小寒から始まる寒の内を散歩~二十四節気と七十二候で味わう真冬の楽しみ~

[ 1月の記事 ]

はじめに…暦の上の寒さのスタートラインの小寒ってどんな日?

お正月気分がようやく落ち着いてきた頃、暦の上では「小寒(しょうかん)」という節目がやってきます。二十四節気の第23番目にあたる日で、現在の暦では毎年1月5日頃。ここから「大寒」「立春」へと続く、冬のラストスパートが始まります。

この日を境に「寒(かん)」あるいは「寒の内(かんのうち)」と呼ばれる約30日間がスタートします。「寒の入り」という言い方を耳にしたことがある方も多いかもしれませんね。言葉だけ聞くと「ここから寒さが始まるのかな?」という印象ですが、実際の体感としては既にかなり冷え込んでいる時期。それでも、暦の上で「あ、ここからが本番なんだ」と区切りがつくと、不思議と気持ちも冬モードに切り替わっていきます。

二十四節気は、太陽の通り道を24の「季節のピース」に分けたものです。さらに、それぞれを3つずつに細かく分けたのが七十二候(しちじゅうにこう)。小寒には「芹乃栄(せりすなわちさかう)」「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」「雉始雊(きじはじめてなく)」という3つの小さな季節が用意されています。外の空気はキンと冷たいのに、その名前には、地面の下で春を待つ命の気配や、野の鳥の声など、柔らかな温度を感じさせるものが多いのが印象的です。

現代の暮らしでは、カレンダーやスマホの予定表だけでも十分に生活は回っていきます。それでも、二十四節気や七十二候に目を向けてみると、「いまは一年の中でどんな位置にいるのか」「自然はどんな表情をしているのか」といった、少し大きな時間の流れが見えてきます。慌ただしい毎日の中で、ふと空を見上げたり、足元の草や水辺、空気のにおいに意識を向けるきっかけにもなってくれます。

この記事では、小寒の時期にあたる二十四節気と七十二候を手がかりに、真冬の空気をじっくり味わってみます。江戸時代の人びとが暦に込めた言葉を辿りながら、「寒いけれど、悪くないな」と思えるヒントを、空の色や食べ物、言葉の響きなどと一緒に探していきましょう

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第1章…小寒と“寒の内”~1年で一番冷たい約30日を覗いてみる~

小寒は、毎年1月5日頃にやってくる二十四節気の1つです。太陽の動きを元に季節を24の区切りに分けた中で、第23番目に当ります。1つ前は昼の長さが少しずつ伸び始める「冬至」、1つ後は一年で最も冷え込む「大寒」。その間に位置する小寒は、まさに「本格的な寒さへの入口」のような節目だと言えます。

この小寒の日をスタートとして、次の節気である大寒の前日まで、約15日間ほど続く期間を、暦の上では「小寒」と呼びます。さらに視野を広げると、小寒からその次の「大寒」を含めて「立春」の前日、つまり節分までのおよそ30日ほどは「寒」または「寒の内(かんのうち)」と呼ばれています。小寒の日は「寒の入り」とも言い、「ここから先は特別に寒い一か月が続きますよ」という合図のような日なのです。

とはいえ、体感としては小寒の頃には既に十分寒く、朝の冷え込みに肩をすくめる日が多いかもしれません。それでも、「今が一年のうちで最も寒さが厳しいゾーンに入ったところなんだ」と意識してみると、同じ冷たい空気でもどこか意味をもって感じられるようになります。例えば、霜柱を踏んだ時のザクッとした感触や、吐く息が白く昇る様子も、「寒の内ならではの景色」として楽しめるようになってきます。

昔の人々は、この時期の冷たさをうまく暮らしに取り入れていました。例えば水が腐りにくいこの季節に味噌や醤油などの仕込みを行ったり、寒さに身をさらして心身を鍛える「寒稽古」に励んだりと、「ただつらいだけの寒さ」ではなく、「暮らしを整えるための贈り物」として活用していたのです。現代でも、寒い時期だからこそ美味しく感じる鍋料理や、温かい飲み物、湯上がりのポカポカした幸福感など、この季節ならではの楽しみはたくさん見つかります。

また、小寒を過ぎると「寒中見舞い」の時期にも入ります。年賀状のやり取りが一段落したあと、喪中の方や、久しぶりに近況を伝えたい相手に、冬ならではのご挨拶として送られるものです。普段はなかなか手紙を書く機会がない方でも、「寒の内」という区切りをきっかけに、丁寧な言葉で誰かを思い浮かべてみるのも素敵な過ごし方かもしれません。

小寒から節分までの約30日は、一年の中でもとびきり冷たい季節です。それと同時に、暦の上では春へのカウントダウンが静かに始まっている時期でもあります。この章では、その入口にあたる小寒と「寒の内」という考え方を辿りました。次の章では、二十四節気全体の流れのなかで、小寒がどんな位置付けにあるのかを、冬至・大寒・立春との繋がりから見ていきましょう。


第2章…二十四節気の中の小寒~冬至から大寒・立春へ繋がる季節のリレー~

二十四節気(にじゅうしせっき)は、1年を24の季節の区切りに分けた、いわば「季節の地図」のようなものです。太陽の動きを元に決められていて、「立春(りっしゅん)」から始まり、「立夏」「立秋」「立冬」と季節の入口が用意されています。その中で小寒は、第23番目の節目として、冬の終盤にそっと置かれている合図のような存在です。

冬の節気を並べてみると、「立冬(11月上旬ごろ)」「小雪(しょうせつ)」「大雪(たいせつ)」「冬至(とうじ)」「小寒(しょうかん)」「大寒(だいかん)」という流れになります。立冬で「暦の上では冬が始まりましたよ」と告げられ、小雪・大雪で本格的な冷え込みと雪の季節に入り、冬至で昼が一番短い日を迎えます。その後にやってくるのが、寒さのクライマックスへ向かう入口である小寒です。

冬至は「太陽が一番低くなる日」であり、夜が長く、昼が短い節目です。一方、小寒は日照時間としては少しずつ伸び始めているものの、体感の寒さはむしろ厳しくなっていく頃に当ります。「光は増えているのに、冷たさは増していく」という少し不思議な時期であり、そのギャップこそが、小寒から大寒、そして立春へと続く季節のドラマを生み出しているとも言えます。

小寒の次に控えている大寒は、その名の通り「大いに寒い」と書きます。二十四節気の中でも、最も冷え込みが厳しいとされる節目です。小寒が「寒の入口」だとすれば、大寒は「寒さの本丸」のような立ち位置で、川の水が厚い氷に覆われたり、朝の空気が一段と鋭く感じられたりする頃です。それでも、その先には必ず「立春」という新しい季節の扉が待っています。

立春は、暦の上では「春の始まり」です。実際の体感ではまだまだ寒い日が続きますが、「冬から春に向かって季節の向きが変わる日」として、昔からとても大切にされてきました。小寒と大寒は、この立春へと向かう最後の助走区間のような存在です。小寒で寒さのゾーンに入り、大寒で冬の力がピークに達し、そこから少しずつ春へ向けて流れが変わっていく──そんなイメージを持つと、暦の並びがグッと立体的に見えてきます。

二十四節気は、農作業の目安として生まれたと言われていますが、現代の生活でも「季節のリズムを感じる道標」として役立てることが出来ます。例えば、「冬至を過ぎたから、これからは寒さと引き換えに、少しずつ日が長くなる時期」「小寒に入ったから、ここから先の1か月は冷え対策をしっかりして過ごそう」「大寒を越えたら、そろそろ春への準備を考えよう」といった具合に、日々の暮らしに小さな目安を作ることができます。

また、二十四節気を意識すると、行事や言葉の背景も見えやすくなります。小寒の頃からは「寒中見舞い」を出し始め、大寒のうちに出すものは「寒中見舞い」、立春を過ぎてからは「余寒見舞い」と呼び方が変わります。これも、二十四節気の区切りが暮らしのマナーや言葉遣いにまで影響している一例です。暦の上の小さな区切りが、手紙の挨拶や季節の挨拶文の中にも静かに息づいているのです。

このように、二十四節気の中で小寒を眺めてみると、「冬至で光が生まれ、小寒で寒さが本格化し、大寒でピークを迎え、立春で季節が春へと向きを変える」という、美しいリレーの一部分であることが分かります。次の章では、この小寒の時期をさらに細かく3つに分けた七十二候、「芹乃栄」「水泉動」「雉始雊」に目を向けながら、真冬の中に潜む小さな春の気配を辿っていきましょう。


第3章…七十二候で味わう小寒~芹乃栄・水泉動・雉始雊に潜む物語~

二十四節気が1年を24コマの大きな区切りで捉えたカレンダーだとしたら、七十二候(しちじゅうにこう)は、その1コマ1コマをさらに3つに分けた「ミニ物語集」のような存在です。同じ小寒という時期の中でも、「今はどんな自然の変化に名前をつけたのか」を細かく教えてくれるので、季節の表情がグッと豊かに感じられます。

小寒に当てはめられている七十二候は、「芹乃栄(せりすなわちさかう)」「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」「雉始雊(きじはじめてなく)」の3つです。どれも、冷たい空気の中に潜んでいる、微かな春の気配や命の動きを掬い取った言葉になっています。

「芹乃栄」は、小寒に入ってすぐ頃の候です。「芹(せり)がすなわち栄える」という意味で、野の水辺や田の畦道などに、シャキッとした緑色のセリが伸び始める様子を表しています。地表近くはまだ霜が降り、朝にはバリバリと凍るほど冷え込むのに、その下ではちゃんと芽が動き出している。そんな、土の中からの小さな「春の予告編」のような情景が浮かんできます。七草粥に使われる春の七草の1つとしても知られているので、スーパーの青果売り場で七草セットを見かけたら、「あ、今は芹乃栄の頃なんだな」と思い出してみるのも楽しいかもしれません。

次の「水泉動」は、小寒の中ほどに当たる候です。「泉の水が温かみを含んで動き始める」という意味を持っています。真冬の川や池は、表面が凍って静まり返っているように見えますが、その奥底では、僅かに水が動き、春に向けて温度もほんの少しずつ変化していきます。外からはほとんど分からないほどの小さな動きに、敢えて名前を付けているところに、昔の人びとの鋭い観察力と優しい眼差しを感じます。私たちの日常でも、水道の水の冷たさや、お風呂のお湯のありがたさを意識する季節です。「目には見えない場所で、静かに季節が次のページをめくっているんだな」と想像してみると、冬の夜の台所や浴室の時間も少し特別に思えてきます。

最後の「雉始雊」は、「雉(きじ)が初めて鳴く頃」という意味を表す候です。寒さが一番厳しくなる直前、野山の間から、雉の鋭く通るような鳴き声が響き始める情景を切り取っています。雉は日本の国鳥でもあり、田畑や河川敷などで見かけることもある身近な鳥ですが、普段は草叢に身を潜めていることが多く、鳴き声で存在に気づくことも少なくありません。冬空に向かって一声あげるその姿には、「これから恋の季節に向かうよ」という、命のリズムも重なっています。もし身の回りで雉に出会う機会は無くても、朝の空気の澄んだ感じや、近所の小鳥たちの囀りを意識して耳を澄ませてみると、「雉始雊」という言葉がグッと身近に感じられるはずです。

この3つの候を改めて眺めてみると、小寒という時期は単に「寒さが厳しい季節」ではなく、「冷たさの中で、次の季節の準備が着々と進んでいる時期」だということが分かります。凍るような空気の下でセリが伸び、見えないところで水が動き、野の鳥が声をあげる。どれも、春の訪れに向けた命のスタートの合図のようです。

忙しい毎日の中で、七十二候すべてを覚える必要はありませんが、「今日は芹乃栄の頃だから、緑の野菜を意識してみよう」「水泉動だから、お気に入りのマグカップで温かい飲み物をゆっくり味わってみよう」「雉始雊の頃だから、朝少しだけ空気の音に耳を澄ませてみよう」といった具合に、1つでも暮らしに取り入れてみると、同じ冬の日々が少し違って見えてきます。

次の章では、こうした小さな季節の言葉をヒントに、小寒の頃ならではの空の色や食べ物、言葉の楽しみ方を、現代の暮らしに寄り添わせながら紹介していきます。


第4章…小寒の頃を心地良く過ごす~言葉・空・食べ物の楽しみ方~

小寒から大寒、そして立春の前日まで続く「寒の内」は、一年の中でもとびきり冷たい時期です。でも、暦の言葉や空の色、台所から立ち昇る湯気に目を向けてみると、「寒いだけの季節」ではなく、「冬ならではのご褒美」がたくさん隠れていることに気づきます。この章では、小寒の頃を心地良く過ごすためのヒントを、言葉・空・食べ物という三つの入口から眺めてみましょう。

言葉で味わう小寒~季節の挨拶を暮らしにひと匙~

小寒に入ると、「寒の入り」という言い方や、「寒中見舞い」という言葉を耳にするようになります。文字だけを見ると少し畏まった印象がありますが、元々は「寒い時期だけれど、どうかお元気で」という、優しい気遣いの表現です。年賀状のやり取りが落ち着いた頃に、近況を伝えたい人へそっと一枚カードを送ってみるのも、小寒らしい過ごし方の1つです。

手紙を書くのは少しハードルが高い……という場合は、日記や手帳にその日の二十四節気や七十二候を書き添えてみるのもお勧めです。「今日は小寒」「今日は芹乃栄」と小さくメモして置くだけで、後から見返した時に、その日の空気や気持ちまで思い出しやすくなります。スマホのカレンダーのメモ欄に「水泉動 台所の水が氷のように冷たかった」などと一言添えるだけでも、「季節と自分の暮らしがちゃんと繋がっているんだな」という実感が生まれてきます。

俳句や短歌が好きな方なら、「寒」「霜」「氷」「息白し」といった冬の季語を意識してみるのも楽しい時間になります。本格的な作品でなくても、例えば「寒の朝 湯気の向こうで 猫まどろむ」といった短いことば遊びから始めてみると、日々の風景が少しだけ詩的に見えてきます。小寒は、冬の言葉に耳を澄ませる絶好のタイミングなのです。

空と風景で味わう小寒~冬の光と音に気づいてみる~

小寒の頃の空は、どことなく澄んでいて、遠くの山や雲までクッキリと見える日が多くなります。朝は薄い水色から、少しずつ光が増えていき、昼はキリッとした青、夕方には淡い桃色やオレンジ色が滲む──そんなグラデーションを意識して見てみると、窓の外の景色がいつもより豊かに感じられます。短い時間でも、通勤や買い物の行き帰りにふと立ち止まって、空を一度だけ見上げる習慣を付けてみると、小寒の印象がグッと変わってきます。

夜の空も、冬ならではの見どころがたくさんあります。空気が澄んでいる分、星や月がいっそうクッキリと輝いて見えます。ベランダや玄関先から、ほんの数分でも空を見上げてみてください。大きくて分かりやすい冬の星座や、丸く冴えた冬の月を見つけた時、「今は寒の内の真っ只中なんだな」と、暦の言葉と夜空が1つに繋がって感じられるはずです。

耳を澄ませてみると、冬の音も小寒の大切な風景の一部です。朝一番に聞こえるカラスの声や、近くの木に集まる小鳥たちの囀り、凍った地面を踏んだ時の小さな音。車の音や人の話し声に紛れてしまいがちなこれらの音を意識してみると、「雉始雊」という七十二候の言葉が、少し身近なものに感じられてきます。

食べ物と台所で味わう小寒~体の中から温まる時間~

小寒から立春までの約30日間は、体を冷やさない工夫がとても大切な時期でもあります。同時に、温かい食べ物や飲み物が一番美味しく感じられる季節でもあります。台所で過ごす時間を、少しだけ丁寧にしてみると、それだけで「冬を楽しんでいる」という感覚が膨らみます。

例えば、小寒の時期には、春の七草の1つであるセリが店頭に並び始めます。七草粥を作る1月7日は、ちょうど小寒の期間の始まり辺りです。お粥でなくても、セリをおひたしにしたり、鍋物に加えたりして、食卓に少しだけ春の緑色を添えてみると、「芹乃栄」という候の言葉がそのままお皿の上に現れたような気持ちになります。

根菜類や発酵食品も、小寒の味方です。大根やにんじん、ごぼう、葱などをたっぷり使った汁物は、冷えきった体を内側から温めてくれます。味噌や醤油の仕込みを「寒仕込み」と呼んで大切にしてきたのは、空気が冷たく、雑菌が増え難いこの時期だからこそ。現代では自宅で本格的な仕込みをする機会は少ないかもしれませんが、温かい味噌汁や煮物を楽しむことで、その名残を味わうことは出来ます。

飲み物も、少しだけ拘ってみると良い時間になります。お気に入りの湯のみやマグカップを用意して、熱いお茶やホットドリンクをゆっくり飲む時間を、一日の中に数分だけでも作ってみてください。両手でカップを包み込んだ時の温度や、立ち昇る湯気の香りは、小寒の時期だからこそより深く感じられる「ささやかな贅沢」です。

このように、小寒の頃を心地良く過ごすための工夫は、難しいことではありません。暦の言葉を1つ胸にしまい、空を一度見上げ、台所で湯気を楽しむ──そんな小さな習慣を重ねていくだけで、「寒の内」の30日間は、静かで豊かな季節に変わっていきます。次の「まとめ」では、ここまで見てきた小寒と二十四節気・七十二候の世界を振り返りながら、真冬を味わい尽くすための心構えをもう一度整理してみましょう。

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まとめ…小寒から立春まで~暦を味方に冬をじっくり味わう~

小寒は、二十四節気の第23番目にあたる節目として、「寒の内」のスタートを告げる大切な日でした。冬至で光が生まれ、小寒で寒さのゾーンに入り、大寒で冷え込みがピークを迎え、大寒を挟んでやがて立春へ向かって季節が切り替わっていく──そんな流れの中で、小寒は「本格的な冬の入口」として私たちの暮らしの足元をそっと照らしてくれます。ただ寒いだけの時期ではなく、「今は一年の中でどんな場所にいるのか」を思い出させてくれる、小さな道標のような存在だと言えるでしょう。

さらに、小寒という1つの節気を、七十二候という細かな物語で眺めてみると、冬の景色はいっそう豊かに見えてきます。「芹乃栄」では霜の下から伸びるセリの緑に、「水泉動」では目には見えない水の動きに、「雉始雊」では冬空に響く鳥の声に、それぞれ春に向かう命の気配が込められていました。凍てつく空気の下でも、土の中や水の底、野山のどこかで、季節は静かに次のページをめくり始めている──そんな想像が膨らむと、寒さの感じ方も少し変わってきます。

小寒から節分まで続くおよそ30日間の「寒の内」は、体に堪える時期でもありながら、冬ならではの楽しみを見つけやすい時期でもあります。空を一度だけ見上げて冬の光を確かめてみること、ベランダや玄関先で星や月を眺めること、台所で湯気の立つ料理や飲み物をゆっくり味わうこと、そして、日記や手帳に二十四節気や七十二候の名前をそっと書き添えてみること。どれも特別な準備はいりませんが、「暦と今の自分の暮らしが繋がっている」という実感を育ててくれます。

暦の言葉は、忙しさや情報に追われがちな毎日の中で、「今、この瞬間の季節」を丁寧に受け止めるための小さな道具です。小寒という節目を切っ掛けに、自然の変化や、食卓の色合い、言葉の響きに少しだけ敏感になってみると、真冬の1日1日が、静かで豊かな時間へと変わっていきます。寒さに肩を竦めながらも、「ああ、今は小寒の頃なんだな」と心のどこかで呟けたら、その冬はきっと、記憶に残る季節になるはずです。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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