寒のイメージをそのまま使いながらも、高齢者さんの体力や健康状態に配慮した、具体的なレクリエーションの形へと落とし込んでいきます。体操やおしゃべり、ゲームや簡単クッキングを組み合わせて、「あぁ、今は大寒なんだね」と季節を感じてもらえる時間作りを一緒に考えていきましょう。
第2章…体操とおしゃべりでポカポカに!大寒らしい季節感レクの作り方
大寒のレクリエーションを考える時、いきなりゲームから始めるよりも、「体をゆっくり温める時間」と「思い出を語り合う時間」をセットで用意してあげると、高齢者さんにとって参加しやすく、満足感も高くなります。寒さがつらい季節だからこそ、まずは血行を促すやさしい体操で体をほぐし、その後におしゃべりで心をほぐしていく流れを意識してみましょう。
最初のポイントは、きつい運動ではなく「じんわり温まる体操」にすることです。例えば大寒らしさをイメージして、「乾布摩擦ごっこ体操」のような発想はいかがでしょうか。本物の乾布摩擦はお肌を傷めてしまう心配がありますが、服の上から柔らかいタオルで軽くさする動きを取り入れれば、安全に雰囲気だけ楽しむことが出来ます。椅子に座ったままで、肩や首の辺りをタオルで軽くなでるように動かす、胸からお腹に向かって前側をなでる、腰や太腿をさする動きを追加する、というように、上半身を中心にした一連の流れを作ると、短時間でも体がポカポカしてきます。タオルを両手で持ち、左右にゆっくり引っ張るストレッチも加えると、肩周りの可動域を広げる体操にもなります。
この時に忘れたくないのが、お肌と体調への配慮です。タオルはゴシゴシこするのではなく、「なでる」「包む」くらいの力加減に留めて、必ず服の上から動かすことを職員側でしっかり声掛けしておきましょう。乾燥している冬場は、強い摩擦が続くと痒みや赤みに繋がることがあります。また、血圧が高めの方や心臓に不安がある方は、急に大きく動かさず、首を回す時もゆっくり、小さな動きから始めていただくと安心です。体操の前後に「今、どこが温かくなりましたか?」「息苦しくないですか?」と一言ずつ確認するだけでも、参加される方の安心感はグッと高まります。
体操で体がほぐれてきたところで、次は「季節を語るおしゃべりタイム」に移行します。大寒は、暖房器具や冬の暮らしの工夫を思い出していただくのにぴったりのテーマです。ホワイトボードに大きく「暖をとる工夫」と書き、「子どもの頃、家ではどうやって寒さを凌いでいましたか?」と尋ねると、湯たんぽ、火鉢、こたつ、卓袱台、湯気のたつ鍋料理など、世代ならではの具体的な話が次々と出てきます。今は見かけなくなった道具の名前が飛び出すこともあり、「うちにもあったよ」「それは使ったことがないなあ」と、利用者さん同士の会話が自然に広がっていきます。
この座談会を、単なる雑談で終わらせず「形に残る時間」にしておくと、後から振り返った時にも価値が生まれます。職員がホワイトボードの内容を控えておき、後でまとめてA4用紙1枚のプリントにしてお渡しする方法がおすすめです。「皆さんと一緒に思い出した『大寒のあったかアイデア集』です」とタイトルをつけて配布すれば、その紙自体がお土産になりますし、ご家族と一緒に読んで昔話を続けてもらう切っ掛けにもなります。ご自宅で実際に試してみたことがあれば、次回の通所日に教えてもらう、という流れを作ることも出来るでしょう。
体操と座談会を組み合わせた1コマの流れとしては、例えば「体を温めるタオル体操を20分」「冬の暮らしを語る座談会を30分」「最後に今日の感想を共有する時間を10分」というように、合計60分程度にまとめると、無理なく集中力を保ちやすくなります。最初にしっかり動いて体を温めておくことで、おしゃべりの時間に眠くなり難くなりますし、逆に座談会で笑っていただいた後に、仕上げのストレッチを入れるパターンも考えられます。事業所のタイムスケジュールや利用者さんの体力に合わせて、配分は自由に調整してみてください。
この2章でご紹介した「ポカポカ体操」と「季節のおしゃべり」は、準備する道具も少なく、天候に左右されない大寒レクリエーションの土台になります。次の3章では、ここで温まった体と心を生かしながら、水や卵といった大寒のキーワードを使ったシンプルなゲームに発展させていくアイデアをご紹介していきます。
第3章…水と卵でドキドキゲーム!安全に楽しむ大寒レクリエーションの工夫
体操とおしゃべりで体と心が少し温まってきたら、次は「手先と集中力を使うゲーム」の出番です。大寒らしさを意識しつつ、高齢者さんの体力やお肌の状態に配慮したゲームにしていくポイントは、「身近なものを使うこと」と「食べ物を大切に扱うこと」、そして「安全第一でゆっくり進行すること」です。この章では、水や卵という大寒のキーワードを上手く取り入れたゲームを、企画書に落とし込みやすい形でご紹介していきます。
まずイメージしやすいのが、殻付き茹で卵を使ったスプーンリレーです。生卵を使うと落とした時に大惨事になってしまいますが、固茹でにしておけば万が一落としても、軽くヒビが入る程度で済みますし、衛生面の心配もグッと減ります。参加者には、少し柄の長いスプーンを1本ずつ持ってもらい、殻付き茹で卵をそっと乗せて、決められたコースを歩いてもらいます。コースは、転倒を防ぐために直線で短めに設定し、足元に目印となるテープを貼っておくと歩きやすくなります。立位が難しい方には、車椅子や椅子に座ったまま、テーブルの上で左右にスライドさせるだけの「座ったままバージョン」にアレンジすることも可能です。
ゲームのルールは、シンプルな方が高齢者さんには分かりやすく、参加へのハードルも下がります。「卵を落とさないように、ゆっくりで良いので次の人まで運びましょう」「落としてしまったら、その場で10秒数えてから再スタートしましょう」といった具合に、失敗しても笑ってやり直せる程度のペナルティーにしておくと、会場全体が温かい雰囲気に包まれます。ゴールした後の卵は、汚れていなければ殻を剥いて、後ほどスタッフ側で料理に使うか、衛生状態を見て廃棄するかを判断します。「ゲームで使った卵を無駄にしないように、大事に扱いましょうね」と最初にひと言添えておくだけでも、参加者の表情はグッと真剣味を帯びてきます。
水をテーマにしたゲームとしては、洗面器とタオルを使った「水リレー」があります。床が濡れると転倒の危険があるため、事前にビニールシートやタオルを敷き詰め、転びやすい場所にはスタッフが立つなど、安全対策を十分にしてから始めることが大切です。用意するのは、水を入れた洗面器と空の洗面器、それから少し大きめのタオル数枚です。参加者には椅子に座ってもらい、タオルを水にひたしてしっかり絞り、隣の人へ渡していきます。最後の人がもう一つの洗面器の上で再度タオルを絞り、その中にどれだけ水を集められたかをチームごとに比べます。
この「水リレー」は、一見単純に見えますが、手首や指先、握力をしっかり使う動きが含まれています。タオルを捻る動作は、日常生活でも布巾を絞る、洗濯物を軽く絞るといった動きに繋がりますから、リハビリ的な意味でも価値のあるゲームです。ただし、力いっぱい絞ろうとして顔をしかめてしまう方もいるため、「痛くない程度で、気持ちよく捻りましょう」「肩や首に力が入り過ぎていないか、途中で確認しましょう」といった声掛けを忘れないようにします。水が飛び散らないよう、予めタオルのサイズや水の量を調整しておくことも、企画書の段階で押さえておきたいポイントです。
ゲーム性を高めるためには、「勝敗」だけでなく「役割分担」を意識するのもおすすめです。例えば卵リレーであれば、卵を運ぶ人、声を掛けて応援する人、時間を計る人というように、体力に応じて役割を変えられるようにしておきます。水リレーでも、実際にタオルを捻る人の他に、チームの応援係や、水量を目で確認して「もう少しで相手チームを抜かせそうだよ」と声を掛ける係を作ると、直接動きに参加できない方も、自分なりの役割を見つけやすくなります。ゲーム中に自然と笑い声や拍手が起こるようになると、「寒いから動きたくない」とおっしゃっていた方も、つられて体を前のめりにして見守るようになります。
こうしたゲームを企画書としてまとめる際は、「楽しい時間だった」で終わらせず、どのような機能を狙っているのかを一言添えておくと、職員間の共通理解が深まります。例えば「卵リレーでは、上肢の安定性と歩行時の姿勢保持を意識する」「水リレーでは、手指の巧緻性と握力の維持を目標にする」といった具合に、狙いを短い言葉で整理しておきます。実施後には、参加者の表情や動きについて簡単なメモを残し、「普段よりも前かがみになって卵を覗き込んでいた」「普段はすぐに疲れてしまう方が、最後までタオルを絞り切っていた」など、印象的な様子を記録しておくと、次回のプログラムを組み立てる際のヒントにもなります。
さらに、ゲーム後の感想を聞く時間を必ず設けておくと、評価の材料としてだけでなく、参加者の心の動きも見えてきます。「卵を落とさないようにするのが、思ったより難しかった」「タオルを絞ったら、腕がじんわり温かくなった」「昔、井戸水で洗濯をしていた頃のことを思い出した」といった言葉は、まさに大寒レクリエーションが生み出した成果です。こうした一言一言を大切に拾い上げることで、「遊びの時間」が「生活力や思い出につながる時間」へと変わっていきます。
水と卵を使ったゲームは、準備や片付けがやや手間は掛かるものの、その分の達成感が大きく、高齢者さんの記憶にも残りやすい企画です。次の4章では、ここで登場した卵や水、甘酒のイメージをそのまま生かしながら、クッキングや外出企画など、より発展的な大寒レクリエーションへと広げていくアイデアをご紹介していきます。
第4章…クッキングや外出企画へ発展!大寒から広がる一年分のレクアイデア
水や卵をテーマにしたゲームで場が温まってきたら、同じキーワードを生かして、もう一歩先の楽しみ方に発展させてみましょう。大寒は「寒さの底」と言われる時期ですが、同時に「春へ向かう入り口」でもあります。この時期に少しだけ手間を掛けたクッキングや、外の世界と繋がる企画を組み込んでおくと、「ただの行事」ではなく、思い出に残る冬のイベントとして利用者さんの記憶に残りやすくなります。
クッキング企画の定番は、やはり卵と甘酒を生かしたメニューです。大寒卵の話を導入にして、「特別な卵で体の中から元気になりましょう」と声を掛けながら、小さな卵料理を一品作る流れにすると、ゲームから自然に繋がります。生卵をたくさん割る作業は衛生面の配慮が必要ですが、殻を割る役割は職員が担当し、利用者さんには溶き卵をゆっくり混ぜてもらう、型に流し込む、具材をそっと並べる、といった安全な工程をお願いすると良いでしょう。茶碗蒸しの具材を並べる、フレンチトーストのパンを卵液に浸す、卵焼きの最終形を切り分けるなど、細やかな手指の動きを必要とする工程は、そのまま機能訓練の一部にもなります。
甘酒を使ったクッキングも、大寒ならではの企画として人気があります。麹で作ったアルコールのないタイプを選べば、お酒が苦手な方や薬との兼ね合いが気になる方にも安心して提供しやすくなります。鍋で温めた甘酒に、すりおろした生姜をごく少量加えて「体を温める一杯」に仕上げたり、小さな紙コップで少量ずつ提供しながら、「昔はどんな時に甘酒を飲みましたか?」と質問してみたりすると、自然と昔話が引き出されます。咽込みが心配な方には、トロミを付ける、温度を温めにする、少量ずつスプーンで味わってもらうなどの工夫を予め取り入れておくと安心です。
さらに発展させたい場合は、「大寒スペシャルおやつタイム」として、卵や甘酒を使った簡単デザートに挑戦する方法もあります。例えば、甘酒とヨーグルトを半々に混ぜてフルーツを添える、トロリとした卵プリンを少量カップで味わう、卵入りのホットケーキを一口サイズに焼いて提供するなど、大掛かりな調理器具を使わなくても実現できるメニューはたくさんあります。味付けは職員が調整しつつ、混ぜる、並べる、盛り付けるといった工程だけを利用者さんにお願いすれば、衛生面と安全面の両方を守りながら「自分たちで作った」という手応えも感じてもらうことが出来ます。
外出企画に発展させるなら、「大寒だからこそ、寒さを体験し過ぎない小さなお出掛け」を意識すると良いでしょう。体力に余裕のある方が多い事業所であれば、近くの神社やお寺へ短時間の参拝に出かけ、「冷たい空気」と「帰ってきた後の温かさ」をセットで味わう企画も考えられます。地域に養鶏場や直売所があれば、「おいしい卵を探しに行くツアー」として見学を兼ねた外出にしても良いでしょう。外出が難しい場合は、写真や動画を用意して「バーチャル見学会」を開き、室内にいながら外の景色を楽しんでいただくスタイルも立派なレクリエーションになります。
こうしたクッキングや外出企画を行う時には、「記録を残すこと」を意識しておくと、後から振り返る楽しみが増えます。職員が写真を撮り、簡単なコメントを添えて掲示板に貼り出したり、季節ごとのアルバムにまとめておいたりすると、「あの時はこんなことをしたね」と何度でも話題にすることが出来ます。家族の面会時にアルバムを一緒に見てもらえば、会話の切っ掛けにもなり、施設での暮らし振りが具体的に伝わりやすくなります。利用者さんご本人から感想を聞き取り、「卵がふわふわで美味しかった」「外の空気は冷たかったけれど、帰ってきたら体が軽く感じた」といった一言を書き添えておくと、その日の手応えがより鮮やかに残ります。
大寒を切っ掛けにしたレクリエーションは、その場限りのイベントではなく、「一年分の季節レクの型」を作る良いチャンスでもあります。例えば、「季節の体操」「昔話や座談会」「テーマに合ったゲーム」「小さなクッキングや試食」「記録と振り返り」という流れが一度うまくいけば、2月の節分や3月のお花見、5月の端午、七夕やお月見など、他の行事にも順番をそのまま応用できる素地になります。同じ形の流れでも、毎回テーマとなる食べ物や色、言葉を変えることで、飽きずに続けていくことが出来ますし、職員側も企画書を作りやすくなります。
大寒のレクリエーションを工夫していく中で、「今年もこの時期が来たね」「去年は甘酒だったけれど、今年は卵料理だったね」といった会話が自然に生まれるようになると、その事業所ならではの季節の風物詩が育っていきます。ほんの小さなゲームや一品料理も、毎年続けることで「うちの施設の冬の定番行事」へと変わっていきます。次のまとめでは、ここまでご紹介してきた体操、座談会、ゲーム、クッキング、外出企画を振り返りながら、大寒という厳しい季節を「心も体も温まる時間」に変えていくポイントをもう一度整理していきます。
[広告]まとめ…大寒レクリエーションで心も体も温まる冬支度を整えよう
大寒は、ただ「寒くてつらい時期」というだけでなく、昔からの暮らしの知恵や願いごとがギュッと詰まった季節です。ふきのとうや寒の水、大寒卵、甘酒といったキーワードを入り口に、思い出話を引き出したり、体を温める体操やゲームに繋げたりすることで、高齢者さんにとって「今、この季節を生きている実感」をやさしく取り戻していく切っ掛けになります。施設や事業所の中にいても、暦の上の季節と心の季節をきちんと結び直してあげることが、冬場のケアにはとても大切です。
この記事では、まず大寒の意味や昔ながらの風習を紐解き、そこから「ポカポカ体操」と「冬の暮らしを語る座談会」へと発展させる流れを辿ってきました。その上で、水や卵を使った卵リレーや水リレーのようなゲームを通して、楽しみながら手指や握力、姿勢保持といった機能をさりげなく刺激する工夫をご紹介しました。さらに一歩進めて、卵料理や甘酒を取り入れたクッキング、近場への短い外出やバーチャル見学会など、日常生活に近い体験へと広げていくことで、「遊び」と「生活リハビリ」を自然に結びつけることも出来るようになります。
大寒レクリエーションを計画する時に忘れたくないのは、「安全性」と「無理のなさ」、そして「終わった後に残るもの」の三つです。動きの大きさや道具の選び方には十分な配慮を行い、皮膚や関節への負担が少ない形にアレンジすることが第一です。その上で、ただ楽しいだけで終わらせず、「今日はここが温まった」「昔のこんな話が聞けた」「この動きなら家でも続けられそうだ」といった小さな実感が利用者さんの中に残るように、声掛けや振り返りの時間を丁寧に挟んでいくことが大切になります。職員側も、印象的な場面や参加者の一言を短く記録しておくことで、次回の企画作りやケア会議での共有に生かしやすくなります。
また、大寒の企画はその年だけの単発行事ではなく、「うちの施設の冬の定番」として育てていくことも出来ます。毎年、似たような流れで体操やゲーム、クッキングを行いながらも、メニューや話題を少しずつ変えていくと、「今年はどんな大寒になるかな」と、高齢者さんの側にも楽しみが生まれてきます。職員にとっても、一度型が出来てしまえば、年度ごとのアレンジを考える余裕が生まれ、負担感を減らしながら質の向上を狙えるようになります。
厳しい寒さが続く季節だからこそ、施設の中の一時を「温かさで満たされた時間」に変えていく工夫が求められます。体操で体を温め、座談会で心を緩め、ゲームで笑い合い、クッキングや外出で達成感を味わう。そんな重なりの先に、「今年の冬も、皆でよく頑張ったね」と言い合える安心感が生まれます。大寒レクリエーションを切っ掛けに、ぜひ事業所ごとの冬の名物行事を育てていきながら、利用者さんとご家族、そして職員自身の心もほっと解ける季節の時間を作ってみてくださいね。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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