空きスペースは埋める?残す?どっちが正解?~心と暮らしを軽くする余白の考え方~

[ 秋の記事 ]

はじめに…空いているだけで落ち着くこともある~余白をどう扱うかというお話です~

部屋の隅、棚の一段、施設のロビーの片側、駐車場の一角…。ポッカリ空いたところを見ると「ここ、何か置けるんじゃない?」とつい考えてしまうことがありますよね。物が増えているわけでもないのに、空いているだけで気になる。これは人の感覚としてとても自然なことで、「勿体ない」「折角なら役立てたい」という真面目さの表れでもあります。

ここ数年は、人と人との間隔を開ける場作りが広まりました。椅子を1つ間隔で並べたり、通路を広くとったり、利用者さんが行き来するスペースを確保したり…。ギュウギュウに詰めるよりも、少し余裕を持たせることで安心感や清潔感が出る、という考え方が浸透してきました。すると今度は逆に、「余白を作るのもいいものだな」「詰め込まない方が落ち着くこともあるな」と感じる場面も増えてきたはずです。

つまり、空きスペースには2つの顔があります。1つは「ここを活かしたらもっと便利になる」という前向きな顔。もう1つは「今はあえて何も置かない方が綺麗に見える」という静かな顔。どちらも間違いではありませんし、場所や人の出入り、季節の飾り付けなどによってもベストな答えは変わります。

この記事では、その2つの顔を一端、机の上に並べて、「何故、私たちは空いている場所を埋めたくなるのか」「使う前にどこまで考えておくと失敗しにくいか」「敢えて空けておくとどんな良さがあるか」を、順番に考えていきます。ご家庭でも、高齢者施設や事業所でも、ちょっとした模様替えや行事のレイアウトを考える時にそのまま応用できるようにお話ししていきますね。

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第1章…つい詰めたくなる私たち~空きスペースの魔力を言語化してみる~

空きスペース、何もない空間を目の前にすると、何故か手が動き出してしまう――そんな経験、あなたにもありませんか?私たちは無意識のうちに、空いている場所を見ると「何かを置きたい」「埋めておきたい」と考えてしまいます。これは、空きスペースに対して自然に持つ「埋めるべきだ」という感覚から来ているのです。

何故、空きスペースが気になるのでしょうか?それは、私たちの心の中で「空いている=何かが足りない」という思いが生まれるからです。さらに、人間は何かを埋めることで心の中に安定感や満足感を得やすいと言われています。特に日常生活では、スペースが埋まることで「整っている」「バランスが取れている」と感じることが多いため、無意識に何かを詰めたくなってしまいます。

この「空きスペース」に対する欲求は、身の回りでもよく見かけます。例えば、勉強机に広がる空白部分。机の上に物が少ないと、逆に「何か置かなければ!」と焦ってしまいます。また、衣替えの時に空きスペースが出来ると、「これを収納しなければ!」という気持ちが強くなり、気がつけば不必要な物を詰め込んでしまうこともあります。

また、模様替えや引っ越しをする時にも、同じように「空きスペース」に対する衝動が湧き上がることがよくあります。新しい場所に引っ越した時、何も置かれていない広い部屋を見ていると、そこに家具を並べたくなりませんか?広々とした空間が逆に落ち着かない、もしくは「空間が寂しい」と感じて、何かを配置したくなる気持ちになるのです。

実際、空きスペースは時に無意識のうちに、何かで埋めてしまいたくなる魔力を持っています。それは、「整理されている」「秩序がある」という感覚を得られるからです。確かに、空きスペースがない状態にすることで、目の前の空間に対する安心感や満足感が得られることは多いのです。しかし、この「埋める」行為は本当に必要なのでしょうか?少し立ち止まって考えてみましょう。


第2章…活用するならここまで考えたい~場所・人・目的の3点チェック~

空きスペースが気になる時、最初に思い浮かぶのは「ここに何かを置こう」「活用しよう」といった考えかもしれません。しかし、無理に埋める前に一度、立ち止まって考えてみることが大切です。何故なら、空きスペースの使い方が、場所、使う人、目的によって大きく変わるからです。

まず、空きスペースを有効に活用するためには、次の3つのポイントをしっかり考慮することが必要です。

場所の特性を理解する

空きスペースを活用する際、最初に考えるべきはその場所の特性です。部屋の中であれば、どのエリアが最も活用しやすいかを考えます。例えば、リビングの片隅に空きスペースがあった場合、家族全員が集まる場所で使いやすい家具やアイテムを置くのが良いでしょう。一方で、狭い廊下や通路部分は、収納に使うのは逆に不便です。

また、公共の場や施設の場合は、空きスペースを活用する際に「動線」を意識することが重要です。人が良く通る場所に物を置くと、通行の妨げになりかねません。逆に、あまり人が集まらない場所に工夫を凝らして家具や装飾を配置することで、そのスペースがより利用しやすくなります。

使う人を意識する

次に大切なのは、空きスペースを使う人を意識することです。空きスペースの使い方は、そのスペースを利用する人によって変わります。

例えば、高齢者が多い施設であれば、移動しやすさや安全性を優先した空間作りが求められます。余計な家具を並べたり、狭いスペースに多くのものを詰め込んだりすると、転倒や事故の原因になることもあります。逆に、子供が遊ぶ場所であれば、広くて開放的な空間を保ちつつ、柔らかい家具や収納を取り入れて、遊びやすい環境を作るのが効果的です。

また、自宅で家族の生活スタイルに合わせて、空きスペースの活用方法も変わってきます。家事を行う場所であれば、収納を工夫して物が出し入れしやすいスペースを作ることが大切ですし、リラックスしたい空間であれば、敢えて何も置かず、シンプルに落ち着いた雰囲気を作ることが有効です。

目的を明確にする

空きスペースを活用する際、最も重要なのは目的を明確にすることです。「とりあえず何か置こう」という感覚で物を詰め込むのは、後々の後悔を招くこともあります。まずは、その空間をどのように使いたいのかをしっかり考えましょう。

例えば、部屋に空きスペースがあった場合、その目的が「収納スペース」なのか、「作業スペース」なのか、「リラックス空間」なのかを考えると、どんなものを置けばいいかが見えてきます。収納スペースにしたいのであれば、効率的な収納方法を取り入れ、作業スペースにしたいのであれば、デスクや作業台を設置することが有効です。

また、リラックス空間として使いたい場合には、柔らかい照明やクッション、植物などで落ち着いた雰囲気を作ることが大切です。目的に合わせたアイテムを選ぶことで、その空間がより心地よく、機能的に感じられるようになります。

このように、空きスペースを活用する際には「場所」「使う人」「目的」の3つの要素をしっかりと意識することで、ただ物を詰めるだけではなく、実際に使いやすく、居心地の良い空間を作ることができます。無理に詰め込むのではなく、必要な物を見極めて、空間を上手く活かす方法を考えることが大切です。


第3章…敢えて何もしない選択~空きのままにしておくことの意外な価値~

空きスペースに物を詰め込んで「活用する」ことが一般的ですが、実は「何も置かない」「空きのままにしておく」ことには、意外な価値があるのです。空きスペースは、ただ物がない状態ではなく、そのままであることの美しさや利便性も感じることができます。
空きスペースに対して、無理に埋めなければならないというプレッシャーを感じている方も多いかもしれません。しかし、実際には「空けておくこと」がもたらす利点は数多くあります。

すっきりした空間が広がる

空きスペースがあることで、全体の見た目が広々と感じられ、スッキリとした印象を与えることができます。過剰に物を置くことで逆に窮屈に感じたり、物が雑然として見えることがありますが、何も置かないことで自然と余裕を持たせることができ、空間の美しさを際立たせることができます。

特に自宅や公共の施設であれば、スペースに余裕を持たせることで、より快適に過ごせる環境を作ることができます。空間の余裕は、ストレスを減らし、心理的な安定感をもたらす効果もあります。

お掃除がしやすくて衛生的

物が少ないスペースは掃除がしやすく、衛生的な環境を保ちやすいという大きなメリットがあります。例えば、部屋の隅々まで掃除機がかけられるようになったり、家具の隙間に埃が溜まりにくくなったりします。また、空きスペースがあることで、掃除の際に「取り外しやすい」家具や小物が少なくなるため、効率的に掃除ができます。

特に、高齢者が住む施設などでは、掃除が行き届くことで衛生面に配慮がなされ、住人の健康管理にも役立ちます。空きスペースを確保することは、単に見た目だけでなく、生活の質を向上させるためにも重要な要素となるのです。

新たな物を用意する楽しみができる

空きスペースを残しておくと、何もない場所に新しいアイテムを置く楽しみが生まれます。何を置くか、どんな家具を選ぶか、どんな飾りを加えるか、こうした選択肢の自由さが、空間作りの楽しみを広げてくれます。

また、新しい物を迎えるために、慎重に選ぶことになります。これによって、空間に不必要なものが増えず、むしろ選び抜かれたアイテムだけを置くことになり、より洗練された空間を作り上げることができます。例えば、リビングの空きスペースにお気に入りの観葉植物を置く、ベッドルームにシンプルなデザインの椅子を加えるなど、必要なものを「ゆっくり選ぶ」ことで空間の質が高まります。

思考の余裕が生まれる

空きスペースは、物理的にだけでなく、心の余裕も生み出します。物で埋め尽くされた空間では、目の前の物に目を奪われ、心の中で感じる余裕が少なくなることがあります。しかし、何もないスペースを見つめていると、次に何をするか、どんなアイデアが浮かぶかを冷静に考える余裕が生まれます。空間に余白を持たせることは、心の余白も作ることに繋がります。

特に仕事や創造的な活動をしているときに、集中するための静かな空間を作ることが大切です。雑多なものに囲まれていると、逆に思考が散漫になってしまうこともあります。何もない空間を意識的に作り出すことで、考えやアイデアが整理され、心の中で落ち着きが生まれるのです。

このように、空きスペースをそのままにしておくことには、物を詰め込む以上の価値があります。無理に物を置くことが必ずしも「活用」とは限りません。空きスペースを活かし、そのままであることのメリットを感じることで、私たちの生活や仕事がより充実し、快適に進んでいくのです。


第4章…これからの施設・家庭での余白作りアイデア集

空きスペース、つまり「余白」の活用方法を考える時、施設や家庭でのニーズや目的に合わせてその使い方を工夫することが求められます。これからの時代、余白の使い方には新しい視点が加わり、ただ物を置くのではなく、心地よく、効率的に過ごすための選択肢が増えてきています。

ここでは、施設や家庭で取り入れやすい余白作りのアイデアを紹介します。どれも簡単に取り入れられ、空間をより快適に、かつ機能的に使うためのヒントが詰まっています。

多目的なスペース作り

空きスペースを一つの用途に特化せず、様々な使い方ができる「多目的スペース」として活用する方法です。例えば、リビングルームの片隅を「勉強スペース」「仕事スペース」「お茶の時間スペース」として、時間帯や気分によって使い分けることができます。収納家具やパーティションを使えば、簡単に空間を仕切り、用途に合わせて柔軟に変更できるので非常に便利です。

高齢者施設などでも、多目的スペースを作ることで、居住者が自分のペースで活動する自由度が増します。例えば、リハビリ用の道具を収納し、必要に応じていつでも使えるようにしたり、休憩スペースにソファを置いてリラックスできる環境を提供したりすることが可能です。

自然光を取り入れた空間作り

空きスペースをただの「空き」ではなく、心地良い空間に変えるために有効なのが「自然光」の活用です。自然光は、視覚的に広がりを感じさせ、心にもリラックス効果をもたらします。大きな窓があれば、そこに植物を配置したり、座れるようなスペースを作ると良いでしょう。自然光がたっぷり入る空間で過ごすことは、精神的な健康にも良い影響を与えます。

高齢者施設でも、明るい場所に空間を作ることで、利用者の活動的な時間を増やしたり、精神的な安定を図ったりする効果が期待できます。また、逆に直射日光を避けるためにシェードやカーテンを使って、柔らかな光を取り入れる工夫も大切です。

収納+ディスプレイのバランスを考える

空きスペースをただの「収納場所」として使うのではなく、収納とディスプレイのバランスを取ることも重要です。収納家具を使って物を整理するだけでなく、その上にお気に入りの写真や小物を飾ることで、生活に彩りを加えることができます。特に棚や収納ボックスの上など、ちょっとしたスペースを使って小さなディスプレイをするだけで、空間が一気に華やかになります。

また、施設であれば、住民の個性を反映させたディスプレイコーナーを設けることで、その場所に親しみを持たせることができます。空間に温かみを加え、住民が自分らしさを感じられるような工夫をすることで、生活の質が向上します。

余白を生かすシンプルなインテリア

シンプルで機能的なインテリアを選ぶことで、空きスペースを余裕のある落ち着いた空間に変えることができます。過度に装飾された家具や小物が散乱するのではなく、スッキリとしたデザインの家具やアクセントを取り入れることで、空間が広く感じられ、視覚的なストレスも軽減します。

高齢者施設でも、過剰な装飾を避けることで、歩行の妨げにならず、家具の配置をシンプルに保つことが安全性に繋がります。軽やかなデザインの家具を取り入れることで、視覚的にも開放感を与え、居住者の気分を明るく保つことができるでしょう。

コモンスペースとしての活用

施設の中でも家庭内でも、皆が集まる「コモンスペース」を作ることは、空きスペースを最大限に活かす方法です。リビングや談話室、カフェコーナーなど、皆が集まる場所に心地良いソファやテーブルを配置して、自然に人が集まりやすくします。これにより、空きスペースが単なる「空間」から、交流やコミュニケーションの場所に変わります。

施設内であれば、居住者同士の交流を促進するためのイベントを行う場所としても活用できます。家庭内でも、家族全員がリラックスして過ごせる場所として使うことができます。

これからの余白作りは、ただ物を置くだけではなく、目的に応じて空間をどう使うか、どのように心地よい空間を作り出すかが大切です。上記のアイデアを参考にしながら、空きスペースを使って自分らしい、または居住者にとって最適な環境を作り出すことが、空間作りの真の価値を引き出します。

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まとめ…納得して使うか納得して残すか~それだけで片付けはずっと楽になる~

空きスペースというのは、ただの「空間」ではありません。それは、生活の質を高めるための貴重な資源です。この記事で紹介したように、空きスペースには「詰め込む」ことも「何も置かない」ことにも、それぞれの魅力と利点があります。重要なのは、ただ物を置くのではなく、その場所にふさわしい使い方を見つけることです。

空きスペースを有効活用するためには、まずその場所や目的に合わせて、何を置くべきか、何を残すべきかをじっくり考えます。勉強や仕事、リラックスのための空間を作りたい場合、どんなアイテムが必要かを考えることが大切です。逆に、何も置かずに広々とした空間を保つことで、視覚的な広がりや清潔感を得ることも可能です。

また、特に施設や家庭のように、多くの人が使う空間では、その利用者のニーズや活動内容に合わせて余白を活かす方法を考えることが重要です。多目的に使えるスペースを作ることで、使い勝手が良くなるだけでなく、精神的にも落ち着ける場所を提供できます。自然光やシンプルなインテリアを活かすことで、空間全体が心地よく、開放的に感じられるようになります。

空きスペースは、無理に埋めるのではなく、時には何も置かないという選択も重要です。「何もない」という状態がもたらすのは、ただの余白ではなく、心の余裕を生み出します。その余裕が、仕事や家事、リラックスの時間をより充実させ、快適な環境作りに繋がります。

最後に、空きスペースをどう活用するかは、結局その空間でどんな生活を送りたいかにかかっています。無理に物を詰め込むことなく、空間に余裕を持たせながら、使いやすく心地よい場所を作ることが、今後の空きスペース活用における鍵となります。どんな空間でも、ちょっとした工夫で無限の可能性が広がります。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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