においが見えたら介護も食事も変わる?~屁と湯気と数値化の話~

[ 介護現場の流儀 ]

はじめに…鼻だけに頼らない時代~空気に点数をつけてみる~

においって、不思議ですよね。目に見えないのに、いきなり空気の空気が「うわ、来た…」って顔をする。しかも多床室だと、ちょっと換気が弱いだけで、排便臭が“ジワッ”と広がって、こちらの精神力まで試してきます。においは凶器じゃなくて情報です……と言いたいところですが、現場では「情報量が多過ぎる」日もあります(笑)。

そこで今回のテーマは、「においは数値化できるのか?」です。結論から言うと、かなり出来ます。ただし、においそのものを1つの数字で完全に言い当てるのは難しいので、現実は“空気の状態をいくつかのメーターで見える化する”感じになります。例えば、換気の元気度をざっくり見るならCO2。においの気配を拾うならTVOC(総揮発性有機化合物の総称)や、におい成分に反応するセンサー。さらに「人の鼻で点数をつける」方法もあります。つまり、鼻だけに丸投げせず、チーム戦にするわけです。

ただ、ここで大事なのは「犯人探し」にしないこと。確かに、“こっそり屁”が発見できたら助かる場面もあります(気持ちは分かります)。でも、目的がそこに寄ると、現場の空気が別の意味で重くなりがちです。狙うのは、誰かを当てることではなく、「今、換気を回そう」「今、処理動線を整えよう」「今、気持ちよく過ごせる空気に戻そう」という“快適さのスイッチ”を押しやすくすること。数字は監視カメラではなく、注意報のベル。そんな立ち位置が一番強いです。

そして後半では、食の話に飛びます。ソムリエやテイスティングの世界って、香りを言葉にして、温度や時間で変わる“立ち上がり”まで見ていますよね。ここを介護現場の食事にも応用すると面白いところです。湯気が見えるだけで「今、美味しい状態ですよ」が伝えやすくなる――これ、嗅覚が落ちやすい高齢者さんにとって、かなり頼れる合図になります。湯気は、目で読む“美味しさの字幕”なのです。

におい、屁、湯気、数値化。いろいろ混ざってカオスに見えますが、全部つながっています。見えないものを、優しく見える化して、現場の一手を軽くする。そんな話を、ユーモア多めで、でもちゃんと実用に落ちる形で進めていきます。

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第1章…多床室の「モワッ」に点数をつける~換気不足は空気の渋滞だった~

多床室って、空気が“仕事”をしている場所なんですよね。人がいて、会話があって、体温があって、加湿器や暖房が動いて、紙おむつや汚物処理のタイミングもある。つまり空気は、ずっと忙しい。なのに換気が弱いと、空気が急にサボり始めます。

すると起きるのが、あの現象です。ドアを開けた瞬間に「モワッ」。鼻が先に入室して、体が後から追いつくやつ。しかも自分の鼻って慣れるので、数分すると「さっきよりマシかも」と錯覚する。ところが外から来た家族さんが一歩入っただけで、目が「すみません、これ何の部屋ですか?」って顔になる。はい、空気は嘘をつかない。

ここで1つ、新しい見方を出します。においは“犯人”じゃなくて、だいたいの場合「渋滞のサイン」です。つまり、換気不足で空気が滞っている。渋滞しているから、におい分子がその場に居座る。これを理解すると、対策がグッと現実的になります。

例えば、においの数値化で一番優しく始めやすいのは、「においそのもの」より先に「空気の混み具合」を見ることです。空気の混み具合は、ざっくり言えば“人が吐く息”が部屋に溜まっているかどうか。ここで役に立つのが、CO2モニターです。においのメーターというより、空気の渋滞メーター。数字が上がってきたら、「あ、空気が回ってないな」と分かる。においが強い日ほど、だいたい空気も混んでいます。もちろんCO2が高いから即「臭い」とは限りませんが、「臭いが残りやすい条件が整っている」ことはかなり教えてくれます。

そして次に、「においの気配を拾う」係として、TVOCなどのセンサーが登場します。これは、空気中に飛んでいる揮発性の成分が増えた時に反応しやすいタイプのもの。ここで大事なのは、数値を“断罪の証拠”にしないことです。「上がった=誰かがした」ではなく、「上がった=今、空気が汚れやすい状態、早めに手を打とう」という使い方にする。こうすると、現場に優しい道具になります。逆に言うと、ここを間違えるとセンサーは“空気の監視員”みたいになって、部屋の雰囲気がしんどくなります。センサーは、怒るための鐘ではなく、助けを呼ぶベル。ここが記事の肝です。

もう1つ、実務目線の提案を足します。機械を入れるなら、置き場所が命です。換気扇の真下や窓のすぐ横だと、数字が“外気の都合”に引っ張られて分かり難いことがあります。逆に、壁の隅や棚の奥だと、空気が動かない場所の数字になってしまう。おすすめは「人が息をしている高さ」に近い位置で、なおかつ“処理動線”の近くです。ベッド周りで個人に寄せるより、汚物処理やリネン回収、トイレ前室など「においが発生しやすく、対策も起こしやすい場所」に寄せる。これなら目的が明確で、尊厳も守れます。

さらに、現場は機械だけでは回らないので、アナログの“見える化”も混ぜると強いです。例えば「今日は午後に一回、急に空気が重くなった」「この時間帯に換気が弱くなりがち」みたいな気づきを、軽くメモしていく。これだけで“においの波”が見えてきます。においって、実はランダムに見えて、けっこう生活リズムに沿って波が立ちます。波が見えると、対策が先回りできる。先回り出来ると、においが「事件」じゃなく「予定」になります。予定になった瞬間、現場は強いです。

もちろん、排便臭は換気だけで全部が解決するわけではありません。皮膚トラブルの予防、おむつ交換のタイミング、清拭や陰部洗浄のやり方、汚物の密閉、リネンの扱い、そして室内の湿度や温度。いろんな要素が絡みます。ただ、ここで一番伝えたいのは、スタート地点を「空気の渋滞」から始めると、対策が“誰かのせい”から“環境の整え方”に移るということです。

最後に、ちょっと笑えるけど大事な例えを置いておきます。多床室のにおい問題は、だいたい道路工事みたいなものです。工事そのものは必要で、やらないともっと大変になる。でも渋滞の中でクラクションを鳴らしても前には進まない。必要なのは交通整理と迂回路。センサーは交通情報、換気は迂回路、そしてスタッフの動線は交通整理。こう考えると、におい対策は“気合”から“設計”に変わります。

さて、ここまでで「においは点数をつけられるし、点数のつけ方を間違えなければ、現場の味方になる」という土台ができました。次の章では、みんなが一度は思ったことがあるテーマに行きます。そう、「こっそり屁」は捕まるのか?けれど結論は、捕まえる話ではなく、もっと平和な話になります。


第2章…こっそり屁は捕まるのか?~見張りではなく「快適さアラーム」にする発想~

さて、多床室の空気が渋滞すると「モワッ」が起きる、という話をしました。ここで誰もが一度は思うわけです。「……で、犯人は誰だ?」と。はい、分かります。分かりますが、その瞬間に現場の空気は別の意味で冷えます(笑)。においの正体がどうこう以前に、人間関係の気温が下がるんです。

まず現実の話をすると、機械で「においが増えた」ことは、かなり拾えます。ところが「誰の屁か?」をピンポイントに当てるのは、思ったより難しい。何故か?においは、空気の流れに乗って広がるからです。カーテンが揺れた、ドアが開いた、誰かが歩いた、エアコンが風向きを変えた。それだけで、においの地図がグニャっと変形します。しかも、反応するのは屁だけじゃありません。消毒や清掃のにおい、整髪料、制汗剤、食事の湯気、排泄処理のタイミング。空気には「反応しそうなもの」が多過ぎるんです。つまりセンサーにとって、現場は“情報過多のテーマパーク”です。

ここで、考え方をクルっと回すのがコツです。目的を屁の「犯人当て」から「快適さの維持」に替える。例えば、においセンサーやTVOC系の数値が上がった時、それを“告発”に使うのではなく、“注意報”として扱う。ベルが鳴ったら、誰かを指さすのではなく、空気を整える手順に入る。こうすると、センサーは監視員ではなく、味方になります。

現場向けに言い替えるなら、「においの数値は、体温計みたいなもの」です。体温計が38度を示しても、体温計を叱らないですよね。本人を責めるより先に、まず環境を整えて、様子を見て、必要な支援に繋げる。同じで、においが跳ねたら「空気が疲れてますよ」という合図として扱う。誰かの屁の人格評価に使わない。これだけで、空気の数字が“嫌な道具”から“優しい道具”に変わります。

ここで、新提案を1つ。もし施設内で「においの見える化」を語るなら、キャッチコピーをこう置くと強いです。「犯人捜しじゃない、快適さの早押し」。つまり、臭くなってから右往左往するのではなく、「上がり始め」を拾って先回りする。においが事件になる前に、予定にする。この発想が伝わると、読者さんの中でも“使い道”が一気に現実味を帯びてきませんか?

さらにもう1つ、笑いを取りつつ大事な話をします。こっそり屁って、本人が一番つらいことが多いんですよね。自分の体の都合で、周囲に迷惑をかけた気がして、じつは気まずい。だからこそ、現場の正解は「見つける」より「起きても大丈夫な場」を作ることです。例えば、換気が回りやすい導線、臭いがこもり難い布製品の管理、処理物の密閉と廃棄の手順、そして空気が重くなったら自然に換気が強まる仕組み。これらは全部、“誰かを責めない”まま改善できます。

ここで注意したいのが「いい香りで上書きする作戦」です。香りで誤魔化すと、一時的に気分は変わります。でも、においって混ざると別のにおいになったり、気持ち悪さが増えたりします。高齢者さんは嗅覚が弱くなる一方で、強い香りで酔ったり、頭痛が出たりすることもあります。だから“芳香で上書き”は、使うなら控えめに。基本は、発生源の管理と換気で空気を戻す。香りは飾り、空気は土台。この順番が安心です。

そして、現場で一番ありがたいのは「快適さアラーム」が、別の支援にも繋がることです。においが強い日が続く人は、便秘、下痢、食事の変化、薬の影響、脱水、活動量の低下など、体のサインが隠れている場合があります。もちろん、ここは医療や栄養の専門職の領域も絡むので、断定はしません。けれど「においの波がいつもと違う」は、ケアの見直しの切っ掛けになり得る。数字は罰点ではなく、支援の入口。これが記事としても温かい着地になります。

結局、「こっそり屁は捕まるのか?」への答えは、こうです。技術的には“空気の変化”は拾える。でも、拾った情報をどう扱うかで、現場は天国にも地獄にもなる。だからこそ、正しい使い方は“人を当てない”。空気が重くなったら、空気を軽くする。誰かの恥を増やすのではなく、みんなの呼吸を楽にする。これが、においの数値化を現場の味方にする、一番賢い使い方です。

さあ次は、いよいよ食の世界へ行きます。ソムリエが温度と香りの立ち上がりを読むように、介護の食事でも「湯気」を味方にできます。湯気は、目で読む“美味しさの字幕”。ここが見えてくると、食事の時間がグッと楽しくなります。


第3章…ソムリエの鼻と温度の魔法~香りは温まると立ち上がる~

ソムリエとかテイスティングの世界って、ちょっと格好良いですよね。グラスをクルクル回して、フワっと香りを立たせて、「これは柑橘の皮のような…」とか言い出す。あれ、決してポエム大会ではなく、ちゃんと理屈があります。要するに、香りは“空気中に飛び出してきて初めて鼻に届く”ので、飛び出しやすい条件を作るほど、こちらに情報が届くんです。

その最大のスイッチが、温度です。温かいと、香りの素になる成分が元気になって、空気に乗りやすくなります。逆に冷たいと、香りは素材の中におとなしく引きこもりがち。だから同じ料理でも、温度が違うだけで「香りが立つ」「立たない」が起きます。ここ、介護の食事にもそのまま使えます。

例えば味噌汁。冷めていると「味噌汁です」という見た目の情報だけが来ますが、温かいと、出汁・味噌・具の香りがまとまって「帰ってきた感」まで連れてきます。カレーも同じで、温かいとスパイスが立ち上がって“食欲のスイッチ”を押しに来る。焼き魚も、焼き立ては香りが先に「今すぐ食べよう」と言ってきます。香りは、味の前に来る前菜なんです。

もう1つ、ソムリエがやっている大事な技があります。鼻で嗅ぐだけじゃなく、口に含んだ後に鼻へ抜ける香り、いわゆる「鼻に抜ける香り」も見ています。人間って、実はこれで風味を大きく感じているものです。だから、温度が適切で、口の中で香りがフワっと広がると、「美味しさの体験」が増えやすい。高齢者さんで嗅覚が弱くなっていても、温度や食感の工夫で“風味の体験”を増やせる余地があるんです。

ここで、新提案を入れます。現場で使える「香りの立ち上げスイッチ」は、温度だけじゃありません。実は「フタを開ける瞬間」も強い。鍋のフタ、スープのカップ、蒸し器のフタ、保温ジャーの蓋。開けた瞬間に香りの第一波が出ます。これを、提供の直前に合わせるだけで、同じ献立でも“食べたくなる感じ”、食欲が増えます。豪華な材料を増やすより先に、演出だけで勝てるところです。

ただし、温度は魔法であると同時に、落とし穴でもあります。温かいほど香りが立つからといって、熱過ぎると危険です。口の中を火傷しそうな熱さだと、香り以前に食べる意欲が引っ込みますし、急いで食べようとして咽込みやすくなることもあります。だから目指すのは、「香りは立つけど、食べやすい温度」。ここがプロの塩梅です。ソムリエだって、何でも熱くすれば良いとは思っていません。香りが立つ温度帯があるから、そこへ合わせに行く。介護の食事も同じで、香りのために安全を削らない。安全が土台で、香りは上に乗る華です。

そしてここで、第1章・第2章の話と繋がります。においって、嫌なにおいは「空気の渋滞」で増えやすい。一方で、良い香りも「空気の渋滞」で届き難くなることがあります。つまり、食事の時間に空気が重いと、せっかくの香りの第一波が弱くなる。換気は“悪臭対策”だけでなく、“食欲の舞台作り”にもなるわけです。空気を整えることは、清潔のためだけじゃなく、美味しさのためでもある。ここ、記事としてかなり美味しいポイントです。

次の章では、これをさらに分かりやすく、誰でも使える形に落とします。温度で香りが立つなら、目で見える合図があるはずです。そう、湯気です。湯気は「今、香りが届きやすい状態ですよ」という、目で読めるサインになります。高齢者さんの前で「美味しい状態ですよ」と伝えやすくなる――この話、いよいよ具体的にしていきます。


第4章…湯気は「美味しい字幕」~高齢者さんに食べ頃を伝える演出術~

香りは温度で立ち上がる。ここまでは、ソムリエの世界を借りて説明しました。でも介護現場で「香りが立ち上がりますねぇ」なんて言い始めると、急にテーブルがワイン会の空気になります(笑)。そこで、もっと分かりやすくて、誰でも伝えられる合図があります。そう、湯気です。

湯気って、ただの水蒸気に見えるかもしれません。でも湯気が見えるということは、「今、熱があって、水分が空気に出ている」ということ。つまり、香りの素になる成分も空気に出やすい状態になっている可能性が高い。湯気は、目で読める“食べ頃のサイン”なんです。私はこれを、勝手に「美味しい字幕」と呼んでいます。映画でも字幕があると分かりやすいですよね。香りが弱くなりがちな高齢者さんにとって、湯気は“味の前置き”を目で教えてくれる字幕になります

例えば、汁物を配膳した時。湯気がフワっと立っているだけで、「あったかい」「今が良さそう」が伝わる。そこに一言添えるだけで、食事の空気が変わります。「ほら、湯気が出てますよ。良い感じですよ」って。これ、子どもでも分かる言葉ですし、押しつけ感も少ない。香りの説明が難しい時、湯気は最強の味方です。

ここで、新提案をもう1つ。湯気の力は「見える」だけじゃなく、「見せ方」で伸びます。つまり演出です。大袈裟なことは要りません。例えば、フタ付きの器や保温容器なら、提供の直前に蓋を開ける。すると、湯気と一緒に香りの第一波が立ち上がる。この瞬間、食欲のスイッチが入りやすい。大盛りにしなくても、材料を高級にしなくても、出し方だけで“美味しさの入口”が強くなるんです。これ、現場の工夫としてとてもコスパが良いところです。

ただし、湯気にも注意点があります。「湯気がすごい=最高」ではありません。熱過ぎると、食べ難い。口の中の火傷が怖いし、急いで口に入れて咽込みやすくなることもある。だから目標は「湯気は見えるけど安心して食べられる温度」。この絶妙ラインが、食事介助では一番尊いところです。湯気は字幕、でも本編は安全。字幕だけ派手でも、本編が危ないと意味がないわけです。

そして湯気は、食事の“気分”にも効きます。においって、良いにおいでも悪いにおいでも、空気が重いと届き方が変わります。だから食前に、部屋の空気を軽くしておくのは、悪臭対策だけじゃなく「美味しい時間の舞台作り」でもあります。食事の直前に窓を少し開けて空気を入れ替える、換気のタイミングを意識する、汚物処理の動線を食事の時間帯から外す。こういう工夫は、「におい問題」と「食欲」が同じ場所で繋がっているからこそ効きます。

さらに、湯気の使い方には“会話の優しさ”も入れられます。高齢者さんの中には、嗅覚が落ちて「香りが分からない」と感じる方もいます。でもそれを直球で言われると、ちょっと寂しい。だから少しズラして「香り」ではなく「湯気」を話題にするのが良いんです。「湯気が出てるから、あったかいですよ」「今が食べ頃ですよ」って、誰でも嬉しい言葉になる。本人の変化を指摘せず、気分だけ上げられる。これ、現場のコミュニケーションとしてかなり優秀です。

最後に、湯気の話を“においの数値化”へもう一回繋げます。においの数値化は、悪臭の監視ではなく、快適さを守るための注意報。湯気の見える化は、食べ頃を伝える字幕。どちらも共通しているのは、「見えないものを、優しく見える形にして、次の一手を楽にする」ということです。においは責める材料ではなく、動きやすくする合図。湯気は急かす材料ではなく、安心して食べ始める合図。合図を上手に使えた時、現場はグッと穏やかになります。

さて、ここまでで、においの見える化と、湯気の見える化が繋がりました。後は最後に、この話を1つにまとめて、「現場でどう使うと平和で強いか」を、笑いも残しつつ着地させます。次はまとめです。

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まとめ…数値は注意報で湯気は合図~最後に勝つのは人の気持ち~

においの世界は、思ったより理屈で出来ています。目に見えないだけで、空気の中には“においの分子”がいて、換気が弱いと滞って、ある日突然「モワっ」と主張してくる。多床室の排便臭も、突然の怪談ではなく、空気の渋滞が起こした現象であることが多い。ここが分かると、対策が「誰のせい?」から「環境の整え方」に移ります。現場が平和になるポイントは、いつもそこです。

数値化できるかどうかで言えば、出来ます。けれど、においを1つの数字で断罪するのには向いていません。CO2のような“空気の混み具合”の目安や、TVOCなどの“空気の変化”の目安を、注意報として使う。上がったら責めるのではなく、換気や動線や処理の手順を整えて、快適さを戻す。数字は監視ではなく、気づきのためのベル。鳴ったら誰かを指さすのではなく、空気を助けに行く。これが、においの見える化を味方にする一番の使い方でした。

そして、同じ「見える化」でも、食の場面ではもっと優しい合図が使えます。湯気です。湯気は、香りが立ち上がりやすい状態のサインで、目で読める“食べごろの字幕”になります。嗅覚が弱くなりがちな高齢者さんにとって、湯気は「今が美味しいですよ」を伝えてくれる、静かで確かな味方です。そこに「湯気が出てますよ、良い感じですよ」と添えるだけで、食事の時間がちょっと明るくなる。香りを語らなくても、気分を上げられる。ここが、今回一番の現場向きなポイントでした。

そしてもちろん、今回の最初の誘惑――「こっそり屁を発見したい」――この気持ちも、笑いながら残しておきたい。技術的には空気の変化は拾えてしまいます。でも拾った情報を“犯人探し”に使うと、現場の空気が別の意味で重くなります。だから正解は、同僚の誰かを当てることより、起きても大丈夫な環境に整えること。においの数値は、誰かの恥を増やすためではなく、みんなの呼吸を楽にするために使う。ここに、介護の優しさが出ます。

今回は結局、においと湯気の話は同じところへ着地します。見えないものを、見える形にして、次の一手を軽くする。数値は注意報、湯気は合図。最後に勝つのは、人の気持ち――というより、人を大事にするという使い方です。空気を整えることは、清潔のためだけじゃなく、食欲の舞台作りでもある。そう思うと、今日の換気はちょっとだけ誇らしい仕事になります。

次に多床室に入って「モワっ」と来たら、こう言ってみてください。「空気が渋滞してますね、ちょっと交通整理しますか」。そして食事の湯気がフワっと立ったら、こうです。「字幕が出てますよ、食べ頃です」。現場の空気が、少しだけ笑って軽くなるはずです。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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