介護技術の移動介助を失敗しない!ベッド上➡車椅子➡外出の安全あるある完全版
目次
はじめに…返事ゼロでも声かけ全開~ここからがプロの段取り~
移動介助って、パッと見は「ベッドから車椅子に乗せて、スイーっと移動するだけ」に見えるんですが、現場の空気は全然“だけ”じゃないんですよね。例えばベッド上で体を寄せる瞬間。利用者さんからすると、こちらの都合で世界が横にスライドしていくわけで、心も体も「え、今、何が起きた?」となりやすい。だからこそ移動介助は、技術というより“段取りと配慮の芸”みたいなところがあります。
そして大事なのが、返事が返ってこない時ほど丁寧に声を掛けることです。意思疎通が難しい方でも、耳は聞こえていたり、言葉にならない不安を感じていたりします。こちらが何も言わずに体を動かすと、利用者さんの中では「無音のジェットコースター」になりがちです。いきなり体が動けば、誰でもびっくりしますよね。だから声掛けは、介助者のためでもあり、利用者さんの安心のためでもあります。ここ、地味だけど強いポイントです。
もう1つ。移動介助で“見え難い敵”として出てくるのが摩擦です。介助する側は「ちょっと寄せただけ」のつもりでも、皮膚には熱と圧が積み重なります。寝たきりの方ほど皮膚が弱く、同じ動きでも負担が大きくなりやすい。だから「出来るだけ回数を減らす」「摩擦を減らす道具を使う」「二人介助でフワっと持ち上げる」など、選択肢を複数持っておくことが、結果的に安全に繋がります。プロっぽく言うなら、“最短距離”より“最少ダメージ”が勝つ場面が多い、ってことです。
さらに、車椅子に移ってからが第二幕。足がステップに乗っているか、肘が外に出ていないか、姿勢が崩れていないか。これを見落とすと、移動は一気に危険イベントになります。もちろん「気合を入れるためのドッコイショ」や「暴走族みたいに爆走」は論外として、普通の速度でも段差や曲がり角の揺れは想像以上。利用者さんの体が不安定なら、心も不安定になりやすいんです。安全確認は“出発前の儀式”くらいに思っておくと、事故が減ります。
この記事では、ベッド上の寄せ方から車椅子移動、外出時の点検までを、現場でありがちな“あるある”も混ぜつつ、優しく整理していきます。介護福祉士の実技試験を意識している方にも、明日すぐ現場で使いたい方にも、読んだ後に「よし、今日は落ち着いて丁寧にいける」と思える内容にしていきますね。まずは深呼吸1つ。移動介助は、焦った人からミスしやすい世界です。こちらが落ち着くと、利用者さんの表情も、ちゃんと落ち着いてくれます。
[広告]第1章…ベッド上の大移動作戦!~摩擦・心臓・腰に優しい「寄せ方」のコツ~
ベッドから車椅子へ移る前に、まず必要になるのが「降りる側へ体を寄せる」という工程です。言葉にすると簡単ですが、ここが移動介助の“肝”で、同時に事故や不快感が生まれやすい“魔境”でもあります。介助者の手順が雑だと、利用者さんの体には「摩擦」「引っ張られる感じ」「急な向きの変化」がまとめて乗ってしまい、表情は穏やかでも内心は「ちょ、ちょっと待って!」になりがちです。
大前提として、自力で出来る方には“出来るだけ自分でやっていただく”のが基本です。にじり寄りが出来る方、片麻痺があっても使える側の手足で動ける方、声掛けに反応してタイミングを合わせられる方は、介助者が全部やってしまうと、出来ていた動きが“やらなくて良い動き”に変わりやすいんですよね。親切のつもりが、機能を静かに奪う。これ、介護あるあるの中でもけっこう切ないやつです。だから「ここまではご自分で、最後だけ支えますね」という線引きが、実はすごく優しい介助になります。
一方で、寝たきりの方、意思疎通が難しい方のベッド上移動は、別の意味で丁寧さが必要です。まずは“安全確認の儀式”から始めます。意識状態や呼吸の様子、顔色、汗、苦しそうなサインがないか。返事がなくても声を掛け、次に何をするかを短く伝えます。「今、体を右に寄せますね」「肩と腰を少し動かしますね」。この声掛けは、試験対策というより、現場での安心作りの基本動作です。無音で体を動かされるのって、想像以上に怖いんです。介助者側も、急に筋緊張が入って“ガンッ”と動かれたらびっくりしますよね。お互いのびっくりを減らすための声掛け、です。
ベッド上移動の基本は「体をコンパクトにして一本線」
ベッド上で寄せる時は、腕と足を出来るだけコンパクトにまとめて、体の接地面積を小さくするのが基本です。接地面積が大きいほど摩擦が増え、皮膚に熱と負担が溜まりやすくなります。よくある方法としては、足側、腰、頭と上半身という感じで、数回に分けて少しずつスライドさせていく形ですね。ここでありがちなのが、介助者が“回数を少なくして早く終わらせる”方向に気持ちが傾くこと。でも、摩擦は急いだ分だけ増えやすいので、むしろ回数を増やしてでも、負担を減らす方が安全な場面が多いです。
横向きになっていただいてから動かす方法もあります。特に肩や骨盤が硬い方、背中の皮膚が弱い方には、体勢を整えながら少しずつ寄せる方が落ち着くことがあります。ただし、横向きの時は下になった腕が巻き込まれやすいので、そこだけは“うっかりしないポイント”として丁寧に確認します。腕が体の下で捻じれると、本人は痛くても言えないことがあるので、介助者が先回りして守ってあげたいところです。
摩擦の敵は「引きずり」と「一点集中」
摩擦を減らすコツは、ざっくり言うと「引きずらない」「一点に圧を集中させない」。シーツと体が密着したままズズズッと動かすと、皮膚に熱が出やすくなります。理想は、ほんの少しでも“浮かせる”ようにして、ずらす距離を小さくすること。力任せに引くより、体を整えて、持ち上げる成分をちょい足しして動かす。これだけで、利用者さんの不快感がかなり変わります。
「じゃあ最強は何?」と聞かれたら、一番、負担が少ないのは、シーツごとフワっと滑らせる方法です。体を直接ずらすのではなく、シーツを介して体を支えながら移動させるイメージですね。その次に現場で頼りになるのがスライディングシートです。敷き込む時点で少し負担が出ることもありますが、きちんと時間を取って丁寧に入れられるなら、摩擦の軽減にはかなり強い味方です。
そして現実的な話として、人手があるなら二人介助が一番、安定します。息を合わせて、左右から同時に“フワっ”と支えるだけで、利用者さんの体は驚くほど楽になります。もちろん毎回それが出来ない現場事情もありますが、「ここは二人でやった方が安全」という判断を言語化できる介助者は強いです。技術は“筋力”じゃなくて、“判断力”の方が大事だったりします。
ベッド上移動は「脳と心臓に負荷が掛かる」ことを忘れない
最後に、見落とされやすい大事な視点を1つ。寝た状態の体を動かすと、体の中では意外と大きな変化が起きます。特に高齢者や持病がある方は、体勢変化で血圧が変わりやすく、気分不良やふらつきに繋がることがあります。だから「ただ寄せるだけ」と油断せず、顔色や呼吸、反応の変化を見ながら進めるのが大切です。寄せ終わった後も、すぐに次の工程へ突っ込まず、「今、大丈夫ですか」「少し休みますね」と一呼吸おく。この一呼吸が、トラブルの芽を小さいうちに見つける時間になります。
ベッドの中央から端へ、端から中央へ。動きとしてはシンプルでも、利用者さんにとっては体の中でイベントが起きています。だからこそ、介助者は“急がない段取り屋さん”になるのが正解です。焦らない、雑にしない、声掛けは明るく丁寧に。ここまで出来たら、第1章の時点であなたはもう「移動介助の安心係」です。次は、車椅子に移ってからの“うっかり三連発”を封じる話に進みましょう。
第2章…車椅子を暴走族にしない!~足・肘・安心の「3点検」で平和を守る~
ベッド上の“寄せ作業”を無事に終えて、いよいよ車椅子へ移乗。ここまで来ると介助者の心に、フッと魔が差します。「よし、後は移動するだけだ!」と。ところがどっこい、車椅子移動には車椅子移動の落とし穴がありまして、気を抜いた瞬間に“ヒヤリ”が顔を出します。車椅子は便利な相棒ですが、油断すると急に「動く家具」に豹変するんですよね。
まず大前提として、車椅子の移動は“速さ競争”ではありません。利用者さんにとっては、自分の足で動いているわけではないので、揺れや速度がそのまま恐怖に直結します。介助者が慣れているほど「この段差はいつものやつ」「この角は曲がれる」と思ってしまいがちですが、利用者さんの体は毎回ちょっとずつ違います。眠い日、血圧が低い日、腰が痛い日、寒い日。そういう日の車椅子は、同じルートでも体感難易度が変わるんです。
足・肘・姿勢の「3点検」を習慣にする
移動中に確認したいことは山ほどありますが、現場でまず外せないのは「足」「肘」「姿勢(座りの安定)」の3つです。あれこれ全部やろうとして頭がパンクするより、この3つを“毎回必ず見る”にしておくと事故がグッと減ります。
足については、両足がステップにきちんと乗っているか。これが崩れると、足先が床や段差に当たってしまい、躓きやケガに繋がります。特に片麻痺や筋力低下がある方は、本人が「足が落ちかけている」ことに気づけない場合もあるので、介助者が先回りします。足元って、地味だけど主役です。主役なのに画面外に追いやられやすいので、意識して視線を落とします。
次に肘。肘置きの外に腕がだらんと垂れていないか。これ、本当にあるあるです。廊下の壁、ドア枠、机の角。車椅子は“幅がある”ので、腕が外に出ていると接触しやすいんですよね。ぶつかった瞬間の痛みも怖さも大きいので、肘は「内側にしまう」が基本です。冬場に袖が分厚いと、腕が外に出ていることに気づき難くなるので、季節でも難易度が上がります。
そして姿勢。座面に深く座れているか、背中がずり落ちていないか、骨盤が傾いていないか。姿勢が崩れると、揺れが増幅して感じられますし、臀部に圧が集中しやすくなります。ここで介助者が「大丈夫そう」に見えても、利用者さんは「何か怖い」「何か痛い」を言葉に出来ないことがあります。だから“見た目の安定”だけでなく、“安心そうな表情か”までセットで見るのがコツです。
車椅子は種類で性格が変わる相棒選びは大事
車椅子にはいろいろなタイプがあります。自分でこぐタイプ、介助者が押すタイプ、背もたれが傾けられるタイプ、角度を保ったまま倒せるタイプ、部品が調整しやすいタイプ。要するに、車椅子は「どれでも同じ」ではなく、利用者さんの状態に合わせて“性格の合う相棒”を選ぶ道具です。
寝たきりに近い方や長時間座位がつらい方には、角度を変えて休めるタイプが合うことが多いです。ただし軽さを優先し過ぎた車椅子は、押す側にとっては楽でも、利用者さんには揺れを大きく感じさせてしまう場合があります。もちろん、いきなりひっくり返るという話ではなく、「安心感が少ない」「怖さが出やすい」という意味です。怖さが出ると体が強張り、さらに揺れを感じやすくなる。こういう“怖さの連鎖”が起きると、移動そのものが負担になります。
逆に、自分で立ち上がれる方や一部介助で立てる方にとっては、ステップの扱いが重要です。ステップに足を乗せたまま、勢いよく立とうとすると、車椅子ごと前に倒れそうになる危険があります。これ、本当に危ないので、立つ前にはステップを上げる。ここが習慣になっていないと、本人も介助者も「うっかり」が起きます。うっかりは、ベテランほど起きる。慣れは味方であり、油断の親戚でもあるんです。
運転のコツは「曲がり角で性格が出る」
車椅子の移動で、利用者さんの安心感が大きく変わるのが、段差と曲がり角です。段差はなるべく正面から、ゆっくり。曲がり角は、キュッと曲がらず、緩やかに。ここで急に方向を変えると、利用者さんは遠心力で体が持っていかれる感じがして、恐怖が増えます。風が当たる場所では速度を落とす。床がざらつく場所では揺れが増える。こういう“環境の癖”を見つけて、「ここはゆっくり行きますね」と声掛けしながら通ると、利用者さんの表情がスッと和らぎます。
そして、声掛けはベッド上だけじゃなく車椅子でも効きます。むしろ車椅子の方が「今から何が起きるか」が分からないと怖いので、「段差いきますね」「右に曲がりますね」と短く言うだけで、体が構えられて安心に繋がります。返事がなくても、こちらの声が“安全ベルト”になります。
車椅子移動は、ただ押すだけではなく、足・肘・姿勢を守りながら、環境の癖を読み、利用者さんの心を揺らさないように運ぶ技術です。暴走族ではなく、上品な送迎車の運転手。そんなイメージでいくと、事故も不安もグッと減ります。次の章では、移動全般に共通する「体調の変化の読み方」と「休ませ方」について、もう少し深掘りしていきますね。
第3章…座る➡動く➡休むの順番が命!~眩暈・暑さ寒さを先読みする観察術~
移動介助って、ベッド上で寄せて、車椅子に移して、目的地まで運ぶ。流れだけ見ると「搬送ミッション」みたいですが、実はもう1つ大きな仕事が隠れています。それが“体調の変化を先読みする”という役目。介助者の腕前は、持ち上げ方や押し方だけじゃなく、「この人、今、無理してないかな?」をいち早く察する力で決まることが多いんです。言い替えると、移動介助の真の主役は、観察力。地味だけど、一番強い。
まず押さえたいのは、体の状態は「寝ている」「座っている」「動いている」で別物になるということです。寝ている状態は比較的ラクに見えても、そこから座るだけで血の巡り方が変わります。さらに移乗して移動すると、刺激や緊張も増えて、心臓や呼吸の負担が上がりやすい。介助者から見ると「さっきまで平気そうだったのに、急に顔色が…」となる場面があるのは、この切り替わりで体が追いつかないことがあるからです。
「顔色・息・目」の3つが変わったら一旦止まる
ここで大事なのは、難しい観察をしようとし過ぎないことです。現場で使える観察は、だいたいシンプルが勝ちます。顔色がいつもと違う、呼吸が浅い・速い・苦しそう、目の焦点がぼんやりする。これが出たら、まず一旦止まる。移動介助で一番危ないのは、「止まるべき時に止まらない」ことです。逆に言えば、止まれたらだいぶ勝ちです。
利用者さんが言葉で訴えられる方なら、「眩暈がします」「気持ち悪い」「ちょっと苦しい」と出てきますが、言葉が出難い方は、表情や体の強張りでサインを出します。いつもより口が固い、眉間にシワが寄る、手がギュっと握られる。こういう小さな変化を見つけたら、「少し休みましょうか」と早めに提案するのが安全です。ここで無理して進むと、目的地に着いた頃に体調が崩れて「到着したのにイベント発生」という、介助者としては泣ける展開になります。
休ませ方は「いきなり寝かせない」が基本
休むというと、すぐに寝かせたくなりますが、体調によっては急に姿勢を変えるのも負担になります。だから休ませ方は、段階を踏むのがコツです。まずは車椅子で姿勢を整える。背中がずり落ちていないか、骨盤が斜めになっていないかを直し、深く座れるように支えます。それでもつらそうなら、角度を調整できる車椅子で少し倒して休む。さらに必要ならベッドで水平に近い姿勢まで休む。ざっくり言うと、「小さく休む➡大きく休む」の順番が安全です。
ここで“相性の良い道具”があると強いです。背もたれの角度を変えられる車椅子は、移動中の休憩スポットを作りやすい。逆に、座位がつらい方に無理に普通の車椅子で長距離を行くと、体のしんどさが積み上がりやすいので、出発前から「途中で休めるか」「休める姿勢が取れるか」を想定しておくと安心です。段取りが良い介助者は、移動中に慌てない。慌てないから、利用者さんも慌てない。これ、地味に効きます。
暑さ寒さは「本人の訴えが遅れがち」と心得る
移動全般で見落とされやすいのが、気温と湿度、水分です。暑い日は、移動の刺激と緊張で汗が出たり、体の水分が減りやすくなります。利用者さんが自分から「喉が渇いた」と言える方でも、遠慮して言わないことがありますし、言えない方ならなおさらです。だから介助者側が「移動の前後で少し水分を」「室温が変わる場所では一枚調整を」と先回りするのが安全です。
寒い日は逆に、介助者の感覚がアテにならないことがあります。動いている介助者は体が温まっていますが、利用者さんは座っているだけで、筋肉量が少ない方ほど冷えやすい。さらに寒さを強く感じやすい方もいます。膝掛けがあっても薄いものが多く、「それ、気持ちはありがたいけど戦力が足りないかも…」ということもあるんですよね。ただ、厚くし過ぎるとずり落ちやすくなったり、車椅子の操作に絡んだりするので、ここも“ちょうど良さ”が大事。寒さ対策は、温め過ぎず、冷やさず、動きの邪魔をしない。なかなか難しいですが、だからこそ気づける人が頼られます。
移動介助の最終目的は「目的地に着く」ではなく「無事に戻れる」
移動って、行きが無事だと油断しやすいんですが、本当に大事なのは「帰りも含めて無事」なんですよね。目的地に着いた時点で体力や気力が尽きてしまうと、帰りがつらくなります。だから介助者は、行きの時点で「帰りの分の余力」を残すように動きます。速度を控えめにする、途中で休む、姿勢をこまめに整える。これらは全部、帰りの安全への投資です。
移動介助は、力仕事に見えて、実は“予測と調整”の仕事です。顔色や呼吸、目の動き、体の強張り。小さなサインを拾って、休み方を選び、環境の変化に合わせて調整する。出来るようになると、利用者さんの安心感がグッと増えますし、介助者自身も「焦って事故る」が減ります。次の章では、外出や移動の仕上げとして、出発前の点検で事故を防ぐ“最後のひと押し”をまとめていきますね。
第4章…外出前30秒チェック!~ブレーキ忘れと前転事故を防ぐ“あるある封印”~
移動介助の世界には、時々「そんな初歩、やらないでしょ」と思った瞬間に限って起きる事件があります。そう、ブレーキの止め忘れ。これが起きると車椅子は急に“意志を持った乗り物”みたいになって、静かに、しかし確実に動き出します。映画みたいに坂道をガーッと下るほど派手じゃなくても、ほんの少しの傾斜や床の滑りで、じわじわズレる。利用者さんはもちろん怖いし、介助者は心臓が一瞬で喉まで来ます。だからこそ、外出や移動の前に「30秒だけ点検する」という習慣が、全てを救います。
この章は、技術の話というより“うっかり封印の儀式”の話です。慣れた頃に事故が起きるのは、手順が雑になるからではなく、「頭の中で省略が始まる」からなんですよね。だから省略しない仕組みを作る。ここがプロっぽい。
出発前にまずは「車椅子が勝手に動かない世界」を作る
車椅子に乗ってもらう前、立ち上がってもらう前、移乗の前後。どのタイミングでも良いんですが、最優先で作りたいのが「車椅子が勝手に動かない世界」です。ブレーキを掛ける。左右とも。ここ、左右どっちかだけだと“片側だけ止まった車椅子”になって、体重移動した時に車椅子がクルッと動くことがあります。本人の怖さも大きいし、介助者の腰にも悪い。なので、左右セットで一呼吸です。
次に、足元の位置。ステップは上がっているか、邪魔になっていないか。自力で立ち上がる方ほど、ステップが下がったままだと前転の危険が出ます。本人が「いつもの癖」で勢いよく立つと、車椅子ごと前に引っ張られる形になってヒヤリが起きる。だから「立つ前はステップを上げる」を合言葉にしておくと、事故をグッと減らせます。介助者側も「上げましたね」と声に出して確認すると、脳内の省略が止まります。
移乗の前後で効くのは「座り直し」と「服の巻き込みチェック」
いざ座った後も、点検は続きます。ここで大事なのは、本人が深く座れているかどうか。浅く座っていると、移動中にずり落ちやすく、姿勢が崩れて揺れが増えて、怖さが増して、体が強張って…と連鎖が起きます。そこで「少し座り直しますね」と声掛けして、骨盤が立つ方向に整える。これだけで移動の安定感が変わります。派手さはないけど、効果は大きいです。
そして意外と見落とされるのが、服や毛布の巻き込みです。冬場の厚着、ブランケット、長い上着。これが車輪やブレーキ周りに近いと、操作の邪魔になることがあります。本人は「寒いからしっかり掛けて」と思っていても、掛け方が危険なことがある。だから「寒さ対策は大事、でも動きの邪魔はしない」を目指して整えます。ここで、介助者が“お母さんの手際”を発揮すると良いです。さっと整えて「はい、ぬくぬく安全仕様です」と言えると、場が和みます。
外出の前は「ルート点検」で事故を先回りする
外出や長い移動では、車椅子そのものだけでなく、移動ルートも安全にしておくと強いです。段差がある場所、床が濡れやすい場所、狭い曲がり角、扉の前のマット。こういう“躓きゾーン”は、介助者が先に把握しているだけで、慌てが減ります。慌てが減ると操作が乱れない。操作が乱れないと利用者さんが安心する。安心すると筋緊張が下がって姿勢が安定する。つまり、ルート点検は、最後に効いてくる“安心の下拵え”です。
もちろん全ルートを完璧に把握するのは難しいので、現実的には「段差があるか」「扉が重いか」「人混みがあるか」を気にしておくだけでも十分です。もし段差があるなら、通る前に「段差いきますね」と声掛けして速度を落とす。扉が重いなら、誰かに手を借りる段取りを取る。人混みがあるなら、ぶつからない速度にする。こういう先回りの積み重ねが、事故ゼロの土台になります。
30秒点検を「儀式」にすると忙しい日ほど効く
忙しい日は、とにかく急ぎたくなります。でも急ぐほど、タイヤの空気圧と同じくらいブレーキの確認が飛びやすい。だから忙しい日にこそ、点検を儀式にしてしまうのが勝ちです。例えば、車椅子の後ろに立ったら、まずブレーキ。次に足元。次に肘と姿勢。最後に「いきますね」の声掛け。これを毎回同じ順番でやると、頭が疲れていても体が動いてくれます。つまり、事故を防ぐのは根性ではなく、手順の固定です。
外出や移動の安全は、派手な技術より、地味な確認で作られます。ブレーキ、ステップ、座り直し、巻き込み、ルート。これらを30秒で整えるだけで、“あるある事故”はかなり封じ込められます。次はいよいよまとめで、全体を通して大事な合言葉をスッキリ整理して締めますね。
[広告]まとめ…ヒヤリを減らす合言葉は「急がず、声掛け、まず点検!」
移動介助って、やっていること自体はシンプルに見えます。ベッドで体を寄せて、車椅子へ移って、目的地まで進む。それだけのはずなのに、現場では「何故かここでヒヤリが出る」という場面がちゃんと待ち構えています。だからこそ大事なのは、難しい技術を一気に増やすことではなく、毎回同じ大事なところを丁寧に守ること。今回の話をギュッとまとめると、合言葉は1つに集約されます。急がず、声掛け、まず点検。これが出来ると、移動介助はグッと穏やかになります。
第1章で扱ったベッド上の移動は、利用者さんの体にとって“静かな大イベント”でした。摩擦は目に見えないけれど、皮膚には熱や圧が積み上がりやすい。だから体をコンパクトに整え、出来れば少し浮かせる成分を入れ、道具や二人介助も選択肢に入れる。何より返事が無くても声を掛け、急に世界が横に動かないように段取りを作る。これだけで、利用者さんの不安も、介助者の焦りも減っていきます。
第2章の車椅子移動は、“動く家具”を安全な乗り物に変える作業でした。足がステップに乗っているか、肘が外に出ていないか、姿勢が崩れていないか。この3つを毎回見るだけで、事故の芽はかなり摘めます。車椅子の種類や状態に合わせて、揺れや怖さが増えないように運転する。曲がり角と段差は、急ぐほど怖さが増える場所なので、ゆっくり行く方が結果的にスムーズです。速度を落とすのは、負けではなく上手さです。
第3章では、移動全般に共通する“体調の変化の先読み”を扱いました。寝る、座る、動くで体の負担は変わり、顔色や呼吸や目の様子にサインが出やすい。変だなと思ったら止まる、少し休む。休ませ方も、いきなり寝かせるのではなく段階を踏む。暑さ寒さや水分も、本人の訴えが遅れがちだと心得て先回りする。移動の目的は「到着」ではなく「無事に戻れる」まで。ここを意識すると、介助はグッと安全側に寄っていきます。
第4章は、外出前の30秒点検で“あるある事故”を封印する話でした。ブレーキの止め忘れ、ステップのまま立ち上がって前転しそうになる、服や毛布の巻き込み、ルートの段差や人混み。どれも初歩に見えるのに、慣れた頃に起きやすい。だから忙しい日ほど、点検を儀式にして順番を固定する。根性で防ぐのではなく、手順で防ぐ。ここがプロっぽいところです。
最後に、ちょっとだけユーモアを足すなら、移動介助は「利用者さんの体を運ぶ」だけじゃなく、「安心を運ぶ仕事」でもあります。介助者が落ち着いていると、利用者さんも落ち着く。声掛けがあると、利用者さんの心に安全ベルトがかかる。点検が出来ていると、介助者の背中に自信が立つ。今日の移動が穏やかに終わったなら、それは立派な技術の成果です。
明日からの現場で、まずは1つだけでも大丈夫です。ブレーキを左右セットで確認する。段差の前にひと声かける。足と肘と姿勢を“必ず見る”と決める。小さな積み重ねが、ヒヤリを減らし、利用者さんの安心を増やします。急がず、声掛け、まず点検。これを胸に、今日も安全運転でいきましょう。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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