夏に煮凝り!? エイの日に蘇るおばあちゃん家のぷるぷるメモリー

目次
はじめに…「今日はエイの日です」と言われてもピンとこない人はちょっと待った!
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8月1日は「エイの日」だそうです。
…え?「え?エイって、あの海底でひらひらしてるアレ?」と思った方、正解です。
でもちょっと待ってください。
今や水族館の人気者で、たまにおつまみコーナーにひっそり佇む乾物としてしかお目にかからないエイですが、じつはこの魚、かつて日本の食卓でけっこう活躍してたんです。
特に昭和世代のばあちゃんたちに聞いてみてください。
「エイなんてな、昔は煮て固めて、外に出して一晩冷やしゃ立派な煮凝りよ」と涼しい顔で語り出すかもしれません。
そう、現代の冷蔵庫に頼らず、冬の寒さを味方にした“天然冷やしプリン方式”でぷるぷるの保存食にされていたのがエイ。
見た目はちょっとアレですが、味は淡白でコラーゲンたっぷり、歯もいらない(けど骨はある)という、まさにご高齢者フレンドリー仕様。
しかもこのエイ、日本ではどんどん姿を消しつつあります。
理由は見た目が地味とか、毒針が怖いとか、骨が多いとか、いろいろありますが、それってちょっともったいなくないですか?
今こそこの魚のこと、思い出してあげるべきじゃないでしょうか。
だって「エイの日」ですよ?
それにしてもなぜこの記念日が真夏に設定されたのか。
煮凝りの季節じゃないし、食べる魚というより“見る魚”扱いされがちなこの時期に、あえてエイ🩷。
…実はそのあたりが、この日をちょっと面白くしてくれる秘密でもあるのです。
というわけで、今回は「夏の魚?冬の記憶?エイって何者?」というテーマで、ぷるぷるの記憶とともに、ひらひら語ってまいります。
第1章…エイって食べられるの?まずはおつまみから始めよう
「エイって、食べる魚なんですか?」——この質問、実は今の子どもたちだけじゃなく、大人でも即答できない人が意外と多いのです。
でも、あなたは見たことがあるはず。
居酒屋のおつまみメニューの片隅にひっそり書かれた「エイヒレ炙り焼き」。
そう、それこそがエイの正体。
正確にはエイのヒレの干物。
あれをマヨネーズと七味でちびちびやるのが通の飲み方。
あのコリコリ、ネチネチした不思議な食感に、いつのまにか箸が止まらない。
まるで魚界のスルメ。
魚界のビーフジャーキー。
魚界の…ええい、魚界の“謎めいた常連”です。
このエイヒレ、実は全国のスーパーのおつまみコーナーや珍味売り場にはしれっと並んでいたりします。
けれど、生鮮の魚コーナーにはいない。
なぜ?鮮度管理が難しいとか、見た目がエグいとか、そもそも誰も買わないとか理由は多々ありますが、最大の理由はこう。
「エイって誰も気づいてないけど、めっちゃマイナー食材」。
それなのに、干されたとたんにおつまみ界で主役になる。
なんとも不思議な出世魚…ならぬ“干され魚”なんです。
とはいえ、「エイヒレしか知らない」ではもったいない。
エイはヒレ以外にも美味しく食べられる部位がたくさんあって、実は料理のバリエーションも豊富。
しかも骨ごと食べられる、軟骨魚類というやつ。
サメの仲間で、カルシウムたっぷり。
健康志向の現代人にはピッタリ。
なのにほとんど見向きもされず、炙られて静かに香ばしくなる運命。
それってちょっと切なくないですか?
だから今日だけでも、エイヒレを見かけたら「おお、おまえ、エイだったのか」とそっと手に取ってみてください。
できれば一緒に炙ってください🩷。
マヨと七味もお忘れなく。
そう、それがエイとの出会い直しの第一歩になるかもしれません。
第2章…煮付けに煮凝りに味噌汁も!? 高齢者の記憶に眠る“エイ料理大全”
エイと聞いて、煮凝りを思い出す人はおそらく昭和生まれ。
しかも寒い地域育ち。
ええ、そこそこ年季が入った“ぷるぷる経験者”の方々です。
昔の家庭では、エイはれっきとした冬の保存食として大活躍していました。
とくに青森や岩手、山形などの寒冷地では、外に置いておくだけで冷蔵庫いらず。
煮たエイの煮汁を器に流し、翌朝には自然のチカラでぷるんと固まる。
これをスプーンですくって、あったかいご飯の上にちょんとのせると、口の中でとろ〜りほぐれて、ほんのり魚のうま味が広がる…なんとも渋い冬の味覚。
もう“ぷるぷる版のタイムマシン”です。
ばあちゃん曰く、「骨もホロホロで、よく煮ると歯がなくても食べられるから、お年寄りにもありがたかったんだよ」とのこと。
なるほど、カルシウムとコラーゲンが自然に摂れる上に、冷えると勝手に固まって保存性までバツグン。
よく考えたら、エイってめちゃくちゃエコな魚じゃないですか。
サステナブル食材って、令和になるずっと前からそこにあったんですね。
しかもエイ料理は煮凝りだけにあらず。
煮付けにして生姜と一緒に甘辛く炊けば、ごはん何杯でもイケるおかずに。
味噌汁にすれば骨から出る出汁がもう絶品で、汁を一口すすると「ああ、これはばあちゃんちの冬休み」ってなる人、きっといるはず。
酢味噌和えもまた風流で、コリコリしたエイの身に甘酸っぱい味噌ダレがからんで、あれはあれでお正月の定番でした。
意外と通なのがエイの唐揚げ。
見た目は普通の白身魚ですが、骨までサクサク食べられるのでおやつ感覚でパクパクいける。
これをレモンと塩でいただけば、ビールはもちろん、子どもも大喜び(たぶん)。
しかも捨てるところがほとんどない。
身も骨も皮も、なんならヒレまで無駄なく食べられる。
あれ?今どきの食育の理想って、すでに昭和に完成してたんじゃ?
そんなエイが、今じゃおつまみの棚でひっそり炙られてるだけなんて、ちょっと切ない。
エイを料理するおばあちゃんの背中を覚えている人、あの台所の湯気や、夜に冷やしておいた煮凝りを朝に切り分ける作業。
あれ全部、今はもうあんまり見かけない。
でもだからこそ、思い出したくなるんですよね。
エイは口に入れるとぷるぷるですが、記憶の中ではずっしりと温かい🩷。
8月の真っ盛りにそんな話をするのも変かもしれませんが、エイの日なんだから、いいでしょう?
第3章…世界はもっとすごかった!エイ料理ってクセが強いんじゃ〜!
さて、ここまでで「エイって意外と食べられてたんだな〜」としみじみしていただけたかもしれませんが、日本のエイ事情はまだまだ“マイルド”なほうだということを、あなたは知っていたでしょうか。
というのも、世界にはとんでもないエイ料理が山ほどあるのです。
まるで「この魚、ほんとに食べて大丈夫!?」という声が聞こえてきそうなクセの強さ。
でも、これがまたクセになる…いや、クセがクセすぎるというか…とにかくクセのワールドツアー、いってみましょう。
まずはお隣・韓国。
エイ料理界のボス的存在、「ホンオフェ」。
これは一言でいうと“発酵させたエイ”。もうちょっと詳しくいうと“アンモニア臭が鼻を直撃するツーンな刺身”。
冷蔵庫を開けた瞬間に魂が抜けそうになるレベルの香りです。
それでも本場・木浦(モッポ)では高級料理扱い。
焼酎片手に涙目になりながら食べるのが正しい作法だそうで、初めて食べた日本人の感想がだいたい「呼吸が止まりそう」「もう嗅ぎたくない」「でもクセになる…かも?」。
もはや食事というより試練。
でも、地元の人は「これぞ大人の味」と誇らしげ。
…すごい、エイのポテンシャルって。
一方、フランスではエイがまるで白身魚の貴族のように扱われています。
そう、「ラ・レイヨン(raie)」と呼ばれ、バターとレモンでソテーされたエイのムニエルが高級レストランの皿の上に登場するんです。
おしゃれなケッパーソースがかかり、パリの街角のカフェでワイン片手に「うふふ」なんてやってる人たちが、実はエイを食べている。
しかも美味しいらしい。
韓国のホンオフェとは方向性が真逆すぎて、エイも「どっちやねん」と戸惑っていそうです。
そしてさらに南下して、タイやマレーシア、インドネシア。
ここではエイは屋台グルメの人気者。
スパイスをガンガンに効かせたグリルや、ココナッツミルクで煮込まれたカレーが主流で、「イカン・パリ」と呼ばれています。
炭火でこんがり焼かれたエイをパクチーたっぷりで豪快にかぶりつく。
暑さと香辛料のダブルパンチで汗だくになりながら、ビールが進むこと間違いなし。
なんというか、もう“夏に食べるエイ”の理想形、ここにあり。
そしてインドでは、南部ゴア地方で登場するスパイシーなエイカレー。
ココナッツとチリとタマリンドのトリオで、出汁が染み出した深〜い味わい。
軟骨もホロホロで、手でつかんでライスに混ぜて食べるスタイルが定番です。
しかもご飯にエイの身をのせたあと、上からカレーをかけて混ぜる。混ぜる。とにかく混ぜる。
あれ、どこかで聞いたような…。
そう、日本でも“混ぜて食べる”文化、ありましたよね。
納豆とか卵かけご飯とか。
でもエイでやっちゃうあたり、さすが本場インド、スパイスで世界を変えてきた国。
つまり、エイという魚、世界中でめちゃくちゃ食べられているんです。
そしてそれぞれの国で個性が爆発してる。
臭かったり、おしゃれだったり、辛かったり、もう自由すぎる🩷。
でもそれだけ“味がある”ということ。
クセがあるのは個性。
魚も人も、クセがある方が面白い…のかもしれません。
というわけで、日本の煮凝りもなかなかのものだけど、世界のクセ強エイ料理も一度は経験してみる価値アリ。
…ただし、最初は鼻栓を用意してからどうぞ。
第4章…スーパーでは見かけないのになぜ?エイが消えた日本の台所
さて、ここまで読んで、
「エイって意外と美味しそうじゃん」
「食べたくなってきた!」
とワクワクしたあなた、勢いよくスーパーへ行って、魚売り場でキョロキョロ…でも、そこにはサバ、ブリ、サーモン、タラ、そして何故かいつもいるイカとタコ。
エイ…エイどこ?まさかの不在。
結局、マヨ付きエイヒレ干物をおつまみ棚で見つけて、「いたっちゃいたけど、ちょっと違う…」という切なさを味わうことになるのです。
なぜでしょう。
エイってあんなにバリエーション豊かに食べられる魚なのに、どうして日本のスーパーの鮮魚コーナーからは姿を消してしまったのでしょう。
原因はひとつではありません。
まず第一に、見た目です。
あの独特のぺったんこボディ。
顔なのか体なのかわからない平面フォルム。
スーパーで並べるにはちょっとスペース取りすぎ問題。
しかも裏返すと「ひぃっ」となる人が続出する、おどろおどろしいビジュアル。
魚はまず見た目が大事です。
エイ、そこに不利すぎました。
そして第二の壁、それは毒針。
そう、エイには尻尾に毒のあるトゲを持つ種類があるのです。
もちろん、流通するのは毒を処理済みの安全なものですが、知らない人からすると「え?毒ある魚!?」と誤解を生んでしまう。
見た目だけでなく、そのプロフィールにも一抹の不安。
今どきの消費者は“わかりやすさ”を求めます。
パックに「切り身」「骨なし」「レンジで3分」と書いてないと不安なんです。
その点、エイは不器用。
自己主張は強くない。
そこがまたかわいいんですけどね。
さらに問題なのは、食感のクセと処理の手間。
エイの身は弾力がありすぎて「かみごたえ満点」という名の“ちょい固め”。
料理によっては臭みもあり、下ごしらえにちょっとした工夫が必要。
でも今の料理番組って、「火を通せばOK!」が主流でしょう?
「3日干してから酢で締めてね」とか言ったら、一瞬でチャンネル変えられます。
令和の食卓に求められてるのは、早くて、簡単で、映えるもの。
…映えませんよ、煮凝り。
ええ、味は最高なんですけどね。
そして決定打は、ニーズの消滅。
かつての日本には、「冬に骨ごと食べられる安くて栄養ある魚」というニーズが確かにあった。
でも現代では、冷凍技術も保存パックも進化して、わざわざ煮凝らなくてもいい。
固めなくてもいい。
子どもが骨を嫌がり、夫が「なにこれ?」と首をかしげ、結局おばあちゃんだけが黙ってぺろっと食べてしまう。
そんな状況では、エイがスーパーのスターになるのはなかなか難しい。
でも、だからこそ今日くらいは、エイにもう一度スポットライトを当ててあげたい。
だってエイの日ですもん。
ひらひら泳ぎながら、「なんで食べてもらえなくなったんだろう…」とつぶやいてるかもしれないエイたちに、せめて今日だけは、「大丈夫、覚えてるよ」と言ってあげたい。
スーパーにいない魚にも、ちゃんと物語がある🩷。
それがエイなんです。
第5章…板橋区の熱帯植物館で会える!幻のヒマンチュラ・チャオプラヤ
さて、ここまでエイの魅力をたっぷり語ってきましたが、こんなふうに「食べても美味しいし、思い出も詰まってるし、世界ではクセ強だし」となってくると、なんだか実物に会いたくなってきませんか?
ただし、エイって海に泳いでる魚だから水族館じゃないと無理でしょ…と思ったあなた、甘い。
実は東京・板橋区の住宅街のど真ん中に、エイの王様に会える秘密基地が存在しているのです。
その名も「板橋区立熱帯環境植物館」、通称グリーンドームねったいかん。
名前からして植物オンリーな雰囲気が漂っていますが、実はここ、東南アジアを再現した熱帯植物の楽園でありながら、同時に小さな“ミニ水族館”も併設されたハイブリッド施設なのです。
そしてその水槽に、ただならぬ風格を放つ巨大エイが優雅に舞っています。
そう、これがヒマンチュラ・チャオプラヤ。
名前からしてラスボス感がすごいですが、その正体は世界最大級の淡水エイ。
体盤幅1.9メートル、体重300キログラム。
毒針は30センチ超。
こんなのが川にいると思うと、東南アジアの川って何なんだ…ってなります。
そして、このチャオプラヤ様、日本国内でこの魚を間近で見られるのは、なんとこの板橋の施設だけ。
たった一か所。
まさに“幻のエイ”です。
しかもこのエイ、2011年に絶滅危惧種に指定されており、近年ますます希少になってきています。
乱獲、水質悪化、ダムの建設、ありとあらゆる人間の都合で、住処を追われ続けた結果、今や「見て学ぶこと」自体が大きな意味を持つ存在になってしまったのです。
でも、この施設のすごいところは、そんな重たい話を抜きにしても、とにかく楽しいこと。
亜熱帯の森を再現した温室ゾーンではマングローブが茂り、ニッパヤシが揺れ、アロワナやネオンテトラがきらきらと泳ぎ、喫茶室ではナシゴレンやマレーシアカレーが食べられるというエイも見られるし、お腹も満たされる南国テーマパーク仕様。
そしてそこにふわっと浮かぶチャオプラヤ様が、ゆるやかに尾を振って通過していく様子は、まるで「人間よ、もっとゆっくり生きよ…」と語りかけてくるような気さえしてくるのです。
東京のど真ん中、エイヒレしか知らなかったあなたの前に、突然現れる1.9メートルの神々しいヒラヒラ。
あれを一度見てしまうと、もう「エイ=珍味🩷」なんて単語では片づけられなくなります。
食べてよし、眺めてよし、学んでよし。
エイって、実はとんでもないスターだったんですね。
次の休みにちょっと行ってみようかな、なんて思ったあなた。
ナイスです。それがきっと、エイとの新しい出会いの始まりです。
第6章…ばあちゃんの台所にあったぷるぷるの宝物
それは、冷たい朝のことでした。
炊き立ての白ご飯の湯気がもわんと立ち上り、ちゃぶ台の向こう側ではばあちゃんが「ほら、今日も固まったよ」と、笑いながら台所の奥から何かを持ってくる。
それは四角いガラスの器に入った、透き通った茶色の“ぷるぷる”。
それが、エイの煮凝りでした。
子ども心に「これってゼリー?…でも甘くない!」という驚きと、「骨が入ってる!でもホロホロ!」というよく分からない感動が交錯する、あの朝の記憶。
昭和の台所には、冷蔵庫に頼らずに自然の寒さで食べ物を保存する知恵がありました。
エイをコトコト煮て、汁ごと容器に流し、一晩土間に置いておけば、朝には立派な保存食の完成。
冬の間じゅう、ばあちゃんは毎週のように“ぷるぷるの魔術”を披露していたのです。
その姿は、いま思えばまるで研究者のようでした。
火加減と時間とタイミングを見極め、「今日はちょっと煮詰めすぎたかね」とか「このエイは当たりだ」とか、毎回味の違いを楽しんでいたばあちゃん。
家族は誰もそんな細かい違いに気づいてなかったけど、本人はそれを誇らしげに語っていたものでした。
あれが家庭の味、いや、家庭の芸だったのかもしれません。
煮凝りだけじゃありません。
味噌煮にして骨までホロリと柔らかく煮たり、甘酢で軽くしめて酢味噌をかけたり。
手間のかかる料理ばかりなのに、なぜか「エイは骨ごと食べられるから楽だよ」と笑っていた。
たしかに、今の魚料理は骨取りが大仕事。
でもエイは、煮れば骨まで食べられる優等生。
食べ物の無駄を出さない、まさに昭和流のSDGsだったのです。
それにしても、あの台所の空気は不思議でした。
煮えてる鍋の横に、翌朝用の煮凝りが冷えていて、ちゃぶ台では味噌汁が湯気を上げている。
外は雪。
でも室内にはあたたかい湯気と、エイのいい香りと、ばあちゃんの機嫌のいい鼻歌。
あれはきっと、エイが冬の季語だった時代。
いや、エイが“家族の記憶を固めるゼラチン🩷”だったのかもしれません。
そして今。
エイはスーパーの鮮魚コーナーにはいません。
ばあちゃんももう、煮凝りは作っていません。
でも、8月1日のエイの日に、ふとそんな記憶がよみがえったなら——それは立派な“食べ物との再会”です。
エイって、食べるとぷるぷる。
でも思い出すと、ちょっとジーンとするんです。
そういう魚、他にいません。
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まとめ…食べることは思い出を味わうこと!エイの日にこそ語ろう
8月1日はエイの日。
語呂合わせで決まった記念日だなんて思ってたら、大間違いでした。
食べると美味しい、見れば神秘的、そして思い出すと、なぜだかちょっと泣けてくる。
そんな魚が他にあるでしょうか?
サーモンでも、タイでも、ブリでも、ここまで人の記憶の中でぷるぷるしてくれる魚は、そう多くはありません。
かつては、家族の真ん中にいたエイ。
冬の台所で湯気と一緒に笑っていたばあちゃんの手の中で、ぷるんと固まる煮凝り。
今やすっかり姿を消してしまったけれど、その記憶はしっかりと私たちの中に残っている。
そんなエイが今、東京都板橋区の熱帯環境植物館で、ヒマンチュラ・チャオプラヤという立派な名前で再び人々の目を引いているなんて、なんだかちょっと感動的じゃありませんか。
そして、世界を見れば、発酵させたり、ムニエルにしたり、カレーに煮込んだり、焼き上げたりと、エイはまさにグローバルで活躍する“クセのある人気者”。
でも、日本では今やエイヒレだけがひとり静かにおつまみ棚の片隅に残っている。
その姿はまるで、地元を離れて地味に頑張る同級生のよう。
たまには声をかけてあげてもいいじゃないですか。
「元気だった?また会えてうれしいよ」って。
エイの日は、ただの魚の日じゃありません。
食べることの意味を思い出す日でもあり、記憶の奥にしまってあった“食の宝物”を掘り起こす日でもあります。
もしもあなたの家に、煮凝りの思い出を持つ人がいたら、ぜひ聞いてみてください。
「昔、エイってどう食べてた?」って。
それはたぶん、料理の話だけじゃ終わらない。
あの頃の冬の話や、家族の話や、台所にあったあたたかさまで、いっしょに出てくるかもしれません。
そういう話を聞けたら、その日はきっと、ただのエイの日じゃなくなるでしょう。
それはもう、あなたにとっての“ぷるぷる記念日”です。
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