小寒の寒の内を笑顔で乗り切る~高齢者施設レクリエーション集~
目次
はじめに…小寒は寒さ本番だけど心は温かく過ごしたい
お正月がひと段落した頃、暦の上では「小寒(しょうかん)」という節目がやって来ます。二十四節気の1つで、「寒の入り」とも呼ばれるこの時期から、立春の前日までの約30日間は「寒の内(かんのうち)」とされ、一年の中でもとびきり冷え込みが厳しい季節です。朝は霜が降り、日中も風が冷たく、外出を控えがちになる方も多いのではないでしょうか。
冷えは、高齢者にとって体力や持病に影響しやすい大きなテーマです。血圧の変動、転倒のリスク、風邪や感染症への不安など、「まだ動けるけれど無理はしたくない」という声もよく聞かれます。一方で、家の中や施設の中でじっとしている時間が増えると、足腰の筋力が落ちたり、気分が落ち込みがちになったりと、別の心配も出てきます。だからこそ、小寒から大寒にかけての時期こそ、「体を大切にしながら、できる範囲で楽しく動く」レクリエーションの工夫が、いつも以上に大きな意味を持ってきます。
この季節ならではの良さも、実はたくさんあります。空気が澄んでいて遠くの山や雲までくっきり見えること。湯気の立つ鍋料理や温かい飲み物が一層、美味しく感じられること。寒中見舞いの葉書や、冬の星空、こたつで囲む団欒など、小寒の頃だからこそ楽しめる風景が、私たちの周りには静かに広がっています。レクリエーションにほんの少し「小寒」「寒の内」「二十四節気」「七十二候」といった言葉を取り入れてみるだけでも、日々の活動が季節と繋がり、参加者の方の表情がフッと和らぐ場面が生まれてきます。
この記事では、小寒の季節を「ただ我慢する寒さの時間」ではなく、「冬を味わいながら体と心をほぐす時間」に変えていくための高齢者向けレクリエーションを紹介していきます。まずは、小寒から大寒・立春にかけての気候の特徴と、高齢者の体や心の状態をやさしくおさらいして、その上で、二十四節気や七十二候を題材にした鑑賞レク、椅子に座ったまま出来る軽い運動、寒中見舞いや冬の味覚を楽しむ創作・行事のアイデアへと話を進めていきます。
大掛かりな準備や派手なイベントでなくても構いません。スタッフの負担を抑えつつ、「今日は小寒らしい一日だったね」と思える小さな工夫を積み重ねることが出来れば、それだけで寒の内の30日は、施設にとっても、通っておられる方にとっても、きっと特別な冬の思い出になっていきます。
[広告]第1章…小寒と高齢者の体と心~冷えやすい季節の特徴をおさらい~
小寒から大寒にかけての時期は、一日の中でも気温差が大きくなりやすく、朝晩は氷点下近くまで冷え込む地域も増えてきます。日中は日差しがあっても、風が強いと体感温度はグッと下がり、室内と屋外の温度差も大きくなりがちです。高齢者にとって、この「気温差」と「冷え」は、思っている以上に身体への負担となります。
年齢を重ねると、筋肉量が少しずつ減っていきます。筋肉は、体温を生み出し、保つための大切なパーツですから、若い頃と同じ服装や過ごし方をしているつもりでも、実は体が冷えやすくなっています。また、血圧の変動が起こりやすい方にとっては、寒い場所への移動や、トイレ・入浴時の急な温度差が負担になりやすい時期でもあります。「本人はそこまで寒いと感じていないのに、実際にはかなり体温が下がっている」ということも起こりがちです。
さらに、小寒の頃は、活動量そのものが減りやすい季節です。外は冷たい風、道路は凍結や積雪の心配、インフルエンザなどの感染症の流行も気になります。どうしても「今日はやめておこう」「また今度にしよう」と外出や運動を控えているうちに、足腰の筋力や持久力が少しずつ落ちてしまい、ますます動くのが億劫になる……という悪循環にはまりやすいタイミングでもあります。
身体だけでなく、心の状態にも小寒ならではの揺れが生まれます。年末年始の賑やかなムードが一段落し、家族が帰っていった後の静けさや、長い夜の時間を前にして、ふと寂しさや不安が顔を出す方も少なくありません。窓の外は早く暗くなり、ニュースを点ければ、寒波や大雪の話題が続くこともあります。「今年の冬も、また無事に越えられるだろうか」といった、言葉にしづらい心配が胸の奥に小さく積もっていく――そんな声を、現場で耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
一方で、この季節だからこそ、心と体を労わる工夫がしやすい面もあります。暖房器具や衣類の調整、温かい飲み物や食事、入浴のタイミングなど、「冷やさないための生活術」が話題にしやすいのも小寒の特徴です。レクリエーションの時間に、「今年はどんな防寒対策をしているか」「子どもの頃の冬の過ごし方はどうだったか」といった話題を取り上げるだけでも、参加者同士の会話が弾み、自然と体を動かす切っ掛けにも繋がっていきます。
小寒から始まる「寒の内」は、高齢者にとってリスクの多い季節であると同時に、「冬を上手に乗り切る力」を発揮しやすい季節でもあります。これまでの経験や知恵を引き出しながら、無理なく身体を温め、心をほぐす時間を作ることが出来れば、寒さの厳しい時期も「ちょっと大変だけど、皆で工夫しながら楽しめる季節」へと姿を変えていきます。
この章でおさらいしたような、小寒ならではの体と心の特徴を踏まえた上で、次の章では、二十四節気や七十二候の世界をやさしく取り入れた「見る・聴く」中心の鑑賞レクリエーションについて掘り下げていきます。
第2章…二十四節気と七十二候を味わう~「見る・聴く」ゆったり鑑賞レクリエーション~
小寒の時期は、「外に出て体を動かすレク」はどうしても減りがちです。その一方で、椅子に座ったまま、あるいはベッドサイドでも参加できる「見る・聴く」が中心の時間は作りやすい季節でもあります。そこで役に立つのが、二十四節気と七十二候という、季節の移り変わりを伝えてくれる古い暦の言葉です。難しい知識としてではなく、「今日は暦の上ではこんな日なんですよ」と、柔らかく紹介するだけで、参加者の方の表情がフッと動く瞬間があります。
二十四節気カレンダーで“今”を共有する鑑賞レク
まず取り入れやすいのが、二十四節気を大きく書いた手作りカレンダーやパネルを使った鑑賞レクです。壁やホワイトボードに「小寒」「大寒」「立春」などの節気を円形や帯状に並べ、現在位置のところにマグネットや可愛いピンを移動していきます。「今はここ、小寒の辺り」「もう少し行くと立春ですね」と指さしながら、季節の流れを一緒に辿っていくと、「昔は立春の頃に梅が咲いていたね」「小寒の頃は川がよく凍ったよ」など、自然と会話が広がっていきます。
小寒という字を大きく掲示して、その横に「寒の入り」「寒の内」などの言葉を、読みやすいサイズで添えておくのもお勧めです。レクリエーションのたびにその前を通るたび、「今日はまだ小寒かな?」「そろそろ大寒?」と、季節の話題を引き出す切っ掛けになります。スタッフが一方的に説明するのではなく、参加者の方に指し棒で現在位置を指してもらったり、「小寒の次は何だったかな?」とゆっくり思い出してもらったりすることで、自然と頭の体操にも繋がります。
七十二候の言葉を朗読して景色を思い浮かべる
少しステップアップして、七十二候を題材にした「朗読レク」を組み込むこともできます。小寒の時期には「芹乃栄(せりすなわちさかう)」「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」「雉始雊(きじはじめてなく)」という三つの候が割り当てられています。漢字だけ見ると難しそうですが、読み方と意味をやさしい言葉で添えるだけで、グッと親しみやすくなります。
例えば、「芹乃栄」と書いたカードを見せながら、「これは『せりすなわちさかう』と読みます。野の水辺にセリが元気に伸びてくる頃、という意味なんですよ」とゆっくり朗読します。その上で、「子どもの頃、七草粥を食べた思い出はありますか」「川辺でセリを摘んだことがありますか」と問いかけてみると、一人一人の記憶の中にある冬から春への風景が、少しずつ言葉になって出てきます。「水泉動」では井戸や湧き水の思い出、「雉始雊」では田んぼや山里の鳥の声など、話題の糸口はいくつも見つかります。
この時、答えられない方がいても、急かさないことが大切です。話をする人も、静かに耳を傾ける人も、同じ空間で「七十二候」という小さな物語を共有しているだけで、その時間は立派な鑑賞レクになります。「よく知らない言葉だったけれど、聞いているうちに情景が目に浮かんできた」と感じていただけたら、それで十分な成功です。
目と耳で楽しむミニ鑑賞会の工夫
二十四節気や七十二候の紹介に合わせて、写真や絵を映したり、音を流したりすると、さらに五感に届きやすくなります。プロジェクターや大きめのモニターがある施設なら、冬の田んぼ、霜柱、セリの緑、冬の星空などの写真をスライドにして、ゆっくりと見てもらう時間を作るのも良いでしょう。設備が限られている場合でも、カラー印刷した写真やイラストをラミネートして回覧するだけで、立派な「冬のアルバム」になります。
音の力も侮れません。小さな音量で、せせらぎや鳥の囀り、風の音などの環境音を流しておくだけで、室内にいながら季節の外気を感じることが出来ます。七十二候の説明をする前後に、ほんの数分だけ音に意識を向けてもらい、「どんな景色が浮かびましたか?」と問いかけてみるのも良い方法です。答えが出なくても構いません。「何となく寒そうだけど、綺麗な朝の感じがした」といった一言を拾いながら、スタッフが言葉を繋いでいくことで、参加者全員で1つの風景を共有する感覚が生まれます。
このような「見る・聴く」中心のレクリエーションは、体力に不安のある方や、発語が少ない方でも参加しやすいのが大きな利点です。二十四節気や七十二候という古い暦の言葉は、決して堅苦しい知識ではなく、「冬っていいな」「昔の冬を思い出したな」と感じてもらうための、優しいスパイスのような存在です。次の章では、こうした鑑賞レクから一歩進んで、椅子に座ったままでも安全に出来る「ちょこっと寒稽古」的な体ほぐしレクについて、具体的なイメージを膨らませていきます。
第3章…ちょこっと寒稽古でぽかぽかに~椅子で出来る安全な体ほぐしレク~
小寒から大寒にかけての時期は、昔から「寒稽古」という言葉が使われてきました。武道やスポーツで、敢えて寒い時期に体と心を鍛えるものです。高齢者施設で同じことをそのままする必要はありませんが、「寒いからこそ、体を少し動かして温まろう」という、やわらかな寒稽古の発想は、レクリエーションにとてもよく合います。ここでは、椅子に座ったまま安心して行える、冬の体ほぐしレクのイメージを膨らませてみましょう。
寒稽古気分を味わうウォーミングアップ
まず大切なのは、「いきなり動き過ぎないこと」です。小寒の頃は、朝一番の体が特に強張りやすく、関節の動きもゆっくりです。最初の数分は、呼吸と手先・足先からやさしく温める時間にすると、参加者の方もスタッフも安心して本編に入っていけます。
例えば、椅子に深く腰かけてもらい、背もたれにもたれ過ぎない姿勢を確認した上で、「まずは大きく息を吸って、ゆっくり吐きましょう」と、2~3回、深呼吸を一緒に行います。声掛けの時に、「冬の澄んだ空気を胸いっぱいに入れるイメージで」「吐く時は、白い息がフワッと出ていく感じで」など、季節感のある言葉を添えると、それだけで小寒らしい雰囲気が出てきます。
次に、指先や足先を動かしていきます。両手を前に出して、グー・パーをゆっくり10回ほど繰り返したり、膝の上で指を1本ずつ折り曲げながら数を数えたりするだけでも、血の巡りが良くなっていきます。足元は、踵を床につけたまま、爪先だけをちょこんと持ち上げる動きや、爪先を床につけたまま、踵だけを上げ下げする動きが安全です。テンポよく行うより、「ゆっくり、気持ち良いところまで」で止めることを繰り返す方が、この時期には向いています。
椅子で出来る全身ほぐしを小さな物語にする
ウォーミングアップが済んだら、少しだけ大きな動きを取り入れていきます。ここでも、「筋トレ」や「体操」という言葉よりも、「冬の景色になりきる遊び」として紹介すると、参加のハードルが下がります。二十四節気や七十二候のイメージを重ねるのもお勧めです。
例えば、「芹乃栄ストレッチ」と名付けて、セリを摘むしぐさを取り入れます。椅子に座ったまま、片手ずつ前に伸ばし、地面の草を摘まむように軽く握って胸元まで引き寄せる動きを、左右交互に行います。「寒い朝、霜の下から顔を出したセリを、そっと摘んでカゴに入れるイメージで」と声をかけると、動きにやさしい物語が乗ってきます。関節の可動域を広げるというより、肩から指先にかけての血の巡りを良くするつもりで、回数も参加者の様子を見ながら調整していきます。
上半身では、ゆっくりとした「雉始雊の胸張り」も取り入れやすい動きです。両手を太腿の上に置いた状態から、息を吸いながら肩を後ろに引き、胸を少し開きます。そのまま1~2秒キープし、息を吐きながら元の姿勢に戻ります。「冬の澄んだ空に向かって、雉が一声鳴く時のように、胸をスッと持ち上げてみましょう」と伝えると、背筋が自然と伸びやすくなります。無理に反らせるのではなく、「気持ち良く息が入るところまで」で止めるのがポイントです。
下半身のほぐしでは、「凍った道を歩かないで済む分、椅子の上で足を大切に動かす時間にしましょう」と前置きしてから、片足ずつの膝伸ばしを行うと良いでしょう。椅子に浅めに腰かけ、片足の膝をゆっくり伸ばして爪先を前に向け、そのまま少しキープします。足を戻したら反対側も同じように。勢いを付けると転倒リスクが高まるため、「ぶらぶら振り回さない」「いつでも途中でやめていい」と予め伝えておくと安心です。
無理なく続けるための声掛けと時間の工夫
小寒の体ほぐしレクは、「たくさん動いたから成功」ではなく、「参加者が笑顔で終われたら成功」というくらいの気持ちで組み立てるのがちょうど良いバランスです。10分前後の短いプログラムを、午前と午後に1回ずつ行うだけでも、体の強張り方や、その日の表情が少し変わってきます。
声かけは、「頑張りましょう」よりも、「一緒にゆっくりやってみましょう」「出来る分だけで大丈夫ですよ」といった、安心感のある言葉を中心にします。動きの説明も、「膝を何度まで曲げて」など専門用語に寄せ過ぎず、「このくらいで気持ち良いなと感じるところで止めてくださいね」と、感覚の言葉を多く使うと伝わりやすくなります。
また、小寒や七十二候の言葉を合図に使う方法もあります。「今日は『芹乃栄』のイメージで、手先を元気にする動きから始めましょう」「『水泉動』になぞらえて、体の奥の方まで血が巡るように、足をゆっくり動かしてみますね」など、その日のテーマを一言添えるだけで、同じ体操でも特別な時間に感じられます。
最後は、もう一度深呼吸をして、足先や手先を軽くさすって終わる、という流れにしておくと、参加者の方も「これでお終いなんだな」と区切りが付きやすくなります。「今日も寒稽古ご苦労様でした」「これで午後も温かく過ごせそうですね」と、労いのひと言を添えることも忘れずに。小さな積み重ねが、寒の内の間中、体と心の両方を支える力になっていきます。
次の章では、こうしてほぐれた心と体に、さらに楽しみを重ねていけるよう、寒中見舞いや冬の味覚を取り入れた作品作り・ミニ行事のアイデアを見ていきましょう。
第4章…寒中見舞いと冬の味覚を楽しむ~手紙・作品づくり・ミニ行事のアイデア~
小寒から大寒にかけての「寒の内」は、年賀状の時期が落ち着き、寒中見舞いがぴったり合う季節です。外は冷たい風が吹いていても、室内では机を囲んで、ゆっくり手を動かしながら心を届ける時間を作ることが出来ます。ここでは、手紙や作品作り、そして冬の味覚を取り入れたミニ行事のイメージを膨らませてみましょう。
まずは、寒中見舞い作りです。大掛かりな書道道具を用意しなくても、葉書サイズの厚紙や市販のポストカード、色鉛筆やスタンプ、シールなどがあれば十分です。スタッフが予め「寒中お見舞い申し上げます」と印刷したり、薄く下書きしたりしておき、その周りに冬らしい絵や言葉を添えてもらいます。雪の結晶や椿、みかん、湯気の立つお椀など、描きやすいモチーフを例として提示すると、「私は子どもの頃のこたつを描きたい」「雪景色を塗ってみたい」と、参加者の方から自然にアイデアが出てくることも少なくありません。
文字を書くことが難しい方には、スタンプや貼り絵で参加してもらう方法があります。色紙をちぎって雪や山の形にしたり、和柄の折り紙を使ってマフラーや着物の柄に見立てたりすると、指先を使う良いリハビリにもなります。コメント部分は、スタッフやご家族が代筆する形でも構いません。「寒さが厳しいですが、お元気でお過ごしくださいね」といった一言でも、受け取る側にとっては心のこもった贈り物になります。
寒中見舞いを実際にポストへ投函するところまでをレクリエーションに組み込むと、さらに達成感が高まります。近くに郵便ポストがあれば、天候の良い日の短いお散歩として、「今日は寒中見舞いを出しに行く小さな旅です」と位置付けてみるのも良いでしょう。施設から出ることが難しい場合は、スタッフが代表して投函し、その様子を写真に撮って後で皆さんに見ていただくのも一つの方法です。「この葉書、本当に届くんだ」とイメージ出来るだけでも、活動の意味がグッと増して感じられます。
冬の味覚を取り入れたミニ行事も、小寒の時期にお勧めです。例えば、温かい汁物を主役にした「寒の内ほっこりお椀デー」のような時間を設定することが出来ます。厨房と相談しながら、具だくさんの味噌汁やけんちん汁、澄まし汁など、塩分や水分量に配慮した一杯を用意してもらい、その前後の時間をレクリエーションとして位置付けます。配膳の前に具材を見せながら、「昔の家では大根はどんな風に使っていましたか」「冬になると楽しみだった料理はありますか」と話題を広げていくと、参加者の方の表情が和らぎ、自然と食欲も刺激されていきます。
小寒の頃には、七草粥の行事も外せません。1月7日が近づいてきたら、実際に七草を刻むところをスタッフが実演したり、写真を見せて名前当てクイズをしたりするのも楽しい時間になります。衛生面や誤嚥のリスクに配慮しながら、刻む音や香りを感じてもらうだけでも、冬から春へ移り変わる季節感を分かち合う切っ掛けになります。全員が同じ物を食べなくても、「七草をテーマにしたお粥色のデザート」や、「七草のイラストカード」を用意することで、参加の形を柔軟に選べるようにすると安心です。
また、ミカンやリンゴなどの果物を題材にした「香りの鑑賞会」も、簡単で効果の大きい冬のレクリエーションです。皮を剥くと部屋いっぱいに広がる柑橘の香りは、寒い季節の小さなご褒美です。実を一口味わう前に、皮を手の平で揉み、香りを嗅いでもらいながら、「お正月のみかん、こたつと一緒に思い出しますか」「昔はどんな果物がごちそうでしたか」と話を繋げていくと、五感と記憶が同時に刺激されます。少量でも「味わった」という満足感が得られるように、目で見て、香りを吸い込み、舌で確かめる流れを意識して進めると良いでしょう。
こうした作品作りやミニ行事は、準備の段階から「小寒らしさ」を意識しておくと、記事全体のテーマとも自然に繋がっていきます。例えば、レクのタイトルに「寒の内」「小寒」「寒中見舞い」などの言葉を少し添えるだけで、日々の活動が暦の流れと寄り添うものに変わります。スタッフにとっても、「この季節ならではの取り組みをした」という手応えは、大きな励みになるはずです。
小寒の季節は、外に出るには少し勇気がいる一方で、室内だからこそじっくり取り組めるレクリエーションが豊富に見つかる時期でもあります。手を動かし、香りを楽しみ、温かい一杯を分かち合うこと。その積み重ねが、参加者の方にとってもスタッフにとっても、「今年の冬も、皆でよく頑張ったね」と振り返ることの出来る大切な記憶になっていきます。次のまとめでは、小寒レク全体を通して大切にしたい視点を、改めて整理してみましょう。
[広告]まとめ…小寒レクは頑張り過ぎない冬支度くらいがちょうどいい
小寒から大寒、そして立春の前日まで続く「寒の内」は、高齢者にとってもスタッフにとっても、少し身構えてしまう季節かもしれません。冷えやすく、体力も落ちやすい時期だからこそ、「何か特別なことをしなきゃ」と気負ってしまいがちですが、本当に大切なのは、暮らしの延長線上で無理なく続けられる、小さな工夫を積み重ねていくことです。この記事で紹介してきたのも、大掛かりなイベントではなく、「今日、出来ることを少しだけ形にする」ためのアイデアたちでした。
1章では、小寒から始まる季節の特徴と、高齢者の体と心の状態をそっとおさらいしました。気温差や冷え、活動量の低下、年末年始の後にふと訪れる静けさ――そうした要素が重なりやすい時期だからこそ、ただじっと様子を見るのではなく、日々の関わりの中で「寒さとどう付き合うか」を一緒に考えていく視点が大切になります。その上で、2章のように二十四節気や七十二候を題材にした「見る・聴く」中心の鑑賞レクを取り入れることで、冬の時間に柔らかな彩りが添えられます。
3章で触れた椅子で出来る体ほぐしレクは、小さな寒稽古のような存在でした。激しい運動ではなく、深呼吸や手足のグーパー、膝の曲げ伸ばしなど、「気持ち良いところで止める」動きを、皆でゆっくり行う。それだけでも血の巡りが変わり、顔色や表情が少し明るくなっていきます。「芹乃栄」「雉始雊」といった七十二候の言葉を合図に使うことで、同じ体操でも、季節と繋がった特別な時間として感じてもらえるはずです。
4章では、寒中見舞いや冬の味覚をテーマにした手紙・作品作り、ミニ行事のアイデアを見てきました。葉書に雪や椿を描いて誰かを思い浮かべること、湯気の立つ汁物や七草の香りを皆で味わうこと、柑橘の香りを切っ掛けに昔の冬の記憶を語り合うこと――こうした場面は、身体だけでなく心も温めてくれます。完成した葉書がポストに向かうまでを見届けたり、「今日は寒の内ほっこりお椀デーです」と名前を付けたりすることで、日常のひとコマが、季節の物語として記憶に残りやすくなります。
小寒のレクリエーションで大事にしたいのは、「頑張り過ぎないけれど、季節はちゃんと味わう」という姿勢です。スタッフが準備に追われて疲れてしまうような内容よりも、「二十四節気の話題をひと言だけ添える」「体操の前後に深呼吸を増やす」「寒中見舞いを1枚だけでも出してみる」といった、小さくても続けやすい工夫の方が、結果として参加者の安心感や笑顔に繋がっていきます。
今年の小寒は、施設全体で「寒さと仲良くなる冬支度」をテーマにしてみるのも良いかもしれません。暦の上の季節の名前に耳を澄ませながら、体を少し動かし、手を動かし、温かい一杯を分かち合う。その積み重ねが、「あの冬は寒かったけれど、皆でよく笑ったね」と振り返ることの出来る、小さな宝物のような時間を作ってくれるはずです。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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