あなたの秋はどこから味わいますか?~観る・味わう・つくる・動くで膨らむ季節の楽しみ方~
目次
はじめに…秋をひとり占めせず上手に取り分ける季節にしよう
秋って面白い季節ですよね。食べることに全力を注いでもいいし、本を読んでしっとり過ごしてもいいし、美術館で静かに感性を磨いてもいいし、体を動かして「やっぱり健康が一番だなぁ」と実感しても良い。どの入口から入っても楽しめるのが秋の良いところです。ただ、その分「何からやろうかな…」と迷ってしまって、気づけば同じことばかりしていた、ということも起きがちです。
そこでこの記事では、秋の楽しみ方を4つの方向にそっと並べ直してみます。食べる、読む・観る、動く、誰かと分け合う。どれも特別に難しいことではなく、日常の中で少し視点を変えるだけで取り入れられるものです。しかも、1つだけを極めるよりも、少しずつ取り分けるように味わった方が「今年の秋は良かったな」と感じやすくなります。
コロナ以降、お家時間で自分と向き合うことはもう十分やりました、という方も多いと思います。だからこそ今年の秋は、ちょっとだけ外に開く、ちょっとだけ人に見せる、ちょっとだけ人の力を借りる──そんな“ゆるい外向き”を混ぜてみましょう。自分だけの世界に籠る秋から、誰かと共有する秋へシフトすることで、同じことをしていても満足感がふんわり底上げされます。
この後続く各章では、食の工夫、鑑賞の楽しみ方、体を動かすコツ、そして人と分かち合うアイデアを順番にお届けします。読みながら「ここは家の家族でも出来る」「ここはデイサービスの行事にも使えるかも」と、自分の生活サイズに落とし込んでみてくださいね。
[広告]第1章…食べる秋は1シーズン1回ご馳走主義で広げる
秋になると、どうしても同じ物が食卓に並びやすくなります。さつまいもをふかして、栗を炊き込んで、かぼちゃを煮て…おいしいからこそ繰り返したくなるのですが、同じ味が続くと「今年の秋って、結局何を味わったんだっけ?」と記憶に残りにくくなってしまいます。せっかく実りの季節なのですから、ここは思い切って「この料理は今秋は1回だけ」のつもりで楽しんでみましょう。そうすると、1つ1つの料理に旬の有難みが出てきて、「次は何を食べようかな」という前向きな気分が続きます。
例えば、ある日はさつまいもを主役にしたグラタン、別の日はさんまを塩焼きに、また別の日はきのこをたっぷり使った炊き込みご飯にする。似たメニューになりそうな時は、使う食材を少しずらすだけでも印象が変わります。かぼちゃを使うか、さつまいもにするか。同じ根菜でもれんこんやごぼうにするか。そうやって素材をローテーションしていくと、家族の「またこれ?」が減って、作る側の方も楽しくなります。
「そんなにたくさん思いつかないよ」という時は、料理の本やレシピアプリの力を借りてしまえば大丈夫です。秋の食材を使った献立は想像以上に多く、煮る・焼く・蒸すだけでもバリエーションが出せます。作りやすそうな物をいくつか下書きしておいて、「今週はきのこ枠」「来週は魚枠」とざっくり決めておくと、買い物も迷いません。時々はちょっといいお肉や旬の果物を奮発して、季節の“ご褒美”を入れてあげると、秋らしい豊かさが一段階上がります。
もう1つ大切なのは量の考え方です。秋は美味しいものが多いので、つい作り過ぎてしまいますが、ここは満腹より「上品に満足」を目指しましょう。1人分をきちんと見積もって、家族全員がだいたい9分目で食べ終われるくらいの量にしておくと、食べ終わった後がとても楽です。残さない工夫は、体にも家計にも優しいですし、何より「また違う秋の味を食べられる余白」が残ります。残り1分はデザートや果物に回してあげると、秋らしい甘みで締め括れて満足感も高まります。
秋の甘いものも忘れたくないですね。芋・栗・かぼちゃに、柿やみかん。プロが作ったスイーツをお店で買ってくる日があってもいいですし、家で簡単に作れるおやつを用意してもかまいません。「この味は今日だけ」と心の中で決めておくだけで、同じスイートポテトでも格が上がったように感じられます。体調が気になる方にとっても、いろいろな食材を少しずつ味わう食べ方は、栄養が偏りにくくなるので取り入れやすい方法です。
このように、「秋だから食べる」を「秋だからいろいろ味わう」に変えてあげると、食卓が急に季節らしくなります。1回切りのご馳走がいくつも並ぶと、それだけで写真に残したくなる食の秋になりますし、「次は何にしようか」という考える楽しみも増えていきますよ。
第2章…読む・観る秋は自分プロデュースの鑑賞会にしてみる
本や絵画や音楽が似合う季節になると、つい「静かに一人で味わうもの」と捉えがちですが、今年は少しだけ発想を変えてみましょう。自分が観たいもの・聴きたいもの・触れてみたい作品を、自分で順番に並べていく──いわば小さな「鑑賞会」を自分自身のために組み立ててしまうのです。これをやると、ただ何となく本を読むよりも、1つ1つの作品の印象が濃くなり、「あ、今年もちゃんと秋らしいことをしたな」という満足感が残ります。
たとえば読書なら、1冊完読するだけが目的ではなくて、今の自分の気分に合うものを3つほど用意しておくと安心です。物語に浸りたい日のための小説、考えを深めたい日のための実用書、疲れている日のための写真やエッセイ。これを「今日はしっとりの日」「今日は元気が欲しい日」と決めて読み分けるだけで、同じ読書でも気分転換の幅が出ます。紙の本が好きな方は手触りや装丁を味わう時間も込みで、デジタル派の方は好きな時にすぐ読める身軽さを楽しんでください。
芸術に触れる場合も同じです。美術館やギャラリーに出かけるのはもちろん、今年は外に出られない日用の“予備のメニュー”を作っておくと、雨の日や体が重い日にも秋らしさを保てます。名画を紹介する番組を録画しておく、音楽ホールの配信を視聴する、紅葉の名所の写真集を眺める──これらも立派な鑑賞です。大事なのは「今日はこれを味わう」と自分で決めること。目的がはっきりすると、同じ作品でも受け取り方が丁寧になります。
もう一歩進めるなら、感じたことを短く記録しておきましょう。長文の日記でなくても、スマホに「〇月〇日 〇〇展 光の描写がやさしかった」「静かなピアノ曲で肩の力が抜けた」程度で十分です。人は忘れてしまう生き物なので、感動を小さく残しておくと、後から見返した時に秋の時間がフワッと蘇りますし、次の秋に「またこういうのを観に行こう」と計画も立てやすくなります。もしご家族や施設の利用者さんと共有する前提なら、このメモが立派な紹介文になってくれます。
それから、読書も鑑賞も、実は“一人ぼっちでやるからこそ楽しい”と思われがちですが、ほんの少し人に見せると味わいが変わります。「この本、今読んでる」「この絵が好きだった」と写真1枚でも誰かに送ると、自分の中の評価が整理されるのです。家族のグループラインでもいいですし、施設なら掲示スペースに「今月のおすすめ」として貼っておくのもいいですね。自分の感じたことを誰かに渡すルートを作ると、鑑賞が“消えていく秋の楽しみ”ではなく“残る秋の楽しみ”に変わります。
自分で選んで、自分で並べて、自分で味わう。たったそれだけなのに、読書や芸術観賞はグッと「今年らしく」なります。家にいる時間が長くても、あまり遠出ができなくても、工夫1つで秋は深められます。次の章では、今度は体を動かす方の秋を整えていきましょう。
第3章…動く秋はゆる運動と観戦で体の声を整える
秋になると空気が軽くなって、ちょっと外に出てみようかなという気分になりますよね。夏の間は暑さで体を動かす気にもなれなかった人でも、秋の風に当たると「今日は歩けそう」「ストレッチくらいなら出来るかも」と思えるから不思議です。ここで一気に頑張ってしまうと、翌日に筋肉痛になって続かなくなりますので、今年は“ゆるく長く”を合言葉にしましょう。短い時間でも毎日続ける方が体は喜びます。
まずは、体をほぐすところから始めます。肩や首をゆっくり回す、足首をグルッと回す、腰を左右にゆらす──これだけでも血の巡りが良くなります。立ち仕事の人も座りっぱなしの人も、固まっている場所はだいたい似ていますから、上半身を大きく伸ばすだけで「あ、軽くなった」と感じるはずです。ここで調子が出てきたら、散歩を10分だけ付け足す、階段を使う回数を1回だけ増やす、そんな小さな足し算をしていきます。体力や年齢に応じて負担を変えられるのが秋の運動の良いところです。
一方で、秋は観るスポーツもおもしろい季節です。野球でもサッカーでも、終盤になると1試合の重みが変わってきます。現地に行けなくても、テレビや配信で試合を観ていると、選手がどれだけ体をつくってきたかが伝わってきますよね。あの集中力や瞬発力を眺めていると、「自分ももう少し歩こうかな」「明日はラジオ体操を入れてみようかな」という気持ちが湧きやすくなります。観戦は受け身に見えて、実はジワッとやる気をくれる立派な秋の楽しみ方です。
体を動かす時に意識しておきたいのは、終わり方です。しっかり動いた後は、お風呂で温める、ストレッチで伸ばす、早めに眠る──この3つを入れておくと疲れが残りにくくなります。特に、秋は夏の疲れがまだ体にいることが多いので、頑張った日の夜だけでも丁寧にケアしてあげると翌朝がとても楽です。お子さんやお年寄りと一緒に暮らしている方なら、「今日は皆で体操の日」と決めてしまうと習慣になりやすく、家の中にさりげなく健康のリズムが通います。
こうして、観ることと動くことをセットにしておくと、秋の間中コンディションを安定させやすくなります。食べる量が少し増えても、運動をしておけば「まあいいか」と思えますし、スポーツを観て感動した日には、自分の生活にも前向きさが戻ってきます。次の章では、この秋の楽しみ方を家族や職場、施設などでどう分け合っていくかを考えていきましょう。
第4章…誰かと分け合う秋にすると満足度が一気に上がる
ここまでの秋の楽しみ方は、どれも一人で完結させることが出来るものばかりでした。けれど、実は最後にもうひと手間だけ加えると、グッと季節感が濃くなるやり方があります。それが「ちょっとだけ人に分ける」ということです。料理でも、読書でも、芸術でも、運動でも、やってみたこと・良かったことを誰かにおすそ分けすると、不思議と自分の中での評価が高くなります。「あれはやって良かったな」と心の棚にきちんと置けるようになるのです。
たとえば1章で触れた「1シーズン1回ごちそう主義」。あれも、自分の家で完結させるだけでなく、「今日は秋の〇〇を作ったよ」と写真を添えて家族のグループに送ると、ただの夕飯が1つのイベントになります。施設や職場なら、季節のメニューをホワイトボードに書いたり、写真を印刷して貼ったりするだけでも、「あ、ここは秋を楽しんでるんだな」と空気が柔らかくなります。見てもらう前提で作ると、同じ料理でも丁寧に仕上げたくなるものです。
2章でお話しした読書や鑑賞も同じです。自分が良いと思った本や展覧会の感想を、一言でいいので誰かに伝えてみる。家族なら食卓の雑談でもいいですし、介護・福祉のお仕事なら、季節の掲示コーナーに「今月の言葉」「今月の一枚」として貼っておくのも素敵です。受け取った人が「どれどれ」と言ってくれたら成功。もし誰も反応しなくても、自分の中で“言葉に出来た”こと自体が秋の整理になっています。
運動も、一人でやるより「一緒にどう?」があると続きやすくなります。夕方の散歩を家族行事にしてしまう、月曜の朝は全員で伸びをする、デイサービスなら午後の体操を“秋バージョン”の音楽にする──ほんの少し連帯感が入るだけで、体を動かすことが面倒ではなくなります。動くことに前向きな人とそうでない人が混ざっている場でも、「秋だからこれをやってみる」という季節の口実があると、参加へのハードルがグッと下がります。
何より大事なのは、「秋を味わっている自分」をちゃんと見える場所に置いておくことです。ブログの記事にしてもいいですし、ノートにまとめてもいいし、写真で残してもいい。どの形でもいいのですが、目で見えるようにしておくと、後から振り返った時に“今年の秋のストーリー”が一本通ります。すると、次の秋に何を書こう・何をしようという時のネタにも困りません。季節を分け合うと、今だけでなく来年以降の楽しみも増えるのです。
このように、秋の楽しみを人に渡す導線を1本通しておくだけで、同じ行動でも満足度が一段上がります。自分で味わって良かったものは、ちょっとだけ他の人にも回す。そうやって季節のテーブルを皆で囲むようなイメージを持つと、秋は短いのに心の中で長く残ってくれますよ。次はこの記事全体をまとめて、この秋をどう盛り付けていくかを仕上げていきましょう。
[広告]まとめ…4つの秋を少しずつ盛り付けて自分だけの一皿にする
秋はどうしてもアッという間に過ぎていきます。気温が丁度良くなって、食べ物が豊富で、芸術イベントも増えて、スポーツも見頃で──と、魅力が重なっている季節だからこそ、意識しておかないと「気づいたら終わっていた」になりがちです。そこで今回の4つの流れ、食べる、読む・観る、動く、分け合う、を自分の生活サイズに落としておくと、1週間ごと・1日ごとに「今日はこれをした」と形にしやすくなります。
まずは食べる楽しみ。これは日常の食卓にすぐ使えますし、1回切りのご馳走として扱うことで、旬のありがたみが引き立ちます。次に読む・観る楽しみ。これは室内で静かに出来るので、雨の日や体力のない日にも続けられます。3つめの動く楽しみは、健康維持のための“芯”になる部分です。大きな運動でなくてもいいから、こまめに体をほぐしておくと、冬に入る前の体調が整います。そして最後の「分け合う」を通すと、やったことが自分の外に流れていき、季節の記録として残ります。
この4つをすべて完璧にやる必要はありません。今日は食べるだけ、今日は読書だけ、今日は散歩だけ、でも十分です。大事なのは、その小さな行動を「秋だからこれを選んだ」と自分で言えること。そうしておくと、ブログや日記、施設の掲示や家族の会話に落とし込む時にも言葉にしやすくなりますし、同じテーマの記事を書き直す時にも使い回せます。
今年の秋は、1つの楽しみ方に寄せ過ぎず、少しずつお皿に盛り付ける感覚で過ごしてみてください。そうすれば、「食べただけで終わった秋」「家に籠っただけの秋」にならず、「いろいろ出来た秋だったな」と胸を張って言えるはずです。その積み重ねが、来年の秋の記事作りや企画作りの土台にもなってくれますよ。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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