犬猫のいる在宅介護を続けるコツ~季節の注意点と引き継ぎ計画~
目次
はじめに…犬猫が悪いわけじゃない~困る前に「段取り」を作ろう~
在宅で介護のサービスを受ける時、犬や猫と一緒に暮らしているご家庭は、ちょっとしたことで空気がピリッとしやすいです。犬猫が“悪い”わけではなく、むしろ家族の心を支えてくれる大事な存在なのに、訪問する側と迎える側の小さなズレが、思った以上に大きな問題へ育ってしまうことがあります。
例えば「今日は暑いから窓を閉めてエアコンだけ」「今日は寒いから換気を後回し」。この“季節の当たり前”が、臭いの籠りやすさや毛の舞い方、空気の乾燥や湿気の偏りに繋がって、訪問した人には一瞬で分かる違和感になります。さらに、犬猫が人の出入りに反応して吠えたり、足元に来たり、逆に怖がって隠れてしまったりすると、介護の動きそのものが止まってしまうこともあります。
ここで大切なのは、「犬猫がいるから在宅介護は無理かも」と早合点しないことです。結論から言うと、続けられるケースは多いです。ただし条件があります。それは“愛情”だけで押し切らず、家族の作法として「段取り」を作ること。つまり、来客時の動き方、犬猫の居場所、掃除と換気のコツ、そしてもしもの引き継ぎ先まで、先に決めておくことです。
この記事では、夏と冬だけの話に閉じず、家族の四季の暮らしとして、犬猫と介護サービスが同じ家の中でぶつからないための考え方をまとめます。読む人が「うちも整えればいけるかも」と思えるように、現場目線の注意点と、今日から出来る小さな工夫、そして将来の“引き継ぎ計画”まで丁寧にお話ししていきます。
[広告]第1章…夏と冬に起きやすい困りごと~臭い・毛・温度・体調トラブル~
在宅で介護のサービスが入ると、家の中は「普段の生活空間」から「人が安全に動き、衛生を守り、短時間で作業を完了させる現場」へ、ほんの少し性格が変わります。ここに犬猫がいると、空気の変化にいち早く反応するのは、だいたい犬猫のほうです。だからこそ、夏と冬は特にトラブルが起きやすくなります。季節が“家の癖”を強めるからです。
夏は「こもる・濡れる・増える」で一気にしんどくなる
夏に増えるのは、臭いの問題です。ただし、犬猫そのものの臭いというより、「湿気+温度+空気の澱み」で、臭いが強く感じられる状態が作られてしまうのが原因になります。例えば、エアコンを効かせるために窓を閉めがちだと、空気の入れ替えが減ります。すると、トイレシート周り、ケージの布、カーペット、ソファ、玄関マットなど、においの“受け皿”になりやすい場所が、ジワッと育っていきます。
もう1つは、毛と皮脂です。夏は犬猫も汗を掛けない分、体温調整が苦手で、体が熱くなりやすい。そこで人が触れて撫でたり、涼しい場所へ移動させたりしますよね。すると毛が舞いやすくなり、床や衣類に付きやすくなります。普段の家族は慣れてしまって気づき難いのですが、訪問する人は「初見」なので、玄関で一歩入った瞬間に空気の違いが分かります。ここで誤解が生まれると、「この家は衛生面が心配かもしれない」という不安が先に立ち、コミュニケーションが硬くなりやすいのです。
さらに夏は虫の問題も重なります。ノミやダニは季節性があり、対策が遅れると、刺される側は本当に辛いです。犬猫が悪いのではなく、環境が整っていないと“発生しやすくなる”だけなのに、現場では「今日は大丈夫かな?」という緊張が生まれます。緊張は事故の元です。介護は急がず丁寧に、でも時間内に終える必要がある。そこで余計な緊張があると、互いに疲れます。
冬は「乾く・閉じる・冷える」で別のトラブルが出る
冬は逆に、乾燥が主役になります。乾燥すると毛が舞いやすくなり、静電気で衣類やカーテンに付着しやすくなります。暖房を入れると空気が動くので、見えない毛や埃がフワッと広がることもあります。これが「喉がイガイガする」「鼻がムズムズする」に繋がり、訪問する人の体調に影響が出る場合があります。もちろん個人差はありますが、敏感な人にとっては、かなり切実です。
冬のもう1つの落とし穴は、“閉じる”ことです。寒いから換気をしない、窓を開けない、玄関の出入りも最小限にする。すると空気は澱み、臭いも逃げ難くなります。夏より強烈ではないにしても、「何となく重い空気」は残ります。そして冬は、犬猫自身も体調を崩しやすい季節です。人と共通するような咳や鼻の症状が出ることもあれば、全く別の原因で元気がなくなることもあります。犬猫の体調が落ちると、家族の余裕も削られます。余裕が削られると、掃除や片付けが後回しになる。そうして“負の連鎖”が始まりやすいのが冬です。
季節より怖いのは「準備不足が続くこと」
実は、夏冬の困りごとは、季節そのものというより「準備不足が続くこと」で大きくなります。犬猫の生活用品は、家の中に確実に増えます。トイレ用品、フード、砂、ペットシーツ、掃除グッズ、毛取り、ケージ、爪研ぎ。これらが“置き場所を決めないまま増える”と、生活動線が狭くなり、介護の動きにも影響が出ます。介護ではベッド周り、トイレまでの通り道、玄関から居室まで、動線が命です。床に物があるだけで、転倒リスクが上がります。犬猫が足元に来れば、さらに危険が増えます。
だからこそ第1章でお伝えしたいのは、「犬猫がいる=即アウト」ではなく、「季節で困りごとが増える家ほど、作法としての整え方が必要になる」ということです。次の章では、いよいよ具体的に、家族が先に整えておくと劇的にラクになる“基本の作り方”を、難しい言葉を使わずに、現場で揉め難い形でまとめていきます。
第2章…家族が先に整える3つの基本~隔離・清潔・動線作り~
在宅で介護のサービスを受ける時、犬猫と暮らすご家庭が一番ラクになる考え方は、「犬猫を我慢させる」のではなく、「来る人も、住む人も、犬猫も、全員が安心できる形を先に決める」ことです。正直に言うと、現場で揉める原因は犬猫そのものではなく、“その場で決めようとすること”にあります。訪問する側も緊張していますし、ご家族も「失礼があったらどうしよう」と構えている。そこに犬猫の反応が加わると、話し合う余力が一気に減ります。
だからこそ、家族側で先に整えておくと強い基本が3つあります。難しい道具は不要で、「いつも通りの暮らし」を少しだけ整える発想です。
隔離は「閉じ込め」ではなく「居場所の確保」
まず隔離です。ここで誤解が起きやすいのですが、隔離は犬猫を悪者にして閉じ込める話ではありません。むしろ逆で、犬猫の居場所を“安全に確保する”ためのものです。知らない人が出入りする時間は、犬猫にとってもストレスになりやすい。吠える、逃げる、噛む、隠れる、急に走り回る。どれも犬猫の性格が悪いわけではなく、自然な反応です。
なので「訪問の時間だけ入る部屋」を決めてしまうのが強いです。ケージでも、サークルでも、落ち着くベッドがある一室でも構いません。ポイントは、毎回同じ場所にすること。犬猫は“いつもの型”があると落ち着きます。逆に毎回違う場所だと、犬猫も家族もバタついてしまい、訪問する側も「危ないかも」と感じてしまいます。
そして、隔離の場所には、水とトイレと、落ち着ける寝床があると安心です。短時間の訪問でも、犬猫が落ち着いて過ごせる形にしておくと、家族の心も落ち着きます。ここが整うだけで、トラブルはグッと減ります。
清潔は「完璧」を目指さず“臭いの出口”を作る
次に清潔です。ここは「ピカピカに掃除しなきゃ」と思うほど辛くなります。介護そのものでも手一杯なのに、犬猫の暮らしまで完璧に整えるのは無理が出ます。だから発想を変えて、“臭いの出口を作る”ことだけに集中すると現実的です。
臭いは、発生源をゼロにするより、籠もらせない方が効きます。換気の習慣を作る、空気が動くようにする、布に染み込ませない工夫をする。これだけでも体感が変わります。例えば玄関に入った瞬間の空気が軽いと、訪問する側の警戒心が下がります。警戒心が下がると会話が柔らかくなり、結果として介護がスムーズになります。
もう1つ大事なのは、犬猫のトイレ周りと布類です。トイレシート、猫砂、ケージの敷物、いつも寝ているクッション、ソファの定位置。ここは“臭いが育つ場所”になりやすいので、優先順位として先に手を入れると効果が出やすいです。全部を毎日やるのは大変でも、「訪問の前にここだけは整える」という場所を決めるだけで、暮らしの負担が減っていきます。
動線作りは「介護の安全」のために最優先
最後は動線作りです。これは犬猫の問題というより、介護の安全の問題です。介護は、ベッドからトイレ、トイレから洗面、玄関から居室など、人が“迷わず通れる道”があるだけで事故が減ります。逆に、床に物がある、コードが横切る、犬猫の用品が散らばる、足元に来る。これだけで転倒リスクは上がります。
ここで家族におすすめしたいのは、「サービスが使う道」を家の中に一本通すことです。毎回そこを通る。毎回そこには物を置かない。犬猫の居場所もその道から外す。これだけで、訪問する側は安心して動けます。安心して動ければ、丁寧に介護ができ、家族への説明も落ち着いて出来ます。
動線が整うと、犬猫にもメリットがあります。人の出入りが落ち着いて見えるので、犬猫が驚き難い。家族も「また踏みそう」「また吠えそう」と焦らなくて済む。焦りが減ると声掛けも柔らかくなり、結果的に犬猫も落ち着きやすくなります。ここは、家族全体の空気が良くなるポイントです。
「お願いの言い方」を変えると、関係が一気に良くなる
もう1つ、本文の補足として大事な提案を入れます。現場で揉める原因は、作法やルールだけではなく、“言い方”でも起きます。訪問する側は安全のためにお願いをしますが、言い方が強いと家族は責められた気持ちになります。逆に家族が「犬猫がいるけど大丈夫ですよね?」と軽く言うと、訪問する側は「軽く見られているかも」と不安になります。
ここで効くのは、最初の一言を「対策はこうします」に寄せることです。つまり「うちは犬猫がいます」だけで止めずに、「訪問の間はこの部屋で過ごしてもらいます」「この道は空けてあります」と、段取りを先に見せる。これだけで、訪問する側の安心感が跳ね上がります。安心感があると、多少の臭いや毛があっても“許容”が働きます。人は怖いと厳しくなり、安心すると優しくなります。これは現場あるあるです。
次の章では、家族側だけでなく、支援する側の視点も合わせて、「初回訪問で何を見て、どう話すと揉めにくいか」を具体的に掘り下げます。ここまで整えておくと、在宅介護はグッと続けやすくなります。
第3章…支援する側の見立てと伝え方~初回訪問で揉めないコツ~
犬猫のいるご家庭に入る時、支援する側が本当に見ているのは「犬猫がいるかどうか」そのものではありません。もっと現実的に言うと、「安全にケアが出来る環境か」「その環境を家族と一緒に作っていけるか」を見ています。ここが噛み合うと、犬猫がいても在宅は続きやすい。逆にここが噛み合わないと、犬猫が可愛くて大事な存在であるほど、話が拗れやすくなります。
初回訪問で緊張が走る瞬間は、だいたい似ています。玄関を開けた瞬間に空気が重い、足元に犬が来る、猫がスッと背後を横切る、吠え声で会話が聞こえ難い、通路に物が多くて一歩目が怖い。ここで支援者の頭の中は、意地悪ではなく“事故を防ぐための確認”でいっぱいになります。転倒の危険はないか、噛まれる可能性はないか、毛や臭いで体調を崩す職員はいないか、衛生面の課題が大き過ぎて支援が止まらないか。つまり、怖がりたいわけではなく、守りたいものが多いのです。
「犬猫の問題」ではなく「段取りの問題」に言い替える
ここで一番大事なコツは、支援者側が“犬猫を注意する言い方”をしないことです。犬猫を主語にすると、家族は守りたくなります。守りたくなると、話し合いが戦いになりやすい。だから主語を変えます。「安全に動けるように」「ケアの手順が止まらないように」「万が一を防ぐために」。この言い替えだけで、家族の受け取り方が変わります。
たとえば「犬をしまってください」だと命令に聞こえやすいですが、「移乗の時に足元が危ないので、〇〇の間だけ落ち着ける場所で過ごしてもらえますか」と言うと、“目的”が伝わります。目的が伝わると、家族は協力しやすくなります。犬猫を否定された気持ちになり難いからです。
初回訪問は「確認」ではなく「共同作業」から始める
支援者側が初回訪問でやりがちなのは、チェック項目を頭の中で増やし過ぎることです。すると質問が多くなり、家族は尋問されているように感じます。ここは順番が大切で、最初は共同作業として一緒に形を作る方が、結果的に早いです。
例えば玄関で「今日はまず、通る道を一緒に決めましょう。ここが空いているとすごく助かります」と言って、家族と同じ方向を向く。犬猫の話も、「この子は人が来るとどうしますか。吠える子ですか、隠れる子ですか」と性格の確認から入る。性格を聞くのは、家族にとって“責められていない質問”になりやすいので、会話が柔らかくなります。
ここで家族が「大丈夫です、噛みません」と言っても、支援者は真っ向から否定しない方が上手くいきます。「安心しました。念のため、こちらが動く時間だけは同じ場所で待ってもらえると、もっと安全になります」と“上乗せ”で提案します。家族の顔を立てつつ、安全も取れる形です。
支援する側が「崩れない」ための小さな合意
犬猫のいる現場で連携が崩れる典型は、「担当者だけが頑張って、次に入る人へ共有がない」ことです。最初の担当が我慢してしまうと、次の訪問者が突然つらい思いをして、関係が一気に険しくなります。だからこそ、初回の段階で“最低限の合意”を作っておくと強いです。
合意は、難しい紙や大げさな約束でなくて構いません。家族にとって続けられる形で、支援者にとって守れる形で、「訪問中は犬猫はここ」「この通路は空ける」「作業の時は足元に来ないようにする」。この3つが共有できるだけで、現場はかなり落ち着きます。合意の言い方も、「お願い」ではなく「一緒に続けるための工夫」として伝えると角が立ちません。
そして大切なのは、出来たことを言葉にして返すことです。「今の準備、すごく助かりました」「この動線だと安全に出来ます」。家族は介護だけでも不安が多いので、正しく出来ている点が分かると、次回も同じことを再現しやすくなります。犬猫も“いつもの型”が出来ると落ち着くので、家族と犬猫の両方に効いてきます。
臭い・毛・衛生の話は「責めずに、手順で語る」
臭いの話題は、最もデリケートです。ここで支援者が嫌な顔をすると、家族は一気に心を閉じます。だから“感想”ではなく“手順”で語るのがコツです。「玄関の空気が気になる」ではなく、「換気を〇分だけすると作業がしやすいです」「この布があると毛が舞い難いです」という言い方にします。家族の人格ではなく、作業のしやすさの話にする。これが揉めない近道です。
さらに、家族の負担を増やさない提案ができると理想です。例えば掃除を増やす話ではなく、「訪問前にトイレ周りだけ整える」「犬猫の定位置の布だけ替える」「ケアに使う道だけ床を空ける」。こういう“範囲を絞った工夫”は続きやすく、続くから効果が出ます。
次の章では、いよいよ「もしも」の話を真正面から扱います。犬猫は家族で、だからこそ“将来の引き継ぎ”を考えるのは冷たさではなく優しさです。先に決めておくほど、在宅の安心感が増えていきます。
第4章…「もしも」に強いペット計画~預け先・費用・連絡先の作り方~
犬猫と暮らす在宅介護で、一番心が重くなりやすい話題がこの「もしも」です。だって犬猫は家族ですからね。できれば、ずっと一緒にいたい。最後まで見届けたい。そう思うのが自然です。けれど在宅介護の現場では、「思い」だけでは守りきれない瞬間が、ふいに訪れます。利用者さんの急変、家族の入院、介護者の疲労の限界、暑さ寒さで体調が崩れる連鎖。そうした時に犬猫の行き場が曖昧だと、家族は一気に追い詰められてしまいます。
この章で伝えたいのは、引き継ぎを考えることは冷たい話ではなく、犬猫への一番優しい備えだということです。段取りがある家は、トラブルが起きても立て直しが出来ます。段取りがない家は、犬猫のために頑張りたいのに、頑張るほど選択肢が狭くなってしまう。ここが本当にもったいないのです。
預け先は「相手」を決めるより「順番」を決める
多くのご家庭がつまずくのは、「預け先を一つに決めよう」としてしまうことです。実際には、人の都合も犬猫の体調も、その日にならないと分からないことが多い。だから“相手を一発で決める”より、“順番を決める”方が現実的です。
例えば「最優先は身内」「次は昔からの知人」「その次は有料の預かり先」というように、頭の中に段階があるだけで、いざという時の混乱が減ります。ここで大切なのは、犬猫側のストレスも見ておくことです。急に環境が変わるのが苦手な子なら、普段から短時間だけ預ける練習をしておくと、もしもの時に本当に助かります。犬猫は“初めて”が苦手な子が多いので、練習は優しさそのものです。
また、預け先候補に伝える内容も、難しく考え過ぎないで大丈夫です。「人が入院したら数日お願いするかもしれない」「その時はフードはこれ」「トイレはこれ」「触って欲しい場所、嫌がる場所はここ」。この程度でも、受ける側の不安が減ります。不安が減ると、お願いしやすくなります。
費用は“月々の大金”ではなく「突発の一回分」を用意する
お金の話は生々しいので避けたくなりますが、避けるほど苦しくなるのが現実です。とはいえ、毎月大きな積み立てが出来ないご家庭もあります。だから発想を変えて、「突発の一回分」を用意します。ここで言う一回分は、数日から2週間程度の預かりや通院に対応できるだけの現実的な額、というイメージです。
なぜ“突発の一回分”が効くかというと、もしもが起きた瞬間に必要なのは、長期計画よりも「今すぐ動ける余裕」だからです。余裕があると、家族は落ち着いて選べます。余裕がないと、「無料でなんとかなるところ」を探して走り回り、結果的に犬猫にも負担がかかります。
ここでおすすめしたいのは、犬猫の用品を“予備セット”にしておくことです。フード、トイレ用品、薬がある場合はその説明、普段使うタオルやブランケット。これらを一つにまとめておくと、緊急時に「持っていく物」が即決できます。家族の脳みそが疲れている時ほど、この“まとめてある安心”が効きます。
連絡先は「書く」だけで強くなる~口約束は弱い~
もしもに強い家は、連絡先が“頭の中”ではなく“紙やメモ”にあります。これは冷たい話ではなく、現場の知恵です。人は慌てると普段の記憶が抜けます。スマホの電池が切れる日だってあります。だからこそ、書いてあるだけで強くなります。
連絡先は、誰の連絡先かが一目で分かるようにしておくと良いです。動物病院、身内、預かり先候補、そして介護サービスの連絡先。これが並んでいるだけで、「どこに先に電話する?」が迷い難くなります。犬猫の情報も、名前、年齢、持病、ワクチンの状況、食べてはいけないもの、普段の性格。全部完璧に書く必要はありませんが、“最低限の安心”だけ書いておくと、預かる側の不安が下がります。
そして、介護側との共有もとても大事です。訪問する側は、犬猫がいること自体を問題にしたいわけではありません。緊急時に家の中が混乱すると、支援が止まりやすくなるから、前もって知っておきたいだけです。だから「もしもの時は犬猫はここへ移動する予定です」と一言共有できると、支援者側の安心感が変わります。安心感が変わると、普段の関係も柔らかくなります。
「最後まで一緒に」を守るために、手放す練習を少しだけ
最後に、少しだけ厳しいけれど優しい提案をします。犬猫と最後まで一緒にいたいなら、“手放す練習を少しだけ”しておくと、逆に一緒にいられる時間が増えることがあります。
例えば、訪問の日だけ別室で過ごす練習、短時間の預かり練習、他の人にお世話の手順を説明する練習。これらは犬猫にとっても家族にとっても、「変化に慣れる」練習になります。変化に慣れている家は、もしもが来ても崩れ難い。崩れ難いから、在宅介護が続きやすい。続きやすいから、犬猫との暮らしも守りやすい。そういう良い循環が生まれます。
この第4章の話は、読んでいて胸がキュッとなるかもしれません。けれど、犬猫の幸せを守りたい気持ちが強いご家庭ほど、この段取りが“最後の味方”になります。次のまとめでは、季節の話を四季の作法として束ねながら、今日から出来る小さな一歩を、優しく整理して締め括ります。
[広告]まとめ…犬猫も人も安心できる在宅の形~小さな約束を積み重ねる~
犬猫と暮らしながら在宅で介護のサービスを受けることは、「どちらかを諦める話」になりがちです。でも本当は、犬猫がいるからこそ家族の気持ちが支えられ、家の空気が明るく保たれる場面もたくさんあります。だから大切なのは、犬猫を悪者にせず、支援する側も敵にせず、同じ暮らしの中でうまく重ねていく形を作ることでした。
夏は、空気が籠もると臭いが強く感じられやすく、湿気で衛生面の不安が増えやすい季節です。冬は、乾燥と閉め切りで毛や埃が舞いやすくなり、体調の揺らぎが起きやすい季節です。けれど季節のせいにして終わらせず、「家の癖が出やすい時期」と捉えると、対策はグッと現実的になります。四季は毎年巡ってきます。だからこそ“毎回の型”を作るのが強いのです。
その型の中心は、特別な道具ではなく、家族の作法でした。訪問の時間だけ犬猫が落ち着ける居場所を決めること。臭いをゼロにしようと苦しまないで、籠もらせない工夫を優先すること。介護の動きが止まらないように、玄関から居室までの道を一本通しておくこと。これらは全部、犬猫を閉じ込めるためではなく、犬猫も人も安全に暮らすための段取りです。
そしてもう1つ、見落とされがちだけれど在宅を守る大きな力になるのが、「言い方」と「共有」でした。家族が先に段取りを示すと、支援する側は安心します。支援する側が目的を丁寧に説明すると、家族は守られていると感じやすくなります。安心が増えると、同じ出来事でも揉め難くなります。揉め難い家は、続けやすい家です。続けやすい家は、犬猫にとっても落ち着ける家になります。
最後に、胸がキュッとする「もしも」の話です。引き継ぎを考えておくことは、冷たさではなく優しさでした。急な入院や体調の崩れは、誰にでも起こり得ます。その時に、預け先の順番、連絡先、最低限の用品、そして突発の一回分の備えがあるだけで、家族は落ち着いて動けます。落ち着いて動けると、犬猫を守る選択肢が増えます。つまり、「もしも」を整えることは、犬猫と一緒にいられる時間を守ることに繋がります。
在宅介護は、完璧な家だけが出来るものではありません。少しずつ整えていく家が、続けていけるものです。犬猫と暮らすご家庭は、元々“世話をする力”を持っています。その力を、犬猫だけでなく、介護の段取りにも少しだけ分けてあげる。そうすると、四季の変化に振り回され難くなり、家族の暮らしは静かに安定していきます。犬猫も人も、毎日が安心して回る。そんな在宅の形を、今日から1つずつ作っていきましょう。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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