春の土用は立夏前18日~戌の日で整える春の験担ぎご飯~

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はじめに…春の土用っていつ?新生活の揺らぎを優しく整える話

春って、見た目は明るいのに、体と気持ちは意外と忙しい季節ですよね。朝晩の寒暖差、急に増える予定、環境の変化。花が咲いて空が軽くなる一方で、胃腸や眠りがちょっと揺れたり、「なんか疲れてるかも」と気づいたりします。

そこで出てくるのが、今回の主役「春の土用」です。土用は年に4回あって、春の土用はざっくり言うと「立夏の前の約18日間」。ここが最初のポイントで、毎年同じ日付に固定されているわけではありません。だからこそ、知っている人ほど“ちゃんと暦を見て、無理をしない合図”として使っています。

そしてもう1つ、春の土用の面白いところが「戌(いぬ)の日」という目印の存在です。夏の土用が丑の日で有名過ぎるので、つい「土用=丑」と思ってしまいますが、土用はあくまで“期間”で、その期間の中に巡ってくる十二支の日を、暮らしの小さな区切りとして楽しんできた歴史があります。春は戌の日に目を向ける、という紹介もあって、これが春版の“緩い験担ぎ”としてちょうどいいんです。

この記事では、まず「春の土用がいつなのか」を迷わない形に整えた上で、「戌の日って結局どういう意味?」を噛み砕いていきます。最後は、春の体に優しい食材と料理をたっぷり。高齢者にも子どもにも無理なく出せて、しかも“それっぽく季節を楽しめる”献立を、どんどん増やしていきましょう。春は頑張り過ぎるより、軽やかに整える。春の土用は、そのための合図になってくれます。

【2026年 春の土用の戌の日は4月18日と4月30日の2回あります】

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第1章…春の土用は立夏前~日付が毎年ズレる理由と迷わない調べ方~

春の土用でまず大事なのは、「土用は日付が固定じゃない」という点です。例えば七夕みたいに毎年同じ日に来る行事ではなく、二十四節気の「立夏」がいつになるかで、春の土用の期間も一緒に動きます。だから毎年「今年はいつから?」が発生しますが、逆に言えば、調べ方さえ知ってしまえば迷いません。

春の土用の考え方はシンプルで、基本は「立夏の直前の約18日間」。言い替えると、立夏の前日までをさかのぼって数えていった時に、まとまって土用になるイメージです。一般に、最初の日を「土用入り」、終わった次の日(立夏の日)を「土用明け」とも呼びます。

迷わない調べ方は「立夏を先に確定」すること

コツは、土用を直接探そうとしないことです。先に「今年の立夏はいつ?」を確定させて、そこから逆算します。立夏は多くのカレンダーや手帳、カレンダーアプリの表示でも確認できますし、暦の情報を扱うページでも年ごとにまとまっています。

例えば、国立天文台の暦要項では、2026年の立夏は5月5日です。ここから逆算すると、春の土用は4月17日から5月4日までの18日間になります。こうやって「立夏の日付➡前日までの18日間」という順で見れば、毎年ズレても間違いがありません。

「約18日間」ってなんでピッタリじゃないの?

二十四節気は「太陽の位置」で決まるため、年によって日付が少し動きます。だから春の土用も、それにつられて動きます。ここはもう“暦の性格”だと思って、毎年「立夏を確認してから決める」方が気持ちよく使えます。

この章で「いつ?」の迷子をなくしたので、次の章ではいよいよ「じゃあ、なぜ春は戌(いぬ)の日が目印になるの?」という、春土用の面白いところに入っていきます。


第2章…なぜ春は「戌(いぬ)の日」?~土用と十二支の“目印”の考え方~

春の土用を調べていると「戌の日」という言葉が出てきて、「えっ、土用って丑の日じゃないの?」と混乱しやすいですよね。ここは言葉の作りを解くと、一気にスッキリします。

そもそも土用は“期間”の名前です。季節が切り替わる前の約18日間にあたる、揺らぎやすい時期のこと。一方で、丑や戌などの十二支は、年だけじゃなく“日”にも順番に割り振られていて、だいたい12日で一周します。だから「土用の丑の日」とは、「土用という期間の中で、十二支が丑に当たる日」という意味なんです。

この仕組みが分かると、「春の土用に戌の日がある」という言い方も同じだと分かります。春の土用の期間中にも、十二支はいつも通り巡ってくるので、当然“戌の日”が混ざります。つまり「春の土用の戌の日」とは、特別な別枠の行事ではなくて、「その年の春土用の18日間の中で、戌に当たる日」を目印にして、暮らしを整える合図にしてきた、というイメージが近いです。

じゃあ、なぜ春は戌の日が“目印役”として語られるのか。ここには、昔の人の「覚えやすくして続ける」工夫が見えます。夏が丑の日で「う」の付く食べ物が有名なように、春は戌(いぬ)の「い」にひっかけて、「い」の付く食べ物を選ぶと良い、と伝えられてきました。いちご、いわし、いか、いも、いんげん…みたいに、身近な食材が多いので、台所で実行しやすいのが強みです。

さらに一段面白いのが、土用の考え方が陰陽五行の発想と結びついて語られる点です。四季(春夏秋冬)を木火金水に割り当て、余った「土」を季節の切り替えに当てる、という説明がされることがあります。だから土用は、気合いで走り切る期間というより、「切り替えのクッション」みたいな扱いになりやすいんですね。春土用で食を整える、という話が出てくるのはこの流れです。

似ているけど別物:「間日(まび)」と混ざらないように

ここで、もう一つだけ混乱ポイントを片づけておきます。土用には「間日(まび)」という言い方もあって、こちらは“土に関する作業をしても良い日”として、別の十二支の日が挙げられます。例えば春の土用の間日は、巳・午・酉の日、と紹介されることがあります。これは食べ物の験担ぎの目印(戌の日)とは役割が違うので、「戌の日=間日」だと思わないのがコツです。

ここまでで、「春は戌の日が注目される」の正体は見えましたね。次の章では、春土用の“食べ方の考え方”を、言い伝えに寄り過ぎずに、春の体に合う形へ落とし込んでいきますよ。


第3章…春土用の食べ方はどうする?~言い伝えと「胃腸を休める」発想~

春の土用って、徐々に気温は上がってきているのに、体はまだ冬の癖を引きずっている時期です。朝晩はひんやり、日中はぽかぽか。服も寝具も、まだ“どっちつかず”になりやすい。こういう季節の境目は、元気そうに見えても、胃腸が先に疲れてしまうことがあります。

だから春土用の食べ方は、気合いを入れて「縁起物を食べるぞ!」というより、「胃腸を休ませて、次の季節にフワッと乗り換える」くらいがちょうどいいんです。春は行事も多くて、つい食卓も賑やかになりがちですが、土用の期間だけは“整える日”を混ぜる。すると、家族みんなの調子が戻りやすくなります。

ここで役に立つのが、戌(いぬ)の日を目印にした「い」の付く食べ物の考え方です。これは厳密な決まりというより、「覚えやすい合図」としての知恵。いも、いんげん、いわし、いか、いちご……みたいに、春でも手に入りやすい食材が多いので、台所で実行しやすいのが良いところです。今日の主役を一品だけ“い”にする、くらいで十分に“それっぽく”なります。

さらに、紹介のされ方によっては「春は白っぽい食材を合わせるといい」と語られることもあります。これも、ガチガチに守るより「白い豆腐や大根、白身魚、白ご飯みたいな、胃に優しい物を選びやすい」と受け取ると便利です。縁起の言葉が、そのまま“消化に優しい献立”へ繋がっているのが、春土用の面白さなんですね。

高齢者と子どもに向けて考えると、春土用は特に「温かさ」「水分」「やわらかさ」が味方です。冷たい飲み物や、油が重い料理が続くと、胃がびっくりしてしまうことがあります。逆に、汁物やトロミのある料理、よく煮た野菜、フワッとした卵、軟らかい豆腐があると、食べる側の負担が減ります。春は“元気な日”と“何となく弱い日”が交互に来やすいので、こういう料理を用意しておくと、家族みんなが助かります。

そして何より、春土用の良さは「一日で完璧にやらなくていい」ところです。戌の日にちょっと意識して、次の日は普通に戻して、また疲れた日に整える。土用は“頑張る行事”ではなく、“調子を立て直す口実”。そう思うと、春の忙しい時期にもスッと入ってきます。

次の章では、ここで話した「い」の食材や、胃腸を休める考え方をそのまま料理に落とし込みます。高齢者にも子どもにも出しやすい春の献立を、どっさり増やしていきましょう。


第4章…高齢者と子どもに優しい春の「戌の日」料理アイデア大量盛り

ここからは春土用の“実戦メニュー”です。合言葉は、戌(いぬ)の日に合わせた「い」の付く食材を、食卓のどこかにそっと置くこと。主菜でいっても良いし、汁物で達成しても良いし、デザートでさらっとまとめても良い。春は予定が増えて台所も忙しくなるので、春土用は“簡単で続くか”が一番強いんです。

高齢者と子どもに向けるなら、優しさの軸は冬と同じで「温かい」「水分がある」「軟らかい」。加えて春は、気温が上がってくる分、“冷たいものを急に増やしがち”なので、そこだけ注意してあげると胃腸が落ち着きます。ここでは「い」を軸にしつつ、胃に優しい形に落とし込んだ料理をどんどん増やしていきますね。

汁物編~「い」を一杯で達成して胃腸をホッとさせる~

まず、失敗しにくいのが汁物です。いんげんを軟らかく煮て、豆腐と一緒に味噌汁にすると、春らしい緑が入って見た目も明るくなります。いんげんは筋が気になることがあるので、細かく切ってしっかり煮るのがコツ。高齢者には口当たりが優しくなり、子どもには「いつもの味噌汁なのに春っぽい」になります。

いわしを使うなら、つみれ汁が春土用にピッタリです。骨の心配を減らしながら、ふんわりした食感で食べやすい。大根や豆腐と合わせると、脂が気になる人にも寄り添えます。いわしが難しい日は、魚の代わりにひき肉で“い”を作るのもアリです。ひき肉は別の記事でも活躍しますが、春は生姜をほんの少しだけ香り付けに入れると、重くならずに整います。

芋(いも)系なら、じゃがいものポタージュが強いです。温かいまま飲めて、食欲が落ちた日でも入りやすい。牛乳が重い人には豆乳でも良いですし、トロミがつくので高齢者にも出しやすい。春土用は「ちょっと疲れてる日に、これだけでも安心」というメニューがあると本当に助かります。

主菜編~「いか」「いわし」「芋」で優しい満足感を作る~

主菜の“い”で一番春らしいのは、いかです。といっても、固くなると高齢者が食べ難いので、ここは透明なくらいの鮮度は当然として料理の選び方が大切。いかは短冊に薄く切り、さっと火を通してトロミのある餡に絡めると、食感が暴れません。にんじんや玉ねぎをやわらかく煮て一緒にあんにすると、子どもにも食べやすくなります。

いわしは、焼き魚だと骨が気になることがあるので、春土用ではつみれや煮つけ寄りがおすすめです。味を濃くしすぎず、出汁でフワッとまとめると胃に優しい。いわしが手に入り難い場合は、刺身用ではなく加熱用の切り身や缶詰を上手に使うのも現実的です。缶詰なら骨まで軟らかくなっていることが多く、調理の負担も減ります。

芋(いも)は主菜にもなれます。じゃがいもとひき肉を合わせたそぼろ煮は、食べやすくて子どもも強い。里芋があるなら、ネットリした口当たりが出て、嚥下が心配な方にも寄り添いやすいです。春は「軽く整える」がテーマなので、揚げ物にしなくても、煮る・蒸す・トロミで十分に満足感を作れます。

副菜編~「いんげん」「いも」「いりこ」で食卓を春にする~

副菜は“春っぽさ”が出ると一気に食卓が映えします。いんげんの胡麻和えは定番ですが、嚥下が心配な方には、いんげんを細かく刻んで豆腐に混ぜる「白和え」に寄せると食べやすいです。白い豆腐が入ると全体が優しくなるので、春土用の「整える」にピッタリです。

いもは、ポテトサラダにすると子どもが喜びますが、春土用ではマヨネーズを控えめにして、ヨーグルトや少量のオリーブオイルで軽くまとめるとグッと胃に優しくなります。にんじんやきゅうりは細かく刻んで、食感を整えれば高齢者にも合わせやすいです。

意外と便利なのが、いりこ(煮干し)です。出汁を取るだけでも“い”達成になりますし、細かく砕いてふりかけにすればカルシウムの話にも繋がります。春は骨の健康の話題にも寄せやすいので、家庭でも施設でも使いやすい小ネタになります。

主食と甘味編~いちごといもで「優しいご褒美」を作る~

春の“い”のスターは、いちごです。いちごはそのまま出しても良いけれど、高齢者には小さく切って、ヨーグルトやプリンに添えると安心です。飲み込みが心配なら、ゼリー寄せにすると食べやすさが上がります。子どもはもう説明不要で喜ぶので、春土用を「いい日」にしやすい食材です。

いも系の甘味も強いです。さつまいもがあれば焼き芋は鉄板ですが、春土用では温かいまま小さくカットして、牛乳や豆乳でのばして“即席スイートポテト風”にすると、軟らかくて食べやすい。甘さを控えても満足感が出やすいので、食欲が落ちた日にも出しやすいです。

主食なら、いなり寿司も「い」で始まるので話題にしやすいですが、酢飯が苦手な方もいるので、春土用では無理に出さなくて大丈夫です。もし出すなら、酢を控えめにして、具をそっと刻み、サイズを小さくしておくと安心です。春は「ちょっとだけ楽しい」を目指すと、食卓が穏やかになります。

仕上げの考え方~食卓全体で「い」を達成するのが一番続く~

「戌の日だから、今日は全部“い”で固めるぞ」とやると疲れます。おすすめは、汁物でいんげん、主菜でいか、副菜でいも、デザートでいちご、みたいに“どこか一つ”を決めること。忙しい日は、いちごだけでも立派な春土用の合図になります。春は生活が揺れる季節だからこそ、続く形が正解です。

次のまとめでは、春土用を「難しくない暦の楽しみ」にして、家族で毎年使える“ゆるい整え方”として締めていきますね。

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まとめ…春の土用は“頑張らない験担ぎ”~次の季節を軽やかに迎えよう~

春の土用は、立夏の前の約18日間。毎年日付が固定ではないからこそ、「今年はいつかな」と暦を見てみるだけで、春の忙しさに小さなブレーキがかかります。春は明るい季節に見えるけれど、寒暖差も予定も増えて、体の中は意外と揺れやすい。だから土用は、走り続けるための行事というより、季節の切り替えを“なめらかにする期間”として使うのが一番合っています。

戌(いぬ)の日が目印として語られるのも、難しい話ではありませんでした。土用は期間で、十二支は日ごとに巡ってくるもの。その中で戌の日を「今日は少し整えようか」と思い出す合図にして、食材選びをラクにしてくれる。そう考えると、戌の日の存在は、春の台所にとって便利なメモみたいなものです。

食べ方も同じで、頑張らなくて大丈夫。「い」が付く食材をどこかに1つ置くだけで、春土用らしい空気が生まれます。いんげんを味噌汁に入れる日があっても良いし、いわしのつみれで温まる日があっても良い。いかは固くならないようにとろみでまとめれば、高齢者にも子どもにも寄り添いやすい。いもはポタージュにすれば飲みやすくなり、いちごは食後の楽しみとして食卓を明るくしてくれます。春の土用は、食卓を“整える方向”へ少しだけ寄せるだけで、ちゃんと役目を果たしてくれます。

そして、一番大事なのは、春土用を「家族の安心の仕組み」に出来ることです。高齢者は体調の波が出やすく、子どもは疲れが表情に出やすい。そんな時、温かくて軟らかい料理を選べる引き出しがあると、家の空気が落ち着きます。戌の日は、その引き出しを開ける合図としてちょうど良いんですね。

もし今年の春土用で1つだけ選ぶなら、私は「いんげん+豆腐の味噌汁」か「じゃがいもの温かいポタージュ」を推します。手間が少なく、体にやさしく、誰にでも合わせやすいからです。そこに余裕があれば、いちごを添えて“春らしさ”を完成させる。これだけで、春の土用は立派に楽しめます。

春の土用は、特別な行事にする必要はありません。むしろ、普通の暮らしの中にそっと置く方が続きます。今年も季節の変わり目に、少しだけ温めて、少しだけ整えて、次の季節を軽やかに迎えていきましょう。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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