白くてほっこり秋冬を彩る看板娘~11月21日ゆり根の日~

目次
はじめに…茶わん蒸しの片隅から飛び出してゆり根さん今日は主役でお願いします
ゆり根といえば、茶わん蒸しの底でひょっこり顔を出す“白いほっこり担当娘”。ところがこの子、実力はなかなかのものです。北海道で丁寧に育てられ、ほくほくと甘く、秋冬の食卓にぴったり。11月21日にはゆり根の日まであるくらい、じつは堂々たる主役候補なんです。
栗のようにほろっと崩れて、じゃがいもみたいに素朴で、しかも上品。ひと口かむたび、口の中に静かな幸福が広がります。茶碗蒸しのお椀の中だけにいてもらうにはもったいない。ごはんに混ぜてもヨシ、さっと炒めてもヨシ、やさしい甘味のデザートにだっていける器用さがあります。
古くから体をいたわる食材としても親しまれてきて、乾いた季節の心と体をふわっと落ち着けてくれる存在感。とはいえ、人それぞれ体調は違いますから、量は控えめに様子を見て、湯でこぼしなどのひと手間を添えれば、さらにやさしい仕上がりになります。
今日は、そんな“隠れたブランド野菜”の魅力を、肩の力を抜いて味わい直す入り口にしましょう。茶わん蒸しの名脇役が、気づけば食卓の真ん中でニコッと笑っている──そんな秋冬のワンシーンを思い浮かべながら、一緒にゆり根の世界へ🩷。
[広告]第1章…北海道に集まったわけはひんやり土と気の長いお世話の物語
ゆり根がのびのび育つ場所って、じつは条件がはっきりしている。夏はほどよく涼しく、湿気は控えめ、そして土がゆっくり休める広さがあること。これがぴったり重なるのが北海道でした。暑さとじめじめが続くと球根はぐったりしてしまうのですが、北の大地はさらりとした風が通りやすく、地面のご機嫌がいい日が多い。
もうひとつの理由は、気の長い栽培サイクル。ゆり根はすぐには大きくなりません。年をまたいで少しずつ重なりを増やし、丸くふっくらしていきます。その間に生産者さんは同じ畑に連続して植え続けず、順番に場所を変えていきます。いわば畑の席替え。今日はAくん、来年はBさん、その次はCさん…と交代で座って、土に休憩時間を渡してあげる感じです。これなら土の力が偏らず、病気や虫のたまり場にもなりにくくなる。広い土地がある北海道だからこそ、この交代制が落ち着いて回せるのです。
そして育てている間も、ほったらかしにはできません。節目ごとに少しだけ掘って様子を見たり、形の良い球を選んで次の年に託したり。白いひらひらが何枚も重なって、手のひらにのせるとずっしり頼もしく感じる。そんな姿になるまで、ゆり根をゆっくり育ててもらえる環境が整っているのが北海道なのです🩷。
最後に流れの話も少しだけ。出荷の窓口がまとまっていると、遠くの台所までスムーズに辿り着けます。北で育ち、北で選ばれ、全国へ。茶わん蒸しのあの一片が、長い道程を旅してきたと思うと、口に入れた瞬間のほっこり感がひときわ増しますね。北海道に集まったのは偶然ではなく、ゆり根が笑顔で育つための条件が勢ぞろいしていたからというわけです。
第2章…栄養は頼もしい!ホクホク感と高カリウムの実力派
ゆり根は見た目こそ控えめでも、中身はしっかり者。100gあたりおよそ120kcalで、主役はでんぷん、そこにちょっぴり多めのたんぱく質。頼もしさの看板はカリウムで、約760mgという堂々ぶり。食物繊維は2~3gほど、ビタミンCもほどよく入っていて、寒い季節にうれしい“ほっと一息”の栄養設計です。
たとえば栗は甘みしっかりでエネルギーも豊富、さつまいもは香り高くてビタミンCが得意分野。ゆり根はその間にちょこんと座って、ホクホクなのに後味は軽やか、そしてカリウムの面倒見がよい、そんな立ち位置。じゃがいもよりはコクがあり、栗よりは軽い――この“ちょうどいい”感じが、炊き込みやスープで冴えます。
体をいたわる食材として語られてきたのも納得で、寒さでこわばりがちな日でも、口に入れると肩の力がふっと抜けるようなやさしさ。とはいえ人それぞれの体調は大切です。腎臓に心配がある方は量を控えめにして、下ごしらえで負担をやわらげましょう。薄く割って水にさらす、さっと下ゆでしてゆでこぼす――このひと手間で、カリウムはすっとおとなしくなります。目安は水さらしなら10分、下ゆでなら1~2分、難しいことは考えず“軽くならす”気持ちで十分です。
料理側から見ると扱いやすさも魅力です。炊き込みごはんなら米2合に対して握りこぶし1つ分ほどを割り入れて、塩は控えめ、香りの薬味を添えれば全体が引き締まります。ポタージュなら玉ねぎと合わせて弱火でゆっくり、ミキサーにかけて牛乳で伸ばせば、寒い夜に湯気ごとごちそう。炒め物なら彩り野菜と一緒に短時間、最後に少量の醤油で“キュッ”と決めると、ゆり根の甘みが前へ出ます。
要するに、ゆり根は“目立ちすぎないのに頼もしい🩷”。食卓の真ん中で大声は出さないけれど、気づけば全員を支えてくれているタイプです。栄養の面でも、味わいの面でも、秋冬の台所に一歩入ってきたら、そのまま居座ってほしい存在。今日はひとかけらから、明日はひと皿へ――そんな距離感で仲良くなっていきましょう。
第3章…ご飯・炒め物・甘味まで茶わん蒸しから広がる寄り道散歩
ゆり根は、割ってみると白い花びらみたいに一枚ずつはがれていきます。まずは軽く水にさらして、気になる人は酢をほんの少し落とした水にくぐらせると白さが綺麗に残ります。下ごしらえは難しく考えなくて大丈夫、ひと口大に割って、下ゆでは1~2分で十分。指でつまむとほろっと崩れそうな、あの感じがでます。
炊き込みごはんは、米2合に対して握りこぶし1つ分のゆり根を割り入れて、塩は控えめ、だしは少し濃いめにしてみてください。炊き上がりに小口ねぎを散らすと、白と緑が冬の景色みたいに映えます。甘くしない栗ごはんのような上品さで、お茶碗の底からひょいっと現れるたびに、口の中がほっと落ち着いていきます。
フライパン派なら、オリーブオイルで玉ねぎをゆっくり炒め、ゆり根とベーコンを加えて軽く色づくまで。最後に醤油をひと回しして“キュッ”と決めると、甘みが前へ出てきます。パンにもごはんにも寄り添えて、翌日の朝ごはんまで堂々と担当してくれる万能ぶりです。
寒い夜はポタージュにしてみましょう。薄切りのゆり根と玉ねぎを弱火で蒸すように炒め、ひたひたの水で柔らかく煮てから、ミキサーでなめらかに。牛乳でのばして塩で整えれば、湯気の中からやさしい甘みが立ちのぼります。仕上げにバターを小さじ1、胡椒をぱらり。外で冷えた指先まで、じわっと温まっていきます。
もう少し遊び心を出すなら、薄めにスライスしてバター焼き。表面に軽い焼き色がついたら、醤油と味醂を同量で小さく煮詰めて照りをまとわせます。おかずにもおつまみにもなる一皿で、気づけばおかわりの手が伸びています。甘い方向が好きな人は、砂糖少々を足してデザート寄りに。温かいミルクと合わせれば、和のスイートポテトみたいなほっこり感が生まれます。
保存は、湿らせたキッチンペーパーで包んでから袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ。数日で使い切れない時は、さっと下ゆでして水気を切り、小分けで冷凍に。凍った花びらをそのままスープや炒め物に入れるだけで、平日の台所がぐっと楽になります。
茶わん蒸しの名脇役として出会ったゆり根は、炊き込みにも、炒め物にも、スープにも、甘い一品にもするっとなじみます。派手ではないのに、皿の真ん中に置くと不思議と“きちんとした顔”になる。今日はひとかけら、明日はひと皿。そんな距離感で寄り道しているうちに、気づけば食卓の常連になっているはずです🩷。
第4章…中国での姿は百合は炒めても煮ても甘くしても人気者
ゆり根は中国では「百合(バイフー)」としてぐっと身近な食材です。市場で白い花びらのようにばらした状態が山になっていて、夕方になると鍋やフライパンへ直行。炒めればしゃくっと軽く、煮ればほろっとほどけ、甘く仕立てればやさしい余韻が残ります。日本ではお椀の中の名脇役という印象が強いけれど、あちらでは堂々のメイン登場。たとえば「清炒百合」は油を控えめにして、セロリや人参と一緒にさっと火を通すだけ。白さが映えて香りが立ち、ゆり根の甘みがすっと前に出ます。豚肉や鶏肉の薄切りを加えると、旨みのコートをまとったように一体感が生まれ、白いごはんが進む進む。
スープの世界では「百合・蓮の実・クコ」を合わせた温かな一杯が定番で、白きくらげがふるふる震えながら光を受け止めます。ゆり根はくたっとしすぎる前のタイミングで火から上げるのがコツで、口に入れた瞬間にほろり、後からやさしい甘みが追いかけてきます。甘い方向に振るなら氷砂糖で整えるデザート寄りの滋養スープ。夜更けの読書の相棒にも、乾いた季節ののどにも、じんわり効いてくる存在です。
乾物コーナーにも顔を出していて、「乾燥百合」は軽く戻してから使います。戻し汁には香りが移っているので、無駄にせずスープのベースに。生に比べて味わいはぎゅっと落ち着き、冷蔵庫事情が忙しい日でもさっと使える手軽さがうれしい。日本の台所でも、生が手に入りにくい時期は乾燥をストックしておけば、思い立った夜にすぐ温かな一皿が用意できます。
取り入れ方はむずかしくありません。いつものチンジャオロースのピーマンの一部をゆり根に替える、ミネストローネにひらひらと散らして食感の段差をつくる、杏仁豆腐の上にシロップでさっと煮たゆり根をのせる――そんな小さな冒険で十分🩷。白がひとさじ入るだけで、器の中に余白が生まれて上品さが増します。
体調とのつきあい方も忘れずに。量は控えめ、下ごしらえで軽くならして、家族の顔色と相談しながら卓上にのせれば大丈夫。ゆり根は気取らないやさしさで皿を整える小さな主役です。日本の冬に寄り添う茶わん蒸しから、アジアのキッチンを旅する炒め物やスープへ。ひと皿ずつ距離を縮めていけば、気がつけば台所の常設メンバーになっているはずです。
[広告]まとめ…白いひと片で秋冬が整う~11月21日はゆり根の日~
茶わん蒸しの底で見つけてにっこり、炊き込みに入れてほっと一息、ポタージュにすれば湯気ごと幸せ。ゆり根は、派手に主張しないのに皿の空気をすっと整える名手になる可能性が満載でした。北海道のひんやりした畑でゆっくり育ち、花びらみたいにほろりとほぐれて、口の中では栗のように上品。中国の台所では炒めても煮ても甘くしても頼もしい、そんな懐の広さも持っています。
体調に合わせて量は控えめ、下ごしらえでやさしくならして、家族の顔色を見ながらテーブルへ。ひとかけらから始めても、明日にはひと皿分の仲良しに。白いひと片が加わるだけで、今日のメニューに季節の見出しが付くのだから不思議…いえ、これは経験則というやつでしょう。
そして11月21日。カレンダーに小さく丸をつけて、買い物かごに“白い笑顔”をひとつ。茶わん蒸しでも、炊き込みでも、バター焼きでも、どれを選んでも大正解です。静かに頼れるこの食材と一緒に、台所の秋冬を少しだけ上向きにしてみませんか?次の湯気が立ちのぼる頃には、きっと誰かが「また作って」と言ってくれるはず…🩷。
⭐ 今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m 💖
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