値札に泣かずに味に笑う~祖母・ママ・孫娘のスーパー作戦会議~
目次
はじめに…カゴは軽いのに悩みは重い三世代ショッピング
夕方のスーパーって、なんであんなに人生が詰まっているんでしょうね。入口の野菜売り場で「今日は安い!」と喜んだ次の瞬間、いつもの調味料コーナーで「え、前より小さくなってない?」と目が細くなる。カゴの中身は軽いのに、悩みだけが重くなっていく……そんな日って、ありませんか。
今日は、祖母・ママ・孫娘の三世代が、同じカートを押しながら作戦会議をします。祖母は昔の知恵で「値段の声の大きさ」に引っ張られない人。ママは家計と栄養の間でいつも綱渡り。孫娘は正直で、「美味しいは正義!」を遠慮なく叫ぶ係です。誰が偉いわけでもなく、三人とも正しい。だからこそ、売り場の前で立ち止まるんです。
この記事でやりたいのは、「高いものを買えば正解」という話ではありません。むしろ逆で、毎日続く食卓だからこそ、値札だけで決めないための“家庭の物差し”を作ること。栄養の芯があるか、満足の芯があるか、無駄なく使い切れるか、手間に飲み込まれないか。こういう“中身の価値”を、買い物の現場でサッと確かめられるようにするお話です。
そして、最近、特に増えた気がする「中身より袋が立派」「空気が主役」「容器が高そう」問題にも、ちゃんと立ち向かいます。怒りは正しく燃やし、工夫は静かに積み上げる。すると不思議なもので、同じ予算でも「今日のご飯、何か勝ったね」と言える日が増えていきます。
さあ、まずは祖母の一言から始めましょう。値札に振り回されないための“物差し”を、三人で拵えます。ここが決まると、次の売り場がどんどんラクになりますよ。
[広告]第1章…祖母のひと言「値段は声が大きいだけ」~中身を見る4つの物差し~
野菜コーナーを抜けた三人は、いきなり立ち止まりました。理由は簡単。調味料の棚の前で、ママの目が「遠い目」になったからです。
「ねぇ……前と同じ値段なのに、なんか小さく見えない?」
ママがボソッと言うと、孫娘が元気よく返します。
「ママ、それは気のせいじゃなくて、たぶん“成長”だよ! 袋が成長して中身が小さくなったんだよ!」
それ、どんな進化なの。
すると祖母が、カートの持ち手に両手を置いて、ニコっと笑いました。
「値段はね、声が大きいだけ。ほんとに偉いのは中身よ」
ママが思わず聞き返します。
「中身って、どう見れば良いの?」
祖母は、まるで探偵みたいに棚を眺めて言いました。
「物差しがあれば迷わない。4つだけ持ちなさい。4つで十分。増やすと忘れるから」
物差しその1~栄養の芯があるか~
祖母は、豆腐の棚を指さしました。
「まずは体を支える芯。毎日食べるなら、芯が無いとフラフラすることになるでしょう?」
ママが頷きます。「たんぱく質のこと?」
「そうそう。あと、野菜や海藻、きのこみたいに、お腹の調子を整えるものも芯になりやすい。高い安いより、“今日の食卓に芯があるか”を見なさい」
孫娘が横から口を挟みます。
「じゃあアイスは芯ですか?」
祖母は即答しました。
「それは心の芯。週末の芯」
ママが笑って、少し肩の力が抜けました。芯があると、気持ちまで安定するらしいです。
物差しその2~満足の芯があるか~
次に祖母が取り出したのは、胡麻でした。
「値段が同じでも、満足が違うものがある。香り、うま味、食感。ここが“満足の芯”」
ママは首をかしげます。
「胡麻って、そんなに変わる?」
祖母はうんうんと頷きます。
「粒のまま買って、使う直前に擦ったら、同じ料理でも『え、今日どうしたの?』って言い出す。味が増えるんじゃない。香りが立つのよ。香りは、家の中で一番安く買えるご馳走かも」
孫娘が目を輝かせます。
「じゃあ、ふりかけも香りのご馳走?」
「そう。ふりかけは“ご飯が進む魔法の粉”だもの。でもね、魔法は使い過ぎると効かなくなる。ここぞで使うのが上手い家庭料理よ」
祖母、なんか格言が多い。
物差しその3~無駄が出難いか~
三人は次に、加工品コーナーへ。袋が立派で、つい「お得そう」に見えてしまう場所です。
祖母は袋をクルっと裏返して、ママに渡しました。
「ここで見るのは、“使い切れるか”と“捨てる部分が増えないか”。ムダが出ると、結局お金もお腹も満たされない」
ママはハッとします。
「確かに、開けたは良いけど余って、冷蔵庫で迷子……あるある」
孫娘が小声で言います。
「冷蔵庫の奥は、食べ物のテーマパークだもんね。行方不明が多い」
それはテーマパークというより、たまに遺跡になります。
祖母は笑いながら、こう付け足しました。
「大きい袋が悪いんじゃないの。家のペースと合うかどうか。合わないと、ムダが勝つ」
物差しその4~手間が重くならないか~
最後の物差しは、意外と大事でした。
祖母は言います。
「いくら良いものでも、手間が重過ぎると続かない。料理は頑張り大会じゃないでしょう?」
ママが深く頷きます。
「平日は特に……帰ってからの気力がもう」
孫娘が追い打ちをかけます。
「ママ、玄関で気力落としてるよね」
やめてあげて…。
祖母は、優しくまとめます。
「だから“手間が軽い工夫”は、味の一部なのよ。切るだけ、焼くだけ、混ぜるだけ。そこに、さっきの香りの芯をちょい足しする。これで十分、満足は作れるよね」
ママはカートを見下ろしました。値札ばかり見ていた目が、少しだけ“中身”を見る目に変わった気がします。
孫娘はウキウキして言います。
「ねぇねぇ、4つの物差しって、何か必殺技みたいだね!今日の買い物は、勝てる気がする!」
祖母はニヤリ。
「勝つのは簡単よ。次の売り場で、主食を取り戻すだけのこと」
こうして三人は、米売り場へ向かいます。次は、毎日の満足を支える「主食」の話。ここで勝てると、食卓がほんとにラクになります。
第2章…主食は裏切らない~お米・麺・パンを“満足ご飯”に戻す小ワザ~
米売り場に着いた瞬間、ママの顔が一番真剣になりました。主食って、結局ここなんですよね。ここで迷うと、買い物全体が迷子になる。逆にここで決まると、カゴの中がスッと整う。まるで「家の中心柱」を選ぶみたいに。
孫娘は袋の山を見上げて言いました。
「ねぇ、なんかお米の袋って、見た目が強そう。ボスキャラみたい」
祖母は笑って、カートを軽く叩きました。
「ボスはね、倒すんじゃなくて味方にするのよ」
ママが小声で呟きます。
「でも、最近はブレンド米も増えたし、値段も幅が凄いし……どう選べば良いのか…」
祖母は即答しました。
「選び方は難しくないわよ。主食は“気分”じゃなくて“運用”で勝つものよ」
お米は「銘柄」より「扱い方」で勝てる
祖母は袋を持ち上げて、ママに裏側を見せました。
「ここ、見てごらん。精米の時期。主食は、まず鮮度で味が変わりやすい。高い袋を選ぶ前に、“新しい方”を拾いなさい」
ママは「なるほど……」と息を吐きました。高級かどうかより、まず状態。これだけで勝率がグッと上がる。
孫娘が口を挟みます。
「じゃあ一番大きい袋を買えば、ずっと新しいのが食べられる?」
祖母は首を振りました。
「それは逆。家の消費ペースより大きいと、後半がしょんぼりする。主食は“使い切れる大きさ”が正義なの」
ママが頷きます。
「確かに、最後の方って香りが弱い感じがする……」
ここで祖母が、まるで昔話みたいに静かに言いました。
「米は、炊き方で化けるの。ブレンドでも、ちゃんと化けるわ」
祖母の“化けさせるコツ”は、意外と地味でした。でも地味が一番強い。
最初の水は手早く、後は強く擦らない。浸水は少しだけ待ってあげる。炊けたら蒸らして、すぐ混ぜる。これだけで、粒が立って、口の中での満足が変わります。
孫娘は腕を組んで、偉そうに言いました。
「つまり、お米はママの扱い方…次第ってことだね」
ママが笑いながら反撃します。
「じゃあ、君は食べる係を頑張って」
「任せて!私は“判定係”だよ!」
判定係がいる家庭は、だいたい伸びます。
さらに祖母は、もう1つだけ“逃げ道”も教えてくれました。
「今日は米が高く見えるって日もある。そんな日は、主食を一種類に固定しないこと。米の日、麺の日、パンの日。主食は交代制が一番続くわ」
ママの目が少し明るくなります。主食を守るって一本槍じゃなくて良いんだと…。
麺は「具で負けない」だけでちゃんと満足できる
次に三人が向かったのは麺コーナー。孫娘は何故かテンションが上がっています。麺は子どもにとって、だいたい正義です。
ママは心配そうに言いました。
「でも麺って、安いけど栄養が偏りやすい気がして」
祖母は頷きました。
「そこは正しい。だから麺は“具で勝つ”。麺そのものを豪華にしなくて良いの。具を少し足せば、満足の芯がちゃんと立つでしょ?」
ここでのコツは、“難しい料理”を足さないことでした。卵、豆腐、納豆、ツナ缶、わかめ、きのこ、ねぎ。こういう「家に居がちな仲間」を1つ入れるだけで、麺が“食事”の顔になります。
孫娘が言います。
「じゃあ、うどんに卵を落としたら、もう勝ち?」
祖母はニコっとします。
「勝ち。しかも洗い物が少ない勝ち方。これは大事」
ママは笑って、ついでに心の中でガッツポーズしました。料理って、勝ち方を選べるんですね。
パンは「主役にし過ぎない」ことで家計も満足も整う
パン売り場に来ると、孫娘の視線が一気に甘い方向へ引っ張られます。キラキラした菓子パンたちが、まるでアイドルのように並んでいます。
孫娘が小声で言いました。
「……あれが、私を呼んでる」
ママが即座に返します。
「呼ばれても、今日は全員で会議です」
祖母は、菓子パンを否定しませんでした。ここが祖母のすごいところ。禁止すると反動がいつか来ると知っている。
「パンはね、便利さの王様なの。でも主役にし過ぎると、次の食事で疲れが出る日がある。だからパンは“相棒を連れて”買うのが上手なところよ」
ママが聞き返します。
「相棒?」
「ヨーグルトでも、卵でも、チーズでも、スープでも。何でも良い。パン単独で戦わせない。そうすると、少ない量でも満足できるわ」
孫娘が納得した顔で言いました。
「アイドルはソロよりユニットが強いってことだね」
祖母が頷きます。
「そういうこと。ユニットは長続きするでしょう?」
ママはパンを手に取りながら、フッと力が抜けました。主食の選び方って、結局は「日常の作戦」なんですね。何を買うかより、どう続けるか。
最後に祖母は、カゴを見てこう言いました。
「主食は、家の機嫌を支える柱。米にしろ麺にしろパンにしろ、“今日の家が回る形”を選べば良いの。値札だけを見て決めると、家が回らなくなるわ。回る主食が、一番価値があるの」
カゴの中には、お米と麺と、そしてパンの小さなユニットが入りました。
孫娘が満足そうに宣言します。
「よし、主食は確保ーっ!次は“素材が最後に化けるコーナー”だよね?」
祖母が笑って言いました。
「そう。次は胡麻と野菜よ。今日の食卓を一段上げる、小さな魔法の時間」
第3章…素材は最後に化ける~胡麻と野菜で「いつもの料理」を格上げする瞬間~
米と麺とパンをカゴに入れた三人は、次の売り場で急に足が止まりました。理由は簡単です。野菜コーナーの前に来ると、ママの財布の神経が一段と研ぎ澄まされるから。
孫娘がキャベツを見上げて言いました。
「ねぇ、野菜ってさ、なんで“顔”があるの?高い子はキリッとしてるし、安い子はちょっと眠そうだし」
ママが苦笑します。
「眠そうって言うな…でも分かる気がする。今日は、どの子を連れて帰るか悩むね」
祖母は野菜を叱りません。値段も叱りません。カゴの中を一回見て、静かに言いました。
「今日はもう主食がいるから。野菜は、主役にならなくて良いの。名脇役を連れて帰れば勝ちよ」
ママが目を丸くします。
「名脇役?」
「そう。料理ってね、主役だけじゃ回らない。むしろ脇役が上手く出来た家は、毎日が美味しいのよ」
野菜は「旬っぽい子」と「火に強い子」を選ぶと勝ちやすい
祖母はまず、冬っぽい売り場を見渡しました。葉物、根菜、きのこ。
「今の季節は、寒さに耐えて甘くなる子が増える。甘みが出やすい子を連れて帰ると、調味料が少なくても満足するのよ」
ママが「じゃあ、どれ?」と聞く前に、孫娘が勢いよく指差しました。
「この大根! なんか強そう!」
祖母が笑います。
「強いわね。しかも煮ても焼いても勝てる。火に強い子は、忙しい家の味方になるのよ」
火に強い野菜は、料理の失敗が少ないんです。少し煮過ぎても、少し焼き過ぎても、だいたい美味しい方向に落ち着く。大根、人参、玉ねぎ、きのこ。こういう子たちは、値段が多少動いても「使い切れる」「次の料理にも回る」ので、結局カゴの中で仕事をしてくれます。
ママが納得した顔で言いました。
「つまり、今日の野菜は“器用さ”で選ぶのが正解かな」
孫娘が頷きます。
「器用な子は、家でも、たぶん人気者だよね!」
祖母はさらに、野菜選びの迷いを軽くする言葉を足しました。
「高い野菜を無理して買わなくて良いわ。その代わり、安い野菜を“扱いで上げる”。これが家庭の技よ」
ママが「扱いって?」と聞くと、祖母は手をヒラヒラさせます。
「火入れと、切り方と、最後の香り」
野菜の“水っぽい”は、実は火入れで変わりやすい。炒めるなら最初に水分を飛ばす。蒸すなら短めで香りを残す。煮るなら最初から味を濃くしないで、最後に整える。すると不思議なくらい、「同じ野菜なのに、今日は当たりだね」になります。
孫娘は真顔で言いました。
「ママ、今日は“最後に整える”の日だね」
ママが笑います。
「それ、明日も明後日もお願いしたい」
胡麻は「香りの魔法」~少しで食卓が変わる~
野菜コーナーを抜けて、三人は調味料の棚へ戻ってきました。さっきより気持ちが軽いのは、野菜の役割が見えたからでしょう。今度は祖母が、胡麻の前で足を止めます。
孫娘が言いました。
「出た、魔法の棚!」
祖母がニコっとします。
「胡麻はね、少ない量で“ご馳走感”を引き上げる。こういう時代の味方よ」
ママが小声で聞きます。
「でも胡麻って、どれを買っても同じじゃない?」
祖母は首を振りました。
「同じに見えるけど、“香りの残り方”が違う。ここでの勝ち方は簡単。粒のまま買って、使う直前に擦れば良いのよ」
孫娘が目を輝かせます。
「すり鉢? あのゴリゴリするやつ?」
「そう。ゴリゴリは音が良いでしょ。音が良い食材は、だいたい美味しいの」
祖母の理屈が謎なのに、何故か説得力があります。
ママは少し困った顔。
「でも、毎日ゴリゴリは厳しいかも……」
祖母はそこで、ちゃんと現実に寄り添いました。
「毎日やらなくて良い。週に何回かで十分。大事なのは、“ここぞ”で香りを立てること。例えば、野菜炒めの仕上げに少し。ほうれん草のおひたしの最後に少し。うどんに落とした卵に少し。胡麻は主役じゃないのに、場をまとめるでしょ?」
孫娘が言いました。
「つまり胡麻は、クラスの学級委員だね」
ママが笑って頷きます。
「うん、目立たないけど全体を良くするやつ」
祖母はさらに、胡麻の“買い方”も少しだけ教えました。
「すり胡麻は便利。でも香りは逃げやすい。だから、すり胡麻を買うなら“少量で使い切れる袋”。粒を買うなら“保存しやすい容器”。どちらも、家の使い方に合わせるのが大事」
ここでママが、ハッとした顔をします。
「第1章の“ムダが出にくいか”の物差しだ」
祖母は嬉しそうに頷きました。
「そう。物差しは、売り場が変わっても同じ。だから迷いが減るの」
「少し良い」を最後に足すと食卓はやせない
カゴの中には、火に強い野菜と、香りの味方の胡麻が入りました。主食がいて、脇役がいて、香りがいる。これだけで「今日のご飯」が立ち上がってきます。
孫娘がカゴを覗き込んで言いました。
「ねぇ、今日のカゴ、何か強いね。地味だけど強い」
祖母が笑います。
「地味はね、飽きない。飽きないことが、最強よ」
ママは少しだけ肩の荷が軽くなった顔で言いました。
「高いものを追いかけなくても、最後に香りとか火入れで上げれば良い。そう考えると、買い物が怖くなくなるね」
祖母は静かに頷きました。
「そう。少し良いものを“最後に効かせる”。それが日常を守るやり方」
そして三人は、次の難関へ向かいます。加工品コーナー。袋は立派、見た目も豪華、でも中身が読み難い、あの場所です。
孫娘が気合いを入れて言いました。
「よーし、次は“空気と容器”に負けない作戦会議だ!」
ママが笑いながら返します。
「その言い方が、もう戦みたいだね」
祖母が小さく笑って、カートを押しました。
「戦じゃないよ。家の平和を守るための買い物よ」
第4章…空気と容器に負けない~加工品の“中身”を見抜く家計防衛術~
三人が加工品コーナーに足を踏み入れた瞬間、孫娘が小さく呟きました。
「ここ……キラキラが多い……」
棚は明るい。袋は立派。写真は美味しそう。しかも、何故か全部が「今だけお得」な顔をしている。ここは、胃袋より先に心が揺れる場所です。
ママは腕を組んで、ため息を1つ。
「ここが一番難しい。便利なんだけど、何か“買った気になる”だけで終わることがある」
祖母は頷きました。
「そう。加工品は味方にもなるけど、うっかりすると“気持ちだけ満足”になりやすい。だからこそ、中身を見るのが大事なのよ」
孫娘が不思議そうに言います。
「中身って……袋の中、見えないじゃん」
祖母はニヤリ。
「見えるよ。裏側に書いてある。袋は口が上手いけど、裏側は正直なの」
裏側の見方は「主役は誰?」を見抜くだけ
祖母は1つ商品を手に取って、クルっと裏返しました。ママにも渡します。
「ここで見るのは難しいことじゃないの。まずは“主役は誰か”。原材料の最初の方に出てくるものが、その子の中心になりやすい」
ママが頷きます。
「なるほど……何がメインか、ってことね」
孫娘が口を挟みました。
「じゃあ、最初に『砂糖』って書いてあったら、主役は砂糖?」
祖母は優しく言いました。
「そういうこと。主役がはっきりしてる商品は、使いどころもハッキリする。問題は、“主役がフワっとしてるのに立派な袋”よ」
孫娘が即座に反応します。
「フワっとしてるのに立派……それって私の工作みたい!」
ママが吹き出しました。
「自覚あるのが一番エライとこね…」
祖母は笑いながら、次の一言を足します。
「袋が立派でも良いの。でも“日常で使う主役”が見えないなら、今日は見送っても良い。家は展示会じゃないからね」
「一回で使い切れるか」で空気を買う事故が減る
次に祖母が見たのは、内容の量でした。
「次は、使い切れるか。開けたら戻れないものは多い。使い切れないと、冷蔵庫で眠って、最後に泣く」
ママは深く頷きます。
「あるある……『残り少ないのに捨てる』が一番悔しい」
孫娘が小声で言いました。
「冷蔵庫の奥って、たまに“前の季節”がいるよね……」
ママが真顔で返します。
「それは言わない約束」
祖母はここで、加工品を責めるのではなく、家のペースを大事にしました。
「大袋が悪いわけじゃない。大家族なら強い味方。でも少人数の家なら、“少量で回せるもの”の方が結果として安くつくことがある。量は、家の暮らしに合わせる」
ママが「合わせるか……」と繰り返して、カゴの中身を見ました。今日の献立が頭の中で組み上がっていく感じがします。
「便利さの値段」を見破ると加工品はちゃんと味方になる
棚には、粉、出汁の素、ソース、タレ、レトルト、冷凍……便利の王様たちが並んでいます。ママはふと、少し悔しそうに言いました。
「正直ね、たまに思う。空気とか水とか粉とか、容器とか……そういうのを高い値段で買わされてる気がするって」
祖母は否定しませんでした。
「そう感じるのは自然よ。でもね、便利には価値がある。問題は、“便利の値段”が自分の暮らしに見合っているかどうか…」
孫娘が首をかしげます。
「便利の値段?」
祖母はゆっくり説明しました。
「例えば、疲れて帰った日に、温めるだけで一品増える。これは立派な価値。だけど、毎回それに頼って、味がぼんやりして、満足も薄いなら、その便利は高くつく。便利は“使う日”を選ぶと、一番輝くわよね?」
ママが笑いながら言いました。
「便利は、毎日使うと普通になる。たまに使うと神になる」
孫娘が大きく頷きます。
「神を毎日呼び出したら、神も疲れるよね!」
祖母が嬉しそうに言いました。
「そういうこと。加工品は“週の味方”にする。週の中で忙しい日を決めて、そこに便利を集中させると、食卓が痩せないわ。逆に、元気な日は素材でいく。メリハリが大事ということよ」
最後に「家の味に寄せられるか」を確認する
祖母は、棚の前で最後の確認をしました。
「加工品を買う時の最終チェックはね、“家の味に寄せられるか”」
ママが聞き返します。
「寄せる?」
「そう。買った瞬間が完成形だと、飽きることがある。でも、家の味に少し寄せられると、何度でも使える。例えば、最後に胡麻やねぎを足す。生姜を少し足す。出汁を少し足す。そうやって“うちの味”に着地できるものが、強い加工品よ」
孫娘が目を輝かせました。
「つまり加工品は、“そのまま食べる”より“仕上げて完成”が強いんだね!」
祖母が頷きます。
「うん。仕上げはほんの一手間で良い。第3章の胡麻が、ここでも効くのよ」
ママはカゴに、使い切れそうな量の調味料と、忙しい日の助っ人になる一品を入れました。買う数は少ないのに、安心感が増える。これが不思議です。
孫娘がレジ方向を指さして言いました。
「よし、これで“空気に負けない”買い物できたね!」
ママが笑います。
「負けないというより、見抜けるようになった、かな」
祖母は静かにまとめました。
「そう。見抜けると、怖くなくなる。主食がいて、素材がいて、便利がいて、最後に香りがある。これで食卓は回る」
三人はレジへ向かいます。レジ前は、いつも最後の戦いが起きる場所です。目の前に並ぶ小さな誘惑たちが、ニコニコして待っているから。
孫娘が言いました。
「レジ前の作戦会議、まだ続くよね?」
祖母が笑って返しました。
「もちろん。最後は“少し良い”を日常に連れ帰るまとめ方よ」
まとめ…レジ前で最終会議~「少し良い」を日常に連れ帰るコツ~
レジに並んだ瞬間、ママの肩がフッと落ちました。買い物って、体力よりも脳みそが疲れますよね。カゴの中身はそこまで多くないのに、心の中で会議を何回も開いた気がする。
孫娘はレジ前の棚を見つめて、真剣な顔で言いました。
「ここが最後のボスだね……」
祖母が笑います。
「そう。最後のボスは、だいたい小さい」
チョコ、飴、ガム、ミニ菓子。小さくて可愛くて、しかも「ちょっとだけなら」と言ってくる顔をしている。ママが苦笑しながら言いました。
「ちょっとだけが積み重なるのが怖いんだよね」
孫娘が即答します。
「ちょっとだけは、私の得意技だよ!」
祖母がやさしく制します。
「得意技は、使いどころを選ぶのよ」
ここで祖母は、今日、一番大事な結論を、サラっと言いました。
「値札だけで決めると、食卓は痩せる。でも中身の物差しで決めると、少ない量でも満足が戻る。だから、今日の買い物は勝ってるよ」
ママはレシートを想像しながらも、不思議と落ち着いていました。理由は単純で、カゴの中に「回る形」が入っているからです。主食があって、火に強い野菜があって、香りの胡麻がいて、忙しい日の助っ人の加工品がいる。全部が主役じゃないのに、全部が働く顔をしている。
孫娘がカゴを覗き込んで言いました。
「今日のカゴ、地味だけど、なんか“ちゃんとしてる”」
ママが笑って頷きます。
「うん。派手じゃないけど、明日がラクになる買い物だね」
祖母が嬉しそうに言いました。
「それが一番のご馳走よ。明日がラク、は料理の味を上げるからね」
そして祖母は、今日の作戦を短い言葉にまとめました。
「主食は運用で勝つ。野菜は器用さで勝つ。胡麻は香りで勝つ。加工品は裏側で勝つ。最後は、家の味に寄せて勝つ」
孫娘が手を挙げます。
「質問! 家の味って、どうやって寄せるの?」
祖母はレジの前で、まるで内緒話みたいに言いました。
「最後に、少しだけ“香り”を足すの。胡麻でも、ねぎでも、生姜でも良いわ。たったそれだけで、『今日のご飯、なんか良いね』になる。人の舌ってね、最後の印象に弱いのよ」
ママが思わず笑います。
「それ、人生にも言えそう」
会計が終わり、袋詰め台へ。ママが袋を持ち上げた時、ずっしり感よりも、安心感の方が強かったのが面白いところです。孫娘は最後までレジ前の棚を振り返りながら言いました。
「今日、私は買わなかった。エライ!」
ママが即座に返します。
「うん、えらい。だから家で“ここぞのおやつ”を出そう」
祖母が笑って締めました。
「そうそう。禁止じゃなくて、選ぶ。選べる家は強いのよ」
物の値段が上がると、心まで縮こまりそうになります。でも本当は、日常の食卓を守る道は1つじゃありません。高いものを追いかけるより、少し良いものを上手に効かせる。値札の声より、中身の声を聞く。そうやって三世代でカートを押すだけで、買い物は「我慢の時間」から「作戦が決まる時間」に変わっていきます。
今日の帰り道、きっとママはこう思うはずです。
“高い時代でも、うちはうちで、ちゃんと美味しく出来る”と。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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