理事長の2月職員旅行~冬の光と花と富士山で心の遠足ツアー~
目次
はじめに…事務長は施設でお留守番~私たちは理事長に拉致されました~
2月の朝って、空気が「キュッ」としてますよね。吐く息が白くて、耳が冷たくて、手袋の中の指だけが人生を諦めかける。そんな日に限って、理事長は元気です。
「皆さん、冬こそ観光です。冬はね、“光”が違うんですよ。あと花も咲きます。え、花?って顔しましたね。咲きます」
その言い方がもう、勝ち確定のテンション。職員一同は、眠気とコーヒーと小さな不安を抱えて、バスに吸い込まれていきました。ちなみに今回、事務長は施設でお留守番です。理事長いわく「誰かが砦を守らねば」。事務長いわく「私は観光より、今日のシフトを守りたい」。その会話だけで、既にツアーは始まっています。
今回の理事長ツアーのテーマは、ざっくり言うと「冬の中にある春の予告編」と「寒いからこそ見える景色」です。雪の中で咲くように見える花たち、空にすっと立つ光の柱、そして2月23日の“富士山の日”に向けた、富士山の見え方トーク。見えるか見えないかは運ですが、語るのは理事長の得意技です。見えなかった場合の言い訳まで、すでに用意している顔をしています。
さて、花を見に行くと言いながら、何故か理事長は途中で「胃袋の準備も大事です」と言いました。観光と食事を同列に扱う辺り、さすが理事長。職員の士気は、だいたい食堂メニューで上下しますからね。
というわけで、事務長に安全運転(施設運営)を託しつつ、私たちは2月の冷たい風に背中を押されて出発します。寒いのに、何故か心がちょっと明るくなる。そんな旅のはじまりです。
[広告]第1章…雪の中で咲く4人組~花より団子でも香りに負ける朝~
バスが到着したのは、冬の空気が一番「透明」になる時間帯でした。職員の肩は寒さで上がり、理事長の肩は何故か誇らしげに上がっています。理事長は到着するなり、手袋をパンパンと叩いて言いました。
「皆さん。冬に花がないと思ったら、それは“見てないだけ”です。今日は冬の4人組に会いに来ました」
冬の4人組。職員の頭に浮かんだのは、頼もしさよりもまず「誰のことだろう」という疑問でした。すると理事長は、まるで名探偵が犯人を当てる直前の顔で続けます。
「ロウバイ、ウメ、スイセン、そしてツバキ。雪の中でも咲くんですよ。だから“雪中四花”なんて呼ばれたりします」
言い方が格好良い。格好良いのですが、職員の胸には別の感情も湧いていました。『花って、寒いと長居できないんだよな』という、現場のリアルです。けれど、その次の瞬間、皆の表情が変わります。理由はシンプルで、ロウバイの香りがフワッと来たからでした。
あれは反則です。冬の空気って、基本は無口じゃないですか。そこへ、甘い香りが「どうもどうも」と名刺を差し出してくる。思わず深呼吸してしまい、深呼吸したら鼻が冷えて、鼻が冷えたら今度は笑いが出る。職員たちは、勝手に“香りに整えられる”体験をしました。
理事長はその瞬間を見逃しません。「ほら。花はね、見た目だけじゃありません。香りで心が先に春になるんです」と、さも最初から全員が感動する予定だったかのように頷きます。職員の一人が小声で「理事長、今日一番の名言出ました」と言い、別の職員が「でも名言の前に、カイロ配ってほしい」と続けました。現場はいつだって、詩と実務が同居しています。
歩いていくと、ウメの枝がキュッと締まった姿で並んでいました。花はまだ「咲きますけど、今じゃないです」みたいな表情のものもあり、それがまた良いんです。冬の終わりに咲くウメは、いわば“春の予告編”。理事長は「ウメは急ぎません。人も急がなくて良い」と言いました。言った直後に「次、集合写真いきます、急いでください」と言ったのは、たぶん寒さのせいです。
そしてスイセン。白や黄色が、冬の地面にポツンと灯りを置いたみたいに見えます。理事長は急に真面目な声になって、「スイセンは、外に出られない日が続いても、窓から見えるだけで救われる花です」と言いました。これには職員も頷きました。介護の現場でも、ほんの小さな色や匂いが、その日の空気を変えてくれることがあるからです。花はしゃべりませんが、ちゃんと働きます。私たちと同じで、静かに仕事をします。
ツバキの話になったところで、理事長が急に“豆知識のスイッチ”を入れます。「ちなみに“雪中四花”はツバキが入ることが多いんですが、“雪中四友”という言い方だとサザンカが入ることもあります。ほら、似てるでしょう。ここで混ざると、春まで引きずりますよ」
職員は思いました。花の名前で引きずる前に、理事長のツアー運営で引きずりそうだな、と。でもこういう小ネタがあると、帰ってから誰かに話したくなるんですよね。「冬の4人組には名簿が2種類あるんだよ」と言えるだけで、その日がちょっとだけ“自分の物語”になります。
最後に理事長は、ロウバイの前で立ち止まり、全員に聞こえる声でまとめました。「冬の良いところは、寒いことじゃありません。寒いからこそ、光と香りと色がはっきりすることです。さあ、次は空に行きます。首のストレッチは済みましたか?」
職員の首はまだ起きていません。けれど、心は少し解凍されていました。花より団子のはずが、香りに負ける朝。こういう負けなら、悪くないですね。
第2章…空に立つ光の柱~サンピラー探しで首が体育会系になる~
「次は空です」
理事長がそう言った瞬間、職員の何人かは心の中で呟きました。『空って、移動できるんだっけ?』と。けれど理事長の頭の中では、空は観光地です。しかも入場料無料。厄介なのは、見えるかどうかが“空のご機嫌次第”なところだけ。理事長はそこを、逆に燃料にします。
「皆さん、今日は“サンピラー”を狙います。太陽柱。太陽の光が、縦にスッと立つやつです。冬の空に、光の支柱が立つ。もうロマンでしょう」
ロマン、と言いながら理事長は妙に実務的で、職員に向かって手を上げました。「まず安全確認。太陽を直視しない。これ大事です。太陽は、眩しいだけじゃなくて、目にダメージを残します。だから、建物とか電柱とか、何かで太陽本体を隠して、その周りを探す。いいですね?」
理事長がちゃんと安全を語ると、職員の安心感が増します。普段の現場でも「安全第一」を繰り返している人の言葉は、観光でも効くのです。ただし、次の瞬間に安心感は別のものに上書きされました。理事長が「それでは、首を鍛えましょう」と言ったからです。
さて、サンピラーというのは、太陽の近くに“縦の光の柱”が現れる現象です。冬の空気が冷えた時、空に小さな氷の結晶が漂っていると、光が反射して柱のように見えることがある、と言われています。つまり、冬の空がこっそり鏡を持っている日がある。理事長はそれを「空の演出係が本気を出す日」と呼びました。言い方がちょっと舞台監督です。
現場に着いたのは、朝と昼の境目くらいの時間。太陽は高くなりきる前で、空は青く、風は冷たい。そして職員は、さっきまで花の香りで解凍されていたのに、ここで一気に「顔面が冷蔵庫」になります。理事長は嬉しそうに言いました。
「こういう日ですよ。空気が澄んで、薄い雲がある。氷の粒がいるかもしれない。期待できます」
期待は、出来る。出来るけれど、見えないかもしれない。職員の心の中には、既に保険がかけられていました。『見えなかったら、昼ご飯が早まるだけだよね』という、胃袋保険です。ところが理事長はその保険すら読み切ったように、にやりとします。
「見えなかった場合も、学びは残ります。“見えない空を見上げる”って、普段やらないでしょう? 今日の観光は、首の可動域と心の可動域を広げるツアーです」
言い方が格好良い。格好良いのですが、職員の首は正直です。見上げては下げ、少し角度を変えては見上げ、日陰に移動しては見上げる。気づけば全員、同じ方向を向いて首を傾けています。遠目に見たら、集団で“空に質問している人たち”です。
そんな時、誰かが「あれ、縦に…薄く…?」と声を上げました。全員の視線が集まります。理事長は即座に太陽を電柱の影に隠す位置へ誘導し、指を差しました。
「ほら、見えますか。太陽の上に、スーッと縦の明るい筋。あれが太陽柱っぽいやつです。派手じゃなくて良い。控えめに出るのが冬の美学です」
控えめに出る冬の美学。職員は、その言葉に救われました。何故なら、見えるような見えないような、微妙なラインだったからです。けれど不思議なもので、あの“微妙さ”が逆に記憶に残ります。くっきり見えた絶景より、「本当に今見た?」の方が、後で何度も思い出すんですよね。
写真を撮ろうとする職員が現れ、理事長はまた実務モードに入ります。「撮るなら、画面を少し暗めに。太陽はフレームに入れなくても良い。入れるなら隠す。あと、撮れなくても落ち込まない。現象って、体験した人の心に残るのが本命です」
この言葉は、介護の現場にも通じます。目に見える変化より、“その人が安心した顔”の方が大事なことがある。理事長は観光でそれを言うから、職員の胸にスッと入ってきます。ちょっと悔しいくらいに。
そして最後に、理事長は空を見上げたまま言いました。
「冬は寒い。でも寒いから、光が立つ。花が香る。富士山がクッキリする。つまり今日のテーマは一貫してます。寒さは敵じゃなくて、舞台装置です」
舞台装置。確かにそうかもしれません。職員たちは首をさすりながら、次の目的地へ向かいました。身体は寒いのに、心はジワッと温かい。こういう矛盾が、冬の観光の旨味なのだと、理事長に一杯食わされた気がしました。
第3章…2月23日は富士山の日~見えたら勝ちで見えなくても語り勝ち~
「みなさん。富士山は、“見えたらラッキー”じゃないんです。“見えなくてもネタになる”んです」
理事長が急に断言したので、職員一同はバスの中で小さく頷きました。観光って、天気に左右されるものだと思っていたのに、理事長は天気そのものを“素材”に変えてくるタイプです。しかも、一番強い素材が富士山。冬の富士山は、空気が澄んでいると輪郭がキリッとして、雪化粧が入っただけで「いつもの山」が「主役の山」になります。
そして2月23日は「富士山の日」。理事長はこの言葉が大好きです。語呂の話をしないと気が済みません。
「ふ・じ・さん、ですよ。2・2・3。今日はそれを、職員旅行で身体に刻みます」
身体に刻む、という言い方が妙に怖い。けれど理事長の言う“刻む”は、たいてい写真とお土産と胃袋のことです。怖がって損をするタイプの人でした。
目的地に近づくにつれ、職員たちの目線は自然と窓に吸い寄せられます。見えるか、見えないか。バスの中に静かな緊張が走る。まるで大事な申し送り前の空気です。すると理事長がニヤッとして言いました。
「期待してる顔、良いですね。現場でもその顔が欲しいです」
職員の胸に、ちょっとだけ刺さりました。図星の針は、冬でもよく通ります。
やがて、遠くの空に白い三角形が薄っすら見えた気がしました。誰かが「あっ!」と声を上げて、全員が同じ方向を見る。理事長はここぞとばかりに、窓側の席に身体を寄せました。
「ほら、見えますね。富士山は、見えた瞬間だけじゃなくて、見え始めの“気配”が良いんです。はっきりしないのに、そこにいる。まるで、夜勤の見回りで静かに安心をくれるベテラン勢みたいでしょう」
たとえが介護現場すぎて、職員は笑いました。笑いながら、何故か少しだけ誇らしい気持ちになったのも事実です。富士山を褒めているのに、職員も褒められた気になる。理事長はそういう“言葉の使い方”をしてきます。ずるい。
理事長の富士山講座~見える日は褒めて見えない日は語る~
展望ポイントに着くと、理事長は全員を集めました。寒さで足踏みする職員に向かって、理事長は何故か堂々と立っています。あの人だけ、寒さを“演出”として楽しんでいる節がある。
「冬の富士山は良い。空気が澄むと、輪郭がクッキリする。雪が入ると、山が『完成形』になる。ここで大事なのは、見えたら拍手、見えなくても落ち込まないことです。雲は悪役じゃありません。雲は雲で、富士山を引き立てる脇役です」
脇役扱いされた雲が、ちょうど富士山の上を通過していました。富士山が見えたり隠れたりするたびに、職員のテンションも上下します。まるで血圧計のメモリみたいに。理事長はその様子を見て、満足そうに頷きます。
「ほら、皆さんの心が動いてる。観光って、心拍数のリハビリみたいなところがあります」
理事長、言い方がいちいち現場寄りです。職員もつい「その理屈、委員会に出して良いですか」と返したくなります。でも返す前に、理事長が続けました。
「それに、今日は“富士山の日”に近い時期です。富士山を見に行く日じゃなくて、富士山を大事に思う日。見えたら嬉しい。見えなくても、思えば届く。……ほら、良い話になってきましたよ」
最後の一言が急に自画自賛で、職員は吹き出しました。良い話を自分で台無しにして、笑いに変える。これも理事長の技です。施設の朝礼でも同じ芸風なので、ある意味いつも通りでした。
見えないときの救済策はだいたい食べ物にある
富士山が完全に雲に隠れたタイミングで、理事長は腕時計を見て言いました。
「よし。見えない時間は、昼食で取り返しましょう。富士山が隠れている間に、私たちの胃袋を育てるんです」
職員は思いました。ああ、ここで“胃袋の準備も大事”が回収された、と。観光が天候に負けても、昼食はだいたい裏切りません。理事長のツアーは、ちゃんと救済ルートが用意されているのです。
食事処へ向かう道すがら、職員の一人がポツリと言いました。「事務長、今ごろ施設で『皆さん楽しそうですね』って顔してるのかな」
別の職員が返します。「いや、事務長はたぶん、静かに書類を積んで、こっちの写真を待ってる。後、お土産の中身も」
理事長がそれを聞いて、ニヤッと笑いました。
「事務長には、富士山の話をたっぷりしてあげましょう。見えた富士山より、語られる富士山の方が長持ちしますから」
こうして第3章は、富士山が見えたかどうかの勝負で終わらず、結局は“語りの勝負”で締まりました。冬の富士山は、姿だけじゃなく、話の芯まで冷たく澄んでいる。理事長が言いたかったのは、たぶんそこです。
第4章…帰りのバスは反省会~理事長の名言と職員の胃袋が一致団結~
昼食を終えた職員たちの表情は、朝とは別人でした。顔色が良い。目が開いている。声が出る。これはもう、観光の成果というより“食事の成果”です。理事長はその様子を見て、満足そうに言いました。
「良いですね。人は温かい汁物で更生できます」
更生という言葉の使い方が独特ですが、だいたい合っています。現場もだいたい、温かい飲み物と小さなおやつで回る時間帯がありますからね。職員一同は、バスの座席に吸い込まれながら、冬の外気と車内の温もりの差で、ジワジワと眠気が戻ってくるのを感じていました。
が、理事長は眠気の侵入を許しません。帰りのバスは、理事長ツアー名物の「反省会」タイムです。反省会と言っても、怒られるわけではありません。理事長が勝手に“まとめたくなる病”を発症して、今日の出来事を名言風に加工していく時間です。
「さて、今日の学びを整理しましょう。まず花。冬の花は、黙って咲く。香りで先に春を連れてくる。これは現場でも同じです。声を荒げなくても、空気は変えられる」
職員は頷きながら、心の中で思いました。『理事長、今の話、来月の研修で使う気だな』と。理事長の名言は、だいたい次の会議資料に転生します。
「次にサンピラー。空に光の柱が立つのは、氷の粒が揃うからです。つまり、ちょっとした条件が揃うと、景色は変わる。人も同じです。ほんの少しの声掛け、ほんの少しの工夫、ほんの少しのタイミング。柱が立つ」
職員の中で「柱が立つ」という表現がジワジワ来て、笑いをこらえる空気が生まれました。けれど笑いが生まれるのは悪いことじゃありません。笑いは、疲れの出口です。理事長はたぶん、それを分かっていて“わざと”言っています。ずるい人です。
「そして富士山。見えたら最高。見えなくても最高。何故か。語れるからです。見えないことを嘆くより、見えないことを語る。これはね、現場でも強い」
ここで職員の一人が、ポツリと口を挟みました。「理事長、それ、失敗した時の言い訳にも使えそうですね」
理事長は即答しました。「使えます。ただし“言い訳”ではなく“次への言語化”です。言葉に出来る失敗は、次に持っていける」
ちょっと良い話になりかけたところで、前の席から別の職員が手を挙げます。「理事長、今日一番の思い出は、富士山より昼食でした」
車内が笑いで揺れました。理事長は負けません。
「それは正しい。胃袋は裏切らない。胃袋が満たされると、心も落ち着く。心が落ち着くと、言葉が優しくなる。言葉が優しくなると、現場が回る。つまり昼食は、立派な職員研修です」
理事長の理屈が強引過ぎて、逆に拍手が起きそうでした。けれど、その流れの中で、ふと“施設に残った事務長”の話題が出ます。誰かが「事務長、今頃、静かに仕事してますね」と言うと、理事長は少しだけ声のトーンを落としました。
「事務長が守ってくれてるから、私たちは外に出られる。これは当たり前じゃない。だから、帰ったらまず一言です。“ありがとうございました”ってね。お土産は……まあ、気持ちです。気持ちは重たいほど良い」
職員が「気持ちって、どのサイズですか」と聞くと、理事長は笑いながら「手提げに入る範囲で最大」と答えました。結局そこに落ち着く辺り、理事長も職員も、実務の世界に生きています。
バスの窓の外では、冬の景色がゆっくり後ろへ流れていきます。花の香りを思い出し、首の痛みを思い出し、富士山の輪郭を思い出し、昼食の味を思い出す。全部がごちゃ混ぜになって、何故か心は軽い。理事長は最後に、今日のツアーを締める一言を置きました。
「冬は寒い。だから、温かい物が沁みる。今日の旅で、皆さんの“沁みる感覚”が少し戻っていたら、それが成功です。では、帰ったら通常運転。現場は現場で、ちゃんと美しいですから」
職員の何人かは、頷きながら目を閉じました。眠気に負けたわけではありません。たぶん、心が一段落したのです。理事長ツアーの反省会は、結局“反省”ではなく“回復”でした。冬の観光って、こういうところが妙に効くんですよね。
[広告]まとめ…事務長へ~留守番をありがとうございました~(お土産は気持ちです)
こうして理事長の2月職員旅行は、無事に施設へ帰還しました。冬の花に鼻を奪われ、空の光の柱に首を奪われ、富士山に視線を奪われ、最後は昼食に魂まで奪われた一日でしたが、不思議と「持っていかれた」感じはしませんでした。むしろ、冷たい空気に当たった分だけ、心の中のモヤッとしたものが少し薄くなって、呼吸が深くなったような気がします。
冬って、寒いのに、ちゃんと“色”があります。雪の中で咲く花は、春の予告編として、香りで先に私たちをほぐしてくれました。サンピラーは、見えるか見えないかのギリギリのラインで、空を見上げる時間そのものがご褒美になることを教えてくれました。富士山は、見えたら最高、見えなくても語れる最高で、気持ちの持っていき方1つで旅の意味が変わることを見せてくれました。
そして何より、帰りのバスで理事長が言った「寒さは敵じゃなくて舞台装置」という言葉が、地味に効きました。現場でもそうですよね。しんどい条件があるからこそ、温かい声掛けが沁みるし、ちょっとした気配りが光る。忙しさがあるからこそ、笑いが救いになる。今日の旅は、観光の形を借りた“心のメンテナンス”だったのかもしれません。
最後に、施設で砦を守ってくださった事務長へ。今日の私たちは、花や空や富士山を見ながら「事務長の背中って、こういう日常を支えてるんだな」と、何度も思い出していました。帰ってきたら、まず言いたいのは一言です。留守番、ありがとうございました。
……それと、お土産はあります。ええ、ありますとも。理事長が「気持ちは重たいほど良い」と言ったので、手提げに入る範囲で最大の“気持ち”を詰めてきました。中身は開けてからのお楽しみということで。次回の職員旅行は、事務長も一緒に行けますように。理事長の予定表が、そこだけ優しくなりますように。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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