二十四節気で暮らしが弾む~高齢者と楽しむ春夏秋冬のやさしいレクリエーション歳時記~

目次
はじめに…季節は“説明するもの”より“一緒に感じるもの”~二十四節気が会話と笑顔を連れてくる~
朝の窓際に柔らかい光が差して、「今日は少し風が違いますね」と誰かが呟く。そのひと言だけで、場の空気がフッとほぐれることがあります。高齢の方と過ごす時間では、季節を難しく説明するより、一緒に見つけて、一緒に笑う方がずっと自然です。二十四節気は、そのためのちょうど良い合図になります。立春、夏至、白露、冬至。名前を口にするだけで、昔の暮らしや家族の記憶がそっと動き出し、和気藹々とした会話の種が生まれます。百花繚乱というには控えめでも、壁に一枚の飾り、机に一つの季節の色、そこに短いやり取りがあれば十分です。季節が見えるだけで、その日の時間は少しやさしくほどけていきます。
しかも、立派な催しを毎回どーんと用意しなくても大丈夫です。春は明るい色を足し、夏は涼しさを呼び、秋は眺めて語り、冬は温かさを囲む。そんなふうに一期一会の空気を積み重ねていくと、一年の流れがそのままレクリエーション(楽しみながら心身を動かす活動)の土台になっていきます。職員さんもご家族も「今日は何をしよう」と身構え過ぎずに済みますし、参加する側も「今日はそんな季節かあ」と肩の力を抜きやすくなります。気合い満点の大イベントも素敵ですが、毎回それでは息が切れます。人も予定表も、時々、静かに座りたい日がありますからね。そんな日にこそ、二十四節気は頼もしい相棒になります。
▼詳しく読む
親と過ごす季節をもっと楽しく~二十四節気と行事ご飯・飾り・小さなレクリエーション集~
暦でほどく秋の時間~二十四節気と七十二候をやさしく案内~
暦で辿る冬の入り口と出口~二十四節気と七十二候で味わう季節~
第1章…春の節気は心ほぐしの合図~立春から穀雨までを軽やかに楽しむレクリエーション~
春のレクリエーションは、最初から満開を目指さなくて大丈夫です。寒さの名残がある立春は、体より先に言葉で春を迎える時季。窓際に桃色を1つ置く、若草色の紙を1枚足す、それだけでも空気は変わります。高齢の方の表情は、賑やかな音よりも、こうした小さな変化にフッと動くことがあります。春のレクは、上手に盛り上げることより、季節がそっと入ってくる扉を開けることが大切です。春風駘蕩という言葉が似合う日は、会を引っ張るより、季節を迎えに行く気持ちで十分です。
雨水の頃は、雪が雨へとほどけ、土の気配が少し近づきます。「昔はこの時分になると何をしていましたか?」と尋ねるだけで、畑の話、庭の話、台所の支度の話がこぼれてきます。職員さんが全部を説明しなくても、参加者さんの記憶が先生になってくれるのがこの季節の嬉しいところです。和気藹々と話が続いた後に、花の貼り絵や、黄色い丸シールで菜の花を咲かせる手仕事を重ねると、会話の余韻がそのまま作品に残ります。張り切って予定表だけが先に春爛漫、当日は風が冷たくてみんなで肩を竦める……そんな日もありますが、それもまた春らしい愛嬌です。
啓蟄から春分へ向かう頃には、室内のレクも少し外を向きます。外気浴(外の空気を短時間感じること)ほど長くなくても、ベランダや窓辺で「今日は風が柔らかいですね」と言い合うだけで十分です。たんぽぽや菜の花の写真を回したり、春の歌を一曲だけ口ずさんだり、歩ける方には無理のない範囲で数歩だけ廊下や庭先へ出たりするのもよく似合います。春分の話題は、昼と夜の長さだけでなく、「季節がきちんと進んでいる」という安心感にも繋がります。そこからお彼岸の思い出や家族の食卓の話へ流れると、静かな場でも心が温まりやすくなります。春の散歩や外の気配を優しく広げるなら、4月の歩く時間を描いた読み物とも相性がよく、次の一歩に繋がりやすいでしょう。
清明から穀雨にかけては、見る春から触れる春へ少しずつ移ります。景色が明るくなり、土や水の話が自然に似合い始めるので、小さな鉢に触れる、葉の香りを確かめる、霧吹きで水をかける、そんな穏やかな参加型の時間がつくりやすくなります。指先の強張りが気になる方には、柔らかい布やお花紙を使って「つまむ」「押さえる」動きを中心にすると安心です。元気な方には短い歩行や体操、ゆっくり過ごしたい方には眺める活動と会話。こうして同じ春でも段階をつけると、無理なく季節感を分かち合えます。春は勢いで走る季節ではなく、心と体の準備運動をする季節。そう思うと、少し控えめな日ほど、とても良い一日になったりします。
▼詳しく読む
理事長と事務長が桜の下で介護家族会議!~祖父母のお花見裏ワザ帖~
介護があっても母の日と父の日はあたたかい~祖父母に気持ちが伝わる過ごし方~
ゴールデンウィーク?勤務ですけど何か?~妄想旅行と爆笑レクで乗り切る現場の黄金週間~
第2章…夏の節気は涼と元気の出番~立夏から大暑までを無理なく味わう工夫~
夏のレクリエーションは、頑張り過ぎない工夫がそのまま出来ばえになります。立夏を迎える頃は、まだ本気の真夏ではありません。けれど、光は少しずつ鋭くなり、窓の外の色も春とは変わってきます。そんな時季は、新緑の色を壁に足したり、紫陽花やてるてる坊主を机に並べたりして、「夏が近づいていますね」と場に知らせるだけで十分です。二十四節気の良いところは、季節を急がせないこと。体力に差が出やすい夏こそ、臨機応変に“今日はこのくらい”を決められるのが心強いのです。夏のレクは、元気な人に合わせて動くより、みんなが気持ちよく過ごせる温度を見つける方が上手くいきます。
小満から芒種にかけては、育つものを話題にすると場が膨らみます。野菜の写真を見ながら「きゅうりは塩で揉みたいですよね」と笑ったり、梅の話から昔の台所仕事へ広がったり、稲や畑の記憶がポロリと出てきたり。こういう時間は、回想法(昔の記憶をやさしく引き出す関わり)にもなりやすく、手を大きく動かさなくても参加しやすいのが魅力です。梅雨入りが近い日は、無理に外へ向かわず、室内で晴耕雨読の気分に寄せるのもよく似合います。シトシトの雨の日に「今日は外が主役ですね」と言って、青や水色の紙を並べるだけでも、部屋の空気は少し涼しくなります。職員さんが先に汗だくで走り回り、利用者さんが落ち着いて見ているだけの図になると、もはや誰のレクか分からなくなるので、夏は特に静かな段取りが勝ちやすい季節です。
夏至の頃は、昼が長いことそのものが話題になります。夕方の明るさを眺めたり、金魚や川や雨上がりの風景を見たり、風の音に耳を澄ませたり。派手な企画でなくても、季節を感じるには十分です。そこへ短い歌や、うちわでそっと風を送る動作を合わせると、見るだけの時間が参加する時間へ変わります。夏の水辺や風のイメージを広げたい時は、家族で楽しむ水辺の読み物へ繋ぐ流れも柔らかく、次の記事へ進みやすくなります。
小暑から大暑へ進むと、夏はもう遠慮をやめます。ここからは、活動量を増やすより、滞在時間を快適にする発想が大切です。うちわ作り、氷や水を眺める時間、夏野菜の色や香りを楽しむコーナー、午前だけの軽いタオル体操。こうした軽やかな内容を組み合わせると、座ったままでも季節の真ん中にいられます。水分補給(こまめに水分を摂ること)や休憩も、注意事項として固く言うより、「今日は大暑ですし、ひと息入れましょうか」と季節の言葉にのせる方が受け入れられやすいものです。七夕、風鈴、花火、夕立、盆支度。夏は題材が豊富なので、全部を盛り込むより、その日の空気に合うものを一つ選ぶ方が、却って印象深くなります。元気いっぱいの日も、少し怠い日も、夏は夏。そう思えるだけで、季節との付き合い方が少し楽になります。
▼詳しく読む
七夕レクは「飾る日」より「思い出が動く日」~介護現場で心に残る一日の作り方~
夜空のご褒美をあきらめない~介護施設で楽しむ花火大会のやさしい工夫~
夏の風物詩で誰もが思い浮かべる風鈴の音色!~日本や世界の風情のあれこれまとめてご紹介~
第3章…秋の節気は実りと回想のご馳走~立秋から霜降までを深く楽しむ穏やかレク~
秋のレクリエーションは、夏の続きで元気よく押し切るより、少し歩幅を緩めた方が似合います。立秋を迎えても残暑はしっかり居座りますが、暦の上ではもう秋。そんな“言葉が先に季節を運んでくる感じ”が、この時季の面白さです。掲示板に秋の字を1つ書くだけでも、場の空気は不思議と和らぎます。秋高気爽というにはまだ汗ばむ日もありますが、「もう秋なんですねえ」と誰かが言うだけで、心の方が先に衣替えを始めるものです。秋のレクは、たくさん動くことより、季節をしみじみ味わえる時間を作ることが一番のご馳走です。
処暑から白露へ進む頃は、見る楽しみがグッと深まります。窓の外の光、机の上の果物、写真の中の稲穂や彼岸花。そんなものを静かに囲むだけで、回想法(昔の記憶を優しく引き出す関わり)の時間が自然に育ちます。「昔は庭に柿があってね」「梨は冷やし過ぎるとお腹にくるんよ」と話が転がり出したら、もう立派な秋のレクです。職員さんが全部を進行しなくても、利用者さんの思い出が場を連れていってくれます。実るほど頭を垂れる稲穂かな、ということわざも、この季節にはよく似合います。賑やか過ぎないのに、ちゃんと心が動く。秋はそういう上品な時間を作りやすい季節です。
秋分の頃は、昼と夜の長さの話から、お彼岸や月や家族の思い出へと話を広げやすくなります。月を見上げることが難しい日でも、ススキの写真や団子の絵、優しい色の丸い飾りがあれば、部屋のなかに月夜の気分を運べます。貼り絵やちぎり絵で丸い月を作り、そこへ赤や黄の紙を足していくと、手先がゆっくりな方も参加しやすく、完成した後も飾って楽しめます。月の話から秋の夜長へ繋げるなら、秋の夜を柔らかく味わう読み物とも流れが綺麗です。
寒露から霜降にかけては、秋の後半らしい落ち着きが出てきます。紅葉の写真を回覧したり、赤・黄・茶の紙をちぎって皆で1つの山を作ったり、温かいおしぼりで手を温めながら昔の秋祭りを語ったり。こうした静かな創作や鑑賞は、心静如水とまではいかなくても、場を穏やかに整えてくれます。元気な方には短い体操を添え、疲れやすい方には眺める時間を長めに取る。そんなふうに同じ秋のなかでも濃淡をつけると、無理なく参加しやすくなります。秋は“何かをしなきゃ”と急ぐより、“今年もここまで来ましたね”と季節を味わう方が、ずっと贅沢です。気づけば作品より会話の方が豊作、なんて日もありますが、それはかなり良い収穫です。
▼詳しく読む
重陽の節句は“長寿を願う秋のご褒美”~菊と食卓で楽しむ9月9日の優しい祝い方~
お彼岸は「ありがとう」が行き来する日~おはぎと季節で優しく分かるご先祖様の話~
敬老の日は「思い出の手触り」を贈ろう~孫の写真と手作りアルバムが心に残る理由~
第4章…冬の節気はぬくもりが主役~立冬から大寒までを安全に囲む室内レクリエーション~
冬のレクリエーションは、何をするかより、どう包むかが大事になります。立冬を迎える頃は、外の景色に秋の名残があっても、空気の芯は少しずつ冬へ向かっています。こういう時季は、行事を大きく広げるより、まず室内に冬の気配を置くのが似合います。白い飾りを1つ、柿色の紙を1つ、手袋や雪だるまの形を机に並べるだけでも、場はちゃんと季節を受け取ってくれます。冬は移動や体温調整の負担が大きい分、落ち着いて座れる時間そのものが価値になります。冬のレクは、賑やかさを足すより、安心していられる温度を整えるほど上手くいきます。安全第一はもちろんですが、そこへ少しの楽しみを添えると、寒い日にも心が縮こまらずに済みます。
小雪から大雪へ向かう頃は、冬支度そのものが立派な題材です。若い頃に使っていた火鉢の話、こたつでみかんを食べた話、年末の買い出しで荷物が増えた話。そんな話題は、どの地域でも誰かの記憶に触れやすく、談笑しながら自然に回想法(昔の記憶を優しく引き出す関わり)へ繋がります。手を動かすなら、職員さんが切ったパーツを貼るだけの雪景色や、白と青で作る簡単な冬飾りが向いています。細かい作業で眉間にシワが寄るより、「貼るだけで雪になったわ」と笑える方が冬らしい優しさがあります。しかも、出来上がったものを壁に残しておけば、次に部屋へ入った時も季節が続いて見えるので、一石二鳥どころか、気分まで少し得した感じになります。
冬至の頃は、冬の章の中でも特に言葉が効く時季です。一年で一番昼が短い日、と聞くと少し寂しそうですが、「ここからまた明るくなっていきます」と添えるだけで、一陽来復の気配がスッと入ってきます。柚子の香り、南瓜の色、あかりのぬくもり。派手に動かなくても、見る、香る、話す、それだけで十分に季節の会になります。柚子湯の思い出や、冬至の日の食卓の話題は、ご家族の記憶とも繋がりやすく、静かなのに場がよく温まります。冬至の楽しみをもう少し広げたい時は、柚子と南瓜と光の話を主役にした読み物へ繋げると、次の記事にもスッと歩いていけやすくます。
小寒から大寒に入ると、冬は本気で居座ります。この時季は、体を大きく動かすより、短時間で終わる体操や手遊び、温かいおしぼりを使った手のケア、みんなで口ずさめる歌など、無理のない内容が合います。大寒だから気合いで乗り切ろう、となると、先に音を上げるのは大抵、子どもより大人の方です。むしろ「今日は寒いから短く、でも気持ちは温かく」という構えの方が長続きします。無病息災を願う言葉も、こういう冬の終盤にはよく映えます。年末年始の話題、昔のお正月、温かい食べ物の記憶などを少しずつ重ねていくと、冬は“我慢の季節”ではなく、“囲む季節”に変わっていきます。春を待つ気持ちまで、レクリエーションの一部になるわけです。寒い日はつい肩も予定も丸くなりますが、それで良いのです。丸い湯気の向こうに笑顔があれば、冬の一日はもう十分に成功です。
▼詳しく読む
小雪の頃に楽しむ高齢者レクリエーション~心も体も温まる冬支度~
大雪の頃に楽しむ高齢者レクリエーション~静かな冬を温かくする室内プログラム集~
今年の笑い納めはおまかせ!高齢者施設の忘年会を極めるユニーク指南書
まとめ…二十四節気があると一年のレクはもっとやさしく続いていく
二十四節気を暮らしの傍に置いてみると、一年は思ったより忙しいものではなく、思ったより親切な流れを持っていることに気づきます。春は心をほどき、夏は涼しさを探し、秋は実りを味わい、冬はぬくもりを囲む。その積み重ねが、施設でもお家でも、季節に寄り添う時間を自然に育ててくれます。難しい説明をたくさん並べなくても、「今日はこんな季節ですね」と言えるだけで、会話が生まれ、表情が和らぎ、場の空気が整っていきます。歳月人を待たずとは言いますが、季節はちゃんと巡ってきて、毎回違う顔で声をかけてくれます。二十四節気は、特別な日を作るための知恵というより、普通の日を少し愛おしくするための知恵なのだと思います。
しかも、この流れには無理がありません。元気な日は少し動き、静かに過ごしたい日は眺めて語る。手を使える日は作り、疲れた日は歌や香りで楽しむ。そうやって融通無碍に形を変えられるから、参加する人にも支える人にも優しいのです。計画が立派でも、その日の体調や天気に合わなければ窮屈になります。でも節気を合図にしておくと、「今日は立冬らしく温かくいこう」「白露らしく静かに味わおう」と、肩の力を抜いたまま進められます。季節に合わせるとは、頑張ることではなく、合わせ過ぎないことでもあるのかもしれません。年間の流れをもっと広く家族時間にも繋げたい時は、行事ご飯や飾りの視点を重ねた読み物へ進むと、暮らしの楽しみがさらに膨らみます。
季節は毎年同じようで、同じではありません。だからこそ、去年と同じ飾りでも、去年と同じ歌でも、その日の人、その日の光、その日の会話でちゃんと新しい時間になります。そんな当たり前のようで尊い一日を、二十四節気はそっと支えてくれます。今日は何をしよう、と難しく考え過ぎた時ほど、空を見て、風を感じて、今の季節の名前を1つ口にしてみる。それだけで十分に始まります。春夏秋冬を追いかけるのではなく、暮らしの中へ静かに迎え入れる。その優しい続け方こそ、長く愛されるレクリエーションの土台になっていくのでしょう。
▼詳しく読む
十二か月の花言葉ダイアリー~四季で巡る彩りの言葉~
上を向く優しい夜を作る~高齢者と共にに施設で分かち合う四季の空とあの歌を静かに~
夏は世界でこんなに違う~風物詩が教えてくれる涼しさと陽気の歩き方~
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
[ 応援リンク ]
ブログランキング2つに参加しています。応援クリックをお待ちしております。
[ ゲーム ] 作者のitch.io(作品一覧)