青の奔流・第3波~春の光る海から冬の空まで家で拾う青~
目次
はじめに…祖母の青スイッチ再起動と孫の青レーダーは常時オン
祖母は今日も青い服でした。もう驚きません。むしろ家の中では、祖母の青い服が「青の奔流の日だよ」という合図になっています。私(娘)が台所で湯気を立てていると、孫が目を輝かせて走ってきました。「ばあば、今日も青の日?」。祖母は穏やかに笑って、「そうだよ。青の日は心が落ち着くからねぇ」と言いました。もう完全に、我が家の行事です。
ただし今日は、第3波。ここが大事です。第1波と第2波で出した青は、一切出さない。つまり、青い鳥なら前回までの顔ぶれは封印、青い花も石も海の生き物も飲み物も、もう“出た子”は出禁です。孫が「出禁って言い方こわい!」と笑い、祖母が「青にも出禁があるのかい」と吹き出しました。私は娘として、笑いが取れた時点で今日の8割が成功したと思っています。
孫がメモ帳を開きました。「青の新顔リスト、作る」。祖母が「新顔って、青はアイドルかい」と言うと、孫は真顔で「そう。青は人気がある」と言い切りました。祖母が「じゃあ握手会はないね」と返す。私が「握手会はなくて、見る会だね」とまとめる。家族の会話は、青を軸にすると妙に滑らかです。
第3波のテーマは、「季節をめくると青が出てくる」。第2波でも季節は入れましたが、第3波はもっとはっきり季節の主役を立てます。春は“海が光る青”。初夏は“庭と花瓶の青”。秋は“着る青”。冬は“空が作る青”。そしてどれも、祖母の体調に合わせて、外に出なくても成立するようにします。出掛けるのは無理しない範囲で、基本は家で「写真」「動画」「窓」「手元の小さな体験」。祖母はこの方針を聞いて、「それが一番ありがたいねぇ」と頷きました。孫はすぐに「じゃあ家が青の博物館だ!」と叫びました。祖母が「博物館ってほど散らかさないでおくれ」と言い、私が「散らかすのは孫の担当じゃなくて青の担当ね」と、よく分からない責任転嫁をして笑いが起きました。
さて、今日の新顔の青たちを、先に“正式名称”だけこっそり並べておきます。春はホタルイカの発光の青。初夏は花のブルースター(オキシペタルム)とルリマツリ。秋は植物のタデアイ(蓼藍)から生まれる藍染めの青。冬は夕暮れの時間帯の青、ブルーアワー。そして、冷たい季節の“氷の青”として、氷や透明な水の中に見える青を、窓辺で安全に楽しみます。祖母が「青って、食べたり眺めたり着たり…忙しいねぇ」と言い、孫が「青は働き者!」と答えました。祖母が「じゃあ私みたいだね」と言って、家族で笑いました。
青は貴重だから心が動く。第1波と第2波で確かめたこの結論を、第3波では「季節の力」でさらに強くします。季節が違えば、同じ家でも景色が違う。景色が違えば、青の感じ方も違う。だから、また新しい青になる。祖母の青い服は、今日もその入り口です。
さあ、孫の青レーダーはもう鳴っています。最初は春。海が“光ってしまう”あの青です。祖母が驚きすぎてお茶をこぼさないように、私は先にタオルを用意しました。第3波、開幕です。
[広告]第1章…春の青は“光ったら勝ち”じゃなく“光ったら感動”~ホタルイカの発光で大はしゃぎ~
孫が最初に言いました。「春の青って、花じゃないの?」。祖母も頷きます。「春は桜とかねぇ」。私は娘として、ここで敢えて裏切ります。「春の青、今日は海から始めよう。しかも“光る青”」。祖母は目を丸くして、「海が光るのかい」と言いました。孫はもう勝利の顔です。「光るなら見たい!」。こうして第3波の1ページ目は、いきなり海に飛び込みました。もちろん、家の中で。
私がスマホをテレビに映すと、画面いっぱいに暗い海。祖母が「夜の海は怖いねぇ」と言った瞬間、ぽっ……ぽっ……と小さな光が灯りました。孫が叫びます。「出た!青!」。祖母は声をひそめて、「あらまぁ……」と笑いました。正式名称はホタルイカ。春、特に早春から春にかけて話題になりやすい“光る青”の主役です。孫が「ホタル?イカ?どっち?」と聞くので、私は落ち着いて言いました。「ホタルイカはイカ。ホタルみたいに光るからそう呼ばれてる」。祖母が「名前が説明になってるんだねぇ」と感心し、孫が「じゃあ私はホタル孫!」と意味不明な自己紹介をして祖母が吹き出しました。青の話は、だいたい孫の自己紹介で崩れます。
私はここで季節をしっかり結びます。ホタルイカの発光が注目されやすいのは春。特に「春の夜」のイメージと相性が良く、動画や写真でも“春の青の新発見”として心に残りやすい。祖母は「春って、明るいだけじゃなくて、夜も綺麗なんだね」と言いました。孫は「春は夜が本気出す」と訳の分からないことを言いましたが、祖母が笑っているので採用です。
それにしても、青の光は不思議です。第1波や第2波の青は、青い鳥、青い花、青い生き物、青い炎…と、“形がある青”が多かった。でもホタルイカの青は、形より先に「光」が来る。祖母が「これ、心が落ち着くねぇ」と言ったのが意外でした。暗い海なのに落ち着く。私は娘として理由を考えました。多分、青い光は強過ぎない。目を刺さない。だから安心する。孫が「青は優しいから光っても怒られない」と言い出して、祖母が「怒られる光って何よ」と笑いました。私は「夜中にスマホを最大明るさにする光」と答えて、孫が「それは怒られる」と頷きました。家のルールまで青に巻き込まれていきます。
私は祖母に、もう一つ“春の青の触り方”を提案しました。触ると言っても、手で触るわけではありません。触るのは“思い出”です。祖母は昔、夜道で蛍を見たことがあると言っていました。私はその話を引き出すように言いました。「ホタルイカって、名前にホタルが入ってるでしょ。昔見た蛍、思い出す?」。祖母は少し遠くを見る顔になって、「思い出すねぇ。川辺でねぇ、フワッと光って」と言いました。孫はその顔を見て、急に静かになりました。こういう瞬間があるから、青の企画は価値があります。青は派手に騒ぐだけじゃなく、静かに思い出を連れてくることも出来る。
孫がそっと言いました。「ばあば、春の青って、心の中で光るんだね」。祖母が「上手いこと言うねぇ」と褒めると、孫は照れて「今のは偶然」と言いました。私は娘として、こういう偶然を大事にします。第3波の1章は、“青が貴重だから心が動く”を、光で証明する章にしたい。ホタルイカは、その役にぴったりです。
最後に孫が、青メモに大きく書きました。ホタルイカ(春、特に早春〜春の夜に話題になりやすい発光の青)。祖母はその文字を見て、「春に光る青、覚えたよ」と言いました。孫は「覚えたら勝ち」と言い、祖母が「勝ち負けじゃないよ」と笑いました。けれど、孫の中ではきっと“勝ち”です。青の新発見は、見つけた人の胸の中で、こっそり勝利になるから。
春の夜で心が整ったら、次は初夏。今度は暗い海ではなく、明るい部屋で増える青です。花瓶に飾れる青の正式名称、ブルースター(オキシペタルム)とルリマツリ。孫が「青が部屋に咲くの好き!」と言う未来が見えています。祖母の青スイッチは、まだまだ続きます。
第2章…初夏の青は庭と花瓶で増える~ブルースターとルリマツリで部屋がフワッと涼しい~
春の夜のホタルイカで、家の空気が一旦、静かに光った後、孫が言いました。「次は明るい青が良い!」。祖母も頷きます。「夜の青も綺麗だけど、昼の青も見たいねぇ」。私は娘として、ここで初夏の青に切り替えます。初夏は、青が“増やしやすい”季節。外へ行けなくても、花瓶1つで家の中に青が咲きます。
私がテーブルを片付け始めると、孫がすかさず手伝いに来ました。手伝いというより、参加したいだけです。祖母が「今日は孫が働き者だねぇ」と言うと、孫は胸を張って言いました。「青のためなら働く!」。祖母が「青って雇い主なのかい」と笑い、私は「雇用契約はしてません」と返しました。こういう前置きで笑いが起きた日は、花の青がよく映えます。
まず正式名称をはっきり出します。初夏の青の1人目は、名前からして“青の案内人”みたいなやつ。**ブルースター(オキシペタルム)**です。祖母は「スターって星?」と聞きました。孫はすぐに「星だ!」と言い、私は「花の形が星みたいに見えることがあるよ」と補足しました。祖母が「なるほど、青い星が咲くんだねぇ」と言った瞬間、もうこの花は家族のものです。
季節もここで結びます。**ブルースター(オキシペタルム)**は、初夏に話題になりやすい青です。暑すぎる真夏の前、風がまだ軽い頃に、淡い青がふわっと似合う。祖母が「初夏の青って、涼しそう」と言うと、孫が「見た目で体感温度が下がる!」と断言しました。祖母が「それは言い過ぎだよ」と笑い、私が「でも気分は確実に涼しくなるよ」と言うと、祖母は「それで十分」と頷きました。青の企画は、体に無理をさせず、気分を先に整えるのが一番です。
次に出すのは、初夏から夏にかけて“庭やベランダで青が続く”代表選手。正式名称はルリマツリ。祖母は聞いた瞬間に顔を上げました。「瑠璃って言葉は、やっぱり青だねぇ」。孫は「瑠璃は青の合図!」と勝手に決め、私は「名前に瑠璃が付くと、青の可能性が高いことが多いね」と笑って返しました。祖母が「青の名札だね」と言い、孫が「名札の青!」と叫ぶ。孫の言葉は毎回少し変ですが、祖母が笑うので採用です。
ルリマツリの季節感は、初夏から秋くらいまで“長めに青が続く”イメージが作りやすい。特に初夏は、花も人も元気になり始める時期で、青が「これから夏が来るよ」と教えてくれます。祖母が「長く咲くっていいねぇ。気が向いた日に眺められる」と言ったのが、私には嬉しかった。祖母の楽しみは、“毎日必ず”より、“気が向いた日にふっと”の方が続くからです。
ここで私は、青を増やす方法を“行動”としてではなく“物語”として入れます。私が言いました。「初夏の青は、花瓶の中で育つ青にしよう」。孫が「育つの?」と聞き、祖母が「花瓶で育つのは気持ちだよ」と言って笑いました。私は「まさにそれ」と頷きます。花瓶にブルースター(オキシペタルム)の写真を貼って、隣にルリマツリの写真を貼る。花そのものを買えなくても、“青の花瓶”は作れる。祖母が「それなら私でも出来るねぇ」と言い、孫が「写真花瓶!」と叫びました。家の中に“青の場所”が出来ると、祖母はいつでもそこへ戻れます。
私はさらに、青の貴重さを花で補強します。赤や黄色は日常に多い。でも、淡い青の花は、見かけると足が止まることが多い。祖母が「分かるよ。青い花は見逃せない」と言い、孫が「青は足止め色だ!」と、前回の謎ワードを再登場させました。祖母が「その言い方、まだ怖い」と笑い、私が「足を止めたくなる色、でお願いします」と訂正します。こうして家の中で“言葉の整え”まで含めて青を楽しめるのが、第3波の良さです。
最後に、孫がメモに書きます。ブルースター(オキシペタルム)(初夏に映える淡い青の花)、ルリマツリ(初夏から秋に青が続きやすい花)。祖母はメモを見ながら、「初夏はこの2つで、部屋が涼しくなるねぇ」と言いました。孫は「ばあば、部屋が涼しくなるって言った!」と勝ち誇り、祖母が「気分が涼しくなる、だよ」と優しく訂正しました。孫が「はい、気分!」と元気よく返事をして、私が「よく出来ました」と笑う。青は、家族の会話の温度も整えてくれます。
初夏の青が部屋に咲いたら、次は秋です。秋は“眺める青”ではなく、“着る青”が強い。正式名称はタデアイ(蓼藍)から生まれる藍染め。祖母が「それは昔からある青だねぇ」と言う顔が、もう見えています。次の章は、祖母がちょっとだけ職人になります。
第3章…秋の青は“着る青”が最強~タデアイの藍染めで祖母が急に職人顔~
初夏の花で部屋の空気がフワッと涼しくなったところで、祖母がぽつりと言いました。「青って、見てるだけでも良いけど、身に付けると落ち着くんだよねぇ」。私は娘として、ここで“祖母の得意分野”に寄せます。秋は、空気が乾いてきて、色が深く見える季節。だからこそ「着る青」が一番気持ちいい。
孫はメモ帳を抱えたまま首を傾げます。「着る青って、青い服のこと?」。祖母は笑って言いました。「それもそうだけど、今日はもっと“青が生まれる話”だよ」。孫が目を輝かせました。「生まれる青!それ好き!」。私は頷きます。第3波は“新発見の青”が命。見慣れた青い服でも、「どうやって青になったの?」が分かると、急に特別になります。
ここで正式名称をしっかり出します。秋の主役は、植物のタデアイ(蓼藍)。そして、その**タデアイ(蓼藍)**から生まれる「藍染め」の青です。祖母は「藍染めは聞いたことあるよ」と言いました。孫は「藍ってなに?」と聞き、私は「青い色の元になるもの、って思っておけば大丈夫」と答えました。祖母が「昔の人は、青を作って着てたんだよ」と言うと、孫が「青を作るって、かっこいい!」と叫びました。祖母が「かっこよくない、臭いがするんだよ」と急に現実を差し込み、孫が「えっ」と固まりました。私は笑いながら「そこまで本格的にはやらないから安心して」と言いました。
秋にこれを持ってくる理由も、ちゃんと季節で結びます。**タデアイ(蓼藍)**は、育てて葉を収穫する話が“夏から秋”にかけて語られやすく、空気が落ち着く秋に「深い青」を楽しむイメージが作りやすい。祖母が「秋は色が深くなるんだねぇ」と言うのは、目の感覚としても分かりやすいんだと思います。孫は「秋は青も大人になる!」と勝手にまとめ、祖母が「孫の言葉はいつも急に詩だね」と笑いました。
私は娘として、祖母に負担をかけない“藍染めごっこ”を提案します。本当に染め液を作るのではなく、「藍染めの青」を家で感じる方法です。例えば、藍染めのハンカチや手ぬぐいを1枚だけ用意して、窓辺の光で見比べる。祖母の青い服の青、初夏の**ブルースター(オキシペタルム)**の淡い青、そして藍染めの深い青。孫が「青って何種類あるの!」と騒ぎ出す。祖母が「青はね、1色じゃないの」と得意げに言う。私はその会話を聞きながら、心の中でガッツポーズしました。青の貴重さは「数が少ないこと」じゃなくて、「同じ青でも表情が変わること」にもあるからです。
祖母は藍染めの布を指でなでて、「この青は安心するねぇ」と言いました。孫が「ばあば、青をなでてる!」と笑うと、祖母は真顔で「青はなでても逃げないからね」と返しました。孫が「青は逃げない、覚えた!」とメモを取りそうになったので、私は「それはメモしなくていい」と止めました。祖母が笑い、孫も笑う。秋の青は、派手さより落ち着きで勝負です。
ここで私は、藍染めが“ただの古い青”じゃないことも、軽く物語に混ぜます。祖母世代の記憶の中には、藍染めの作業着やのれん、手拭いの青が残っていることが多い。けれど孫世代には、それが新しい。祖母が「昔はね、こういう青が普通にあったんだよ」と言うと、孫は「普通がかっこいい!」と返しました。祖母は照れくさそうに「普通は普通だよ」と言いながら、少し嬉しそうでした。青の新発見は、孫にとってはもちろん、祖母にとっても「思い出が新しくなる」出来事になります。
孫が最後にメモへ書きました。タデアイ(蓼藍)(夏〜秋に“藍”の話が似合う植物)、藍染め(秋の落ち着いた空気で深く見える“着る青”)。祖母はその文字を見て頷き、「秋はこの青でいこう」と言いました。孫は「秋の青、採用!」と叫び、祖母が「採用って、面接じゃないよ」と笑いました。私は「うちの家族会議、だいたい採用で進むね」と言って、また笑いが起きました。
秋の“着る青”で祖母の心がしっかり落ち着いたら、次はいよいよ冬です。冬の青は、作らなくても勝手に現れます。窓の外が映画みたいになる時間帯の正式名称、ブルーアワー。そして、冷たい光が見せる“氷の青”。次の章は、家の窓が上映館になります。
第4章…冬の青は空が勝手に作ってくれる~ブルーアワーと氷の青で家の窓が映画館~
秋の藍染めで祖母の気持ちがすっかり落ち着いたころ、孫が急に腕を組んで言いました。「冬の青はさ、もう空が作るやつでしょ」。祖母が「空任せって、随分と大胆だねぇ」と笑い、私は娘として頷きました。「大胆だけど正解。冬の青は“勝手に現れる青”が一番強い」。ここまで来ると、青の企画というより、家族の季節の楽しみ方が増えていく感じです。
その日の夕方、窓の外が少しずつ色を変え始めました。冬は日が落ちるのが早いから、家の中にいるだけで“空の変化”に気づきやすい。祖母が「もう夕方かい」と言った瞬間、孫が窓辺に走っていきました。「来た!来たよ!」。私は笑いながら「まだ来てない、これから」と言うのですが、孫の頭の中ではもう開幕しているようです。
今日の冬の主役の正式名称は、ブルーアワー。夕暮れから夜に変わる短い時間で、空が青く深く見えることがある、あの瞬間です。祖母は名前を聞いて「時間まで青いのかい」と驚きました。孫は「青の時間って、かっこいい!」と即決し、私は「冬は特に分かりやすいよ。空気が澄んでることが多いからね」と季節を添えました。春や夏の青が“増やす青”だとしたら、冬の青は“待つ青”。待つと言っても、外で凍える必要はありません。暖かい部屋で、窓を映画のスクリーンみたいにするだけです。
祖母が窓の外を見ながらぽつりと言いました。「青って、昼の色だと思ってた」。私はそこで小さく首を振ります。「冬はね、夜の入口が青いことがあるんだよ」。孫が「夜の入口!」と復唱し、祖母が「入口って言うと、急に夜が施設の玄関みたいだねぇ」と笑いました。私は「夜の受付が青い顔してる」と言ってしまい、孫が「夜が、受付やってる!」と大喜び。祖母が「その受付、感じ良さそうだね」と言うから、なんだか冬の空がますます優しく見えてきます。
ブルーアワーは短いので、ここで娘として“祖母にやさしい工夫”を混ぜます。無理に「今だ!」と構えると疲れるから、「夕方の窓辺の席」を作っておく。祖母の好きな椅子を窓の近くに寄せて、膝掛けを置いて、ただ座るだけで空が見える状態にする。孫が「ばあば専用映画館シート!」と言い、祖母が「ポップコーンは要らないよ」と笑いました。私は「飲み物だけで十分」と返し、孫が「じゃあチケット代は?」と聞いてきたので、「チケット代は笑顔」と言ったら、祖母が「高いねぇ」と笑いました。冬の青は、こういう軽口と相性がいい。空が静かだから、家族の声がよく響くのです。
そして空がいちばん青く見えた瞬間、祖母が少し声を落として言いました。「あら……綺麗だねぇ」。孫は珍しく静かに頷いて、「ほんとだ」とだけ言いました。私はその沈黙が嬉しくて、敢えて何も言いませんでした。青は貴重だから心が動く。冬のブルーアワーは、その証明みたいな青です。作らなくても来るのに、毎日は同じにならない。だから貴重で、だから心が動く。
空の青をしっかり受け取ったら、次は“手元の青”です。冬のもう1つの主役は、ひんやりした透明の中に潜む青。ここではまとめて「氷の青」と呼びます。祖母が「氷は白いでしょ」と言うと、孫がすぐに「違うよ、透明だよ!」と反論しました。祖母が「透明は色じゃないよ」と返し、私は笑いながら「じゃあ実験しよう。安全なやつで」と言いました。
私はコップに大きめの氷を入れて、水を注ぎました。すると氷の厚い部分が、ほんのり青っぽく見える瞬間があります。光の当たり方や背景で変わるけれど、“青がいる”感じがする。孫が顔を近づけすぎたので、私は「目は近づけ過ぎない、コップは倒さない」と優しく止めました。祖母は「孫の観察、毎回研究員みたいだねぇ」と笑い、孫は胸を張って「青研究員!」と名乗りました。祖母が「研究員はコップを倒すなよ」と言うと、孫が「了解!」と敬礼しました。もう家の中が小さな研究所です。
冬の氷の青は、季節の力が大きい。夏でも氷は作れるけれど、冬は空気そのものが冷たいから、氷を見るだけで“季節の本体”に触れている気分になる。祖母が「冬って、こういう青なんだねぇ」と言いました。私は頷きます。「冬はね、色が少ない季節に見えるけど、その分、青が目立つんだよ」。孫が「目立つ青、正義!」と言い、祖母が「正義って、誰と戦うの」と笑いました。私は「眠気と戦う」と答えて、孫が「それは冬に毎年負ける」と言い、祖母が大笑いしました。笑っているうちに、窓の外の青は夜へと溶けていきます。
こうして冬の青は、家の中でちゃんと完結します。ブルーアワー(冬に分かりやすい“青い時間”)と、手元で楽しむ氷の青(冬の冷たい空気と相性がいい青)。祖母は最後に、窓から離れた後も少し機嫌が良さそうでした。「冬は寒いから苦手だったけど、青があるなら悪くないねぇ」。孫はすぐに言いました。「ほら、青は働き者!」。祖母が「青は働き過ぎだよ」と返し、私は「働き過ぎた青には、明日お休みをあげよう」と言って、家族でまた笑いました。
第3波の冬は、派手な道具も遠出も要らないのに、心がちゃんと動く。だからこそ、祖母のペースで何度でも再現できます。春に光るホタルイカ、初夏のブルースター(オキシペタルム)とルリマツリ、秋のタデアイ(蓼藍)と藍染め、冬のブルーアワーと氷の青。季節がめくれるたびに、青が増える。ここまで来たら、もう祖母の青い服は“ただの好み”じゃなくて、家族の季節の合図になっています。
後は、全部を優しく束ねて「またやろうね」で終わらせるだけです。次はまとめに進みます。
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第3波を終えて、祖母は青い服の袖をそっと整えながら言いました。「青って、ほんとにいろんな顔があるんだねぇ」。孫はメモ帳を抱えて「青の新顔、全員集合!」と叫びました。私は娘として、ここで深く頷きます。第1波と第2波で分かったことが、第3波でさらに確信に変わりました。青は貴重だから心が動く。しかも青は、季節のページをめくるたびに、別の顔で現れる。だから“まだ尽きない”。
第3波は、重複を避けるために、敢えて「季節で分けて、別ジャンルの青を拾う」作戦にしました。春は海の青、でもただの海じゃなく、光が生まれる青。正式名称はホタルイカ。暗い海にぽっと灯る青い光は、作ろうとして作れる青ではありません。だからこそ、祖母の心がふっと動きました。孫の「春は夜が本気出す」という謎の名言まで生まれたのだから、春の青はもう勝ちです。勝ち負けじゃないと言いながら、心の中で勝ってしまうのが青です。
初夏は、家の中で増やしやすい青。正式名称はブルースター(オキシペタルム)とルリマツリ。淡い青は、暑くなり切る前の季節にピッタリで、祖母は「気分が涼しくなるねぇ」と言いました。孫が「見た目で体感温度が下がる!」と騒いでも、祖母が笑っていればそれで良い。青の企画は、正しさより“気持ちよさ”が大切です。花の青は、部屋を変えるより先に、家族の会話を変えてくれました。
秋は、見る青から着る青へ。正式名称は植物のタデアイ(蓼藍)、そこから生まれる藍染め。祖母の顔が急に職人になったのは、私としても嬉しい発見でした。懐かしいはずの青が、孫にとっては新しい。孫が「普通がかっこいい!」と言った瞬間、祖母の思い出が“今の言葉”に塗り替えられました。青は色だけじゃなく、記憶の温度も整えるんだと、私はこの章で確信しました。
冬は、空が勝手に作ってくれる青。正式名称はブルーアワー。短い時間だけど、その短さが貴重さになる。祖母が「綺麗だねぇ」と声を落とし、孫が黙って頷いたあの数秒は、家族の中で小さな宝物になりました。そして、手元で楽しむ氷の青。冬は色が少なく見える季節なのに、だからこそ青が浮かび上がる。窓の外の青と、コップの中の青。大袈裟なことをしなくても、家の中はちゃんと季節になれます。
ここまで並べると、青の新顔たちの正式名称と季節が、ちゃんと一つの物語になっているのが分かります。ホタルイカ(春、特に早春〜春の夜に話題になりやすい発光の青)、ブルースター(オキシペタルム)(初夏に映える淡い青の花)、ルリマツリ(初夏から秋に青が続きやすい花)、タデアイ(蓼藍)(夏〜秋に“藍”の話が似合う植物)、藍染め(秋の落ち着いた空気で深く見える“着る青”)、ブルーアワー(冬に分かりやすい“青い時間”)、そして氷の青(冬の冷たい空気と相性がいい青)。どれも、第1波と第2波の青とは重ならず、しかも家の中で再現できる形に落とし込めました。これは第3波の誇りです。
でも、今日、一番大事な結論は、別のところにあります。青は尽きないけれど、追い駆けるペースは祖母を軸に決める。孫は勢いで「第4波!第5波!」と叫ぶかもしれない。でも祖母が疲れる前に止めるのが、娘の役目です。青の企画が素晴らしいのは、“無理をさせなくても成立する”から。動画でも写真でも窓でも、手元のコップでもいい。祖母が笑って、孫が一緒に笑って、私はそれを見て安心する。それが家族の正解です。
祖母は最後に、青メモを閉じて言いました。「次は、どの青に会おうかねぇ」。孫が即答します。「全部!」。祖母が「全部は忙しいよ」と笑い、私が「じゃあ次は、ばあばが一番気分のいい青を選んで」と言うと、祖母はゆっくり頷きました。「そうするよ。青は逃げないからねぇ」。私はその言葉に、なんだか胸が温かくなりました。
青は貴重だから心が動く。けれど本当は、その青を一緒に眺めて笑える時間が、いちばん貴重なのかもしれません。第3波の青は、今日もちゃんと、家族の心を動かしてくれました。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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