激闘!ダンボール場所 ~新横綱は誰だ! 笑って転げる夏の大相撲~

目次
はじめに…― 今年の夏、施設に突如現れた“土俵”の目的とは…笑いと栄誉の奪い合いだった⁉
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今年の夏、施設に突如として現れたのは、冷房の効いたホールの真ん中にぽつんと置かれた、ひときわ輝く円形の段ボール土俵。
まわりに貼られた手作りの行司札と、カラフルな“まわし”を巻いた紙力士たちが並ぶ姿に、通りがかったご利用者がぽつり。
「…これ、うちの孫より可愛いかもなぁ」──笑い声がじわりと広がった。
きっかけは、新しい横綱誕生というニュース。
「よっしゃ、うちの施設にも横綱を誕生させようじゃないか!」というスタッフの思いつきが、数日後には本格的な「段ボール場所」開催に発展。
段ボールと紙と養生テープと、あとは根拠のない自信だけを武器に、私たちの夏の大一番が幕を開けたのです。
「老人ホームで相撲⁉」そう思ったそこのあなた、ご安心を。
ガチンコではありません、紙です。
だけどその熱量は、国技館にも負けていないかもしれません。
なにせ、力士の名づけから応援合戦まで、何から何まで手作り。
そしてなぜか、誰も彼もが異様に真剣…。
さて、この夏一番の笑いと涙と筋肉痛(?)に彩られた「ダンボール場所🩷」。
紙と段ボールが、こんなにも人を夢中にさせるとは――どうぞ、笑いながらお付き合いください。
第1章…まわしは折り紙で土俵は段ボール――準備期間後に戦いの火蓋が落とされる!
始まりは、ひとりの利用者さんの何気ないひとことだった。
「最近、テレビで相撲やってるけど、うちでも場所開いたら面白いんじゃないかい?」
──この冗談のような一言を真に受けたのが、我らが介護スタッフA氏である。
その日の午後にはすでに会議室に段ボールが山積み。
なぜか同時に折り紙コーナーが設置され、色とりどりの“まわし”が量産され始めた。
こういうことに全力を出すのがこの施設の真骨頂である。
土俵のベースは、スーパーでもらってきた厚手の段ボールを丸く切ったもの。
まわりには画用紙で作った“しきり線”が貼られ、テープで補強された本格派。
「ここまでは完璧」と誰かが言い出すと、「いや、まだ呼び出し役がいない」「弓取り式はどうする」など、誰も頼んでいないのにこだわりが炸裂。
やがて“行司の軍配は手のひらサイズのうちわ”に決まり、施設長も無言でハチマキを装着していた。
力士も当然ながらオリジナルである。
「顔が描けるように」とスタッフが白い紙を切り抜き、名前入りの化粧まわしまで登場した。
中にはなぜか「金のまわし(キラキラ折り紙製)」をまとった大関候補や、異常に足が長くて全然倒れない“カタカナ力士”など個性豊か。
ご利用者も「うちの孫に似てるの作って」「昔は“やせのうなぎ”って呼ばれてたんだ」と、名乗るも名付けるも楽しそう。
かくして、笑いと汗と紙くずにまみれながら、段ボール場所の準備は整っていった。
テレビで見る大相撲とはスケールが違う。
けれどこの場所には、手作りならではの味と、誰もが主役になれる魔法があった🩷。
第2章…ご利用者様が燃える――推し力士と名前の妙技に爆笑必至!
いよいよ迎えた“紙力士お披露目会”。
まず最初に土俵を飾ったのは、背中に小さく「ごはん大盛丸」と書かれた、どこか親しみを感じる体型の力士だった。
するとすぐに、どこからともなく「これ、うちの晩ごはん代表だわ」と拍手と笑い声が飛んだ。
紙でできた力士たちは、ひとりひとりに名前がつけられていた。
「つるぴかの富士」「ひざ神海(かい)」「くしゃみ錦」「ヨーグルトノ山」など、どれも聞いた瞬間に“何かを思い出す”ネーミング。
これはもはや紙相撲ではない。
記憶と笑いのぶつかり合いである。
さらに面白いのは応援合戦だ。
自分の推し力士を決めたご利用者が「がんばれー!くしゃみ錦!」と叫び、「あんた、さっきくしゃみして負けたやん」と突っ込まれるやりとりがあちこちで勃発。
スタッフも、立ち上がって軍配を持ちながら「ただいまの取り組み、軍配は“つるぴかの富士”に上がりました!」と本気の実況を展開。
もはや相撲というより、即興芝居に近い熱量である。
ちなみに、「これ作ったの誰?倒れないじゃない!」と苦情が出た“重心ズレ太郎”という力士がいたが、それはスタッフTが夜勤でコツコツとバランス調整した自信作であり、「それだけに倒せたら大関クラス」と特別ルールが設けられることとなった。
名前をつけて、応援して、盛り上がって――紙の力士たちが生きて動き出すような錯覚に包まれる。
不思議なことに、みんなの表情が次第に子どもの頃に戻っていくようだった。
紙の上で、確かに心が跳ねていた🩷。
第3章…行司も絶叫!紙相撲の魔境――なぜこんなに盛り上がる!?
いよいよ幕が上がった、第一回・施設内ダンボール場所夏場所。
主審(仮)はもちろんスタッフMさん。
白いハチマキをきりりと締め、「はっけよい、のこったーっ!」の号令とともに、小さな紙力士たちが紙の土俵で激突する。
…といっても、実際にぶつかるわけではない。
台座をトントン叩いて振動で相手を倒すという、きわめて静かな戦法。
それなのに周囲は騒然。
「今の反則じゃない?」「あの力士、風圧で踏ん張ったわよ」「行司、軍配返し!」と、解説も野次も入り混じって本家の国技館よりも熱気がある(かもしれない)。
驚いたのは、勝敗がついた瞬間のリアクションだ。
ほんの1ミリ動いて倒れただけでも、「よっしゃああああああ!!!」と立ち上がる応援団。
手に持った応援うちわをふりまわしながら、「これだから紙相撲はやめられん」と叫ぶ利用者Hさんは、普段は将棋好きの静かな方だったりするから侮れない。
なかでも伝説となったのは、“きんにくの隆”対“おむすび山”の一戦。
両者ともに勝ち進んできた実力者(紙)であるが、なんと開始1秒で“おむすび山”が観客席(=机の端)まで転落する大波乱。
これには応援していた利用者さんが「おむすび、コロリンした…」と天を仰ぎ、そのあまりの綺麗なオチにみんなで腹を抱えて笑った。
紙相撲というと「昔の遊び」と思われがちだが、ここまで来るともはや立派な夏の大イベントである。
なにしろ行司が本気、観客が熱狂、力士が転倒、そして全員が爆笑。
これはもう、レクリエーションの域を超えた、魂のエンタメだ。
誰もがルールを理解できて、参加も応援も自由。
しかも材料は紙と段ボール。
けれどそのシンプルさこそが、想像力と笑いの無限大を生む魔法になっていたのだった🩷。
第4章…勝者に贈られし“ラムネの杯”――涙と笑いの表彰式
決勝戦は、静まり返ったホールに鳴り響く軍配の声で幕を開けた。
「のこった!」の合図とともに、紙の土俵の上で揺れ始めるふたりの力士。
“きんにくの隆”と“ひざ神海”。
どちらも数々の激戦を勝ち抜いてきた猛者(紙)である。
…だが、勝負は意外な結末を迎える。
なんと、両者が同時に倒れるという“紙相撲界最大の珍事”が発生。
審判団(スタッフ3人)は騒然とし、観客席では「物言いだ!物言いだ!」と声が飛ぶ。
協議の末、「ひざ神海」の倒れ方が美しかったという理由で勝利が決定。
納得したのかしていないのか、「まあ、しゃーないな」「次はビデオ判定いれよう」と笑い声で全体が包まれた。
そして、表彰式。
勝者に贈られたのは――金メダル…ではなく、キンキンに冷えた瓶ラムネ。
「シュポンッ!」という爽快な音とともに、拍手が沸き上がる。
まるで本物の横綱が誕生したかのような空気に、ご本人(紙)は風でめくれながら微笑んでいるようだった。
「わたし、応援してただけなのに、なんか嬉しいね」
「昔の縁日思い出すわぁ、ラムネのあの音、好きだった」
そんな言葉があちこちからこぼれ、目を細めて笑う表情のなんと眩しいこと。
レクリエーションという言葉では言い表せない、ひとつの“物語”が終わった瞬間だった。
参加した人も、応援した人も、そして倒された紙力士たちまでもが、すべてが主役だった。
笑って、拍手して、喉を鳴らして飲むラムネのひと口に、この夏いちばんの思い出が詰まっていた🩷。
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まとめ…紙でも笑顔は本物!真剣だからこそ面白い~夏の相撲レクは人生の縮図~
高齢者レクリエーションといえば、どこか“静かに穏やかに”というイメージを持たれがちだけれど、今回の「段ボール場所」はその常識を見事に覆した。
まわしが折り紙、土俵が段ボール、力士は紙。
それなのに、いや、それだからこそ、大人たちは真剣になれたのかもしれない。
大声で笑い、全力で応援し、スタッフもご利用者も一丸となって紙力士たちの勝敗に一喜一憂するその姿は、まるで青春の部活か何かのようだった。
「おむすび山、頑張れー!」「よっしゃー!勝ったー!」と叫ぶその声は、加齢も杖も忘れさせるほど若々しく響いていた。
なにより心に残ったのは、勝者だけでなく、参加した全員の顔に浮かんでいた“最高の笑顔”。
勝ち負けだけじゃない、“一緒にやる楽しさ”こそが、このイベントの真の醍醐味だったのだと思う。
施設で働く者として、こうした一体感を生む場をつくることの尊さを改めて感じた。
笑い声が天井まで響くような午後、手のひらサイズの勝負に、大きな絆が生まれていた🩷。
レクリエーションとは、遊びではない。
日々の生活のなかに、ふと立ち上がる人生のドラマであり、みんなの心が同じ方向を向く一瞬の“祭り”なのだ。
この夏の段ボール場所、勝者は決まった。
けれど、笑顔で締めくくった全員が“真の優勝者”だったことは、誰の目にも明らかだった。
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