要介護3~5の方が30人暮らす施設で安全に過ごすには?~人の手と安心のモデル~
 
					目次
- 1 はじめに…これは贅沢ではなく安心の最低ラインです~30人の生活を守るために必要な人の手とは~
- 2 第1章…昼間の安心はどうやって作られるのか~介護スタッフと看護スタッフが支える30人の日常~
- 3 第2章…その人らしさを保つ専門職~リハビリ・栄養・相談員がいるだけで何が変わるのか~
- 4 第3章…夜は誰が呼び声に応えるのか~深夜帯の3人態勢という考え方~
- 5 第4章…もしこの人たちが足りなかったら?~小さな待っててねが大きな出来事になるまで~
- 6 第5章…裏側で施設を止めない人たち~事務・総務・経営の仕事も実は安全そのもの~
- 7 第6章…ご家族として尋ねていいこと~やさしく確認できる質問のヒント~
- 8 まとめ…安心は人の数で出来ている~30人の暮らしを守るために本当に必要な人数という考え方~
はじめに…これは贅沢ではなく安心の最低ラインです~30人の生活を守るために必要な人の手とは~
ご家族や地域の方が、介護の場面で一番気になることは何でしょうか。多くの場合、それは「ここで安心して暮らしていけるのか」という、とてもシンプルで真っ直ぐな気持ちだと思います。ところが、その安心がどうやって支えられているのか、つまり何人のどんな職種がどんな風に働いているのかは、外からはなかなか見えません。
この文章では、要介護3~5のご高齢の方が30人いらっしゃる入所施設をイメージします。一人で起き上がることが難しい方、咽込みやすい方、夜になると不安が強くなるかた、ちょっとした風邪から肺炎に悪化しやすい方。そういった方が30人という単位で同じ場所に暮らしておられる、と考えてください。
ここで大切なのは、「30人をとにかく何とか見る」という発想ではなく、「30人お一人ずつが1か月を安全に過ごすには、どれだけの人の目と手が必要なのか」を正面から数えることです。これは贅沢をするという話ではありません。呼んだら来てくれること、食事で咽た時にすぐ支えてもらえること、夜中に苦しいと伝えたら一人ぼっちにならないこと。そういった当たり前の安心を維持するための最低ラインのお話です。
具体的には、日中であれば介護スタッフが6名と全体を見るリーダー役1名、看護師が2名という体制を基本とします。夕方から夜にかけては介護スタッフ4名と看護師1名、深夜は介護スタッフ2名と看護師1名という考え方をとります。これを毎日回すには、1日や2日ではなく、連続する30日間の間、穴を空けずに動けるだけの人数が必要になります。実際にはお休みや体調不良もありますから、1か月単位で考えると、介護スタッフだけでも常勤換算で凡そ23名分、看護師は凡そ7名分ほどの人手が必要になります。
さらに、安心は介護と看護だけでは守り切れません。飲み込みや姿勢を整えるリハビリ職(PT・OT・ST)、食事形態や水分量を調整する管理栄養士、家族との連絡や面会の段取りを整える生活相談員。この方々が入ることで、「転倒しにくい座り方」「咽せ難い食べ方」「落ち着いて過ごせる時間の流れ」といった、目に見えにくい安全が大きく変わります。こうした専門職も含めると、30人の暮らしを支えるには、1か月を通して合計で40名前後の人の力が必要になる、という目安が浮かび上がってきます。
そして忘れてはいけないのが、施設そのものを止めないための手です。事務・総務・経営の担当者が、介護保険の手続き、給与や勤務の管理、設備や物品の手配、医療機関やご家族とのやり取りを整えてくれることで、現場の職員は目の前の方に集中できます。裏側の手がいなければ、現場は介助の途中でも書類や電話に追われ、結果として「今すぐ助けてほしい」という呼びかけに遅れが出る危険が高まります。
つまり、30人の暮らしを守るというのは、「介護スタッフが何人いればいいか」だけの話ではありません。昼・夕・夜それぞれの時間帯での配置、看護と介護の連携、リハビリや栄養や生活相談といった専門職の関わり、そして裏側で施設を動かす職員。この全部が噛み合って、初めて「今日も大丈夫でした」と言えるのです。
これから先の章では、時間帯ごと、職種ごとにもう少し具体的に見ていきます。例えば介護スタッフは1か月でどれくらい必要なのか、看護師はどれくらいで安心できるのか、夜の時間帯に最低限傍にいて欲しい人数はどれくらいなのか。そして、もしその手が足りなくなると、どんな小さな綻びが起きやすいのか。順番に辿っていきます。
[広告]第1章…昼間の安心はどうやって作られるのか~介護スタッフと看護スタッフが支える30人の日常~
昼間は一番忙しくて一番転びやすい時間帯
要介護3~5のご高齢の方が30人いらっしゃる生活の場では、朝から昼にかけてが一番動きが多く、同時に一番事故が起こりやすい時間帯になります。
起き上がるお手伝い、トイレ誘導やおむつ交換、更衣や整容、整位(からだの姿勢を整えること)、褥瘡予防の体位変換、車椅子やベッド間の移乗、入浴の準備と介助、口腔ケア、服薬の確認、リハビリへの送り出し、そしてお食事の見守りと介助。これらがほぼ同時進行で発生します。
この時間帯に「今すぐお願いします」という呼び掛けが重なるのは当たり前です。だからこそ、昼間の体制こそが施設全体の安全度を決める背骨になります。
ここでは昼間の時間帯を、たとえば「07:00~15:00」のようなイメージで考えます。この時間帯を1か月間、毎日切らさずに回すにはどれくらいの人が必要なのかを、少しずつ具体的にしていきます。
介護スタッフは何人いれば安全に回るのか
理想は、30人に対して介護スタッフが6名、そして全体を見るまとめ役が1名、合計7名体制です。
この「6名+1名」という並びには、意味があります。6名は実際に体を支える人たちです。ベッドから起きる介助、トイレまでの移動、座位の安定や更衣、食事の介助など、直接、体に触れる支援をします。まとめ役の1名は、少し動き方が違います。フロア全体の様子を見ながら、転倒リスクが高い方に目を配り、看護との連絡役になり、家族からの問い合わせや予定変更にも対応し、記録の質も確認します。これは「余裕人員」ではなく「崩れそうになった現場を支える軸」です。
この7名体制があると、例えばこんなことが可能になります。
一人が入浴介助で離れても、フロアにはまだ複数名が残り、ふらつきやすい方を見守れる。食事で咽た方の背中をすぐに支えながら、もう一人がコールに応じられる。「ちょっと待っててね」と言う時間そのものが短くなる。これはそのまま、誤嚥や転倒を減らすことに繋がります。
では、7名といっても「1日だけ7名いればいい」という話ではありません。現実には人は毎日同じメンバーでは回れません。お休みがある日もあれば、体調が悪い日もあります。そこを考えずに「うちは日勤にいつも2名いますよ」「頑張って3名いますよ」といった具合に、その瞬間だけで語ってしまうと、本当に必要な人数が見えなくなります。
ここでは「常勤換算」という考え方を使います。これは、週に5日、1日8時間働く人を1名分として数えるやり方です。1名が週40時間働くとして、それを基準に足し算していきます。
先ほどの「介護スタッフ7名で8時間」というかたまりを毎日回すと、1日で56時間ぶんの介護が必要になります。これを1週間、つまり7日間続けると、56時間×7日=392時間になります。392時間を、1名あたりの40時間で割ると、9.8名ぶん、ほぼ10名ぶんの常勤力が必要になる、という考え方になります。
ここで終わりではありません。実際には昼だけでなく夕方や夜も介護スタッフは必要で、その合計を均すと、30人の生活を1か月切らさず支えるには、介護スタッフは常勤換算で凡そ23名ぶんが必要、という目安が見えてきます。これは、交代勤務、休日、急な休み、記録時間、研修、身体を労わる時間などを全部含めた現実的な数字です。
言い方を変えると、「昼間は7名で動くべき」というのは、単にその時間だけの話ではなく、「この7名体制を毎日維持できるだけの全体人数が、月単位で23名分必要になる」というところまで含めて初めて本当の意味を持つ、ということです。
この数字は贅沢な理想ではなく、「呼ばれたら来られる」「危ない時に目が届く」を保つための下限に近い考え方です。
看護師はどれくらい必要なのか
昼間の時間帯には、看護師が2名いることを基本にします。
なぜ2名かというと、要介護3~5の方の中には、痰の吸引が必要な方、胃ろうなどから栄養を入れている方、褥瘡の処置が必要な方、服薬管理が複雑な方、嚥下の状態が日ごとに揺れる方など、医療的な支援が欠かせない方が必ずいらっしゃるからです。
看護師が1名だけだと、吸引や処置の間に別の方が急に苦しくなった時、「ちょっと待ってください」がどうしても発生してしまいます。2名いると、一人が処置中でも、もう一人がバイタル確認や急な症状の確認に走ることができます。つまり「待ってください」の時間を短くできるのです。
この「昼は2名」「夕方は1名」「夜も1名」という考え方を、毎日落とさず回すには、看護師は1か月単位で常勤換算およそ7名ぶん必要という計算になります。介護と同じように、1日だけではなく、連続する30日間の安心を支える力として必要な人数だと考えてください。
この7名分という数字は、単に「薬を配る人がいればいいでしょう」という話ではありません。咳の音がいつもと違う、顔色がいつもより白い、足のむくみが昨日より強い、そういった小さな変化を拾って「今日は様子を見るで大丈夫か」「すぐ医師に連絡したほうがいいか」を判断する役目です。この判断が早いほど、重い状態になる前に手が打てます。つまり、入院や救急搬送をどれだけ減らせるか、その入口に立っている人数とも言いかえられます。
昼間という時間帯は生活の形そのものを整える時間
昼の体制にはもう1つ大きな意味があります。昼間にしっかり人手がある施設では、「その人がどんな風に1日を過ごすのが落ち着くか」をゆっくり作ることができます。
例えば、座るときのクッションの置き方で、骨盤が前にズレて転落しにくくなる方がいます。手すりの高さ1つで、自力で立てる人もいます。食事の時の角度や、一口ごとのペース配分で、咽がほとんど出なくなる方もいます。こういった細かい調整は、時間に余裕がある日中のうちにこそ行われます。
逆に言えば、昼間に人手が足りず、ただ「とにかく回す」だけで精一杯な日が続くと、その方に合った座り方や飲み込み方を整える余地がどんどん失われます。すると夕方や夜にトラブルが出やすくなり、結果的に夜勤帯の負担や危険も増えます。昼間の7名と2名は、昼だけを守っているのではなく、その日の夜の安心まで仕込んでいる、ということです。
まとめとしてのイメージ
第1章で伝えたいことは、とても素直です。
30人の重い介助が必要な方々が暮らす場では、昼間は介護スタッフ6名と全体を見る1名、看護師2名という形が、もっとも事故を減らしやすい基本線になります。そしてこの形がきちんと回り続けるには、1日単位の話ではなく、1か月を通して介護スタッフ常勤換算およそ23名分、看護師常勤換算およそ7名分という土台が必要になります。
言い替えるなら、安心は「その場に立っている人数」と「それを30日間落とさず続けられるだけの全体人数」の両方でできている、ということです。昼間の厚みは、その日1日の安全だけでなく、夜に起こりやすいリスクまでも静かに下げていきます。これが、昼間の人手がただの贅沢ではなく、「安心の最低ライン」と呼べる理由です。
第2章…その人らしさを保つ専門職~リハビリ・栄養・相談員がいるだけで何が変わるのか~
日中の介護スタッフと看護師が「目の前の安全」を守っているとしたら、もう1つの柱は「その人らしさ」を毎日続けられるように整える人たちです。ここでは、リハビリ職(PT・OT・ST)、管理栄養士、生活相談員という3つの職種を中心にお話しします。
これらの職種は、目立たないところで本当に大きな仕事をしています。体のバランス、飲み込み、生活リズム、食べる楽しみ、ご家族との繋がり。その全部を、落とさずに1か月つなげていく役目です。そして、実はこの支えがあるかどうかで、入院や体調悪化の起こりやすさが大きく変わります。
PT・OT・STがしていることは、立たせることだけではない
リハビリ職というと、「歩けるようにする人」「立たせる人」というイメージを持たれがちです。もちろんそれも仕事ですが、要介護3~5の方が30人という世界では、もっと身近でもっと日常的なところを整える役割になります。
PT(理学療法士)は、体の動き方そのものを細かく見る人です。どの向きで寝ると呼吸が楽か、車椅子に座るとき骨盤が前に滑って転びそうにならないか、ベッドから起き上がる時にどこに手を置くとご本人が痛がらずに済むか。こういった調整は、転倒や骨折を防ぐことに直結します。例えば、座り方1つ合っていないだけで、ほんの一瞬の前傾でそのまま床に崩れ落ちてしまうことがあるからです。
OT(作業療法士)は「日常動作の形そのもの」を整えます。例えば食事のスプーンをどんな太さにすると握りやすいか、エプロンの留め方をどうすれば咽た時にすぐ拭けるか、上着の袖をどれくらい捲っておくとトイレで慌てずに済むか。1日の中で「自分でできた」と感じてもらえる瞬間を増やす役目です。これがあると、落ち着きが生まれ、スタッフが常時つきっ切りにならずとも安心して見守れるようになります。つまり、介護スタッフの負担も静かに下がります。
ST(言語聴覚士)は、飲み込みと言葉の専門職です。要介護3~5の方は、ちょっとした咽から肺炎になりやすい状態の方が少なくありません。STは、どの角度で座れば飲み込みやすいか、トロミはどの程度なら安全か、ひと口の量はどれくらいが良いか、といったことを具体的に決めていきます。これは「おいしく食べられるようにする」ことでもありますが、同時に「入院を1本減らす」ことにも繋がります。
この3職種がいると、「この方はこう支えると安全」という雛形がスタッフ全体に共有されます。すると、夜勤の時間帯など人が少ない時間でも、その雛形に沿っていればある程度安全に寄り添えるようになります。つまり日中の工夫が、そのまま夜の安心を作ることになるのです。
ではこの3職種は、30人のフロアならどれくらい必要と考えるのが良いでしょうか。理想的には、PT1名・OT1名・ST1名という、合計3名分の力がほしいところです。STについては、毎日常駐という形でなく、週に複数日しっかりと入って全員の飲み込み状況を確認し、誤嚥しやすい方の見直しを続けるという形でも成り立ちます。つまり1か月の間、継続して、誰の飲み込みが変わったのか、どの体勢が今のベストなのかを常に更新し続ける人数が、常勤換算で凡そ3名ぶん、と考えるイメージです。
この「3名分」という存在は、転倒や誤嚥を未然に防ぐだけでなく、「ご本人が自分らしく過ごせる時間」を残す担当者でもあります。立ち上がりの介助がスムーズになると、介護スタッフは力任せに持ち上げなくて済むので腰を痛めにくくなります。飲み込みが安定すれば、看護師が深夜に吸引の連続対応で張りつきになりにくくなります。つまり、リハビリ職は利用者さんだけでなく、介護スタッフと看護師の安全も守っている、ということです。
管理栄養士は食べることだけでなく生きていける力を支えている
管理栄養士は、単に献立をつくる係ではありません。30人の中には、固いものが飲み込みにくい方、塩分や水分の量に制限が必要な方、咽やすい方、食欲が落ちている方など、様々な状態の方が混ざっています。
この時に大切なのは、「皆が同じおかずを刻んで出す」ではなく、「この方にはこの固さ」「この方にはこのトロミ」「この方にはこの水分量」という細かい調整を、毎日きっちり回せるかどうかです。これが整っていると、食事の時間がただの作業ではなく、「今日もちゃんと食べられたね」という安心の時間に変わります。
管理栄養士が1名きちんと関わると、日中の介護スタッフが食事介助に入る時「どこに気をつけるべきか」がはっきりしますし、看護師が夕方の服薬や水分チェックをするときにも、どの方が脱水になりやすいか、どの方が咽やすいかが共有されます。これはそのまま夜間の急変リスクを下げることにつながります。
30人の生活を1か月単位で見守るなら、管理栄養士は常勤換算で1名分の力があると安心です。毎日の「ちょっと食べ辛そう」が放置されずに修正される、ということは、「ちょっと食べられない日が続いて体力が落ちる」を防ぐことと同じ意味を持ちます。ゆっくりした低下を止める人とも言えます。
生活相談員は家族調整係ではなく安心のハブ
生活相談員は、ご家族との連絡や面会の調整、利用者さんの暮らし方の希望の聴き取り、外部病院とのやり取りといった役割を担うことが多い職種です。言いかえると、施設の外と中をつなぐ窓口です。
この役割があることで、介護スタッフと看護師は、いま目の前にいる方のケアに集中できます。たとえばご家族が「最近咽が多いと聞きましたが大丈夫ですか」と心配されたとき、現場スタッフが入浴介助の手を止めて長い説明を行うのではなく、生活相談員が状況をまとめてお伝えできます。また、面会の時間帯や人数を調整することで、食堂が一気に人で密になり、感染が広がるような場面も防ぎやすくなります。
この「外とのつなぎ役」がちゃんと機能していると、現場がいきなり詰め寄られる、といった緊張が減ります。緊張が減ると、ケアの乱れも減ります。つまり生活相談員は、気持ちの安定を守る役でもあるのです。
30人規模であれば、1か月まるごと回すには、生活相談員は常勤換算で1名分は確保したいところです。これは「書類を書く人」という意味ではなく、「現場の人とご家族の間にワンクッションいて、誤解や不安を膨らませない人」という意味です。精神的な安心と、感染対策と、トラブルの予防を同時に担うので、実は安全そのものを支えるポジションでもあります。
この3つの支えがあるかどうかで夜の安心まで変わる
ここまでお話しした、リハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分。この合計は、30人の利用者さんを1か月見守る上で「表に立つ介護スタッフと看護師を、根っこから支える側」と考えることができます。
数としては合計で5名分ほどの力ですが、その影響は数字以上です。なぜなら、この人たちが「転びにくい姿勢」「飲み込みやすい形」「落ち着いていられる生活のリズム」を日中のうちに整えることで、夕方や夜の時間帯に大きな慌てごとが起きにくくなるからです。
逆に言えば、この支えが薄いと、夜勤の時間帯に「急に苦しくなった」「うまく飲み込めなかった」「落ち着かずに歩き出した」という場面が増えます。夜は人が少ないので、小さな変化がそのまま大きな危険につながりやすくなります。
第1章で触れたとおり、昼間に介護スタッフ6名+まとめ役1名、看護師2名がいることは、その時間帯だけのためではありません。その時間にリハビリ職・管理栄養士・生活相談員がきちんと介入できると、夜の安心まで先まわりで支えられる、ということです。
まとめると、第2章はこういう考え方になります。
30人の生活を安心して続けるには、ただ「体を支える人」だけでは足りません。「その人らしい座り方・食べ方・過ごし方」を整える人が、常勤換算でおよそ5名分必要です。この5名分が、介護スタッフと看護師の肩から静かに重さを取っていき、結果的にその方ご本人の「今日も大丈夫」という1日を、明日にも繋げていきます。
第3章…夜は誰が呼び声に応えるのか~深夜帯の3人態勢という考え方~
深夜は本当に静かな時間なのか
介護の現場にまだあまり馴染みがない方は、「夜は皆が寝ているから落ちついている」と想像されることが多いかもしれません。けれど、要介護3~5の方が30人いらっしゃる場所では、夜は決してただの休憩時間ではありません。
夜はまず、呼吸の変化が出やすい時間帯です。痰が詰まりやすい方は、深夜から明け方にかけて息苦しさが増すことがあります。飲み込みが弱い方は、寝ている間に分泌物が喉にたまって、咳込んでしまうことがあります。咽込みが続くと、すぐに吸引や姿勢の調整が必要になります。
排泄も続きます。夜中でもおむつ交換やトイレ誘導が必要な方が複数いらっしゃいます。褥瘡を防ぐために、体の向きを定期的に変える必要がある方もいらっしゃいます。これは一人では難しい動きで、二人掛かりで丁寧に支えるほうが安全です。
さらに、夜は不安感が強くなりやすい時間帯でもあります。日中は落ち着いていた方が、夜になるとせん妄状態になり、居室から出て歩き回ろうとすることがあります。ふらつきがある方が立ち上がって転倒しそうになれば、すぐそばで支える必要があります。
そしてもう1つ、とても大切なことがあります。夜は職員の数が昼より少ないため、たった1つの出来事が全体を揺らしやすいという点です。例えば嘔吐の片付けに介護スタッフが一時的に付いてしまうと、その間、別の部屋でナースコールが鳴っても誰も動けない、という状況が一瞬で生まれます。夜は、小さな揺らぎがそのまま大きな危険に化けやすい時間帯なのです。
この時間帯を守るために、どんな体制が必要になるのでしょうか。
深夜帯の基本線は「介護2名+看護師1名」
理想的な深夜帯の考え方は、とてもシンプルです。30人のフロアに対して、介護スタッフが2名、看護師が1名。この合計3名で夜の安心を作ります。
介護スタッフ2名というのは、単に「二人なら心強い」ではありません。理由があります。夜中のケアは、二人でなければ安全に行いにくい場面が多いからです。体位変換、おむつ交換、ベッドから車椅子への移乗などは、力任せで一人が抱えあげると、ご本人の腰や肩を痛めたり、支える側の腰を壊したりする危険があります。二人で声を合わせてゆっくり支えることで、転倒やケガを防ぎつつ、相手の尊厳を大切にできます。
介護スタッフが2名いれば、一人が排泄介助や体位変換に入っている間、もう一人がフロア全体を見渡し、徘徊傾向のある方や不安でナースコールを押した方にすぐ向かうことができます。「ちょっと待ってくださいね」が長く続いてしまう状況を、できるだけ短くすることができます。
ここに看護師1名が重なる意味はとても大きいです。看護師は、息が苦しい、熱っぽい、嘔吐が止まらない、といった医療的なサインに早めに気付き、初動の判断をします。「これは頭を少し起こして落ちつくレベルか」「吸引が必要そうか」「すぐに医師へ報告したほうがいいか」。この判断を1分、2分のうちに下せる人が深夜にいることは、そのまま救急搬送までの時間を変えます。
つまり、夜の3名は綺麗に役割が分かれています。介護スタッフ2名で体の安全を守り、看護師1名で命のサインを見逃さない。この3名の組み合わせがあることで、「呼んだけど誰も来ない」という孤独な時間を短くできます。
1名夜勤はなぜ危ないのか
ここで、よくある現場の姿を一つ想像してみましょう。
もし30人のフロアを、深夜に介護スタッフ1名だけで見ることになったとします。その1名が、ある方の嘔吐後の清掃と衣類交換をしている最中に、別の居室で転びそうになっている方が立ち上がったらどうでしょう。どちらかは後回しにせざるを得ません。
つまり、どれほど真面目で力のある職員でも、物理的に二つの場所に同時にいることはできません。これは根性や気合いの問題ではなく「人は分身できない」という当たり前の限界です。
また、夜に看護師がいない場合、苦しそうにしている方を前にしても、介護スタッフはその場でできることがとても限られます。「このまま様子を見ても大丈夫か」「救急に連絡すべきか」を自分だけで決める重圧は大きく、判断が遅れればご本人の負担も大きくなります。逆に、全員を急いで救急搬送するようになると、ご本人にとっても大きな負担になりますし、施設全体としても夜のたびに揺さぶられることになります。
深夜帯に介護スタッフ2名と看護師1名が揃っている、ということは、「その場での迷いと孤立を減らす」という意味でもあります。誰かが辛い時、そこに立ち会ってくれる人が必ずいる。これは単なる勤務形態ではなく、気持ちの安定そのものです。
夕方から夜へのつなぎ目も大事になる
深夜の安心は、実は23時や0時からいきなり始まるわけではありません。夕方から夜は、食事介助、服薬確認、就寝準備、排泄介助、落ち着かない気持ちへの声かけなど、細かいケアが重なる時間帯です。
この時間帯は、介護スタッフ4名と看護師1名の形を基本とします。就寝前は転倒リスクが高まりますし、食事直後は咽やすい方の見守りが必要です。日中の疲れや不安が出やすいころでもあるので、「すぐそばで声をかけられる人」が多めに必要になります。
夕方から夜を4名+1名で支え、その流れのまま深夜を2名+1名に引き渡すと、夜全体が「誰かが必ず見ている」という状態を保ちやすくなります。逆に、夕方の人数が少なくてバタバタしたまま深夜に入ると、未処理の不安や体調の揺らぎをそのまま夜勤帯に持ち込むことになります。準備不足のまま夜を迎えると、深夜の3名にかかる負担は一気に重くなります。
つまり、深夜の安心は、夕方の段階から既に仕込み始めておくものだと言えます。
では1か月丸ごとで見るとどれくらいの人が必要なのか
夜の「介護スタッフ2名+看護師1名」という3名体制を、毎晩8時間程度の勤務帯で欠かさず続けると、合計の勤務時間はかなり大きくなります。
介護スタッフだけで考えると、深夜は1日あたり16時間ぶん(2名×8時間)必要になります。これを7日連続で見れば112時間分です。1人が週40時間働くとすれば、深夜帯だけで約2.8名分の常勤力が必要になります。もちろん実際には夕方から深夜に跨る勤務も含めて全体で回しますから、日中・夕方・深夜を合わせると、介護スタッフは常勤換算凡そ23名分という規模が必要になります。これは第1章でも触れた通り、休みや交代を吸収して30日間切らさないための現実的な数字になります。
看護師も同じです。昼に2名、夕方に1名、深夜に1名という形を毎日続けると、1か月単位で見ると常勤換算およそ7名分の力が必要になります。深夜に看護師1名がいるというのは、毎晩「医療の判断をすぐ下せる人が必ずいる」という状態を30日連続で用意する、という意味でもあります。
大切なのは、「今日はたまたま何とかなった」という日がある、という話ではなく、「毎日同じ水準で過ごせる」という状態をどれだけ安定的に保てるか、という視点です。介護の場では、安定こそが安心です。深夜帯の3名は、その安定を支える最小単位とも言えます。
深夜帯の3名は安心そのもの
ここまでをまとめると、深夜帯に介護スタッフ2名と看護師1名がいる、という3名体制はこういう意味を持ちます。
1つは、「呼んだらちゃんと来てくれる」ことを夜でもあたりまえにする、ということ。もう1つは、「苦しい」「痛い」「不安だ」という小さなサインに、その場で応じられる、ということ。そしてもう1つは、そこで働く人が一人で背負い込んで潰れてしまわないようにする、ということです。
30人のうちお一人でも、夜中に本当に助けが欲しい瞬間は必ずあります。そのとき「誰もいない時間帯」というものを作らない。そのために必要なのが、深夜帯の3名という発想です。
この3名は贅沢ではありません。30人が普通に夜を越えて、明日の朝を迎えるための「これだけは外せない土台」だと言えます。
第4章…もしこの人たちが足りなかったら?~小さな待っててねが大きな出来事になるまで~
夜でも昼でも、「ちょっと待っててね」という一言は当たり前のように聞こえます。けれど、要介護3~5の方が30人暮らしている場所では、その「待っててね」の間に本当に大きなことが起こり得るのです。
ここでは、これまでにお話ししてきた人員配置――昼の介護スタッフ6名+まとめ役1名、看護師2名、夕方の介護スタッフ4名+看護師1名、夜の介護スタッフ2名+看護師1名、そしてリハビリ職3名分・管理栄養士1名分・生活相談員1名分――これらが揃わなかった場合に、どんなことが起こりやすいのかを、ゆっくり辿っていきます。
この章は誰かを責めるためではありません。むしろその逆です。現場の人がどれだけ真面目でも、人数そのものが足りないと、起きて欲しくないことが起きてしまう。そのからくりを、一緒に見ていきます。
食事の後で行きますねの間に起きること
昼の時間帯、本来なら介護スタッフ6名と看護師2名がいて、食事の介助や咽せの確認、薬の内服チェックを同時に進められるのが望ましい状態でした。
ところが、もし介護スタッフが3名や4名しかいないとどうなるでしょう。1名が食事介助に入って、もう1名がトイレ誘導やおむつ交換に入り、残った1名がフロア全体を見る、といった形になります。そこへ「咽込みました、喉が苦しそうです」という方が出た時、今すぐ支えに行ける人がいない、ということが起こります。
咽は一瞬のことですが、要介護3~5の方にとっては、その一瞬が肺炎の入口になりえます。飲み込みが弱い方は、ほんの少しの誤嚥で熱が上がり、体力を落とし、入院に繋がることがあります。本来ならST(言語聴覚士)が座り方やトロミの濃さを調整し、管理栄養士がその方に合わせた食形態を用意し、看護師が様子を見ながら「今日は咽が増えていないか」を確かめるはずの場面が、薄い人員では「とりあえず食べさせ切らないと時間が足りない」という流れになりやすいのです。
ここで大事なのは、「咽た=すぐ大事件」という単純な話ではないことです。実際には、ちょっとした咽込みが何回も何回も重なって、喉や気道に負担が積みあがり、数日後に高い熱が出る、というゆっくりした悪化の方が多いのです。人が足りない、というのは、このゆっくりした悪化を止めるチャンスが毎回1つずつ逃げていく、ということでもあります。
夜の「すぐ行きます」が言えない時に起きること
夜の基本線は、介護スタッフ2名と看護師1名の合計3名で30人を支える、というものでしたね。ではもし、実際に夜のフロアにいるのが介護スタッフ1名だけ、あるいは看護師が不在という状態だとどうなるでしょう。
夜は息が苦しくなる方がいらっしゃいます。痰が詰まって咳が止まらない方、胸がゼイゼイして苦しそうな方。こういう時、本来なら看護師がすぐそばで状態を見て、「頭を少し起こして様子を見ましょう」「吸引しましょう」「これは医師に連絡しましょう」という判断を、その場で下します。
看護師がいない夜は、その判断を介護スタッフ1名にほぼ丸投げすることになります。介護スタッフは本来、体の移乗や排泄介助、体位変換、安全な見守りが専門です。どれほど経験を積んでも、医療判断まで1人で抱えることは大きな重荷です。判断が遅れればご本人の苦しさは長引きますし、逆に「とにかく救急車を呼ぶ」という選択に偏れば、夜ごとに搬送が繰り返され、落ち着いて眠れるはずの時間がどんどん失われます。
さらに、介護スタッフが1名だけの夜を考えてみましょう。その1名が、ある方のおむつ交換と着替え、汚れたシーツの交換に入っている間、別の居室では不安から立ち上がった方がふらついているかもしれません。ここで「ちょっと待っててくださいね」と声を掛けても、実際にはすぐに行けません。ほんの数分の間に転倒してしまい、大腿骨を折る、といったことも現実に起こります。
「夜は静かでしょう?」というイメージは、要介護3~5の30人という世界では、ほとんど当てはまりません。夜はむしろ、目が足りなくなりやすい時間であり、目が足りないことがそのまま大きな事故に直結しやすい時間なのです。
体位変換や清拭が「後回し」になるとどうなるか
褥瘡は、皮ふと骨が圧迫され続けることでできる傷です。寝ている時間が長い方ほど、同じところに圧がかかり続けやすく、赤みや水ぶくれから、深い傷になっていくこともあります。本来は、介護スタッフがふたりで体をそっと支え、体の向きを変え、皮ふの状態を看護師と共有し、PT(理学療法士)が楽な体勢を提案していきます。
ところが人が薄いと、「今は転倒しそうな方を見ているから、体位変換はあとで」「今は嘔吐の処理で手が離せないから、清拭は朝一で」という後回しが、当たり前に起こってしまいます。この「後で」によって、皮ふの赤みは深まり、痛みが強まり、最終的には処置が必要な傷になってしまうことがあります。
一度、深い褥瘡ができると、ご本人は痛みでよく眠れなくなり、眠れなければ昼夜逆転し、昼夜逆転すると日中の不安や歩き回りが増え、転倒の切っ掛けが増えます。つまり、体位変換がその場でできなかった、というただそれだけのことが、何日も先まで尾を引く形で生活全体に影響していきます。
人手が十分なら「今すぐ二人で向きを変えましょうね」が当たり前にできます。人手が足りないと、「今は無理だから、後で」と言わざるを得なくなる。そして「後で」はしばしば、遅すぎた後になります。
生活相談員や管理栄養士が機能しないと現場が直接受け止める負担が跳ねあがる
生活相談員は、本来はご家族との連絡窓口であり、状態の説明役であり、面会の調整役でもあります。この人が十分に関われていない場合、ご家族からの不安の声や質問が、そのまま介護スタッフと看護師に一気に流れ込みます。
「どうしてこんなに痩せたんですか」「何故、咽が増えたんですか」「何故、昨日救急車を呼んだのですか」といった問い掛けに、介護スタッフや看護師が入浴介助や服薬準備を止めて長く対応しなければならない場面が増えます。その間、目の前の30人はどうなるでしょうか。ほんの10分の中断でも、転倒や咽の見守りから人が離れてしまいます。
管理栄養士が薄い場合も似ています。食事が合っていない方が、そのままずっと「食べ辛いけど言えない」という状態になったり、「トロミが足りないから咽やすい」という状態が数日続いたりします。本来なら1日で気付いて直せる小さなズレが、3日、5日、7日と積み重なります。その積み重ねが、後の体調悪化や入院の切っ掛けになることは、珍しくありません。
つまり、生活相談員や管理栄養士がいない、もしくは形だけで実働できていない、という状況は、目の前の介護スタッフと看護師をさらに引っ張り出してしまい、結果的に「現場から人が消える時間帯」を生み出すことになります。
小さな綻びは静かに積み重なっていく
ここまで挙げたことは、劇的な事件ではありません。大声で叫ぶような場面ではなく、むしろ静かに、目立たない形で積み重なります。
昼に咽たのをすぐに見られなかった。夜のコールに「すぐ行くね」が言えなかった。体の向きを変えるのが30分遅れた。面会で不安になったご家族の対応に追われて、他の方の見守りが手薄になった。
1つ1つは、どこの現場でも「あるある」として片付けられそうな出来事です。でも、それが毎日続くと、入院が増えます。体力を落とす方が増えます。お別れのペースが早くなります。そして、現場の職員が心身の限界に近付き、次の月にはもう姿が見えなくなることもあります。
ここで強くお伝えしたいのは、これは職員個人の頑張りや気持ちの問題ではない、ということです。どれだけ真面目でも、どれだけ責任感があっても、一人は二人にはなれないし、同時に2か所へ行くことはできません。
昼に介護スタッフ6名+まとめ役1名、看護師2名。夕方に介護スタッフ4名+看護師1名。深夜に介護スタッフ2名+看護師1名。さらにリハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分。この支えが揃って初めて、「待っててね」を短くし続けることができます。
もし今いる場所が、この体制と大きく違っていたとしても、すぐに誰かを責める必要はありません。ただ、「小さな待っててねが、続いていないかな」と少しだけ心に置いてみてください。小さな待っててねが積み重なり過ぎていないかどうか。それが、30人お一人ずつの安心に繋がる、とても大切なサインになります。
第5章…裏側で施設を止めない人たち~事務・総務・経営の仕事も実は安全そのもの~
事務・総務という目に見えにくい「もう1つの介助」
介護の場を見に行くと、まず目に入るのは介護スタッフと看護師です。体を支える人、薬を確認する人、声を掛ける人。この姿が「介護」という言葉の中心にあるのは間違いありません。
けれど、30人の要介護3~5の方が暮らす場所というのは、そこだけでは回りません。実は、事務や総務の職員も、まったく別の形で同じ命を支えています。直接ベッド脇に立つことは少なくても、「その場で介助できる人員がちゃんとそこに居続けられるようにする」という役目を引き受けています。言い替えると、現場を守るために、現場から少し外に立つ人たちです。
事務は毎月の介護保険請求をまとめ、ミスのない形で提出し、施設に必要なお金が入るようにします。ここが崩れると、単純に言えばお給料が揺らぎ、介護スタッフや看護師が生活できなくなります。人が安心して働けない場所は長く人が残れません。
事務は勤怠や休日の管理も担います。夜勤明けの休みが正しくついているか、急な体調不良で休んだ人のシフトが正確に記録されているか、超過してしまった勤務がどのくらいなのか。こういった調整が曖昧になると、現場の人は「本当は休めるはずの日」に呼び出され続け、アッという間に疲れ果ててしまいます。30日間の安心のためには、「人が人らしい休み方で働けること」も必須であり、その後ろ側を支えるのが事務の役目です。
総務は、物と設備の守り役です。手袋や使い捨てエプロン、消毒液、口腔ケア用品、オムツ、シーツ、防水シートなど、現場で毎日必要になる物を切らさないように手配し、記録し、補充します。お風呂のリフトやベッドまわりの柵が壊れたら修理を呼ぶ。空調が止まればすぐに業者とやり取りする。スプリンクラーや非常電源といった安全装置についても、定期点検を外部とやり取りします。
これらは一見地味ですが、もしこの動きが止まったら何が起きるでしょうか。消耗品が足りなければ、夜勤明けの介護スタッフがドラッグストアに走ることになります。浴室のリフトが壊れたままなら、持ち上げる人の腰に負担が集中します。空調が止まれば、呼吸の弱い方はすぐ危険になります。つまり総務は、「介助の安全そのもの」を物と設備の面から支えている、と言えます。
経営・法人本部の役割も、現場から見ると分かりにくいことがあります。けれどここも、対外との交渉や契約、監査や指導への対応、感染が起きた時の保健所や医療機関との窓口といった、云わば「外からの圧力から現場を守る仕事」を担っています。これを現場の介護スタッフと看護師が同時に受ける形になってしまうと、入浴介助の手を止めて長時間の電話対応をする、といったことが増え、フロアから人が消える時間が生まれます。経営サイドがそこを受け持つことで、現場は目の前の30人から離れずに済みます。
このように見ると、事務・総務・経営は「介護とは別の世界の人」ではなく、「介護と看護が倒れずに立ち続けるための外骨格」のような存在です。体に触れる介助と、制度と設備を整える介助。2つの介助が揃って、初めて安心は毎日維持されます。
人数の目安という考え方
では、30人の入所フロアを1か月とおして安全に動かすには、裏側の職種はどれくらい必要なのでしょうか。ここでも大切なのは「1日だけ」ではなく「30日間ずっと切らさない」という視点です。
まず、物品管理や勤怠・連絡の取りまとめを担う事務の力は、常勤換算で1名分あると安定します。1名分というのは、単なる事務処理だけではなく、家族や病院、役所などからの連絡の一次受けも担い、現場が入浴や食事介助の手を止めずに済むようにする余力まで含めたイメージです。
総務や設備・衛生周りの担当としては、清掃・リネン・消毒・衛生管理で2名分、入浴介助を専門的に支える役割で2名分程度を置くと、介護スタッフが常時フロアを離れずに済みます。入浴は、要介護3~5の方の場合は体を支える力がかなり必要です。専任の職員がいないと、日中の介護スタッフ6名のうち2名3名が長時間お風呂に張りつくことになり、フロア側の見守りが一気に薄くなります。逆に、入浴専任が2名分いると、フロアの介護スタッフは「見守る目」を維持できます。結果的に転倒のリスクや誤嚥の見逃しが減ります。
また、事務や総務と経営サイドがきちんと役割分担が出来ていると、現場の介護スタッフ常勤換算凡そ23名分、看護師常勤換算凡そ7名分、リハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分という中核チームが、本来の仕事に集中しやすくなります。この集中こそが、30人それぞれの「今日も大丈夫だったよ」という感覚を1か月続ける力になります。
数字だけ並べると、裏側には合計で常勤換算凡そ6名分(事務1名分、入浴専任2名分、清掃・消毒・リネン2名分、そして設備や調整役を担う人員としてもう1名分くらい)が必要だというイメージになります。さらに、法人全体の経営・総務ラインとして、対外折衝や採用・契約・監査対応を専門で担う人が0.数名分(例えば0.5名分)関わってくれると、現場スタッフは安心して「現場の声」を口にしやすくなります。「この時間は人手が本当にたりない」「この物品は切らすと危ない」といった声を吸い上げて形にする通り道があるからです。
ここでの大事なポイントは、「裏方の人がいる=贅沢」ではない、ということです。裏方がいないと、介護スタッフや看護師が、夜勤明けでも休めず、書類と電話対応と物品調達に追われ、ついには倒れてしまいます。裏方に常勤換算で6名分+管理役0.5名ぶん程度の力を置くというのは、現場の23名分+7名分+3名分を守るための、云わば土台の厚みと言えます。
バランスが崩れると何が起こるのか
とても重要なのは、この2つの手――現場で体を支える手と、裏側で制度と設備を支える手――の間にバランスがあることです。
例えば、事務や総務や経営の人数は多いのに、夜のフロアでは介護スタッフが1名だけ、看護師がいない、という状況になっていたとしたら、それは単純に「現場が我儘を言っている」という話ではありません。そこでは、呼吸が苦しいと感じた方が深夜に「助けて」と声を出しても、すぐに来てもらえない可能性が高いということです。転倒のリスクが高い方が立ち上がり始めても、傍に駆けつけられる人がいない時間帯が存在するということです。
逆に、裏方が手薄すぎる場合も問題は起こります。物品管理が追いつかず、必要な吸水パッドや口腔ケア用品が切れる。入浴の補助に専任がいないため、日中の介護スタッフがほぼ総出で浴室に張りつき、フロアから目が消える。家族や病院、役所からの連絡がすべて現場直通になり、介護スタッフと看護師が何度も手を止めて説明に走る。その途中で、別の居室のコールが鳴っても「すぐ行きますね」が言えない。こうして、一瞬の間に起きた小さな「待っててね」が、本人にとっては転倒や誤嚥や不安な孤立になっていくのです。
つまり、裏方を置き過ぎても、現場だけで耐えさせ過ぎても、どちらでも安心は崩れます。大切なのは、「現場の手」と「裏方の手」が、お互いの弱いところをちゃんと受け止め合っているかどうかです。
裏側の人たちも実は「暮らしを支える職種」だと言っていい
ここまでをまとめると、事務・総務・経営の職員は、ただの書類係でも、ただの電話番でもありません。30人の生活を1か月間続けるための、もう1つの安全装置です。
事務がいるから、介護スタッフと看護師にお給料と休みが回り、同じ人が同じ場所に残り続けられる。総務がいるから、消毒液も防水シートもベッドの柵もお風呂のリフトも途切れず、介助そのものが安全に行える。経営の窓口があるから、現場は入浴介助の手を止めずに外部と話せるし、感染や設備トラブルの時も正面から受け止めてくれる担当がいる。
つまり、裏側の人たちは、目の前にいるご本人の「今日を無事に終える力」を間接的に支えています。現場の体の手と同じくらい、本質的には生活支援の一部なのです。
そしてこの支えがあることで、昼の介護スタッフ6名+まとめ役1名と看護師2名、夕方の介護スタッフ4名と看護師1名、深夜の介護スタッフ2名と看護師1名、リハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分という中核の配置が、崩れずに続けられるようになります。どれか1つでも欠ければ、他の誰かが無理をして穴を埋めることになり、その無理は必ずどこかで「ちょっと待っててね」の長い時間として表れます。
裏方の手も、介助の手です。30人の安心を毎日を繋げるには、表と裏の両方が揃って初めて「この場所は大丈夫」と言えるのだと思います。
第6章…ご家族として尋ねていいこと~やさしく確認できる質問のヒント~
ご家族としては、「大切な人はここで安心して暮らせているかな」と感じた時に、職員さんにどこまで聞いていいのか、どの言い方なら角が立たないのか、悩むことが多いと思います。ここでは、現場を責める形にならず、しかも本当に大事な実情に近づける聞き方を、いくつかそっと紹介します。
こうしたやり取りは、いま介護を担ってくださっている職員さんを責めるためではありません。むしろ「今の体制の中で、どこが頑張りどころになっているのか」を共有することで、職員さんの味方になることにも繋がります。ご家族が理解してくれると分かるだけで、現場の安心度は本当に変わります。
夜のことを尋ねる
夜は、介護スタッフが2名、看護師が1名いると、30人が「呼んだら来てくれる」状態を保ちやすい、というお話をこれまでしてきました。では、それをどう尋ねればいいでしょうか。
例えば、こういう聞き方があります。
「夜の時間帯は、何人くらいの方が見守りに入っておられるんでしょうか。うちの母(父)が呼んだ時、すぐ来てもらえそうですか。」
これは、「人数、教えてください」というだけではなく、「呼んだら来てもらえるまでの時間」をやさしく聞いています。職員さんは、もし夜に介護スタッフ1名で回している日があるなら、その大変さも含めて率直に話してくれることが多いです。
もう1つ、こんな聞き方もあります。
「夜は看護師さんもいてくださる時間がありますか。咽込みやすいので、ちょっと気になっていて……。」
ここで大事なのは「看護師が常にいないとダメですよね?」という圧をかけないことです。「咽やすいので、どう見てくださっているか知りたいんです」という形にすると、現場も話しやすくなりますし、実際の対応(吸引が必要な方の見守り方法など)も具体的に教えてもらいやすくなります。
もし「深夜は介護スタッフ1名なんです」という答えが返ってきたとしても、その時点で誰かを責める必要はありません。「その場合、呼ばれた時の合図とか工夫ってあるんですか?」と続けると、ナースコールの運用や見回りの頻度など、普段の安全策が見えてきます。
食事や飲み込みのことを尋ねる
要介護3~5の方にとって、食事は楽しみである一方、飲み込みは大きな心配の種でもあります。食事中の介助が手薄だと、咽を切っ掛けに肺炎へ繋がることもあります。この部分は、ST(エスティー/言語聴覚士)、PT(ピーティー/理学療法士)、OT(オーティー/作業療法士)、管理栄養士の関わり方を見るサインにもなります。
例えば、こういう聞き方があります。
「食事の時、何人くらいで見ておられるんでしょうか。母(父)は咽やすいので、姿勢とか、トロミとかって決めてくださっているんですか。」
ここで「決めてくださっているんですか」という言い方をすると、ただ食べさせるだけではなく、「どう食べるか」まで考えてくれているかどうかが分かります。もし施設の側から「この角度で座るようにしています」「このトロミで飲んでいます」という具体的な返答がくるなら、リハビリ職や管理栄養士が機能しているという1つの目安になります。
逆に、「時間がなくて、できるだけ急いで食べてもらってます」というニュアンスが強いとすれば、それは人手がギリギリで、ゆっくり見守る余裕が少ないというサインかもしれません。その場合も「大変なところすみません、家でこういう飲み方をしていたら少し楽そうだったんですが、施設でも合いそうでしょうか」と、提案を共有する形にしてみると、対立ではなく協力になります。
昼間の人手の塊を尋ねる
昼間は、介護スタッフ6名+まとめ役1名、看護師2名という形が、30人を安全に動かす基本線でした。この厚みがあるかどうかは、その施設が日中どれだけ目配りできているかの物差しになります。
聞き方の例です。
「お忙しい時間帯っていつ頃ですか。その時は、だいたい何人くらいで30人の方を見ておられるんでしょう。」
この質問は、「人数は足りているんですか」とストレートにぶつけていません。代わりに、「一番忙しい時間帯」を聞き出しています。介護の現場の方は、その時間帯を基準に話してくれることが多いので、リアルな数字が返ってきやすいのです。
もし「朝ご飯前とお昼前が一番バタバタします。その時間は介護3名と看護1名で回してます」というような答えが返ってきたら、それはその施設がかなりきつい状態で頑張っている、という意味かもしれません。ここで「それだと危ないですよね」と決めつけるより、「そうなんですね、あの、母(父)は立ち上がる時にふらつきやすいので、そういう時って声をかけてもらえてるんでしょうか」と具体的な心配ポイントに落として聞くと、現場の方も「そこは気をつけています」「正直難しい時間帯もあります」と、正直な声を返しやすくなります。
相談員や面会のことを尋ねる
生活相談員は、ご家族と現場の間の橋渡し役です。ここがうまく働いている施設ほど、入所している方ご本人の気持ちも、ご家族の安心も安定します。
こんな風に尋ねるのがお勧めです。
「面会の時、職員さんにまとめて相談できる担当の方はいらっしゃいますか。どなたにお話しすれば近況を教えていただけますか。」
この聞き方は、「誰の手を止めればいいのか」を先に確認する質問です。現場の介護スタッフを突然捕まえて長時間話しこんでしまうと、介護スタッフはあなたと話している間フロアからいなくなります。その隙に別の方が立ち上がり、転んでしまうこともありえます。特定の担当者(生活相談員)が「近況の窓口です」と案内してもらえるなら、それはその施設が「外とのやり取りの負担を現場に押しつけすぎないようにしている」という、1つの良いサインです。
「その方とお話しするのは、どれくらいの頻度でいいんでしょうか。月に1回くらいでもいいですか。」
こう続けることで、無理のないペースを聞き出すことができます。施設にとっても、約束された定期の連絡枠がある方が、お互い落ちついて話せることが多いのです。
聞いた後の受け止め方
ここがとても大切なポイントです。
尋ねて、正直なことを教えてもらった時、「それはおかしいですよ」とすぐ糾弾する必要はありません。ほとんどの現場は、本当に少ない人数で、出来る限りのことをしようとしています。「それは大変ですね……いつもありがとうございます」とまず受け止めるだけで、職員さんはホッとします。
そのうえで、「母(父)が不安そうな時は、遠慮なく呼んでいいと伝えても大丈夫ですか」「すぐでなくても声はちゃんと届くってお伝えしておきますね」と、一緒にできる工夫を確認していくと、ご家族と現場が同じ側に立つことができます。
ここでの理想形は、「敵と味方」に割れないことです。深夜に介護スタッフ2名+看護師1名が必要だ、昼に介護スタッフ6名+まとめ役1名と看護師2名が必要だ、リハビリ職3名分・管理栄養士1名分・生活相談員1名分が必要だ、裏を支える事務や総務に常勤換算で複数名分の力が必要だ、というのは、本来はご本人の安心のためであって、介護スタッフや看護師の贅沢ではありません。
このことを、ご家族と現場が同じ言葉で共有できるようになると、例えば「今日は人手がかなりギリギリです」という本音も出やすくなり、その本音が早めの相談や改善につながります。
「一緒に守りたいんです」というスタンス
最後に、とてもやさしい一言があります。
「母(父)がここで落ちついて過ごせるように、私たちもお手伝いしたいので、気になることがあれば早めに教えてくださいね。」
この言葉は、施設全体の空気を変えます。「クレームを言う人」ではなく「一緒に守ろうとしている人」として、ご家族がその場に立てるからです。職員さんは、守りたい人が30人いることを分かっています。ただ、それを毎日賄うには限界があることも、同じように分かっています。
ご家族が「一緒に守りたい」と口にすると、現場は安心して本音を溢せるようになります。その本音こそが、本当に大切なサインです。
もしその本音から、「夜は一人で見ている時間があるんです」「日中は、どうしても3名で30人を見る時間が出てしまうんです」といった実情が伝わってきたなら、それは責める材料ではなく「じゃあ、その時間に不安が強い時はどうしたらいいでしょう」と、一緒に具体策を相談する入口になります。
安全は、施設だけにも、ご家族だけにも、どちらか一方だけの責任ではありません。30人の生活は、介護スタッフ常勤換算23名分、看護師常勤換算7名分、リハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分、事務や総務など裏側の職員で凡そ6名分といった大きな手の重なりで守られています。その重なりを信頼で繋ぎ直すことは、ご家族だからこそ出来ることでもあります。
優しく尋ね、優しく受け止める。これは、それだけで、毎日の安心を少し長く続ける力になります。
[広告]まとめ…安心は人の数で出来ている~30人の暮らしを守るために本当に必要な人数という考え方~
ここまで、要介護3~5のご高齢のかたが30人暮らしておられる場所をイメージしながら、「安心して1か月を過ごすには、どれくらいの人の手と目が必要なのか」を見てきました。結論だけを一言で言うなら、安心は偶然には生まれず人の数と役割の重なりで形になる、ということになります。
まず日中です。最も動きが多く、最も転びやすい時間帯には、介護スタッフが6名、全体を見るまとめ役が1名、そして看護師が2名。この体制があることで、「今すぐ手伝ってください」という声に応えながら、同時に他の方の安全も見守ることができます。ただ支えるだけでなく、食事中の咽や起き上がりのふらつきといった小さな危険の芽を、その場で潰していける厚みです。
夕方から夜にかけては、介護スタッフ4名と看護師1名という形で、落ちついて眠る準備を整えます。服薬の確認や就寝前の排泄介助、少し不安になって歩き始める方への声かけなど、「夜を静かに迎えるための下拵え」をする時間帯です。ここに十分な手があると、深夜の負荷そのものが軽くなります。
深夜は、介護スタッフ2名と看護師1名という3名の組み合わせが、安心の土台になります。夜は静かな時間ではありません。痰が絡みやすい方、体位を変えないと痛みが出る方、ふらつきやすい方、ひとりで不安になりやすい方が同時にいらっしゃいます。3名いれば、体を支える人と、命のサインを見る人と、フロア全体を見張る人が分かれ、「ちょっと待っててね」の時間を短くできます。これは「呼んだらちゃんと来てもらえる」という当たり前の安心を夜にも残すための最低限の形です。
ただし、介護と看護だけでは安心は続きません。リハビリ職であるPT・OT・STの3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分が、体の姿勢、飲み込みやすさ、気持ちの落ち着き、ご家族との繋がりを日ごとに整えます。この支えがあると、転倒しやすい座り方が見直され、咽やすい飲み方が調整され、「なんだか不安で歩き回ってしまう」という夜の揺れも和らぎます。つまり、日中の工夫が夜の安全にまで届くようになるのです。
さらに、事務・総務・経営の職員も欠かせません。介護保険の手続きや勤務管理、お給料の安定、消耗品と設備の維持、外部とのやり取り。この裏側の働きがあるからこそ、介護スタッフ常勤換算およそ23名分、看護師常勤換算凡そ7名分、リハビリ職3名分、管理栄養士1名分、生活相談員1名分という中核メンバーが、本来の仕事に集中できます。裏の支えが薄いと、現場の人は介助の途中でも電話や事務に呼び戻され、フロアから人が消える時間が生まれます。逆に、裏の支えだけ厚くて現場が薄いという方よりも危険です。大切なのは、両方の手が同じ方向を向いていることです。
つまり、30人の暮らしを1か月安心して続けるとは、「たまたま今日何とかなった」という話ではありません。昼・夕・夜それぞれに必要な人の配置を、休みの日も体調がすぐれない日も含めて、毎日切らさずに回すだけの全体人数を、そもそも用意しているかどうか、ということです。
それは贅沢ではなく、「呼んだら来てもらえる」「苦しいと伝えたら一人じゃない」「明日も今日と同じように起きられる」という当たり前を守るための土台です。人数とは、まさにこの土台の厚みそのものです。
もし、今ご家族が暮らしている場所や、これから入ろうとしている場所で、「夜は誰が傍にいますか」「食事の時、飲み込みやすい姿勢を決めてくださっている人はいますか」「面会や不安な気持ちの相談は、誰が受けてくださるんでしょうか」と尋ねたときに、具体的な顔や役割がすっと返ってくるなら、それは安心のサインです。
そして、譬え返ってきた答えが「実は夜はとてもギリギリなんです」というものだったとしても、それは職員さんのせいではありません。むしろ正直に打ち明けてもらえたなら、その場所には本音を交わせる繋がりがある、ということでもあります。
介護の場は、いつもギリギリです。だからこそ、「今何人で支えているのか」「どの役割がどこまで担当してくれるのか」を、やさしく聞いてもいいのです。それを知ることで、大切な人の傍に本当に必要な手が、ちゃんと揃っているのかどうかを、あなた自身の目で確かめることができます。
安心は、目に見え難いものです。でも、その土台は、ハッキリと目に見える「人の数」と「役割の重なり」です。30人それぞれの「今日も大丈夫だったよ」を明日に繋ぐために、その土台を数えていいし、尋ねていいし、一緒に守ろうとしていいのだと思います。
⭐ 今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m 💖
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