5月の風は気持ちいいのに何故か疲れる~新緑の季節の“明るい不調”との付き合い方~
目次
はじめに…風はやさしいのに体はちょっと置いていかれる
5月の風は、本当に気持ちが良いです。洗ったばかりのカーテンがふわりと揺れて、窓の外は新緑、空も軽い。冬ほど身構えなくてよく、真夏ほど汗に追い立てられもしない。気分一新で何か始めたくなるには、申し分のない季節です。なのに、午後になると急に瞼が重くなる。朝はやる気満々だったのに、夕方には「今日はもう炊飯器に拍手だけして寝たい」と思う。あの妙なズレ、身に覚えのある方は少なくないはずです。
5月の疲れは、いかにも不調という顔でやって来ないのが少し厄介なところです。空気は明るく、周りも元気そうで、自分まで「元気でいなければ」とつられてしまう。連休明けで生活の拍子がズレたまま、寒暖差、自律神経(体の調子を自動で整える働き)の忙しさ、予定の増え方まで重なると、心と体は右往左往しやすくなります。具合が悪いわけではないのに、どうにも噛み合わない。そんな日は、気合いが足りないのではなく、季節の切り替わり目に体が真面目に付き合っているだけ…、ということも意外と多いものです。
5月はしんどい月ではなく、無理が見え難い月です。
しかもこの季節は、疲れているのに動きたくなるのがまた不思議なところです。天気が良いから散歩もしたい。冬物も片付けたい。窓も開けたい。ついでに模様替えもしたい。やる気があるのは素敵なのですが、体の方が「会議に呼ばれていませんけど?」と少し遅れて挨拶にやって来ることがあります。心は初夏、体はまだ春の途中。そんな食い違いが、怠さや眠さや、理由のハッキリしない重たさになって出てきます。
けれど、心配し過ぎなくて大丈夫です。大きく立て直すより、朝の光の浴び方を変える、食べる時間を少し整える、予定を1つ減らす、夜に深呼吸を1つ増やす。そのくらいの小さな手当てで、暮らしはちゃんと軽くなっていきます。新緑の季節は、走り抜けるための季節というより、明るさの中で自分の調子を見つけ直す季節なのかもしれません。風の気持ち良さを味方にしながら、体にもちゃんと追いついてきてもらいましょう。
[広告]第1章…5月は“元気なはず”が多過ぎる
5月は、季節そのものがなんだか元気です。空は明るく、木々は青々、洗濯物もよく乾く。連休の名残もあって、世の中まで「さあ、ここからです」と背中を押してきます。けれど、その空気の明るさがそのまま自分の元気と重なるとは限りません。むしろ、周りが軽やかに見える日ほど、自分の怠さを言い出し難くなるものです。
朝から日差しが綺麗だと、「今日はちゃんと動けそう」と思います。そこまでは良いのです。問題は、その後に心の中で始まる小さな会議です。せっかく晴れているし、片付けもしたい。買い物にも行きたい。歩いた方が体にも良さそう。ついでに冬物も少し片づけてしまっちゃおうか。そこへ仕事や家の用事が並ぶと、気分は元気溌剌、体は「聞いてませんけど」という顔になります。やる気があるのは立派なのに、体力の方が後ろから小走りでついてくる感じです。
元気そうな季節ほど、しんどさは“さぼり”に見えやすくなります。
しかも5月は、疲れに名前が付き難いのが厄介です。熱があるわけではない。大きく寝込むわけでもない。けれど、眠い、重い、ぼんやりする、ちょっとイライラする。そんな半歩ぶんの不調は、自律神経(体の調子を自動で整える働き)が寒暖差や生活の変化に右往左往している時にも起こりやすくなります。気力がないというより、心と体の歩幅がまだ揃っていないだけ。そこを見落とすと、「こんな陽気なのに何でだろう?」と、自分に小さくがっかりしてしまいます。
5月のしんどさがややこしいのは、周りの“元気前提”まで一緒に飛んでくるところにもあります。新年度の緊張が少しほどけて、そろそろ慣れた頃でしょう、連休で休めたでしょう?天気も良いでしょう?と季節も人もなかなかの前傾姿勢です。いやいや、休んだはずの連休で逆に生活リズムが行方不明になった人もいますし、家族が揃った分だけ台所と洗濯機だけがフル稼働だった人もいます。休みとは、座っているだけで完成するものではなかったのかと、連休明けに知ることもあるのです。
こういう時に大事なのは、元気に見える景色を基準にし過ぎないことです。窓の外の緑が眩しい日でも、心の中はまだ曇り空で構いません。人それぞれ、春から初夏へ渡る橋の長さは違います。スイスイ進む日もあれば、途中で欄干にもたれて深呼吸したい日もある。そのくらいの幅があって自然です。5月は、頑張れない月なのではなく、頑張り方を少し雑にすると疲れが表に出やすい月。そう思うだけで、肩の力はだいぶ緩みます。
第2章…気温より先に暮らしのリズムが乱れている
5月の疲れは、気合いだけではどうにもならないことがあります。何故なら、しんどさの正体が「心」だけにあるとは限らないからです。朝の光が急に早くなり、連休で寝る時間も食べる時間も少しズレ、そのまま日常へ戻ると、体内時計(体の中で眠りや食欲の流れを整える仕組み)は地味に一進一退をくり返します。本人は普段通りのつもりでも、体の方は「昨日は何時に寝たんでしたっけ?」と首をかしげているわけです。
朝、いつもより早く目が覚めるのに、昼過ぎには眠い。夜は早く寝たいはずなのに、ダラダラとスマホやテレビを見てしまって、寝つく頃には少し目が冴える。昼夜逆転と呼ぶほどではなくても、この“半分ズレた感じ”は5月らしい疲れ方です。しかも明るい季節なので、朝から動けてしまう日もあります。動けるなら元気なのでは、と思いたくなりますが、夕方にガクッと力が抜けるなら、それは体が後払いで請求書を出してきたようなものです。まことに律儀で、ありがたくない几帳面さです。
5月は体調不良というより、生活の拍子が半拍ズレていることが多いのです。
食事も同じです。連休中に朝食が遅くなったり、外で食べる機会が増えたりすると、お腹の空き方まで少し変わります。朝は食欲が湧かず、昼に急にお腹が空いて、夜にドッと食べる。すると眠りが浅くなって、翌朝またぼんやりする。体が弱ったというより、暮らしの歯車がカチッと噛み合っていない状態です。ほんの少しのズレなのに、気分には意外と響きます。
この時期に優しいのは、暮らしを完璧に戻そうとしないことです。朝はまずカーテンを開けて、外の光を目に入れる。起きてすぐ水か温かい飲み物をひと口飲む。食事は豪華でなくて良いので、時間だけはできるだけ寄せていく。夜は眠くなってから布団へ行くより、「そろそろ体を静かにする時間ですよ」と先に合図を出す方が上手くいくことがあります。寝る前に部屋の灯りを少し落とすだけでも、心と体の会話は始まります。
気持ちが沈んでいるように見える日でも、実際には生活リズムが乱れているだけ、ということは珍しくありません。逆に言えば、性格の問題でも根性の不足でもなく、整えどころがちゃんとあるということです。朝の光、食べる時間、夜の静けさ。その3つが少し揃うだけで、5月の怠さはスルスルとほどけていきます。体は案外、派手な応援より、地味で安定した合図の方が好みなのかもしれません。
[広告]第3章…疲れているのに出掛けたくなる季節の不思議
5月は、体が少し重くても外へ向かいたくなる季節です。窓を開ければ風が柔らかい。日差しもまだ刺々しくなく、空まで「家にいるの、もったいないですよ」と誘ってきます。散歩もしたいし、買い物ついでに少し遠回りもしたい。花も見たいし、新しい服も着たい。冬の間に縮こまっていた気持ちがほどけていくのは、確かに嬉しいことです。けれど、その“動きたさ”と“回復していること”は、必ずしも同じではありません。
この時期の困りごとは、気分が先に走りやすいところにあります。朝、空が綺麗だと洗濯を増やしたくなる。玄関の掃き掃除もしたくなる。ついでに収納の入れ替えまで始めたくなる。気づけば腕まくりをして、気持ちだけは開店直後のホームセンターくらい元気です。ところが昼を過ぎると、足は少しだるいし、肩は重いし、座ったら最後、立ち上がる理由を探すのにひと苦労。あの「さっきまでの私、どこへ?」という感じは、5月らしい珍風景かもしれません。
5月は、回復したから動けるのではなく、景色に背中を押されて動けてしまうことがあります。
しかもこの季節は、やりたいことが妙に増えます。冬物をしまいたい、寝具も替えたい、草花も気になる、少し歩けば気分も変わりそう。どれも悪くないのです。ただ、全部を同じ日に乗せると、心機一転どころか満身創痍になりやすい。やる気は景気よく前へ出るのに、体力は慎重派で後ろからついてくる。この足並みのズレが、夕方のぐったり感や、理由のハッキリしない不機嫌さに繋がります。
人は、気持ちの良い季節ほど「少しくらい無理しても平気」と思いがちです。暑さの厳しい真夏なら、流石に休もうと考えます。寒さの強い冬でも、無理は禁物だと身構えます。ところが5月は、景色がのどかで空気も爽やかなので、無理が無理に見え難い。これがなかなかの曲者です。穏やかに見える日ほど油断が混じり、知らないうちに疲れを積み上げます。静かな日こそ要注意とは、何とも奥ゆかしい季節です。
こんな時は、出掛けたい気持ちを止めるより、量を半分にする方が上手くいきます。散歩に行くなら、帰りに買い物を詰め込み過ぎない。片付けをするなら、一気呵成ではなく一か所だけにする。洗濯を頑張った日は、夜の予定を軽くする。勢いを折るのではなく、余白を残すのです。5月は、活動的であることより、快適なまま終われることの方が大切です。昼間の心地良さを、夜の疲労感で台無しにしない。その小さな采配が、この季節を随分と過ごしやすくしてくれます。
外へ向きたくなるのは、心がちゃんと季節を受け取っている証拠です。それは悪いことではありません。むしろ健全です。ただし、心が春から初夏へ軽やかに渡っていく時、体の方は橋の途中で景色を眺めていることがあります。そんな日には、急かさず、置いていかず、ほどよく手を引いて歩くくらいがちょうど良いのでしょう。5月は、勢いで走り抜ける月ではなく、気持ち良さを長持ちさせる工夫が似合う月です。
第4章…5月の疲れは“休む”より“整える”で軽くなる
5月の怠さに気づいた時、真っ先に「もっと休まないと」と考える人は多いものです。もちろん休息は大切です。けれど、この季節の疲れは、たっぷり眠っただけで雲散霧消するとは限りません。少し厄介なのは、疲れが“壊れている感じ”ではなく、“ズレている感じ”で出やすいことです。そんな時に効きやすいのは、長く寝ることより、朝昼夜の流れを静かに整えること。暮らしのネジを半回転戻すような、地味で誠実な手当てです。
朝は、気合いを入れる時間ではなく、体を起こしていく時間だと思うと上手くいきます。起きたらまず光を入れる。顔を洗う。温かい飲み物をひと口でも良いので口にする。ここで大切なのは、立派な朝活ではありません。心機一転で散歩を四十分、朝食は完璧、ついでに筋トレまで、となると三日目に「話が違う」となりがちです。5月は空が気持ち良過ぎて、朝から自分に期待をかけ過ぎるのです。そこは平常運転で十分。小さく始めて、細水長流の方が体には優しいのです。
昼は、元気を振り搾る時間ではなく、減ったものを足す時間です。眠いなら、ほんの短い休憩を入れる。食事は量より、抜かないことを大事にする。水分も「喉が渇く前に少しずつ」の方が、後から楽になります。セルフモニタリング(自分の調子を見つめること)という言葉がありますが、難しく考えなくて大丈夫です。今日は少しぼんやりするな、足が重いな、甘いものより汁物が欲しいな、その程度の気づきで十分です。体の声は大抵、小声なので、怒鳴ってこない代わりに、こちらが聞く姿勢を持つ必要があります。
5月の立て直しは、頑張ることではなく、暮らしの順番を優しく戻すことです。
夜になると、疲れているのに頭だけ少し冴えることがあります。昼間の疲れと、季節の明るさがまだ残っていて、心だけが店仕舞いを渋るのです。そんな日は、寝る直前まで情報を詰め込まず、灯りを少し落として、体に「今日はそろそろ閉店です」と知らせてあげると落ち着きやすくなります。寝具や部屋の空気も侮れません。暑くはないけれど少し蒸れる、寒くはないけれど足元が落ち着かない、その曖昧さが眠りを浅くすることもあります。5月は中途半端なようでいて、実はこういう微調整がものを言う季節です。
予定の入れ方にも、ちょっとした工夫が効きます。調子を戻したい時ほど、「空いている日に用事をまとめよう」としがちですが、そこで詰め込み過ぎると元も子もありません。外出した日は家の中を軽めにする。片付けをした日は夜を静かにする。人に会った日は一人の時間を少し長めに取る。活動と休息を半々にするというより、賑やかなことの後に静かなことを置く感じです。これだけで、5月の疲れは随分と扱いやすくなります。
5月に必要なのは、大改造ではなく微調整です。元気を出そうと前のめりになるより、今の自分が気持ちよく動ける幅を見つけること。少し眠い日には少しゆっくり、少し重い日には少し軽めに。そんな柔軟自在の暮らし方が出来ると、季節の明るさはちゃんと味方になります。気持ちの良い風に背中を押されながら、体にも「その速さで大丈夫ですよ」と声を掛けて進む。その歩き方が、5月にはよく似合います。
[広告]まとめ…初夏の入口では頑張りより“余白”が味方になる
5月に疲れるのは、弱いからでも、怠けているからでもありません。風が気持ちよく、景色が明るく、動きたくなる力が強い分だけ、心と体の歩幅がズレやすい。それだけのことです。元気を出そうと背筋を伸ばし過ぎるより、朝を少し整え、昼に少し足し、夜を少し静かにする。その積み重ねで、暮らしはちゃんと持ち直します。派手さはなくても、こういう手当ては着実です。
疲れた日は、止まる勇気も立派な前進です。予定を1つ減らす、深呼吸を1つ増やす、早く眠るために部屋の灯りを少し落とす。そんな小さな工夫が、気分一新よりも頼もしい日があります。5月を上手に過ごすコツは、元気になることではなく、自分の調子に優しく気づいてあげることです。
明るい季節ほど、つい無理が見え難くなります。そんな時こそ、急がば回れです。初夏の入口は、全力疾走で駆け抜ける場所ではなく、風の気持ち良さをちゃんと味わいながら、自分の歩幅を取り戻していく場所。少し遅くても大丈夫。気持ちのいい5月は、頑張る人より、整え上手な人に優しく微笑む季節なのかもしれません。
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