7で広げて5で揃えて3で伝える~人はどうして世界を数字でまとめたがるのか?~
はじめに…七五三はお祝いだけじゃない?~数字で括ると世界が見やすくなる~
「大切なことは3つあります」と聞くと、少し安心します。3つなら覚えられそうですし、話が長くなっても指を折りながら帰ってこられます。5つになると、ちょっと本格的。7つまで並ぶと、急に教科書の香りが漂い始めます。「これは試験に出るやつでは?」と、背筋まで伸びるから不思議です。
暮らしの周りには、三大欲求、五感、七福神、五大栄養素、三本柱、7原則など、数字で括られた言葉がたくさんあります。七五三は子どもの成長を祝う行事ですが、7・5・3は、人が物事を理解しやすい大きさへ包み直す数字でもあるようです。
もちろん、人の心や世の中は十人十色。3つに分けたからといって、本当はあるはずの4つ目が消えるわけではありません。5つ揃っても、本当に全部入りとは限りません。7つ覚えて満足した直後に、8つ目の事情が玄関から「すみませーん」と入ってくることもあります。
数字は複雑な世界を見やすくしてくれますが、世界そのものを数字の中へ閉じ込めることは出来ません。
7で広く眺め、5でひと揃いにし、3で分かりやすく伝える。そんな人間の整理上手と、少しばかりの早合点を、明るく覗いてみましょう。
[広告]第1章…7つ並べると立派に見える~七福神から7原則まで広がる数字の世界~
黒板や資料に1から7まで並んでいると、それだけで背筋が少し伸びます。3つなら助言、5つなら心得、7つまで来ると「これは覚えて帰らねばならない」と感じるから不思議です。まだ説明を読んでいないのに、数字だけで専門書の顔をしています。こちらも負けじと真剣な顔をしますが、心の中では「せめて名前だけでも短くしてください」とお願いしていたりします。
7は、昔話にも宗教にも学問にも、随分と顔が広い数字です。七福神、春の七草、秋の七草、七不思議、七つ道具、七つの海、虹の七色、1週間の7日、北斗七星。少し重みのある世界へ進めば七つの大罪、福祉の学びへ入ればバイスティックの7原則(対人援助で大切にする七つの基本姿勢)が待っています。
そして、少年たちの冒険心をくすぐってきたのが、7つ集めると願いがかなう「ドラゴンボール」もです。
1つ拾っただけでは、綺麗な玉です。2つになれば少し期待が膨らみ、6つまで集まると「あと1つ!」という気持ちが止まらなくなります。7つ揃った瞬間に大きな出来事が動き出すため、最後の1個には格別の重みがあります。
もし8つ必要だったなら、視聴者も登場人物も「まだあるのか?」と膝から崩れていたかもしれません。3つだけなら、冒険が始まったと思ったら早々に揃ってしまいそうです。7という数は、遠過ぎず近過ぎず、探す苦労と達成感を育てる絶妙な距離にあります。
七福神も、7人それぞれが異なる福を担っています。商売、健康、長寿、学び、芸事など、1人の神様へ全部お願いするより、7人に役割を分けたほうが何となく心強い。「健康の件はこちらへ、金運はあちらへ」と窓口案内までできそうです。福の総合庁舎でしょうか。受付番号札だけは、どうか発行されませんように。
春の七草には、寒い季節を越えた体を労わりながら、新しい年の無病息災を願う知恵が込められています。秋の七草は食べるためというより、花を眺めて季節の移ろいを味わう顔触れです。同じ「七草」でも役目は違い、片方はお粥の鍋へ、片方は野辺の景色へ向かいます。七つ揃えた言葉の中にも、暮らし方の違いが静かに息づいています。
虹も、日本では七色として親しまれています。けれど空に掛かる色は、赤、橙、黄と看板を立てて並んでいるわけではありません。色から色へなめらかに繋がる光を、人が七つに区切って名前を付けています。森羅万象をそのまま受け取るには世界が広過ぎるため、私たちは見やすい棚を作り、そこへ1つずつ収めているのでしょう。
福祉を学ぶ人にとっては、バイスティックの7原則も忘れにくい存在です。個別化、意図的な感情表出、統制された情緒的関与、受容、非審判的態度、自己決定、秘密保持。漢字がズラリと並び、初対面からなかなかの迫力です。試験前には何度も声に出し、順番を入れ替え、紙へ書き、「秘密保持だけは絶対に秘密にしないぞ」と自分へ言い聞かせた人もいるでしょう。
けれど、7原則の価値は名称を唱えられることではありません。利用者さんが「今日は話したくない」と言った時、その沈黙も1つの意思として受け止められるか。家族とは違う希望を口にした時、本人の自己決定をどこまで支えられるか。答えは教科書の順番通りには現れません。
ドラゴンボールは、7つ揃えば願いを託せます。しかし、人との関わりは、7原則を揃えた瞬間に何でも解決する仕組みではありません。相手の表情、声の調子、その日の体調、言葉にならない不安まで見ようとして、ようやく関係が少しずつ動きます。
7は世界を7つに閉じ込める数字ではなく、広い景色を七方向から照らす数字です。
7つ並ぶと立派に見えるのは、広い範囲を見渡した安心感が生まれるからでしょう。体系化(知識を筋道立てて1つの形に組み上げること)にも向いています。その反面、7つの名称を覚えたところで満足すると、目の前にある8つ目の事情を確実に見逃します。
人の悩みは千差万別です。7つの窓から眺めれば景色はよく見えますが、窓の外へ出れば風向きも足元も変わります。7という数字は立派な地図を渡してくれます。ただし、現実の道には工事中も寄り道も、急に現れる猫もいるものです。
7つ集めた先に願いがある。けれど人の暮らしでは、7つからこぼれた小さな事情を拾うことが、その人の願いへ近づく道になるのでしょう。
第2章…5つ揃うと全部入り?~五感・五大栄養素・五段階に感じる安心感~
片手を開けば、指は5本あります。親指から小指まで役割も長さも違いますが、5本揃った姿には妙な納得感があります。4本では「あれ、1本どこへ?」と心配になり、6本なら指の置き場に少し戸惑う。人にとって5は、体の中に最初から用意された「ひと揃い」の感覚なのかもしれません。
暮らしを見回しても、5はあちらこちらで働いています。五感、五大栄養素、五段階評価、五つ星、五輪、五節句、五街道、五穀、五味、五色、五臓、五行。福祉では五大介護、心理学ではマズローの欲求5段階説(人の欲求を段階的に捉える考え方)も知られています。
これほど並ぶと、5という数字が腰へ手を当てて「ひと通り揃えておきました」と得意そうに見えてきます。こちらも「では安心ですね」と受け取りたくなりますが、袋の底を見ると説明書がもう1枚。全部入りだと思った弁当から、別添えのソースが後から出てくるようなものです。
五感は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つです。夕飯の支度なら、鍋から立つ湯気を見て、グツグツという音を聞き、出汁の香りを感じ、味見をして、器の温かさに触れる。5つの感覚が集まると、ただ食べるだけだった時間が、グッと豊かになります。
ところが、人が感じ取っているものは5つだけではありません。暑さや寒さ、痛み、空腹、尿意、体の傾き、自分の手足がどこにあるかという感覚も、毎日の安全を支えています。目を閉じても鼻へ指を運べるのは、体の位置を感じる固有感覚(筋肉や関節から体の動きや位置を受け取る感覚)が働いているからです。
介護の場面では、この数字の外側が大切になります。「五感を使ったレクリエーション」と聞けば楽しそうですが、座った姿勢がつらければ景色や音へ心を向ける余裕はありません。料理の香りが届いても、トイレを我慢していれば、それどころではないでしょう。人の感じ方は臨機応変で、その日の体調によって主役が入れ替わります。
五大栄養素も、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルという分かりやすい顔触れです。何を食べれば良いか迷った時、食卓を点検する目安になります。けれど、5つの名前を覚えただけでは、夕飯は完成しません。
冷蔵庫を開けて「たんぱく質よし、ビタミンよし」と指差し確認をしても、家族全員が苦手な献立なら箸は進みません。噛みやすさ、飲み込みやすさ、量、温度、香り、食べる時間、誰と囲むか。栄養の外側にも、美味しく食べるための条件が並んでいます。五大栄養素は立派な土台ですが、食卓には人情味という名の隠し味も必要です。
五段階評価も、学校、仕事、介護、買い物などでよく見かけます。1から5までなら、良いのか悪いのかがひと目で伝わります。星が5つ並んでいる店を見ると、まだ扉も開けていないのに期待でお腹が空いてきます。
ただ、3を選んだ人が全員「普通」とは限りません。本当は3.5だけれど選択肢がない人、良かった部分と困った部分が半分ずつの人、「悪くないけれど次は別の店へ行くかな」という人もいます。数字は気持ちを短く運ぶには便利ですが、心の細かな揺れまでは箱に入り切りません。
福祉で語られる五大介護は、食事、入浴、排泄、更衣、移乗など、暮らしを支える基本的な介助を捉えるために役立ちます。技術を学ぶ入口としては心強く、何を練習すれば良いかも見えやすくなります。
けれど、利用者さんの1日は5つの介助だけで出来ているわけではありません。朝に誰へ挨拶するか、服の色を自分で選べるか、窓辺で何分過ごしたいか、家族へどんな言葉を伝えたいか。名前の付かない小さな希望が、暮らしの表情を作っています。
5は全部を閉じ込める箱ではなく、足りないものへ気づくための基本セットです。
5という数字には、過不足なく揃った印象があります。3より詳しく、7ほど身構えなくて良い。覚える側にも教える側にも扱いやすい、ちょうど良い大きさです。
それでも現実は五里霧中。5つの目印を手にしても、道が必ず真っすぐ続くとは限りません。そんな時は「5つ覚えたのに分からない」と落ち込まず、6つ目の事情が隠れていないか、少し周りを眺めれば良いのです。
片手の5本指も、同じ形ではありません。長さも向きも役目も違うからこそ、茶碗を持ち、ボタンを留め、誰かの手をそっと握れます。5つ揃う安心感を味方にしながら、その外側へも手を伸ばす。そんな柔らかな使い方なら、数字は暮らしを窮屈にせず、むしろ見える景色を増やしてくれるでしょう。
[広告]第3章…大切なことは3つあります~三大欲求から三本柱まで覚えやすさの秘密~
誰かが壇上へ立ち、「本日お伝えしたいことは12個あります」と口にしたら、会場の空気は少しだけ重くなります。メモ帳を開く手にも覚悟が要るでしょう。
ところが、「大切なことは3つあります」と聞けば、気持ちはグッと軽くなります。3つなら覚えられそうです。途中で1つ忘れても、残り2つを手掛かりに探せます。話す側も人差し指、中指、薬指を順番に立てれば、何となく名講師らしく見えてきます。内容より先に指が準備万端なのは、少々気になりますが。
暮らしには、3で括られた言葉が溢れています。三大欲求、三大栄養素、三原色、三権分立、三種の神器、三本柱、三拍子、三段論法、三位一体。衣・食・住、心・技・体、報告・連絡・相談、守・破・離、序・破・急、松・竹・梅も、異なる三つを並べて一まとまりにした仲間です。
昔話や物語にも3はよく登場します。3人兄弟、3つの願い、3匹の動物、3人の仲間。最初の1人が挑み、次の1人が惜しいところまで進み、最後の1人が知恵を使って成し遂げる。1回だけなら偶然に見え、2回では勝負が決まり、3回目になると物語らしい山場が生まれます。
「三度目」に期待が集まるのも、3が終わりと始まりを同時に感じさせるからでしょう。1で始まり、2で揺れ、3で着地する。短い話にもリズムが生まれます。料理番組なら材料、作り方、盛り付け。旅行なら行く、楽しむ、帰る。落語でなくても、振り、広がり、小さなオチが揃えば話は丸く収まります。
三大欲求という言葉にも、3の伝わりやすさが表れています。食欲、睡眠欲、性欲と並べれば、人を動かす本能的な欲求を短い言葉で掴めます。ただ、人が求めるものは3つで終了ではありません。安心したい、認められたい、誰かと繋がりたい、自分で決めたい、知りたい、排泄したいという気持ちも、毎日の行動を大きく動かします。
「三大」と名付けられた3つが、表彰台を独占しているように見えるだけで、4番目以降が会場から帰ったわけではありません。舞台袖で「私の出番はまだですか?」と待っています。
三原色は、限られた色の組み合わせから豊かな色彩を生みます。三権分立は、力を3つへ分けることで、1か所への集中を防ごうとします。心・技・体は、どれか1つだけでは十分でないことを教えてくれます。3には、数を減らすだけでなく、異なるものを支え合わせる働きもあるのです。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざも、1人の考えに2人分の視点が加わる面白さを伝えています。三者三様。それぞれ違うからこそ、1人では見えなかった道が現れます。全員が同じ意見なら、知恵が3倍になる前に、頷きが3倍になるだけかもしれません。
松竹梅の3段階にも、人の心がよく表れています。高い、真ん中、手頃の3つが並ぶと、両端を避けて真ん中を選びたくなる人は少なくありません。これは妥協効果(極端な選択を避けて中間を選びやすくなる傾向)と呼ばれます。
2択なら「買うか、辞めるか」と迷います。3択なら「では竹で」と、ほど良い着地点が生まれます。梅を選んでも十分なのに、竹へ手を伸ばした自分へ「堅実な判断です」と言い聞かせる。お店もお客も静かに納得し、松だけが少し遠くから微笑んでいます。
仕事で使われる報告・連絡・相談も、3つにしたからこそ簡潔明瞭です。ただ、3語を唱えれば職場が円満になるわけではありません。報告する時間、連絡する相手、相談しやすい関係まで整って、ようやく言葉が動き出します。
介護でも、「転倒を防ぐ3つのポイント」「食事介助で見る3つのこと」と伝えれば、最初の行動へ移りやすくなります。現場で4つ目の事情に出会った時は、それを余計なものとして押し戻す必要はありません。3つを入口にして、目の前の人に合わせて増やせば良いのです。
3は、世界を削る数字ではなく、伝えたい芯を手渡すための数字です。
3には、短く伝え、覚えやすくし、話へリズムを生む力があります。その反面、3つへ入らなかったものが脇役に見えやすくなります。「大切なことは3つ」と言われたなら、その3つを受け取った後、心の片隅へ小さな空席を残しておきたいところです。
その席には、4番目の事情、まだ名前のない気持ち、教科書に載らなかった誰かの暮らしが座るかもしれません。3で分かりやすく伝えながら、3の外側にも耳を澄ませる。その余裕があれば、数字は人を括る囲いではなく、人へ近づく道しるべになってくれるでしょう。
第4章…数字は便利な案内板~分かりやすさの裏でこぼれてしまうもの~
数字で括る方法には、一長一短があります。
7つに広げれば、見落としを減らしながら幅広く学べます。5つに揃えれば、基本となる一式を掴みやすくなります。3つに絞れば、相手へ短く伝え、その日のうちに行動へ移してもらえます。
「健康のために気をつけることは全部で48個です」と渡されたら、紙をそっと裏返したくなるでしょう。「まずは3つです」と言われれば、少し試してみようという気持ちになります。数字は、広過ぎる世界を持ち運べる大きさへ畳んでくれる便利な案内板です。
仕事の手順、災害への備え、薬の飲み方、介護の注意点も、項目が見えると確認しやすくなります。家族同士でも「今日やることは3つ」と決めれば、誰が何をするのかが分かります。頭の中で絡まっていた心配事にも番号を振ると、少し呼吸がしやすくなるものです。
数字には、話の全体像を見せ、記憶を助け、行動の順番を作る働きがあります。説明する側にとっても、聞く側にとっても頼もしい存在です。
その反面、数字が立派に見え過ぎると、中身を確かめる前に信じたくなります。
「成功する7つの法則」
「専門家が選ぶ5つの方法」
「これだけで変わる3つの習慣」
こんな言葉を見ると、まだ内容を知らないのに、きちんと調べられた話のように感じます。7つも並んでいるなら詳しそうですし、5人が推薦していれば安心できそうです。3つだけなら、自分にも出来そうな気がします。
けれど、その7つを誰が選んだのか、5人はどんな立場なのか、3つ以外の条件はないのか。数字の看板が大きいほど、その後ろ側を覗く目も必要です。
数字は、しばしば悪質な誘いにも利用されます。
最初は「選ばれた7人だけへの特別な案内です」と持ち上げられます。次に「得られるものは5つあります」と期待を膨らませられ、「残り3名です」と急かされます。話を聞いている間に「あと2分」「最後の1枠」「今すぐ1回押してください」と数字が減っていく。
7・5・3から始まった話が、最後には2・1・0のカウントダウンになります。数字が減るほど、こちらの考える時間まで減らされていく仕組みです。
「残り1名です」と言われると、「その貴重な1名が私で良いのでしょうか?」と遠慮したくなります。いえ、そこは遠慮の場面ではありません。そもそも、何故、見知らぬ相手が貴重な最後の席を私のために温めてくれていたのでしょう。親切にもほどがあります。
残りわずか、今日だけ、先着3名、今断れば損をする。こうした言葉は、希少性効果(手に入りにくいものほど価値が高く見える心の動き)を刺激します。さらに「家族に相談すると機会を逃す」「電話を切れば権利が消える」「今すぐ払わなければ大変なことになる」と迫られると、不安と焦りが一緒に押し寄せます。
もちろん、人数限定の催しや期間限定の販売が、全て怪しいわけではありません。問題は、数字の正しさよりも、こちらへ考える時間を与えてくれるかどうかです。
質問を嫌がらず、持ち帰って考えることを認め、家族や詳しい人への相談を止めない相手なら、話を落ち着いて確かめられます。反対に、秘密を求め、電話を切らせず、期限を短くし、断った後に恐ろしい結果を並べる相手には注意が要ります。
数字が説明の道具から、考える時間を奪う道具へ変わったら、一度立ち止まる合図です。
立ち止まるといっても、難しい見破り方を身につける必要はありません。「今は決めません」「家族へ相談します」「書面で送ってください」と伝え、一旦、会話を終わらせれば良いのです。本当に必要な話なら、数分離れたくらいで煙のように消えたりはしません。
役所、銀行、家族、会社などを名乗る連絡でも、相手から示された番号へそのまま折り返さず、自分で知っている窓口や書類に載っている連絡先から確かめます。画面に出た番号や名前が立派でも、それだけで本人確認にはなりません。
「お金を払わなければ逮捕される」「家族が事故を起こした」「今日中に手続きしなければ口座が使えなくなる」
こんな言葉を突然浴びれば、誰でも冷静沈着ではいられません。引っかかる人が愚かなのではなく、相手が驚き、善意、家族への心配を狙っているのです。自分だけで受け止めず、誰かへ話すことが防波堤になります。
数字で括るデメリットは、詐欺の場面だけではありません。3つに入らなかった事情が軽く見えてしまったり、5段階の評価で人柄まで決めつけられたり、7項目を守れない人が努力不足と見なされたりします。便利な分類が、そのまま人を裁く物差しへ変えられてしまうこともあります。
数字は答えではなく、考え始めるための目印です。
7つの説明を聞いたら、8つ目の条件はないか。5つの利点を見せられたら、不都合な点も同じ数だけ隠れていないか。3つの選択肢を渡されたら、「どれも選ばず帰る」という4つ目も忘れない。
そして「今すぐ決めなければゼロになります」と迫られたなら、自分から数を増やしてしまいましょう。
相談する人を1人増やす。考える日を1日増やす。確かめる窓口を1つ増やす。
急かす相手は数字を減らしてきますが、自分を守る側は時間と人と確認先を増やせます。数字に振り回されるのではなく、こちらが数字を使い直す。その小さな余裕が、危ない誘いから暮らしを守り、納得できる選択へ繋いでくれるでしょう。
[広告]まとめ…7で眺めて5で整え3で伝える~数字の外側にも目を向けよう~
7つ並べれば、広い世界を見渡しやすくなります。5つ揃えば、必要なものがひと通り手元にあるように感じます。3つまで絞れば、話の芯を覚えやすく、誰かへ渡しやすくなります。
七福神やドラゴンボールには、7つ集める楽しさがありました。五感や五大栄養素には、暮らしの基本を支える安心感があります。三大欲求や心・技・体には、複雑な話を短く伝える軽快さがあります。7・5・3は、散らばった世界へ順番を付けてくれる、実に働き者の数字です。
けれど、7つ揃えても願いが何でも叶うわけではなく、五感だけで人の感じ方を語り尽くすこともできません。大切なことを3つへ絞った途端、4つ目の事情が消えるわけでもありません。
数字は世界を小さくするためではなく、広い世界へ歩き出しやすくするためにあります。
暮らしに迷った日は、3つだけ決めて動き始めても良いでしょう。基本を確かめたい日は、5つの目印を並べれば安心できます。見落としが心配なら、7つの方向から眺めてみる。使う数字は、その時の自分に合わせて選べば十分です。
ただし、「残り3名」「あと1分」「今決めなければゼロ」と数字が追い立ててきた時は、少し距離を取りましょう。相談相手を1人増やし、考える時間を1日増やし、確かめる場所を1つ増やす。減らされそうになった余裕は、自分の手で足して良いのです。
人は、何でも数字で括りたくなります。覚えやすくしたい、伝わりやすくしたい、迷わず動きたい。そこには怠け心よりも、複雑な毎日を何とか抱えて歩こうとする健気な知恵があります。
七五三の数字に出会ったら、子どもの成長だけでなく、人間の整理上手にも少し拍手を送りたくなります。そして最後に、数字の枠からチョコンとはみ出した1つへも目を向ける。そこには、分類表には載らなかった誰かの気持ちや、まだ名前のない新しい発見が待っているかもしれません。
7で眺め、5で整え、3で伝える。そして必要なら、8つ目も6つ目も4つ目も笑って迎える。そのくらい柔らかければ、世界は覚えるものから、味わうものへ変わっていくでしょう。
付録~まだ括るんかい!3・5・7にまつわる言葉100選~
7・5・3で括られた言葉を、暮らし、文化、学問、宗教、福祉、物語などから集めました。全部覚えようとすると、付録が試験範囲へ早変わりします。気になる言葉だけを拾いながら、「これも数字でまとめたのか」と楽しんでみてくださいね。
同じ言葉でも、時代、地域、宗派、学説によって顔触れが変わる場合があります。数字は便利な見取り図ですが、細かな違いまで消してしまわないことも大切です。
7で広げる言葉
1.七福神(恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋という福徳の神々)
2.春の七草(七草粥にして無病息災を願う、早春の七つの植物)
3.秋の七草(秋の野に咲く代表的な七つの草花。主に眺めて季節を味わう)
4.七曜(日・月・火・水・木・金・土を一組にした暦の呼び方)
5.北斗七星(おおぐま座にある、柄杓形に見える七つの明るい星)
6.虹の七色(日本で親しまれる赤・橙・黄・緑・青・藍・紫という色分け)
7.七大陸(地球の陸地を七つの大陸に分ける一般的な数え方)
8.七つの海(世界の海全体を表す言葉。どの海を指すかは時代によって変わる)
9.世界の七不思議(世界の優れた建造物や景観を七つ選んだ呼称。複数の選定がある)
10.七つの大罪(人を罪へ傾けるとされた七つの欲望や感情)
11.自由七科(文法・修辞・論理・算術・幾何・天文・音楽からなる西洋中世の基礎学問)
12.バイスティックの7原則(対人援助で利用者との関係を築くための七つの基本姿勢)
13.HACCPの7原則(食品の危害を分析し、安全管理を進めるための七つの原則)
14.品質マネジメントの7原則(組織が品質を高め、改善を続けるための七つの考え方)
15.7つのドラゴンボール(七つ集めることで、物語の大きな願いへ繋がる不思議な球)
16.七つ道具(ある仕事や活動に欠かせない道具一式を表す言葉。中身は分野によって異なる)
17.七不思議(ある土地や建物などに伝わる、七つの不思議な出来事や伝説)
18.七味唐辛子(唐辛子を中心に、香辛料や薬味を七種類ほど合わせた調味料)
19.七珍万宝(七つの珍しい宝と無数の宝物を表し、多くの貴重品を意味する言葉)
20.ギリシャ七賢人(古代ギリシャで知恵に優れた人物として数えられた七人)
21.竹林の七賢(中国で俗世を避け、竹林に集ったと伝わる七人の知識人)
22.戦国の七雄(中国の戦国時代に勢力を争った秦・楚・斉・燕・韓・趙・魏の七国)
23.七支刀(中央の刀身と左右の枝状部分を持つ、古代の鉄剣)
24.七宝(仏教で尊ばれる七種の宝。経典によって顔触れが異なる)
25.七情(東洋医学で心身へ影響すると考えられた喜・怒・憂・思・悲・恐・驚の感情)
26.七覚支(仏教で悟りへ近づくために育てる七つの心の働き)
27.七堂伽藍(寺院を構成する主要な建物一式。七堂の内容は宗派によって異なる)
28.七五三(子どもの成長を祝い、これからの健やかさを願う日本の通過儀礼)
29.お七夜(赤ちゃんが生まれて七日目の夜に、成長を祝い命名する習わし)
30.初七日(亡くなった日から七日目に営む仏教の法要)
31.七夕(7月7日の夜、星の伝説や願い事を楽しむ節句)
32.七転八起(何度失敗しても、くじけずに立ち上がること)
33.七難八苦(次々に訪れる、様々な苦難や困難)
5で揃える言葉
34.五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という代表的な5つの感覚)
35.五大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの総称)
36.五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味という基本的な味)
37.五色(赤・黄・緑・白・黒など、料理や東洋思想で基本とされる5つの色)
38.五穀(生活を支える代表的な五種類の穀物。時代や地域によって内容が異なる)
39.五臓(東洋医学における肝・心・脾・肺・腎。現代医学の臓器分類とは考え方が異なる)
40.五行(万物を木・火・土・金・水の働きで捉える中国古代の思想)
41.五常(儒教で大切にされる仁・義・礼・智・信という五つの徳)
42.五倫(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友の間にあるべき道を説いた儒教の教え)
43.五戒(殺さない、盗まないなど、仏教徒が守る基本的な5つの戒め)
44.五蘊(人間の心身を色・受・想・行・識という五つの集まりで捉える仏教の考え方)
45.五智(仏の智慧を五つの働きに分けた密教の教え)
46.五大(世界を地・水・火・風・空という五つの要素で捉える仏教思想)
47.五輪(五つの輪を組み合わせた、オリンピックを象徴する印)
48.五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽という5つの季節行事)
49.五街道(江戸を起点に整えられた東海道・中山道・甲州街道・日光街道・奥州街道)
50.五十音(日本語の仮名を母音と子音の組み合わせによって並べた表)
51.五段階評価(状態や満足度などを5つの水準から選んで示す評価方法)
52.マズローの欲求5段階説(人間の欲求を5つの段階で捉える心理学上の考え方)
53.五大介護(食事・入浴・排泄など、介護の基本技術を5つにまとめた呼び方。分類には違いがある)
54.五大湖(北アメリカにあるスペリオル湖・ミシガン湖・ヒューロン湖・エリー湖・オンタリオ湖)
55.五大洋(太平洋・大西洋・インド洋・南大洋・北極海という5つの大洋)
56.五大老(豊臣政権の末期に、政務の中心を担った有力大名)
57.五奉行(豊臣政権で実務や行政を担当した5人の奉行)
58.五摂家(近衛・九条・二条・一条・鷹司という、公家の5つの家)
59.京都五山(室町幕府によって格付けされた京都の代表的な5つの禅寺)
60.鎌倉五山(鎌倉にある臨済宗の代表的な5つの禅寺)
61.五大明王(不動・降三世・軍荼利・大威徳・金剛夜叉という密教の五明王)
62.五重塔(仏教の五大思想などを象徴する、5つの屋根を持つ塔)
63.五線譜(平行な5本の線を使って音の高さや長さを記す楽譜)
64.五指(親指・人差し指・中指・薬指・小指という片手の5本の指)
65.五輪書(地・水・火・風・空の五巻からなる宮本武蔵の兵法書)
66.五箇条の御誓文(明治政府の基本方針を五つの条文で示した誓文)
3で伝える言葉
67.三大欲求(人間の代表的な本能的欲求を3つに括った通称。組み合わせには異説もある)
68.三大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質という、主にエネルギー源となる栄養素)
69.三原色(多くの色を作る基礎となる3色。光と印刷物などでは色の組み合わせが異なる)
70.三権分立(国家権力を立法・行政・司法に分け、集中を防ぐ仕組み)
71.三種の神器(皇位のしるしとされる鏡・剣・勾玉)
72.三位一体(キリスト教で父・子・聖霊が唯一の神であるとする教え。3者の結び付きにも使われる)
73.三段論法(2つの前提から1つの結論を導く論理的な推論形式)
74.三拍子(音楽で一小節を三拍に分ける拍子。3つの長所が揃う意味にも使われる)
75.三本柱(活動や考え方を支える、3つの主要な要素)
76.三つ巴(3つの巴形が渦を巻くように配置された文様や、3者が争う状態)
77.三方よし(売り手・買い手・世間の3者に利益があることを重んじる商いの考え方)
78.三現主義(現場・現物・現実を直接確かめて問題を判断する仕事の姿勢)
79.報告・連絡・相談(報連相)(職場で情報を共有し、仕事を円滑に進めるための3つの行動)
80.衣・食・住(服を着ること、食べること、住むことという暮らしの基本)
81.心・技・体(精神・技術・身体の3つを調和させる考え方)
82.守・破・離(型を守り、工夫を加え、最後に自分の道を作るという学びの段階)
83.序・破・急(ゆっくり始まり、変化を加え、速やかに締める芸能や物語の構成)
84.松・竹・梅(祝い事に使われる縁起の良い植物。商品や料理の3段階にも用いられる)
85.上・中・下(物事の程度や等級を3段階で示す基本的な分け方)
86.三宝(仏・法・僧という、仏教で敬う3つの宝)
87.三学(戒・定・慧という、仏教修行の3つの基本)
88.三毒(貪り・怒り・無知という、人の心を乱す3つの煩悩)
89.三界(欲界・色界・無色界という、仏教で説かれる3つの迷いの世界)
90.三蔵(経蔵・律蔵・論蔵という、仏教経典の3つの分類)
91.三法印(諸行無常・諸法無我・涅槃寂静という、仏教の基本的な3つのしるし)
92.三千家(表千家・裏千家・武者小路千家という茶道の3つの家元)
93.日本三名園(兼六園・後楽園・偕楽園という日本を代表する3つの庭園)
94.日本三景(松島・天橋立・宮島という、日本を代表する3つの景勝地)
95.三筆(嵯峨天皇・空海・橘逸勢という、平安時代初期の能書3人)
96.三蹟(小野道風・藤原佐理・藤原行成という、平安時代中期の能書3人)
97.御三家(尾張・紀伊・水戸という徳川将軍家の有力な3つの家)
98.三大都市圏(東京・大阪・名古屋を中心に広がる3つの大都市圏)
99.三冠王(野球で打率・本塁打・打点の3部門すべてで首位となった選手)
100個目だけは「百」
100.百聞は一見にしかず(人から何度も話を聞くより、自分の目で一度確かめる方が良く分かるという教え)
7で広げ、5で揃え、3で伝えた末に、とうとう100まで括ってしまいました。数字を扱っていたはずが、数字の方から「もう少し並べませんか?」と誘われた気もします。
それでも、100の言葉を眺めると、数字は人間の知恵を窮屈にする柵ではなく、覚えにくい世界へ小さな入口を作ってきたことが分かります。入口の先で自分の目を使い、数字からこぼれたものにも気づけたなら、この付録は100点満点……と言いたいところですが、最後まで数字で採点するのはやめておきましょう。
[ 広告 ]今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
[ 応援リンク ]
ブログランキング2つに参加しています。応援クリックをお待ちしております。
[ ゲーム ] 作者のitch.io(作品一覧)
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。