芋栗南瓜で整える秋のご馳走時間~女性が惹かれてしまう理由~
目次
はじめに…どうして秋になるとホクホク系が食べたくなるのか
秋になると、なぜか甘いお芋をふかしたくなったり、栗の入った和洋スイーツに手が伸びたり、南瓜のポタージュを作りたくなったりしますよね。暑さが和らいで、空気がカラリとしてくると、人の体は「そろそろエネルギーを溜めておこう」「乾きやすいお肌を守ろう」という方向にゆっくり切り替わっていきます。すると自然と、糖質があって、ビタミンがあって、食物繊維もあって…という、ちょっと手触りの良い食べ物を欲しがるようになります。まさに芋・栗・南瓜がピタリとはまる季節です。
しかも面白いのは、これらが「女性の好物」として語られてきた歴史があることです。江戸の頃から「芋・栗・蛸・南瓜」といった言い回しが残っているくらいで、現代のコンビニやカフェで秋になるとラインナップが一気に“ホクホク色”に染まるのも、その延長線上にあると考えると納得がいきます。昔の人も今の人も、体が気候に合わせて欲するものはそう変わらない、ということなのかもしれません。
とはいえ、「美味しいから」といってどんどん食べると、体重や糖質が気になってしまうのもまた現代の悩みです。そこで本記事では、元の素材の持っている力をやさしく拾い上げながら、どうすれば秋の味覚を楽しみつつ美容や体調も味方につけられるのか、歴史の小ネタも混ぜながらお話ししていきます。お料理のレシピ集というよりは、「なぜ女性は芋・栗・南瓜にときめくのか」を味わう読み物として楽しんでいただければ幸いです。
この後、江戸の言葉に残る食の好みを紐解き、次に芋・栗・南瓜がどれほど自在にお菓子やご飯へ姿を変えてきたかを見て、続いて秋の肌やお腹との相性を考え、最後に日々の食卓で無理なく続けるコツをまとめます。秋の台所でそっと思い出してもらえるような内容を目指しますので、どうぞゆっくり読み進めてくださいね。
[広告]第1章…江戸の女性も好きだった?芋・蛸・南瓜から辿る女子の味覚史
昔の人の暮らしを描いた本の中に、「当時の女性が好んだもの」として名が挙がっているものがあります。よく知られている形だと「芝居・蒟蒻・芋・蛸・南瓜」という並びで紹介されます。今風に言えば、芝居はドラマや舞台のような娯楽、蒟蒻は体にやさしい食べ物、芋と南瓜はほくほく甘いおかずやおやつ、蛸は滋養をつける食材といったところでしょうか。面白いのは、これが男性ではなく女性の好物として語られている点です。季節の物を上手に取り入れて、自分の体調や美しさを整える感覚は、江戸のおんなたちも大切にしていたのだろうと想像が膨らみます。
この並びの中で、まず目につくのが蒟蒻です。現代でも「たくさん食べても気になりにくい」「お腹に溜まるのに軽い」という理由で、女性の味方として語られますが、考え方の根本は江戸の頃からそんなに変わっていないのかもしれません。蒟蒻芋を原料にした食べ物は当時から既に広く食べられていて、体を重くし過ぎない食材として重宝されていました。彩りを変えて白や赤の蒟蒻が出てくるのは後の時代ですが、「食べたいけれど太りたくはない」「でも満足感は欲しい」という気持ちに寄り添う点では、今と繋がっています。
次に芋です。秋と聞くと私たちはすぐサツマイモを思い浮かべますが、このサツマイモが日本で広く食べられるようになるのは、少し時代が下ってからです。沖縄に入ってきたのが1600年前後、鹿児島に広がったのが1700年代ごろ、そのあと飢饉対策として幕府が本格的に広めた、という流れが知られています。つまり、芋は「おいしいから食べる」だけでなく、「保存が効いて、女性や子どもでも食べやすくて、しかも体を壊しにくい」という実用面でも支持されたわけです。しかも芋は根っこだけでなく、柔らかい葉や茎も炒め物として食べられ、ビタミンもとれるので、肌やお通じを気にする人にはうってつけでした。
そして少し意外なのが蛸です。蛸は海の国では嫌われることもある生き物ですが、日本では古くからお祭りや行事の料理に登場し、7月2日の半夏生には「田んぼに水が入ったら蛸を食べる」といった習わしもあります。たんぱく質がとれて、しかも脂が少ない。さらにタウリンや亜鉛も含まれているので、暑さでバテやすい時期に力を戻すにはピッタリの食材です。味の主張が強すぎないので、繊細な味付けを感じ取りたい人には向いており、「味の違いが分かる=ちょっと粋」という価値観にも繋がっていきます。食を楽しみつつ体調も整えたい女性が好んだ、という説明がしやすい食べ物です。
南瓜もまた、女性に好まれた理由が分かりやすい食材です。アメリカ大陸原産で、丸ごとなら長く保存でき、煮てもよし、甘くしてもよし。日本では冬至に南瓜を食べると風邪をひかない、という言い伝えがありますが、これは実際に南瓜に体を温めるのを助ける成分やビタミンが多いからです。気温が下がると肌が乾きやすくなり、手足も冷えやすくなります。そんな時に甘くてホッとする南瓜料理をとると、心も体も同時に緩むので、「これはいいものだ」と記憶に残るわけです。こうした体感の積み重ねが、「女性は芋や南瓜が好き」というイメージを後世に残したのだと思われます。
ここまで読んで「あれ、栗は?」と感じた方もいるでしょう。そうなんです、この古い言い回しには栗が出てきません。けれど日本人と栗の付き合いはもっと古く、縄文時代の遺跡からも見つかるほど身近な木の実でした。サツマイモが広まった時期の記録には「栗と比べても甘い」といった書き方があり、つまり栗はすでに“甘さの基準”として親しまれていたことになります。言葉として残ったのが芋と南瓜だっただけで、実際の暮らしの場では栗ももちろん秋のお楽しみとして食べられていたわけです。現代になって「芋栗南瓜」という並びがすっと受け入れられたのは、この生活感があったからだと考えると自然です。
江戸の女性たちは、季節の物をおいしく食べながら、自分の体を労わることを楽しんでいました。現代の私たちがコンビニの新作スイーツ売り場や、和菓子屋さんの秋限定の棚にひょいと吸い寄せられるのも、実は同じ感覚の延長線上にあります。次の章では、その芋・栗・南瓜が、どうしてこんなにいろいろな姿に化けられるのかを見ていきます。
第2章…ご飯にもお菓子にもスイーツにもなる三銃士~芋・栗・南瓜の変身力~
芋・栗・南瓜が秋になると一気に主役に躍り出るのは、「甘くておいしいから」という理由だけではありません。ご飯にもおやつにも、和風にも洋風にも、ほっこり系にも華やか系にも姿を変えられる“扱いやすさ”があるからです。もともと味がやさしく、香りも上品で、色合いも温かいので、どんな料理に混ざっても馴染みやすいのです。台所に1つあるだけで献立の幅が一気に増えるので、昔の家庭でも現代の家庭でも重宝されてきました。
芋・栗・南瓜はご飯ものの味をやわらかくする
例えば炊き込みご飯。お米は主食なので毎日食べますが、そこにさつまいもや南瓜を入れて炊くと、急に季節を感じる1品になります。いも類や南瓜は火が通ると甘味が出ますから、塩や出汁との相性がとても良く、味が尖らずにまとまります。芋のほくほく、南瓜のほろりとした舌触りが加わることで、お米だけの食感よりも満足感が増します。栗ご飯も同じで、普段は少し敷居が高く感じる栗も、ご飯に混ぜてしまえば「家で作れるごちそう」に早変わりです。
さらに面白いのは、さつまいもの葉や茎も炒め物として使えることです。根の部分よりビタミンが多いので、肌や体調が気になる季節には嬉しいところです。主役の芋はご飯に、葉や茎はおかずに、と使い分けられるので、無駄がありません。昔の人が「秋に手に入ったらしっかり使い切る」としていたのも頷けます。
お菓子・デザートにすると香りと色が引き立つ
一方で、芋・栗・南瓜は甘さを生かしたお菓子作りでも大活躍します。マッシュにして生クリームと合わせれば洋風、白あんと合わせれば和風、と自在に方向を変えられます。さつまいものプリンやスイートポテト、南瓜のケーキやプリン、栗きんとんやモンブラン……どれも素材の色をそのまま使えるので、見た目からして秋らしくなります。色の力は大きくて、黄色やオレンジやほんのりとした茶色が食卓に並ぶと、それだけで「あ、秋が来た」と感じやすくなるのです。
こうした秋の甘味が毎年少しずつ新しく登場してくるのは、芋・栗・南瓜がどれも味の主張がやさしいからです。バターやミルクと合わせれば洋菓子に寄せられますし、黒糖やきな粉、白玉と合わせれば和の雰囲気になります。甘味をたくさん足さなくても素材のほくほく感と香りで満足できるので、体を冷やさずにデザートを楽しみたい季節にはぴったりです。
南瓜はさらにスープにもなります。とろりとした食感が出るので、牛乳や豆乳と合わせるだけで立派な一品になります。固まり具合を調整すれば、パンに塗るペーストにもなりますし、パイの具にしてもおいしく仕上がります。1つの食材がこれほど多方向へ派生できるのは、元々の味が素直で、火を通すと甘くなるという特性があるからです。
栗だけは特別扱いされ続けた
芋や南瓜に比べると、栗は少し“ハレの日”寄りの扱いをされてきました。縄文の頃から日本人の傍にあった木の実でありながら、皮をむく手間がかかり、採れる時期も短いので、どうしても「秋の贅沢」という位置付けになりやすいのです。そのため、日常的なおかずよりも、栗ご飯や甘露煮、茶巾など、丁寧に仕立てた料理へと育っていきました。さつまいもが全国に広まった時代に「栗にも負けない甘さ」と評された記録が残っているのは、それだけ栗が美味しさの物差しになっていたということです。
現代の女性が秋に「芋もいいけど栗のスイーツも食べたい」と感じるのは、この“ちょっと手間のかかった季節のご褒美”という記憶がどこかに残っているからでしょう。普段づかいの芋や南瓜、特別感のある栗。この3つが揃うことで、秋の食卓やおやつ時間はぐっと豊かになります。
このように、芋・栗・南瓜は一見似ているようでいて、得意分野が少しずつ違います。ご飯に混ぜて季節を出すのが得意なもの、砂糖や乳製品と合わせて華やかに仕立てるのが得意なもの、ゆっくり煮ふくめて体を温めるのが得意なもの。それぞれの持ち味を知っておけば、毎年の秋の台所が「また同じ味」にならず、少しずつ新鮮に楽しめます。次の章では、こうした秋の味覚がどうして肌やお腹の調子と繋がるのか、その辺りを見ていきます。
第3章…秋のお肌とお腹をやさしく守るホクホク美容の考え方
秋の体は、夏とは違う疲れ方をします。強い日差しで水分を奪われ、冷たい飲み物でお腹は少し弱り、さらに朝夕がグッと冷え込むようになると、今度は肌の表面が乾いてきます。外からは乾燥、内側からは冷えと疲労、これが同時に押し寄せるので、頬に小さなかさつきが出たり、いつもよりお通じが乱れたりしやすいのが秋です。こうした季節に心強いのが、さつまいもや南瓜のように温かくて食物繊維があり、しかも満足感の高い食べものです。食べるだけでホッとして体の力みがほどけるので、肌にもお腹にも“やさしい刺激”として届きます。
さつまいもはカロリーが高そうに思われがちですが、実際には食物繊維がとても多く、じっくり消化していきます。ゆっくりお腹を満たしてくれるので、急に血糖が上がって怠くなる…というような疲れ方をし難いのが特徴です。また、芋の部分だけでなく葉や茎にもビタミンが豊富で、油で軽く炒めると吸収が良くなります。秋の肌を滑らかに保つには、水分だけでなくこうしたビタミン類も必要なので、「芋は太るから全部止める」としてしまうより、「量を見ながら上手に食べる」にしておいた方が、結果として見た目の調子は整いやすくなります。
南瓜も同じように、体を内側から温めてくれる食材です。黄色やオレンジの野菜に多い成分は、乾燥しやすい季節の肌を守るサポートをしてくれます。しかも南瓜は、煮物にすれば油をほとんど使わずに甘さを引き出せるので、胃腸を疲れさせません。夏の間に冷たい飲み物や冷たいデザートでお腹を冷やしていた人は、ここで一度“火の通った甘さ”に切り替えてあげると、腸の動きも落ち着きやすくなります。お腹の音が静まると、肌の調子も少しずつ安定してきます。
一方で、栗はどうしても糖質がしっかりしています。昔から「栗はご馳走」とされてきたのは、味が良いことに加えて、手に入る期間が限られていて、しかもエネルギー源として優秀だったからです。現代のように1年中甘いものがある暮らしでは、栗だけをたくさん食べるとバランスが崩れやすい面もあります。ただ、「秋の楽しみを1つも取らない」という考えもまたストレスを生みます。食べることを我慢すると、心の方が乾いてしまい、それが肌荒れに繋がることもあります。ですから栗は“楽しみ枠”としてとっておき、普段の整え役を芋や南瓜に任せる、という分け方が一番現実的です。
ここで大事なのは、芋・栗・南瓜を減らすことより、一緒に飲んだり食べたりするものを少し秋仕様に変えていくことです。例えば朝と昼に冷たい柑橘のジュースをたくさん飲んでいるなら、夜に温かいスープへ寄せていく。冷蔵庫から出したばかりのスイーツを食べる回数を、週の中で数回だけ常温に置き換える。そうするだけでも胃腸は驚くほど落ち着きます。そこにさつまいもを蒸かしたものや南瓜の煮物が加わると、お腹が“冷やすより温める方に傾いている”状態になります。温める側に傾くと、体は余計な水分を溜め込もうとしませんから、浮腫みにくくもなります。
秋は、夏のダメージを置いてきぼりにしたまま冬に突入してしまうと、乾燥と冷えで一気に肌が萎んでしまいます。だからこそ、秋のうちに「温かくてやさしい甘さのものを少し」「食物繊維でお腹を動かす」「我慢をし過ぎない」という3つを緩く回しておくと、冬本番に入った時のコンディションが違ってきます。芋・栗・南瓜はその3つをまとめてやってくれる心強い味方です。次の章では、こうした秋の味覚と上手に付き合うために、日々の買い方や作り方でどこを意識すればいいかをお話しします。
第4章…食べ過ぎず楽しむための小さなコツ~市販スイーツと手作りの付き合い方~
ここまで「芋・栗・南瓜は秋の体にやさしいですよ」とお話ししてきましたが、同時に気をつけたいのが“おいし過ぎてつい食べすぎる問題”です。今の時代は、コンビニでもカフェでも和菓子屋さんでも、秋になると一斉にこの3つを使った商品が並びます。しかもそれぞれがとても魅力的に仕上がっているので、「今日はお芋のプリンにしよう」「やっぱり栗のモンブランにしよう」「南瓜のチーズケーキも捨てがたい」と迷っているうちに、気づけば甘いものが毎日続いてしまう…ということが起きやすくなります。
ここで大切なのは、「全部を止める」のではなく「食べる形をコントロールする」方に考え方を寄せることです。例えば市販のスイーツは、見た目も香りも上品で満足度が高い代わりに、日持ちのためや食感のために糖や脂がしっかり入っていることが多いです。これはプロが“おいしい状態を保つ”ために必要な工夫なので、悪いことではありません。だからこそ、こうしたスイーツは週の中で「とっておきの日」に回し、他の日は芋や南瓜をふかしただけのシンプルな食べ方にする、といった使い分けが効果的になります。
手作りができる日には、ぜひ素材の甘さを前面に出す調理法を選んでください。さつまいもなら蒸して塩をほんの少し、南瓜なら皮をよく洗って柔らかく煮て、砂糖を控えめにして潰すだけでも、秋らしい一品になります。栗なら、全部をマロンペーストにするのではなく、白玉やお餅と合わせて量をゆっくり食べられるようにすると、おやつ時間が長く楽しめます。砂糖や油を加える量を自分で決められる点が手づくりの一番の強みなので、素材そのものの香りが感じられるうちに火を止める、なめらかにし過ぎず食感を残す、といった“引き算”を意識すると、体への負担も小さくなります。
もう1つ、秋の台所で覚えておくといいのが「丸ごと買って、適度に仕込んで、残りは冷凍する」というサイクルです。南瓜は丸のままなら常温でしばらく持ちますが、切ってしまうと傷むのが早くなります。そこで、切ったらすぐに煮物用とスープ用に分けて火を通し、小分けにして冷蔵や冷凍にしておくと、食べたい時にすぐ出せます。さつまいもも、蒸したりふかしたりしたものを輪切りにしておくと、朝食にヨーグルトと合わせたり、夜に味噌汁に入れたりと、甘いおやつに寄せすぎない使い方ができます。これなら「食べごろを逃したから一気に食べよう」という極端なことがなくなり、結果的に体型も肌も安定します。
市販の秋スイーツは、季節の情報を一番最初に教えてくれる“案内人”のような存在です。新作を見て「今年もこの季節が来たな」と感じるのは、とても豊かなことです。ですから、好きなものを1つ選んでしっかり味わい、その日のうちに“締め”を手作りや素朴な料理に戻す、というリズムにしてあげると、心とお腹の両方が満足します。例えば午後に栗のケーキを食べたら、夜は南瓜の味噌汁で温める。朝にさつまいものパンを食べたら、夜は炊き込みご飯ではなく野菜多めのものにする。そうやって一日の中で落としどころを作っておくと、「食べちゃった…」という後味の悪さが残りません。
さらに言えば、芋・栗・南瓜はどれも“食べる場面を作りやすい”食材です。家族で分けられるパウンドケーキにしてしまえば、自分一人で全部を抱え込むことはありませんし、ふかしたさつまいもを切ってお皿に乗せれば、まわりの人が自然に手を伸ばしてくれます。誰かと分ける前提で用意すると、量も自然と適量になります。これは江戸の頃に女性たちが季節のものを楽しむときにもあった知恵で、「好きだけど体にやさしく食べたい」という気持ちを、生活の段取りで支えていたのだと思われます。
こうしてみると、芋・栗・南瓜は無理をして我慢する対象ではなく、暮らしの中でどう姿を変えさせるかを楽しむ相手だと分かります。素材のままの日、甘く仕立てた日、外で買ってきたものを味わう日。その3つを行き来できれば、秋の味覚を長く、そして綺麗なまま楽しめます。次のまとめでは、ここまでのお話を秋の台所で思い出しやすい形で整理しておきますね。
[広告]まとめ…好きを我慢しない方が秋は綺麗になる
秋になると芋・栗・南瓜が恋しくなるのは、けっして偶然ではありません。暑さで弱ったお腹をやさしく立て直したい、乾き始めたお肌を中から支えたい、寒くなる前にほっと一息つきたい――そんな体の小さな声に、これらの食材はとても素直に応えてくれるからです。江戸の頃に「芋・蛸・南瓜」として女性の好物に名前が挙がったのも、季節の変わり目を気持ちよく過ごしたい気持ちを、食べものが支えてくれていた証拠のように思えます。
現代はそこに“栗”が加わり、和菓子にも洋菓子にも、炊き込みご飯にもスープにも姿を変えられるようになりました。どれも甘さや香りが穏やかなので、少し手を加えるだけで秋らしい1品になり、家族やお客さまと分け合えるご馳走にもなります。こうした“変身力”があるからこそ、女性が秋になるとつい手に取りたくなるのでしょう。
もちろん、毎日たくさん食べればいいというものではありません。市販のスイーツで季節を感じる日、素材のままふかして簡素に味わう日、手作りで砂糖や油の量を調整する日――この3つをゆるやかに回していくと、体の負担を抑えながらしっかり楽しめます。特にさつまいもと南瓜は、温かさと食物繊維でお腹とお肌を整えやすいので、秋のうちから食卓に上げておくと冬場が楽になります。栗は“ご褒美枠”としてとっておけば、心の満足度も下がりません。
結局のところ、芋・栗・南瓜は「美味しいから食べる」と「綺麗でいたい」を同時に満たしやすい、秋ならではのありがたい味方です。我慢ではなく、食べ方の方を少し工夫する。そうすれば、台所にあるホクホクとした食材たちが、そのまま季節のケア用品になってくれます。今日の献立を考えるときに、ふと「1品だけでも秋色にしてみようかな」と思い出してもらえたらうれしいです。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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