冬の大型レクリエーションで外出を楽しむ高齢者企画の作り方
目次
はじめに…冬こそ外に出て笑顔になれるレクリエーションとは?
冬になると、空気はキリッと澄んでいるのに、気持ちはつい家の中にこもりがちになります。高齢者さんにとっても同じで、暖かい部屋から一歩出るまでの「よいしょ」が、グッと大きく感じられる季節です。気がつけば、外に出る用事が通院と買い物くらい……というお宅も少なくありません。
けれど、本来の冬の外出は、とても魅力的な時間です。青空の下で吸い込む冷たい空気、ホッと温まるお茶や鍋の湯気、道すがらに並ぶ冬野菜や果物の色合い。そうした1つ1つの体験が、体と心の両方へ、じんわりと良い刺激を届けてくれます。
介護の現場では、安全面や感染症への配慮から、どうしても室内での行事が中心になりがちです。文化祭やクリスマス会、年末年始の催しなど、季節行事はたくさんあっても、「結局、施設の中で完結してしまう」という声も聞こえてきます。「冬の外出は危ないから控えたい」と「せっかくなら外の空気も感じてほしい」という、ふたつの思いのあいだで揺れる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「高齢者の冬のレクリエーション」と「外出の楽しさ」を組み合わせた、少し大掛かりな企画作りをテーマにします。ただお出掛けするのではなく、地域の生産者さんやお店と繋がりながら、冬ならではの素材を集めて、最後は皆で鍋や味噌作りを楽しむ……そんな物語のある一連の流れを、一つの大型レクリエーションとして整理していきます。
机の上で組み立てる計画ではありますが、介護職の方、レクリエーション担当の方、地域包括支援センターの職員さん、そしてご家族の方にも「こういう発想もあるのか」と感じていただけるよう、具体的なイメージを盛り込みました。冬の外出が、「危ないから控えるもの」から「皆で準備して楽しみに待つイベント」に変わる切っ掛けになれば嬉しいです。
何よりも大切にしたいのは、高齢者さん自身が「行ってみたい」「参加してよかった」と心から思えることです。本記事を通して、冬の冷たい空気の中にもワクワクする外出レクリエーションの可能性がたくさん眠っていることを、一緒に掘り起こしていきましょう。
[広告]第1章…高齢者の冬の外出が減ると何が起こるのか?
冬になると、「寒いから今日はやめておこうか」「道路が滑りそうで心配だから、また今度にしよう」という会話が増えてきます。外出を控える理由はどれも尤もで、安全を守る上でも大切な判断です。ただ、その「また今度」が積み重なっていくと、気づかないうちに生活のリズムそのものが変わってしまいます。
高齢者さんの一日を思い浮かべてみると、外へ出る切っ掛けはそれほど多くありません。通院、買い物、ごみ出し、近所のお散歩……この数少ない「外に出る用事」が、寒さや体調不安を理由に少しずつ削られていくと、外の景色や季節の変化に触れる時間が急に減ってしまいます。窓の外は冬らしい空なのに、本人の感覚としては「気づけば数日間、一歩も外に出ていなかった」ということも起こりやすくなります。
体の面では、外出が減ると足腰を使う機会が目に見えて少なくなります。階段の上り下り、段差の昇降、横断歩道を渡る時の足の運び、少し早歩きで信号を渡り切る力。これらは全て日常の動きの中で自然に鍛えられていきますが、家の中だけの移動が中心になると、どうしても使う筋肉が限られてしまいます。「この冬は転ばずに済んで良かった」と思っていたら、春先に出掛けた時、ちょっとした段差で躓きやすくなっていた……ということも珍しくありません。
心の面でも、冬の引きこもりはジワジワと影響を与えます。人と顔を合わせて挨拶を交わす機会が減ると、「今日は誰とも話さなかった」という日が増えていきます。会話の回数が少ない日が続くと、言葉に詰まりやすくなったり、表情が固くなったり、気持ちの切り替えが上手くいかなくなったりします。さらに、天気の悪い日が続くと、「どうせ行っても寒いだけ」「迷惑になるかもしれない」と考えがちになり、気持ちのブレーキが強くかかってしまいます。
また、冬場は体調の変化とも重なります。血圧は上がりやすく、関節は強張りやすく、呼吸器系への負担も大きくなりがちです。こうした変化に不安を抱くと、「何かあってはいけないから、外出は控えよう」と考えるのは自然な流れです。しかし、まったく外に出ない状態が続くと、昼夜逆転や睡眠の質の低下、食欲のムラといった別の問題が顔を出してきます。日光を浴びる時間が減ることで、体内時計のリズムが乱れやすくなるからです。
家族や職員の側から見ると、「安全のために冬は無理をさせない」という善意が、結果的に閉じこもりを後押ししてしまうこともあります。送り出す側が心配なのは当然ですが、「安全だから家の中にいてもらう」だけでは、体も心も冬眠モードに入ってしまいます。大切なのは、「どこまでなら安心して外に出られるか」「どんな準備をすれば、気持ち良く出掛けられるか」を一緒に考えることです。
冬の外出が減ると起こるのは、単なる運動不足や退屈さだけではありません。生活のリズム、体力、気持ちの張り合い、地域との繋がりが、少しずつほどけていくことでもあります。だからこそ、冬のレクリエーションを考える時には、「外に出る切っ掛けをどう作るか」という視点がとても重要になります。次の章では、無理なく取り入れやすい冬の外出の工夫と、日常の延長線上でできるアイデアを掘り下げていきます。
第2章…近所で出来る冬の外出レクリエーションの工夫
冬の外出というと、「遠くの観光地まで行かないと企画にならないのでは」と考えてしまいがちですが、高齢者さんにとって大切なのは距離ではなく体験の質です。むしろ、施設やご自宅のすぐ近くで「いつもより少しだけ特別」に感じられる外出を重ねていく方が、体にも心にも無理がありません。ここでは、身近な場所を活かした冬のレクリエーションの工夫を、物語を作るような気持ちで整理してみます。
身近な場所を冬仕様の散歩コースに変える
同じ道でも、季節が変わると見えるものが変わります。例えば、施設の周りをグルッと一周するだけでも、冬ならではの景色がいくつも見つかります。庭先の葉牡丹、店先に並ぶみかんや大根、神社のしめ縄やお正月飾り。歩くたびに「冬らしいものを何個見つけられるか」を、利用者さんと一緒に数えながら歩くと、それだけで立派なレクリエーションになります。
この時、ただ何となく歩くのではなく、予め職員側で「冬の発見ポイント」をいくつか心にメモしておくと、会話の切っ掛けが増えます。「この家は毎年、綺麗な飾り付けをされますね」「去年もここで蝋梅の香りを嗅ぎましたね」など、思い出と今を繋ぐ言葉を添えるだけで、短い散歩が豊かな時間へと変わっていきます。
目的を1つ足すだけで外出が楽しみに変わる
冬の外出を続けるコツは、「ただ歩くだけ」ではなく、小さくても分かりやすい目的を1つ加えることです。例えば、近所のスーパーや八百屋さんで「鍋に入れたい野菜を皆で1つ選ぶ日」にしてみる。あるいは、最寄りの神社に「今年最初のお礼参りをする日」として出かける。郵便局まで年賀状のお返事を投函しに行く日を、敢えて職員が付き添う外出レクにしてみる。
どれも特別な準備は不要ですが、「今日は〇〇のために出かける」という物語があるだけで、高齢者さんの表情が変わります。「寒いし辞めておこうかな」と感じていた気持ちが、「せっかくだから行ってみようかな」に少しずつ傾いていきます。帰ってきてから、「あの野菜はいつ鍋に入るの?」「神社の階段、今年も上れたね」と振り返る時間まで含めて、1つのレクリエーションとして完結していきます。
安心して出かけるための冬のひと手間をルーティン化する
もちろん、冬の外出にはリスク管理が欠かせません。防寒着の調整、マフラーや帽子の有無、足元の滑りやすさ、体調や血圧のチェック。これらを毎回「一から考える」と大変ですが、冬の間だけ使うチェックポイントを決めてしまうと、職員にも高齢者さんにも分かりやすくなります。
例えば、「冬のお出かけ前の3つの確認」として、体の調子(熱、咳、息苦しさ)、服装(上着、ひざ掛け、手袋など)、足元(靴の履き心地と段差の不安)を、玄関前で必ず一緒に確認するようにします。声掛けの仕方も、「寒いけれど頑張りましょう」ではなく、「寒いからこそ、今だけの空気を吸いに行きましょう」と、前向きな言葉を添えると、気持ちが少し軽くなります。
室内レクと外出レクをセットで考える
冬の外出レクリエーションは、外にいる時間そのものは短くても構いません。大切なのは、前後の時間を含めて1つの流れにしておくことです。出掛ける前には、地図や写真を見ながら「今日はここまで行きます」とイメージを共有し、戻ってきてからは、温かいお茶を飲みながら感想を聞いたり、撮った写真を眺めたりします。
例えば、近所の産直コーナーで手に入れた冬野菜を、午後の室内レクで並べて「名前当てクイズ」にしてみる。神社で撮った写真を印刷して、壁に貼って「今年の初詣ギャラリー」にしてみる。こうした小さな工夫を積み重ねることで、「冬の外出」は単発のイベントではなく、日常の中に繰り返し登場する楽しみへと変わっていきます。
このように、遠出をしなくても、施設やご自宅の周りには冬のレクリエーションの種がたくさん転がっています。次の章では、こうした身近な外出の延長線上にある、少し大掛かりな「素材集めツアー型レクリエーション」について、具体的な流れをご提案していきます。
第3章…地域とつながる素材集めツアー型レクリエーション
近所のお散歩レベルの外出に少し慣れてきたら、次のステップとして考えたいのが「素材集めツアー型」のレクリエーションです。イメージとしては、小学校の頃に経験した社会科見学のようなもの。地域の養鶏場や農家さん、商店街のお店などを訪ね歩き、冬の鍋料理や味噌作りの材料を自分たちで集めていく流れを、一つの大きな企画として組み立てていきます。
ゴールは皆で食べる鍋と決めておく
この企画の分かりやすいゴールは、「最後に皆で鍋を囲むこと」です。先にゴールを決めておくことで、「今日は鍋の野菜を探しに行く日」「今度は出汁になる素材を探しに行く日」といったように、一回一回の外出にストーリーを持たせることが出来ます。外に出るたびに、「あの鍋に入る材料がまた1つ揃ったね」と話題に出来るので、高齢者さんの楽しみが長く続きます。
素材集めの候補は、季節の野菜、きのこ類、鶏肉や猪肉、鴨肉などの肉類、豆腐や厚揚げ、こんにゃく、そして米ぬかや味噌の原料となる大豆など、地域の特色に合わせて自由に組み立てられます。大切なのは、「お店で出来上がったパック商品を買う」のではなく、「どこで作られて、どんな人が手を掛けているのか」を見せてもらいながら分けていただく流れにすることです。
生産者さんを訪ねる小さな旅にする
例えば、地元の養鶏場を訪ねる日を作ります。鶏舎の前まで行き、どのように鶏を育てて、卵や鶏肉が届けられているのかを説明してもらいます。衛生面のルールに配慮しながら見学をさせていただき、最後に鍋用の鶏肉や卵を分けていただく。高齢者さんにとっては、昔の暮らしを思い出す切っ掛けにもなり、「自分たちでお願いして手に入れた」という実感が湧きます。
別の日には、冬野菜を育てている農家さんを訪ねてみます。畑の様子を眺めながら、土の状態や寒さ対策の工夫を聞かせてもらい、収穫済みの大根や白菜、葱などを買い求めます。天候によっては畑の中まで入れないこともありますが、それでも作り手の顔が見えるだけで、同じ大根でも味わいが変わって感じられます。
商店街のお肉屋さんや八百屋さんに協力してもらうのも一つの方法です。日頃から施設の行事食でお世話になっているお店があれば、「こんどは素材集めツアーの一員として、高齢者さんと一緒にお邪魔させてください」と事前に相談しておきます。店先での対面販売の様子を見学したり、肉の部位の違いを教えてもらったりしながら、鍋に合う食材を一緒に選んでもらうと、買い物そのものが学びの時間になります。
冬ならではの糠と水を手に入れる体験
素材集めツアーの中で、ぜひ組み込みたいのが「糠」と「水」を手に入れる体験です。糠は、近くの精米所や米穀店にお願いして分けていただきます。高齢者さんの中には、かつて自宅で糠床を管理していた方も多く、「こうやって塩加減を見るのよ」「混ぜ方にはコツがあるのよ」と、自然に知恵が溢れ出てきます。ツアーで手に入れた糠を使って、施設オリジナルの糠漬けを育てていけば、一年を通して話題が尽きません。
「水」をどう扱うかも、冬ならではの奥深いテーマです。昔から、寒の時期に仕込む水は澄んでいて、味噌や醤油、日本酒作りに適していると言われてきました。近くに湧き水や井戸、由緒ある神社の手水舎などがあれば、「この冬だけ特別に、鍋と味噌づくりに使う水をいただきに行く」という小さな儀式を企画してみても良いでしょう。
もちろん、衛生面や飲用の可否については、事前に自治体や専門家の情報を確認し、安全が保証された水だけを活用します。「〇〇神社の水で仕込んだ鍋」「△△山の麓の湧き水で仕込んだ味噌」という物語は、高齢者さんだけでなくご家族にも印象に残りますし、地域の魅力を再発見する切っ掛けにもなります。
野生肉や特産品でその土地ならではの鍋にする
狩猟期間中であれば、地域によっては猪肉や鹿肉、鴨肉といった野生肉を扱うこともあります。全ての施設で取り入れられるわけではありませんが、衛生管理や調理方法が整った業者さんと連携できる場合は、「一部の鍋をジビエ鍋にしてみる」といった挑戦も考えられます。
また、港町なら魚介類や練り物、山間部ならきのこや山菜、果樹地帯なら柑橘を使った締めの一品など、その地域ならではの食材を一つだけでも取り入れると「うちの町らしい鍋」になります。素材集めツアーの段階で、「この食材はどうやって食べるのが一番美味しいですか」と生産者さんやお店の方に聞いておくと、そのままレシピのアイデアにも繋がっていきます。
記録を残して地域ぐるみの企画に育てていく
素材集めツアーは、一回実施して終わりではなく、記録を残すことで次の年に繋げやすくなります。訪ねた場所の地図、協力してくださった方のお名前、いただいた言葉、当日の写真やエピソード。これらを職員だけの記録にとどめず、館内の掲示やニュースレター、施設のブログなどにまとめて紹介すると、「来年も一緒にやりましょう」という声が地域からも上がりやすくなります。
高齢者さんにとっても、自分が写っている写真や、自分の言葉が見出しになっている記事を見ることは、大きな喜びになります。「あの畑はまだあるかな」「今年も水をもらいに行きたいね」といった会話が自然と生まれ、冬の外出企画が「施設の恒例行事」として定着していきます。
素材集めツアーは、移動時間も含めると決して楽な企画ではありませんが、得られる手応えはとても大きいものです。次の章では、こうして集めた素材を使ってどのように鍋や味噌作り、冬のお楽しみ週間へと発展させていくのか、その具体的な流れを丁寧に見ていきます。
第4章…鍋と味噌と物語で締め括る冬のお楽しみ週間
地域を回って素材を集め終わったら、いよいよ舞台は施設の中へ移ります。ここからが、高齢者さんにとって一番楽しい時間です。ただの行事食として一日限りの鍋会をするのではなく、「冬のお楽しみ週間」として、何日かに分けてじっくり味わう流れを作っていきます。集めてきた食材を、鍋と味噌と物語に変えていく時間です。
まずは、皆で鍋の「設計図」を広げるところから始めます。どの野菜を主役にするか、肉や魚はどう組み合わせるか、締めは雑炊にするのか、うどんにするのか。栄養士さんや調理スタッフと相談しながら、高齢者さんにも「昔はこんな具材を入れたよ」「うちの地方では、締めにこうしていたよ」と思い出を出してもらいます。この段階から参加してもらうことで、「自分たちで作る鍋」という意識が強くなり、一口目の味わいも変わってきます。
さらに、冬のお楽しみ週間として、日ごとに表情の違う鍋を用意していくと、連続した物語になります。例えば最初の日は、集めてきた野菜をたっぷり使ったやさしい味の鍋。次の日は、味噌を少し多めにして体の芯から温まる鍋。別の日には、地域の特産品や野生肉を一部に使った「ご馳走鍋」。そこへ、最後の締めとして雑炊とうどんを交互に楽しむ日を入れても良いでしょう。同じ鍋でも味付けや締めを少しずつ変えることで、「今日の味はどんなかな」というワクワクが続きます。
この流れの中で、是非、力を入れたいのが味噌作りです。素材集めツアーで手に入れた大豆や糠、澄んだ水を使って、施設オリジナルの味噌を仕込んでいきます。豆を洗う人、茹で上がった豆を潰す人、麹と合わせる作業を見守る人、樽に詰める時に応援の声をかける人。それぞれの得意な役割を分け合うことで、立って作業するのが難しい方も、椅子に座ったまま参加できます。手を動かすことが難しい方には、「昔の味噌作りの思い出を教えてください」と語り部になってもらうのも良い方法です。
こうして出来上がった味噌は、すぐに味わえるわけではありません。熟成の時間が必要です。だからこそ、「今年の冬は仕込みの年」「来年の冬は自分たちの味噌で鍋をする年」と、時間を跨いだ楽しみを作ることが出来ます。仕込んだ樽に日付や皆の名前を書いた札を下げておけば、その前を通るたびに「上手く育っているかな」「来年の冬も元気で食べたいね」と自然に会話が生まれます。味噌樽そのものが、施設の小さなシンボルになります。
鍋週間の当日は、食べる時間だけが主役ではありません。準備から片付けまでの全てがレクリエーションの一部です。野菜を洗って切る、きのこを裂く、豆腐やこんにゃくを一口大に分ける、テーブルに鍋の名前を書いた札を立てる。手先の運動になる作業と、座って出来る作業を上手く組み合わせれば、多くの方が無理なく関わることが出来ます。火の管理や包丁を使う場面は職員や調理スタッフが担いつつ、「湯気が上がってきたら合図をする係」「最初のひと口をみんなに勧める係」など、当日の役割も用意しておくと良いでしょう。
食事の時間が始まったら、「素材集めツアーの物語」を思い出しながら味わってもらいます。「この大根は、あの畑で獲れたものですよ」「この鶏肉は、養鶏場のご主人が特別に分けてくれたものです」と一品ずつ紹介すると、鍋の中身が単なる具材ではなく、人や景色の記憶と結びついた宝物に変わります。味噌仕立ての鍋なら、「この味噌が熟成したら、来年はもっと深い味になりますね」と未来の話をそっと添えるのも素敵です。
締めの雑炊やうどんに入る頃には、体だけでなく心もほぐれてきます。「今日はよく食べたね」「昔は家でもこうして食べたね」といった会話に加えて、「また行きたい場所はどこですか」「次はどんな鍋にしましょうか」と、次回への希望をさりげなく拾っておきます。この一言一言が、次の企画書作りのヒントになっていきます。
そして忘れてはならないのが、記録を残すことです。当日の写真や、準備の様子、素材集めツアーでの一場面、高齢者さんのコメント、職員の気づきなどを、後から読み返せる形にまとめます。館内に写真パネルを掲示したり、施設の広報紙やホームページに「冬のお楽しみ週間」の特集として載せたりすれば、ご家族や地域の方にも企画の空気が伝わります。「こんなことをしているのなら、来年はうちの畑の野菜も使ってください」と、新しい協力の輪が生まれる切っ掛けにもなるかもしれません。
冬のお楽しみ週間に、合言葉のような名前をつけるのもお勧めです。例えば「鍋週間」「鍋ウィーク」「鍋フェスタ」といった言葉をポスターに書いて掲示すると、それだけでワクワクした雰囲気が広がります。食事の行事という枠を超えて、「冬に皆で作り上げるお祭り」として定着していくことでしょう。
こうして、外で集めた素材が鍋になり、味噌になり、写真や言葉になって残っていくと、高齢者さんにとって冬はただの寒い季節ではなく、「今年もあの鍋の季節が来た」と待ち遠しくなる時期に変わります。次のまとめでは、この一連の流れが地域包括ケアの考え方とどう繋がっていくのかを、もう一歩深く見つめていきます。
[広告]まとめ…外出レクリエーションで地域包括ケアを体感できる冬へ
冬の外出は、どうしても「危ない季節だから控えるもの」というイメージがつきまといます。けれど視点を少し変えてみると、冬は空気が澄み、景色もくっきりと見え、鍋や味噌作りなどの楽しみがギュッと詰まった季節でもあります。本記事で辿ってきたのは、その冬ならではの良さを、高齢者さんのレクリエーションと外出企画に結びつけていく道筋でした。
まず、冬の外出が減ると、体と心の両方にジワジワと影響が出てくることを見つめました。足腰を使う機会が減り、人と顔を合わせる時間が少なくなり、季節の変化を肌で感じる場面が少なくなる。これは単なる運動不足ではなく、生活のリズムや気持ちの張り合い、地域との繋がりがほどけていくことでもあります。だからこそ、「寒いから辞める」だけで終わらせず、「どこまでなら安心して一緒に出かけられるか」を考えることが、とても大切になってきます。
次に、遠くまで出かけなくても、施設や自宅の周りには冬の外出レクリエーションの種がたくさん転がっていることを確認しました。いつもの散歩道に「冬らしいものを探す」という遊び心を足すこと。近所の店まで「鍋に入れる野菜を選びに行く」という目的を添えて出かけること。出発前と帰ってきた後の時間も含めて、外出を1つの物語として味わうことで、短い時間でも豊かな経験になります。
さらに一歩進めて、地域の養鶏場や農家さん、商店街のお店を訪ねる「素材集めツアー」を組み立てると、外出は単なる気分転換を超えて、地域と繋がる学びの場になります。鶏肉や野菜を分けていただき、糠や水を分けていただき、その背景にある人の暮らしや知恵に触れる。高齢者さんにとっては、昔の生活を思い出す切っ掛けになり、地域の方にとっては「いつもお世話になっている施設」の姿がより身近に感じられる時間になります。
そして、集めた素材を使って「鍋週間」「鍋ウィーク」「鍋フェスタ」といった冬のお楽しみ週間を作ることで、外出レクリエーションの物語はクライマックスを迎えます。鍋の設計図を考えるところから高齢者さんと一緒に取り組み、味噌を仕込み、当日の役割を分け合い、締めの雑炊やうどんまで味わい尽くす。その1つ1つの場面に、高齢者さんの表情や言葉、地域の人たちの協力が重なっていきます。
この一連の流れは、まさに地域包括ケアの縮図と言えるかもしれません。医療や介護の仕組みを整えることも大切ですが、「顔の見える人同士が、日常の楽しみを一緒に作り上げる」経験こそが、暮らしの土台を支えます。畑で大根を抜いてくれた農家さん、鶏の話を聞かせてくれた養鶏場の方、肉を綺麗に切り分けてくれたお肉屋さん、鍋を囲んだ高齢者さんと家族、準備に走り回った職員。この全てが繋がって、1つの冬の物語になります。
もちろん、実際に企画を進めるには、感染症対策や安全管理、スタッフの確保、費用面の調整など、現実的な課題もたくさんあります。全てを一度にやろうとするのではなく、まずは近場のお散歩から、次に小さな買い物ツアーから、と段階を踏んでいくことが現実的です。その中で、「うちの地域ならではの鍋」「うちの施設だからこそ出来る味噌作り」といった、小さなオリジナルを一つずつ育てていければ十分です。
そして、その歩みを丁寧に記録し、写真や文章で残していくことも忘れずに。館内の掲示やお便り、ホームページなどで物語を共有すれば、「来年はここを一緒に回りましょう」「次はこんな食材も使いましょう」と、新しい協力の手が自然と増えていきます。冬の外出レクリエーションが、「危ない季節の例外的な行事」ではなく、「毎年楽しみに待つ恒例の時間」として根付いた時、高齢者さんの冬は、もっと明るく、もっと温かいものになっているはずです。
寒さの厳しい季節だからこそ、外に出る切っ掛けと、帰ってきてから語り合える物語を用意しておきましょう。小さな一歩の積み重ねが、地域ぐるみで高齢者さんを支える冬の風景を、きっと少しずつ変えていってくれます。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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