6月病は心と体の雨宿り~高齢者も気をつけたい梅雨の整え方~
はじめに…雨の日が続くと心まで重たくなるのは何故?
6月の朝、目が覚めてカーテンを開けると、今日も空はどんより。雨が嫌いというほどでもないのに、何故か布団から出るまでにいつもより時間がかかります。ようやく起きても体は重く、やる気はまだ枕元に置き去り。「私の元気、今日は休暇を取ったのかな?」と聞きたくなるような日もあります。
春から新しい生活や人間関係に慣れようと頑張ってきた人にとって、6月は少し不思議な時期です。気持ちは落ち着いてきたはずなのに、梅雨の気圧や湿気、蒸し暑さが重なり、心と体が一進一退。高齢者の場合は外へ出る機会も減りやすく、いつもの散歩や人との会話まで少なくなって、気づかないうちに暮らし全体が小さくなってしまうこともあります。
そんな時、「もっと元気を出さなきゃ」と自分を急かす必要はありません。元気が出ない日は、元気を絞り出す日ではなく、心と体を少し休ませる日でも良いのです。雨の日に傘を差すように、自分にも小さな雨宿りを用意してあげれば十分です。
温かい飲み物をゆっくり味わう。窓辺で外の明るさを感じる。誰かとほんの少し話す。好きなものを食べて「これは旨い!」と声に出す。そんな何気ない時間が、梅雨の中で縮こまった気持ちを少しずつほどいてくれます。四六時中ご機嫌でいる必要なんてありません。人間ですから、天気と一緒にこちらまで曇る日くらいあります。
6月は、無理やり晴れ男や晴れ女になる月ではありません。雨音を聞きながら、自分の調子を確かめ、暮らしの速度を少し緩めてみる。そんな過ごし方も、立派な季節との付き合い方です。
[広告]第1章…6月の不調は怠けじゃない~春から走った心と体の雨宿り~
4月は新しい年度が始まり、学校でも職場でも家庭でも、何かと予定が動きます。5月の連休を越えて「そろそろ普段通りかな」と思った頃、6月になると何故か朝がつらい。食欲が今1つ、何をするにも腰が重い。「先月までは普通に出来ていたのに」と自分でも首を傾げてしまいます。
けれど、6月だけを切り取って考えると見えにくいものがあります。春からずっと気を張り、新しい予定に合わせ、人に合わせ、気候の変化にも合わせてきた心と体です。毎日は何事もなかったように進んでいても、その裏側では少しずつ疲れが積み重なっています。気力が落ちてきたからといって、すぐに怠けと決めつける必要はありません。春から走ってきた分だけ、心と体が「そろそろ速度を落としませんか?」と知らせていることもあるのです。
そこへ梅雨がやって来ます。朝から薄暗く、雨で予定が変わり、洗濯物は乾かず、湿気で部屋まで重たく感じる。折角、傘を持って出た日に限って降らず、「今日は要らんかったんかい!」と空にツッコミを入れたくなる日まであります。晴耕雨読と優雅に構えられれば素敵ですが、現実には仕事も家事も待ってくれません。心身一如という言葉のように、体の重さと気分の沈みは別々ではなく、暮らしの中で一緒に揺れるものなのでしょう。
高齢者にとっても、この時期の変化は無関係ではありません。雨が続けば散歩や買い物を控えやすくなり、人と顔を合わせる機会も減ります。いつもの生活がほんの少し狭くなるだけでも、1日の張り合いは変わります。「今日は出かけなくても良いか…」が何日も続けば、体を動かす時間も会話も少なくなりやすいものです。本人はただ雨を避けているつもりでも、気づけば毎日が似た景色になっていることがあります。
6月に必要なのは、無理に調子を上げることではなく、自分の速度が落ちていることに気づくことです。「今日は七割くらいでいこう」「午後は少し休もう」と加減できれば、それも立派な暮らしの工夫です。毎日を全力疾走にしてしまうと、梅雨が明ける前にこちらが先に水切れします。いや、湿度は十分あるんですけどね。
調子が落ちた日に、自分へ追加の気合いを注文するより、少し休む、食べられるものを食べる、誰かと話す。そんな小さな選択を重ねる方が、長い6月を穏やかに渡っていけます。雨宿りは立ち止まることですが、目的地を諦めることではありません。
第2章…高齢者ほど見逃したくない~気圧・湿気・孤立が重なる梅雨の落とし穴~
「雨の日は、何となく腰が重いんよ」。高齢者さんとの会話では、そんな言葉がごく自然に出てくることがあります。昨日まで普通に歩いていたのに今日は椅子から動きたくない。肩や膝が気になり、食事も少し進まない。それでも本人は「年だから仕方ない」と笑って済ませてしまう。6月には、そんな小さな変化がいくつも重なりやすくなります。
雨や曇りの日が続けば、外へ出る機会は減ります。さらに湿気で肌がベタついたり、部屋の空気まで重く感じたりすると、「今日は家にいようかな」という気持ちにもなりやすいものです。体の痛みや不快感まで加われば、尚更です。梅雨の時期には、膝や腰の違和感、皮膚の不調、呼吸器の調子などが気になり、いつもの活動を控えたくなる場面もあります。
厄介なのは、体を休めたことそのものではありません。出かけない日が続き、誰かと話す機会まで減っていくことです。昨日もテレビ、今日もテレビ、明日もたぶんテレビ。気がつけば天気予報のお姉さんとは毎日会っているのに、ご近所さんとは一週間会っていない。こちらは全国の降水確率に詳しくなる一方で、人との繋がりは少しずつ細くなっていきます。笑い話のようですが、梅雨の暮らしにはこんな静かな変化があります。
高齢者の場合、「しんどい」と大きな声で訴えるとは限りません。「今日はいいわ」「別に食べたくない」「また今度にする」。そんな短い言葉の後ろに、体の重さや気持ちの沈みが隠れていることがあります。周囲が気合いを入れようとして「散歩くらい行かなきゃ」「もっと食べなきゃ」と急かすと、本人にとっては余計な宿題が1つ増えてしまうこともあるでしょう。
そんな時に見たいのは、元気か元気でないかという二者択一ではなく、普段との小さな違いです。朝起きる時間、食卓での様子、会話の量、いつも楽しみにしているものへの反応。日々是好日とまではいかなくても、「今日はちょっと違うな」と気づければ十分です。高齢者の6月の不調は、大きな変化よりも小さな変化の積み重ねとして見つける方が自然です。
雨で散歩に行けないなら、窓を開けて外の空気を感じる。人に会えないなら、短い電話でもいい。食欲が落ちているなら、「全部食べて」ではなく、好きなものを一口楽しめる形にする。臨機応変に暮らしを少しだけ組み替えると、「出来ない日」が「別の過ごし方をする日」に変わります。
梅雨は、人を家の中へ戻す季節です。だからこそ、閉じこもることと休むことを同じにしない眼差しが大切になります。静かに休みながらも、人との繋がりや楽しみまで雨戸を閉めてしまわない。その小さな工夫が、高齢者の6月を随分と明るくしてくれます。
[広告]第3章…元気を出す前に暮らしを整える~光・眠り・食卓から始める小さな回復~
朝から気分が重たい日に、「よし、今日から元気になるぞ!」と宣言しても、心と体はなかなか拍手してくれません。そもそも疲れているところへ気合いまで背負わせたら、荷物が一個増えるようなものです。6月の立て直しは、元気を無理に作るより、いつもの暮らしを少し心地良い方向へ戻すところから始めた方が穏やかです。
朝になったらカーテンを開け、窓辺の明るさに身を置いてみる。晴天でなくても構いません。梅雨空を見て「今日も灰色やなぁ」と言いながらお茶を飲むくらいでも、朝と夜の区切りはつきます。曇っているから1日中薄暗い部屋で過ごすのではなく、朝には朝らしい時間を作る。それだけでも、1日の始まりに小さな輪郭が生まれます。元気を取り戻す手掛かりとして、光や笑いを暮らしへ取り入れる考え方もあります。
眠ることも同じです。「昼寝をしたから怠けた」と考える必要はありません。疲れた日は休む。ただし、眠れるだけ眠って1日を終えるのではなく、起きたら顔を洗う、お茶を飲む、少し話すといった次の動作を1つ用意しておく。緩急自在に休むことができれば、眠りは1日を止める時間ではなく、次へ繋ぐ休憩になります。
食卓にも、立て直しの入口があります。食欲が落ちている時に大盛りの皿を見せられたら、見るだけで「本日の営業は終了しました」と胃から札を出されそうです。そんな日は、好きな味を少しだけ、温かいお茶と一緒に味わう。全部食べることだけを目標にせず、「美味しい」と思える瞬間を残すことも大切です。元気が沈んだ時ほど、立派な献立より、ホッと出来る一口が嬉しいことがあります。
そして、暮らしを整える時に忘れたくないのが、自分で選べる余地です。「散歩しなさい」「寝なさい」「食べなさい」と周囲が全部決めてしまえば、本人は健康になる前に少々うんざりしてしまいます。「窓辺に行く?」「少し休む?」「何か食べたいものある?」と選択肢を渡すだけでも、その人の1日は随分と違って見えるものです。
6月の回復は、大きく変えることより、光・休息・食卓の中に「ちょっと心地良い」を1つずつ戻すことから始まります。一朝一夕に晴れなくても構いません。昨日より少し起きやすかった、今日は一口多く食べられた、誰かと笑えた。それくらいの変化を拾いながら進めば十分です。
ことわざに「急がば回れ」とあります。調子が悪い日に全速力で元へ戻ろうとするより、暮らしの足元からゆっくり整える。その遠回りに見える歩き方こそ、梅雨を越える近道になるのかもしれません。
第4章…特効薬は「小さなご機嫌」~笑う・話す・少し動く梅雨の処方箋~
「気分転換しましょう」と言われても、しんどい日に大きな予定を入れる気にはなれません。旅行へ出かける、趣味を始める、運動を頑張るとなれば、もはや気分転換の準備で疲れてしまいそうです。6月に欲しいのは、そんな大仕事ではなく、生活の途中で拾える小さなご機嫌です。笑う、誰かと話す、少し体を動かす。どれも派手ではありませんが、重たくなった1日へ風穴を開けるキッカケになります。
テレビを見ながら思わず吹き出したり、家族との会話で「それ昨日も聞いたよ」と笑ったりするだけでも構いません。笑顔を作ること自体を宿題にしてしまう必要もありません。面白ければ笑う、面白くなければ普通の顔でいる。それくらい自然体で良いのです。雨の日には、天気予報へ「また雨かい」と小さくツッコミを入れる程度でも、沈んでいた気分がほんの少し動くことがあります。梅雨の暮らしでは、そんな一喜一憂も悪者ではありません。
人と話すことも、大切な小さな刺激になります。長電話をする必要はなく、「今日は雨やね」「晩ご飯どうする?」という何気ない会話で十分です。高齢者なら、家族や友人、近所の人、介護に関わる人との短いやり取りが、1日の区切りになることもあります。誰かに自分の声が届き、相手の声が返ってくる。それだけで、家の中だけに閉じていた時間が少し外へ繋がります。
体を動かす時も、いきなり立派な運動を目指さなくて大丈夫です。座ったまま背伸びをする、台所まで飲み物を取りに行く、窓辺まで歩いて外を見る。出来る範囲で十分です。無理のない動きを生活へ混ぜれば、気分転換と活動のキッカケを一石二鳥で作れます。「今日は運動したぞ」と胸を張るほどでなくても、「冷蔵庫までは行った」。はい、それもちゃんと移動です。ゼロと1の差は、意外に侮れません。
そして、何より大切なのは、自分がホッとするものを遠慮しないことです。好きなお菓子を1つ食べる、懐かしい歌を聴く、昼寝の後に温かいお茶を飲む。6月の不調を追い払おうと躍起になるより、「これなら少し気分が良いな」という瞬間を拾っていく方が、心は自然にほどけていきます。元気いっぱいでなくても、おやつを「美味しい」と思えたなら、その時間にはちゃんと明るさがあります。
心を晴らす特効薬は、一発で何かを変えることではなく、自分を少しご機嫌にする時間を毎日の中へ戻すことです。笑う日があり、静かな日があり、誰かと話したくない日だってあります。臨機応変に、その日の自分へ合う過ごし方を選べば十分です。
もちろん、食欲の低下や眠れない状態、気分の落ち込み、体の不調が長く続く場合は、「6月だから」で済ませず、医療機関などへ相談することも大切です。小さなご機嫌は万能薬ではありませんが、元気な日にも、少しくたびれた日にも使える暮らしの味方です。梅雨空を全部晴らすことは出来なくても、自分のいる場所に小さな晴れ間を作ることなら、今日からでも始められます。
[広告]まとめ…晴れる日を急がなくて良い~自分のペースで6月を越えていこう~
6月は、少し不思議な月です。春から続いてきた忙しさが落ち着き始めた頃なのに、体は重く、気持ちは晴れにくい。外では雨が降り、家の中には湿気がこもり、「今日は何にもしたくないなぁ」と思う日までやって来ます。そんな時に自分を叱っても、空から青空が落ちてくるわけではありません。
春から頑張ってきた疲れに、梅雨の気候や外出機会の減少が重なれば、いつもの調子が揺れることはあります。高齢者なら、散歩を控える日が増えたり、人と話す機会が少なくなったりすることで、1日の過ごし方まで静かに変わっていくことがあります。気分や体の重さを「年だから」「怠けているから」と片づけず、暮らし全体を眺めてみることが大切です。
そんな6月に必要なのは、毎日を快晴にすることではありません。朝の光を感じる、疲れたら休む、美味しいものを一口味わう、誰かと短い話をする、出来る範囲で少し体を動かす。平穏無事な1日とは、何も起こらない日ではなく、自分の調子に合わせて暮らせた日なのかもしれません。
「今日は何が出来たかな」と考えて、洗濯物を取り込んだだけなら、それでヨシ。お茶をいれて飲んだなら、それもヨシ。家族と二言三言しゃべったなら、なかなか上出来です。採点が甘い?6月くらい甘口採点で良いではありませんか。空まで毎日のように水を撒いているのですから、こちらまで四六時中シャキッとしている必要はありません。
晴れる日を急ぐより、雨の日にも自分らしく過ごせる場所を作ることが、6月を軽やかに越える力になります。
気分の落ち込みや食欲低下、眠れない状態、体の不調などが長く続く時には、季節のせいだけにせず、医療機関などへ相談することも忘れたくありません。その一方で、少しくたびれた程度なら、自分を労わりながら1日1日を過ごしていけば大丈夫です。
梅雨空にも、時々、雲の切れ間があります。暮らしも同じです。笑えた時間、美味しかった一口、誰かと交わした何気ない言葉。そんな小さな晴れ間を拾いながら、一喜一憂しつつ6月を歩いていきましょう。やがて本物の夏空が広がった頃、「今年の梅雨も、何だかんだ越えたな」と笑えたなら、それで十分です。
[ 広告 ]今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
[ 応援リンク ]
ブログランキング2つに参加しています。応援クリックをお待ちしております。
[ ゲーム ] 作者のitch.io(作品一覧)
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。