肺気腫と冬の風邪~鼻詰まりから考える暮らしと対策~

[ 冬が旬の記事 ]

はじめに…「鼻がつまるだけ」じゃない~肺気腫と冬風邪の怖い関係~

冬になると、空気がひんやりして乾いてきます。元気な人でも「鼻が詰まって息がし難い」「喉がイガイガする」と感じる季節ですよね。ところが、元々、肺気腫などの持病で呼吸が弱っている方にとっては、この「鼻詰まり」や「喉の不調」が、そのまま命綱である酸素の取り込みを邪魔してしまうことがあります。

私たちの体は、鼻から空気を吸い込み、気道を通って肺の隅々まで酸素を運びます。ところが、風邪で鼻の中が浮腫んで塞がったり、たくさんの鼻水が溜まったりすると、まず鼻からの空気の通り道が細くなります。さらに、喉の奥や気管支に痰が増えると、肺の入口までもが狭くなり、ただでさえ呼吸が苦しい肺気腫の方には、二重三重の負担になってしまうのです。

「ちょっと風邪を引いただけだから、そのうち治るだろう」と我慢してしまう方も少なくありません。でも、肺の力が弱っている人の場合、その「ちょっと」が切っ掛けで、急に息苦しさが強くなったり、夜になると横になるのが辛くなったり、時には入院が必要な状態まで悪化してしまうこともあります。冬の風邪は、単なる季節の挨拶ではなく、「これ以上、肺に負担を掛けないための合図」と受け取ってあげることが大切です。

この文章では、冬に肺気腫の症状が悪くなりやすい理由を、「鼻詰まり」「喉」「室内環境」という身近なポイントから整理しながら、今日から取り入れられる暮らしの工夫や、専門家への相談の仕方をまとめていきます。医療の細かい言葉に詳しくなくても大丈夫です。「何故、冬に息が苦しくなりやすいのか」「家で何を気をつければいいのか」を、ゆっくり一緒に辿っていきましょう。

そして何より、「しんどさを一人で抱えこまないこと」も、とても大事なテーマです。ご本人も、ご家族も、少しでも安心して冬を越えていけるように、暮らしと心を守るヒントを、次の章から具体的に見ていきましょう。

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第1章…鼻詰まりで酸素が足りなくなる?肺気腫の体に起きていること

普段、私たちは、「吸って/吐いて」をくり返しているだけのように見えますが、本当はとても繊細な仕組みで息をしています。空気はまず鼻から入り、喉を通って気管支へ、そして肺のいちばん奥にある「肺胞」という小さな袋まで届きます。この肺胞の薄い膜越しに、空気の中の酸素が血液の中へ沁み込んでいきます。

ところが、肺気腫やCOPDと診断されている方の肺は、この肺胞が壊れてしまったり、膨らんだまま萎み難くなっていたりします。本来なら、細かく分かれているお部屋が、合体して大きな一部屋になってしまったようなイメージです。表面積が少なくなるので、同じ量の空気を吸い込んでも、体の中に取り込める酸素の量がどうしても減ってしまいます。そのため、健康な人よりも「少しの段差」「ちょっとした歩行」で、すぐに息切れを感じやすくなります。

ここに冬の「鼻詰まり」が重なると、さらに苦しくなる理由が見えてきます。風邪や寒さの刺激で鼻の粘膜が浮腫み、鼻水が増えると、それだけで空気の入口が細くなります。マスクを二重にしているような状態をイメージしてみてください。入口が狭くなる分、肺まで運べる空気の量も減り、その中に含まれる酸素の量も少なくなります。元々、肺が弱っている方にとっては、これだけで大きな負担です。

さらに、風邪を引くと、喉や気管支にも炎症が広がり、痰が増えます。痰は、体にとっては「いらないものを外に出そうとする防御反応」ですが、気道の内側にベタッとくっついて、空気の通り道を細くしてしまいます。細いストローでジュースを飲む時、少しでもストローの内側にゴミが詰まると吸い難くなりますよね。それと同じで、痰で内側がデコボコになった気道は、空気がスムーズに流れません。

鼻づまり+痰の増加+元々弱った肺。冬の時期は、この三つが重なりやすい季節です。そのため、今までと同じ距離を歩いているつもりでも「急に息が上がる」「階段がつらい」「夜になると横になるのがしんどい」といった変化が出やすくなります。体としては、「今の酸素では足りていませんよ」とSOSを出している状態です。

ここで大切なのは、「年齢のせい」「持病だから仕方ない」と諦めてしまわないことです。たしかに肺そのものを元通りにすることは難しいかもしれませんが、鼻や喉の状態、室内の環境を整えるだけでも、空気の通り道は随分、変わります。逆に言えば、「ちょっとした鼻風邪だから」と油断していると、弱っている肺には大きなダメージになってしまうこともあります。

鼻が詰まる時、息苦しさの感じ方には個人差があります。「少し重いかな」くらいで済む人もいれば、「胸が締めつけられるようで怖くなる」という人もいます。その感じ方の違いが、「病気の重さ」とピッタリ同じとは限りません。だからこそ、「いつもと違う」「去年の冬より辛い」と感じた時には、自分の感覚を大事にして、早めに対策を考えることが、体を守る一番の近道になります。

次の章では、この「空気の通り道」を少しでも楽に保つために、家の中で出来る温度と湿度の工夫、空気の整え方について、具体的に見ていきましょう。


第2章…冬の室内環境を味方に~温度・湿度・空気を整えるコツ~

冬の冷たい空気は、肺気腫の方にとっては大きなストレスになります。外の空気が冷たく乾いているほど、鼻や喉の粘膜はカサカサになり、ちょっとした刺激で炎症を起こしやすくなってしまいます。そこで頼りになるのが「家の中の環境作り」です。外は選べなくても、自宅の空気だけは、工夫次第でかなり味方につけることが出来ます。

まず意識したいのが「温度」です。寒いと全身がギュッと縮こまり、胸の辺りも強張ります。そうなると、深い呼吸をしようとしても、自然と浅い呼吸になりがちです。目安として、日中は概ね18~22℃くらいを保てると、体が楽なことが多いと言われています。特に、朝起きた時と夜寝る前は冷え込みやすい時間帯なので、暖房を切り過ぎず、「部屋を少し先に温めてから動く」という一手間を加えるだけでも、息のしやすさが変わってきます。

次に大事なのが「湿度」です。空気が乾燥すると、鼻や喉の粘膜が乾き、痰もネバネバしてきます。ネバネバした痰は、身体の外に出しにくく、気道の内側に張りついてしまうので、空気の通り道を塞いでしまいます。理想とされることが多いのは、湿度40~60%前後です。加湿器を使う場合は、水を入れっ放しにせず、こまめに洗ったり、フィルターを掃除したりして、カビを増やさないようにすることも忘れずにいたいところです。

「温度」と「湿度」は、じつはセットで考えると分かりやすくなります。部屋を温め過ぎて湿度が下がり過ぎると、喉がカラカラになりますし、逆に湿度だけを上げ過ぎると、結露やカビの原因になります。エアコンで温度を上げながら、必要に応じて加湿器を使う、洗濯物の室内干しを上手く組み合わせるなど、自分の暮らし方に合ったバランスを探していくことが大切です。湿度計を1つ用意しておくと、「何となく」ではなく「今はこのくらいなんだ」と客観的に確認できるので安心材料にもなります。

もう1つ、見落とされがちなのが「空気の質」です。外から入り込む排気ガスや工場の煙だけでなく、家の中にも、埃やカビ、布団やカーペットから舞い上がる細かい繊維など、目に見えないものがたくさん浮かんでいます。こまめな掃除や換気にくわえて、空気清浄機を活用することで、こうした小さな粒を減らすことが出来ます。ただし、空気清浄機も加湿器も、フィルターの掃除をサボると、却ってホコリやカビの温床になってしまいます。「月に〇回はフィルターをチェックする」「季節の変わり目には必ず中身を洗う」など、自分なりのルールを決めておくと続けやすくなります。

冬はどうしても窓を閉め切りがちですが、時々、短時間でも換気をすることも大切です。空気を入れ替えると、室温はいったん下がりますが、澱んだ空気を吸い続けるよりも、結果として体が楽になることがあります。負担にならない範囲で、「朝食の後に数分だけ窓を開ける」「日中に家族がいる時間帯に少しだけ空気を入れ替える」など、生活リズムに結びつけて習慣づけていくと良いでしょう。

そして忘れてはいけないのが、「部屋ごとの温度差」です。暖かいリビングから、冷たい廊下やトイレ、脱衣所に移動すると、その一瞬の寒さだけでも体にとっては大きなストレスになります。肺気腫の方は、こうした温度差でも息苦しさを感じやすくなります。可能であれば、よく使う部屋の温度を極端に変えないようにしたり、廊下や脱衣所に小さな暖房器具を置いて、「急に冷える場所」を減らしていく工夫も、呼吸を守る助けになります。

室内環境の整え方は、どれも「少しの工夫」の積み重ねです。完璧を目指さなくても大丈夫です。「暖房と加湿のバランスを意識してみる」「フィルター掃除の日をカレンダーにメモしておく」「朝の換気を一回だけ習慣にしてみる」など、出来そうなことから1つずつ取り入れていくことが、冬の呼吸を守る第一歩になります。

次の章では、この室内環境の工夫に加えて、「風邪そのものを拗らせないために、体調管理やセルフケアでどんなことが出来るのか」を、暮らしの場面に沿って見ていきます。


第3章…風邪を拗らせないために~今日からできる体調管理とセルフケア~

肺気腫やCOPDの方にとって、一番避けたいのは「風邪を拗らせて、息苦しさが一気に悪化すること」です。急に息が上がったり、痰が増えて色が変わったり、いつもの生活がこなせなくなってしまう「急な悪化」は、多くの場合、ウイルスや細菌による感染が切っ掛けになると報告されています。

だからこそ、「風邪を引かないようにする工夫」と「引いてしまったかも?と思った時の早めの対応」が、とても大切になってきます。

まず意識したいのは、体の「土台作り」です。夜更かしが続いたり、食事が不規則になったりすると、どうしても免疫の力が落ちてしまいます。毎日きっちりでなくても構いませんが、大まかに、同じ時間帯に寝起きするリズムを作り、たんぱく質や野菜を意識した食事を摂ることで、体が風邪に負け難くなります。特に、痩せてしまっている方や、高齢で筋肉が減ってきている方は、少しでも体力を落とさないことが、そのまま呼吸を守ることに繋がります。

水分をこまめに摂ることも、地味ですが重要です。水分が少ないと、痰がネバネバしてしまい、気道の内側に貼りついて外に出難くなります。そうすると、空気の通り道がさらに狭くなってしまいます。お茶やお水、スープなど、自分が飲みやすいもので構いませんので、1日に何回か、「喉が乾いた」と感じる前に口に運ぶ習慣をつけておくと安心です。

そして、冬はどうしても人が集まる場所では風邪やインフルエンザのウイルスが広がりやすくなります。人混みへの外出を控えることが難しい場合は、なるべく短時間で用事を済ませ、マスクや手洗いを組み合わせて、自分の身を守る工夫をしたいところです。帰宅後の手洗いは、一番簡単で効果の高い習慣です。顔や鼻の周りを触る前に、まずは石けんと流水でしっかり洗うようにしておきましょう。

それでも「喉がイガイガする」「ちょっと寒気がする」「鼻水が増えてきた」など、風邪の入り口のようなサインを感じることがあります。そんな時には、「そのうち治るだろう」と放っておくよりも、早めに体を休め、部屋を暖かくして、水分と栄養を摂ることが大切です。市販薬を自己判断で増やしたり、昔のお薬を引っ張り出して飲んだりすることは、却って症状を分かりにくくしてしまうこともあります。いつも診てもらっている医師がいる場合は、「まだ軽いけれど、いつもより息苦しい気がする」段階で相談しておくと、重くならない内に手を打てる可能性が高まります。

鼻や喉のセルフケアも、呼吸を守る助けになります。鼻が詰まっている時に、勢いよく何度もかみ過ぎると、耳や粘膜を痛めてしまうことがあります。片方ずつ、やさしくかむことを心掛けると負担が少なくなります。喉がイガイガする時には、部屋の湿度を整えたり、温めのお茶やスープで潤したりすることが、痰をやわらかく保つのに役立ちます。塩水うがいなどを勧められることもありますが、持病やお薬との関係もあるため、不安があれば事前に医師や薬剤師さんに確認しておくと安心です。

また、「そもそも重い感染症になり難くする」という意味で、ワクチンも大切な味方になります。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、COPDの方で、急な悪化や肺炎、関連する入院の回数を減らす効果があるとする研究がいくつも報告されています。また一定年齢ごとに自治体から支援がある場合もありますのでケアマネージャーや市町村に確認してみましょう。最近では、慢性の呼吸器の病気を持つ方に対して、インフルエンザ、肺炎球菌などのワクチンを組み合わせて受けることが、強く勧められるようになってきています。どのワクチンを、いつ、どの順番で接種するかは年齢や体調によって変わりますので、主治医と相談しながら、自分に合った接種計画を立てていくことが大切です。

とはいえ、「どこまでが自宅で様子を見て良い範囲で、どこからが受診の目安か」は、迷いやすいポイントです。例えば、じっとしているのに息が荒くて苦しい、会話が途中で続かない、胸の痛みを強く感じる、唇や指先が紫がかって見える、高い熱が続いてぼんやりしてしまう、といった状態は、自己判断せずに早めの受診や救急相談が必要なサインです。こうした「急な悪化」は、感染による気道炎症の悪化や、肺のガス交換のさらなる低下が背景にあることが多いとされています。

日頃から体を整え、風邪を引き難い生活を心掛けること。引いたかもしれないと思ったら、早めに休み、無理をしないこと。そして「ちょっと変だな」と感じた時に、躊躇わずに専門家へ相談すること。これらの積み重ねが、冬のつらい時期を少しでも楽に、安心して過ごすための大きな力になります。

次の章では、こうしたセルフケアに加えて、医師や訪問看護、リハビリ職、在宅サービスなどの専門家チームを、どのように組み合わせて頼っていけば良いのかを、もう少し具体的に見ていきます。


第4章…一人で抱えこまないために~お医者さんと在宅チームの上手な頼り方~

ここまで、鼻詰まりや室内環境、体調管理の工夫についてお話ししてきましたが、「それでも冬はどうしても不安になる」という声も多いものです。息苦しさと向き合う日々は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな心の負担になります。そんな時に思い出して欲しいのが、「医療と介護には、そもそもチームで支える役割がある」ということです。全部を自分たちだけで背負う必要はありません。

中心になるのは、やはりかかりつけ医です。定期受診の時には、「特に変わりありません」とだけ伝えるのではなく、「去年の冬より階段がきつくなった気がする」「夜中に咳で目が覚める日が増えた」「散歩の距離を短くしている」など、生活の中で感じている小さな変化も一緒に話してみてください。医師から見ると、検査データだけでは分からない「暮らしの実感」が、治療方針を考える大事なヒントになります。

診察時に話したいことは、前もって紙にメモしておくと安心です。「この冬に心配なこと」「前の冬につらかった場面」「使い方が不安なお薬や器械」など、思いつくまま書き出しておくと、緊張している時でも伝え漏れが減ります。可能であれば、ご家族やヘルパーさんなど、日常を一緒に過ごしている人が付き添って、一緒に状況を補足してあげると、医師も全体像をイメージしやすくなります。

在宅での心強い味方になるのが、訪問看護です。訪問看護師さんは、血圧や体温、呼吸の様子をチェックするだけでなく、吸入薬の使い方を確認したり、痰の出しやすい姿勢や咳の仕方を一緒に練習してくれたりします。また、「最近、夜の息切れが増えている」「このくらいなら様子を見ても良いのか迷う」といった不安を、その場で相談できる存在でもあります。ちょっとした変化を早めにキャッチして、受診のタイミングを一緒に考えてもらえるのは、とても心強いことです。

リハビリの専門職も、呼吸の負担を減らすパートナーになり得ます。理学療法士さんは、呼吸が楽になる姿勢や、無理のない範囲で体力を落とさない運動を提案してくれます。例えば、「家の中で何歩くらい歩くと息が上がるのか」「どのくらいのペースなら続けられるか」を一緒に確認しながら、その人に合ったペース作りをしてくれます。作業療法士さんは、家事やトイレ、入浴など、日常動作のやり方を工夫して、「なるべく息切れしない動線」を一緒に考えてくれます。言語聴覚士さんは、飲み込みが心配な方に対して、咽難い姿勢や、一口の量の調整などを具体的に教えてくれる存在です。

介護保険を利用している場合は、ケアマネジャーも頼りになる窓口です。医師からの情報や、ご本人・ご家族の希望を聞き取りながら、訪問看護やリハビリ、ヘルパー、デイサービスなどを組み合わせて、一人一人に合った支援の形を考えてくれます。「冬場だけは通所の回数を減らしたい」「逆に、人と関わる機会が減ると気持ちが落ち込むから、無理のない範囲で外に出たい」といった相談も、ケアマネジャーを通じて関係職種に共有してもらうと、全体の調整がしやすくなります。

ご家族の役割も、とても大切です。ただ「見守るだけ」ではなく、「一緒にチームの一員として支える」という意識を持つと、気持ちの負担が少し軽くなることがあります。例えば、日々の体調や咳の回数、歩ける距離などを簡単にメモしておき、受診や訪問の時に共有する。急に苦しくなった時に慌てないよう、主治医の連絡先や、夜間・休日の相談窓口を分かりやすい場所に貼っておく。こうした準備は、「いざという時の不安」を減らすお守りにもなります。

そして何より大切なのは、ご本人が「しんどい」「怖い」と感じた時に、それを言葉にして伝えられる雰囲気作りです。我慢強い方ほど、「迷惑を掛けたくない」「大袈裟だと思われたくない」と口を噤んでしまいがちですが、呼吸の病気は、我慢しているうちに一気に悪くなることがあります。家族も医療・介護のスタッフも、「ちょっとでも不安があれば、いつでも言ってくださいね」というメッセージを繰り返し伝えていくことが、冬を安全に過ごすための大切な土台になります。

お医者さんも、看護師も、リハビリの先生も、ケアマネジャーも、ヘルパーも、本来は「息をして暮らす毎日」を支えるために存在しています。全てを完璧に整えようとする必要はありません。「この冬は、ここだけでも一緒に考えてもらおう」「ここが不安だから、誰かに相談してみよう」と、1つずつ相談の輪を広げていくことで、呼吸の不安と向き合う力は、ゆっくりと、でも確実に大きくなっていきます。

次のまとめでは、ここまでのお話をふり返りながら、「鼻詰まりから始まる冬のしんどさ」と、どう折り合いをつけていくかを、もう一度、整理していきます。

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まとめ…冬を越えて暮らしを守る~小さな工夫で肺を労わろう~

冬になると、「ちょっと鼻が詰まるだけ」「少し咳が増えただけ」と軽く見てしまいがちな変化が、肺気腫やCOPDの方の体には、大きな負担として圧し掛かってきます。鼻詰まりで空気の入口が細くなり、痰で気道の内側が狭くなり、元々、弱っている肺は、いっそう酸素を取り込み難くなってしまいます。今回の記事では、その繋がりを改めて言葉にして、「なぜ冬の風邪が怖いのか」を一緒に辿ってきました。

鼻や喉の調子が悪い時、「年だから仕方ない」「持病があるからこういうものだ」と、自分の辛さを小さく扱ってしまう方は少なくありません。でも、本当はその「少し苦しい」が、大きく悪化する前のサインであることも多いのです。鼻詰まりや痰の増加を、「肺からのSOSを知らせるベル」と受け止めて、早めに室内環境を整えたり、体を休めたりすることは、ご本人の命を守るとても大切な一歩になります。

家の中の空気を整える工夫は、一度に完璧を目指す必要はありません。部屋の温度を少しだけ安定させる、湿度を意識して加湿器や洗濯物の室内干しを活用する、フィルターの掃除を忘れないようメモしておく。こうした小さな積み重ねが、鼻や喉の負担を減らし、結果として呼吸を守る力になっていきます。「出来ることを、出来る分だけ」と考えることが、長く続けるコツと言えるでしょう。

体調管理やセルフケアも同じです。睡眠・食事・水分といった基本を大切にしながら、「喉がイガイガする気がする」「去年の冬より息切れが増えた気がする」といった、自分だけが気づける変化に耳を澄ませてあげること。無理をして家事や仕事を続けるのではなく、「今日は早めに切り上げて休もう」と決める勇気も、立派なセルフケアです。

そして何より、「一人で抱えこまない」ことが、冬を乗り切る大きな力になります。かかりつけ医に生活の変化を伝える、訪問看護やリハビリに相談する、ケアマネジャーに冬場の不安を話してみる、ご家族と一緒に受診メモを作る。どれも特別なことではありませんが、少しずつチームの輪を広げていくことで、「何かあっても相談できる人がいる」という安心感が生まれていきます。

肺の病気と共に生きるということは、息苦しさだけでなく、不安や恐怖心とも付き合っていくことでもあります。だからこそ、「鼻詰まりから始まる小さなサイン」を見逃さず、暮らしの中の工夫と専門職の力を上手に組み合わせていくことが大切です。あなたの呼吸は、あなた自身だけのものではなく、家族や周りの人にとっても、とても大事な存在そのものです。

この冬は、「我慢する」から一歩踏み出して、「早めに気づいて、早めに整える」冬にしてみませんか。ほんの少しの工夫と、ほんの少しの勇気の積み重ねが、肺を労わり、暮らしを守る大きな力になっていきます。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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