2月11日に特養の談話室で建国したら腹筋が先に崩壊した話

[ 2月の記事 ]

はじめに…祝日の意味より先に笑いの国旗を掲げてしまおう

2月11日。カレンダーの赤い数字を見るたびに「今日は何の日だっけ?」が始まる季節です。建国記念の日。名前だけ聞くと、どこか背筋が伸びて、急に歴史のテストが始まりそうな気配がしますよね。けれど特養の談話室では、背筋より先に、だいたい腹筋が反応します。何故なら、人生の先輩たちは“正しい説明”よりも、“気持ちよく笑える話”に国を建てる天才だからです。

建国記念の日って、本来は「国のはじまりを思い、国を大切にする心を育てる日」とされています。でも、特養の現場で一番大事なのは、難しい言葉をそのまま持ち込まないこと。誰かが置いていかれると、その瞬間に空気は冷えます。だからこそ、談話室では祝日を“皆の参加できる形”に小さくして、優しくして、ちょっとくだらなくしてしまいます。すると不思議と、笑いながら「国って結局、人と人の暮らしなんだなぁ」に着地するんです。賢いでしょう? いや、賢いのは先輩たちで、私は相槌係なんですけどね。

今回は、建国記念の日に「特養の談話室で大爆笑をかっさらう」ための話題を、物語としてまとめてみます。誰かを責める話は一切なし。その代わりに、座布団とお茶と昼寝とおやつで国を作ります。国造りの材料が生活感100%過ぎて、もう国家の威厳が最初から行方不明ですが、それで良いんです。むしろその方が、皆の顔が上がる。

「建国」の話をしたいのに、話題は“昼寝の権利”から始まる。国歌は鼻歌で済ませる。国宝は座布団。国家予算はおやつ。そんな国が、談話室には毎年ちゃんと建ちます。笑いって、案外まじめな行事より人を結びますからね。今日だけは胸を張って言いましょう。特養の談話室には、世界で一番平和な建国記念の日がある、と。

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第1章…本日ここに「特養国」建国宣言~起立は不要で拍手だけ全力で~

談話室の空気って、不思議なもので。ニュースをつければ誰かが眉をひそめ、天気予報をつければ「今日は寒いねぇ」で終わり、結局お茶の湯気だけが一番元気に立ち上っていたりします。そんな中、2月11日がやってきます。建国記念の日。いつもなら「今日は祝日ですねぇ」で静かに流れていくところを、私はここで敢えて、無謀にもスイッチを入れます。

「皆さーん、今日は建国記念の日です!」と言った瞬間、数名の目が「また何か始めたな」と光ります。はい、正解です。私はここで宣言するのです。「いまこの談話室に、新しい国を建国します!」と。すると、だいたい最初の反応はこうです。「国?」「どこに?」「あんたが?」。ここまでがセット。既に笑いの火種が散らばっています。

もちろん、特養ですから「国民の皆さま、起立!」なんて言いません。言った瞬間に空気が凍るだけでなく、膝が悲鳴をあげる可能性があります。だから私は胸を張って言い直します。「起立は不要です。座ったままが正しい国です!」。これでまず、安心の笑いが起きます。安全が笑いの土台。特養の鉄則ですね。

そして次にやるのが“拍手の儀式”です。「それでは建国を祝して、拍手をお願いします!」。拍手って、すごく良いんです。声を出すのが苦手な方も参加できるし、耳が遠い方もリズムで空気が掴める。小さくても大きくても、誰の拍手も“国民参加”になります。拍手が広がった瞬間に、談話室は一気に「今日はちょっと面白い日」に変わります。

拍手が落ち着いたら、私はさらに調子に乗ります。「国には国旗が必要ですよね。でも今日は準備がありません。代わりに……お茶の湯気を国旗にします!」。湯気に国旗の役目を背負わせる時点で、もうこの国は真面目に見えて真面目じゃない。そこが良いのです。誰かが「それは消える国旗だ」と言ってくれたら勝ち。「消えるからこそ平和です。争う前に消えます」と返すと、また笑いが転がります。

この章で大事なのは、「建国」という言葉を大袈裟に扱わないことです。むしろ逆。国を作ると言いながら、やることは“談話室の空気を1段温める”だけ。そこに成功した時点で、もう建国は半分終わっています。国って結局、人が集まって、同じ時間を過ごして、「今日は悪くないな」と思えること。その最小単位が、今ここにあるんです。

最後に私は、建国宣言の締めをします。「特養国の建国目的を発表します。目的は1つ。今日を、少しだけ笑いやすくすること!」。すると、真面目な顔で頷く方が必ず1人います。その瞬間、私は心の中で敬礼します。ああ、この国は強い。憲法がなくても、国旗が湯気でも、国民がちゃんといる。まずはこの国を、無事にスタートさせたのでした。


第2章…憲法第1条は「昼寝は正義」~ルールは増やすと揉めるので1つだけ~

建国したからには、次はルールです。国って、どんなに立派な旗があっても、どんなに気合いの入った宣言があっても、結局はルールが増えた瞬間に揉めます。これは世界史でも、町内会でも、そして特養の談話室でも同じです。だから私は最初に予防線を張ります。「ルールは1つだけ決めましょう。増やすと揉めるので、1つだけです!」。この時点で、もう笑いが起きやすい。皆さん、経験で知っているんですよね。“何事も増やすと揉める”を。

ただし、ここからが特養の面白さです。普通の国造りは「立派な言葉」を選びがちですが、特養国は逆にいきます。私は真顔で言います。「特養国の憲法第1条は……『昼寝は正義』でどうでしょう!」。この“真顔で言う”がポイントです。ふざけているのに、顔だけは真剣。すると誰かが「それは賛成だ」と言う。別の方が「正義は昼寝だけじゃない、おやつもだ」と乗ってくる。はい、もう勝ちです。談話室が“同じ方向に笑う”空気になっていきます。

でも、ここで職員側がやりがちなのが「もっと良い言葉にしましょうか?」と修正してしまうこと。これをやると、笑いがしぼみます。特養国の憲法は、格好良さより生活感。むしろ少し恥ずかしいくらいがちょうど良い。だから私は畳みかけます。「憲法第1条、昼寝は正義。つまり昼寝は国家事業です。午後の時間帯は“国の行事”となります」。この“国家事業”という無駄に大きい言葉が、昼寝の生活感とぶつかって笑いになります。

そして、いよいよ本番。“国民からの提案”を受け付けます。ここは小見出しを立てても良いくらい大事ですが、今日は読み物なので、自然に流します。「他に、第1条に相応しい案はありますか?」。すると、出てきます。必ず出てくる。しかも、どれも人生が滲んだ名案です。

「寒い日は無理しない」――それはもう、戦争も災害も乗り越えた人の憲法です。私はすかさず採用します。「採用!憲法第1条、寒い日は無理しない。これ、国が平和になります!」。
「ケンカしない」――これも強い。私は大袈裟に頷きます。「採用!憲法第1条、ケンカしない。これが一番難しいけど一番大事!」。
「お茶はぬるめ」――出たら最高です。「採用!国民の健康を守る温度管理国家!」。

こうして、皆さんが言った“たった一言”を、私が勝手に立派にしていく。この勝手な格上げが笑いになります。言った本人は照れながらも嬉しい。周りは「それいいね」と拍手する。談話室がまるで小さな議会みたいになるんですが、議会と違って結論が早い。何故なら、最初に「1つだけ」と言ってあるからです。ここが職員の勝利です。

最後に、私はわざと矛盾した締めをします。「本日の憲法第1条は決まりました。なお、第2条以降は……明日考えます」。ここでまた笑いが起きます。先輩たちは分かっているんです。国も人生も、全部を今日決めようとすると疲れる。だから“今日はここまで”でいい。むしろ、それが続く。建国記念の日に相応しいのは、立派な説明より、こういう“続く笑い”なのかもしれません。


第3章…国宝は座布団で国家予算はおやつ~生活感が強すぎる国家の誕生~

憲法第1条が決まったところで、談話室の空気はもう「今日は面白い日だ」に切り替わっています。こうなったら勝ちです。後は、笑いの熱を冷まさずに、皆が参加できる形で転回していく。そこで私が持ち出すのが、特養国の“国宝”と“国家予算”の話です。国って言葉を使いながら、中身は生活感で殴る。これが一番、特養の笑いに合います。

「国には国宝がありますよね」と言うと、誰かが「そうだね」と頷きます。ここで重要なのは、リアルな歴史の国宝に行かないことです。金ピカの寺とか、立派な刀とか、そういう方向に行くと一部の人しか乗れません。だから私は間髪入れずに宣言します。「特養国の国宝は……座布団です!」。座布団に国宝の肩書きを背負わせると、もうそれだけで笑いになります。だって座布団って、普通は黙ってそこにあるものなのに、急に国家の主役にされるんですから。

座布団を指さして、「これがないと談話室は始まりません。つまり国宝です」と言い切ると、だいたい誰かが座布団をちょんちょんと触って確認し始めます。その瞬間が最高です。国宝を確認する手つきが、完全に“鑑定士”。私はここで畳みかけます。「国宝なので、丁寧に扱ってください。勢いよく座ると、国宝がびっくりします」。国宝がびっくりするって、どんな生き物なんだという話ですが、そこが笑いです。真面目な顔で言うほどウケます。

そして、国宝が決まったら次は国家予算です。ここも、政治っぽくしないのがコツ。私は小声で重大発表みたいに言います。「特養国の国家予算を発表します」。皆さんが身構えたところで、こう続けます。「予算の使い道は……おやつです」。この瞬間、談話室の空気は一気に明るくなります。おやつは強い。誰でも分かる。誰でも嬉しい。誰でも参加できる。しかも、笑いが起きた後に、自然と話題が広がります。「おやつは何がいい?」という話になるからです。

ここで私がやるのは、いちいち“国家事業”っぽく言い替えることです。「本日の国家事業は、甘さの最適化です」とか、「財政の健全化を図るため、飲み物はお茶で統一します」とか、無駄に固い言い方をする。内容はただのおやつ会議なのに、言い回しだけ会議っぽい。そのギャップで笑いが取れます。しかも、耳が遠い方でも“おやつ”だけ聞こえれば参加できます。大事な単語だけが勝手に届く。これは特養の笑いとして、かなり優秀です。

さらに、私は“国宝の追加認定”という遊びに入ります。「座布団以外にも国宝があるはずです。皆さんの国宝を教えてください」。ここは、ひとこと参加の宝庫になります。「湯たんぽ」「ひざ掛け」「孫の写真」「お気に入りのコップ」「この椅子」。出てきた瞬間に、私は全部「国宝認定です!」と判を押す真似をします。判を押す動作って、それだけで笑いになります。押された側も嬉しい。周りも拍手しやすい。しかも、発言が短いので負担が少ない。特養向けに作られた遊びかと思うくらい、相性が良いです。

国宝が増えすぎたら、最後に必ずオチをつけます。「国宝が多すぎて保管場所が足りません。増築はしません。整理整頓で乗り切ります」。この“増築しない”が、なぜかリアルで笑いになります。施設の現場って、だいたい増えがちな物品と戦ってますからね。生活のリアルが混ざると、笑いは強くなります。

ここまで来ると、もう特養国は完成に近いです。国旗はお茶の湯気、憲法第1条は昼寝、国宝は座布団、国家予算はおやつ。どこを切っても威厳がないのに、なぜか皆の顔が明るい。国を語るほど大きい話はしていないのに、気づけば“輪”ができている。結局のところ、特養の談話室でいちばん守りたいのは、立派な理念じゃなくて、こういう輪なのかもしれません。国の形は人の数だけありますが、笑いの形だけは、ここではだいたい同じ方向に揃うんです。


第4章…国歌は鼻歌で十分~“昔の当たり前”クイズで時間の旅人が集結する~

国宝と国家予算で談話室が温まったら、仕上げは「全員参加のフィナーレ」です。特養の場で強いのは、派手な芸よりも“簡単に混ざれる笑い”。声が小さくても良い、途中からでも良い、正解じゃなくても良い。そういう形にすると、自然に輪が広がります。そこで私が最後に持ち出すのは、国歌とクイズ。と言っても、ガチの国歌は歌いません。歌い出した瞬間に「歌詞を忘れた」「声が出ない」「恥ずかしい」となってしまいます。だから、ここも特養国らしく雑にいきます。

「それでは最後に、特養国の国歌を歌います」と言うと、皆さんが一瞬身構えます。その身構えが見えた瞬間、私は優しく裏切ります。「安心してください。歌詞はありません。鼻歌です」。鼻歌って、本当に偉大です。歌えない人がいない。音程も関係ない。むしろバラバラで正解。私は指揮者っぽく手を振って、「せーの、ふんふんふーん♪」と始めます。すると、誰かが小さく乗る。別の方が笑って息だけ出す。職員さんが釣られて鼻を鳴らす。これだけで、もう国歌として成立します。歌が成立した瞬間って、だいたい笑いが起きるんですよね。「なんだこれ」って空気が、場を軽くしてくれます。

国歌が終わったら、そのまま勢いで“時間の旅人クイズ”に入ります。建国記念の日にちなんで、「国の昔」ではなく「生活の昔」を取り上げるのがコツです。政治や歴史に行くと急に難しくなるけれど、生活の昔は誰でも語れる。しかも、語り始めた人がスターになれる。私はこんな風に切り出します。「昔は当たり前だったけど、今の人が聞いたらびっくりすること、ありますか?今日はそれを“特養国の歴史”として記録します」。記録と言いながら、メモなんて取りません。雰囲気だけで十分です。

まず出しやすいのは電話です。「昔、電話はどうでした?」と聞くと、即答が返ってきます。「家に1台」「町内に1台」「黒い電話」「ダイヤル回すやつ」。ここで私は大袈裟に驚きます。「逃げられない電話ですね!コードがあるから、電話しながら台所に行けない!」。そうすると「そうそう!」と笑いが返ってくる。誰かが「長電話すると怒られた」と言う。さらに笑いが増えます。話題が勝手に枝分かれするのが、このクイズの強さです。

次に強いのはテレビです。「テレビは家に何台ありました?」と聞くと、「1台!」が出ます。ここで私はわざと真顔で言います。「つまり、テレビは一家の“王様”だったわけですね」。誰かが「チャンネル争いがあった」と言う。私はさらに真顔で「それは内戦です」と返す。内戦と言っても笑える範囲で。これが“国の言葉”と“生活の話”のギャップ笑いです。

さらに、食の話題に行くと一気に温度が上がります。「牛乳瓶の蓋、集めました?」とか、「駄菓子屋で何買った?」とか、「お米はどうだった?」とか。ここは個人差があっても平気です。覚えている人が話すだけで、覚えていない人も表情で参加できます。私は話を聞きながら、「なるほど、特養国の歴史は“我慢と工夫と笑い”で出来てる」と、ちょっとだけ良いことを言ってみます。でも深くは入りません。重くしない。特養国の歴史は、しんみりより笑い優先です。

そして最後の締めは、建国記念の日らしく“式典ごっこ”に戻します。「それでは本日の式典、閉会の言葉をいただきます!」。閉会の言葉は、短いほど良い。私は代表者をじゃんけんで決めてもいいし、近くの方にお願いしてもいい。お願いする言葉はこれで十分です。「今日も元気でいこう!」。たった一言が出た瞬間、拍手が起きます。ここが不思議で、皆さんの拍手は“笑いの拍手”から“仲間の拍手”に変わっていきます。

国歌が鼻歌で、歴史が電話と牛乳瓶のフタで、式典の言葉が「元気でいこう」。こんな雑な国があって良いのかと思うのに、何故か空気が綺麗になる。結局、建国記念の日を特養で祝うって、国の話をすることじゃなくて、“同じ時間を笑って過ごせる国”をその場に作ることなのかもしれません。世界で一番小さい建国だけど、腹筋には一番効く。そんな特養国の2月11日、今年もなかなかの出来栄えです。

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まとめ…国を大きく語らずに人を小さく笑わせる~2月11日は輪を作る日~

建国記念の日というと、どうしても「由来は?意味は?」と難しい方向に寄りがちです。もちろん、それも大事。でも特養の談話室で一番大事なのは、正しさよりも“参加しやすさ”です。言葉が難しいと、置いていかれる人が出る。置いていかれる人が出ると、場の空気が萎む。だから私たちは、建国記念の日を、いったん生活の大きさまで小さくしてしまいました。

国旗はお茶の湯気。国民は座ったまま参加OK。憲法第1条は「昼寝は正義」。国宝は座布団。国家予算はおやつ。国歌は鼻歌。歴史は電話と牛乳瓶の蓋。こうして書くと、威厳がどこにも見当たりません。けれど、威厳がないからこそ笑えるし、笑えるからこそ輪が出来ます。輪が出来ると、誰かが少し話しやすくなる。誰かが話しやすくなると、周りが少し優しくなる。そうやって、談話室の“国”はちゃんと育ちます。

そして、ここが一番の発見でした。国の話をしているのに、私たちが作っていたのは「国そのもの」ではなく、「同じ場所で、同じ時間を、安心して過ごす空気」だったんです。建国記念の日を祝うって、遠い昔を断定することじゃなくて、いま目の前の人と“今日を作る”ことなのかもしれません。大袈裟な言葉より、小さな拍手。難しい説明より、短い一言。「今日も元気でいこう!」。その一言が言えたら、もう特養国の建国は成功です。

もし来年の2月11日、あなたの談話室で「何か話そうかな」と迷ったら、思い出してみてください。国を語る必要はありません。国を建てる必要もありません。お茶を飲みながら、座布団を指さして、鼻歌を1つ。そこから始まる国が、ここにはあります。大爆笑の国旗は、今日もちゃんと立ち上っています。湯気で。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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