冬に姿を消す虫たちの本当の暮らしと家の中で飼育を楽しむ方法

[ 冬の記事 ]

はじめに…寒くなるとどこへ行くのか不思議になる虫たちの冬ごもりを紐解くお話

秋が深まってくると、あれだけ飛んでいたチョウも、鳴いていたバッタも、畑のアブラムシを食べてくれていたテントウムシも、ある日ふっと見えなくなります。
「寒いからどこかに行ったのかな」「全部死んじゃったのかな」――大人でもそう思ってしまいますが、虫たちの世界はそんなにあっさり終わりません。実は、私たちが気づかないだけで、土の中、落ち葉の下、樹のすき間、家の隙間、さらには卵の中まで使って、名前も知らないような小さな虫たちが静かに冬をやり過ごしています。

冬を越すやり方は1つではありません。
成虫のまま丸くなって眠る子、幼虫の姿のまま土に埋もれて春を待つ子、蛹になって固まってしまう子、卵だけを残して親は世代交代していく子。皆それぞれに「ここで寒さをやり過ごすのが一番安全だ」という場所と姿を選んでいるんです。夏に目立つカブトムシのような人気者だけでなく、コオロギ、クサカゲロウ、カメムシ、ユスリカ、ガの仲間、庭木についていたあの小さなイモムシまで、意外な顔触れがこの作戦を使っています。

このお話では、そんな冬の姿を分かりやすく4つに分けて見ていきます。
「親は秋で役目を終えて、子どもが冬を守る」タイプもいれば、テントウムシのように「大人が集団でじっとして寒さをやり過ごす」タイプもいる。どちらも命を繋ぐためにはとても合理的で、しかも人がそっと覗くにはちょうどいい仕組みになっています。家庭でも、高齢者施設でも、保育の場でも、「今日はこの子、まだ動かないね」「この蛹、春になったらどうなるんだろうね」と季節の話題にしやすいはずです。

冬の虫は激しく動きません。だからこそ、慌てずゆっくり観察できます。
「いないと思っていたけど、本当はここにいたんだ」と気づけると、寒い季節も少しあったかく感じられます。これから先の章では、有名な虫も、普段は名前を呼ばれないような小さな虫も、出来るだけ幅広く登場させて、冬ならではの暮らし方を覗いていきましょう。

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第1章…消えたようで消えていない~虫の越冬パターンを4つに分けてみた~

秋から冬にかけて外を歩いていると、あれほどいたはずのチョウもバッタもコオロギも、パタリと姿を見せなくなります。
ところが実際には、「今日は顔を出さないでおこう」と決めているだけで、地面の下や葉っぱの下、木の隙間や建物の隙間で、名の知れた虫も名もない小さな虫も、ちゃんと次の春を待っています。ここでは、それを分かりやすく4つに分けて見ていきます。
どれも身近な種類で説明するので、読んでいる人が「うちの庭にもいた」と思えるようにしておきましょう。

成虫のまま静かに過ごすタイプ

まず驚かれるのがこのグループです。テントウムシ、カメムシ、クサカメムシ、クサギカメムシ、ナミテントウ、ナナホシテントウなど、普段見ている顔ぶれがそのままの姿で冬をやり過ごします。
彼らは寒さが強くなる前に、家の外壁の隙間、落ち葉が溜まった場所、建物の屋根裏近くなど「冷た過ぎず暖か過ぎないところ」を見つけて集まります。テントウムシが数十匹でギュッと固まっている写真を見たことがあるかもしれませんが、あれは冬のための知恵です。1匹よりもたくさんでいるほうが温度が下がりにくく、乾燥もし難いからです。
他にも、冬の間も時々見かけるハエの仲間やクモの仲間、ヨコバイ類の一部も、成虫で寒さをやり過ごすものがいます。「冬でもたまに虫を見るなぁ」というのは、このグループが天気のいい日に少しだけ動いているからです。

幼虫で春を待つタイプ

次に多いのが、幼虫で越冬する子たちです。アゲハの仲間の一部、ガの仲間、カブトムシ・クワガタムシの幼虫、ハバチの幼虫、庭木についていた名も知らないイモムシたち。秋までにしっかり食べて体を大きくしておき、寒くなったら土や落ち葉の下に潜って動きを落とします。
カブトムシの幼虫を飼ったことがある人なら分かりますが、冬になると「生きてるの?」というくらい動かなくなります。けれども土が乾ききらなければちゃんと春まで生きていて、暖かくなるとまた食べ始めます。これも立派な越冬です。
名前の知られていない小さなガの幼虫たちも、同じように落ち葉の下で丸くなって春を待っています。見えていないだけで、実はかなりの数がこのやり方をとっています。

蛹でじっと耐えるタイプ

チョウや蛾には、秋のうちに蛹になってしまい、その姿で冬を越す種類もいます。アゲハ、アオスジアゲハ、モンシロチョウ、ツマグロヒョウモン、キタテハのように身近で目立つ種類もいれば、夜にしか飛ばない地味な蛾たちもたくさんこの方法を使います。
さなぎは一見すると枯れ枝そっくりで、庭木の枝についた小さな瘤のようにしか見えません。ですが中ではちゃんと春に向けた体作りが進んでいて、気温が上がると一気に羽化します。動かないので「いなくなったように見える」だけで、実は今が一番寒さに強い時期なのです。

卵だけを残して世代交代するタイプ

カマキリ、バッタの多く、ツチイナゴ以外のバッタ類、コオロギの一部は、親が秋で役目を終えて、卵だけが冬を越します。カマキリの発泡スチロールのような卵塊、バッタが土の中に産みつけた卵、ヨコバイが枝に並べた卵列などがそれです。
このタイプは「親はもういないのに、春になったら子がいきなり増える」ので、生活の中で気付きやすいです。冬の間、見たこともない塊が枝についていたら、それはもしかしたら次の春の虫たちの集合住宅かもしれません。

――このように、冬に虫が見えなくなるのは「いなくなったから」ではなく、「それぞれが一番安全な姿に変わったから」です。
大きくて目立つカブトムシの幼虫も、知られざる極小さな蛾の卵も、どちらも同じように寒さをやり過ごしています。次の章では、その中でも特に「親は秋で終わって、子ども世代が冬を受け持つ」タイプをもう少し掘り下げてみましょう。


第2章…親は秋で幕を閉じて子が冬を待つ~命のバトンとしての冬ごもり~

秋の終わりになると、庭や畑にいた成虫がスッと姿を消します。あの瞬間に起きているのは「皆一緒にいなくなった」という終わりではなくて、「次の世代に季節を渡した」という始まりの方です。特にカマキリや多くのバッタ、コオロギの仲間、アブラムシの一部、木の枝に細い卵を並べるヨコバイ類などは、親が自分の体で冬を越すのではなく、もっと寒さに強い形――つまり卵や幼虫の姿――に変えてから季節を譲ります。

いちばん分かりやすいのはカマキリです。オオカマキリでもハラビロカマキリでも、秋になると草の茎や低い木の枝に、発泡スチロールのようなフワッとした塊をつくります。あれが卵の入れ物で、中には本当にびっくりする数の卵が詰まっています。親は冬を待たずに寿命を迎えますが、卵の方は冷たい空気にも乾燥にも強くて、雪が被っても春までじっとしています。春になって気温が上がると、あの小さな塊から糸のような幼虫がゾロゾロと出てきて、いきなり草叢が賑やかになるわけです。私たちが春に「おお、虫が増えた」と感じる裏側には、秋に済ませておいたこの準備があるんです。

バッタの仲間も同じような作戦をとるものが多いです。畑やあぜ道で見かけるショウリョウバッタやオンブバッタは、土の中に卵をまとめて産みつけておいて、親は秋で終わります。見た目には何もなくなってしまったようですが、実は地面の中に次の世代がズラリと並んでいます。ツチイナゴのように幼虫や成虫で冬を越す例外もいますが、普通のバッタは「土の中で卵のまま冬」という方が多いので、冬の畑は意外と賑やかなのです。目には見えないだけで、本当は大勢がそこで眠っています。

コオロギやキリギリスの仲間も、声が聞こえなくなる頃に卵を残しておきます。夏から秋にかけてあれだけ鳴いていたのに、冬には一匹もいないように見えるのは、卵の姿があまりに目立たないからです。保育園や高齢者施設でお散歩に出た時、草むらに成虫がいなくてガッカリすることがありますが、「いないんじゃなくて、お腹の中にいた子を地面に預けていったところなんだよ」と説明してあげると、ちょっと温かいお話になります。

面白いのは、こうした卵が意外と丈夫なことです。カマキリの卵塊は鳥につつかれてもなかなか全滅しませんし、バッタの卵も、雨が降っても春まで形を保ちます。親よりも卵の方が寒さに強いからこそ、親は「自分が冬を頑張る」より「冬を越せる形にしておく」方を選んだわけです。人の子育てにたとえると、冬に備えて分厚い布団や食料を子どもに渡してから旅立つようなもので、これはこれで、とても合理的でやさしいやり方です。

幼虫で冬を越すタイプも、この章で一緒にしておきましょう。ガの仲間やハバチの幼虫、庭木についていた名もない青いイモムシたちは、秋の終わりに体を少し硬くして落ち葉や樹皮の裏に入り、その姿のまま動きを止めます。蛹になる前の“待機ポーズ”のようなもので、「まだ羽化はしないけれど、ここで冬をやり過ごしておこう」という判断です。人が拾ってきた落ち葉を室内に持ち込んだら、春に小さな蛾が出てきた――という話が時々ありますが、あれは幼虫がその葉の裏で冬を越そうとしていたからです。つまり、落ち葉の1枚にもひと冬を越す計画が入っているわけです。

こうして見ていくと、「冬は生き物が少ない季節」というのは、実はわたしたちの側の見え方に過ぎないことに気づきます。姿を大きく変えていたり、目につきにくいところに潜んでいたり、敢えて動かなかったりしているだけで、命の流れそのものは細くなることなく続いています。親が秋で役目を終えるというのも、寂しい話ではなくて、次の世代を一番安全な場所に乗せ替えたということ。これを理解しておくと、冬の庭や畑を眺めてもガッカリしなくなりますし、「ここには見えないけれど、春に出てくる虫たちが眠っている」と書けるので、読み手の想像がグッと広がります。次の章では、その中でも「えっ、この虫もそのままの姿で冬を越すの?」と驚かれる成虫組を中心にして、もう少し詳しく見ていきましょう。


第3章…そのまま寝て春を待つ仲間たち~成虫で静かに過ごす虫の世界~

ここまで読んでくると「虫は冬になる前に卵や幼虫に姿を変えておくもの」というイメージが強くなってきたかもしれません。ところが自然界には、変身せずに今の姿のまま寒さをやり過ごす、なかなか根性のある一団がいます。テントウムシやカメムシのようなよく知られた顔触れから、あまり名前を呼ばれない小さなハエの仲間、クモの仲間まで、じつは結構な種類が“成虫のままの冬”を選んでいるのです。

一番説明しやすいのはテントウムシです。ナナホシテントウ、ナミテントウ、キイロテントウなど、園芸をしている人にはお馴染みのあの小さな丸い虫は、秋が深まると日当たりの良い壁や木の根もと、落ち葉がふかふかに溜まった場所を探して集まります。たくさんで固まっている写真を見るとビックリしますが、あれは寒さを分け合うための行動です。1匹で風に吹かれるより、数十匹でくっついていた方が温度が下がりにくく、乾燥もしにくくなるからです。冬に家の隙間からひょっこり入ってくるのは、この集団が場所を探して移動している時なのです。

カメムシ類も同じような行動をとります。クサギカメムシ、ツヤアオカメムシ、チャバネアオカメムシなど、田んぼや畑で夏に見かけた種類が、そのまま秋に家の周りへ寄ってきます。人間からすると「どうしてうちの玄関に…」となりますが、彼らからすれば「ここなら凍らないかもしれない」という立派な防寒行動です。外にある落ち葉の下や薪置き場でも、こうしたカメムシがか溜まっていることがあります。臭いで嫌われがちな一団ですが、自然界ではちゃんと冬をこなす実力者です。

成虫で冬を越すのは、この2大スターだけではありません。庭先でよく見るハナアブの一部、ユスリカの一部、樹皮の隙間にいる小さな甲虫、マツの枝に隠れているマツカレハの成虫、さらには家の中でひっそり冬を過ごすチャタテムシの仲間など、小さな種類まで含めるとかなりの顔ぶれになります。中には、寒い日が続く間はじっとしていて、ポカポカした日だけフワッと飛び出してくる種類もいます。真冬でも1つ2つ虫を見かけるのは、この「ちょっとだけ起きた成虫たち」に会っているからなのです。

クモも忘れてはいけません。クモは虫ではありませんが、生活の感じとしては似ています。ジョロウグモのように秋で一代を終えるものもいれば、家の隅っこに巣を張る小型のクモは、成体のままでもう少し寒さに耐えます。温度が下がると動きは鈍くなりますが、完全には消えず、暖かい日には糸を張り直したりもします。冬の室内で見つかる小さなクモは、まさにそうした“成体越冬組”です。

成虫で冬を越すためには、ただじっとしているだけでなく、体の中身もしっかり冬仕様になっています。脂肪を貯めてあったり、体液の凍りにくさが上がっていたり、人でいえば厚着をしているような状態になっています。だから、落ち葉の下に隠しておくだけでも冬を乗り切れてしまう。人が少し手を貸して、落ち葉を無闇にどけ過ぎない・冬に庭を丸裸にしない、というだけでも、こうした小さな成虫たちが春まで無事に辿り着きやすくなります。

こうした話を施設や家庭で伝える時は、「冬でもちゃんと生きている子がいるんだよ」というやさしい視点で語ると伝わりやすいです。テントウムシやカメムシのような目立つ種類に加えて、「実はこの小さな甲虫も」「この隅っこのクモも」と少しずつ名前を足していくと、読んでいる人は「冬って静かだけど、完全にゼロではないんだな」と気付きます。次の章では、この“冬でもそっと生きている子たち”を、あえて家の中で見守る方法をまとめて、季節の話題として楽しめるようにしていきましょう。


第4章…冬の同居人として迎えるならこの虫たち~家庭や施設で見守る観察アイデア~

ここまでで、虫たちがそれぞれの姿でひっそり冬をこなしていることが分かりました。ではその冬の姿を、敢えて室内で眺めてみるとどうなるでしょうか。動きは夏ほど派手ではありませんが、「ここに春に繋がる命がいる」と分かるだけで、冬の間の会話が増えます。家庭でも、高齢者施設でも、保育園でも使えるように、あまり手間のかからない種類から話を進めていきます。出来るだけ名前の分かる虫と、あまり知られていないけれど冬に向いている虫も混ぜておきますね。

一番扱いやすいのは、やはりカブトムシやコクワガタ、ノコギリクワガタなどの幼虫です。秋までにある程度大きくしておけば、冬はほとんど動かずに腐葉土の中で過ごしてくれます。透明なケースを使っておけば、土の色の変化や糞の位置で「この辺りにいるな」と推測できますし、時々ケースの側面まで上がってきてくれれば顔も見えます。動きは少なくても、「夏のスターがここで寝ている」という物語が付くので、大人も子どもも静かに覗き込みます。ヒラタケやクヌギなどの発酵マットを使う本格的な飼い方でなくても、湿り気のある腐葉土と蓋付きのケースがあれば十分冬を越せます。

次にお勧めなのがカマキリの卵です。オオカマキリでもチョウセンカマキリでも、卵の入ったふわふわの塊を1つ持ってくれば、それだけで冬の観察教材になります。小さめの水槽やプラケースに小枝ごと固定して、乾燥し過ぎないようにだけ気を配っておけば、後は春を待つだけです。「この中に100匹くらい入っているんですよ」と伝えると、たいていの人が目を丸くします。施設なら掲示板に「カマキリのゆりかご見守り中」と書いておくと、利用者さんが通りすがりに様子を見てくれます。温め過ぎると冬の途中で一気に出てきてしまうので、暖房の吹き出し口からは離しておくと安心です。

蛹で越冬するチョウやガを吊るしておくのも、冬の室内には向いています。ミカンの木やパセリで育てたアゲハの幼虫が秋に蛹になったら、それを割りばしや枝にそっと付けたまま、風の当たり過ぎない明るい場所に置きます。冬の間は本当に何も起きませんが、逆にそれがいいのです。「今日も頑張ってるね」と声をかけられるし、春になって色づき始めたら一気に注目が集まります。これなら高齢者の方でも世話がしやすく、落ちたら戻してあげるくらいで済みます。時々、霧吹きで軽く湿らせると失敗が減ります。

成虫で冬を過ごすテントウムシも、短期間なら同居ができます。晴れた日に家の壁に集まっていたものを2~3匹だけケースに入れ、落ち葉やキッチンペーパーで“冬の寝床”を用意します。本来はもっと大勢でかたまる習性があるので、「本当は山のほうで何十匹もで寝ているんだよ」と一言添えると、自然の姿と飼育の姿を同時に伝えられます。エサとなるアブラムシがない季節なので、長く飼うよりも「冬の姿を見て、数日で元の場所に返す」という観察とセットにしておくと無理がありません。施設なら玄関先に落ち葉を敷いた簡単なボックスを置いて、そこに一時的に入ってもらう形でも十分話題になります。

あまり名前が出ないところでいえば、クサカゲロウの卵や、木の皮の下にいる小さな甲虫、薪置き場から見つかるてんとうむし以外の小型のテントウダマシ類なども、冬の顔として紹介できます。これらは常に動き回るわけではありませんが、「冬の木の下にはこういう小さな子たちも一緒にいるんだよ」と伝えると、読者の想像が庭や公園の隙間まで広がります。記事の中で有名な虫と無名な虫を並べて書くと、「知らなかったけどそういう子もいるんだ」と読み手が感じてくれるので、冬の生き物の層が厚くなります。

こうした冬の飼育を進める時は、世話の手間を書き過ぎないことも大事です。冬の虫はそもそも動かずに過ごすように出来ているので、水浸しにしない、極端に乾かさない、急に温めすぎない、この3つだけでだいたい大丈夫です。後は時々覗いて「ここにいるね」と確認することが、何よりの見守りになります。
この章を読み終わった人が「うちの庭のカマキリの卵、折らずに残しておこうかな」「保育室の窓際に蛹を吊るしておこうかな」と思えたら、冬の虫との付き合いはもう成功です。動きの少ない季節だからこそ、ゆっくり観察できる仲間を室内に迎えて、次の春を一緒に待ってみましょう

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まとめ…今は動かない季節を楽しむと春がもっと待ち遠しくなる

ここまで追いかけてみると、冬は「虫がいなくなる季節」ではなく「虫たちが姿を変えて静かにしている季節」だと分かります。テントウムシやカメムシのように成虫で寄り沿って冬を待つ子もいれば、カマキリやバッタのように卵を預けて世代を繋ぐ子もいる。アゲハや蛾のように蛹で固まってしまう子もいれば、カブトムシの幼虫みたいに土の中でどっしり寝てしまう子もいる。名前の知られていない小さな甲虫やクサカゲロウの仲間、庭木の裏にいた青いイモムシたちまで含めると、実はかなり多くの虫がそれぞれのやり方で「春までの居場所」をちゃんと用意していました。

人の目に触れないのは、虫が姿を隠すのが上手だからです。落ち葉の下、樹皮のすき間、家の外壁の隙間、土の中――そうした温まりやすくて風の当たりにくい場所を、皆先回りして押さえています。だから私たちが冬の庭を見て「静かだな」と感じるのは当然で、でもその下ではちゃんと次の季節の準備が進んでいるわけです。この視点で見ると、冬に枯れ草を全部片付けてしまわず、落ち葉を少し残しておくことにも意味があると伝えられます。そこが小さなテントウムシや甲虫の冬の宿になるからです。

家庭や施設で冬の姿を観察することには、もう1つ大事な役割があります。動きの少ない生き物は、ゆっくり話題に出来るということです。カマキリの卵を見て「ここに何匹いるんだろう」、蛹を見て「ちゃんと春まで持つかな」、土に眠るカブトムシの幼虫を見て「去年の夏のあの子だね」と語りかける――こうした時間は、子どもにもご高齢の方にもやさしく届きます。激しい動きで注目を奪うのではなく、「ここにいるよ」と静かに教えてくれる存在だからこそ、季節の話題としても長く話せる内容になります。

冬はどうしても話題が少なくなりがちですが、「見えない虫たちが今はお休み中」「でも春になったら一斉に顔を出す」という物語を添えるだけで、庭も公園も身近に感じられます。これから話題にするなら、今回出てきた有名な虫に、近所で見た名も知らぬ小さな虫のエピソードを少し混ぜてみてください。読む人が「うちの地域でもありそうだ」と想像できる分だけ、冬の世界が膨らみます。
静かな季節こそ、そっと息を潜めている生き物たちのことを思い出してあげたいですね。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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