3月7日“サウナの日”に施設が沸く!~足湯でととのう春レク物語~

[ 3月の記事 ]

はじめに…理事長が「サウナ導入だ!」と言い出して事務長が静かに白目

3月に入ると、空気はまだ冷たいのに、日差しだけがやたら前向きになりますよね。そんな季節にピッタリの小ネタが「3月7日・サウナの日」。……と聞いた瞬間、うちの理事長が目をキラッとさせました。

「よし、施設にサウナを作ろう。今の時代、整いは大事だ」

その横で事務長が、声に出さずに言いました。「それは整う前に、会議が荒れるやつです」と。そもそも高齢者施設で本物のサウナは、熱さや脱水、血圧の変動、転倒リスクなど、心配が渋滞します。ここで無理をすると、笑い話どころか“反省会が長編小説”になってしまいます。

でも、ここが面白いところで。サウナの気持ち良さって、実は「熱い箱」そのものじゃなくて、「温まる➡ひと息つく➡気分が落ち着く」という流れにあるんです。つまり本物が無理なら、施設仕様に“サウナっぽさ”を再現すれば良い。安全第一で、でもちゃんとイベントとして楽しい、春の小さなお祭りに仕立てる。名付けて――“ぽかぽか休憩所”。

足湯や蒸しタオルでじんわり温まり、椅子でフゥ〜ッと休憩して、香りや飲み物で「湯上がり感」を足す。仕上げに、うちわのそよ風を「熱波です」と言い切るスタッフが現れた瞬間、場はもう勝ちです。やっていることは安全で控えめなのに、言い方と雰囲気でちゃんと“それっぽい”。この「ほど良いごっこ」こそ、施設レクの真骨頂だと思うんですよね。

この記事では、理事長の暴走を事務長がやさしく受け止めつつ、みんなが笑って、無理なく温まって、最後には「なんか今日は良かったね」と言える――そんな“ととのいっぽい時間”の作り方を物語としてまとめていきます。準備は簡単、コツは少し、笑いは多め。春の冷えを、楽しくほどいていきましょう。

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第1章…本物サウナはNG!~でも「温まる・休む・香る」は今日からOK~

理事長の頭の中では、既に木の壁が組み上がり、砂時計がサラサラ落ちていました。多分、本人は「ここをスパにする」と言い切る気です。けれど現実の施設には、木の香りより先に“安全”という巨大な看板が立っています。熱い場所に長くいるのがしんどい方もいれば、脱水しやすい方、血圧が変わりやすい方、立ち上がりでふらつく方もいます。つまり、ここで本物サウナをやるのは、例えるなら「お寿司が食べたいからって、厨房で包丁を振り回す」みたいな話。気持ちは分かるけど、やり方が違うのです。

そこで事務長が、いつもの低い声で結論を出しました。「理事長、サウナは“建てる”ものではなく、“雰囲気で勝つ”ものです」。理事長が「……何それ、悔しいけど格好良い」と言った瞬間、方向性が決まりました。施設で再現するのは、熱さの極みではなく、気分の流れ。サウナの気持ちよさを分解すると、案外シンプルで、①じんわり温まる、②一旦、座ってひと息つく、③何となく落ち着く、この三段階が“整った感”を作っています。

ここで大事なのは、「冷水を浴びる」みたいな刺激の強い要素を、施設では主役にしないことです。冷たいタオルや冷水は、気持ち良い反面、体にびっくりが走ります。ご本人は平気でも、後でフラッと来ることがある。なので、私たちが狙うのは“ほど良い温かさ”と“ちゃんと休む時間”。温まって、休んで、仕上げに香りや飲み物で「湯上がりっぽい気分」を足す。これなら安全を守りつつ、満足感を作れます。

理事長はまだ諦めていません。「でもさ、サウナって言ったらロウリュだよね?」と目を輝かせます。そこで私は言いました。「理事長、ロウリュは今日から“蒸しタオル”です。熱した石は使いません。使うのは、温かいタオルと、職員の言い切る勇気だけです」。言い切った瞬間、周りの職員が小さく頷きました。レクリエーションに必要なのは、設備より“物語”と“演出”。もちろん、やり過ぎない範囲で。

そして、もう1つの主役が「休む」です。施設レクって、つい何かをやらせたくなるんですが、“休憩こそ価値”という逆転がここにはあります。椅子に座って、背中を預けて、フゥッと息を吐く。出来る人は深呼吸を3回だけ。目を閉じても良いし、開けていても良い。そこに静かな音――雨音とか、川のせせらぎとか、焚き火のパチパチ音みたいなものを薄く流すと、不思議と空気が落ち着きます。人の気分って、体温と音で割りと簡単に変わるんですよね。

最後の「香る」は、実は“香りそのもの”じゃなくても成立します。強い匂いは好みが分かれるし、咳が出やすい方には負担になることもある。だから、施設では香りは控えめが正解。代わりに温かいお茶を一口、ほうじ茶や麦茶で「湯上がり」を演出するだけでも十分です。もし可能なら、柑橘の皮を近づけて「ちょっとだけ、良い匂いしますね」くらいの距離感がちょうど良い。香りを“見せびらかさない”のが、上手い施設流です。

こうして「温まる・休む・香る」が揃った瞬間、理事長は満足そうに言いました。「なるほど。サウナは作れないけど、整いは作れる」。事務長が頷きます。「はい。建築費はゼロでお願いします」。理事長が小さく咳払いして、私たちの“ぽかぽか休憩所”は、ついに開店準備に入りました。

次の章では、足湯・蒸しタオル・うちわ熱波(そよ風)をどう組み合わせて、参加者の体力や状態に合わせて楽しむか。いよいよ、現場で回せる形に落とし込んでいきます。理事長の「熱波師になりたい」という夢も、きちんと安全に叶えますのでご安心ください。


第2章…足湯・蒸しタオル・うちわ熱波で開店!~その名も“ぽかぽか休憩所”~

「では、開店準備に入ります」――事務長がそう言った瞬間、職員たちの顔が“文化祭の前日”みたいになりました。理事長は何故か腕まくりをしていて、もう気持ちは熱波師。違います理事長、それは厨房の腕まくりです。今日は“そよ風担当”です。

まず作るのは、サウナ室ではなく“ぽかぽか休憩所”。聞こえが優しいので、入居者さんも「あら、何だか良さそうね」と入りやすい。入口には手書きの看板を立てます。「本日の湯けむり気分、開店しました」。この時点で、もう勝ちです。雰囲気があると、みんな半分整います。

中心になるのは足湯コーナーです。洗面器でも足湯バケツでも良いのですが、床が濡れると転倒の原因になるので、下に大きめのタオルを敷いて“水滴ストッパー”を作っておくのがコツ。お湯の温度は「熱い!」にならない範囲で、じんわり気持ち良い程度。サウナっぽさを出したい理事長が「もう少し熱く…」と囁いてきますが、事務長が無言で首を横に振ります。ここは施設です。熱さより、笑って終われることが大事。

足湯が難しい方には、蒸しタオルを用意します。首や肩、手の平に当てるだけで、体って案外「あ、温まった」と感じてくれます。タオルは直接濡らしてしまうと管理が大変なので、温めたタオルを袋に入れて渡すと、ベタベタせず扱いやすい。理事長が「これが我らのロウリュか…」と神妙な顔をします。違います理事長、それは“蒸しタオル”です。でも、その言い方は採用します。

次に作るのが休憩席です。ここが“整いっぽさ”の本丸。背もたれのある椅子を並べて、座ったら自然にひと息つける配置にします。BGMは派手な音楽じゃなくて、雨音や川の音、焚き火のパチパチみたいな自然音がしっくりきます。職員が「外気浴のお時間です」と言いかけて、事務長に止められました。「外気浴は外です。ここは“ひなた休憩”でお願いします」。言葉1つで、安全度が上がる不思議。

そして最後に、仕上げの“湯上がり感”。香りを強く広げるのは、好みや体調で合わない方が出やすいので、施設では控えめが上手です。そこで出番なのが、温かいお茶。ほうじ茶や麦茶を一口含むと、体の中から「フゥ〜」が出ます。これで立派に“湯上がり”。理事長が「サ飯は?」と食い気味に聞いてきますが、ここは焦らず、まずは飲み物で十分。盛り上がったら、次の章以降で“それっぽい一口”を出せば良いのです。

ここで、理事長の夢も叶えます。うちわ熱波の時間です。と言っても、送るのはそよ風。強い風はびっくりしたり、眩暈に繋がることもあるので、あくまで“優しい風”。理事長が真剣な顔でうちわを構え、「1回いきます!」と宣言する。入居者さんが笑う。職員も笑う。事務長だけが“安全チェックの目”で見守る。もうこの時点で、レクリエーションとして大成功です。

さらに“サウナっぽさ”を出す小技が、タオルの使い方。頭に巻くのが難しければ、肩に掛けるだけでも雰囲気が出ます。「サウナ帽子です」と言い張る理事長が現れても、今日は許しましょう。大事なのは、本人が楽しそうで、周りが安心して笑えていることです。

こうして、足湯でじんわり、蒸しタオルでホカホカ、休憩席でフゥ〜、お茶でしめる。最後にそよ風熱波で拍手。施設仕様の“整いっぽい時間”は、設備じゃなく段取りで作れると分かってきました。理事長が満足げに言います。「なるほど…サウナは無理でも、気分は作れる」。事務長が小さく頷きます。「はい。しかも安い」。

ただし、楽しさが出てくると、つい夢中になってしまうのも人間です。次の章では、のぼせ・脱水・転倒を避けるための“安全ルール3本柱”を、笑える形で決めていきます。理事長がまた暴走しないように、事務長の白目も温存しつつ、きっちり整えていきましょう。


第3章…転ばない・のぼせない・乾かない!安全ルール3本柱で全員生還

“ぽかぽか休憩所”が開店して、場が温まってくると、理事長のテンションは不思議と上がります。本人は「成功の予感がする」と言い、うちわを握る手に力が入る。すると起こるのが、施設あるあるの第二幕――「楽しいから、もうちょっと」をやりたくなる問題です。ここで無理すると、整うどころか、事務長の眉間が深く整ってしまう。つまり、楽しいほど安全ルールが必要になります。

事務長は、こういう時だけ言葉が短い。「ルールは3つ。覚えやすく。破り難く」。理事長が「じゃあ、サウナの心得みたいに…?」とワクワクしたので、私は言いました。「施設版でいきましょう。“転ばない・のぼせない・乾かない”です」。理事長が「乾かない?」と首を傾げましたが、そこは大事なんです。高齢者の“乾く”は、肌だけじゃなく体の中も乾きます。つまり脱水。ここを軽く見ると、後でジワッと来ます。笑いが長続きするかどうかは、この3本柱にかかっています。

まず「転ばない」。足湯をやる時に一番怖いのは、床の水滴と立ち上がりです。足元って、濡れると突然“別世界の床”になります。そこで、足湯の下にタオルを敷くのは基本中の基本。さらに、足を拭くタオルを予め手元に置いておくと、動きが小さく済みます。立ち上がりは、急に立たない。これを「ゆっくり起きるルール」として、職員が声掛けします。「今から立ちますよー。ゆっくり、せーの」。たったこれだけで、空気が安全方向に寄ります。

次に「のぼせない」。ここで理事長が危険人物になります。盛り上がると「もう1回、熱波いきます!」とか言い出すからです。そこで決めるのが、“長居しない”というルール。サウナごっこは、気分の演出が大事で、長さは要りません。足湯も蒸しタオルも、短めで十分。顔が赤くなる、汗が目立つ、息が上がる、ぼんやりしてくる。こういうサインが出たら、その人はすぐ休憩席へ。ここで「もう少し頑張りましょう」は禁句です。頑張るイベントじゃなく、ほぐれるイベントだから。理事長が「整いは根性」と言いかけた瞬間、事務長が無言でうちわを取り上げました。正しい対応です。

そして3つ目が「乾かない」。これが地味に一番効きます。実は足湯や蒸しタオルで汗をかくと、体の中の水分が少しずつ減っていきます。しかも高齢者は「喉が渇いた」が分かり難いこともあります。だから最初と最後に、一口ずつで良いので飲み物を入れる。これを“儀式”にしてしまうと簡単です。「入場の一口」「退場の一口」。理事長が「それ、格好良いね」と気に入ったので、看板にも書きました。すると皆さん、自然に飲んでくれる。ルールは、説教じゃなく仕組みで回すのが楽です。

安全って、厳しくすると雰囲気が冷えます。でも、言い方を変えるとちゃんと楽しいまま守れます。例えば「冷たいのはダメ」ではなく、「今日は春のぽかぽか仕様なので、冷たいのは封印です」と言う。例えば「無理しないで」ではなく、「ここは頑張らないほど勝ちです」と言う。こういう“言葉の工夫”が、現場の安心を支えます。入居者さんも、「怒られてる感じ」がないから素直に乗ってくれます。

それでも心配な時は、最初に「見学席」を作るのが手です。足湯も蒸しタオルもやらず、休憩席で音と雰囲気だけ楽しむ席。参加の段差を作ると、体調に自信がない方も置いていかれません。理事長が「見学も整いに入るの?」と聞くので、私は言いました。「入ります。むしろ上級者です」。理事長は何故か感動していました。

こうして“転ばない・のぼせない・乾かない”が回り始めると、空気が不思議と落ち着きます。落ち着くけど、退屈じゃない。安心だから笑える。笑えるからまた参加したくなる。施設レクの理想形です。理事長も満足げに頷き、事務長の白目は通常色に戻りました。つまり、全員生還。これが一番の“ととのい”です。

さて、次はいよいよお楽しみ編です。安全が固まったら、後は遊び心を足していく番。サ飯っぽい一口、サウナ川柳、湯上がり写真ブース……理事長の夢がまた膨らみそうですが、ここからは“盛り上げ方”を、ちゃんと施設流に料理していきましょう。


第4章…サ飯・川柳・写真ブース~「ととのいっぽい」余興が止まらない~

安全ルールが3本柱で立った瞬間、理事長の目がまたキラッとしました。危ない光です。けれど今回は違います。事務長が先に釘を刺したのです。「理事長、盛り上げて良いのは“気分”だけです。温度は盛らないでください」。理事長は真顔で頷き、何故か胸に手を当てて誓いました。「俺は気分を盛る」。……その誓い、人生で一番正しい使い方かもしれません。

ここからの“余興”は、体に無理をさせずに、心だけを遊ばせる時間です。サウナっぽさって、最後に「あ〜、良かった」と言える小さな演出があると完成するんですよね。そこで“ぽかぽか休憩所”は、仕上げの楽しみをどんどん足していきます。

サ飯っぽい一口で「湯上がりの顔」を引き出す

理事長が一番やりたがったのが「サ飯」です。サウナの後に食べるアレです。もちろん施設でいきなり派手なメニューは難しいので、ここは“それっぽい一口”で勝負します。温かいスープを少しだけ、もしくは口当たりの良いプリンやゼリーを「湯上がりデザートです」と言って出す。たったそれだけで、皆さんの表情がフワッとほどけます。

面白いのは、味そのものより“言い方”で場が変わるところです。「栄養補給です」より、「湯上がりの一口です」の方が、何故か美味しそうに聞こえる。理事長が得意げに言いました。「言葉って、調味料なんだな」。事務長が静かに返します。「無料の調味料ですね」。勝ちです。

サウナ川柳で整う前に笑いが整う

次に始まったのが「サウナ川柳」。本当のサウナ用語は難しくても、施設版にすると一気に親しみやすい。職員が紙を用意して「ぽかぽか」「フゥ〜」「湯上がり」みたいな言葉をそっと置いておくと、皆さん案外スラスラ作ってくれます。

例えば「足湯して うちわでそよそよ 春が来た」とか、「フゥッとね 息を吐いただけ 勝ちでした」とか。理事長は張り切って発表し、「熱波師は そよ風担当 わたしです」と詠んで拍手をさらいました。事務長が一言、「自己紹介が五・七・五になっていて助かります」。場が笑いで温まります。結局、一番整うのは、こういう瞬間です。

写真ブースで「今日の出来事」を形に残す

イベント感を強くするなら、写真ブースが効きます。大袈裟な背景は要りません。椅子の横に小さなボードを置いて、「本日 ぽかぽか休憩所」「ととのいっぽい日」みたいに書くだけで十分です。タオルを肩にかけたり、頭に軽く乗せたりして、「湯上がり風です」と言い切る。もう立派な記念写真になります。

ここで理事長がまた余計なことを思いつきます。「ととのい認定証、作ろう」。事務長が身構えましたが、理事長は珍しく賢い提案をします。「紙で良い。スタンプも一個で良い」。そう、こういうのが“ちょうど良い盛り上げ”。皆さんも「私、今日整ったの?」と笑いながら受け取ってくれます。紙一枚で、その日の空気が思い出になります。

役職ごっこで職員も一緒に遊べる

最後に効いてくるのが、職員側の“役割遊び”です。理事長は当然「熱波師」。ただしやるのはそよ風。事務長は「安全監督」。これは役じゃなく本職です。介護職は「休憩案内係」、看護師さんがいれば「体調見守り係」。そして一番ウケたのが、私が勝手に名乗った「ととのい判定士」です。深呼吸できたら合格、笑えたら満点、帰りにお茶を飲めたら金メダル。判定が緩過ぎて、全員優勝します。

こういう“ごっこ”は、やっている内容が穏やかでも、場の温度を上げてくれます。しかも、体への負担は増えない。施設でやるイベントって、ここが最大の強みだと思うんです。派手じゃなくて良い。安全で、穏やかで、でも心に残る。そういう楽しみ方は、むしろ高齢者施設が一番上手です。

こうして“ぽかぽか休憩所”は、足湯と蒸しタオルだけで終わらず、サ飯っぽい一口で締まり、川柳で笑いが整い、写真で思い出が残るイベントになりました。理事長は満足げに言います。「サウナを作らなくて良かった。作ったら多分、俺が入り浸る」。事務長が即答しました。「その未来が一番怖いです」。

次はいよいよまとめです。結局この日、一番“ととのった”のは誰だったのか。答えはたぶん、うちわを握って誓った理事長の腕…ではなく、笑いながら深呼吸できた、みんなの時間そのものです。

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まとめ…結局いちばん整うのは皆で笑う時間だった

こうして3月7日、“サウナの日”は、施設にサウナを建てずに終わりました。理事長が最初に思い描いていた木の壁も、砂時計も、熱した石も、最後まで一度も登場しません。代わりに登場したのは、洗面器の足湯と、蒸しタオルと、そよ風みたいなうちわ熱波。そして、椅子に座って「ふぅ〜」と息を吐く時間でした。設備は地味なのに、気分はちゃんと華やか。これって、施設レクリエーションの一番美味しいところかもしれません。

本物のサウナが難しい理由は、誰かの体力が弱いからでも、施設が慎重過ぎるからでもなくて、「守るべきものが多い」からです。のぼせ、脱水、血圧の変動、転倒。全部、笑いの途中で起きて欲しくないこと。だからこそ、私たちは“熱さ”を追わず、“流れ”を作りました。温まって、休んで、湯上がりの気分を味わう。たったそれだけで、驚くほどサウナっぽくなる。しかも、無理をする人が出にくい。頑張るイベントじゃなく、ほどけるイベントにできたのが勝利でした。

途中、理事長は何度も熱波師になりかけましたし、事務長は何度も白目になりかけました。けれど、3本柱のルール――転ばない、のぼせない、乾かない――を“説教ではなく仕組み”にしたことで、場の空気は最後まで穏やかでした。入場の一口、退場の一口。ゆっくり立つ合図。見学席という逃げ道。どれも小さな工夫なのに、みんなが安心して笑える土台になりました。安全って、縛るものじゃなくて、楽しさを長持ちさせるための保存袋なんだなと、私は改めて思いました。

そして、仕上げに効いたのは余興でした。サ飯っぽい一口で湯上がり顔が生まれ、サウナ川柳で笑いが整い、写真ブースで「今日の出来事」が形になった。結局、一番、整ったのは体温ではなく、場の気持ちだったのかもしれません。誰かが「またやりたいね」と言い、別の誰かが「今日はよく笑った」と言い、理事長が「俺、気分を盛る才能あるかもしれない」と誇らしげに言う。事務長が小さく頷いて、「温度は盛らないでください」と締める。完璧です。

春は、冬の疲れが体に残ったまま、新しい気分だけが先に走る季節です。だからこそ、こういう“ほどよく温まって、ほど良く休んで、ほど良く笑う”時間が効きます。本物のサウナがなくても、施設には施設の整い方がある。3月7日は、そのことを確かめる日になりました。次に同じ日が来たら、また看板を出しましょう。「本日の湯けむり気分、開店しました」。きっと今年も、一番整うのは、皆で笑う時間です。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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