冬の星座と7つの一等星~物語で巡る澄んだ夜空と物語~

[ 冬が旬の記事 ]

はじめに…寒さがくれる一番澄んだ空のキャンバス

冬の夜、空気がキュッと冷たくなった時だけ現れる特別な景色があります。昼間は雲が多かった日でも、夜になると空がスウッと透き通って、星が1つずつ位置を示すように光り始めます。これは、空気の中の水分や汚れが少なくなるおかげで、光が滲まずに届くから、と昔から言われてきました。つまり冬は、星を見るのに一番向いた季節なのです。

とりわけ冬の空は、よく知られている星座が固まって登場するのも楽しいところです。オリオン座、牡牛座、双子座、ぎょしゃ座、おおいぬ座、こいぬ座……と、教科書や絵本で見た名前が一晩で揃います。しかも、どれも明るい星を持っているので、都会でも「これは見えた」と言いやすいのが嬉しいところです。星を見るのが初めてのお子さんにも見つけやすく、冬はまさに「初めての星空」向けの季節と言えます。

また、星座というのは形だけでなく、その後ろに語られてきた物語を添えると、グッと忘れにくくなります。オリオンが何故あんなに堂々と立っているのか、おうしが何故あの向きなのか、ふたごが何故二人で並んでいるのか──ちょっとした神話を添えるだけで、次に空を見た時「この星はあのお話の場所だ」と思いだせます。冬の夜長はおしゃべりに向いていますから、ご家族で、あるいはご夫婦で、そんな星の昔話をされてみてはいかがでしょうか。

本稿では、冬に見やすい代表的な星座、そこにひときわ強く光る7つの一等星、そして星たちに繋がる神話を優しく辿っていきます。最後には、ご家庭でも実践しやすい冬の星の楽しみ方も添えますので、どうぞ温かい飲み物を用意してお読みください。冬の夜空が、今日から少しだけ親しいものになりますように。

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第1章…冬の夜空に顔を揃えるお馴染みの星座たち

冬の空が楽しいのは、1つ2つではなく「よく聞く名前」が纏めて並んでくれるからです。まであまり星を見ていなかった方でも、冬になってふと見上げると「これは見たことあるぞ」と思える配置になっています。特に南の空にドンと立つオリオン座が目印になって、その周りに他の星座を連れてきてくれる──この感じをまず掴んでおくと、冬の星空が一気にやさしくなります。

冬のスターターはやっぱりオリオン座

冬の星見は、ほとんどの場合「オリオン座を探す」から始まります。縦に並んだ3つの明るい星──オリオンのベルトとも呼ばれる部分──が見つかれば、そこから左右上下に形を辿れます。古代の物語では、海の神の血を引いた勇ましい狩人として語られ、月の女神に愛されたとも、あまりの自信家ぶりに命を落としたとも伝えられています。そうした背景を思いながら見ると、冬の空に立つこの星の並びが、少し胸を張っているように見えてくるから不思議です。

オリオンの傍にいる仲間たち

オリオンを見つけたら、そこから左上辺りをゆっくり辿っていくと、V字に光るおうし座にぶつかります。おうし座の眉間あたりで赤く光るアルデバランが特徴で、ここは神話では麗しい娘をさらうために姿を変えた神の姿とも言われました。さらにオリオンの右上方向にはふたご座が並びます。仲良く横に2つの星があるところが入口で、その二人がカストルとポルックスです。冬の空が「お話ししやすい」のは、このように並んでいる星たちが、そのまま1つの物語に結びついているからです。

南の低いところまで視線を落とすと、オリオンの足元辺りにおおいぬ座が見えてきます。ここにはとても強く光る星がいて、古くから特別視されてきました。おおいぬ座の向かい側にはこいぬ座もいて、2つで狩人に付き従う猟犬のように並んでいます。オリオンを中心に、牛・双子・犬たちと、一晩でこれだけの登場人物が集まる季節はそうありません。

ちょっと地味だけど冬らしい星座

冬の星座には、絵本や理科の教材にはあまり出てこないのに、覚えておくと「通っぽい」名前も紛れています。ぎょしゃ座は五角形のように星が並び、胸に小さなヤギを抱いた人物だと言われていますし、北寄りの空にはやまねこ座やきりん座のような、後になって定められた大人しい星座もあります。これらは明るさではオリオンたちにかないませんが、「冬の空は賑やかだね」と話す時に添えてあげると、グッと季節の厚みが出ます。

このように、冬の夜空はいきなり難しい知識がなくても楽しめる配置になっています。まずはオリオン座を見つけること。そこから牛、ふたご、犬たちへと視線をつなげていくこと。そして少し慣れてきたら、ぎょしゃ座やおおきな川の星座など、周りの静かな星々にも目を配ってみること。これだけで、同じ場所で同じ時間に空を見上げても、毎回ちがう発見がある冬の観賞になります。


第2章…冬を煌かせる7つの一等星と「冬の大三角」

冬の空が他の季節よりも賑やかに見える理由の1つは、本当に明るい星が集中的に顔を出してくれるからです。肉眼でもはっきりわかる強い光が、短い時間に、しかも似た方向に並ぶ──これが冬の空の見やすさにつながっています。冬に見える一等星は全部で7つ。これを順番に辿れるようになると、夜空の中で今どこを見ているのか、すぐに見当がつくようになります。

なお、前の原稿で「ペテルギウス」となっていた星は、正しくは「ベテルギウス」です。オリオンの右肩で赤っぽく光る、とても存在感のある星ですね。ここは小さくてもきちんと直しておきましょう。

冬の7つの主役たち

冬の星座にふくまれる一等星は、順にあげると「ベテルギウス(オリオン座)」、「リゲル(オリオン座)」、「シリウス(おおいぬ座)」、「プロキオン(こいぬ座)」、「ポルックス(ふたご座)」、「カペラ(ぎょしゃ座)」、「アルデバラン(おうし座)」の7つです。どれも星図や図鑑で見たことがある名前ばかりですね。

この7つにはそれぞれ見どころがあります。例えばベテルギウスは赤みを帯びた巨星で、寒い空の中にポッと炭火があるように見えます。反対にオリオンの左足にあたるリゲルは、青白くきりっとした光り方をします。1つの星座の中に赤と青が揃っているので、色の違いを味わうこともできます。

おおいぬ座のシリウスは、地球から見える恒星としては最も明るいとされ、古代から「特別な星」として語られてきました。こいぬ座のプロキオンは、シリウスに比べると控えめですが、後ほど出てくる「三角形」を作る上で大事な頂点になります。ふたご座のポルックスは、双子の兄弟のうち「不死を分けてもらったほう」として伝わることが多くて、名前の由来を話すと一気に神話に入りやすくなります。ぎょしゃ座のカペラは、やや高い位置で安定して光るので、街灯りのある場所からでも見つけやすい星です。そしておうし座のアルデバランは、赤く落ち着いた色で「ここが牛の顔だよ」と教えてくれる親切な星です。

3つを結ぶと現れる「冬の大三角」

この季節の見どころとして是非、紹介しておきたいのが「冬の大三角」です。これは、オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンという3つの明るい星を線で結んでできる大きな三角形のことです。形としては、シリウスが下の頂点、ベテルギウスとプロキオンが上の左右にくる、逆さになった三角形を思い浮かべると分かりやすいです。

この三角形の良いところは、細かい星を追わなくても、明るい星だけで形を辿れることです。星空にまだ慣れていないお子さんでも「3つの光を見つけたら三角にしてみよう」と伝えるだけで楽しめますし、その3つがどの星座に属しているかを後から解説しても理解しやすくなります。つまり、星座を覚える入口としてとても優秀なのです。

三角形から円を広げるようにたどる

冬の大三角が見つかったら、そこを中心に円を広げるようなつもりで視線を動かしていくと、残りの一等星も見つけやすくなります。三角形の上側の方へ視線を持ち上げると、ふたご座のポルックス、その少し横にカストル。さらにもう少し高く行くと、ぎょしゃ座のカペラ。三角形の左側を辿っていくと、おうし座のアルデバランと、星の粒が集まったプレアデス星団も見えてきます。こうして「明るい星を手がかりに周辺を探す」型を一度、体に入れておくと、冬以外の季節でも星の見つけ方がグッと易しくなります。

冬の空は寒くて長い夜を少し和らげてくれる贈りものです。たった7つの光を知っておくだけで、ただの黒い天井だったものが、一気に名前のある場所へと変わります。どうぞここで紹介した順番のまま、実際の空でも辿ってみてください。明るさの違い、色の違い、位置の違いが、教科書よりもはっきりと伝わるはずです。


第3章…オリオンと仲間たちに伝わる神話のお話

星座はただ並んでいるだけではなく、「何故ここにこの形でいるのか」というお話が必ずと言って良いほど添えられています。冬の空に集まっている星座は特に、ギリシア神話の登場人物が多くて、1人の英雄の周りに親しい仲間や動物が揃っているような配置になっています。ここでは冬の星空でよく見かけるお話をやさしく繋げてみましょう。星の位置と物語が頭の中で重なると、一度覚えたら忘れにくくなります。

狩人オリオンが空に上がるまで

冬の真ん中で堂々と立つオリオンは、海の神の血を引く逞しい狩人として伝わっています。とても腕が立つ上に、自分の力を少し自慢してしまうところがあって、「地上の獣は全部倒してみせる」と豪語したとも言われます。これを良く思わなかった神々が、大きなさそりを送り込みました。さそりはオリオンの隙間をスルリと攻め、彼は命を落としてしまいます。けれども、月の女神や太陽の神が彼を惜しみ、空に星として残すことにした──というのがよく語られる筋です。いまでも夏の夜にさそり座がのぼってくると、オリオンが見えなくなるのは、このお話と繋がっているとされます。

そばにいる犬たちの星座

オリオンのすぐ足元には、おおいぬ座とこいぬ座が寄り添っています。これは、狩人であるオリオンが連れていた賢い猟犬だ、という説明が一番分かりやすいでしょう。おおいぬ座には、とても明るくて人々を導くような輝きを持った星が置かれました。主人をよく慕う犬に相応しい位置です。こいぬ座の方は、おおいぬよりも小柄で、向かい側にちょこんと置かれています。2匹揃っていることで、「オリオンは一人だけではなく、仲間と共に狩りをしていた」と想像出来るようになります。冬の空を見て「今日は犬も一緒にいるね」と話せるのが、この季節の良いところです。

攫われた娘とおうし座のお話

オリオンの左上辺りに見えるおうし座は、額のところに赤く光る星をもっています。神話では、この牛はじつは大神ゼウスが美しい娘を連れていくために姿を変えたものだとされます。白く立派な牛に姿を変えたゼウスは、娘に近付き、浜辺から海へと歩き出します。そしてそのまま遠い国へ連れていった──という少し切ない物語です。冬の空でおうし座がオリオンの方へ頭を向けているのは、「こちらへやって来る途中だ」とも、「誰かを守ろうとしているのだ」とも解釈されてきました。星の向きに物語の方向が重なると、ただのV字型が、ぐっと人間くさく見えてきます。

ふたりでなければ完成しないふたご座

ふたご座にはカストルとポルックスという名前が付いています。二人はとても仲が良かったのですが、どちらか一方は普通の人間で、もう一方は神の血を引く身でした。ある戦いで人間の方が命を落としてしまい、残された兄弟は深く悲しみます。その様子を見た大神が、「では二人を分けてしまわず、ずっと一緒にいられるようにしよう」として、夜空に並べてくれた──それがふたご座です。冬の空でやや高い位置に横並びで光っているのは、そういう理由が添えられているのです。「この二人はずっと一緒なんだよ」とお子さんに話すと、すぐ覚えてくれます。

川になったエリダヌスと、そっと添えられた小さな星座たち

冬の星図をよく見ると、オリオンの下のほうから長い川のように星が続いているところがあります。これがエリダヌス座です。太陽神アポロンの息子が暴走してしまい、落ちていった跡が川になった、というお話がよく知られています。川が見えると「ここには悲しい出来事もあったのだな」と自然と物語に色が付きます。

その近くには、うさぎ座やはと座といった、後になって付け加えられた穏やかな星座もあります。うさぎ座は、元気の良過ぎるオリオンの足元に置かれてしまったため、いまでも踏まれそうな位置にありますし、はと座は平和の象徴としてそっと添えられています。とびきり強い英雄の隣に、やさしい動物の星座があることで、冬の夜空が少し柔らかくなるのが分かります。

このように、冬に見える星座たちは「強い狩人」「それに従う犬」「助けられた・連れていかれた娘」「ずっと一緒でいたかった兄弟」「悲しい出来事が川になるお話」と、起伏のある物語をいくつも抱えています。どれか1つでも気に入ったものを覚えておいて、実際の空で「あ、これはあのお話の場所だ」と指さしてみてください。星の並びが、ただの点の集まりから、昔の人が見た世界そのものへと変わって見えてきます。


第4章…親子でもデートでも楽しめる冬の星の見聞入門

冬の星は、ただ「見えるかどうか」ではなく「どうやって見るか」を少し工夫すると、グッと感動が増します。特に冬は冷たさとの戦いになりますので、星そのものの知識よりも、見やすい体勢や時間帯を先に整えておくことが大事です。ここでは、親子でワイワイ楽しむ場合と、大人同士でゆっくり眺める場合の両方を想定して、やさしい手順をまとめておきます。

時間は「夕ご飯の後すぐ」か「夜更かし前」が狙いめ

冬の星たちは、夜が更けなくてもかなり明るく見えます。小さなお子さんがいるご家庭なら、夕ご飯を食べて片付けをして、まだ身体が温かいうちに玄関先やベランダに出て見ると丁度良いです。南の空にオリオン座が見え始めたら、そのまま第2章で出てきた「冬の大三角」も辿れます。大人同士なら、少し遅めの時間に外へ出て、冷たい空気を胸に入れながら眺めると、星の光の強さをより実感できます。

場所は「できるだけ空が広いところ」+「足元は温かく」

都会だとどうしても地上の明かりで霞んでしまいますが、それでも空が広く見える場所を選ぶだけで見える星の数は変わります。校庭のように開けた場所、公園の中央、マンションなら光の少ない側のベランダなどが候補です。風がある日は、建物を背にして1つ風避けを作ってあげると、お子さんも長く見ていてくれます。レジャーシート1枚と毛布1枚で「冬の臨時プラネタリウム」になりますので、外に出る前に用意しておくと便利です。

見る順番を決めておくと話がふくらむ

いきなり「星を見よう」と言っても、何を見ればよいか分からないとすぐ飽きてしまいます。そこで、予め見る順番を決めておきましょう。例えば──

1つめ:オリオン座を見つける
2つめ:オリオンの足元にある、とても明るい星を見つける(おおいぬ座の星ですね、と教える)
3つめ:その向かい側にある、少し控えめだけど近くにいる星を見つける(こいぬ座)
4つめ:この3つを線で結んで「三角になった!」と言う

この流れなら、星の名前が全部言えなくても楽しめます。親子なら、最後に「この三角の中が冬の物語の舞台なんだよ」と一言添えると、次の日もまた見たくなります。

お話を1つだけ覚えておいて夜に出す

第3章でいくつか物語を紹介しましたが、一度に全部話す必要はありません。むしろ、1晩に1つで十分です。「今日は狩人の話」「今日はふたごの話」「今日は牛が女の子を連れていった話」と、日を分けて出していくと、冬の間ずっと楽しめます。デートなら「オリオンがいなくなるのは、さそりがのぼってくるからなんだって」とサラッと言うだけで、星座に興味がある人なんだな、と伝わります。

寒さ対策と温かい飲み物は星を見る道具の一部

冬の星は綺麗でも、冷えきってしまったら楽しめません。コート、手袋、マフラーに加えて、地面側から冷気が伝わらないように腰掛ける物を用意しておきましょう。紙コップに温かい飲み物を入れておくと、飲むために顔を上げる➡また星を見る、というリズムができて、長く外にいられます。これはお子さんにも大人にも有効です。

このように、冬の星空は「知識があるかどうか」よりも「見やすい段取りを先に決めるかどうか」で楽しさが変わります。今日は三角、明日はふたご、週末はおうし座と、少しずつ広げていけば、同じ家の前でも立派な観賞コースになります。どうぞ、ご家族や大切な人と、温かくしてお試しください。

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まとめ…温かくしてゆっくり空を見上げてみましょう

の夜空は、寒さの厳しさと引き換えに、とても澄んだ舞台を私たちに用意してくれます。その上に、オリオン座・おうし座・ふたご座・ぎょしゃ座・おおいぬ座・こいぬ座といった、耳馴染みのある星座が一斉に顔を揃えるのですから、これはもう星を見ないともったいない季節だと言えます。特に、7つの明るい星と「冬の大三角」を辿れるようになると、どこを見上げても「この星は誰のところだろう」と想像出来るようになって、夜空そのものが親しい場所に変わっていきます。

しかも冬の星座は、神話との距離が近いのがいいところです。狩人として名を残したオリオン、さらわれた娘を乗せたおうし、ずっと一緒にいたかったふたご、主人を慕う犬たち──どれも人の感情が分かりやすく表れているお話なので、小さなお子さんにも語りやすく、ご家族の会話にも乗せやすい題材です。星の並びを覚えるよりも先にお話を好きになってしまえば、後は「この星があの場面だったね」と指さすだけで、自然と星座の位置も身についていきます。

そして何より大切なのは、冬の星は「一人で静かに見る」のもいいですが、「誰かと外に出て、温かくして見る」ともっと楽しくなる、ということです。夕食の後に子どもと5分だけベランダへ出る、週末に夫婦で少し遠回りして帰る、祖父母と一緒にオリオンを数えてみる──そんな小さな工夫だけで冬の夜が行事めいた特別な時間になります。星を見上げるたびに思い出が積み重なっていけば、冬が来るのを待つ理由も1つ増えますね。

どうぞ今年の冬は、厚手のコートと温かい飲み物を手に、ゆっくりと空を見上げてみてください。そこには名前の付いた光が幾つも並び、昔の人が語り継いできた物語が静かに輝いています。寒い季節でも、空だけはやさしく迎えてくれますから。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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