うちの親がなぜか論文にしそうな勢いで自由研究してる件

目次
はじめに…中1が見た家庭という名の実験場
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中学生になって初めて、「大人ってけっこう意味わかんないことに全力出すな」と思った。
それは授業参観のときじゃない。
テスト前にYouTubeを見始める姿でもない。
それは──夏。
しかも自由研究という言葉が家に舞い戻ったその瞬間だった。
自由研究って、小学生のときは「やらされ感」が強かった。
カブトムシの観察とか、牛乳パックで船作るとか、”やってみた”というより”やらされた”感。
だけど今年、私は見たのだ。親の自由研究には、誰にやらされるでもなく、謎の情熱が宿っていたことを。
「ねぇ見て。この冷やし中華、今日のほうが昨日よりも美味しい理由、たぶんわかった」
「アイスを落とす角度、30度超えるともう戻らないんだよ」
「この汗、測ってみたら意外と塩分濃度が…」
なんだこの自由すぎる研究魂。
しかも、誰も評価してくれないのに、記録まで残している。
これってもう──論文書く気じゃない?
中学生になった私は、夏休みの自由研究にもう縛られていない。
でも、気づいた。
自由であるはずの大人こそが、自主的に研究していることに🩷。
この記録は、そんな家庭の中で繰り広げられた、「本気すぎる親たちの夏の研究」を静かに観察した、
中1の夏の自由研究レポートである。
第1章…冷やし中華の“冷え”は本当に人を幸せにするのか問題
「うちの冷やし中華、今年はバージョン3まで進化したから」
母のそんな言葉で、昼ごはんへの期待値が一気に上昇……したわけではない。
むしろ、なぜ冷やし中華ごときに“バージョン”が存在するのかという点に混乱していた。
バージョン1は、一般的な具材+ゴマだれ。
バージョン2は、麺を氷水で“2度しめ”してから、キュウリをスライサーで削ぎ落とした特別仕様。
そしてバージョン3、なんとお皿ごと冷凍してあった。
「ほら、口に入れた瞬間、冷たさが先に来て、次に甘みが広がるでしょ?」
ドヤ顔の母は、箸を止めることなく、何かをメモしている。
よく見たら、『冷えと満足度の相関関係』って書いてあった。
つまり今、私は**冷やし中華の“食感と幸福度の科学的検証”**に付き合わされているのだ。
味は、たしかに美味しかった。たぶん過去最高だったかもしれない。
でも、感想を求められるタイミングがやや面倒だったのは否めない。
母曰く、「冷やし中華は、気温と湿度と人間のコンディションが複雑に絡んだ“真夏のバランス食”」。
それを研究したくなる気持ちも、わからなくもない。
でもたぶん、私が食べたかったのは、普通の“昼ごはん”だった。
そしてその日の夕方、冷蔵庫の野菜室から“冷やし中華・バージョン4候補”と書かれた手書きのラベルを発見した私は、この夏が長くなる気がしたのであった──🩷。
第2章…アイスが落ちるのは重力ではなく油断だと証明した父
うちの父は、理系っぽい顔をしてる。
だけどその理屈が暴走するのは、たいていアイスを手にしたときだ。
「アイスが落ちるのは、単なる重力のせいじゃない。そこには“油断”という条件が絡んでくるんだ」
そう語りながら、アイスを片手にベランダへと消えていったあの日、私は正直、父が暑さで変になったんじゃないかと思った。
ところが、5分後。
「ほら見て!5本中3本が“3分25秒〜3分40秒”で落下した。つまり…」
「…つまり?」
「人間が“もう大丈夫かな”と思って油断するのが、だいたい3分半なんだよ!」
満面の笑みで語る父の手元には、タイマー付きの観察メモとアイスの棒が並んでいた。
いや、理屈はわかる。
わかるけども。
まず、家族のアイスを5本も犠牲にして実験する時点で、たぶん“油断してるのは父”の方である。
その後、「気温と溶け具合の関係も記録しておこう」と言い出し、今度は室内で扇風機の風を当てながらアイスを立てていた。
私はそのとき、なぜか「お父さん、夏休みの自由研究に応募したらいいのに」と思ってしまった。
その夜、冷凍庫に並ぶアイスの箱に「観察用・食用・補充用」とラベリングされていたのを見つけたとき、この人はたぶん、真剣に“アイス落下の法則”を後世に残そうとしているのだと気づいた🩷。
私の夏休みは、静かに、でも確実に──溶けていく。
第3章…クーラーの直風ゾーンは本当に悪か?人体実験編
中1になった私には、もうわかる。
クーラーの直撃を浴びて寝ると、翌朝ちょっとだるい。
だけど、うちの父は、どうしても「直風=悪」という前提に納得できないらしい。
「快適さと不快感には、個人差と風速が関係しているはずなんだよ」
そう語りながら、父はタオルケット1枚でリビングのど真ん中に寝転んだ。
そして、なぜかスマホのストップウォッチをセットしていた。
「寒く感じるまでのタイムを測る」んだそうだ。
そして母はというと、隣で温湿度計とアイスノンを持ちながら記録係。
「実験は1時間ごとにポジションをずらして3セット、計6時間ね」
……ちょっと待って?これって家族全員が巻き込まれてるやつだよね?
私は隣の部屋から聞こえる「風、強くなってない?」「うん、たぶん設定がオートになってる!」というやりとりをBGMに、
静かにスマホで「クーラー 直風 健康被害」と検索していた。
そのうち父は、
「30分までは快適だったけど、45分あたりで指先が冷えてきた」と真顔で語り、母は「それを“限界ポイント”と定義して、今後の設定温度に活かそう🩷」とうなずいていた。
うん、知ってた。
うちのエアコンのリモコンに、“研究者用モード”はないってことを。
ちなみにその夜、父はうっすら喉が痛くなり、
「これは“風速+湿度”が交差した結果」と分析していたけど、たぶん単に冷やしすぎただけだと思う。
第4章…なぜか塩を測っている!しかも汗で?
暑い夏、普通の家庭では「熱中症対策に水分をこまめに」とか「塩分チャージを」とか、それくらいの感覚だと思う。
ところがうちの母は、ある日突然、「汗の塩分量」を調べ始めた。
「見て見て、これティッシュに汗を吸わせて、乾かして残った白い結晶…これ、たぶん塩」
それを顕微鏡風の虫メガネで見てる時点で、私は悟った。
この人は、暑さでやられたんじゃなくて、知識欲で突き抜けたタイプだ。
母のターゲットは家族全員。
「今日はお父さんが1時間庭掃除してたから、汗の量的にはデータが取りやすい」
「あなたも部活帰りのシャツ貸して。ほら、脇のとこが一番いい感じ」
その日から我が家では、洗濯前のシャツが“試料”と呼ばれるようになった。
父は「ここまで来たら、汗に含まれるミネラルの種類まで分析してくれ」とノリノリ。
私はというと、
「これ、私の制服の脇のにおいを親が吸ってる構図なのでは」と、青春の何かを静かに失っていく感覚に襲われていた。
とはいえ、母の研究には効果もあった。
「今日は塩分の量が薄めだから、お味噌汁の塩分をちょっと足すね🩷」
つまり、体の状態に合わせた味噌汁が提供される家庭が、ここに誕生してしまったのだ。
それってなんか…ちょっとすごいよね。
でも、せめて「汗で分析した」っていう事実は…友達には言わないでほしい。
切実に。
第5章…猫舌なのに熱い飲み物で実験する理由が知りたい
「やっぱりホットのほうが、体の内側から落ち着くよね~」
そう言いながら、母は湯気の立つマグカップを手に持ち、何やら温度を測っていた。
……って、その人、筋金入りの猫舌ですけど!?
実はこの日、母は「夏バテには冷たい飲み物より温かい飲み物がいいって本当なのか?」を検証中だった。
そのために、朝・昼・夕方と3回、ホット麦茶・アイス麦茶・常温麦茶を飲み比べる生活を開始。
中でもホット麦茶の検証に命をかけていて、マグカップに小型の温度計が常に突き刺さっていた。
「今がちょうど62.4度…この温度、猫舌にはギリギリ。でも…いける!」
ズズッ……「あつっ、あっつい!やっぱムリっっ!」
毎回この流れを繰り返すの、もはや恒例芸。
私は思う。
「冷たい飲み物が染みる」って感覚もひとつのデータだよって。
でも母は、「研究には痛みがつきもの」とか言い出して、なぜか科学に根性を持ち込んできた。
そして、午後3時。
「飲んだあと30分間の集中力を比べてみようと思って」と、母が出してきたのは…ナンプレの本。
え、それで集中力?しかも、自分でやって自分で評価するスタイル?
その結果、母は「ホットのあとが一番ミス少なかった気がする…」と書き残していたけど、その時点で3杯分の水分が体に入ってて、お腹タプタプだったことには、気づいていないらしい。
たぶん結論としてはこうだ。
猫舌の母がホット飲料に挑む時点で、もう実験としての信ぴょう性はどうでもよくなっている🩷。
「やりたいからやる」──それが親の自由研究の真髄なのだ。
第6章…夏の寝苦しさとタオルケットの重みの関係を真顔で語る母
夏の夜、うちはだいたい寝苦しい。
でも普通の家庭なら、扇風機やエアコンを「ちょっと強め」にするくらいで済むと思う。
ところがうちの母は違う。
タオルケットの“重み”が睡眠の質を左右すると言い出したのだ。
「最近、どうも夜中に目が覚めるの。これはもしかして、掛けてるものの質が原因かも」
そうつぶやいた翌日、母は家じゅうのタオルケットを重量順に並べ始めた。
薄手、ガーゼ、今治、ちょっと厚手のホテル仕様──まるで展示会。
私はというと、その光景をスマホで撮影しながら、静かに思った。
この人は“眠れない理由”を物理的に処理しようとしている。
母の「快眠テスト」は毎晩開催された。
1日目は“超軽量”、2日目は“密度高め”、3日目は“ひんやり素材”。
「今夜は重みで包まれる安心感を試すね」と言って、厚手を選んだその夜、母は暑さで寝返りを100回打ち、翌朝「熟睡度★1」とメモに書き残していた。
さらに翌日は「保温性と通気性のバランスを考えた」と言って、2枚のタオルケットを重ねて、1枚分だけ肩からズラしてかけて寝るという謎のレイヤリング技を導入。
父は何も言わなかったが、翌朝こっそり「敷きパッドにもこだわってみようかな」とつぶやいていた。
どうやら伝染したらしい。
私?
私はというと、パジャマのズボンを少しめくって、扇風機の風がスネに当たる角度を調整して、だいたい10分以内に寝落ちしている。
でも、わかってる。
母が試してるのはきっと、タオルケットの問題だけじゃない。
「家族が快適に眠れる環境を本気で整えたい」っていう、母なりの実験なのだ。
もちろん、寝苦しさがどう解消されるかは、本人の感想に委ねられている。
でも私はそっと「実験成功だよ」と伝えてあげたい。
昨夜の寝言が「…ふわっふわ…」だったから。
たぶん、夢の中で軽いタオルケットに包まれてたんだと思う🩷。
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まとめ…研究者の親を持つと家にいるだけで“自由”が見えてくる
私が中学生になってから、夏の自由研究というイベントは、「やらされる宿題」から「観察対象になる日々」へと変わった気がする。
けれども、それはただの自己満足じゃない。
「家族の健康のために」「笑える日常を演出するために」「何かを発見したいという好奇心」
──そんな気持ちがきっと、ひとつひとつの“実験”を動かしていたのだと思う。
最初は笑って見ていたけど、気づけば私も、ノートに「実験名:ジュースの氷、星型の勝率は高め」とか書いていたりする。
「やれやれ」と思いながらも、どこかでちょっとワクワクしてたのかもしれない。
大人が本気でふざけたり、本気で挑んだりしてる姿って、なんだかんだ言って、かっこいい。
この夏いちばん自由に、そして真剣に研究していたのは、案外、“やらされてない側”だったのかもしれない。
だから私は、ひそかに決めている。
来年は、自分から自由研究を始めてみようと思う🩷。
題名はもう決めてある──
「我が家の親はなぜ、夏に科学者へと変貌するのか」
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