1月3日はひとみの日~高齢者の“見えにくさ”と目をいたわるお正月レク~
目次
はじめに…ひとみの日は「見えにくさ」に気づくチャンス
お正月三が日の最終日、1月3日は「ひとみの日」。元日は初詣や年賀状、2日は買い物や来客でバタバタしがちですが、3日辺りになると、ようやく家の中でのんびり過ごす空気も出てきます。テレビを見たり、こたつでウトウトしたり、離れて暮らす家族から届いた写真をスマホで眺めたり。実はこのタイミングこそ、高齢の家族の「見え難さ」に気付きやすい時間帯でもあります。
何となくテレビに顔を近づけている。リモコンの文字を読むのに時間が掛かる。孫の写真を見せても「よく見えないからいいよ」とスマホを返してしまう。そんな場面に心当たりはないでしょうか。ちょっとした仕草の変化は、白内障や緑内障などの病気でなくても、年齢と共に進む目の負担や疲れのサインであることが少なくありません。しかし、暮らしの変化はゆっくり進むため、「前からこんなものかな」と見過ごされがちです。
一方で、お正月の室内は、意外と目に厳しい環境でもあります。薄暗い部屋で長時間テレビを見続ける、スマホの画面を明るさマックスのまま見つめる、外に出ずに一日中近くばかり見ている……。若い世代でも目が重くなる条件が揃っているのですから、年齢を重ねた瞳にとっては、かなりの負担になっているかもしれません。
だからこそ、「ひとみの日」を単なる記念日で終わらせず、今年の目の調子を見直す小さな切っ掛けにしてみるのはいかがでしょうか。高齢の家族にとっては、自分の見え方を言葉にするチャンス。介護職や家族にとっては、「最近、見えづらそうにしていないかな」と観察の目を向け直すチャンス。そして、施設や在宅で関わる人たちにとっては、目を労わるレクリエーションを取り入れて、楽しみながらケアに繋げていくチャンスでもあります。
この記事では、まず高齢者に多い「見えにくさ」のサインを整理し、その後で、難しく聞こえがちな目の病気を出来るだけ分かりやすく解いていきます。さらに、お正月という季節ならではの環境作りのポイントや、施設でも在宅でも取り入れやすい「目を労わる冬レク」のアイデアも紹介しながら、1年を「よく見える一年」に近付けるヒントをまとめていきます。
今年の1月3日は、テレビとおせちだけの日ではなく、「ひとみを気づかう日」に。そんな気持ちで、次の章から一緒に目の話を覗いてみましょう。
[広告]第1章…「最近テレビに近い?」目の不調サインと高齢者の暮らし
高齢の家族と暮らしていると、ある日ふと「あれ、前よりテレビに近くない?」と感じる瞬間があります。ジワジワと進む変化ほど、毎日、傍にいる人には気づき難いものですが、目の不調は生活のあらゆる場面に小さな影を落としています。まずは、特別な道具がなくても気づける「暮らしの中のサイン」に目を向けてみましょう。
分かりやすいのは、テレビとの距離や向きです。以前はソファに座って見ていたのに、いつの間にかこたつから前のめりになって画面に近づいている。音量も、気づけば家族の誰より大きい設定になっている。ニュースの字幕を読む時、目を細めたり、首を前に突き出すようにして文字を追っていたり。こうした変化は、「よく聞こえない」「よく見えない」を何とかカバーしようとする体の自然な反応でもあります。
また、室内の明るさの好みが変わることも大事なサインです。今までは問題なく歩けていた廊下やトイレで、「ここ暗いね」「電気つけて」と言う回数が増える。逆に、日中の窓辺の光を眩しがり、レースのカーテンを閉めたがる。眩しさに弱くなると、外出を躊躇うようになることもあります。買い物に付き添った時、店内が眩し過ぎて目を細めていたり、足もとばかり気にして歩いていたりしたら、視界の一部が見えづらくなっている可能性も考えられます。
手元の作業にも、目の変化ははっきり表れます。新聞や回覧板を読む時、腕をいっぱいに伸ばして紙を遠ざけている。カレンダーの予定を書き込む時、マスの外にはみ出しやすくなった。針に糸が通しにくくなり、裁縫をやめてしまった。料理の時、包丁の動きが慎重になり過ぎて時間がかかるようになった。どれも、すぐに「病気だから」と決めつける必要はありませんが、「前と違うな」と感じた時には一度立ち止まって見つめたいポイントです。
目の不調は、体の動きにも影響します。段差で躓く回数が増えた、見慣れた部屋で物にぶつかるようになった、廊下の向こうから来る人や台車に気づくのが遅くなった。こうした変化は、単なる筋力の衰えや注意力の問題に見えがちですが、「見えている範囲」が狭くなっている場合も少なくありません。実際には、足元の段差や通路の端が見えづらくなっていて、本人なりに慎重に歩いている結果として、動きがぎこちなくなっていることもあります。
忘れてはいけないのが、気持ちの変化です。見えにくさが進むと、人は新しい場所や人混みを避けるようになりがちです。「足腰が弱ったから」「歳だから」と理由を口にすることもありますが、その裏に「よく見えないから怖い」「迷惑をかけたくない」という本音が隠れているかもしれません。今まで好きだった散歩に誘っても気乗りしない、外出の約束が近づくと落ち着かない様子になる。そんな時は、体だけでなく、目の状態にもそっと意識を向けてみたいところです。
家族や介護職としては、「もう歳だから」「こんなものだろう」と片づけてしまうのが一番もったいないところです。見えにくさは、工夫や治療によって楽になる部分が多く、早めに気づくほど選べる方法も増えます。「最近テレビに近いな」「前よりよく転びそうになるな」と感じたら、それは責めるためではなく、守るために気づいたサイン。ひとみの日を切っ掛けに、「老化だから仕方ない」と諦めてしまいそうな場面を、「何か出来ることはないかな」と考え直す最初の一歩にしていきたいですね。次の章では、耳慣れた病名を、出来るだけ優しい言葉で解きながら、この「見えにくさ」の背景をもう少し深く覗いていきます。
第2章…白内障・緑内障・ドライアイ~難しい病名を優しく紐解く~
「目が見え難い」と一言で言っても、その理由はいろいろあります。白内障、緑内障、加齢黄斑変性、ドライアイ……名前だけ聞くと怖く感じますが、「どの辺りに、どんな変化が起きているのか」をざっくり知っておくだけでも、家族としての心構えが少し変わります。ここでは専門用語を出来るだけ減らして、目の中で起こっていることをイメージしやすくお話ししていきます。
まずは、年齢とともに多くの人が経験する「白内障」です。目の中には、カメラでいうレンズの役割をする透明な部分があります。若い頃は澄んだガラスのようですが、歳を重ねていくと、少しずつ曇りガラスのようになっていきます。これが白内障です。見え方としては、全体的に霞んで見えたり、光が滲んで眩しく感じたりします。「部屋は明るいのに、なんとなく暗くボンヤリする」「昼間の外出や車のライトがつらい」といった訴えに繋がることもあります。進み方には個人差がありますが、「何となく全体が白っぽく濁る」イメージを持っておくと理解しやすいかもしれません。
一方、「緑内障」は、見え方の変化がとても分かり難い病気です。目の奥には、見えた情報を脳に届ける大切なケーブルのような部分があります。このケーブルが少しずつ弱っていくと、視野の一部が欠けていきます。最初は端っこの方から少しずつ見えづらくなるため、本人も周りも気づき難いのが特徴です。「躓きやすくなった」「人や物にぶつかるようになった」といった日常の変化の裏に、この病気が隠れていることもあります。視力検査の数字がよくても、見える範囲そのものが狭くなっている場合がある、というのがポイントです。
「加齢黄斑変性」という病名も、高齢者の目の話ではよく耳にします。これは、物を見る時に一番大事な「真ん中の部分」が傷んでしまう病気です。景色の中心が歪んで見える、真ん中だけ暗く抜けてしまう、といった不思議な見え方が起こります。文字を読もうとした時に、肝心の部分だけ読み難くなるので、「新聞が読めない」「顔の表情が分かり難い」といった困りごとに繋がりやすい病気です。テレビの画面は見えていても、テロップの文字だけがどうも読み取り難い、という訴えが出ることもあります。
そして、年齢に関係なく多くの人が経験するのが「ドライアイ」です。名前のとおり、目の表面が乾きやすくなる状態を指します。本来、目の表面は涙の薄い膜で守られていて、その膜があるからこそ、物がクリアに見えています。ところが、涙の量が減ったり、質が変わったり、瞬きが少なくなったりすると、この膜が不安定になってしまいます。その結果、目がゴロゴロする、霞んで見える、ショボショボする、といった不快感が出てきます。エアコンの効いた部屋で長時間テレビやスマホを見ていると、若い人でも同じような症状が出やすくなります。
こうして並べてみると、白内障は「レンズがにごる」、緑内障は「見える範囲が少しずつ欠ける」、加齢黄斑変性は「真ん中がゆがむ・抜ける」、ドライアイは「表面のうるおいが足りない」というように、それぞれ違う場所でトラブルが起きていることが分かります。どの病気も、早めに見つけて医師に相談することで、進み方をゆるやかにしたり、見え方を少しでも楽にしたり出来る可能性があります。「歳だから仕方ない」とひとまとめにせず、「どのタイプの見え難さだろう」とイメージしてみることが大切です。
ただ、ここで忘れたくないのは、家族や介護職が「診断」をする必要はない、ということです。目の中で何が起きているかを正確に判断するのは、専門家の役割です。私たちに出来るのは、「最近こんな見えづらさが増えてきた」という変化を見つけて、「一度、目のことを相談してみませんか」と背中を押すこと。その時、「怖い病気かもしれないよ」と不安を煽るのではなく、「はっきりさせておくと安心だよ」「今より楽になるかもしれないよ」と、安心に繋がる声掛けを意識してみると、相手も一歩を踏み出しやすくなります。
ひとみの日の記事だからといって、病名の細かい説明で難しくしてしまう必要はありません。大事なのは、「見え難さにはいろいろなタイプがあって、早めに気づけば出来ることも多い」という全体像を、やさしく伝えることです。次の章では、この「見えにくさ」を抱えた目に、お正月の環境がどんな影響を与えるのか、そして今日から出来る環境づくりの工夫について見ていきます。
第3章…お正月こそ目を休めたい~今日から出来る環境作り~
目の病気というと、「手術」「お薬」といった治療に意識が向きやすいのですが、実は日々の環境も大きな鍵を握っています。特に冬のお正月は、目にとって少し厳しい条件が重なりやすい時期です。暖房で空気は乾き、外は明るいのに室内は薄暗くなりがち。テレビやスマホを長時間見ることも増えます。だからこそ、ひとみの日は「環境を整えるだけでも、目はだいぶ楽になる」という視点を思い出したいタイミングです。
まず考えたいのは「明るさ」です。高齢になると、若い頃と同じ明るさでは足りないことが多くなります。にも関わらず、お正月の和室やリビングは、雰囲気を出すために照明を落としたり、こたつの周りだけぼんやり明るい状態になっていたりしがちです。この中で細かい文字を読もうとすると、目はピント合わせにフル回転し、アッという間に疲れてしまいます。新聞や年賀状、福袋のチラシなど細かい文字を読む時は、手元にスタンドライトを足したり、照明を一段階明るくしたりするだけでも、負担はグッと軽くなります。「眩し過ぎない、けれど暗過ぎない」を目安に、本人の表情を見ながら調整してみると良いでしょう。
次に意識したいのが、テレビやスマホとの距離と時間です。お正月番組は楽しいものが多く、高齢の方にとっても大きな楽しみですから、「見ないで」と制限する必要はありません。ただ、画面に顔を近づけたまま長時間見続けると、ピントを合わせる筋肉が休むヒマをなくしてしまいます。出来れば、画面の対角線の2倍以上の距離を目安に、ソファや座布団の位置を調整してあげると安心です。途中で「お茶を入れようか」「一度トイレに行ってこようか」と、立ち上がる切っ掛けをサラリと作るのも、目の休憩になります。画面から離れて、窓の外の遠くをぼんやり眺める時間をはさむだけでも、ピント合わせの筋肉はひと息つけます。
冬ならではの落とし穴が、「乾燥」です。エアコンやファンヒーターを使う室内は、思っている以上に乾きやすく、ドライアイを悪化させる原因になります。目の表面の潤いが奪われると、ゴロゴロしたり、霞んで見えたりして、ますますテレビに顔を近づけたくなるという悪循環に陥りがちです。加湿器があればこまめに使い、無ければ濡れタオルを干す、やかんでお湯を沸かすなど、昔ながらの工夫も役立ちます。直接風が目に当たらないように、暖房の風向きを少し変えるだけでも、かなり違いが出ます。
足もとや通路の安全も、目の環境作りの一部として大切です。視界が少しでも狭くなっていると、ほんの小さな段差やコード類が転倒の切っ掛けになります。お正月は座卓やこたつ、来客用のイスなど、普段より家具が増えやすい時期です。動線に物が出ていないか、コードが横切っていないかを、家族でいま一度見直してみましょう。夜間にトイレに行く時の足元が心配なら、小さなフットライトや人感センサー付きのライトを使うのも一案です。「見えない不安」を減らすことは、心の落ち着きにも繋がります。
施設であっても在宅であっても、「目を休める一時」を意識して組み込むことは出来ます。例えば、午前中の短い時間だけテレビを消して、窓辺の席でお茶を飲む時間を作る。廊下やベランダから、空や遠くの山並み、近所の家並みを一緒に眺める。そんなシンプルな一時が、目にとっては最高の休憩になります。遠くを見ることで、いつも近くにピントを合わせてがんばっている筋肉の緊張がほどけ、頭もすっきりしやすくなります。
環境作りのコツは、「特別な道具を揃える」のではなく、「今ある暮らしの中で調整できるところはどこか」を探すことです。明るさ、距離、乾燥、足元。この4つを意識して整えるだけでも、高齢の瞳に掛かる負担は確実に変わってきます。ひとみの日を切っ掛けに、「目に優しいお正月の部屋作り」を家族やスタッフ同士で話し合ってみると、新しい気づきが生まれるかもしれません。次の章では、こうした環境作りに、楽しさと交流をプラスできる「目をいたわる冬レク」のアイデアを、具体的に紹介していきます。
第4章…施設でも在宅でも楽しい「目を労わる冬レク」アイデア集
ひとみの日を切っ掛けに、目の休憩やケアを意識しようと思っても、「具体的に何をしたらいいのか分からない」と感じる方も多いかもしれません。難しい体操や特別な道具が無くても、いつものレクリエーションに、少しだけ「目を労わる工夫」を足してあげるだけで十分です。ここでは、高齢者施設でも在宅でも取り入れやすい冬ならではのアイデアを、出来るだけ情景が浮かぶ形で紹介していきます。
「目をほぐす時間」を皆で共有するレク
まずおすすめしたいのは、「目をほぐす時間」をレクリエーションとして組み込んでしまう方法です。例えば、午後のひと息タイムに、全員でイスに座ったまま出来る簡単な「目のストレッチ」を行います。顔ごと左右をゆっくり見る、上下に視線を動かす、斜め方向をチラッと見る、といった優しい動きだけでも、同じ距離ばかり見続けていた目には良い気分転換になります。
進行役が、「では右の壁に貼った絵を見てみましょう」「次は天井を見上げて、ゆっくりと瞬き」などと声を掛けながら行うと、ゲームのような雰囲気で楽しめます。人数が多い施設なら、壁に季節の飾りや大きな文字を書いた紙を貼って、「雪だるまはどこでしょう?」「赤い文字はどこでしょう?」と、軽いクイズを交えながら視線を動かしてもらうのも一案です。これだけでも、自然と遠くと近くを交互に見ることになり、目の負担を和らげる助けになります。
在宅の場合は、家族と二人だけでも十分です。窓の傍に椅子を置き、外の景色を眺めながら、「あの家の屋根の色は何色かな」「一番遠くに見える山の形はどんなだろう」と会話をしつつ、遠くを眺める時間を作ります。遠くを見ることで、いつも手元の新聞や画面で頑張っていたピント合わせの筋肉が、ふっと緩みます。短い時間でも構いませんから、「今日はひとみの日だから、目をお散歩させようか」と声を掛けてみると、ちょっとした特別感も生まれます。
また、目を閉じて休ませるレクも効果的です。温かいおしぼりや蒸しタオルを瞼の上にそっと乗せて、数十秒ほど静かに深呼吸をしてもらいます。その間、進行役が「雪の降る音を想像してみましょう」「子どもの頃のお正月を思い出してみましょう」などと語りかけると、目だけでなく心もふんわり緩んでいきます。タオルの温度は、必ず自分の腕の内側で確かめてから当てるようにし、「熱過ぎないですか」と一声掛けるひと手間が、安全と安心に繋がります。
交流と会話を生む「目を労わる冬遊び」
目を労わるレクは、「静かなケアの時間」だけでなく、賑やかな遊びの中にも取り入れられます。例えば、お正月定番の福笑いを、目に優しい形にアレンジしてみる方法があります。顔の輪郭やパーツを、普段より大きく、はっきりした色で用意しておくと、見え難さのある方でも参加しやすくなります。目隠しをして遊ぶ従来のスタイルだけでなく、「敢えて目隠しをせずに楽しむ福笑い」にしてしまっても構いません。パーツが大きいほど、手先の負担も軽くなり、笑いの種も増えていきます。
また、「色探しゲーム」も、目と頭の体操を兼ねた冬レクとしておすすめです。室内にある物の中から、「赤い物を探してみましょう」「丸い形の物はいくつありますか」など、お題を決めて探してもらいます。施設なら、壁の飾りや椅子のクッション、職員の名札など、身の回りの物がそのまま題材になります。在宅なら、食卓の上の器や棚の上の小物、お正月飾りなども良い材料です。目だけでなく、記憶力や会話も刺激され、「そこにもあったのね」と笑いが生まれやすくなります。
さらに、目を休めつつ楽しめる「朗読タイム」も、冬にはピッタリです。細かい文字を読むのがつらくなった方でも、誰かが本やエッセイ、昔話などを読んでくれる時間なら、目を閉じて耳だけで楽しむことが出来ます。施設では職員やボランティアが交代で読むのも良いですし、在宅では家族が少しずつ読み進めても良いでしょう。聞いている間、無理に顔を上げる必要はありません。「目は閉じていて大丈夫ですよ」と伝えておくことで、「見えない申し訳なさ」から少し解放されます。
どのレクにも共通する大切なポイントは、「無理をさせないこと」と「本人のペースを尊重すること」です。眼科で「控えた方がよい」と言われている動きがある場合は、無理に取り入れる必要はありませんし、眩しさや疲れを訴えた時は、すぐに休憩に切り替える柔らかさが必要です。「皆でやるから」と頑張り過ぎてしまう方には、「途中で止めても大丈夫」「見ているだけでも参加ですよ」と声を添えておくと安心です。
ひとみの日を切っ掛けに、「目を労わる」というテーマのレクを一度作ってみると、内容を少し変えながら季節ごとに何度でも応用できます。冬は室内で窓の外を眺める遊び、春は桜や新緑を見に行く目のお散歩、夏は夕暮れの空を眺める時間、秋は紅葉を探す色探し。そうして一年を通じて、目と心の両方をそっとほぐす時間が積み重なっていくと、高齢の方にとっても、家族や介護職にとっても、「優しい一年」になっていきます。次のまとめでは、ひとみの日に意識したいポイントを振り返りながら、これからの一年を「よく見える一年」に近づける道筋を、改めて整理していきます。
[広告]まとめ…ひとみの日から始める“よく見える一年”のつくり方
1月3日のひとみの日は、お正月三が日の中でも少し影の薄い存在かもしれません。しかし、高齢の家族や利用者さんと向き合う私たちにとっては、「見えにくさ」に気づき、「これからの一年をどう支えていくか」を考える、静かだけれど大切な節目の日になります。のんびりテレビを見たり、こたつで団欒したりする時間が増えるからこそ、暮らしの中に潜んでいる小さな変化が見えやすくなるタイミングでもあります。
この記事ではまず、「最近テレビに近い」「字幕が読みにくそう」「廊下を歩くときに足元ばかり見ている」といった、日常の中に現れる目の不調サインを辿りました。これらは、白内障のように全体が霞んでくる変化かもしれませんし、緑内障のように視野の一部が欠けているサインかもしれません。あるいは、加齢黄斑変性で真ん中が見え難くなっていたり、ドライアイで表面の潤いが足りなくなっていたりする可能性もあります。「歳だから仕方ない」とひとまとめにせず、「どんなタイプの見え難さなのか」をイメージしてみるだけでも、受け止め方は変わっていきます。
もちろん、診断をするのは医師の役割です。家族や介護職に求められるのは、「いつもと違う見え難さ」を見つけて、「一度、目のことを相談してみませんか」とそっと背中を押すことです。その時、「怖い病気かもしれないよ」と不安を煽るのではなく、「はっきりさせておくと安心だよ」「今より楽になるかもしれないよ」と、希望につながる言葉を添えられると、相手も一歩を踏み出しやすくなります。
合わせて、お正月ならではの環境作りの大切さも見てきました。薄暗い部屋で長時間テレビを見続ける、乾いた暖房の風に当たり続ける、足元の物が増えて躓きやすくなる。こうした条件が重なると、目にも体にも負担が掛かります。明るさをひと段階上げる、手元にライトを足す、画面との距離を少し広げる、加湿を意識する、通路から物をどける。特別な道具がなくても、「明るさ・距離・乾燥・足もと」の4つを整えるだけで、高齢の瞳にとっての暮らしは、グッと優しいものになっていきます。
さらに、施設でも在宅でも楽しめる「目を労わる冬レク」として、目のストレッチや窓辺での景色タイム、温かいおしぼりで瞼を休める一時、色探しゲームや大きなパーツの福笑い、朗読タイムなどのアイデアも紹介しました。これらは、単に目を休ませるだけでなく、会話や笑いを生み出し、「見え難さ」を抱えた方が疎外感を抱かずに参加できる工夫でもあります。「よく見えないからもういい」と諦めてしまいがちな場面に、「こういう形なら一緒に楽しめるかもしれない」という新しい道を開いてくれます。
一年の計は元旦にあり、と言われますが、ひとみの日は「一年の見え方」を考え直す日だと捉えてみるのも素敵です。今年は、高齢の家族や利用者さんが、どんな景色を見て、どんな表情を眺めながら過ごしていけたら幸せだろうか。その景色の中に、自分自身もどんな目で立ち会っていたいだろうか。そんな問いを、少しだけ心に置いておくことで、「よく見える一年」「安心して暮らせる一年」に近づいていけるはずです。ひとみの日を切っ掛けに、目の健康と、目に映る日々の風景を、ゆっくりと大切にしていきたいですね。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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