介護技術!食事介助3~止まる瞬間を味方にする咽込み・拒否・眠気の立て直し術~
目次
はじめに…スプーンが止まると、介助は上手くなる
食事介助って、普段は「穏やかに、ゆっくり、にこやかに」。なのに、ある瞬間だけ心臓がバクンと跳ね上がることがあります。そう、スプーンが止まる瞬間です。咽込んだ、顔が強張った、口が開かない、目がトロンとしてきた……。テーブルの上はいつも通りなのに、空気だけがピンと張る。新人さんなら、頭の中で非常ベルが鳴ります。経験者でも「よし、落ち着け」と自分に言い聞かせます。
でも、ここで1つ安心して欲しいのは、止まったこと自体が失敗じゃない、ということです。むしろ「止まった=気づけた」なんです。気づけた人は、守れる。気づけた人は、整えられる。そして整えられたら、食事の時間はまた“安心の時間”に戻せます。食事介助は、スプーン運びの上手さよりも、「止まった時に何をするか」の方が腕が出せる仕事だったりします。
この記事では、現場でよくある3大ストップ――「咽込み」「拒否」「眠気」を、怖い話にせず、でも安全はしっかり守りながら、どう立て直すかを一緒に整理します。合言葉は、根性で食べさせない。焦りで水を流し込まない。早押しクイズみたいに次の一手を出さない。いったん整えて、もう一度“その人のペース”に戻す。これです。
ちなみに、食事介助の上達は、スポーツみたいに派手なガッツポーズが出ません。「今日は無事に終わったな」で終わります。地味です。地味過ぎて、気づくと自分の達成感がどこかへ迷子になります。だからこそ、この記事は“地味な勝利”をちゃんと拾っていきます。止まった瞬間を味方に出来たら、あなたの介助はもう一段やさしく、強くなります。さあ、今回はスプーンが止まった時こそ、出番です。
[広告]第1章…咽込んだ!その1秒で勝負が決まる「安全の段取り」
咽込んだ瞬間って、介助者の脳内にだけサイレンが鳴ります。「ピーポーピーポー!今すぐ何かしろ!」と。けれど、ここで一番強い行動は、実は“急いで何かする”ではなく、“いったん止めて整える”です。咽込みは、飲み込みの交通渋滞みたいなもの。そこにさらに車を突っ込ませたら、そりゃあ渋滞は大きくなります。まずは流れを止めて、道路を広げて、呼吸の通り道を確保する。これが食事介助の王道です。
スプーンは一回、机に置きます。置いた瞬間、あなたの手はヒーローの手になります。「よし、今は運ばない手だ」と自分で決めるだけで、焦りが一段落ちます。次に見るのは、口ではなく胸です。咳が出ているか、息が出来ているか、声は出るか。咳が出るなら、体が自分で守っている最中なので、まずはその働きを邪魔しない。背中をバンバン叩くのは、ドラマではよく見ますが、現場では相手の姿勢が崩れて余計に苦しくなることがあります。支えるなら背中ではなく、姿勢を。ここがポイントです。
咽込んだら「口に入れる」より先に「姿勢を戻す」
咽込んだ時は、姿勢が崩れていることが多いです。食べる本人が前に倒れたり、顎が上がっていたり、逆に丸まり過ぎて胸が潰れていたりします。まず椅子に深く座り直してもらい、骨盤が立つように整えます。テーブルとの距離が遠いと体が前に落ちるので、さりげなく近づける。首は反らせず、顎がフワッと引けるくらいが楽です。
ここで大事なのは、介助者の顔も落ち着くことです。相手は、あなたの表情で「危険度」を感じ取ります。目を見開いて固まると、相手も固まります。だから、声掛けは短くて良い。「大丈夫、ゆっくり息しようね」。これだけ。長い説明は、咽込んでいる人にとっては“難しい宿題”になります。
水を急いで出したくなる気持ちにちょっと待った
咽込んだらお茶、というのは気持ちとして分かります。分かるんですけど、咽込んでいる時に液体を足すと、渋滞しているところにさらに流し込むことになりやすい。ここはグッと我慢して、咳が落ち着くまで待つ方が安全です。落ち着いて、呼吸が整って、本人が「飲める」雰囲気になってから、少量で、ゆっくり。ここで初めて“次の手”が出せます。
介助の現場あるあるで言うと、咽込んだ瞬間にお茶を差し出すあなたの手が、あまりに速くて、本人より先にコップが口元に到着することがあります。本人の中では、まだ咳が仕事中です。「今は口が会議中なんで、来客は後にしてください」と言っているのに、コップがドアをドンドン叩いている状態。だから、会議が終わるまで待ってあげる。これが優しさです。
咽込みの原因は「一口の量」と「次のタイミング」に潜んでいる
咽込みが続く時は、食形態だけでなく、介助のテンポが原因になっていることがあります。ひと口が大き過ぎる、次を出すのが早過ぎる、口の中に残っているのに追加している。本人は飲み込みをしている最中なのに、介助者だけがマラソンで先に走っている状態です。
確認のコツはシンプルで、口の中を全部見ようとしないこと。視線は口元、でも判断は“飲み込んだ後の呼吸”でします。飲み込めた人は、呼吸が戻ります。表情が緩みます。声が出ます。逆に、飲み込みが追いついていない人は、息が浅い、顔が強張る、喉を何度も動かす、目が泳ぐ。こういう小さなサインが出ます。サインを見つけたら、次の一口は小さく、そして待つ。待てる介助は強いです。
「咽込んだ本人の気持ち」を守るとその後が楽になる
咽込んだ後って、本人は恥ずかしさや不安でいっぱいになることがあります。周りの視線が気になって、余計に飲み込み難くなる。だからこそ、こちらは大袈裟にしない。焦らない。笑いに変えるなら、相手を笑うのではなく、場を軽くする笑いです。「今、喉がびっくりしたね、落ち着いたら再開しよう」。このくらいの温度がちょうど良い。
そして、再開は“いきなり元の量に戻さない”。咽込み直後は、体も心も警戒モードです。ここで一口を小さくして、ペースを落として、成功体験を積むと、本人の表情が戻ってきます。「食べられた」という安心が、次の飲み込みを助けます。食事介助は、喉だけでなく心も扱う仕事なんだな、と分かる瞬間でもあります。
咽込みは怖い。けれど、怖いからこそ、段取りが味方になります。スプーンを置く。呼吸を見る。姿勢を整える。落ち着いたら少量で再開する。これを繰り返せるようになると、介助者の心臓の寿命が延びます。次の章では、「食べない」という場面を、探偵の目で解いていきましょう。
第2章…食べないのはワガママじゃない~拒否の正体を当てる探偵タイム~
食事介助で一番心が折れそうになる場面、それは「口を開けてくれない」瞬間かもしれません。スプーンを近づけたら、プイッ。顔を背けて、口はキュッ。こちらの脳内では、さっきまで鳴っていた“咽込みサイレン”とは別の警報が鳴ります。「え、嫌われた?」「私の盛り付けが悪かった?」「今日の私は口臭が強い?」と、余計な自問自答がダッシュで始まるやつです。
でも、ここで一番大事なのは、拒否を“性格”にしないことです。食べないのは、だいたい理由があります。しかもその理由は、本人の口からはっきり出てこないことが多い。だから介助者は探偵になります。名探偵コ〇ンほど走り回らなくて良いけれど、観察の目だけはキラッとさせていきましょう。
拒否の正体は「口」だけじゃなく「体」と「心」に隠れている
食べない理由は、1つじゃありません。例えば口の渇き、入れ歯の違和感、舌や歯茎の痛み、熱さ冷たさの刺激、疲れ、眠気、便秘の不快感、薬の影響、気分の落ち込み、周りの音や人の視線、急かされる感じ。こういうものが重なって「今日は今じゃない」が起きます。
ここでのコツは、スプーンを引くことを“負け”にしないこと。拒否が出たら、いったん食べさせる作業を止めて、整える作業に切り替えます。スプーンを机に置くのは、咽込みの時と同じ。置いた瞬間、あなたは「押す人」から「守る人」になります。
探偵の第一声は「なんで食べないの!」じゃなく「どれがイヤだった?」
拒否に対して真正面から「食べてください!」と行くと、本人はもっと固くなります。ここは、選択肢を渡すとスッとほどけることが多いです。
例えば声掛けはこんな感じが強いです。「今のは、味?温度?それともお口の感じ?」。本人が言葉に出来なくても、こちらが“当てにいく姿勢”を見せるだけで安心します。すると、首を傾げる、眉を顰める、唇を舐める、頬を押さえる、視線が皿の特定の場所に行く。小さなヒントが出ます。探偵は、ここを見逃しません。
そして、当たり前だけど大事なことがあります。拒否が出た時に、介助者の表情が「困った顔」になると、本人はさらに拒否しやすくなります。困り顔は、相手にとって「責められてる気持ち」に変換されることがあるからです。だから、顔は落ち着いて、声は短く、テンポはゆっくり。これだけで“拒否の壁”が薄くなります。
チェックは静かにでも確実に「口の中・姿勢・ひと息」
拒否が出たら、まずはひと息。次に、口の中が乾いていないか、痰が絡んでいないか、咳き込みがないかを見ます。乾きが強そうなら、いきなり食べ物で攻めずに、口腔ケアや少量の水分で整える方が通りやすいです。入れ歯のズレや痛みが疑わしい時は、無理に続けないで確認や調整に繋げます。
姿勢も見直します。体が崩れていると、飲み込みだけでなく「食べる気持ち」も落ちます。椅子に深く座り直す、テーブルとの距離を整える、首が反っていないかを見る。ここを整えると、拒否が和らぐことがよくあります。食事って、気持ちだけじゃなく、体の“構え”で決まるんですよね。
拒否が続く時は「量を減らす」より「成功体験を作る」
食べない時にやりがちなのが、「じゃあ、ちょっとだけでも!」と連打してしまうこと。気持ちは分かるのですが、拒否の時は“連打されるほど”嫌になります。ここは、いったん離れて、再開する時に成功しやすい形へ変えます。
例えば、一口を小さくするだけでなく、本人の得意な食べ方に寄せます。好きな味から入る、温度をちょうど良くする、スプーンの角度を優しくする、ペースを落とす。ほんの一口でも「食べられた」を作ると、表情が戻りやすい。表情が戻ると、飲み込みも戻りやすい。食事介助は、喉に食べ物を運ぶというより、安心を運ぶ仕事なんだなと感じる瞬間です。
これは迷わず連携したい「いつもと違う拒否」
いつもより急に食べない、顔色が悪い、発熱っぽい、意識がぼんやりしている、痛みを強く訴える、咽込みが急に増えた。こういう時は、介助者だけで抱え込まず、看護師さんや医師、管理者、家族への連絡など、施設や現場のルールに沿って早めに連携した方が安全です。拒否はサインです。探偵の役目は、無理に食べさせて事件を大きくすることじゃなく、サインを見つけて“安全に次へ繋ぐ”ことです。
拒否は怖く見えるけれど、見方を変えると「本人の声の代わり」になります。だからこそ、焦らず、責めず、当てにいく。探偵タイムは、あなたの優しさと観察力が光る時間です。次の章では、拒否とちょっと似ているけれど別物の「眠気」を相手にします。眠気は敵じゃなく、体からのブレーキ。ブレーキの扱い方を一緒に見ていきましょう。
第3章…眠気が来たら一旦は休憩~食べる力を戻す「間」の作り方~
食事介助の現場で、じわじわ来る強敵がいます。咽込みみたいにド派手に警報が鳴らない。拒否みたいに分かりやすく顔を背けるわけでもない。なのに、いつの間にか勝っている。そう、眠気です。こちらが一生懸命に「はい、次はこれですよ〜」と優しく声を掛けているのに、本人の瞼は「了解、閉店します」と言わんばかりにゆっくり降りてくる。介助者の心の中では小さくツッコミが入ります。「まだ昼だよ!今寝るのは早いよ!」と。
でも、眠気はサボりではなく、体のブレーキです。つまり、ここで無理にアクセルを踏むと危ない。眠い時は、飲み込みの反応も弱くなりやすいからです。だからこの章の結論はシンプル。「眠気が来たら、休憩は負けじゃない」。むしろ、休憩できる介助者は強い。ここを腑に落とせると、食事介助の難しさが一段やわらぎます。
眠気は「食べる力の電池残量」が減ったサイン
眠気が出てくる時、本人の体は既に頑張っています。食べることは、意外と体力を使う作業です。座る、姿勢を保つ、噛む、飲み込む、呼吸と合わせる。これを繰り返すだけで、頭も体も働きっ放し。そこに薬の影響や睡眠不足、体調不良が重なると、瞼が落ちるのは自然な流れです。
眠気を見つけたら、「眠いんですね」で終わらせずに、探偵の目を少しだけ発動します。食事の前に疲れが強くなかったか、直前にリハビリや入浴がなかったか、夜間の睡眠はどうだったか、いつもより呼吸が浅くないか。こうした情報は、次回の食事の工夫にも繋がります。眠気は、本人の生活リズムを教えてくれるメッセージでもあります。
まずやるのは「止める」そして「整える」
眠気が出てきたら、咽込みの時と同じで、スプーンはいったん置きます。置かないと、介助者は無意識に「せっかく用意したから進めたい」モードに入ってしまうからです。スプーンを置くのは、自分の心を整えるスイッチでもあります。
次に見るのは、姿勢と呼吸です。眠くなると、体が前に崩れやすくなり、顎が上がったり、首が傾いたりします。これは飲み込みにとって危険な形になりやすいので、椅子に深く座り直してもらい、骨盤を立てて、首を安定させます。声掛けは長くしない。「少し休もうね」「ひと息しようか」。短くて優しい一言が、本人の安心に繋がります。
休憩の上手さは「何分休むか」より「どう戻すか」
休憩は大事。でも、休憩したら必ず再開できる、というわけでもありません。だから、休憩の目的をはっきりさせます。「眠気をゼロにする」のではなく、「安全に食べられる状態に戻す」。これがゴールです。
例えば、ほんの数分の休憩でも、呼吸が整って表情が戻ることがあります。逆に、休憩しても目が開かない、声掛けに反応が薄い、頭がガクンと落ちる。こういう時は“今日はここが限界”の可能性があります。ここを無理に押すと、咽込みや誤った飲み込みに繋がりやすい。だから介助者は、勇気を持って引く判断も持っておく。これがプロの優しさです。
そして再開する時は、いきなり普通の一口に戻さず、まず成功しやすい形から始めます。量を小さく、ペースを落として、本人が「いける」と感じるところから。食べられた成功体験が出ると、眠気の霧が少し晴れることがあります。
眠気を減らす工夫は「食事中」より「食事前」に効く
眠気が毎回強い人は、食事の時間帯や直前の流れを見直すと改善することがあります。例えば、食事前にトイレを済ませて不快感を減らす、口の中を湿らせて刺激を整える、座位を早めに作って体を起こす時間を確保する。こうした準備は地味ですが、眠気への対策としてはかなり強いです。
また、食べる順番も工夫になります。最初は香りが立つものや、本人が好きな一口から入ると、目が覚めやすいことがあります。逆に、飲み込みに不安がある人に刺激が強過ぎるものを最初に入れるのは危険なこともあるので、ここは個別性が大事です。つまり、眠気対策も「その人の今日に合わせる」が合言葉になります。
眠気が強い日は「連携のタイミング」でもある
いつもより眠気が強過ぎる、意識がはっきりしない、食後もぐったりが続く、発熱や脱水っぽい、呼吸が苦しそう。こういう時は、食事介助だけで何とかしようとせず、看護師さんや医師、管理者と早めに共有しておく方が安全です。眠気は、体調の変化を知らせるランプになることがあります。
眠気の場面って、介助者の中に罪悪感が生まれやすいんです。「せっかく用意したのに」「食べてもらわなきゃ」。でも、食事介助は“完食させる競技”ではありません。安全に、気持ち良く、出来る範囲で。休憩を挟めたあなたは、それだけで上手い。次の章では、咽込みや眠気をまとめて減らすための「ひと口の量とペース」の話をします。ここを押さえると、ヒヤリがグッと減りますよ。
第4章…ひと口の量とペースはハンドル:ヒヤリを減らす運転テクニック
食事介助のヒヤリって、咽込みや拒否や眠気みたいに“事件っぽく”見えるものが主役になりがちです。けれど実は、もっと地味なところに黒幕がいます。そう、「ひと口の量」と「次のタイミング」。この2つは、介助のハンドルです。ハンドルが切れ過ぎるとカーブで酔うし、切らなさ過ぎると壁にぶつかる。つまり、量とペースを整えるだけで、ヒヤリの多くが静かに減ります。派手な技ではないけれど、ここを押さえると介助が急に“安定運転”になります。
介助者のあるあるとして、「ひと口を小さく」と習った瞬間、急に米粒1つみたいな量をスプーンの先に乗せてしまうことがあります。本人からすると、「え、今、何食べた?風?」みたいになる。小さければ良いわけではなく、“飲み込める量の中で、本人が食べた感がある量”が目標です。ここが難しいし、面白いところです。
量を決める基準は「スプーン」より「本人の飲み込みの速さ」
ひと口の量は、介助者の感覚で決めがちです。でも本当は、本人の飲み込みの速さが基準です。飲み込みが早い人は少し多めでも大丈夫なことがあるし、ゆっくりの人は少量でも時間が必要です。つまり、同じスプーンでも、同じメニューでも、ひと口は毎回同じじゃなくて良い。
見るポイントは、口に入れた後の“呼吸の戻り”です。飲み込めた人は、息がフッと戻ります。表情が緩みます。目線が合います。逆に、飲み込み途中の人は、息が止まり気味になったり、喉を何度も動かしたり、目が泳いだりします。介助のリズムは、ここに合わせます。こっちが走らない。本人の呼吸のテンポに合わせて歩く。これが安全運転です。
ペースは「次を出す早さ」ではなく「待つ力」で決まる
食事介助が上手い人って、スプーンを動かすのが早い人ではありません。待てる人です。待つのは、何もしないことではなく、観察して整える時間です。本人が飲み込みを終えるまでの間に、姿勢が崩れていないか、口角が下がっていないか、疲れが出ていないかを見ています。だから、待つ人ほど事故が少ない。
ここでの注意点は、介助者が“沈黙に耐えられない”とペースが速くなること。沈黙が不安で、つい声をかけ続けて、つい次を出してしまう。けれど本人は、飲み込み中に会話を詰め込まれると負担になることがあります。声かけは短くて良い。「ゆっくりで大丈夫」「飲み込めたら教えてね」。そして、待つ。あなたの沈黙は、相手の安全を守る優しさです。
「口の中に残っているのに次を入れる」連鎖を断ち切る
ヒヤリが増える典型パターンが、口の中に残っているのに次を入れてしまう連鎖です。本人は飲み込みが追いついていないのに、介助者は“進めたい気持ち”で追加してしまう。すると、口の中が渋滞して、咽込みやすくなる。本人も不快で、拒否が出やすくなる。眠気も出やすくなる。つまり、3章までのトラブルが全部ここに繋がってきます。量とペースは、全部の根っこなんです。
この連鎖を切るコツは、「ひと口ごとに区切る」意識です。ひと口が終わったら一拍置いて、呼吸の戻りを見る。本人が目線で合図をくれる人もいます。頷きや、口がフッと緩む瞬間。そういうサインが出たら次へ。サインが出ない日は、さらに待つか、休憩に切り替える。介助者の判断が、本人の喉を守ります。
食べる順番は「本人が楽な順」に変えるだけで流れが良くなる
同じ献立でも、食べる順番で難易度が変わることがあります。本人が飲み込みやすいもの、香りが立つもの、好きな味のものから入ると、表情が戻ってペースが整いやすい。逆に、後半に疲れてくる人は、重要な栄養が入っているものを前半に寄せる工夫もあります。これは栄養や形態の話とも繋がるので、現場のルールや専門職との相談も大切です。
大事なのは「この順番が正しい」と決めつけないこと。正しい順番は、いつも本人の中にあります。あなたはそれを探して、今日のベストに近づける役目。探偵が再登場します。
介助者の手元も「安全のハンドル」になる
量とペースの話は、食べ物の話だけじゃありません。スプーンの角度、口に入れる位置、唇の開きやすさ。こうした手元の工夫でも、飲み込みは変わります。例えば、スプーンを真正面から突っ込むと、本人が反射的に顔を引くことがあります。口角からそっと入れて、唇に触れて「今から入るよ」と合図を出す。これだけで、拒否や咽込みが減る人もいます。
そして、介助者が急ぐと手が雑になります。雑になると、本人の緊張が上がる。緊張が上がると、飲み込みが難しくなる。だから、あなたが落ち着くことが、最高の技術です。結局そこに戻るんですよね。食事介助は、手より先に心が動く仕事です。
ひと口の量とペースを整えると、咽込みが減る。拒否が減る。眠気の“危ない感じ”が減る。そして何より、本人の表情が変わります。「安心して食べられる顔」になる。ここまで来たら、もう介助はかなり上手いです。次はまとめで、今日の話を“現場で使える合言葉”として、気持ちよく締めましょう。
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食事介助で本当に肝が冷えるのは、スプーンを持っている時間よりも、スプーンが止まる時間でした。咽込んだ、食べない、眠くなった。どれも現場では珍しくないのに、毎回ちょっとだけ胸がザワつく。けれど今日の話をまとめるなら、そのザワつきは「気づけた証拠」です。気づけた人は、守れます。守れる人は、整えられます。整えられる人は、食事の時間を“安心の時間”に戻せます。
咽込みは、体が自分を守っている最中のサインでした。だからこそ、急いで何かを足すより、いったん止めて、呼吸と姿勢を整える。拒否は、我儘ではなく「今はここがつらい」というメッセージでした。だからこそ、責めずに探偵になって、本人の小さなヒントを拾っていく。眠気は、食べる力の電池残量が減ったサインでした。だからこそ、休憩は負けではなく、安全に戻すための立派な作戦。どの場面にも共通していたのは、“根性で押さない”という姿勢です。
そして、静かな黒幕として登場したのが、ひと口の量とペースでした。ここが整うと、咽込みも拒否も眠気も、面白いくらい落ち着いていきます。介助者が早押しクイズみたいに次の一手を連打しなくなり、本人の呼吸と表情を見ながら運転できるようになる。これが、安定運転の食事介助です。派手な技は少ないのに、結果はしっかり変わります。地味な勝利が積み上がります。
食事介助のゴールは、完食でも、スピードでもありません。安全に、気持ちよく、出来る範囲で。その人の今日に合わせることです。昨日できたことが今日は難しい日もあるし、逆に昨日はダメでも今日はスッと進む日もある。だから介助者は、いつも“今日のその人”と向き合います。これって、料理の提供というより、安心の提供です。あなたが落ち着いてスプーンを置けた瞬間、もう介助は一段うまくなっています。
最後に、現場のあなたへ、こっそり合言葉を置いておきます。「止まったら、勝負どころ」。焦って進める合図ではなく、整えて守る合図です。スプーンが止まると、介助は上手くなる。そう思える日が増えたら、あなたの食事介助はきっと、本人にとっても、あなた自身にとっても、優しい時間になっていきます。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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