田舎暮らしはスローじゃない!?~憧れと現実のギャップを笑って確認~

[ 家族の四季と作法 ]

はじめに…ようこそ“静けさ”の沼へ~まずは深呼吸~

「田舎暮らしって、空気が綺麗で、のんびりしてて、星が見えて、野菜が勝手に育って、近所の人はみんな優しくて……」みたいな、フワっとした憧れ。ありますよね。分かります。私も頭の中だけなら、軽トラに乗って「ほれ、採れたてじゃ」って笑う未来が見えます。ところが現実の田舎は、スローというより“生活力が問われるアドベンチャー”だったりします。

この記事は、そんな田舎暮らしの「良いところ」と「悪いところ」を、出来るだけ正直に、でも笑える温度で整理したものです。筆者の実体験も少し混ざりつつ、「人から聞いた話」や「田舎あるあるの噂」も含めて、田舎の空気感をまるごと書いていきます。あくまで地域差は大きいので、「うちは全然違うよ!」という田舎ももちろんあります。その上で、田舎を“天国”にも“修行場”にも変えてしまうポイントは、意外と共通しているんです。

それと、田舎暮らしの話って、何故か極端になりがちです。「最高だよ!自然!癒し!」か、「最悪だよ!村社会!」のどっちかに寄って、真ん中が消えちゃう。けれど本当は、同じ出来事が“良さ”にも“しんどさ”にもなるのが田舎の面白いところ。例えば「近所が近い」は、困った時は神対応、でも油断すると情報が秒速で広がる、みたいな。えぇ、便利と怖さが同居しています。可愛い顔して牙があるタイプです。

なので今回は、「田舎の定義」から始めて、「良いところ」「悪いところ」をちゃんと両方出し、最後に「向いている人・向いていない人」を整理していきます。読むだけで、田舎暮らしに憧れている人は地に足が着き、既に田舎の人は「分かるわぁ…」と頷き、都会の人は「ちょっと田舎、強過ぎない?」と笑える。そんな記事を目指します。

さあ、深呼吸していきましょう。田舎暮らしは、静けさの話ではなく――だいたい段取りと根回しの話です。今のところ、星空より先に“回覧板”が出てきます。まずそこから、一緒に見ていきましょう。

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第1章…田舎の定義がまず難しい~コンビニまで何分で田舎判定?~

田舎暮らしの話をすると、だいたい最初にズレが起きます。「うち田舎だよ」と言う人が2人いたとして、片方は駅前に大型スーパーがあり、もう片方は夜になると自販機が“神殿”みたいに輝く場所だったりするからです。同じ“田舎”でも、難易度がぜんぜん違う。まずここを揃えておかないと、話がすれ違って面白くなりません。いや、すれ違い自体は面白いんですけど、生活となると笑って済まないこともあります。

ざっくり言うと、田舎の目安は「生活の基本が、距離に支配されるかどうか」です。市町村役場がある周辺は、だいたい商店が集まっていて、学校も病院もそこそこ揃っていたりします。そこから数km離れると景色が変わります。田んぼが広がり、夜は暗く、音がよく通り、道の曲がり角に“何か”がいる気配が増える。ここからが、みんなが想像する田舎の入口です。

そして田舎の“本体”は、そこからさらに奥です。家が点々として、移動は車が前提。最寄りのコンビニ?ありますよ、心の中には。実際は車で20分、という世界も普通にあります。ここで気づくのが、田舎暮らしは「自然が豊か」ではなく「行動が濃くなる」という事実です。都会だと“ついで”で済む用事が、田舎だと“遠征”になります。醤油を切らしただけで、軽い旅が始まるのです。

しかも物件探しの段階から、田舎は癖が強い。いわゆる不動産サイトで「田舎暮らし物件」として出てくるものの中には、「え、これ…ただの郊外では?」というものもあります。駅まで徒歩圏で、スーパーも近い。便利じゃん、最高じゃん。けれど、こういう物件は“田舎の味見”にはちょうど良い一方で、ガッツリ田舎を体感したい人には物足りないこともあります。

一方で、写真を見るだけで「ここは異世界転生前のチュートリアル村?」みたいな物件もあります。家は安い。土地も広い。時々、農地もセット。値段だけ見ると胸が躍ります。「この広さでこの価格!?勝った!」と思います。ところが田舎物件の値段には、だいたい理由があります。建物の修繕、冬の寒さ、湿気、害獣対策、草との終わりなき戦い。つまり、安いのはスタート地点が“DIY上級者コース”だから、という場合が多いんです。

さらに田舎は、家よりも“人間関係の距離”が近いことがあります。引っ越してきたら、歓迎ムードになる地域もあります。野菜をもらったり、声を掛けられたり、助けてもらえたり。これは本当にありがたい。都会だと、お隣さんと顔を合わせても「会釈の達人選手権」になりがちなので、温かさに感動する人も多いです。

ただし、その温かさは“見守り力”でもあります。良く言えば安心。悪く言えばプライバシーが薄い。何か1つ変化があると、話題が走ります。とても走ります。噂話というより、情報共有が早いんです。例えば毎日同じ時間に散歩しているだけで、「あの人、最近歩くの速くなったね」と言われる。いや、それ褒めてくれてるなら良いんですが、方向が変わると「最近あの家、何かあるの?」になることもある。田舎の情報は、風に乗って運ばれるというより、もう回覧板のように手渡しで届けられます。

そして田舎の生活には、“参加する文化”が残っている地域もあります。町内会、消防団、お祭り、清掃、子ども会、PTA。もちろん強制ではない地域も増えていますが、空気として「出来れば出てね」があるところはあります。都会だとお金で解決できることが、田舎だと“人の手”で回っていることが多いので、参加するほど生活が楽になる場面もあるんです。逆に言うと、まったく関わらないと、ちょっと浮きやすい。ここが田舎の最初の関門です。

加えて、自然が近いということは、災害も近いということです。台風、大雨、雪。道路が塞がれたり、迂回が増えたり、時には一時的に孤立に近い状態になることもあります。復旧には役所や業者さんが懸命に動いてくれますが、都会のように「すぐ次のルートがある」とは限らない。だから田舎では、普段から備えと情報が生活の一部になりやすいんです。非常用の水や食料は、意識高い系の趣味じゃなく、普通の暮らしの道具箱みたいな位置付けになります。

ここまで読むと、田舎暮らしって、ちょっと怖いですよね。分かります。けれど第1章で言いたいのは、「田舎は良い悪いの前に、仕様が違う」ということなんです。距離が長い。人が近い。自然が濃い。参加が濃い。つまり、生活が“自動”じゃなくて“手動”になる。その代わり、手動だからこそ得られる楽しさもある。次の章では、その「良いところ」を、ちゃんと胸を張って書いていきます。ええ、あります。ちゃんとあります。野菜だけじゃありません。人も、空も、夜も、割りと良いんです。


第2章…良いところはちゃんとある!~星空と畑と“人の温度”の近さ~

第1章で田舎の“手動感”を語ってしまったので、「もう、田舎こわい…」となった方がいたら、ここで安心してください。田舎暮らしの良いところは、ちゃんとあります。しかも、都会の便利さとは別の方向で、じわじわ効いてきます。ド派手な感動というより、生活の底に敷くふかふかの座布団みたいに、後から効くタイプです。

まず、自然が近い。これは定番ですが、定番だからこそ強いです。窓を開けた瞬間の空気の匂いが違うとか、夜の静けさが違うとか、そういう「体に入ってくる情報」が変わります。都会は情報が多くて、それはそれで刺激的です。でも田舎は、情報が少ない分、心が勝手に整う瞬間が出てくる。何もしない時間が“サボり”ではなく“回復”として成立しやすいんです。

そして星空。これ、盛りすぎじゃありません。空が暗い場所ほど星は増えます。都会だと「星、見えた!」がイベントですが、田舎だと「今日は月が明るいから星が負けてるね」みたいな会話が成立します。感覚がちょっと贅沢なんですよね。夜の空を見上げて、ため息が出る。あのため息、けっこう人生の燃料になります。

次に、季節が濃い。春は匂いから始まり、夏は音から始まり、秋は味から始まり、冬は静けさから始まる。田舎は季節の変化が、景色だけじゃなく生活そのものに入ってきます。「そろそろ草が伸びる」「そろそろ虫が出る」「そろそろ雪に備える」みたいに、暮らしが季節のリズムで動く。都会のカレンダーで動く感じとは別で、自然のカレンダーに合わせていく感じ。これが合う人には、めちゃくちゃ合います。

それから“畑”。畑は「自給自足して生きていくぞ!」という壮大な話じゃなくても良いんです。最初はプランター1つでも、庭の隅の小さな区画でも、十分に楽しい。自分で育てたものって、味そのものより「育った」という事実がご馳走になります。収穫が少なくても、何故か満足する。しかも、畑があると生活のストレスが“土に吸われる”みたいな瞬間があるんですよ。無言で草を抜いて、気づいたら頭がスッキリしている。あれはちょっと不思議です。

もちろん、田舎は虫もいます。ムカデくんも、カメムシくんも、堂々と現れます。ここは好みが分かれます。でも裏返すと、子どもがいる家庭では「本物の自然体験」が日常にあります。カブトムシやクワガタを見つけるのがイベントではなく、割りと現実。虫が苦手な大人にとっては修行ですが、子どもにとっては宝探しです。自然の教材が、そこらへんに落ちています。

そして、田舎の“人の温度”。これが良い方向に働く時は、本当に心強いです。初めての場所で右も左も分からない時、ちょっとした困りごとが起きた時、誰かが手を貸してくれることがあります。都会だとサービスとしてお金を払う場面が、田舎だと「困ってるなら手伝うよ」で解決することがある。もちろん全部の地域がそうではないし、距離感の濃さは後々の章で語りますが、味方になってくれた時の安心感は、かなり大きいです。

特に、雪や台風のような厳しい季節がある地域では、助け合いが“文化”として残っていることがあります。自分が困った時に助けてもらえるだけじゃなく、誰かが困っているときに自然と動けるようになる。これって、便利さとは違う意味で、生きる力が上がる感じがするんです。田舎暮らしが合う人は、こういう「人と人で暮らしを回す感覚」に、じわっと惹かれます。

あと、お金の話を少しだけ。田舎は家賃や土地の値段が抑えめなことが多く、広い家に住みやすい傾向があります。部屋が増えると、暮らしの余白が増えます。物置になっていた部屋が、趣味部屋になったり、作業部屋になったり、子どもの遊び場になったりする。空間の余裕は心の余裕に直結しやすいので、これは大きいメリットです。さらに、静かさがあると在宅ワークや集中作業がしやすい人もいます。都会の喧騒が悪いわけではないけれど、「静かであること」が武器になる人には強い環境です。

ただし、田舎の良さは「何もしなくても幸せ」ではありません。むしろ逆で、「暮らしを自分で組み立てる人ほど楽しくなる」のが田舎です。畑を小さく始める、季節の行事にちょっと乗ってみる、近所の人に会釈をしてみる、道の駅を楽しむ、地元の野菜を1つ買ってみる。そういう小さな選択が積み重なるほど、田舎は“自分の生活”になっていきます。

この章の結論はこれです。田舎暮らしの良いところは、派手な夢ではなく、生活の底力として効いてくる。空、土、季節、人。これらが合う人にとっては、田舎はちゃんと“心の居場所”になります。

さあ、良いところを語ったので、次は反対側もちゃんと見ましょう。田舎は優しい顔をして、たまに圧が強い。距離が遠いのに、心の距離は近い。ここが面白くて、しんどいところです。次の章では、その“田舎の悪いところ”を、笑いながら現実的に整理していきます。


第3章…悪いところも元気にある!~距離と役割と“噂の光速”問題~

ここまでで「田舎、意外と良いじゃん」と思った方、そこの気持ちは大切にしてください。田舎の良さは本物です。ただ、田舎暮らしがしんどくなる場面もまた本物です。しかも田舎の“しんどさ”は、都会のストレスと種類が違います。都会は人が多くて疲れる。田舎は人が少ないのに疲れる。……え?ってなりますよね。ここが田舎の不思議ポイントです。

まず、距離です。田舎の最大の敵は、だいたい「片道」です。病院が遠い、役所が遠い、学校が遠い、買い物が遠い。特に車が前提の地域だと、免許がない・運転が苦手・高齢で運転をやめたい、というタイミングで生活の形がガラッと変わります。都会は「歩ける範囲に大体ある」ですが、田舎は「動けるうちは快適、動けなくなると急に難しい」。この落差が、じわじわ効いてきます。

そして、医療。町医者さんが遠い、専門医、産院に行くには大きな病院まで1時間、という地域も珍しくありません。緊急時の救急搬送も距離がある。これは怖がらせたいわけじゃなく、田舎暮らしを考えるなら“現実として見ておくべきポイント”です。逆に言えば、田舎暮らしのベテランは「かかりつけ医」「薬」「通院の段取り」「冬の道路状況」を、生活の中に組み込んでいます。ここを組み込めるかどうかで、安心感が変わります。

次に、災害とインフラ。田舎は自然が近い分、道路が崩れたり、倒木で通れなくなったり、雪で動けなくなったり、豪雨で一時的に孤立っぽくなることもあります。復旧は本当に関係者が頑張ってくれるんですが、都会のように「代替ルートが無限にある」わけではないので、備えが大事になります。備えというと立派に聞こえますが、要するに「数日分の水と食べ物がある」「電池やライトがある」「スマホが充電できる」くらいの、生活の道具箱の話です。

そして、田舎の“役割”。ここが地味に重い。町内会、消防団、祭り、清掃、地域の行事、子どもの活動。全部の地域が強制ではないし、今は緩くなっているところも増えています。それでも「出来れば出てね」が残る場所はあります。都会はお金とサービスで回っている部分が多いですが、田舎は人の手で回っている部分が残っている。だから参加すると暮らしがスムーズになる一方、参加できないと肩身が狭くなったり、情報が入り難くなったりすることがあります。

ここで誤解しやすいのは、「田舎の人は意地悪」という話ではないことです。そうではなく、田舎は“人手”が少ないので、誰かがやらないと回らない。だから「手伝って欲しい」が真剣なんです。都会の「出来たらお願い」より、生活の運営に直結している。そこを理解せずに「面倒だから関わらない」とやってしまうと、田舎側からすると「え、住むだけ?一緒に回さないの?」になってしまう。ここでギャップが生まれます。

そして来ました、噂の話。田舎は噂が早い。これはもう、早いです。悪口が好きというより、変化が少ない場所ほど変化が目立つ。新しい人が来た、車が変わった、夜に電気がついていた、訪問者があった。そういう“小さな変化”が情報として共有されやすいんです。

例えば、毎日神社で鳩に餌をやる人がいたとします。本人は日課で平和です。でも「鳩が増えた」「糞が増えた」と感じる人が出ると、「どこの誰がやっている」という話がスッと広がります。広がった後に困るのは、本人が気づき難いことです。直接言ってくれれば改善できるのに、直接言われないまま空気が変わる。これが田舎のしんどさの1つです。優しさと遠慮が、別の形で圧になることがある。

さらに、プライバシー感覚の違いもあります。都会だと「家庭のことは家庭のこと」になりやすいですが、田舎は家同士が繋がって暮らしを回してきた歴史があるので、距離感が近い地域もあります。「息子さん、どこに勤めてるの?」とか、「最近どう?」とか、悪気なく聞かれる。人によっては、これが温かい。人によっては、胃がキュッとなる。田舎暮らしは、ここで性格が試されます。

それから、においと煙。これは地域差が大きいですが、畑の作業、野焼き、暖房、家畜、堆肥など、田舎特有のにおいがある場所もあります。都会の排気ガスが苦手な人がいるように、田舎の煙やにおいが苦手な人もいます。慣れる人もいれば、どうしても無理な人もいる。ここは「好み」ではなく「体質」の問題にもなるので、もし移住を考えるなら、季節を変えて何回か滞在するのが大事です。夏と冬で世界が変わります。

学校の問題もあります。統廃合で学校が遠い、スクールバス、通学距離が長い。子どもにとっては体力がつく反面、親の送迎が大変になることもあります。部活動や習い事も、距離があると送迎が生活の中心になります。「田舎は時間がゆっくり」ではなく、「移動で時間が溶ける」という現象が起きやすいんです。

ここまで読むと、「田舎って、けっこうハードじゃない?」と思うかもしれません。はい、ハードな面はあります。だからこそ、田舎暮らしで大事なのは“気合”ではなく“設計”です。何を優先するか、どこまで関わるか、何を外注するか、どこで距離を取るか。そういう作戦がある人は、田舎でも楽しく暮らせます。

次の章では、ここまでの良いところ・悪いところを踏まえて、「向いている人」「向いていない人」を、性格診断みたいに分かりやすく整理します。田舎は、住む場所というより“暮らし方の選択”です。合えば最高、合わないと消耗。だからこそ、自分に合う形を見つけるのが一番の近道なんです。


第4章…向いてる人・向いてない人…移住は性格診断みたいなもの

ここまで読んで、「田舎、良いなぁ」と思った人もいれば、「うわ、ちょっと胃がキュッとなった…」という人もいるはずです。どっちも正常です。田舎暮らしは“正解の住まい”ではなく、“相性が出やすい住まい”なんです。都会みたいに便利さで押し切れる場面が少ない分、暮らし方そのものが前に出てきます。だから移住は、引っ越しというより性格診断。住んでみて「あ、私これ向いてるわ」となる人もいれば、「これは私のライフスタイルじゃない」と気づく人もいます。

向いている人の特徴は、一言で言うと「手動で暮らすのが嫌いじゃない人」です。田舎は距離があるので、用事はまとめて処理する発想が必要になります。買い物、通院、役所、子どもの送迎。いちいち行っていたら時間が溶けるので、段取りを組んで動ける人ほどストレスが減ります。逆に「思いついたらすぐ買いに行きたい」「気分で動きたい」という人は、最初のうちは不便さに負けやすい。これは能力というより、好みの話です。

それから、田舎は自然が近いので、環境の変化を「面倒」ではなく「季節のイベント」として受け止められる人が強いです。草が伸びる、虫が出る、雪が積もる、台風が来る。これを「もう無理だ」と感じるか、「はいはい来たね」と受け流せるかで、生活の疲れが変わります。もちろん誰でも大変な日はありますが、基本姿勢として“自然に勝とうとしない人”が向いています。勝とうとすると疲れます。自然は、だいたい勝ちます。

人間関係の距離感も大事です。田舎の交流は、合えばとても心強い。合わないととても消耗します。向いているのは「挨拶と会釈が出来る人」「相手の文化を否定せず、まず観察できる人」「必要な線引きを、柔らかく作れる人」です。ここ、すごく大事です。田舎は、断ることが苦手な人ほど苦しくなりやすい。だからといって強く突っぱねると角が立つ。つまり“柔らかい断り方”が必須スキルになります。

例えば、全部の行事に出る必要はありません。でも最初に少しだけ顔を出して、「すみません、仕事の都合で毎回は難しいんです。でも出来る範囲で協力しますね」と伝える。この一言で、空気が全然変わることがあります。田舎は“参加の量”より“姿勢”を見ている場面が多いんです。ゼロか100かで戦うより、2割でいいから誠実に関わる方がうまくいきます。

逆に、向いていない人はどういうタイプか。まず「プライバシーは完全に守られるべき」と強く感じる人は、田舎ではしんどくなる可能性があります。もちろん個人情報は守られるべきですが、田舎は距離感が近い地域があるので、会話のノリが都会より踏み込むことがあります。「悪気がない踏み込み」が苦手な人ほど疲れます。あと「何も言わなくても察して欲しい」タイプも要注意です。田舎は暗黙のルールが残っている場所もあるので、こちらが黙っていると「問題ない」と受け取られることがあります。困ったら、丁寧に言葉にする力が大切です。

もう1つ大きいのは、車に関する相性です。運転が苦手、車の維持費が負担、家族の送迎が重い。これが積み重なると、田舎の良さが全部かき消されます。だから「田舎に住む」より先に「移動の仕組みをどうするか」を決めた方が安全です。近所にバスがある地域もありますが、本数は少ないことが多いので、生活の中心になるのはやはり車です。ここを軽く考えると、後から苦しくなります。

そして、田舎暮らしを成功させる人が、ほぼ必ずやっている“現実的な工夫”があります。これは根性論ではありません。生活の設計です。

1つは「住む場所を段階的に選ぶ」こと。いきなり“本体の田舎”に飛び込むより、最初は役場やスーパーに近い地域、病院に行きやすい地域、冬の道路が強い地域など、生活基盤が整っている場所から始める。田舎の良さは、奥地に行かなくても味わえます。むしろ初心者は、ほどよい田舎が最強です。田舎の魅力を残しつつ、詰みポイントを減らせます。

2つめは「季節を変えて試す」こと。夏の田舎は天国でも、冬に雪が積もる地域は別世界です。虫が多い季節、花粉が飛ぶ季節、台風の季節。最低でも2回、出来れば春夏秋冬のどこかを跨いで滞在すると、“想像と現実の差”が見えます。ここを飛ばすと、引っ越し後に「え、こんなはずじゃ…」が起きやすい。

3つめは「お金の見えない部分を見る」こと。家が安いのは魅力ですが、修繕費、暖房費、車の維持費、除雪、草刈り、害獣対策。田舎は“住居費”が下がる代わりに、“生活維持費”が上がることがあります。ここを把握しておくと、後で慌てません。むしろ把握できていると、「あ、だからこの物件は安いのね」と冷静に判断できます。安さに心が踊る瞬間ほど、落ち着いて計算した方が良い。田舎は、踊った人から草刈り当番が回ってきます。

最後に、田舎暮らしで一番大事な考え方を置いておきます。田舎は“完璧に馴染む”必要はありません。自分の生活を守りつつ、地域の輪も尊重する。そのバランスが取れたとき、田舎はグッと住みやすくなります。都会か田舎か、勝ち負けではないんです。自分の性格、家族の状況、仕事、体調、将来の変化。これに合う場所を選ぶのが正解です。

次はいよいよまとめです。結局、田舎暮らしは何がポイントで、どう考えると失敗し難いのか。憧れを壊すのではなく、憧れを“暮らせる形”にするための結論を、スッキリまとめて締めます。

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まとめ…結論は田舎も都会も“自分の作戦”次第で天国にもなる

田舎暮らしは、憧れだけで突っ込むと「思ってたスローライフと違う!」になりやすい一方、現実を見た上で選ぶと、ちゃんと幸せに着地できる暮らし方です。第1章で見たように、田舎は「距離」と「手動」が基本仕様。第2章で見たように、その代わりに自然や季節、人の温度といった“生活の底力”が手に入る。第3章で見たように、噂や役割、インフラの弱さといった“田舎の癖”もある。第4章で見たように、それらは善悪ではなく相性で決まり、だからこそ移住は性格診断みたいになる――というのが、この記事の全体像でした。

ここで大事なのは、田舎が「正しい」でも、都会が「勝ち」でもないということです。都会には便利さがあり、田舎には濃い暮らしがある。どちらにも困りごとはあり、どちらにも工夫があります。都会は人が多いから疲れることがある。田舎は人が少ないのに距離や役割で疲れることがある。つまり、疲れ方が違うだけで、課題がゼロの場所はありません。だからこそ「田舎はユートピア」「都会は地獄」みたいな二択にしない方が、心が安定します。

そして、田舎暮らしブームについても、少しだけ現実の目線を入れておきましょう。田舎暮らしが話題になる背景には、働き方の変化や、暮らしの価値観の変化があります。一方で、自治体が移住を後押しするのも当然で、人口が増えれば地域は元気になります。だから情報としてはたくさん出てきます。でも、情報が多いほど大切なのは「自分の暮らしに合うか」を冷静に見ることです。雰囲気の良さだけで選ぶと、後で生活の段取りに追われます。逆に言えば、段取りを先に作れた人は、田舎の良さをちゃんと受け取れます。

田舎で定着できる人に共通しやすいのは、「輪と縁を大切にしつつ、無理はしない」という姿勢です。田舎は横の繋がりが暮らしのインフラになっている地域もあるので、完全に無関係でいると生活がしんどくなりやすい。反対に、全部を背負うと消耗します。だから、挨拶をする、出来る範囲で手伝う、断る時は丁寧に言葉にする。たったこれだけで、田舎はグッと住みやすくなります。伝統文化の付き合いが濃い地域もありますが、そこも「全部やる」ではなく「敬意を持って、可能な範囲で」。この中庸が、田舎での暮らしを守ってくれます。

もし田舎暮らしを具体的に考えるなら、最後に1つだけ、かなり効く考え方を置いておきます。田舎は“深さ”があるので、いきなり最深部に行かなくて良い、ということです。ほど良い田舎から始める。季節を変えて試す。医療や買い物の距離を確認する。車と通院の仕組みを先に決める。こうした小さな準備が、暮らしの難易度を大きく下げます。憧れを守るための準備、と言っても良いかもしれません。

結論です。田舎暮らしの良いところと悪いところは、表裏一体です。人が近いのは温かいし、近いからこそ息苦しいこともある。自然が近いのは癒しだし、近いからこそ備えが必要になる。距離があるのは不便だけど、距離があるから心が静まる時間も増える。つまり、田舎は“何を選び、どう暮らすか”がハッキリ結果に出る場所です。

だから、田舎に暮らしたいと思ったら、暮らしてみると良い。都会が良ければ都会で良い。大事なのは、どちらが正しいかではなく、あなたの生活がちゃんと回って、心が少しでも軽くなる方を選ぶことです。田舎は、上手く選べば、人生の呼吸が深くなる場所です。上手く選ばないと、草刈りで呼吸が浅くなる場所です。ええ、最後は草刈りに戻ります。でもそれも含めて、田舎は今日も元気に“暮らし”をやっています。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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