冬の大雪を“危機”で終わらせない!特養の雪祭り爆誕で施設が1つになる話

[ 冬が旬の記事 ]

はじめに…大雪を「困る」で終わらせずに最高の一日に変える話

大雪って、普通は「ひえぇ…明日どうする…」と眉間にシワが寄る出来事です。車が出せるのか、職員が来られるのか、万が一の救急車は入れるのか、転倒は増えないか。特養ならなおさら…、雪は“季節の風物詩”というより“業務に直撃する現実”です。

でも、ここで発想が2つに分かれます。大雪を「危機」とだけ捉えて、守りの姿勢で固める施設。もちろんそれも大切です。ただ、守り一辺倒だと、雪の日はただ疲れるだけの一日になってしまう。もう一方は、大雪を危機として備えながらも、同時に「冬季最大のイベント」に変えてしまう施設です。雪を“見るだけ”で終わらせず、生活の時間に変換して、皆の話題と笑いにして、翌日以降も映像や思い出で何度でも味わえるようにする。雪の日を、単発で終わらせないのです。

今回の記事は、まさに後者の話です。主役は入居者さん……だけではなく、普段は「現場に顔を出すより、書類と電話と数字とにらめっこ」になりがちな理事長と事務長。雪が降ると分かった瞬間から、彼らはソワソワし始めます。ソワソワの理由は、もちろん安全と運営のこと。でも、それだけじゃない。「ここは現場の脚光を浴びるチャンスだ」と、彼らが本気で“祭り”を仕掛けに来る。これが今回の味です。

夜勤は雪像を仕込み、朝は居室のカーテンを開けた瞬間に小さな歓声が起こる。理事長と事務長は雪山にダイブして、口紅の跡で人型アートを刻み、昼には外周全域を使ったストラックアウト式の全力雪合戦が爆誕。投げる人は真剣、動きは安全のためにスロー。観客は窓の向こうの入居者さんで、チームカラーのボタンが鳴るたびに戦況が動く。最後は冷え切った身体を熱々の白玉ゼリーお汁粉で回収して、誤嚥なく、笑って、温まって終わる

そしてもう1つ、今回の肝は「管理職・撮れ高・編集部隊」の存在です。数日前からカメラを持ち、撮って、選んで、意図をナレーションにして、メイキングムービーとして完成させる。落ち着いた頃に上映会を開き、感想を募って次回に繋ぐ。つまり、雪祭りはその日だけの出来事ではなく、施設の文化として育っていくわけです。

大雪を「困る」で終わらせない。備えた上で、最大のイベントに変えてしまう。理事長と事務長が笑われ役になるだけではなく、現場と同じ雪の中に立って、同じ温度を浴びる。そうやって、現場と管理職と経営が1つの方向を向ける日があってもいい。第3弾は、そんな“雪の日の団結”を、ユーモアまみれで描いていきます。

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第1章…1週間前から始まる「そわそわ劇場」とシフト大改造

大雪の本番は、当日じゃありません。特養の場合、戦いは「天気予報に雪マークが出た瞬間」から始まります。テレビの角っこに、ちょこんと雪だるまのマークが見えた、その瞬間。理事長の眉が、ほんの0.5ミリだけ上がります。事務長の口が、ほんの0.5ミリだけへの字になります。総務は無言でカレンダーを見直し、事務員は何故かプリンターの紙を補充し始めます。まだ雪は降っていないのに、空気だけが先に積もっていく。これが「ソワソワ劇場」の開幕です。

「一週間後、降るかもしれない」この“かもしれない”が厄介で、でも面白いところでもあります。雪が降らないなら平和、降って積もったら大変。つまり、準備すると空振りになる可能性もある。それでも特養は備えるしかない。何故なら、入居者さんの生活は止められないからです。ここで理事長と事務長が、スッと背筋を伸ばして言います。「ヨシ、やるぞ」。この時点で、もう準備は始まっています。彼らは危機を怖がって縮こまるのではなく、危機を転換して“最大のイベント”にしてしまう側の人たちです。だから準備の段階から、どこかワクワクしている。そこが厄介で、でも頼もしい。

まず動くのは、シフトです。大雪の日の「冬季最大のイベント」は、いつもの配置では成立しません。通勤が遅れる、公共交通が止まる、保育園が休園になる、道が凍る。そうなると、いつも通りに「朝に人が集まる」前提そのものが崩れます。ここで事務長が静かに、しかし容赦なく言います。「総務と事務は半分、宿直。半分、翌日の休みを日勤に変更」。言い方は穏やかでも、内容は強烈です。総務は一瞬だけ遠い目になりますが、次の瞬間には電話の受話器が熱を持ちます。事務員は笑顔で出勤調整を始めます。笑顔なのに、目が本気です。雪の日の事務員は、普段の3割増で強い。

現場も同時に動きます。パートさんや育児家庭の職員が来られない可能性を想定して、「若者シフト」に組み替える。ここで若手が燃えるのが、特養の面白いところです。「雪?任せてください!」と言いつつ、内心は「ほんとに雪は勘弁して…」が半分。でも、この半分の本音を抱えたまま、全員がちゃんと動けるのが現場の凄さです。大雪は、人を試すというより、普段見えない強さを引っ張り出す。だからこそ、理事長と事務長はここで“脚光を浴びる側”に回るべきだ、と今回の企画は言っているわけです。

そしてこの段階で、既に雪祭りは仕込まれていきます。普通なら「除雪とルート確保」「緊急車両の動線」「転倒防止」「通路の滑り止め」……そういう守りの準備が中心です。もちろんそれが最優先。でも今回の記事では、そこにもう一本、攻めの準備が重なります。「雪像に使う雪はどこで集める?」「窓から見える位置は?」「外周ストラックアウトのパネルはどこに立てる?」「居室から見やすい配置は?」。この会話が混ざった瞬間、施設の空気が変わります。大雪が“困る日”から、“待ってる日”に変わり始めるのです。

そして最後に動き出すのが、管理職・撮れ高・編集部隊。実はここが今回の隠れ主役です。大雪の数日前から、カメラを持ってウロウロし始めます。理事長の凛々しくもソワソワした顔、事務長の勇ましい決断顔、総務のキリッとした覚悟顔、若手の熱気あふれる気合い顔。こういう顔は当日には撮れない。何故なら当日は全員、必死で真顔になるからです。だからこそ「前から撮る」。撮れ高は、雪より先に積もっていく。これが第3弾の怖いところであり、最高に楽しいところでもあります。

こうして、まだ雪が降っていないのに、施設はもう熱気に包まれます。備えが進むほど、現場がまとまっていく。理事長と事務長が前に出るほど、皆が笑いながら真剣になる。大雪は怖い。でも、怖いだけにしない準備は出来る。第1章は、その「ソワソワ」がただの不安ではなく、雪祭りへの助走になっていくところから始まります。


第2章…夜勤が仕込む“居室別ミニ雪祭り”雪像と雪だるまの静かな戦い

夜って、特養では少しだけ世界が変わります。照明は落ち着いて、廊下の音も減って、ナースコールの間隔も日中とは違う。入居者さんが眠りについた後、職員の動きは静かで、でも確実で、なんだか忍者っぽい。そんな夜の特養に、雪が積もり始めるとどうなるか。答えは1つ。夜勤がこっそり本気を出します。

この記事のキモは、「雪を見せる」ではなく「雪を届ける」です。屋外に降った雪を、ただ眺めるだけで終わらせない。窓の外に“仕掛け”を置いて、朝のカーテンを開けた瞬間に、入居者さんの一日が一気に明るくなるようにする。つまり、夜勤はサンタ役を担当します。2月の雪でもサンタコスとトナカイコスです。プレゼントは、雪。しかも、居室ごとに違う雪の像。いきなり話が大きいですが、ここからが夜勤の静かな戦いです。

雪が降り続ける夜、理事長部隊と事務長部隊の半数が夜勤に入ります。総務と事務員もいる。普段なら「夜に事務員が雪を見つめている」だけで若干のホラーですが、今日は違う。今日は雪祭りの前夜祭です。彼らの役割は、まず定期巡回。積もり方を見極める。風向き、雪質、朝までの見込み。これを読み切らないと、雪像が“朝にはただの白い塊”になります。雪は芸術に厳しい。ちょっとの風で顔が消える。ちょっとの気温で固くなる。だから夜勤は、雪と交渉しながら作業します。交渉は、たぶん負けることの方が多いです。でも、だからこそ面白い。真剣にやる価値があるのです。

そして次が、雪集め。大通りまでの巡回とルート確保、職員駐車場から施設入口までの動線確保。これが夜勤の基本の定時巡回任務です。ここは真面目です。でも記事では、真面目な雪かきに「遊びの枝」を付けます。ルート確保をしながら、雪像用の“いい雪”を集める。これがコツです。ガチガチに固まる前、踏まれる前、汚れる前。出来るだけ白くてフワリとした雪を、そっと寄せていく。言い方を変えるなら、夜勤は雪を拾って回るわけです。拾って、寄せて、育てる。どこか農作業にも似ています。

ここで夜勤チームの合言葉が生まれます。「居室別」に全部に。つまり、同じ雪だるまを量産しない。入居者さんのそれぞれの窓から見える位置に、1つ1つ違う“雪の小さな物語”を置いていく。これは贅沢です。施設で“贅沢”というと、高価なものを想像しがちですが、実はこういう「手間」が一番贅沢なのです。手間を掛けた分だけ、朝の笑顔が増えるからです。

雪だるまは、一番分かりやすい。丸が2つあれば成立する。目がズレても可愛い。鼻がなければ「今日は鼻なしでいく」でもいい。むしろその方が味になる。けれど今回は、もう一段上へいきます。雪像です。札幌雪祭りの“縮小版”を、窓辺に置く。もちろん巨大ではありません。居室の窓の外で見えるサイズ、でも“作品感”があるサイズ。ポイントは、夜勤の人数確保がここで意味を持つこと。ひとりでやると心が折れますが、複数人なら「ここ削る?」「この角度いい!」と盛り上がってしまう。雪を削って盛り上がる大人たち。たぶん入居者さんが見たら、「あんたら何してんの」と言いながら笑います。そこを狙います。Aさん、釣り好きだったな…鯛にしておこう…。Bさんは夜寝つきが悪かったな…ゾウのつもりで作ったけどバクということで…。理事長と事務長の遊び混じりの真剣さはどんどん加熱していく。

さらに、今回はLEDの飾り付けも絡みます。朝の時間は暗い。だからこそ、雪像の“輪郭”がフワッと浮かぶ光が効く。派手過ぎない程度に、宝石みたいにちょんちょんと光る。これが窓の外でキラッとしただけで、カーテンを開けた瞬間の感動が一段上がります。夜勤はここで「やり過ぎるな、でもやらなさ過ぎるな」という難しい調整をします。雪像の芸術監督は理事長かもしれませんが、光の芸術監督は事務長です。こういう“名もなき監督”が、施設のイベントを強くします。

そして忘れてはいけないのが、管理職・撮れ高・編集部隊の存在です。夜の仕込みは、撮ってこそ後で笑えます。雪像が崩れて「あっ…」となる瞬間。目の位置がズレて「こっち見てる…」となる瞬間。総務が真顔で雪を運んでいるのに、何故かスコップだけは派手に光っている瞬間。こういう“夜勤の裏側”は、翌日の上映会で一番ウケます。何故なら、当日誰も覚えていないからです。雪の中の努力は、だいたい翌日には美談として忘れられがち。でも映像があると、美談が“笑い”に変わります。笑いは、文化になります。

こうして夜のうちに、施設の外には小さな雪祭りが仕込まれていきます。入居者さんは眠っている。でも、朝の自分への贈り物が、窓の外に置かれていく。夜勤の静かな戦いは、誰にも拍手されません。だけど、朝のカーテンが開いた瞬間には全部が報われます。第2章は、その「報われる前の時間」を、雪と戦いながら、こっそり楽しんでいる大人たちの話です。

介護職、看護職の夜勤は通常勤務です。時々視線を感じて落ち着かない一夜になるかもしれませんね。


第3章…朝のカーテンが開いた瞬間に居室ごとに起きる小さな歓声

朝の特養って、静かなんです。静かだけど、じつはとても忙しい。廊下の空気はまだひんやりしていて、眠りの余韻が残っている。職員の足音も、どこか音量を絞っているみたいに控えめで、声かけも柔らかい。それなのに、雪の日の朝だけは、空気の温度とは別に「気配」が違うんですよね。何が違うって、職員がちょっとだけ顔を上げている。ナースステーションの誰かが窓を見上げる回数が増える。理事長と事務長が、何故か妙に背筋を伸ばしている。まだ誰も「お祭り」とは言っていないのに、もう心が準備運動を始めています。

入居者さんの朝は、まずカーテンから始まります。生活のリズムの中で、窓は世界の入口です。晴れているのか、雨なのか、今日は寒いのか。外を確かめるだけで、その日の体調や気分が少し動く。だからこそ、夜勤が仕込んだ“居室別ミニ雪祭り”は効くわけです。雪像や雪だるまは、外に置いたただの飾りじゃない。カーテンを開けた瞬間に、入居者さんの一日に火をつけるスイッチです。

1つめの歓声は、だいたい小さくて、可愛い。「あら……」。この「あら」に、全部詰まっています。驚き、懐かしさ、ちょっとした照れ、そして「今日は何かあるな」という予感。続いて「まぁ!」が来ると、職員は心の中でガッツポーズです。雪の芸術は朝に判定が出る。夜勤が頑張った分だけ、ここで報われる。雪像の角が崩れていても良いんです。目がズレててもいい。「あら、これは…誰?」と言われたら勝ちです。会話が始まるから。特養の雪祭りは、作品の完成度より、会話の発生率が大事です。

もちろん、雪そのものの迫力もあります。夜に10センチ、朝にはさらに積もっている。外は白い。普段の景色がすっかり塗り替えられている。雪国育ちの方は「こんなの昔は普通だったよ」と言い、雪に縁の薄かった方は「白いねぇ」とだけ言ってじっと眺める。眺め方がそれぞれ違うのも、雪の日の面白さです。言葉が少ない方でも、目線が長く外に止まっているだけで、職員は「今日は雪が刺さってるな」と分かる。刺さるって、心に届くってことです。

そしてここで、夜勤の仕込みが効いてきます。同じフロアでも、窓の外の“仕掛け”が違う。Aさんの部屋は小さな雪だるまが2つ並んでいる。Bさんの部屋は雪像の横に小さなLEDがちょんちょんと光っている。Cさんの部屋は、なぜか雪だるまが「ちょっと笑っているように見える」。入居者さんは自然に比べ始めます。「あっちは可愛いね」「こっちは豪華だね」「うちは、なんか…渋いね」。渋いねが出たら、職員はすかさず言います。「渋さ、狙いました」。狙ってなくても狙ったことにします。雪の日は、勢いが大事です。

ここで重要なのが、朝の時間の運びです。雪の日は本来、離床から朝食までがとても乱れやすい。遅刻も出るし、通勤事情で人が揃わない可能性もある。でもこの記事では、理事長部隊と事務長部隊の支援が効いて、むしろスムーズになるという逆転が起きます。これが“危機をイベントに変える”という発想の強さです。人が足りないから守りに入るだけじゃなく、支援が入るからこそ現場が整い、入居者さんの朝が穏やかに始まる。入居者さんの表情が穏やかになると、職員の動きも穏やかになる。穏やかさは、雪の日の最強の安全対策でもあります。

さらに、この朝のシーンは「管理職・撮れ高・編集部隊」にとっての宝の山です。雪像を見て笑う顔、窓に近づく動き、隣の方と目を合わせる瞬間。これは意地悪な意味の撮影じゃありません。入居者さんの生活の中にある“明るい瞬間”を、後からもう一度、皆で味わうための撮影です。雪の日は一度切りかもしれない。でも映像にすると、次の週も、次の月も、来年も、何度でも笑える。特養の行事って、当日の派手さより、終わった後に残る温度が大事です。その温度は、映像と語りで育っていきます。

朝のカーテンが開いた瞬間の歓声は、派手な拍手じゃありません。でも、特養の生活の中では十分に大きな音です。雪が降ったからこそ生まれる小さな驚きが、会話を呼び、笑いを呼び、その日の流れを整える。第3章は、夜勤の努力が静かに花開き、「今日という一日が特別になる」合図が鳴るところから始まる場面でした。


第4章…7時の奇跡と至福の休憩で柚子湯と雪見のご褒美タイム

雪の日の朝って、だいたいが「予定通りにいかない朝」です。職員が遅れる、道路が混む、救急搬送の導線が心配、いつもより転倒リスクが高い。そういう“いつもじゃない条件”が重なるから、現場は自然に緊張します。ところが、今回の雪祭り施設では、ここで逆転が起こります。理事長部隊と事務長部隊が、雪を理由に現場へ降りてくるからです。あくまで支援。あくまで現場が主役。でも「支援が多い朝」は、現場にとって奇跡みたいな朝になります。

7時。まだ外は白くて、空も薄暗い。だけど、フロアの動きは妙に整っています。離床の声掛けがいつもより丁寧で、誘導がいつもよりスムーズで、介護職の目線がいつもより穏やか。理由は簡単です。人が大勢いるから。少し余裕があるから。余裕があると、雑にならない。雑にならないと、事故が減る。雪の日に限って事故が減る。これが“奇跡”です。もちろん裏には、前日からのシフト大改造と夜勤の仕込みがあります。でも、この奇跡を支えているのは、雪の前に「皆でやる」と決めた空気です。理事長と事務長が前に出ると、現場は「上が分かってる」と感じる。すると、現場は力を出しやすくなる。単純だけど、強い仕組みです。

そして、朝食が終わる頃。ここで理事長と事務長の頭の中には、次の文字が浮かびます。「至福」。働いた人間には、至福が必要です。至福があると、次の無理が効きます。無理を続ける話ではなく、ちゃんと回復する話。だから、雪祭りは“休憩”まで含めて設計されます。

特養のお風呂って、施設によって形が違います。男女で浴室が分かれているところもあれば、浴室は1つで時間を分けて使うところもある。夜勤を頑張った理事長部隊と事務長部隊に、最上級の休憩を用意する。そう、「ご褒美の入浴」です。言い方がもうズルい。普通、入浴は支援する側の仕事なのに、今日は自分たちが入る側になる。しかも、仲間と一緒に入る。寒い中で働いて頑張った同志の、極上の回復タイムです。

7時から8時は女性、8時から9時は男性、というように施設の形に合わせて時間割を作る。浴室が男女別なら、2時間で同時に入ってしまう。ここは合理的にいきます。重要なのは、安心と清潔と、そして「やり過ぎない特別感」です。例えば柚子湯。冬らしくて、香りが優しくて、気分が上がる。そこに“雪見”という言葉だけを添え雪見甘酒はどうでしょう?外を見れば雪。湯に浸かれば柚子。もう十分に贅沢な一時です。

……と言いたいところですが、企画はここで一段、攻めます。少量のリアル雪見酒。大人の遊びです。もちろん常識の範囲で、ほんの少し。誰かが酔うためではなく、「雪の日にしか出来ない感じ」を作るための演出です。そしてさらに、朝食がなんと“お風呂にそっと持ち込み”。ここは、読む人が二度見するポイントです。「えっ、いいの?」と。いいかどうかは施設のルールと衛生管理次第ですが、読み物としての面白さは強烈でしょう?自分たちは入居者さんに清潔を求めるのに、ここで自分たちがルールギリギリの贅沢をする。だからこそ、条件が付きます。「お溢しは大目玉」。溢したらペナルティ。入居者さんの入浴までに大掃除。つまり、贅沢はタダじゃない。笑いながら、現場の衛生意識を守る仕組みが入っている。これがまた、お祭りらしい。

この「至福の休憩」は、ただの娯楽じゃありません。理事長と事務長が現場目線で脚光を浴びる時間であり、同じ釜の湯に浸かる時間です。普段は別の場所にいる人たちが、同じ疲れと同じ温まり方を共有する。これが、組織を仲良くさせます。仲良くなるというのは、甘い言葉じゃなくて、雪の日に必要な実務です。連携は、仲の良さから生まれます。撮影隊は女子を除いて男子部を撮影。もちろん配慮は強くせねばなりませんが、雪見酒の一瞬のキメ顔は外せない笑いのポイントになります。

雪かきも、雪像も、雪合戦も、最後に汁粉を出す段取りも、全部は連携の上に乗っています。

そして9時。お風呂の余韻で身体がフワッと軽くなったところで、外を見る。雪はまだ降っている。白い世界は続いている。ここで理事長と事務長の目が、また少しだけ光ります。「よし、次だ」。雪祭りは、休憩で終わりません。休憩で回復した人間は、次のバカなことが出来る。第4章は、その“回復の設計”があるからこそ、第5章の信頼ダイブが成立するという、前フリの章でもあります。

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第5章…10時に信頼の雪山ダイブ!口紅で刻む「人型アート」巡回

9時の柚子湯で、理事長と事務長の魂は回復しました。身体もほぐれました。湯気と柚子の香りで、表情もフワッと柔らかくなりました。ここで普通の人なら「よし、今日はもう良い仕事した」と満足してしまうところですが、この二人は違います。雪を“守り”で終わらせない側の人間です。むしろ回復したからこそ、次の段階に進める。そう、バカなことを全力でやる段階へ。

10時。雪はまだ降り積もっています。動線は確保され、緊急ルートも職員駐車場から施設入口までのルートもキープされている。現場の朝は整い、入居者さんの窓辺には小さな雪祭りが咲いている。ここで理事長と事務長が、ゆっくりと外に出ます。もちろん安全装備は万全。足元は滑りにくい冬用ブーツ。手袋も防寒も抜かりない。……と言いたいところですが、ここはそれで終わりません。

二人は、なぜか口紅を塗ります。気合いの赤。もしくは妙に上品なローズ。ここで職員は一瞬、言葉を失います。「え、これから会議ですか?」。違います。「これから雪山に突っ込みます」。誰も予想しない返答が返ってくる。特養の雪祭りは、常識の少し外側で成立します。

さて、ここからが本番。「雪山ダイブ」です。除雪でできた雪山に、理事長と事務長が順番に、文字通り“飛び込み”ます。もちろん無茶な高さではない。フワリと柔らかくなるように、事前に積み方を工夫している。ここが大事で、この企画の怖いところは「バカなことをしているのに、安全配慮がちゃんとしている」点です。信頼関係がないと成立しない。雪を積んだ職員が「この雪なら大丈夫」と判断し、理事長と事務長が「この職員なら大丈夫」と信じる。そうやって、雪山1つで組織の距離が縮む。何その研修。面白過ぎませんか?

ダイブすると、雪に身体の形が残ります。見事な人型。両手を広げた形、横向きの形、微妙に足が開いた形。誰かが言います。「これ、雪像じゃなくて、雪のスタンプだ」。そう、これは“人型アート”です。しかも施設周囲を巡回しながらやる。施設の周囲を堂々と回りながら、要所要所の雪山にダイブして、人型を刻んでいく。雪祭りの巡回が、雪の美術館の増築になっていく。入居者さんは窓の向こうから、それを見ます。たぶん口に出す言葉は決まっています。「あの人たち、何してんの」。そして続けて、少し笑いながらこう言う。「でも元気だねぇ」。

ここで、口紅が効きます。雪に顔が埋まった瞬間、口紅の跡が雪にちょん、と残る。白い雪に赤い点。まるで雪が照れているみたいに見える。この“赤い点”が、爆笑の火種です。理事長の口紅が雪に残り、事務長の口紅も雪に残る。「理事長の情熱、雪に転写完了」「事務長の決意、雪に刻印完了」。誰かが適当なナレーションをつける。そう、適当で良い。適当が、雪の日の空気を軽くします。

そしてもちろん、ここも管理職・撮れ高・編集部隊が逃しません。ここは絶対に撮る。入居者さんの全員が生ダイブを見れるわけじゃない…。撮らないと、後で誰も信じないかもしれない。こういう場面は、口で説明しても伝わりません。「理事長が雪山にダイブした」と言われても、読む人は想像が追いつかない。でも映像があれば一撃です。雪に残る口紅、手の形、妙に優雅に飛び込む姿、そして飛び込んだ直後に立ち上がって、何故かドヤ顔で親指を立てる仕草。これが編集されて、数日後の上映会で流れた瞬間、フロアが笑いで揺れます。笑いながら、何故か温かい気持ちになる。これが狙いです。

しかもこの人型アートには、ちゃんと役割があります。雪の日は、外に出られない入居者さんが増える。気分が沈みやすい。外が白いだけで、生活の変化が少ないと、時間が伸びたように感じる。でも窓の外で“こんな事件”が起きていると、時間が縮むんです。「次はどこに飛び込むの?」「今度は横向き?」「あれ、口紅またついた」。入居者さんの目が外に向く。会話が生まれる。職員も笑いながら話せる。雪の日の閉塞感が、少しだけ溶けます。

それに、これは現場へのメッセージでもあります。理事長と事務長が自分の身体を使って「今日は一緒にやる」と示す。言葉だけじゃなく、雪に飛び込むという意味の分からない行動で示す。これほど分かりやすい“現場目線”があるでしょうか。多分ありません。だから現場は、思わず笑いながらも、少しだけ胸が熱くなる。雪の日の団結は、こうして確実に1人1人の心に生まれる。

そして11時前。2人は満足します。何故なら、雪像と雪だるまと人型アートが揃ったから。外の雪祭りは、もう立派に“会場”です。あとは、昼のメインイベントに向けて、全員を集めるだけ。第5章は、バカバカしいのに意味がある、笑えるのに信頼が増える、その奇妙で最高な「雪山ダイブ巡回」を描く章です。ここを越えると、いよいよ昼の全力雪合戦が爆誕します。


第6章…本日のメイン爆誕!外周ストラックアウト式・全力雪合戦

昼食が終わる頃、施設の空気がまた変わります。午前中の雪像と雪山ダイブで、既に「今日はただの雪の日じゃないぞ」という雰囲気は完成している。そこへ追い打ちをかけるように、理事長と事務長が、やけに落ち着いた声で言います。「では、始めましょう」。

始めるって何を。そう、全力雪合戦です。今回は“雪で団結する”。しかも、特養らしく、無茶をしないで燃える。走らない、急がない、でも真剣に熱い。矛盾しているようで、これが予めのルールとして成立するから面白いんです。

ルールの核は、ストラックアウト方式。施設の外周と駐車場を含む「全域」を使って、各チームの9枚パネルが、それぞれの陣地に掲げられます。しかもここが親切設計で、入居者さんが居室やフロアの大窓から見やすい位置に、わざわざ置いてある。つまり観戦が成立する。観戦が成立すると、雪合戦はただの職員の遊びじゃなくて、「入居者さんも一緒に参加する行事」になります。ここが肝です。

参加チームは6つ。理事長チーム、事務長チーム、介護職チーム、専門職チーム、看護師チーム、厨房+栄養士チーム。普段は交わるようで交わらない職種が、雪の日だけは同じ土俵に立つ。しかも雪玉1つで、上下関係が少しだけ薄まる。理事長が雪玉を当てられて「やられたぁ」と悔しがるだけで、現場の心の距離は一段縮みます。これ、ちょっとした奇跡です。

ただし、特養の雪合戦は“優しさ”が下地にあります。固めた雪は反則。投げる雪は「当たったら砕ける」程度まで。まとまりは必要だけど、石みたいに硬いのはダメ。雪玉を作る係が、ここで職人になります。丸める手つきが本気過ぎて、もはやおにぎり屋さんです。誰かが言います。「今日、厨房チーム強いぞ。握りが違う」。違うのは握りだけにして欲しいところですが、そういうユーモアのあるツッコミも含めて雪の日は楽しい。

そして安全の要、移動は徒歩のみ。競歩も禁止。全員が長い防寒ブーツを履いて、上半身にはポンチョも支給済み。見た目はちょっと怪しい集団になりますが、怪しいくらいでちょうど良い。施設の行事は、怪しさが出た時にだいたい成功します。走れない分、戦い方が変わるんです。派手な突撃ではなく、ゆっくりした読み合いになる。しかも雪合戦なのに、動きがスローだから、窓の向こうの入居者さんが状況を追いやすい。観戦として成立する。これが特養仕様です。

ここでさらに、追加の仕掛けが入ります。入居者さんが、チームカラーのボタンを押すと「ピンポン」と鳴ってポイントが加算される。つまり、戦況が“窓の向こう”で動く。どのチームが押されるかは、贔屓が出ても良いし、出なくても良い。むしろ、贔屓が出た方が会話が生まれます。「あなた、看護師さん好きねぇ」「厨房に入れたの?お腹すいたの?」そんな冗談が飛ぶだけで、雪の日のフロアが温かくなる。これが、ただの勝ち負け以上に大事な成果です。

戦いは白熱します。9枚パネルは、撃ち抜かれたら戻りません。だから守りたい。守りたいけど、攻めないと勝てない。雪玉を投げる人、雪玉を作る人、パネルの位置を見直す人、そして“ボタンの音”に耳を澄ませる人。雪合戦なのに、何故か全員が情報戦をしています。ピンポンが鳴るたびに、「今のどっち!?」と全員が窓を見上げる。入居者さんは、窓の内側でニヤッとする。主導権がちょっとだけ、そっちにある。これが良いんです。普段は支援される側の入居者さんが、今日は戦況のスイッチを握っている。特養の行事として、かなり気持ちいい構図です。

もちろん、管理職・撮れ高・編集部隊はここが本番。外周を歩き回りながら、各チームの表情を抜いていきます。雪玉が外れて悔しがる理事長、妙にフォームが美しい事務長、当たっても当たってないフリをする介護職、やたら冷静に状況判断する看護師、そして「今日は栄養だけじゃなく戦術も任せてください」と言い出す厨房チーム。後で上映会で流したら、多分、厨房チームが一番笑いを取ります。普段は真面目に食を守っている人が、本気で雪玉を握っている姿は、それだけで身近になって愛おしいからです。

そして勝敗。9枚パネルを全部撃ち抜かれたチームから脱落し、最後に残った1チームが優勝。優勝賞品は、1位は理事長宅で会食、2位は事務長宅で会食、3位は特別備品費10万円、そしてユニーク賞として臨時特別3連休獲得権。読んでいる人は「それ、罰ゲームでは?」と思うかもしれません。でもそこがこの記事の味ある部分です。理事長と事務長にとっては、現場を知る機会であり、仲良くなる機会であり、本気の楽しみでもある。現場にとっては、普段は見えない上の人の“人間味”を見られる絶好の機会になる。会食が楽しみか罰かは、その施設の関係性次第。だからこそ、この雪祭りは「関係性を育てる装置」になります。施設のトップを知り、現場にカラーを浸透させるのも従業員の忘れがちだけど大切な役割りの1つです。

気づけば、外にいる職員の身体は冷え切っています。笑っていても、雪は雪。頬が冷たい。指先がジワッと固くなる。だからこそ、ここで次の流れが生きてきます。戦いの熱と、身体の冷え。その両方を、最後に“熱々の甘さ”で全回収する。次の章で登場する白玉ゼリーお汁粉は、ただのおやつではありません。今日という雪の日の結末として、ちゃんと意味がある。第6章は、その「全員が主役になれる雪合戦」を、特養仕様の安全とユーモアで成立させる章です。


第7章…冷え切った外組を熱々で回収!誤嚥に配慮した白玉ゼリーお汁粉で大団円

全力雪合戦が終わった瞬間って、面白いくらい現実が戻ってきます。笑っていた顔が、フッと真顔になる。何故なら、頬が冷たい。指先が冷たい。ポンチョの中は熱いのに、外気はしっかり雪。つまり、身体は正直です。

でもここで「はい解散!」にしないのが、狙いどころです。外組は冷え切っている。窓の内側で観戦していた入居者さんも、気持ちはホカホカなのに、身体は動かしていないから、どこか物足りない。そこで最後に、全員の温度差を1つに揃える“魔法”を出します。そう、熱々の甘い汁です。名前はお汁粉。中身は、白玉。しかもただの白玉じゃありません。

今回の白玉は、小ぶり。だけど中に「秘密」を仕込みます。ゼリーです。しかも味が1つじゃない。柚子、りんご、白ぶどう、もも。ひと玉ごとに違う味が入っていて、割ると色が出る。これ、見た目だけで会話が生まれます。食べる前に1回盛り上がる。食べてもう1回盛り上がる。おやつに必要なのは、量より“回数”です。楽しい回数が多いほど、満足度は上がります。

厨房では、ここが一番の見せ場になります。大鍋でトロリとしたお汁粉が温められて、湯気がフワッと立つ。あずきの粒は敢えて残さず、滑らかに汁粉。これだけで「飲み込みやすそうだね」と安心感が出る。そこに白玉団子のショーが始まります。厨房スタッフの白玉を丸める手つきが、もう職人。小さく丸めて、そっとゼリーを包む。「包む」という行為が、なぜか見ているだけで幸せです。入居者さんが見られる距離なら、誰かが言います。「あんた、器用だねぇ」。厨房が照れます。照れながら手は止まりません。こういう日は、厨房が一番ヒーローになります。

そして、この白玉は“クイズ”で完成します。提供の時、いきなり食べない。まず小皿にひと玉だけ取り分けて、そっと割る。中からゼリーの色が見える。「これは何味でしょう」。入居者さんは当てにいきます。柚子は香りの記憶が強いから当たりやすい。ももは色で当たりやすい。白ぶどうは「え、これ何?」となって当て難い。りんごは「りんごって分かった瞬間に嬉しい」系です。大事なのは、当たることより、当てようとすること。ここで会話が弾むと、食べる速度が自然にゆっくりになります。ゆっくりになると、落ち着いて味わえる。落ち着いて味わえると、満足感が上がる。結果として、皆がニコニコで終われます。

もちろん、ここは特養。楽しいだけで突っ走らないのが大人の優しさです。白玉は小ぶりにする。一人の数も、3~5玉くらいで“おやつとしてちょうどいい範囲”にする。おかわりは1回だけ、という「ちょっと足りないくらい」の余韻を残す。温度も熱過ぎないように整える。飲み込みに不安のある方は、職員が傍で見守りながら、いつものやり方で落ち着いて。今日だけ急に無理はしない。雪の日のイベントは、普段の安心の上に載せるから、笑いが綺麗に響きます。

味の話も、ここで遊べます。みかんや巨峰、いちごも、もちろん“合う”は合う。でもおしるこの世界では、酸味が前に出過ぎると好みが割れます。だから、いちごは「いちご大福の気分」でいきたい人に刺さる一方、汁の香りとケンカすることもある。巨峰は濃厚で、白玉の中に入れると意外と主役を奪いがち。みかんは爽やかで良いけれど、柚子と並べるとキャラが似る。つまり、今回はまず“上品で当たりやすい四天王”から始めるのが勝ち筋です。慣れてきたら、次の年に「巨峰の大逆襲」や「いちごの挑戦状」をやれば良い。雪祭りは毎年育ちます。

そして最後に、理事長と事務長が締めます。優勝賞品の話を、敢えて笑いながら言う。「1等は理事長宅で会食。2等は事務長宅で会食。時間は応相談、でも確実に実施」。この“確実に”が効きます。現場からすると、冗談で終わらないのが面白いし、上の人からすると、現場を知る機会が増える。どちらにとっても、距離が縮む。活動費も、食品ではなく備品にして、現場の「欲しかった」が叶う形にする。ユニーク賞の臨時特別3連休獲得権は、笑いながらも本気で欲しい。だから、みんな翌年も頑張る。ここまで設計して、雪の日は“ただの大変な日”ではなく、“次が楽しみな日”に変わります。

もちろん、管理職・撮れ高・編集部隊は、ここで最後の一押しを撮ります。雪合戦の熱狂、雪山ダイブの口紅、雪像の光、そして白玉を割った瞬間の「あっ!」という顔。これが編集されて、落ち着いた頃に各フロアで上映される。感想が出る。「来年はこうしたいね」が出る。そうして、危機は文化に成長していきます。

雪が降ると分かったら、施設が熱気に包まれる。大雪をただの災難にしない。現場も、管理職も、経営陣も、一緒に動いて笑って、最後は熱々のお汁粉で丸く終わる。第7章は、その“丸さ”を、白玉の形そのもので締め括る章です。


第8章…管理職・撮れ高・編集部隊の出番!メイキング上映会で“来年の熱気”まで完成させる

雪の日って、不思議なんですよ。終わった瞬間は「はぁ〜今日も生きた…」で精一杯なのに、翌日になると、もう少しだけ冷静に思い出せる。「昨日、理事長が雪山に顔から行ったよね?」みたいな、どうしても脳内で再生されてしまう名場面が、勝手に歩き出すんです。笑いって、終わってからも勝手に働く。だからこそ、当日だけで完結させません。翌日からが本番です。

ここで動くのが、管理職・撮れ高・編集部隊。あの“意外すぎる大事な山”の正体です。雪の日の思い出を「その場の笑い」で終わらせず、次の熱気に変える装置。それが、編集です。撮影だけでもダメで、上映だけでもダメで、「意図」を言葉にして添えるから、皆の中で物語になる。しかも、理事長と事務長が現場に顔を出して体を張った日だからこそ、映像の説得力が強い。現場が「やらされた」じゃなく、「一緒に作った」に変わるんです。

翌日、編集部隊は静かに集まります。会議室の空気が、いつもと違う。だって机の上にあるのが、書類じゃなくて映像データです。真面目な顔で、雪山ダイブの口紅をコマ送りで確認する管理職がいる。可笑しい。でも、こういう“可笑しさ”が、職場の風通しを良くするんです。業務は業務で大切。でも、笑いの編集が出来る職場は、だいたい連携も上手になります。人って「面白いね」を共有すると、相談もしやすくなるから。

編集のポイントは、上手く作り過ぎないことです。プロみたいにしなくていい。むしろ、ちょっと手作り感がある方が、入居者さんも職員も安心して笑えます。映像の流れとしては、雪が降る予報が出たところから始まるのが気持ちいい。理事長と事務長がソワソワして、総務と事務が恐る恐るシフトを組み替えて、夜勤が雪を集めて、窓辺に雪だるまを置いていく。朝の「あら……」が出たら、そこで一回、皆の心が温まります。

そこから柚子湯の“至福の休憩”を挟んで、10時の信頼ダイブへ行く。ここはナレーションが効きます。「積んだ雪を信じる者だけが飛べる」。大袈裟で良いんです。雪の日は、大袈裟がちょうど良い。そして昼の全力雪合戦。窓からのボタン音が入ったら最高です。ピンポン、ピンポン。戦況が動く音。映像は目で見るものなのに、音が入ると臨場感が跳ね上がる。最後に熱々のおしるこ、白玉を割った瞬間の「あっ!」で締める。ここまでいけば、一本の短編映画になります。特養の冬の短編映画。主演は入居者さんの笑顔で、助演が全職員、そして特別出演が理事長と事務長です。

上映会は、落ち着いた頃がいい。雪が溶けて、道路も戻って、日常が戻った頃。だからこそ映像が効きます。「あの日は大変だったね」ではなく、「あの日、最高だったね」に上書き出来る。入居者さんの集まりで流すと、記憶が会話に変わります。「あの雪だるま、うちの窓のやつだよ」「理事長、雪にチューしてたねぇ」「厨房さん、白玉の手が早かった」。そういう言葉が出るだけで、次の行事の種がもう生まれている。

そして、ここで必ずやってほしい“仕上げ”があります。感想を集めること。難しいアンケートじゃなくていいんです。「一番笑ったところはどこ?」「来年、見たいのは何?」この2つだけでも十分。入居者さんの答えは、職員にとって宝物になります。職員の答えは、理事長と事務長にとって宝物になります。宝物が増えると、冬がちょっと怖くなくなる。

あなたの想いにあった「危機を危機のまま終わらせない」は、根性論じゃありません。仕組みの話です。前日から準備する仕組み、当日に全員を主役にする仕組み、そして翌日以降に物語として残す仕組み。この3つが揃うと、大雪は“ただの試練”ではなく、“施設の文化”になります。理事長と事務長が脚光を浴びるのも、現場のためであり、経営陣自身の学びのためであり、何より「一緒に笑える職場」を作るためです。

雪は、降るだけで厄介です。でも、降った雪をどう扱うかで、施設の未来の空気は変わります。第3弾の面白さは、当日の派手さより、「翌日からも笑える」ことにある。笑える施設は、たぶん強い。冬に強い施設は、だいたい一年中強い。だからこそこの第8章は、雪祭りを“続く力”に変える、一番大事な後半戦なんです。

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まとめ…危機対応は守りで雪祭りは攻め~両方できる施設が強い~

大雪って、外の世界ではだいたい「勘弁してくれ」です。道路は混む、滑る、遅れる、休む、来ない。ニュースは不安を煽り、スマホの通知が気持ちを追い立てる。けれど特養の中は、外と同じ反応をしていたら苦しくなる未来予想図だけです。だからこそ、発想をひっくり返す。「大雪が来ると分かったら、施設は熱気に包まれる」。この逆転が、今回の記事の根っこでした。

面白いのは、笑いが“勝手に起きる”んじゃなくて、ちゃんと仕組みで起こしているところです。1週間前から予報に反応してソワソワする理事長と事務長。恐る恐る動く総務と事務。夜勤の人数を確保し、雪が積もり切る前に集めて、窓辺の見える位置に雪だるまや雪像を置く。大通りまでのルート、職員駐車場から入口の動線を夜通し守る。朝は支援が多いから離床も朝食もスムーズになり、現場の緊張がほどける。雪の日なのに事故が起き難い空気が出来る。ここまでがまず“勝ち筋”です。

そこに、ご褒美が入ります。柚子湯で至福の休憩。雪見の気分を添えて、働いた人間がちゃんと回復する時間を作る。ここがあるから、次のバカが出来る。雪山ダイブです。口紅の跡が雪に残る、人型アート巡回。笑ってしまうのに、信頼関係の話になっているのがズルい。積んだ側を信じて飛び込む、飛び込む側を信じて積む。雪1つで、組織の距離が縮む。冬の研修として、だいぶ変ですが、効き目はあります。

そして昼、メインの全力雪合戦。走らない、競歩もしない、でも本気で熱い。外周ストラックアウト方式で、9枚パネルを撃ち抜き合う。入居者さんは窓の内側から観戦して、チームカラーのボタンで戦況に関わる。ここが特養の良さで、支援される側が“今日だけは戦況を握る”。ただ見ているだけじゃないから、会話が生まれて、笑いが生まれて、気持ちが動く。勝者が決まったら、外組は冷えている。だから最後に、熱々のおしるこで回収する。小ぶり白玉の中にゼリーを仕込んで、割って当てるクイズにして、ゆっくり味わう。おやつは量じゃなく回数、という考え方がここで効いて、笑って終われる。

そして何より大事な山が、翌日からの編集です。管理職・撮れ高・編集部隊が、雪の日を「その場の思い出」で終わらせず、メイキングとして上映会にする。撮った、選んだ、意図をナレーションにする。これがあると、次の年の熱気に繋がる。入居者さんの感想が次の企画の種になり、職員の感想が団結の証拠になる。危機を文化に変えるのは根性じゃなく、こういう予めの仕組みです。

「大雪を危機と捉える施設は終わりで将来がない。危機こそ転換して最大のイベントにするべき」。これは理想論じゃありません。今回の流れは、そのまま“現場の安全”と“気持ちの盛り上がり”を両立させる設計図になっています。理事長と事務長が脚光を浴びるのも、目立ちたいからじゃなく、現場目線を共有するため。景品が会食や活動費になっているのも、笑いながら関係性を深めるため。全部が、団結へ向かっています。

大雪は、外に出られない日です。でも、外に出られない日だからこそ、窓の向こうに物語を作れる。窓を開けるだけで一大イベントになる朝を作れる。雪は降るだけで厄介だけれど、降った雪をどう扱うかで、特養の空気は変えられます。雪の日に強い施設は、きっと一年中強い。冬を越える力は、笑いと段取りの中にあります。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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