4月は海の脂と貝の出汁で整える!~水産デー×しじみの日の“頭と体”ごきげん講座~

[ 4月の記事 ]

はじめに…記念日が2回あるから魚介も2回楽しめばいいじゃない

4月って、カレンダーの上では春まっさかりなのに、体の中はまだ引っ越しの段ボールが残っている感じがしませんか。朝はひんやり、昼はポカポカ、夕方は「おや、冬さんが忘れ物を取りに来た?」みたいな日もあって、体の調整役が忙しそうです。新年度で予定も気持ちも動きやすい分、何となく疲れやすい、集中しづらい、眠りのリズムが揺れる……そういう“春あるある”が出やすい季節でもあります。

そこで登場するのが、4月の面白い食材たちです。4月13日は「水産デー」、4月23日は「しじみの日」。つまり、魚介に背中を押される日が2回あるんですね。これ、台所の目線で見るとかなりありがたい。「今日は魚にしよう」「今日はしじみ汁にしよう」と、献立の迷いに“口実”が出来るからです。口実って、健康の話より効きます。人は口実があると、台所に立てるんです。

しかも、魚としじみは同じ魚介でも役割が違います。魚は「脂」が魅力で、話題の中心はDHAやEPA。しじみは「出汁」が魅力で、ビタミンB12や、よく耳にするオルニチンが顔を出します。片方は海の脂、片方は貝の出汁。どちらも派手に主張し過ぎないのに、体の土台をそっと支えるタイプです。春の揺らぎに付き合うには、こういう“静かな実力者”がちょうど良いんですよね。

この文章では、専門っぽい言葉は出てきますが、難しい方向へ突っ走りません。大事なのは、読んだ後に「じゃあ、今日は何をどう食べよう?」が決まること。DHAとEPAはどういう存在で、どんな食べ方が続きやすいのか。しじみの成分は何が魅力で、汁ものにすると何がラクになるのか。さらに、魚の脂は加熱で扱い方が変わりやすいとか、しじみは冷凍が味方になる場面があるとか、台所で使える“理屈の小ネタ”も混ぜていきます。

4月の魚介は、気合いで食べるものではありません。水産デーに魚を食べる口実を作って、しじみの日に汁ものを飲む口実を作る。すると、春の台所が少し回りやすくなります。次の章からは、まず水産デー側の主役であるDHAとEPAを、優しく深掘りしていきましょう。脂の世界は奥深いのに、台所では逃げ足が速い。そこを、上手に捕まえにいきます。

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第1章…水産デーは海の脂が主役~DHAとEPAを優しく深掘り~

水産デーの話をするのに、まず言わせてください。魚の脂って、台所では逃げ足が速いです。焼いているうちに網の下へス~っと消えたり、揚げものにしたら衣の向こうへ引っ越したり、気づけばキッチンペーパーに「僕ここにいるよ」と名刺だけ残して去っていきます。けれど、その“逃げ足の速い脂”こそが、今回の主役であるDHAとEPAの舞台なんですね。

DHAとEPAは、魚に多い「オメガ3系」と呼ばれる脂の仲間です。脂と聞くと、何となく敵っぽい顔をしますが、体にとって脂は材料でもあり、道具でもあります。壁を作ったり、情報を運んだり、体の働きを調整したり。要するに、脂がゼロだと体は意外と困るんです。春の揺らぎで体が忙しい時期ほど、こういう“地味に大事な材料”が効いてきます。

DHAとEPAって何者?~同じ仲間でも得意分野が違う~

DHAは、ざっくり言うと「体の中の大事な場所の材料になりやすい」タイプです。脳や目に関わる話題で名前が出やすいのは、この性格のせいです。材料というのは、今日食べたら明日すぐ何かが変わる、という意味ではありません。コツコツ積み上げて“土台に関わる”イメージの方が近いです。

一方のEPAは、「体の中の調整役っぽい働きが話題になりやすい」タイプです。巡りの話題や、生活習慣の話題で登場しやすいのは、こちらの性格のせいです。とはいえ、ここで言い切り過ぎるのは禁物で、研究はたくさんあっても、人によって条件が違うので、食事としては「取り入れやすい形で続ける」が現実的な着地点になります。

つまりこの2人は、同じチームの選手だけどポジションが違う、という関係です。水産デーは、そのチームを食卓に呼ぶ“切っ掛けの日”と思うと使いやすいですね。

魚だけじゃない話も少し~植物のオメガ3との違い~

オメガ3系の脂は、魚だけの専売特許ではありません。荏胡麻油や亜麻仁油のような植物由来の脂も、オメガ3系として知られています。ただ、植物のオメガ3と魚のDHA・EPAは、そのまま同じというより「親戚だけど別人」くらいの距離感です。体の中で変換される道もありますが、変換の効率は人によって違い、年齢や体調でも揺れやすいと言われます。だから今回の記事では、魚のDHA・EPAを主役にして、食卓で扱いやすい方向に寄せていきます。

どの魚を選ぶ?~目安は「脂がのる季節」と「身の色」~

DHAとEPAは、脂がのっている魚ほど取り入れやすい傾向があります。サバ、イワシ、サンマのような青魚が話題に上がりやすいのは、そのためです。サケやブリなども脂のある時期は頼もしい存在になります。ここでのコツは「毎回、同じ魚にしない」こと。飽きると続きませんし、家計にも波が出ます。魚は日によって値段も状態も違うので、台所側が選びやすい魚を採用するくらいの柔軟さが、長く続く秘訣です。

高齢者の食事を意識するなら、骨の少ない切り身、皮が硬すぎないもの、身がほぐれやすいものが扱いやすいです。焼き魚でも、ほぐしてからトロミのある汁に入れると、食べやすさがグッと上がります。

脂を逃がさない台所術~ポイントは「落とさない」「焦がさない」「空気にさらし過ぎない」~

魚の脂は、加熱の仕方で行方が変わります。網焼きは香ばしくて魅力的ですが、脂が下に落ちやすいのも事実です。脂を出来るだけ食べる側に残したいなら、蒸し焼き、煮魚、ホイル焼きのように、脂が皿の外へ流れにくい方法が向いています。焼くなら、フライパンで蓋をして蒸し焼きにするだけでも、しっとりしやすく、脂も受け止めやすくなります。

それから、焦がし過ぎないことも大事です。脂は熱や空気の影響を受けやすいので、強火で一気に焼いてカリカリにするより、ほどよく火を通してしっとり仕上げる方が、食べやすさの面でも相性が良いです。高齢者向けにも、しっとりは正義です。

保存では「光・空気・時間」が敵になりやすいので、買ったら早めに使う、冷蔵庫の奥で冷やす、切り身ならラップでピタっと包む。これだけで、台所の失敗が減ります。魚は“今日のうちに使うとご機嫌”なことが多いので、予定が読めない日は缶詰も立派な選択肢です。

缶詰はズルじゃない~むしろ春の味方~

サバ缶やイワシ缶は、台所の時間が足りない日にこそ頼りになります。骨まで軟らかいものも多く、食べやすさの工夫がしやすい。味噌煮ならそのまま汁ごと使って、野菜と一緒に煮るだけで一皿が成立します。水煮なら、汁ものや和え物に混ぜても扱いやすいです。ただし、味付きの缶は塩気がしっかりしていることもあるので、汁を全部使うかどうかは、食べる方の状態に合わせて調整すると安心です。

食卓に落とす結論~水産デーは「魚を食べる口実」で十分~

ここまで深掘りしておいて何ですが、水産デーの正解は、難しく考えないことです。DHAとEPAの話は奥が深いけれど、食事としては「魚を食べる回数がちょっと増える」だけで意味があります。春は忙しくて、体も心も揺らぎやすい時期です。だからこそ、台所の目標は高くし過ぎず、続く形にする。焼くなら蒸し焼き寄り、汁ものなら脂も受け止められる、缶詰も堂々と使う。これで十分、海の脂チームは食卓に来てくれます。

次の章では、同じ魚介でも方向性がガラッと変わる「しじみの日」の世界へ行きます。魚は脂の話でしたが、しじみは出汁の話。ここから先、台所がちょっと学術っぽくなって面白くなります。


第2章…しじみの日は出汁が主役~ビタミンB12とオルニチンの奥深い世界~

しじみの日(4月23日)って、台所目線で言うと「汁ものを堂々と主役にできる日」です。魚の章では“脂が逃げる”と騒ぎましたが、しじみは逆で、鍋の中に置いておくほど「旨味が出てくる」という、じわじわ型の職人さん。しかも小さな貝なのに、栄養の話題がやたら濃い。今日はその“濃さ”を、難し過ぎない形で深掘りします。

しじみの正体は「出汁の塊」~旨味の中心はコハク酸~

しじみの美味しさは、味付けを頑張った結果というより、しじみ自身が元から持っている“旨味成分”の勝利です。中心になるのはコハク酸で、そこにグルタミン酸やグリシンなどが重なって、あの「はぁ……落ち着く……」の味が作られます。だから、しじみ汁は具だくさんにしなくても成立します。むしろ具が増え過ぎると、せっかくの出汁が渋滞して「誰が主役だったっけ?」となりがちです。しじみの日は、しじみを主役にしてあげるのが正解です。

ビタミンB12の存在感がすごい~でも“現実的な量感”で見る~

しじみの話で外せないのが、ビタミンB12です。文部科学省の食品成分データでは、しじみ(生)100gあたりビタミンB12が68.0μgと載っています。この数字、栄養の世界ではかなり目立ちます。ただ、ここで大切なのは「100gのしじみを食べる日って、そんなに多くない」という現実です。しじみ汁1杯で使う量は、人によっては可食部が少なめです。だからこそ、しじみは“毎日ドカン”より、“汁ものとしてちょこちょこ”が続きやすいんですね。

ビタミンB12は、赤血球の形成や神経の働き、そして体の中でのDNA合成にも関わる、とされています。 ここも「食べたら即」ではなく、土台の材料に関わる話です。春の揺らぎで疲れやすい時期に、土台の話を出来るのは、しじみの良いところです。

もう少し専門っぽい補足をするなら、食品中のビタミンB12はたんぱく質と結びついていて、胃の中でほどけてから利用される、という説明がよくされます。 高齢になると胃の状態が揺れやすい方もいるので、「しじみを食べた=全部が同じように使われる」と決めつけず、無理なく続ける、くらいが安心です。

オルニチンは“体の後片付け係”として語られやすい

しじみといえばオルニチン、という流れは定番ですが、ここも言い切り過ぎずに整理します。オルニチンは、体内でアンモニアを尿素に変えていく流れ(尿素回路、オルニチン回路と呼ばれることもあります)に関わる成分として説明されることが多いです。文章にすると難しそうですが、感覚としては「体の中で出た“片付けたいもの”の処理に関係する話題で登場しやすい」と捉えると十分です。しじみ汁が“なんか落ち着く”と言われる背景には、味の安心感と、こういう話題の積み重ねがあります。

冷凍しじみは台所的に理に適っている

しじみの世界が奥深いと言われる理由の1つが、冷凍です。しじみは冷凍すると細胞が壊れて、旨味成分(グルタミン酸やコハク酸など)が溶け出しやすくなる、という説明がされています。 つまり、冷凍は「手抜き」ではなく「出汁を引きやすくする準備」になりやすいんです。

さらに、冷凍によってオルニチンが増えたという報告もあり、研究として“しじみを冷凍するとオルニチンが増加することを見出した”とする研究成果資料も出ています。ただし、冷凍条件や個体差なども絡むので、ここは料理の合言葉としては「冷凍しじみは出汁が出やすい、結果として満足感が上がりやすい」くらいに置いておくのが安全運転です。

介護の目線での“しじみ汁”~主役は身より汁の日もある~

高齢者の食事では、「噛む」「飲み込む」「咽込まない」を考えると、しじみ汁は相性が良い場面が多いです。身を無理にたくさん食べなくても、汁ごと旨味を楽しめるからです。具が気になる日や、口の中で散らばるのが心配な日には、しじみの身は少なめでも構いません。しじみの“仕事場”は鍋の中、成果物は汁、という割り切りが出来るのが強みです。

味噌汁にするなら、味噌の量で押すより、しじみの出汁を主役にして、味噌は控えめに寄せると満足しやすいです。春の不調が出やすい時期は、濃い味で元気を出すより、出汁で落ち着く方が合う日もあります。

ここまでが、しじみの日の「成分と出汁」の深掘りでした。次の章では、海の脂(魚)と貝の出汁(しじみ)を、実際の春の食卓に落とし込みます。難しい話をして終わりではなく、「今夜これにしよう」が決まる形に組み立てていきましょう。

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第3章…海の脂×湖の出汁で完成~春の定食に落とす“続く組み合わせ”~

ここまでで、魚は「脂の世界」、しじみは「出汁の世界」と、別々に深掘りしてきました。ここから先は、知識を棚にしまう時間です。棚にしまうだけだと、台所では使われません。台所で使われる形にするには、組み合わせを“型”にしておくのが一番早いんです。

春の定食は、派手な主役が1人で走るより、役割分担のチーム戦が向いています。魚は海の脂チームで「土台の材料寄り」。しじみ汁は湖の出汁チームで「落ち着く汁担当」。ここに春野菜が入ると、食卓のバランスがグッと整います。つまり、結論は割りとシンプルで、難しい言葉を使うほどの話ではありません。難しいのは、続けることだけ。だから続く仕組みにします。

基本の型は「魚+しじみ汁+春野菜」~この3点で迷いが減る~

まず型を1つ決めましょう。おかずは魚、汁ものはしじみ、野菜は春キャベツや新玉ねぎ、菜の花のような春の緑。これで、食卓の“役割”が自然に揃います。魚は主菜として満足感を作りやすく、しじみ汁は汁だけでも旨味が成立しやすい。春野菜は香りと優しい甘みで、味付けを濃くしなくても「ちゃんと食べた感」が出やすい。春の台所が回る理由は、だいたいここに詰まっています。

しかもこの型は、高齢者の食事とも相性が良いです。魚は調理でしっとり寄せやすく、しじみ汁は“汁が主役”にできる。春野菜は煮れば軟らかく、刻んで混ぜれば香りだけ残すことも出来ます。つまり「難しそうに見えて、実は優しい定食」です。台所担当としては、これは褒め言葉です。

4月の“口実”をふだんの習慣にする~記念日は練習日~

水産デーとしじみの日の良いところは、「今日はそれを食べる理由がある」という点でした。これを、生活に落とす時のコツは1つです。記念日は“本番”ではなく“練習日”にすること。水産デーに魚の型を試して、しじみの日に汁ものの型を試す。そこで「自分の家だと、このやり方が楽だな」という最適解が見つかります。

ここで新しい提案を入れます。魚も貝も、完璧にやろうとすると続きません。だから「週に魚介を2回」くらいの気楽さで十分です。忙しい週は魚を缶詰に寄せても良いし、しじみは冷凍や砂抜き済みを頼って良い。続く方を採用するのが、結局一番賢いです。台所は根性試験ではなく、生活の操縦席ですからね。

食べやすさを落とし込む段取り~魚はしっとりで汁は主役で野菜は軟らかく~

ここからは介護目線の話も混ぜます。高齢者向けにするなら、同じ定食でも「形の整え方」が結果を分けます。まず魚は、焼き網でカリッと仕上げるより、フライパンで蓋をして蒸し焼きにする、ホイルで包む、煮る、といった“しっとり系”が安心です。食べる方の様子によっては、身をほぐして、トロミのあるあんや汁に合流させると、咽込み難さが上がります。魚が単独で立っていると難しい日も、汁やトロミに入ると急に優しくなるんです。

しじみ汁は、具を欲張らないほど上手くいきます。しじみの身を食べる日もあれば、汁を主役にして満足する日もあります。特に「今日は咽込みそうだな」と感じる日は、汁を中心にして、具は控えめに。しじみは“鍋の中で働いて、汁として成果を出す職人”なので、身を全部食べ切ることが目的ではありません。

春野菜は、柔らかく煮る・蒸す・スープに溶かす、が基本です。春キャベツは煮ると甘みが出てまとまりやすいですし、新玉ねぎはスープにすると味の角が取れて満足感が上がります。菜の花の香りは、刻んで卵に混ぜるだけで春らしさが残ります。緑は「たくさん食べる」より「食卓に毎回少し置く」方が続きます。春は少量でも存在感が出る食材が多いので、そこを味方にしましょう。

台所がラクになる“二段階”の考え方~今日の自分と明日の自分で分担する~

続けるための仕組みとして、もう1つ提案を置いておきます。二段階で回すことです。今日の自分が全部やろうとしない。今日の自分は「下準備だけ」、明日の自分は「仕上げだけ」。これにすると、魚介も春野菜も、急に扱いやすくなります。

しじみは冷凍で出汁が出やすくなる、とよく言われますが、台所目線ではそれ以上に「いつでも鍋に入れられる状態になる」のが大きいです。魚は下味を軽くしておくだけでも、焼く・蒸す・煮るの選択が楽になります。春キャベツはざっくり千切って洗って水気を切っておくだけで、汁ものにも炒めにも行けます。こうやって“材料をスタンバイ状態”にしておくと、4月の忙しさでも定食の型が崩れ難いんです。

この章のまとめとしては、こうです。海の脂は「主菜の満足感」を作り、湖の出汁は「汁の安心感」を作る。そこに春野菜が入ると、味付けを頑張らなくても食卓が整う。次の第4章では、もう一段だけ台所の実験をします。脂はどうすると逃げ難いのか、出汁はどうすると出やすいのか。加熱・冷凍・保存のコツを、生活で使える形にして締めていきましょう。


第4章…台所の実験室~脂は逃げる?出汁は増える?加熱・冷凍・保存のコツ~

ここまでで、魚は「脂」、しじみは「出汁」という二枚看板が見えてきました。で、台所で一番よく起きる悲劇は何かというと、魚の脂が勝手に旅に出ることです。フライパンの端っこに集まって、キッチンペーパーに吸われ、気づけば「私のDHA、どこ行った?」となる。しじみは逆で、鍋にいるほど仕事を増やしてくるので「さっきより美味しくなってない?」と驚かせにきます。同じ魚介でも、扱い方のコツが真逆なんですね。

ここでは、家の台所でできる範囲の“再現性が高い作戦”をまとめます。難しい実験器具は不要です。必要なのは、蓋とラップと冷凍庫、そして「今日はラクしていい」という心です。

魚の脂を逃がさないコツ~合言葉は「受け皿を作る」~

魚の脂が逃げる場面は主に2つです。1つは「下に落ちる」、もう1つは「紙に吸われる」。つまり、落ちないように受け止め、吸われないように料理の中に戻せば良い。ここが基本の考え方です。

焼き魚を網で焼くと香ばしさは最高ですが、脂が下に落ちやすいのが弱点です。脂を出来るだけ食べる側に残したい日は、フライパンで焼いて、途中から蓋をして蒸し焼きに寄せると安心です。しっとりしやすく、脂もフライパンの中に残ります。ホイル焼きも同じ理由で相性が良く、包みの中に脂と汁がとどまります。包みを開けた時に出てくる汁は、ただの水ではなく、魚が持っていたものの集合体なので、捨てずに野菜に絡めたり、ご飯に少し垂らしたりすると「逃げた脂の回収」になります。

煮魚はさらに分かりやすく、脂が煮汁に溶け込みやすいので、煮汁を少しだけ身に絡めて食べると満足感が出ます。高齢者の食事では、しっとり系が食べやすさにも直結するので、蒸し焼き・ホイル・煮るは、味と安全の両方で頼れる方法です。

揚げものは香りも食べ応えも出ますが、脂が衣や油側へ移動しやすい面があります。だから「今日はDHAを大事に扱いたい日」なら、揚げに拘り過ぎない方がラクです。台所の勝ち方は、気合いではなく選択です。

脂の敵は「空気・光・時間」~保存は早さが一番の味方~

魚の脂は、空気や光にさらされる時間が長いほど、においの変化や風味の落ち込みが起きやすいと言われます。専門用語にすると難しくなりますが、台所の感覚では「放置すると魚くささが前に出る」と覚えておけば十分です。

買った魚は、出来ればその日のうちに使うのが理想です。難しい時は、ラップでピタっと包んで冷蔵庫の奥へ。フワっと包むより、ピタっと包む方が空気に触れ難くなります。切り身が多い日は、下味を軽くつけてから包むと、翌日の自分が助かります。味付けは濃くし過ぎず、酒やしょうがなど香りを少し足すくらいで十分です。

「今日は無理だな」という日は、缶詰も立派な選択肢です。骨まで軟らかいものも多く、食べやすさの面でも助けになります。台所に必要なのは理想より現実で、現実が続けば結果として整いやすいんです。

しじみは冷凍が味方になりやすい~出汁を引くなら“凍らせてから”も手~

しじみは、冷凍すると細胞が壊れて、旨味が溶け出しやすくなると言われることがあります。難しく考えなくても、台所の実感として「冷凍しじみは汁が美味しくなりやすい」と覚えておけば十分です。さらに、冷凍しじみは保存が効くので、しじみの日以外でも「今日は汁で整えたい」にすぐ対応出来ます。これが最大の価値です。

使い方は簡単で、凍ったまま鍋に入れて加熱し、貝が開いたら火を通し、最後にみそを入れる。砂抜き済みのものを選ぶと手間が減ります。砂抜きが必要な場合は、塩分濃度や時間などの基本に沿って行い、砂を吐かせてから使うのが安心です。高齢者向けには、具を欲張らず、汁を主役にして、味噌は控えめに寄せると飲みやすくなります。しじみの身は「食べられる日は食べる、今日は汁の日なら汁を楽しむ」で十分です。

一点だけ大事な話として、しじみは必ずしっかり加熱して食べるのが基本です。貝類は体調が揺れやすい人ほど慎重に扱いたい食材なので、「火が通ったか分からない」状態を避けることが、台所の安全運転になります。

春の定食が回る“小さな段取り”~台所は研究より「再現」が勝つ~

ここで、この章の結論を“段取り”として落とします。魚は「しっとりで受け止める」、しじみは「冷凍でスタンバイ」、春野菜は「汁ものに逃がす」。これをセットにすると、4月の忙しい日でも再現しやすい形になります。

仮に「今日は疲れていて、作る気力が薄い」という日でも、冷凍しじみを鍋に入れて汁を作り、魚はフライパンで蒸し焼きにして、春キャベツか新玉ねぎを一緒に入れる。これだけで“海の脂×湖の出汁×春野菜”が成立します。頑張った感は控えめなのに、食卓はちゃんと整って見える。台所のこういうズルさは、長く続けるための賢さです。

次はまとめで、今回の話を「記念日を口実にして、気持ちよく続ける」という形に綺麗に着地させます。魚は脂の担当、しじみは出汁の担当、春の台所はチーム戦。4月はそのチームが組みやすい季節です。

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まとめ…4月の魚介は役割分担~無理なく続けて春を気持ちよく迎えよう~

4月は、明るい顔をして近づいてくるのに、体の中は意外と忙しい季節でした。寒暖差や新年度の変化で、頭も体もどこか落ち着かない。そんな時期に「水産デー」と「しじみの日」が並んでいるのは、台所目線だとかなり親切です。魚を食べる日、しじみ汁を飲む日。口実が2回あるだけで、献立の迷いがグッと減ります。人は口実があると、ちゃんと整えられる。これはもう、台所の真理です。

水産デー側の主役は、海の脂チームのDHAとEPAでした。難しい話に見えて、落としどころはシンプルで、「魚を食べる回数を、無理のない形で増やす」。揚げるより、蒸し焼きやホイル焼き、煮魚のように“受け止める調理”が向きやすく、しっとり仕上げるほど食べやすさも上がります。脂は逃げ足が速いからこそ、台所側が受け皿を用意してあげる。これだけで、魚の満足感が変わってきます。

しじみの日側の主役は、湖の出汁チームでした。しじみは、派手に主張しないのに、鍋の中で黙々と働いて、汁を「落ち着く味」に育ててくれます。ビタミンB12の存在感や、オルニチンの話題の奥深さは確かに面白いのですが、家庭での実用としては「汁ものにすると続きやすい」が大きな勝ち筋です。具を欲張らなくても成立し、身を無理にたくさん食べなくても、汁がちゃんと仕事をしてくれる。高齢者の食事でも頼りになるのは、この“汁が主役になれる強み”のおかげでした。

そして、この2つを合体させると、春の食卓がグッと回りやすくなります。魚で満足感を作り、しじみ汁で落ち着きを作り、春野菜で香りと優しさを足す。こうして役割分担がハッキリすると、味付けを頑張り過ぎなくても「ちゃんと整った食卓」に着地します。さらに、今日の自分と明日の自分で分担して、下準備は軽く、仕上げはシンプルに。冷凍しじみをスタンバイさせておく、魚はしっとり寄せる、春野菜は汁ものに逃がす。台所は研究より再現が勝ちます。続く形が、結局、一番頼もしいんです。

最後に、一番大切なことを置いておきます。食事は、完璧さを競うものではありません。昨日、上手くいった方法が、今日は合わない日もあります。高齢者の食事ならなおさらで、その日の体調に合わせて形を変えるのが自然です。しじみの日は「今日は汁の日」と割り切って良いし、水産デーは缶詰に頼ったって良い。台所担当が自分を責めないことが、長く続く最大のコツです。

4月の魚介はチーム戦。海の脂と貝の出汁を、記念日の口実に呼び出して、春野菜と一緒にユルッと回す。今日の一杯、今日の一切れが、明日の体をそっと支えてくれます。さあ、次の記念日はカレンダーで待つものではなく、冷凍庫と冷蔵庫で先に迎えに行きましょう。台所の春は、準備した人からご機嫌になります。

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