秋の衣替えはカレンダーより体感温度でユルッと始めるのがベスト
目次
はじめに…平安のしきたりと現代クローゼットのギャップ
「衣替えって本当はいつやるのが正解なんだろう?」――これ、毎年暖かくなったり涼しくなったりするたびに頭を過りますよね。暦の上では衣替えは「6月1日」と「10月1日」。これは平安時代の宮中行事「更衣」が元になっていて、のちに明治以降、役所や学校でも分かりやすいようにこの日が目安として広まったと言われています。昔の人は今よりもずっと季節に忠実に暮らしていましたから、「今日は日が変わったから装いも変えましょう」という発想がとても自然だったんです。
ところが現代の私たちは、同じようにはいきません。職場は冷房ガンガンなのに家はむしろ蒸し暑いとか、朝は肌寒いのに昼は半袖じゃないと辛いとか、家族それぞれの体感温度が違うとか……。さらに、洋服の量そのものが昔とは比べものにならないくらい増えていますよね。トップスだけで何枚もあり、羽織り物があり、部屋着があり、子どもの送り迎え用の「ちょっと綺麗め」もあり。平安の頃のように「年2回で一気に入れ替えます」では捌き切れないのが、今のクローゼット事情です。
もう1つ、今の私たちを悩ませるのは「季節の前倒し」です。お店に行くと、まだ9月なのにニットが並び、逆に春先のまだ肌寒い頃には薄手が置かれていたりしますよね。これは私たちの暮らしが、気温だけでなく学校行事・会社の行事・イベント・旅行の予定など、いろいろなスケジュールに引っ張られているからです。つまり「10月になったら」という日付だけで判断するよりも、「自分の生活で必要になったら」「気温がこのくらいになったら」という風に、もっと自分寄りのタイミングで考えた方が却って理に適うわけです。
そこでこの記事では、昔ながらの決まりごとを大切にしつつも、現代の暮らしに合わせてゆるくアレンジした「秋の衣替えのやり方」をお話ししていきます。ポイントは大きく言って3つです。日付よりも体感で動くこと、しまう服と出す服をなるべくワンタッチで入れ替えられるようにしておくこと、この機会にちょっとだけ物を軽くしておくこと。たったこれだけで「衣替えって面倒…」という気持ちがかなり和らぎます。
また、今回は着物の文化から少しだけヒントも借ります。和服には「袷」「単衣」「薄物」という考え方があって、だいたい1年を3つのゾーンに分けて服を替えていました。これを現代風に読み替えると、「年2回きっちり」より「年4回こまめに」の方が、むしろ今の日本の気候に合っているんじゃないか、という考え方になります。つまり「衣替えはいつでもしていいし、何回してもいい」。ここを一端自分に許してあげると、クローゼットはグッと扱いやすくなります。
「子どもの制服だけは早めに出しておきたい」「仕事ではまだ夏スーツだけど通勤の朝だけは薄手のコートがいる」「家族の中で一人だけ寒がりがいる」――こうした細かい事情も、章を進めながら丁寧に拾っていきますね。秋の入り口は、オシャレの入れ替え時でもあり、家の中を軽くするチャンスでもあります。あなたの暮らしに合ったタイミングで、しなやかに衣替えが出来るよう、ここからゆっくり組み立てていきましょう。
[広告]第1章…10月1日にこだわらない始め時の決め方
衣替えと聞くと、つい「10月になってから」「会社や学校が替えたら自分も」と考えがちですよね。でも今の日本の秋って、昔ほどスパッと涼しくなりません。9月の下旬でも日中は暑くて夕方だけ肌寒い日があったり、逆に10月中旬でも日向にいると半袖で丁度良かったりします。つまり、昔ながらの決まりごとを大事にしつつも、「今日は暑い」「今日は冷える」という自分の体の実感を優先した方が、結果的には無駄なく片付けられるんです。
体感温度を衣替えのスイッチにする
衣替えの合図を「日付」から「体感」に変えてみましょう。例えば――
「朝、半袖のままゴミ出しに行ったらちょっとぞくっとした」
「お風呂上がりにタオルケットだけだと冷えた」
「子どもが登園前に『今日長袖ある?』と聞き始めた」
こういう小さなサインが出てきたら、そこがあなたの家の衣替え時です。暦よりも、家の中の空気や家族の声の方が正確です。何故なら、家族それぞれで暑がりか寒がりかが違うからです。大人はまだいけると思っても、子どもは朝晩に冷えを受けやすいですし、高齢の家族はさらに冷えに敏感ですよね。ですから「10月になったから」ではなく「うちのメンバーが冷えを気にし始めたから」で動くのが一番合理的です。
秋は「年2回」より「こまめに」の方が合っている
元々、衣替えが年2回だったのは、服の種類そのものが今よりずっと少なかったからです。ところが今は、薄手でも長袖があったり、七分袖があったり、袖は短くても生地だけ温かい服があったりと、季節の狭間を埋める服がたくさんあります。ということは、「夏➡冬」を一気に替えるよりも、「夏の終わりに少しだけ」「本格的に冷えたらもう一度」という風に、年4回くらいの気持ちで入れ替えた方が理に適います。
おすすめは、9月後半~10月前半にかけての2回分けです。
まず、半袖の下に着られる薄手の長袖やカーディガンを出す。
そのあとで、本当に寒くなってから厚手のニットやアウターを出す。
こうすると、まだ暑さが残っている日でも「今日着るものがない」が起きにくくなりますし、いきなり分厚い服ばかりが前面に出てきて「クローゼットがパンパン」ということも防げます。
暦の行事は「綺麗にする日」として使う
とはいえ、「6月1日」「10月1日」という区切りは、家事のリズムを整えるにはとても良い日です。まったく使わないのは勿体ないので、現代風にこう読み替えてしまいましょう。
着る時期を決める日ではなく、クローゼットを点検する日
出しっ放し・掛けっ放しを一端リセットする日
来年も着るかどうかをサッと判断する日
つまり「着る服をガラッと変える日」ではなく「服の棚卸しをする日」です。特に秋は、夏の間にTシャツやタンクトップが増え過ぎていることが多いので、一度ここでたたみ直すと、その後の入れ替えがすごく楽になります。
家族の予定から逆算する
もう1つ大事なのが予定です。学校の運動会、遠足、会社の行事、法事、七五三のお参り……秋は何かと人前に出る用事が入りやすい季節です。こうした予定がある時は、その日から逆算して衣替えするのが安心です。例えば「10日後に運動会がある。朝は冷えそう」という場合は、まだ9月でも長袖や羽織り物を前の方に持ってきておきます。予定が終わってから慌てて服を掘り出すより、少し前倒しにしておいた方が、家族の中に「秋になってきたね」という空気も作れます。
このように、「いつから?」をたった1つの日付で決めるのではなく、体感、気候のゆらぎ、家族の生活、行事の予定――この4つを重ねていくと、あなたの家だけの丁度良い衣替え日が見えてきます。昔の決まりごとを知った上で、自分たちに合うように少し崩す。これが一番続けやすいやり方です。次の章では、その「崩した衣替え」を実際の収納にどう落としこむかをお話ししていきますね。
第2章…4つのボックスで回すほぼワンタッチ衣替え術
さあここからは、実際に手を動かすところに入っていきましょう。秋の衣替えが大変に感じる場面って、だいたい「今すぐ着たい服がどこにあるか分からない」「仕舞いたいのに入れる場所がない」「家族の分も一気にやるからごちゃっとする」という3つに集約されます。これをほどくには、先に“置き場所の考え方”を決めておくのが一番早いんです。
ここでお勧めしたいのが、今着る服を入れておくタンス(またはクローゼットの手前側)、それ以外を季節ごとに分けたボックスを3つ――という、合計4つの入れ物方式です。名前を付けるとしたら「春・夏・秋冬・今着る用」。この4つを決めてしまうと、衣替えは「入れ替える」というより「並べ替える」に近い作業になって、気持ちがとても軽くなります。
「今着る用」は家族で一番取りやすい場所に
まず最初に決めるのは、今まさに使う服だけを入れておく場所です。ここは引き出しでもハンガーラックでも構いません。ポイントは、家族が自分で手を伸ばすところにすること。子どもなら腰の高さ、大人なら立ったまま開けられる位置にしておきます。ここに入れていいのは、今週~今月に着る服だけ。つまりこの場所が溢れてきたら、「他の季節のボックスに戻す」タイミングだ、とすぐ分かるわけです。
この「今着る用」がフワッとしていると、全部ここに詰め込み始めてしまいます。ですから最初に「ここには10~15着くらい」「羽織りは2~3枚だけ」と自分の中で決めておくと乱れ難いです。数字はご家庭の人数や収納の大きさで変えてOKです。
「春ボックス」「夏ボックス」「秋冬ボックス」を作る
つぎに、残りの服を季節でざっくり分けます。ここでは厳密さよりも「後で見たときにすぐ分かること」を優先しましょう。ラベルを貼ってもいいですし、箱の色を変えてもいいですし、フタの上に季節の写真を貼っておくのも分かりやすいです。
秋の場合に大事なのは「秋冬ボックス」をひとまとめにしておくことです。何故かというと、秋の初めに出したいのは「そこまで厚くないけど長袖で安心な服」なのに、冬のニットやコートも別箱にしてしまうと、結局2つとも開けることになって面倒だからです。ひと箱にまとまっていれば、まずは薄手だけ取り出し、寒くなってきたら同じ箱から分厚いものを出せます。動きが1回で済みます。
肌着と羽織りは「別枠」で持つ
先ほどの第1章でも触れましたが、肌着と羽織り物だけは、季節に関係なく出し入れの回数が多いアイテムです。特に最近の肌着は、吸汗・保温・UV対策などの機能が毎年のように進化しているので、他の服と一緒に押し込んでしまうと、後で「これ去年のだから着たくない」となりやすいんですね。そこで、肌着だけは小さなケースにひとまとめ、羽織りだけはハンガーにひとまとめ、というふうに「季節ボックスとは別枠」にしておくと、入れ替えがとても楽になります。
ここを別にしておくと、秋の初めにやることはたったの2つになります。秋冬ボックスを開けて薄手の長袖と軽い羽織りを出す、肌着ボックスの中身を「涼感寄り➡保温寄り」に1段だけ入れ替える。これで、いかにも秋らしいラインナップがその日から作れます。
タンスごと入れ替える発想にしておく
「服1枚ずつをしまう」のではなく、「今の引き出しの中身をまるっと季節ボックスと交換する」という発想にしておくと、作業時間が一気に短くなります。例えば、今タンスの1段目に夏トップスが入っているなら、その段の服をそのまま「夏ボックス」に移し、かわりに「秋冬ボックス」の中から長そでを同じ段に入れます。服を選別するより、引き出しごと中身を入れ替えるほうがラクなので、続けやすいんです。
このやり方を家族で統一しておくと、「ママ、長袖どこ?」と聞かれたときでも「タンスの1段目に今の季節が全部入ってるよ」と答えられます。子どもが自分で支度しやすくなりますし、高齢の家族の服も見つけやすくなるので、介助の場面でも役に立ちます。
ここまでをまとめると、秋の衣替えは「仕舞う服を選ぶ」より「場所を決めておく」ほうが早い、ということです。4つの入れものさえ決まっていれば、気温が下がった日にサッと1段だけ替えれば良く、日付に振り回されずに済みます。次の章では、この入れ替えのタイミングで同時にやっておきたい“手放す基準”をお話ししていきますね。
第3章…手放す・残す・迎えるを同じ日にやる秋の断捨離
秋の衣替えでもっとも気持ちが軽くなる瞬間は、「あ、ここスカスカになった」と感じた時です。あれも着るかも、これもまだ使えるかも、と取っておくばかりだと、引き出しの中は年々ギュウギュウになっていきますよね。そこでお勧めなのが、出す日と同じ日に「手放す」「残す」「迎える」をまとめてやってしまうやり方です。時間は少しかかりますが、1回の手間でクローゼットの空気ががらっと変わります。
一番最初に「来年も着たいかどうか」で見る
断捨離というと、つい「傷んでいるかどうか」「高かったかどうか」を基準にしてしまいます。でも秋の場合は、ここから寒くなるという特性がありますから、まず「この服を来年の秋にまた出したいと思うか」で見てください。気温や流行は変わっても、「来年も着たい」と思える服にはだいたい共通点があります。色が自分に合っていること、今の生活に無理がないこと、そして着た時にちょっと気分が上がること。この3つのうち2つでも満たしていれば残して大丈夫です。
逆に言うと、去年は頑張って着ていたけれど、今年改めて見たら時めかない服は、この秋でお別れしても良い候補です。1年経つと、家の中の色合いも自分の顔周りの印象も変わります。特にママ世代・介護の仕事をしている方・園や学校に通うお子さんがいる方は、生活で求められる服装が季節ごとに細かく変わるので、「今の暮らしに当てはまらない服」は早めに整理しておくほど楽になります。
機能が大きく進化しているアイテムは入れ替え優先
近頃の肌着やレギンス、薄手のインナーは、年々温かさや吸汗の性能が上がっています。店頭で見かける「昨年品よりさらに軽い」「汗を外に出す」「重ね着してもゴロつかない」といったタイプは、手持ちの古いものと比べると、着心地の差がはっきり分かることが多いです。こういうジャンルは、長年とっておくよりも、秋の入口でしっかり入れ替えておくと、冬本番の快適さが段違いになります。
ここでのポイントは、全部を新しくしなくても良いということです。例えば肌着なら、週に何度も着るお気に入りの3~4枚だけ最新機能にしておく。残りはまだ使えそうなら「次に手放すグループ」として別の袋に入れておく。こうやってランクをつけておくと、次の衣替えの時に「これはもういいかな」と決断しやすくなります。
色あせ・形くずれ・毛玉は迷ったら手放す
どんなに思い出があっても、色がくすんできたり、首元が伸びたり、肘やお尻の辺りに毛玉が出てきたりした服は、どうしても着た時の印象が落ちてしまいます。特に秋は光が低くなってくるので、夏よりも服の擦り減りが目につきやすい季節です。そこで、鏡の前で「うーん」と1秒でも迷ったものは、その場で別の山に移しておきましょう。後でまとめて寝巻き用にする・掃除用にする・手芸にするなど、用途を変えても良いですし、思い切って手放すのもありです。
「高かったから」「誰かに貰ったから」「記念日で着たから」という理由で残してしまうと、クローゼットの中に“触れない服”が増えてしまいます。こうした服が多くなると、本当に今必要な服がとり出しにくくなり、結果的に同じようなカーディガンやカットソーをまた買ってしまう、というループに入りやすくなります。秋の最初のタイミングで一端空気を入れ替えておくと、このループを断てます。
新しく迎える服は「狭間を埋める」ものを
秋に服を買い足す時は、ついつい可愛いコートや、冬まで着られそうなニットに目が行きますよね。でも実は、一番出番が多いのは「真夏の服と真冬の服の間を繋ぐ服」です。例えば、長袖だけど生地は薄いシャツワンピ、半袖の上に重ねられる軽いニットベスト、朝夕の送り迎え用にサッと羽織れるショート丈のアウターなどです。こうした“狭間アイテム”は、秋の衣替えをラクにする上でとても役立ちます。
ここで大事なのは、手放す➡残す➡迎える、の順番を守ること。先に迎えてしまうと収納が膨らんでしまいますが、先に減らしておけば新しい服のスペースが必ず生まれます。収納の中に空きが見えた状態で新しい服を入れると、「ちゃんと整えて買っている」という満足感も残るので、片付けが後に回りにくくなります。
このように、秋の衣替えはただ服を入れ替えるだけでなく、持ち物の質を一段上げるチャンスでもあります。来年も着たくなる服だけに揃えておけば、次の秋は箱を開けた瞬間から気分がいい。そういう状態を目指すと、衣替え自体が楽しみになります。次の第4章では、ここまでを家族や職場・学校とどう折り合わせるか、少し実務寄りに整理していきますね。
第4章…家族・職場・学校の服の約束と折り合いをつける
ここまでで「いつ替えるか」と「どうしまうか」はだいぶ見えてきました。ところが実際にやってみると、最後に立ちはだかるのが「自分だけの判断では動かせない服」です。例えばお子さんの園や学校の制服、会社で決められているオフィスカジュアルの基準、介護や保育のように動きやすさが最優先される職場の服、季節の行事で着る和装や黒っぽいフォーマル……。こうした“外から決められている服”は、気温だけでは仕舞えないので、秋の衣替えでもうひと工夫が必要になります。
まずお子さんのあるご家庭で大事なのは、「園・学校で言われているものだけは最初に出す」という順番にすることです。9月の終わり頃になると、学校から「10月からは長袖を着せてください」「上着を持たせてください」などのお便りが届きますよね。ここで慌てないよう、家の衣替えをそのお便りより少しだけ前倒しにしておきます。すると、朝に「この服じゃダメだった」と着替え直すことがなくなり、子ども自身も「秋はこれを着るんだな」と覚えやすくなります。制服の下に着る肌着も、通学路の寒さに合わせて1枚だけ温かい物を常に用意しておくと安心です。
次に、職場の服の問題です。会社によっては「10月からはジャケット着用」「まだ冷房があるので軽装で良い」など、社内のルールが気温とリンクしていないことがあります。この場合は、家庭用の「今着る用」とは別に、通勤だけの小さなゾーンを作ってしまうのがお勧めです。例えばハンガー2~3本分を「会社に行く時だけの秋服」と決めておき、そこに求められている色・形だけを並べておきます。すると、家ではまだTシャツで過ごしている日でも、朝だけはサッと会社仕様に切り替えられますし、帰宅したらすぐに脱いでリビングの気温に合わせた格好に戻れます。仕事着を他の服と同じ引き出しに入れてしまうと、どうしても混ざってしまうので、ここだけは分けておく方が秋はラクです。
介護・保育・医療・販売など「人の前に立つ」「よく動く」仕事をしている方は、さらにもう1段階詳しく分けておくと安心です。動きやすいけれど綺麗めに見えるパンツ、汚れてもいいけれどすぐ乾くトップス、送迎や外回りの時だけ羽織る上着――この辺りを秋の初めにひとまとめにしておくと、朝の判断がとても早くなります。特に送迎のある仕事は、朝晩だけ冷える日が多いので、薄手のパーカーやカーディガンを「車に置く用」「玄関に掛けておく用」で1枚ずつ用意しておくと、衣替えがまだ途中でも対応できます。
家族が多いお家で意外と忘れがちなのが「行事でしか着ない服」の取り扱いです。七五三、秋のお祭り、法事、写真撮影、ピアノの発表会など、秋はきちんとした服を着る機会がポツポツと入ってきます。こうした服はシーズンの服と同じようにしまってしまうと、いざという時に見つけにくくなります。ですから、秋の衣替えをする日に「年内にまた着る綺麗め」のグループを作っておき、1か所に寄せておきましょう。和装を持っている方なら、「袷を出すついでに小物も揃えておく」「子どもの羽織りや足袋のサイズを見ておく」といった点検を一緒にしておくと、昔の“更衣”のような行事感も味わえます。
もう1つ大切なのは、家族の中で暑がり・寒がりの差を認めてしまうことです。おじいちゃんだけ早めに長袖を着たい、子どもはまだ半袖がいい、ママは夕方の台所仕事で冷えるからカーディガンが欲しい――こうした差を「皆同じ日に替えてね」としてしまうと、必ずどこかで不満が出ます。そうではなく、「メインの衣替えの日は同じ、でも実際に出しておく枚数は人それぞれ」で考えるとスムーズです。つまり、家族全員のクローゼットを一気に冬物にするのではなく、1人だけ先に羽織りの本数を増やす、あるいは子どものみ通学用の厚手を前に出す、といった“部分衣替え”を認めておくわけです。こうしておけば、「まだ暑い」「もう寒い」という温度差を、家族の中でやさしく吸収できます。
家庭・学校・職場、この3つに共通して言えるのは、「決められている服だけは早めに、その他はゆっくり」という順番にしておくと混乱が少ない、ということです。言い換えれば、外から動かされる分を先に片付けておけば、残りの私服は好きなタイミングで入れ替えられるということです。秋はイベントも多く、持ち物も増えますから、この考え方を1回決めておくと、来年以降も迷いにくくなります。次のまとめでは、ここまでの考え方をもう一度やさしく振り返っておきますね。
[広告]まとめ…ちょっと前倒しが秋のオシャレをラクにする
ここまで見てきたように、衣替えというのは本来「〇月〇日になったから全員一斉に替える」という行事でした。平安の頃の「更衣」も、明治以降の「10月1日」も、その時代の暮らしや服の数に合わせた、とても合理的な決めごとだったんです。ところが、今の私たちは服の種類も生活のリズムもグンと増えました。家の中は温かいのに通勤電車は冷える、子どもは外で走るからまだ半袖がいる、介護や保育で動く日は汗をかく……こうした細かい温度差は、昔の「年2回」だけでは吸収しきれません。
だからこそ、現代の秋は「決まりを守る」より「暮らしに寄せてずらす」方が上手くいきます。第1章でお話ししたように、合図にするのは日付より体感。朝のひんやり、子どもの一言、学校のお便り、仕事の服のルール。そうした身近なサインを4つくらい重ねて「そろそろだな」と動くと、無理のないタイミングになります。
第2章では、仕舞い方を先に決めておくと作業が軽くなることをお伝えしましたね。今着る服、春、夏、秋冬――この4つの入れ物を用意しておけば、「どこに入れよう」がなくなります。服を選ぶのではなく、場所を入れ替える。これは家族が多いお家ほど効いてきます。とくに肌着と羽織りを別枠にしておくと、秋の“ちょっとだけ冷える”時期に素早く対応できて、誰かだけ寒い・暑いを防げます。
第3章では、衣替えの日をそのまま「軽くする日」にしてしまう考え方をご紹介しました。来年も着たいかどうか、機能が古くなっていないか、色褪せていないか――ここを一度に見直すことで、クローゼットの中に風が通ります。先に手放す➡残す➡迎える、の順番でやると、後から入ってくる秋の服が綺麗に収まります。たったこれだけで「出したのにまた散らかった」が起きにくくなります。
第4章では、「外から決められている服だけは先に出す」というルールを作ると混乱しない、とお話ししました。園や学校の制服、会社での装い、介護や保育の現場で必要な上着、秋の行事で着る綺麗め。これらは気温よりも予定で動きます。だからここだけは早めに準備しておき、他の私服は“様子を見ながらゆっくり”で大丈夫。家族の中に暑がりさん・寒がりさんがいても、部分的に入れ替えればいいだけなので、皆が気持ちよく秋を迎えられます。
結局のところ、秋の衣替えを成功させる鍵は「回数を増やすことを自分に許す」だと思います。年2回にこだわらず、年4回くらいでもいい、9月に一度・10月に一度でもいい。少しずつ動かすようにすると、家の中の物がよく回り、服も気分も古びにくくなります。決まりごとは上手に借りて、後はあなたの家の暮らしに合わせて調整する――その方が、記事を読んでくれる皆様にも「このやり方ならできそう」とすっと入っていきますよね。
さあ、今年の秋は「今必要な分だけ、ちょっと前倒し」でいきましょう。クローゼットがフワッと空いた時のあの感じを、読んだ人が自分の家でも味わえるように、本文ではここまでの流れをやさしく繋いであげてくださいね。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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