王妃や世界が愛したピザと食卓と文化の距離の不思議

[ 11月の記事 ]

はじめに…11月20日は丸い1枚から始まる“みんなで分ける”話

11月20日は「ピザの日」。1889年、イタリアで王妃マルゲリータが気に入った1枚がきっかけになって、赤・緑・白の彩りが世界中の食卓へ広がっていったと言われています。気取らず、みんなで手を伸ばして、三角の切れ目から「どうぞ」「いただきます」。丸い形には、なんとなく輪になって座るパーティーの光景が似合いますよね。

日本でも、戦後のある時期から宅配や冷凍が広まり、いまや街のパン屋さんやコンビニで当たり前に見かける存在になりました。ところが、介護施設やデイサービスの食卓では、菓子パンは登場してもピザはめったに顔を出しません。脂っこい、食べづらい、手が汚れる──理由は確かに思い当たりますが、それで終わらせてしまうのは少し惜しいような気もしてきませんか?小さく切る、具材をやさしくする、和の味つけに寄せる。ピザの魅力の奥深さや工夫の余地はまだまだありそうです。

そして、勉強やゲームの合間に1切れあるだけで、気分がふっと軽くなるのもピザの良さ。机まわりを汚さない工夫さえ先に決めておけば、集中のスイッチにも、会話のきっかけにもなってくれます。「ピザの日」を合図に、世界で愛されているピザの1枚と日本の食卓、そして介護の現場の間にある“ちょっとした距離”を、やさしくグッと近づけてみませんか🩷。

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第1章…王妃がうなったマルゲリータと色で語るイタリアの粋

1889年、ナポリの街にやってきた王妃マルゲリータの前に、赤・緑・白の3色がふわっと広がりました。トマトの赤は陽気な挨拶、バジルの緑は地中海の風、モッツァレラの白は気品のため息。お皿の上でイタリア国旗がニコッと笑い、王妃は「これはいい」と唸ったとか――そんなエピソードが、今も丸い1枚の人気を後押ししています。

ピザは作り手の性格まで見えてしまう料理。生地を薄くすれば軽やか、厚めにすれば頼もしさ。ソースを多めにすれば陽気、控えめならば渋い大人。チーズをとろ~りさせるか、キュッと締まった配合にするかで、同じマルゲリータでも印象が変わります。具材を足して派手にしても、あえてイタリア国旗みたいに3色に絞って粋に決めても、どちらも正解。丸いキャンバスは自由の象徴、食卓の真ん中で個性を歓迎してくれます。

しかも、切り分ける前から「みんなでどう分ける?」と会話が始まるのが粋なところ。8等分にしても、6等分にしても、最後の1切れを誰が取るかで笑いが起きるなんてことも。ナイフやフォークが整列する格式の高い席とはちょっと違って、手と手が自然に動き、視線が交わり、席替えだって気軽に起きるでしょう?丸い1枚は人と人の距離を0.5歩だけ近づける魅力的な仕掛けになります。

そして11月20日の「ピザの日」は、そんな自由と親しさを思い出す合図になりませんか?豪華である必要はありません。焼き上がりの湯気、切れ目からのぞく赤・緑・白、耳のこんがり。これだけで食卓に小さな拍手が起きます。王妃がうなったあの日から、私たちの食卓に届いたのは、味だけでなく「一緒に食べる喜び🩷」という贈り物だと言えるでしょう。その箱を開けるたび、テーブルの空気が少し明るくなる――そこが、ピザの粋なところです。


第2章…戦後日本にやって来たピザとパン棚と宅配が根づくまで

焼き立ての香りは、遠い港から届く風の感じに少し似ているかもしれません。戦後の日本にやって来たピザは、洋食ブームの波に乗りながら、喫茶店の「ピザトースト」という入り口でまず顔見せをしました。トマトとチーズを食パンにのせて焼くあの素朴な一枚は、いきなり本格窯の前に立たなくても、家庭のトースターで真似できるやさしい橋渡しでした。昭和の食卓に、赤と白の彩りが静かに広がっていったのです。

やがて街には専門店が増え、家庭にはオーブンが入り、冷凍食品のコーナーにも小さなピザの丸が並ぶようになりました。放課後の友だちとの集まり、休日の家族時間、深夜の受験勉強の相棒。どの場面でも「切れば分け合える」気軽さが重宝され、ピザはいつのまにか、特別な日だけのごちそうから、日常の頼れる助っ人へと衣替えをしたのです。パン屋さんの棚にもミニサイズが並び、コンビニでは温め直してホカホカに。どの町にも、すぐ会える距離感ができました。

そして宅配の広がりが、大きなとどめのひと押し。電話一本、今はスマホでの注文で、玄関先まであの匂いが運ばれてきます。大皿を用意して、紙の箱を開ければ、湯気が輪になって立ちのぼる。忙しい夜や、誰かの頑張りをねぎらう日、会議の合間のひと息。食卓の段取りを軽くして、会話の時間を増やしてくれるところが、時代にぴったりはまりました。 

こうして日本のあちこちで、ピザは暮らしのリズムに溶け込みました。大きな窯の本格派も、トースターの簡単派も、冷凍庫に待機する心強い味方も、全部が同じ丸い一枚のピザ。その日の予定とお腹の都合に合わせて選べる自由が、ピザをぐっと身近にしました。気がつけば、町のパン屋さんから山あいのスーパーまで、どこでも出会える顔なじみ🩷。遠い国のご馳走だったはずが、気づいたら日本語で挨拶している――そんな定着の仕方が、日本らしさを感じるポイントかもしれません。


第3章…介護の現場でピザが控えめなワケをやさしく噛みくだく

介護施設やデイサービスの厨房に足を踏み入れると、そこは限られたスペースの中で毎日3食を回している真剣勝負の舞台です。ごはん釜やスチームコンベクションはあっても、大きなピザ窯が鎮座している光景はまず見られません。あの丸い石窯は格好いいけれど、置いた瞬間に「ここはイタリアか?」と突っ込まれるうえ、通路も塞いでしまうので現実的ではないのです。

では大型業務用レンジで代用すれば…と思うと、確かに温めは得意ですが、ピザの魅力である“カリッと香ばしい耳”がどうしても出にくい。冷凍ピザを湯煎や解凍で出すと、見映えが崩れて「なんだかパンの上に具が落ちただけ?」と感じてしまうことも。せっかくピザを用意しても、提供のタイミングで冷めたり、表面がふにゃっとしたり。厨房スタッフにとっては「これならおにぎりの方が安心」という気持ちになるのも無理はないのかもしれません。

宅配ピザという強力な味方もありますが、人数分を頼むと一瞬で予算を食い尽くす“鬼コスト”。届いた瞬間が一番おいしいのに、利用者さん全員の前に行き渡る頃には湯気も逃げてしまい、「熱々で食べさせたい」という想いと現実の間で板挟みになります。

さらに高齢者にとっては、硬めのクラストや濃い味が負担になる場合も少なくありません。手で掴んで食べる動作も介助が必要な場面では取り入れにくく、感染症対策とがっちり結びついてしまいます。スタッフが手袋で介助…それも介助を受ける高齢者さんから見ると不快になりやすい。こうして理由はいろいろで、どうしても食卓のレギュラーメニューから外されてしまいやすいのです。

こうして並べてみると、ピザは確かに“敬遠される1枚”。でも見方を変えれば、これだけ多くのハードルを持ちながらも、誰しもの記憶に必ずあるピザの思い出。「食べたい」「出したい」と頭に想い浮かぶ存在感そのものが特別な物の証拠です。つまり課題が多いのではなく、課題を超える価値があるから悩まれるということ。介護の食卓においてピザは、遠くて近い憧れのスターなのかもしれません。

新たな設備投資では石窯業務用大型オーブンがあると目玉の1つになるかもしれませんよ、経営者さん方…。集団に一斉に提供する釜の設備はとても高額…。でも、ランニングコスト、ピザそのものにかける原価は意外に低いものです。施設では大量に業務用で揃えるので一般家庭よりも安価に揃えられますよね。つまり後は経営者さんが投資すると決めるかどうかなんですよね。スタッフさんや利用者さんではお世話になっている点もあって、このような細かい意見は封殺されてしまう。きっと食べたいと皆思うはずだよ、これからの高齢化社会の食卓には大事だよと、こっそり代弁してみました🩷。


第4章…小さく切ればごちそうで和風アレンジで軽やかピザに

専用の窯がなくても、介護の食卓に丸い楽しみを呼び込む道はあります。合言葉は「小さく、軽く、香ばしく」。まず形を決めるより先に、食べやすさを先行させます。生地は薄めにのばして耳は控えめ、焼き色はほどよく。ひと口で収まる四角や丸のミニサイズに整えると、介助の手にも、ご本人の手にもやさしい動きになります。温度は熱すぎず、香りはたっぷり。これだけでテーブルに笑顔が増えます。

香ばしさは火加減で決まります。大きな窯の代わりに、ホットプレートや厚底フライパンで下側を先にカリッと、仕上げに上火の近いトースターで表面をさっと整える二段仕上げにすれば、耳まで心地よく。スチーム機能のある機器があれば、はじめに少し蒸気をあてて中まで温め、最後に乾いた熱で表面を締めると、ふにゃっとせずに気持ちよく噛み切れます。厨房の動線に合わせて少量ずつ焼き、焼けた順にテーブルを回すと、温度のムラも小さくなります。

味つけはやさしく整えるのがコツです。塩は控えめ、油は薄く。トマトの酸味は煮詰めてまろやかに、玉ねぎは甘みが出るまで火を入れて、チーズは少量を薄く広げて香りで満足感を出します。具材は細かく刻んで口の中でまとまりやすく、和の素材にも頼ってみましょう。青のり、しらす、刻み高菜、鶏そぼろ、ほうれん草、かぼちゃ。出汁のうまみで下支えすれば、強い味に頼らなくても「おいしいね」が自然にこぼれます。

どうしても丸い一枚が難しい日には、発想をくるっと転換します。やわらかい食パンで作るピザトースト風は、厚さも焼き加減も調整しやすく、細かく切ればひと口で安心。さらに配慮が必要な方には、小さな耐熱皿にソースと具材、少量のチーズを重ねた“ピザ風グラタン”を同じ香りで用意すれば、同席の全員が同じテーマを楽しめます。見た目も赤・緑・白を意識して彩れば、食卓のテンションはそのままに、負担だけをそっと減らせます。

提供の段取りも、ひと声の工夫で景色が変わります。各席に紙ナプキンと小さなフォークを先に置き、「温かいうちにどうぞ」と合図してから配膳を始めると、こぼしにくく、手も汚れにくくなります。取り皿は滑りにくい素材を選び、スタッフが回る順番を決めておけば、焼き上がりの山を崩さずにテンポよく回せます。香りがふわっと広がった瞬間に最初の一切れが着席する――このリズムが作れたら、もう成功は半分届いています。

丸い一枚を無理に押し通さず、現場に合う形へそっと変えてみる。小さく、軽く、香ばしく。ほんの少しの工夫で、介護の食卓にも赤・緑・白の合図が灯り、会話が自然に弾みます。今日の体調と笑顔に寄り添いながら、「できる」形で招待する。それが“ピザ風”のいちばんおいしい作法です🩷。


第5章…勉強もゲームも進む?“汚さないコツ”で机上ピザ作戦

机の上で三角の1切れを楽しむ時、一番の敵はソースの小さな逃亡者。まずは敷物を1枚。薄いシリコンマットでも新聞紙でも、守りの土台が1枚あるだけで安心感がちがいます。取り皿は滑りにくい素材を選び、手拭きは左右どちらの手にも届く位置に置いておきます。食べ始めると、予想以上に動線は短くなるもの。最初の配置で勝負は半分つきます。

ピザは「大きいほど楽しい」の法則をあえて崩して、ひと口~ふた口の小さめサイズに。先にキッチンばさみで外周をやさしくカットしておくと、耳が口の中で暴れません。具材は落ちにくいように軽く押さえ、表面が落ち着いた頃合いで席へ。温度は熱すぎず、湯気がほのかに上がるくらいが机上の空論向きの黄金帯です。飲み物はストロー付きのふた付きカップにすれば、ノートやキーボードの安全度が段違い。こぼれない安心が集中力を引き上げます。

勉強やゲームのペース作りに「1切れ=1セット」の合図が便利です。例えば、問題集を3ページ終えたら1切れ、次のラウンドに勝ったら1切れ、といった小さなご褒美方式。口に運ぶ前に深呼吸を1つ入れると、味の満足と頭の切り替えが綺麗に重なります。食べ終わった指先はすぐ拭けるように、個包装のウエットティッシュを手前に待機させる。画面や紙に油の足跡を残さない段取りは、集中時間の寿命をのばしてくれるものです。

匂い対策も、机上では大事なマナーです。にんにく控えめ、ハーブは香りが立ちすぎない程度に。トマトソースは煮詰めて酸味をやわらげ、チーズは少量を薄く広げて香りだけリッチに。重い昼下がりには、軽めの和風アレンジが頼もしい味方になります。青のりやしらす、鶏そぼろ、刻み高菜。赤・緑・白の彩りを意識するだけで、見た目の満足も上がり、写真を撮りたくなる一品が並ぶ机に早変わりです。

最後は後片づけの段取りまでワンセット。箱や紙ナプキンはまとめて一束に、取り皿は立てて乾かし、テーブルをさっとひと拭き。ここまでが「おいしかった」の余韻です🩷。小さく切って、軽く仕上げて、香ばしさはそのまま。汚さない工夫を先回りしておけば、机の上でも堂々と「さぁ、もう1セット」。丸い1枚は、集中とリラックスの間を行き来する、頼もしい相棒になります。

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まとめ…1切れの距離を縮めたい“ピザの日”にできること

11月20日の「ピザの日」に、王妃がうなった赤・緑・白の彩りを思い出すと、丸い1枚がどれだけ多くのテーブルで会話を生んできたかに気づきます。戦後に日本へ渡って、パン棚や宅配で身近になり、今や町のあちこちで「いつもの顔」として並ぶまでに普及しました。

それでも介護の現場では、一歩手前で立ち止まることがある。専用の窯は置けない、解凍だと香ばしさが足りない、予算も配膳の段取りも難しい。理由を数え上げれば確かに腰が引けますが、同時に「工夫できる余地」も見えてきます。小さく、軽く、香ばしく。形は変えても、赤・緑・白の合図はそのままに。

テーブルに座る顔ぶれに合わせて、ひと口サイズに整えたり、やさしい味に寄せたり、さらに配慮が必要な方には“ピザ風”の小皿で同じ香りを届けたり。丸い1枚にこだわらなくても、共有する時間の温度は上げられます。机の上で楽しむ日には、汚さない段取りを先に決めて、集中とリラックスを行き来する相棒として迎えればいい。

文化の距離は、ひと口の距離。今日の体調、今日の気分、今日の笑顔に合わせて、無理のない形で近づけていく。そんなやわらかな選択が積み重なれば、介護の食卓にも、学びの机にも、丸い拍手が静かに広がります。「ピザの日」は、遠い国のご馳走を思い出す合図であると同時に、私たちの目の前のテーブルを少しだけ明るくする合図でもあるのです🩷。

⭐ 今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m 💖


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