秋の夜長はゆる回復から~9月は頑張らずに整えるリラクゼーション術~
目次
はじめに…夏の熱を手ばなして静かな夜を取り戻す9月の入り口
夏が終わりに近づくと、夕方の風がフッと軽くなってきますよね。日が沈むのも早くなって、19時前にはもう部屋の中がしっとりとした夜の雰囲気になります。これがまさに「秋の夜長」の始まりです。けれど、ここで1つ気をつけたいことがあります。外の空気は秋っぽくなってきても、私たちの体の中はまだ真夏モードのまま、ということが多いのです。
特に9月は、日中はまだ30℃近くまで上がるのに、夜はひんやりしてくるという差が大きい時期です。昼の暑さで体力を使い、夜になると「やっと涼しくなった!」と気が緩んで、つい本や動画を長く見たり、音楽を聴きながら片付けをしてしまったりします。すると翌朝、思ったより体が重い…そんなことが起きやすいのが9月です。昔からある「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、まさにこの“油断しやすい季節の狭間”を指しているんですよね。
さらに9月は、敬老の日やお彼岸など家の用事・親族の集まりが入りやすく、子どもがいるご家庭なら学校行事も増えはじめます。高齢の方だけでなく、子育て世代もおしごと世代も、実はみんな少しずつからだに負担がかかっている月なのです。だからこそ、秋の夜長をどう楽しむかの前に「どう休むか」を決めておくことが大事になります。
このお話では、9月という“秋の前半”をテーマにして、読書や映画をガマンしろ、ということではなく、「がんばりすぎないで整える夜」のつくり方をまとめていきます。音や香りを少し工夫してみること、寝る前にからだをゆるめること、室温をさっと合わせること。どれも難しいことではありませんが、10月から12月にかけて行事がふえてくる前にやっておくと、あとが本当にラクになります。
涼しくなってきたから何かしたい――その気持ちを大切にしながらも、今月は「ゆるく回復する夜」を中心にしていきましょう。秋はこれから長く続きます。9月でととのえた人から、きっと秋冬が楽しくなりますよ。
[広告]第1章…涼しいのに体はまだ夏仕様~9月の体の特徴をきちんと知る~
9月になると、夕方の風がサラッとしてきて「もう秋だなあ」と思いますよね。ところが、この時期の体は意外にも夏のダメージをまだ抱えています。日差しの強さ・冷房の効き過ぎ・寝苦しい夜の累積などで、体力は思っている以上に擦り減っているのに、外の空気だけが先に秋へ進んでしまう。ここに「何となく調子が出ない」「夜だけ元気で昼がしんどい」というややこしいリズムが生まれます。
まず知っておきたいのは、9月は昼と夜の差が大きくなる月だということです。日中はまだ30℃近くまで上がるのに、夜は20℃台前半まで一気に下がる日が出てきます。体は急な変化に弱いので、この差だけで自律神経がちょっと忙しくなります。昼の暑さに合わせて汗をかき、夜になって急に冷えると、今度は体温を逃がさないようにギュッと力が入る。これを数日くり返すと、目には見えないところで疲れが溜まっていきます。
さらに9月は、家の用事が重なりやすいのも特徴です。お彼岸の準備、敬老の日まわりの集まり、地域によっては行事の打ち合わせ。高齢の方なら親族の来訪が増えますし、子育て中のご家庭なら学校や園の予定がぽつぽつ入り始めます。「もう涼しいから大丈夫」と思って外出すると、日中の暑さと人の多さでドッと疲れる。夜になってから「せっかくだから読書も映画も」と続けると、翌朝になって急に体が重くなるわけです。
ここでありがちな落とし穴が「涼しくなった=体力が回復している」と思い込んでしまうことです。実際には、涼しいのは空気であって、体の中はまだ夏の後片付け中です。汗で失われた水分がしっかり戻っていなかったり、冷房で冷えたままの内臓が完全には温まり切っていなかったりします。乾いた北寄りの風が入るようになるので、肌や喉からも少しずつ水分が抜けていきます。汗をあまりかかないので油断しがちですが、薄い脱水になっていることも珍しくありません。
そしてもう1つ、9月は「夜が気持ちいいからつい頑張ってしまう季節」でもあります。夏の間に我慢していたことを一気に始めたくなるんですね。読書をまとめて進める、動画をシリーズで見る、音楽を聴きながら模様替えをしてしまう…。どれも秋らしい楽しみ方ですが、体の準備が出来ていないうちに夜だけ活動量を増やすと、昼の暑さとのダブルパンチで疲労が増えます。結果として「9月に体調を崩しやすい人」が出てくるのです。
だからこそ、この月の合言葉は「出来ることが増えたからといって一気にやらない」にしておくのが安心です。夜が長くなるからこそ、あれもこれもではなく、1日1つ丁寧に楽しむ。涼しさに助けられつつも、体はまだ夏の名残りを引きずっている――このギャップをちゃんと意識できる人が、秋本番の10月・11月を元気に迎えられます。
第2章…夜更かしで崩さないための3つの基本リズム~睡眠・水分・空調~
1章でお話ししたように、9月は「外は秋っぽいのに、体の中は夏の後始末中」という少しややこしい時期です。ここで夜だけ活動量を増やすと、翌日の昼の暑さに負けてしまいます。ですから、まずは夜を楽しむ前に「夜で体調を崩さない仕組み」を作っておきましょう。難しくはありません。ポイントは常に3つ、つまり、どのくらい眠るか、どのタイミングで潤すか、部屋をどう涼しく(または温かく)しておくか、です。この3つが揃うと、夜にちょっと本を読んでも、音楽でリラックスしても、翌朝に疲れを持ち越し難くなります。
睡眠のスタート時間をずらし過ぎない
涼しくなると、つい「今日は気持ちいいからもう少し起きていよう」と遅くまで起きていたくなりますよね。ところが9月の体は、まだ夏に削られた分を回復させたいと思っています。ここで睡眠の開始時間を一気に1時間以上ずらすと、体内時計がびっくりしてしまいます。理想は、普段よりせいぜい30分遅いくらいまで。どうしてもドラマや映画を観たい日があるなら、途中で区切って翌日に回す、あるいは21時台にいったんお風呂とストレッチを済ませてから観るようにする、といった「前倒しの準備」を付けておくといいですね。
また、この時期はまだ真夏のように汗をかかないので、寝入り端に冷えを感じることがあります。寝不足にこの冷えが重なると、朝の怠さが長引きます。寝具を少しだけ秋寄りにして、タオルケットだけでなく、膝掛けや薄い布団をすぐ手の届くところに置いておきましょう。眠りは「何時間寝たか」よりも、「どんな状態で寝始めたか」の方が影響します。9月は特に、ここを丁寧に。
水分は夜が涼しい日こそ忘れない
日中が暑い時は意識してお茶を飲みますが、夜が涼しくなると急に飲む量が減ります。ところが9月は、空気が乾き始める上に、昼の暑さでじわじわ汗を盗まれている状態です。つまり「喉が乾いていないのに足りていない」という日が多いのです。そこでおすすめなのが、夜のルーティンに1杯だけ常温の飲み物を決めておくことです。お白湯でもいいですし、カフェインの少ないお茶でも大丈夫です。冷たい物をグイッと飲むとお腹が冷えやすいので、ここは温かめ・常温寄りにしておくと安心です。
高齢のご家族がいるお家では、ここがとても大事になります。9月は行事で動く機会が増えるので、昼のうちに水分を使い切ってしまい、夜には「もういらない」と思ってしまう方が多いからです。けれど、水分が足りていないと、翌朝にボーッとしたり、喉がカラカラで食欲が湧かなかったりします。若い人でも肌がカサッとしたり、メイクのノリが落ちたりするので、「涼しい=もう飲まなくていい」にはしないようにしましょう。
空調と室温を気温差に勝てる設定に
9月で一番体に堪えるのは、外気温と室温の差です。昼間にまだ冷房を使うご家庭は多いと思いますが、その状態で夜に窓を開けて寝ると、想像以上に冷えてしまいます。特に日本海側や北寄りの風が入る地域だと、窓を少し開けるだけで一気に室温が下がります。そうなると、体は「さっきまで冷房で冷えていたのに、今は外気でさらに冷えている」という二重の冷えを受けてしまうのです。
そこで、夜は「完全に冷やす」のではなく「深夜に冷え過ぎないように守る」方に考え方を変えましょう。例えば、就寝前まではエアコンで26~27℃くらいにしておき、寝る時に送風やお休みモードに切り替える。あるいは窓を開けて風を通すなら、体に直接当たらないように風向きを変える。これだけで、夜中に体温が下がり過ぎて目が覚めることが減ります。子どもや高齢の方がいるお家では、部屋ごとに薄い羽織りものを1枚置いておくと、家族それぞれの暑がり・寒がりにも対応できます。
――この3つを押さえておくと、「秋の夜長だから」という理由で夜に時間を使っても、翌日のパフォーマンスが落ち難くなります。9月はこれからいろいろ始まる手前の月です。今のうちに夜の基本リズムを慣らしておけば、10月以降の行事ラッシュにもスッと乗れますよ。
第3章…音・香り・光で作るお家スパ風のリラックスタイム
ここからは、実際に夜の時間をどう整えていくかのお話です。9月は、外を歩けば虫の声がして、風も柔らかくて、ちょっとした工夫だけで一気に「秋らしさ」を感じられます。だからこそ家の中も、それに合わせて静かに整えてあげると、体が「もう休んでいいんだな」と素直に受け入れてくれます。難しい道具はなくても大丈夫です。音・香り・光、この3つをやさしく整えるだけで、普段のリビングや寝室が、ゆるい家庭用スパのようになります。
音を柔らかくすること
夏の間はテレビの音量も扇風機の音も大きめになりがちです。ところが秋に入ったら、夜はできるだけ音を絞る方向に変えてみましょう。おすすめは、ゆっくりしたテンポのピアノやアコースティック系の曲、もしくは波・川・虫の音を模した環境音です。これらは心拍を緩めて、さっきまで忙しく働いていた脳を「夜モード」に切り替えてくれます。どうしても聴きたい歌がアップテンポなら、再生するのは料理やお風呂の時間までにして、寝る前の30分は落ち着いた音だけにする、という使い分けが良いですね。
ただし、完全に無音にしてしまうと、却って外の音が気になって眠れない人もいます。その場合は、音量をとても小さくして、耳を澄ませば分かるくらいのレベルで流しておきます。9月は窓を開けることも多いので、外の虫の声と室内の音楽が混ざると、グッと季節感が出ますよ。
香りを秋寄りにすること
夏は柑橘やミントなどのさっぱり系が気持ち良かったと思います。けれど9月は、空気が少し乾き、夜に冷えも出てきますから、香りも少しだけ温かい方向に寄せてあげると体が落ち着きます。ラベンダーやカモミールのような、眠りをさそう優しい香り、あるいはほんのり甘さのある花の香りが合いやすいです。ディフューザーがなくても、ティッシュに1滴たらして枕元に置くだけで十分です。香りが強く残ると翌朝に重く感じることがあるので、あくまで「微香」に留めるのがポイントです。
お花を飾るのも良い時期です。秋の七草のように、見た目がすっきりしている花を1輪だけでも飾っておくと、視覚的にも「今は秋を味わう時間だ」と思いやすくなります。香りと見た目が揃うと、短時間でも深く休めます。
光を夕方仕様にすること
9月の夜長を台なしにしてしまう一番の原因は「光が眩し過ぎること」です。白くて強い照明は、脳に「まだ昼だよ」と伝えてしまいます。すると寝る時間になっても頭の中が動いたままになり、翌朝まで疲れが残ります。そこで、寝る1時間前になったら照明を1段絞る、スタンドライトだけにする、間接照明を使うなど、光を夕方寄りの色に落としてあげましょう。ほんの少しオレンジがかった明かりにすると、秋の夜の空気とよく馴染みます。
この時、スマートフォンやタブレットの光も出来れば弱くしておきます。画面の明るさを手で下げるだけでも、目の疲れ方が違います。どうしても画面を見るときは、間にアイマスクで目を冷やす、ホットタオルで瞼を温めるなど、リカバリーを1つ入れておくと安心です。
触感を少しだけ秋に寄せる
音・香り・光を整えたら、最後に「触り心地」です。9月は、肌に触れるものをほんの少しだけフンワリさせると、体が「もう冷やさなくていいんだ」と理解します。タオルケットをガーゼに変える、クッションカバーを秋色の柔らかいものにする、パジャマを長袖にしてみる。たったこれだけですが、寝付きの深さが変わります。発汗を全て吸いとる物よりも、「触った時に気持ちいいか」で選んで大丈夫な季節です。
――このように、家の中の3つか4つの要素をやさしく秋寄りにしてあげると、「今日は夜でも無理しなくていいな」という気持ちが自然に湧いてきます。9月の夜は、頑張る時間ではなく、体に「涼しくなってきたよ、そろそろ冬の準備をしようね」と伝える時間です。ここで緩く整えておけば、次の月に予定が重なっても、戻ってこられる夜の居場所が出来ますよ。
第4章…10月からのイベント続きに備える溜めない夜の過ごし方
9月をどう暮らすかは、実は10月以降をどう楽しく乗り切るかと繋がっています。これから先を少し思い浮かべてみてください。10月は運動会や地域行事、職場でも行楽シーズンの企画が入りやすくなります。11月は文化系のイベント、12月に入れば年末準備と冬の行事がいっきに動き出します。つまり9月は「まだそんなに忙しくないのに、体だけは疲れが残っている」という、年内で一番調整しやすい月なのです。ここで夜を欲張ってしまうと、10月に入った途端にガクッと来てしまいます。
ですから4章では、敢えて「やらないことを決める夜」の作り方をお伝えします。何かを足すより、余計な負担を引く方がこの時期は効果が大きいからです。特に家事・趣味・人付き合いの3つは、夜に持ち込みがちなので、順番に緩めていきましょう。
まず家事です。涼しくなると台所にも立ちやすくなり、「今の内に作り置きをしておこう」「衣替えを済ませてしまおう」とやる気が出てきます。もちろんそれは良いことなのですが、夜に一気にやると、体は昼間の暑さ+夜の作業で2重に疲れます。おすすめは、夜は“仕込みだけ”、作るのは翌日にまわすというやり方です。お米を研いでおく、翌日の味噌汁の具だけ切っておく、衣替えなら洗った服を種類ごとに積んでおくだけにする。完成まで持っていかないことで、夜の時間がちゃんと休む方向に残ります。
次に趣味です。読書・映画・動画・ゲーム、秋になるとどれも楽しいですよね。ここを全部やろうとするから寝るのが遅くなります。9月だけは「1夜1テーマ」にしてみてください。今日は本の日、明日は音楽だけ、明後日は映画を途中まで。こうしておくと、心は満たされるのに、目と脳の負担はグッと小さくなります。特に映像ものは光の刺激が強いので、就寝前に長時間続けるのは控えめに。どうしても観たい時は、入浴➡ストレッチ➡温かい飲み物、までを全部終わらせてからにすると、観終わってすぐ眠れます。
最後に人付き合いです。9月は「少し落ち着いたから会おうか」「この前のお礼を」など、柔らかい誘いが入りやすい月です。全部受けていると、結果的に夜が潰れて、回復のチャンスが無くなります。これから運動会・文化祭・年末行事と続くことを考えると、「今月は夜の予定は週に〇回まで」と緩く上限を決めておくと安心です。家族で暮らしている方なら、「19時以降は家の中で過ごす日」をカレンダーに作ってしまうのも良いやり方です。予定が見えていると、体も心もその日に向けて緩みやすくなります。
ここまで読むと、「せっかく涼しくなったのに、あまり遊ばないほうがいいの?」と思われるかもしれません。そうではなくて、「秋は長いから、前半で体力を使い切らないようにしようね」というお話です。秋前半の9月は、夏の疲れをやさしくほどく時期。秋中盤の10~11月は、行事やお出掛けを楽しむ時期。さらに冬に入ると、体を冷やさない工夫が必要になる時期。こんな風に3段階で考えると、9月を静かに過ごす意味がとても分かりやすくなります。
夜を休息用にとっておけた人は、10月に急に寒くなった日にもバテませんし、11月の忙しさにも乗りやすくなります。反対に、9月から夜をフル回転させてしまうと、気温がグッと下がる10月半ば頃にドッと疲れが出て、「せっかくの秋が味わえなかった…」となりやすいんです。だからこそ、今のうちに引き算の夜を覚えておきましょう。やらなかったことが、そのまま秋後半の元気として残ってくれますよ。
[広告]まとめ…9月を静かに整えた人から秋冬がグッと楽になる
ここまでお付き合いいただいて分かるように、9月は「気候は快適になってきたのに、体はまだ夏でくたびれている」という、ちょっとズレた時期でした。だからこそ、秋の夜長をどう楽しむかよりも、「秋に入るための体を作る夜にする」という考え方がぴったり合います。ゆっくり眠る・水分を忘れない・空調を整える――この3つを先に整えておけば、本や音楽や香りの楽しみも、無理なくのせられます。
とくに9月は、日中と夜の温度差に振り回されやすいので、夜に頑張った分がそのまま翌日の怠さになって返ってきます。ここで「あ、やり過ぎたな」と1回リセットしておく人が、10月以降の運動会や地域の行事、家族の集まりを元気にこなせる人です。逆にここで夜を遊び倒してしまうと、体の中に夏の疲れと秋の冷えが一緒に残ってしまい、せっかくの行楽シーズンに体調がついてこなくなります。
9月の夜を“お家スパ”風にしておくことには、もう1つ良い点があります。それは「家でゆっくり休むのが当たり前だ」という空気を家族の中に作れることです。大人が落ち着いて休んでいると、子どもも自然と静かな遊びを選びますし、高齢のご家族も夜に無理をしなくなります。家族の皆の夜のテンポが緩んでくると、誰かが体調を崩しても立て直しやすくなります。
秋はまだまだ続きます。10月は動く月、11月は味わう月、12月は締めくくる月。だからこそ、前半の9月は「溜めない」「冷やし過ぎない」「頑張り過ぎない」でいきましょう。今月を丁寧に過ごした分だけ、後から来るお楽しみが綺麗に乗ってきますよ。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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