春の二十四節気で回す「五感スイッチ」レクリエーション~高齢者の笑顔が増える段取り~

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はじめに…春は“季節の合図”が多い だからレクが回りやすい(のに、毎年ネタ切れする不思議)

春のレクリエーションって、実は「やること」より「始める合図」が決まった瞬間に、もう半分勝っています。…と、いきなり結論を置いてみました。現場って、準備が完璧でも“空気が乗らない日”があるじゃないですか。逆に、道具が少なくても「今日はこの流れで行けるな」という日もある。あれ、なんなんでしょうね。たぶん、季節が背中を押してくれるかどうか、そこが大きいんだと思います。

そこで今回は、春の二十四節気を「季節の豆知識」として眺めるのではなく、レクの“スタートボタン”として使う話です。合図があると、参加する側もスタッフ側も、気持ちがラクになるんですよね。「今日は啓蟄だから、音で目覚める遊び」「春分だから、影で“ちょうど良い”を楽しむ」みたいに、言い出しっぺが一人で抱え込まない仕組みが出来ます。

もちろん現場は毎日が同じじゃありません。元気な日もあれば、しんどい日もある。だからこそ、この春レクは“頑張る設計”より“戻れる設計”にしました。座ったままでも出来て、途中参加でも置いていかれず、失敗しても笑いに着地する。そんな「ゆるっと達成」な仕掛けを、4つの節気に沿って紹介していきます。

季節は、誰にでも平等にやってきます。だったらその力を借りない手はないですよね。……と、言い切ると格好良いのに、現実は「今日の名札どこ置いたっけ」から始まるのが介護現場。春の風と一緒に、名札も戻ってきて欲しいところです(戻ってきません)。それでも大丈夫。明日から、軽く回る方法にしてあります。

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第1章…啓蟄の合図でスタート~「目覚め」を音で作る虫起こしレク~

一石二鳥でいきましょう、啓蟄は「音」で春のレクを立ち上げると、参加する人も進める側も気持ちがラクになります。土の中から虫が出てくる日……と言われても、虫そのものを連れてくるわけにもいきません(連れてきたら別の意味で大騒ぎです)。そこで今日の主役は、虫ではなく“目覚めの合図”としての音です。

やり方はシンプルです。紙コップを2つ用意して、片方に豆や小さめのビーズを少し入れ、もう片方で蓋をします。これで「振ると鳴る」音の道具が完成。鈴があるなら、鈴でも十分です。ここで大事なのは、音を立派に鳴らすことじゃなくて、音が合図になって「お、始まったな」と空気が切り替わること。私はこれを勝手に“音スイッチ”と呼んでいます。

音の道具は少なくて良い~むしろ少ないほど回る~

現場で助かるのは、「どこかにしまった道具」を探さなくて済むことです。紙コップは軽く、手に持ちやすく、落としても危険が少ない。手指の運動(指を動かす体操)にも繋がりますし、見た目も“工作感”があってちょっと楽しい。作るところから始めると、参加のハードルがフッと下がることがあります。

音の種類も、たくさん用意しなくて大丈夫です。むしろ数が多いと、進行が忙しくなってしまう。豆の音、鈴の音、ティッシュをクシャっと丸める音、机を指でトントンする音。このくらいで十分、春の気配は作れます。

進め方は「当てる」より「思い出す」

ここが啓蟄レクの“読み物的な旨味”でもあります。クイズにすると、正解が出る人・出ない人で空気が分かれやすいんですね。そこで狙いを少しずらします。

目を閉じてもらって音を鳴らしたら、「何の音でしょう?」ではなく、「この音、何を思い出します?」と聞いてみます。回想法(思い出を引っぱり出すやり方)の入り口として、とても使いやすい聞き方です。雨戸の音、米櫃の音、節分の豆、畑仕事の朝。正解はなくて良い。出てきた話が、そのまま春の景色になります。

話が出にくい時は、進行側が小さく先に出すとスムーズです。「私はこの音、台所でこっそりつまみ食いしてた頃を思い出します」と言うと、だいたい誰かが笑ってくれます。笑いが出たら、もう勝ちです。

座ったまま版・手指しっかり版の切り替え

参加者の様子に合わせて、同じレクを“難しさ違い”で回せると、場が安定します。座ったまま版は、音を聴く・うなずく・一言だけ言う、ここまででも立派な参加です。手指しっかり版は、紙コップを持って振る、音の強弱をつける、リズムを真似する、と少し遊びの幅を広げます。

ここで気をつけたいのは、音の大きさです。刺激(びっくりする強さ)が強いと、却って疲れてしまうことがあります。最初は小さく、様子を見ながら。音が苦手な方がいたら、「聴く係」「合図係」など、役割を変えて参加できる形にすると安心です。

最後は、短い“春のひとこと”で締めます。「土の下で起きてることは、目に見えない。でも、音があると始まる」。こう置くと、レクの余韻が残ります。……と、綺麗に終えたいところですが、現実は豆が床に転がって、スタッフが静かに追いかける場面が発生しがちです。春の虫より先に、豆が脱走します。そこも含めて、啓蟄らしい一幕です。


第2章…春分は“ちょうど良い日”~影遊びで参加しやすさを整える~

温故知新でいきます、春分のレクは「難しいことを、優しく見える形にする」と場がグッと落ち着きます。春分って、昼と夜がだいたい半分ずつになる日、と言われますよね。ここが大事で、春分は“頑張り過ぎない合図”にしやすいんです。盛り上げるより、整える。大笑いより、クスッ。そんな空気の方が合う日があります。

そこで出番なのが「影遊び」です。影って、道具が少なくて、失敗が起き難くて、参加の入口が広い。しかも、出来る人は創作へ、疲れている人は眺めるだけへ、自然に分かれても成立します。私はこれを勝手に“ちょうどレク”と呼んでいます。春分にピッタリです。

見える化のコツ~目で分かる形にする~

専門用語で言うなら、見える化(目で分かる形にする)です。レクがうまくいく日は、説明が長い日ではありません。手を動かす前に「何をしたら良いか」が目で分かっている日です。

影遊びは、その条件が最初から揃っています。窓際の光でも、卓上ライトでも大丈夫。白い壁や白い紙があれば舞台が出来ます。進行役は、まず自分の手で「丸」「鳥」「犬」みたいな簡単な形を作って、影を見せる。ここで参加者の顔が「おっ!」と動けば、もう入口は完成です。

注意したいのは、影を“凄い作品”にしようとしないことです。芸術大会が始まると、現場は急に静かになります(静かになる理由が違う)。春分は“ちょうど良さ”が主役。可愛い失敗も含めて、良い時間になります。

出来る人が主役になり過ぎない仕掛け

影あそびの落とし穴は、器用な人が無双してしまうことです。もちろん、その人が輝くのは素敵。でも、周りが「凄いねぇ」で終わってしまうと、参加の数が減ってしまいます。ここでちょっと工夫します。

ルールは「当てる」だけにしません。「影の名前をつける」「影に台詞をつける」「影が出てきそうな場所を想像する」。手を動かさなくても参加できる役割を増やすと、場が均等になります。これ、地味に効きます。影の形が分からなくても、「その影、うちのじいちゃんの眉毛に似てる」みたいな一言が出ると、笑いが転がり始めます。転がり始めた笑いは、拾わなくて良いんです。自然に進みます。

ここでの狙いは、参加しやすさという土台作りです。春分は“勢い”より“整え”。派手さを出さなくても、良い空気になります。

笑いが起きる「影クイズ」の作り方

影クイズをやるなら、問題の作り方がコツです。難問を出すと、正解者が少なくて盛り上がりが細くなります。簡単過ぎても、会話が止まる。春分の正解は「ちょいズレ」にあります。

例えば、手の影を“動物っぽいけど動物じゃない”形にして、「これは何でしょう?」と聞く。答えが出たら、すぐに「じゃあ次、これに名前つけてください」と続ける。ここで造語の出番です。“もふもふ影”“ふわっと怪獣”“静かに元気”みたいに、短くて優しい言葉が出ると、場が和みます。上手に作る必要はありません。むしろ、ちょっと崩れている方が笑いが生まれます。

最後は、春分らしく締めます。「今日は“ちょうど良い”が勝ちの日」。そう言って終えると、頑張れなかった人も置いていかれません。…と、良い話で終わりたいのに、現実はライトの電池が切れて影が消えます。春分の昼と夜どころか、こちらは“真っ暗”です。電池の予備、あると心も整います。

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第3章…清明は“思い出が澄む頃”~香りの記憶で会話が増える時間~

以心伝心でいきます、清明のレクは「正解を当てる」より「心に浮かぶ景色を拾う」方が、場が優しく温まります。清明は、空気が澄んで、草木がフワっと元気になる頃。目に見える春もありますが、実は“鼻から入る春”もあるんです。ここに気づくと、レクの切り口が増えます。

香りは、言葉が出難い日でも、フッと扉を開けてくれます。しかも、派手に盛り上げなくても良い。小さな「あ、これ知ってる」が出れば、もう十分。私はこの時間を勝手に“におい散歩”と呼んでいます。歩かなくても散歩ができる、ちょっと得した感じのやつです。

香りは強くしない安全第一の選び方

香りレクの第一条件は、刺激(ツンとし過ぎる強さ)を弱くすることです。柑橘の皮、緑茶の茶葉、せっけん、ハンドクリームなど、日常にある“優しい香り”が向いています。ここで欲張って、香りをたくさん用意すると、現場は香りの見本市になってしまいます。気分が悪くなる方が出たら本末転倒。種類は少なめが安心です。

香りは小さな袋やコットンに沁み込ませて、近づけ過ぎない距離で。鼻の前に持っていくというより、「この辺に春がいますよ」くらいの置き方がちょうど良い。スタッフ側もラクになります。

あと、意外と大切なのが“手洗い後”のタイミングです。手に残った香りが混ざると、答えが迷子になります。レクの前にみんなで手を洗う…と聞くと立派ですが、現実は「手洗い後に別の仕事が入る」で崩れます。なので、道具を扱うスタッフだけでも手の香りを整えておくと、進行が安定します。

「何の匂い?」より「何を思い出した?」

ここが清明レクの本体です。「これは何でしょう?」の問いは、記憶力の勝負になりやすい。勝負になると、外れるのが怖くて黙る人が増えます。そこで聞き方を変えます。

「この香り、何を思い出します?」
この一言で、正解が消えます。残るのは“その人の春”です。

「台所のにおい」「子どもの頃の遠足」「雨の日の玄関」「おばあちゃんの箪笥」…こういう話が出たら、もうレクは成功です。専門用語で言うなら回想法(思い出を話す遊び)に近い流れですが、説明は不要。自然に話が出てきます。

進行役は、話を引っぱり過ぎないのがコツです。「それ、良いですね」で受け止めて、次の香りへ。話が長くなる方がいたら、「続きは“お茶の時間の特典”で」と軽く逃がす。逃がしても、後で必ず話は戻ってきます。春の話題は強いです(ここで“強い”は言い替えたいので、春の話題は“戻りやすい”です)。

話が止まった時の優しい助け舟

香りを嗅いでも、反応が薄い時があります。そんな時は、焦って質問を重ねない方が上手くいきます。助け舟は“二択”が便利です。

「甘い感じですか、さっぱりですか」
「台所っぽいですか、外っぽいですか」

このくらいだと、簡単に答えられますし、言葉が出難い方でも参加しやすい。答えが出たら、「じゃあ、その春の場所はどこですか」と少しだけ広げる。広げるのは、ほんの少しで十分です。欲張ると、会話が重くなります。

そして最後は、清明らしく“軽い締め”が合います。香りは見えないのに、心の中に景色が出る。これって凄いことです。ここでことわざを決めゼリフに入れるなら、「案ずるより産むが易し」。やってみたら、案外スッと始まる。香りレクは、まさにそれです。

…と、綺麗に終わりたいところですが、現実はハンドクリームの香りが残って、全員の春が「石鹸の味」になりやすいです。清明って澄んだ空気のはずなのに、こちらは“芳香は四方に散りやすい”。それもまた、春の賑わいです。


第4章…穀雨は“恵みの雨”~一滴リレーで静かな達成感を作る~

継続は力なり、穀雨のレクは「小さな成功を、何回も味わう」仕立てにすると、終わった後に気分がフワっと上向きます。穀雨は、春の雨が穀物を育てる頃。聞くだけだと詩的ですが、現場に置きかえると「ジワジワ効く」「派手じゃないけど助かる」そんな日です。そこで似合うレクが、静かなリレー。水の一滴を“ちゃんと運べた”という達成が、思った以上に気持ち良いんですね。

今日の主役は、大きな勝ちじゃなくて“小さな勝ちの連続”。私はこの感覚を勝手に“しずしず達成”と呼んでいます。声を張らなくても、拍手が大きくなくても、ちゃんと「やった」が残るやつです。

水を使うレクの段取りと後片付けの軽量化

水を使うと聞いただけで、スタッフの脳内に「床」「タオル」「転倒」「片付け」が並ぶのは、あるあるです。そこで穀雨レクは、最初から“片付けがラク”になる設計にします。

用意するのは、紙コップとトレイ(または新聞紙)と、スポイトかスプーン。水は紙コップに少しだけ。量は控えめが正義です。水が少ないと、こぼしても被害が小さいし、参加者も安心して動けます。テーブルの上にトレイを置くと、「ここから出さない」という枠が出来る。枠があると、人も道具も落ち着きます。

専門用語なら環境調整(やりやすい場所作り)ですが、難しく考えなくて大丈夫です。「水は小さく、受け皿は大きく」。これだけで、だいぶ回ります。

失敗しても勝ちにするルール設計

一滴リレーは、競争にすると盛り上がる反面、苦手な人がシュンとしやすい。そこで勝ちの定義を変えます。「早い人が勝ち」ではなく、「最後まで運べたら勝ち」に寄せる。これだけで空気が優しくなります。

進行はこうです。スポイトやスプーンで水をすくって、隣の紙コップへ移す。それを順番に続けて、最後のコップに“印(しるし)”がついたらゴール。印はマジックで線を引いておけば良い。目標が見えると、参加者の集中が続きます。

ここで笑いを入れるなら、ルールに小さな遊び心を混ぜます。「こぼした分は“恵みの雨”として床に返したことにします」。こう言うと、失敗が責められない。場がピリッとしなくなります。穀雨は“雨が降っても育つ”日ですからね。水が落ちたら、むしろ季節感が増す…と、言い切ると床拭き担当に怒られます。怒られる前に、タオルをそっと置いておきましょう。

上肢協調を引き出すコツ~手を上手く連携させる~

このレクの良いところは、手の動きが自然に整うことです。上肢協調(手をうまく連携させる)の練習になる、なんて言い方も出来ますが、現場では「こぼさずに移せた」が一番嬉しいところ。

コツは、動きを細かく分けることです。「すくう」「運ぶ」「落とす(入れる)」の3つ。言葉で長く説明すると難しく感じるので、進行役がゆっくり見せます。出来る人には「右手でスポイト、左手でコップを支える」など役割を足しても良い。疲れている人には「コップを支える係」だけでも参加になります。役割があると、人は安心します。

それと、穀雨レクの裏テーマは“静けさの共有”です。音が小さい分、みんなが同じ方向を見やすい。誰かが一滴を落とす瞬間に、周りの視線が集まって、拍手が生まれる。こういう拍手は、派手じゃないのに胸に残ります。

最後は、短く締めます。「雨は一滴ずつ。でも、ちゃんと満ちる」。この言葉で終えると、レクが“作業”ではなく“時間”になります。…と、良い感じにまとめたいのに、現実はスポイトが行方不明になります。だいたい最後に見つかる場所は、ポケットか、誰かの袖。穀雨の恵みは、何故か衣類にも降ります。ニヤリ。

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まとめ…二十四節気は“ネタ帳”じゃなく“予定表”になる~春レクは明日から軽く回せる~

春のレクリエーションは、ネタの量で勝負するより「始める合図」を持っている方が、結局は上手く回ります。啓蟄は音で目覚めを作り、春分は影で“ちょうど良さ”を整え、清明は香りで思い出の扉を開き、穀雨は一滴ずつの達成を積み重ねる。どれも派手な仕掛けは少ないのに、終わった後に「今日は良かったね」が残りやすい形を目指しました。

ここでの新しい見方は、二十四節気を“豆知識”として語るのではなく、“段取りの味方”として使うことです。日付に名前がつくと、進行役の肩の荷が軽くなります。「今日は啓蟄だから」「春分だから」と言えた瞬間、場の空気が「やる方向」に揃う。これ、地味に大きいんですよね。私が勝手に名付けた“音スイッチ”“ちょうどレク”“におい散歩”“しずしず達成”も、狙いは同じで、難しいことを優しく回すための合図です。

介護の現場って、毎日が微妙に違います。昨日できたことが今日は難しかったり、逆に今日はフッと笑ってくれたり。そこに一喜一憂し過ぎると、進める側が先に疲れてしまう。だから春のレクは、上手くやるより「戻れる設計」にしておくと安心です。座ったままでも参加になり、途中参加でも置いていかれず、失敗しても笑いに着地する。そんな形なら、気持ちよく続きます。

最後に、もう1つだけ決めゼリフを置きます。雨が降っても春は来る、という感じで、「雨降って地固まる」。こぼれた豆も、消えた影も、混ざった香りも、袖に降った穀雨も、全部まとめて“今日の春”です。完璧じゃなくていい。明日もまた、軽く回せる。それが一番助かります。

……さて、レクが終わったら道具を片付けるわけですが、何故か最後に見つからないのは、スポイトでも豆でもなく、スタッフの名札だったりします。春の不思議は、床より胸元で起きがちです。ニヤリ。

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今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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