お正月レクリエーションで高齢者と家族が笑顔になるひと工夫

[ 1月の記事 ]

はじめに…お正月は高齢者レクリエーションのアイデア宝箱

お正月は、門松や注連縄、鏡餅におせち料理と、ふだんの何倍も「特別」が溢れる季節です。高齢者さんにとっても、子ども時代や子育て時代の思い出と強く結びついた大切な行事であり、1つ1つの飾りや料理に物語が宿っています。だからこそ、介護の場でも自宅でも、お正月はレクリエーションの題材に困らない…はずなのですが、意外と「もったいない抜け」が起きやすい時期でもあります。

飾りつけやおせち作り、年賀状の準備など、「形」に残る部分は計画を立てやすく、毎年の恒例行事として定着しやすいですよね。工作レクやクッキングレクに落とし込みやすいので、職員さんのアイデア次第でいくらでも広げられます。一方で、歌や昔遊び、ことば遊びなど、目に見えない「時間の過ごし方」は、忙しさの中で後回しになってしまうこともありますし、さらにその奥にある「家族との団欒」や「ゆっくり話を聴いてもらう時間」は、つい忘れられてしまいがちな領域です。

この記事では、まずは食事や飾り付けといった分かりやすい盛り上げポイントを整理しつつ、歌や遊びでどうやってお正月の空気を膨らませていくかを一緒に考えていきます。その上で、「高齢者さんにとって本当に大事なお正月の過ごし方とは何か」という視点から、家族との会話や3世代の関わり方、さらには一人暮らしや遠方家族の方へのサポートの工夫まで、少し踏み込んで掘り下げていきます。

レクリエーションのネタ集として読むことも出来ますし、「うちの施設のお正月、何が足りないかな?」「自宅で親とどう過ごそうかな?」と振り返る切っ掛けにもしていただけたら嬉しいです。高齢者さんも家族も、そして支える職員さん自身も、皆が笑顔で「また来年も一緒に迎えたいね」と思えるお正月をイメージしながら、ゆっくり読み進めてみてくださいね。

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第1章…お正月の食事と飾りつけで季節感をとことん味わう

高齢者さんにとって、お正月の一番分かりやすい楽しみは、やはり「目に見える変化」です。玄関に門松や注連縄が掛かり、鏡餅がちょこんと飾られ、いつもの食卓が祝い膳に変わると、「あぁ、また新しい年が来たんだなぁ」と実感が湧いてきます。これは施設でも自宅でも同じで、飾りと食事の工夫次第で、その場全体の空気が一気にお祝いモードへと切り替わっていきます。

例えば、おせち料理の黒豆や伊達巻、紅白なますなど、ひと品ひと品には意味がありますよね。全部を完璧に揃えなくても大丈夫ですが、代表的な品を1~2種類でも用意して、「これはね、こんな願いが込められているんですよ」と会話を添えるだけで、おかずがそのままレクリエーションの教材に変わります。噛み応えや飲み込みやすさに配慮して、刻んだり、トロミをつけたり、形をアレンジしても良いでしょう。「見た目はお正月らしく、中身は食べやすく」という工夫は、介護の現場ならではの腕の見せどころです。

お餅も、お正月を語る上で欠かせない存在です。ただし、そのまま提供するのは誤嚥の危険が高くなりますので、焼き餅やお雑煮ではなく、柔らかい餅風デザートや、お餅をイメージした白玉・ムース・ゼリーなどに置き換える工夫が役立ちます。「昔は臼と杵でついたんだよ」「近所のみんなで並んで丸めたんだよ」といった思い出話を聞きながら、あんこやきなこをかけた1口サイズのおやつを味わうだけでも、十分に季節感を感じてもらえます。

飾り付けも、ただ職員が飾るだけではもったいない部分です。玄関のしめ飾りやフロアの壁面飾り、テーブルの上の小さな正月飾りなど、要所要所で「ここだけはお正月仕様」という場所を決めて、そこを高齢者さんと一緒に仕上げていきます。紙の門松や折り紙の鶴、干支の置き物風の工作など、難易度を少しずつ変えれば、手先の状態や認知機能に合わせて参加の仕方を調整できます。「この部分の色はどうしようか」「どこに貼ったら一番綺麗に見えるかな」と相談しながら飾る時間そのものが、立派なレクリエーションになります。

また、年末から少し早めに準備を始めて、「今日は玄関の飾りの日」「次は食堂の飾りの日」と、何回かに分けて進めるのもおすすめです。一度に全部を終わらせようとすると職員さんも大変ですが、数日に分けて少しずつ作業することで、「もうすぐお正月だねぇ」という期待感を長く楽しむことが出来ます。作品が増えていく過程を写真に残しておくと、「最初はこんなだったね」と振り返る話題にもなり、そのまま回想レクにも繋がります。

自宅で過ごす高齢者さんに向けては、施設や事業所側から「簡単にできる飾りの作り方」や「少ない材料でできるお正月テーブルアレンジ」のアイデアをお渡ししておくのも良い方法です。難しい技術はいりません。色画用紙とペン、折り紙やシールが少しあれば、玄関や食卓の雰囲気はグッと変わります。ご家族と一緒に作ってもらえれば、その時間そのものがコミュニケーションの切っ掛けになりますし、もし一人で作られる場合でも、「誰かに見せたくなる作品」を目指してもらうことで、年始の来訪時の会話のタネが1つ増えます。

このように、お正月の食事と飾りつけは、「用意して終わり」ではなく、「準備の段階から楽しむ」ことで、レクリエーションとしての価値がグッと高まります。見た目の華やかさだけでなく、「一緒に作った」「意味を知った」「思い出を話した」という体験が重なることで、高齢者さんにとって、その年のお正月が心に残る時間になっていきます。次の章では、この雰囲気作りをさらに深めてくれる歌や遊びの力について、一緒に見ていきましょう。


第2章…歌と遊びでお正月の記憶とワクワク感を呼び覚ます

お正月らしさを一気に高めてくれるのが「耳」と「体」を使ったレクリエーションです。目で見る飾りや料理に、歌と遊びが加わると、場の空気がグッと柔らかくなり、「そうそう、昔はね……」と自然に会話がほどけていきます。高齢者さんにとって、お正月の歌や遊びは、ただの余興ではなく、若い頃の記憶や、家族と過ごした時間と深く結びついた大事な扉のような役割を持っています。

お正月の歌と言えば、童謡や唱歌、歌謡曲まで幅広く思い出されます。「もういくつ寝ると~」のフレーズを耳にしただけで、子ども時代のわくわく感が甦ってくる方も多いでしょう。皆で歌う時間をしっかり設けるのも良いですし、敢えて合唱の時間は短めにして、普段の体操やお茶の時間にお正月の曲をそっとBGMとして流しておくのも効果的です。「この歌、久しぶりに聞いたわ」「この曲が流れるとね、おじいちゃんを思い出すの」と、ふとした瞬間に思い出が口をついて出て、そこから会話が広がっていきます。

歌を使ったレクリエーションでは、「正解を歌う場」よりも「思い出を語り合う場」にすることを意識すると、プレッシャーが少なくなります。歌詞がうろ覚えでも、節回しが多少違っても大丈夫です。「この歌はどんな時に歌いましたか?」「誰と一緒に歌いましたか?」と質問を添えることで、歌そのものよりも、その人の人生の一場面が主役になります。職員さんが少しオーバー気味に手振りや表情をつけて盛り上げると、自然と笑いも生まれて、場全体が温かくなります。

一方、お正月の遊びは、体を動かしながら楽しめる素晴らしい題材です。凧揚げや羽子板、独楽回し、カルタなど、屋外・屋内問わず様々な遊びがありますが、そのまま本格的に再現しようとすると、スペースや安全面のハードルが高くなることもあります。そこで、施設やご自宅の状況に合わせて、「ミニ版」「座ったまま版」にアレンジしてみる発想が役に立ちます。

例えば、カルタであれば、床に広げる枚数を少なめにしてテーブルの上で行ったり、取り札を少し大きめに印刷して見やすくしたりするだけでも参加しやすさが変わります。取り合いが難しい方には、読まれた札と同じ絵を手元のカードから選んでもらう「マイペースカルタ」にすると、競争ではなく「当たったね」と一緒に喜べるゲームになります。福笑いも、目や鼻、口のパーツをマグネットにしてホワイトボードに貼る方式にすれば、立ち上がらずに楽しめますし、完成した顔を皆で見て大笑いする時間は、何度繰り返しても飽きません。

遊びを取り入れる際に、もうひと工夫するなら「役割を分ける」ことです。実際に手を動かして遊ぶ人だけでなく、「応援係」「ジャッジ役」「読み上げ役」「写真係」など、いろいろな立場を用意してみると、体の状態や得意不得意に合わせて参加してもらえるようになります。大きな声を出すのが得意な方は読み上げ役、細かい違いに気づくのが得意な方はジャッジ役、といった具合に、その人らしさを活かせる場面が増えると、自己肯定感にも繋がっていきます。

歌と遊びは、組み合わせることでさらに力を発揮します。カルタの前後に、その札にちなんだ童謡を歌ってみたり、福笑いで「おかしな顔」が完成したタイミングで、おどけたリズムの曲を流して皆で手拍子したりすると、視覚・聴覚・触覚が一度に刺激され、「何だか楽しかったねぇ」という印象がぐっと強まります。短時間のレクリエーションでも、歌➡遊び➡振り返りの流れを意識することで、「今日はお正月らしいことをしたなぁ」と実感してもらいやすくなります。

そして、自宅で過ごす高齢者さんに向けては、訪問時に職員さんが簡単な歌遊びや手遊びを1つ紹介して、その場で一緒に楽しんでみるのも良い方法です。「この歌をお孫さんにも教えてあげてくださいね」と添えておくと、世代をまたいだコミュニケーションの種にもなります。たった数分のやり取りでも、「今年も誰かと笑って過ごした」という感覚は、その人のお正月の記憶に優しく残っていきます。

こうして見ていくと、歌と遊びは、お正月の「飾り」をただ眺める時間から、「心が動く時間」へと変えてくれる大切な要素だと分かります。次の章では、その先にある「家族団欒」というテーマに目を向けながら、高齢者さんにとって本当に忘れてはいけないお正月の過ごし方について考えていきましょう。


第3章…忘れがちな「家族団欒」をお正月にそっと取り戻す

ここまで見てきた飾りつけや料理、歌や遊びは、お正月らしさを盛り上げてくれる大事な要素です。けれども、高齢者さんの立場でそっと視点を移してみると、「一番嬉しいこと」は、実はもう少し別のところにあることに気づきます。それは、家族が顔を揃え、同じ空間でゆっくり会話を交わす時間、つまり「家族団欒」です。

若い世代にとって、お正月は「帰省ラッシュ」「初売り」「テレビの特番」など、イベントがぎっしり詰まった期間かもしれません。その合間に、実家にちょっと顔を出し、「元気?」「うん、元気だよ」と短いやり取りだけで帰ってしまうこともあるでしょう。けれど高齢者さんにとっては、その短いやり取りの前後にある、支度の時間や片付けの時間も含めた全てが、大切な思い出の一部になります。「あの子たち、何を話そうとして来てくれるだろう」「今年はどんな顔で来てくれるかな」と、迎える側の心は何日も前からそわそわと準備を始めているのです。

ところが現実には、初詣は家族だけで出掛けて高齢者さんはお留守番、孫はスマートフォンに夢中、テレビの音だけが大きく流れていて、ゆっくり向き合って話す時間がほとんどない、というお正月も少なくありません。「一緒の空間にはいるけれど、心は別々」という状況が続くと、高齢者さんは遠慮がちになり、「忙しそうだから、あまり話し掛けない方がいいかな」と自分から会話を控えてしまうこともあります。

本来、お正月は世代を繋ぐ絶好のチャンスです。高齢者さんから見れば、子や孫に伝えたい昔話や、おせちの意味、地域の風習など、語るべきことがたくさんあります。一方で、子や孫の世代も、仕事のこと、学校のこと、最近ハマっていることなど、話題には事欠きません。大切なのは、「どちらか一方が話し続ける時間」ではなく、「お互いに話を渡し合う時間」を意識して作ることです。

たとえば、こたつを囲んでみかんを食べながら、「おばあちゃんが子どものころのお正月って、どんな感じだった?」「今のおせちと、昔のおせちはどこが違うの?」と、1つ質問を投げてみるだけでも空気は変わります。そこから話が広がったら、今度は高齢者さんから「最近はどんな遊びが流行っているの?」と聞いてもらうように促してみる。会話のキャッチボールが始まると、とりとめのない雑談の中に、世代を超えた理解や気付きが生まれていきます。

介護の立場からできる工夫としては、「会話の切っ掛け」を予め用意しておく方法があります。施設であれば、年末のうちに高齢者さんから昔の写真やエピソードを聞き取り、簡単なプロフィールカードのようなものを作成しておき、お正月の面会に来られた家族にお渡しします。「この話、ぜひご家族にも聞かせてあげてくださいね」と一言添えるだけでも、会話の入り口がうんと増えます。自宅に通うサービスであれば、訪問時に「お正月に家族と話してみて欲しいことリスト」を一緒に考えるのも良いでしょう。

気をつけたいのは、「昔はこうだった」「若い頃はこうするのが当たり前だった」と、高齢者さんの側の主張だけが強くなってしまう場面です。もちろん、昔の知恵や価値観には学ぶべき点がたくさんありますが、語り口が「だから今のやり方は間違っている」という断定に偏ってしまうと、子や孫は身構えてしまいます。反対に、若い世代の側が「それはもう古いよ」「そんなの今は誰もしないよ」と笑い飛ばしてしまうと、高齢者さんの心が萎んでしまいます。お互いに、相手の時代背景と気持ちを想像しながら「へぇ、そうだったんだ」「今はこんな風なんだね」と言葉を返せると、場の空気は和らぎます。

そこで役に立つのが、日頃からのレクリエーションで身につけてもらう「話し方」と「聴き方」です。大きな声で一方的に話すのではなく、相手の表情を見て区切りをつけること、話の途中で相手の言葉を挟む余地を残しておくこと、相手が話し始めたら最後まで遮らずに聴くこと。こうしたコミュニケーションのコツは、集団レクの場でゲーム感覚で練習しておくと、お正月の家族団欒の場でも自然と発揮されやすくなります。

また、様々な事情で家族が集まりにくく、一緒に過ごす時間が短くなってしまうご家庭もあります。その場合でも、「ほんの数十分を、会話のためだけに使う」と意識してみると、印象は大きく変わります。顔を見て挨拶をして、近況を交わし、「今年も一緒に年を越せて良かったね」と言葉にすること。それだけでも、高齢者さんの心には、「ひとりぼっちではなかった」という温かい感覚が残ります。

家族団欒は、飾りや料理のように写真に残りやすいものではありませんが、その人の心の中には長く残り続けます。そして、「また来年も、元気で会いたい」と願う力にもなります。次の章では、この家族団欒がどうしても叶いにくい高齢者さんに対して、介護の現場や地域がどのような形でお正月の温かさを届けられるのかを、もう少し具体的に考えていきます。


第4章…一人暮らしや遠方家族の高齢者へ届けるお正月サポート

ここまでのお話は、「家族が集まるお正月」を前提にしている部分が多かったかもしれません。けれど、実際には一人暮らしで年末年始を迎える高齢者さんや、子ども世帯が遠方に住んでいて、なかなか顔を合わせられない方も少なくありません。「家族団欒が一番大事」と分かっていても、それが叶わない現実を前にすると、切なさや申し訳なさを抱えるご本人やご家族も多いでしょう。だからこそ、介護の現場や地域がそっと手を添えて、「一人でも、離れていても、ちゃんとお正月が来た」と感じられる工夫をしていきたいところです。

まず意識したいのは、「会えない=何も出来ない」ではないということです。会えない時こそ、言葉や手紙が力を持ちます。年賀状作りのレクリエーションを通じて、ご本人に一言メッセージを書いてもらい、離れて暮らす家族に届ける。反対に、家族側にも「一言でも手書きで返事をくださいね」とお願いしておく。たった数行の文字でも、自分のために時間を使って書いてくれたことが伝わると、「離れていても、ちゃんと気に掛けてくれている」という実感が生まれます。

電話や映像通話も、お正月だからこそ活用したい手段です。機械が苦手な高齢者さんも多いので、「通話が繋がるまで」は職員や家族がサポートし、「画面が繋がったら、ゆっくり話せるように席を外す」といった工夫があると安心です。時間は長くなくてもかまいません。「おめでとうございます」と相手の顔を見て挨拶するだけでも、その年のお正月の記憶はまったく違ったものになります。耳が遠い方には、予め話す内容を紙に大きく書いておいて画面越しに見せる、会話の後に同じ内容を手紙でも送るなど、複数の手段を組み合わせると伝わりやすくなります。

また、一人暮らしの高齢者さんにとっては、「誰かが自分のことを気に掛けてくれている」という感覚が何よりの支えになります。年末の訪問時に「お正月にこんなことをしてみませんか?」という簡単な提案カードを渡し、そこに手書きで一言添えておく。例えば、「元日の朝に、窓を少し開けて空を見ながら深呼吸してみましょう」「お雑煮風の汁物を作って、ゆっくり味わってくださいね」といった具体的な提案です。やることがほんの少し決まっているだけで、「あぁ、年が変わるんだな」と心が切り替えやすくなります。

施設で暮らす高齢者さんの場合は、「ここで迎えるお正月」をどう温かく演出するかが大切になります。家族の面会が難しい方には、職員や他の利用者さんとの小さな輪を意識的に作り、「今日は一緒に初笑いをしましょうか」と声を掛けてみる。年始の数日間だけでも、普段とは少し違う座席配置にして、隣の方と自然に会話が生まれるようにする。お屠蘇の代わりに甘酒やお茶を用意して、「今年もよろしくお願いします」と杯を交わす真似をするだけでも、互いを祝う気持ちが共有されます。

遠方の家族に向けたサポートとしては、「様子が伝わる材料」を用意しておくことも有効です。年末のレクリエーションで作成した飾りや年賀状、料理の写真などを小さなアルバムや便りにまとめて、「今年はこんな準備を一緒にしました」と添えて送る。介護職が一方的に情報を届けるだけでなく、「次のお正月に、こんなことをしてみたい」というご本人の希望も一緒に書き添えておくと、家族が予定を考える際のヒントにもなります。「来年は、この日だけでも顔を出せるようにしようか」と、少しずつ行動を変える切っ掛けになるかもしれません。

忘れてはいけないのは、「寂しさ」を無理にかき消そうとしなくてよい、という視点です。家族と過ごしたお正月の記憶が豊かな人ほど、「今年は静かだなぁ」と感じて胸がキュッとなる瞬間があります。その気持ちに寄り添い、「寂しいと感じるのは、それだけ大事な人との時間があった証拠ですよね」と言葉を返してあげることも、立派なお正月サポートです。その上で、「では、今年はここでどんなお正月にしましょうか」と、今の場所ならではの楽しみ方を一緒に探していく。そのプロセスそのものが、高齢者さんの心の中に、新しいお正月の思い出として積み重なっていきます。

一人暮らし、遠方家族、様々な事情が重なっても、「誰にも祝われないお正月」で終わらせないこと。介護の現場と家族と地域が緩やかに繋がりながら、小さくても温かい関わりを持ち寄ることで、高齢者さんの年明けは優しく彩られていきます。次の「まとめ」では、ここまでの内容を振り返りながら、高齢者レクリエーションとしてお正月を活かすポイントをもう一度整理してみましょう。

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まとめ…お正月のレクリエーションで3世代の会話を繋げよう

お正月は、門松や鏡餅、おせち料理など、見た目にも分かりやすい「お祝いの形」がたくさん揃う行事です。第一章で見てきたように、その1つ1つを少しずつ一緒に準備していくことで、高齢者さんにとっては「今年も無事に年を越せた」という安心感や、「昔はこうやって準備したなぁ」という回想の時間が自然に生まれてきます。飾り付けや料理は、完成した姿だけでなく、作っている途中の会話や笑顔こそが大切な思い出になります。

第二章で触れた歌や遊びは、その場の空気を柔らかくしてくれる存在でした。童謡や懐かしの曲をきっかけに思い出話が始まったり、昔ながらの遊びを今の環境に合わせてアレンジしたりすることで、「見る」「聞く」「動く」が同時に刺激されます。大げさなプログラムでなくても、短い時間の歌や簡単な遊びを積み重ねるだけで、「今年のお正月も、ちゃんと楽しめた」という満足感が育っていきます。

第三章では、お正月の中で見落とされがちな「家族団欒」というテーマを取り上げました。高齢者さんにとって、一番嬉しいのは、立派な飾りでも豪華な料理でもなく、大切な人たちと顔を合わせて、ゆっくり会話を交わす時間かもしれません。昔の話を聞いてもらうことも、今の家族の暮らし振りを教えてもらうことも、どちらも心の支えになります。一方的に話すのではなく、お互いに質問を交わしながら語り合うことで、「また来年もこの時間を迎えたい」という気持ちが、家族全員の中に生まれていきます。

第四章では、一人暮らしや遠方に家族がいる高齢者さんへのサポートを考えました。現実には、家族が集まりたくても集まり難い状況もたくさんあります。それでも、年賀状のやり取りや電話、映像通話、ちょっとしたメッセージカードなど、出来ることは必ず残されています。「今年もあなたのことを思っていますよ」という気持ちが伝わるだけでも、その人のお正月は静かな中にも温かさを帯びていきます。施設や事業所、地域の支え手たちが、そうした小さな工夫を持ち寄ることで、「誰にも祝われないお正月」を減らしていくことが出来ます。

お正月のレクリエーションというと、どうしても「何をするか」という具体的なネタ探しに意識が向かいがちです。しかし、本当に大切なのは、「それを通して、誰とどんな時間を過ごすのか」という視点です。飾りや料理、歌や遊びは、その時間を彩るための道具に過ぎません。その奥にある「安心して笑える場」「安心して話せる相手」をどうやって作るかを意識すると、お正月のレクリエーションは、単なる季節行事を超えて、高齢者さんの暮らしそのものを支える力になっていきます。

支える側の私たちも、完璧を目指す必要はありません。出来る範囲で飾りを工夫し、無理のない範囲で歌や遊びを取り入れ、ほんの少しだけ会話の時間を意識して増やしてみる。そうした小さな一歩の積み重ねが、「今年のお正月も、悪くなかったなぁ」という心の余韻に繋がります。高齢者さんと家族、そして支える人たちが、それぞれの場所で出来る工夫を持ち寄りながら、「また来年も一緒に迎えたいお正月」を少しずつ育てていけたら素敵ですね。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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