秋の台所に正体不明の食材がやって来た!~四方竹・マコモタケ・とんぶり・菱の実を味わう旅~
はじめに…秋のご馳走は有名どころだけではありません
秋の食卓と聞くと、新米、栗、きのこ、秋刀魚など、お馴染みの顔触れが浮かびます。ところが日本各地へ目を向けると、秋の味覚は千差万別。春ではなく秋に採れるタケノコ、名前に「タケ」が付くのに竹ではない野菜、ほうき草から生まれる小さな粒、池で育つ栗のような実まで待っています。
四方竹、マコモタケ、とんぶり、菱の実。名前だけを並べると、竹林と池とほうき置き場の合同会議です。これは本当に料理の話だろうかと、自分で確認したくなります。しかし、煮る、焼く、和える、炊き込むと、それぞれが土地の暮らしに根づいた立派なご馳走へ変わります。
知らない食材は、食卓を困らせるよそ者ではなく、季節の扉を少し広げてくれる招待客です。
食べたことのない味に出会う日は、いつもの台所が小さな旅先になります。百聞は一見にしかずと言いますが、食材の場合は「一口にしかず」かもしれません。秋の奥に隠れている四つの味を、ワクワクしながら訪ねてみましょう。
[広告]第1章…春まで待てないタケノコ?~四角い四方竹と土佐の秋料理~
竹林からタケノコが顔を出すのは、春の雨上がり。そんな季節の常識を横から軽く押しのけ、9月下旬から11月中旬頃に伸びてくるのが四方竹です。細長い姿を膝下ほどまで育て、土から掘り出すのではなく、根元をポキッと折って収穫します。切り口は定規で描いた正方形ではありませんが、丸みを帯びた四角形。その少し控えめな四角さに、「もっと堂々と四角くても良いのよ」と声を掛けたくなります。
四方竹は中国南部を故郷とし、明治10年頃に高知県南国市へ伝わったとされています。高知では秋の山の幸として育ち、茹で上げると若竹色に輝き、シャキシャキした歯応えと上品な苦味を見せます。春のタケノコより細身ですが、味わいは意気揚々。見た目の静けさとは裏腹に、噛んだ瞬間には秋の存在感がきちんと立ち上がります。
気になる栄養は、四方竹だけの公的な成分値ではなく、一般的な「茹でたタケノコ」を目安にすると分かりやすくなります。可食部100グラム当たり31キロカロリーで、たんぱく質は3.5グラム、食物繊維(消化されにくい植物由来の成分)は3.3グラム、カリウム(体内の水分バランスに関わるミネラル)は470ミリグラムです。脂質は0.2グラムなので、四方竹自体は軽やかな食材です。ただし、土佐煮で砂糖や味醂をたっぷり入れれば、鍋の中で話は変わります。食材は低カロリーでも、調味料まで忍者のように消えるわけではありません。
四方竹の美味しさは、豪華な味を足すことより、歯応えとほろ苦さを残すことで花開きます。
高知の代表料理は、だし、醤油、砂糖、味醂、酒で煮て、花かつおをまとわせる土佐煮です。水煮を軽く洗い、食べやすい長さに切って煮含めれば、家庭の小鍋にも秋の土佐がやって来ます。かつお節の旨味が細い筒の内側まで入り込み、ご飯の横に置いたはずが、いつの間にか箸が四方竹へ戻っています。試行錯誤する余地はありますが、最初は薄めに味を入れ、少し置いて馴染ませるくらいが似合います。
もう1つ目を引くのが、輪切りにして煮た四方竹の穴へ酢飯を詰める一口寿司です。タケノコが寿司飯を抱えている姿は、小さな竹筒弁当のよう。口へ運べば、酢飯のやわらかさと四方竹の歯応えが交互に現れます。穴があるなら詰めたくなる――その発想は、ちくわを見た時の日本人と少し似ています。
水煮なら、おでん、天ぷら、炊き込みご飯、中華丼のほか、カレーやシチューにも使えます。出汁を吸わせれば和風、油で炒めれば中華風、バターで焼けば洋風と変幻自在です。ただ、珍しい食材を前にすると全部試したくなりますが、初対面から鍋、揚げ物、カレーへ同時出演させると、四方竹も忙しいことでしょう。まずは土佐煮で素顔を知り、次の食卓で別の衣装を着せるくらいが、長く楽しめます。
中国でも方竹は秋に出る食用の竹として知られ、9月から11月頃の生鮮タケノコとして扱われています。中国南西部では重要な食用作物となり、乾燥させて保存性を高める研究も進んでいます。日本ではかつお節と出会って土佐煮になり、中国では秋のタケノコや加工食材として活躍する。同じ竹でも、土地の台所に入れば役柄が変わるのです。海を渡った食材が地域の味に染まり、郷土料理として根づいた歩みまで含めると、四方竹は四角いだけでは収まらない、実に味わい深い存在です。
第2章…タケでもキノコでもありません~水辺で育つマコモタケの正体~
スラリと伸びた緑色の皮を剥くと、乳白色の太い茎が現れます。名前はマコモタケ。売り場で初対面を果たしたら、「タケノコの親戚かな」「いや、キノコ売り場へ連れていくべきか?」と、少し迷うかもしれません。ところが正体はどちらでもなく、水辺で育つイネ科の植物「マコモ」の茎です。
その茎に黒穂菌(植物に寄生する菌の仲間)が入り込むと、根元に近い部分がふっくらと肥大します。菌と聞いて箸が一瞬止まりそうですが、膨らんだ白い部分こそが食用のマコモタケです。植物と菌が協力して野菜を作るとは、自然界もなかなかの共同経営。見た目だけでは分からない正体不明ぶりが、むしろ面白さを深めています。
生のマコモタケは、可食部100グラム当たり19キロカロリーです。水分は93.5グラム、たんぱく質は1.3グラム、脂質は0.2グラム、食物繊維(消化されにくい植物由来の成分)は2.3グラム、カリウム(体内の水分バランスに関わるミネラル)は240ミリグラム含まれます。葉酸(新しい細胞が作られる時に関わるビタミン)は43マイクログラムです。派手な高栄養食材というより、水分が多く、軽やかに食卓へ加えやすい秋野菜と見るのが似合います。
マコモタケは、栄養を山盛りに誇るより、食感と使いやすさで毎日の料理にスッと入り込む食材です。
味には強いクセがなく、生では瑞々しく、加熱するとやさしい甘味が増します。歯触りはタケノコとアスパラガスの間を歩いているようなシャキシャキ感。薄切りにしてサラダや酢の物へ入れれば軽快に、短冊切りにして豚肉やピーマンと炒めれば、ご飯が進むおかずになります。油との相性が良いため、天ぷらや素揚げも適材適所。衣の中に閉じ込められた甘味が、噛むたびにじんわり広がります。
初めて料理するなら、外側の硬い緑色の皮を剥き、白い部分を縦半分に切ってから、バター醤油で焼く方法が気軽です。表面へ焼き色が付いたところで火を止めれば、香ばしさと甘味の両方を楽しめます。炊き込みご飯、きんぴら、味噌汁、中華風の炒め物にも変幻自在ですが、加熱し過ぎると持ち味の歯応えが静かに退場します。「念のため、もう5分」が野菜料理のあるあるですが、親切心が少々働き過ぎる場面です。
選ぶ時は、皮につやがあり、根元の切り口が白く、みずみずしいものが目印です。時間がたつと「マコモズミ」と呼ばれる黒い斑点が現れることがあります。食べられないわけではありませんが、育ち過ぎると食感や風味が落ちるため、入手したら早めに味わいたいところです。乾燥を避けて冷蔵し、冷凍は食感が変わりやすいので、買った勢いのまま台所へ向かうのが良さそうです。
中国では「茭白(ジャオバイ)」と呼ばれ、とりわけ上海や浙江省、江蘇省など長江下流域で親しまれています。醤油で艶良く煮る料理、肉や他の野菜との炒め物、蒸して細く切り、醤油や胡麻油、ネギのタレで食べる料理などが定番です。味を吸いやすい淡泊な身質を生かし、肉に負けないほど満足感のある一皿へ仕立てることもあります。
さらに古代中国では、太った茎ではなく種子が穀物として扱われ、主要な穀物の1つに数えられた時代もありました。水辺の草が穀物になり、菌との出会いによって野菜としても愛される。マコモは、1つの役だけに収まらない働き者です。日本では天ぷらやきんぴら、中国では炒め物や醤油煮。国が変わっても、白い茎はその土地の味を素直に受け止め、秋の食卓でシャキッと胸を張っています。
[広告]第3章…ほうき草から畑のキャビアへ~とんぶりの小さな粒に隠れた楽しさ~
秋になると、ふんわり丸いコキアが緑から赤へ染まり、公園や庭をにぎやかに彩ります。眺める植物としてお馴染みですが、その実を手間暇かけて加工すると、秋田県の食材「とんぶり」になります。小さな粒を口へ入れるとプチプチとはじけ、魚卵に似た食感から付いた呼び名が「畑のキャビア」。植木だと思って見ていたものが、急にご飯の仲間として名乗り出るのですから、植物の経歴書は最後まで読まなければ分かりません。
とんぶりの大きさは1~2ミリほど。秋に収穫したホウキギの実を乾燥させ、茹でて水に浸し、何度も揉み洗いして薄い皮を取り除きます。さらに未熟な実や細かな茎を選り分けて、ようやく食べられる粒になります。スプーンで掬えば一瞬なのに、その一杯の後ろには粒粒辛苦。小粒だから簡単に出来るだろうと思った自分へ、「むしろ小さいから大変です」と、秋田の台所から静かなツッコミが飛んできそうです。
茹でたとんぶりは、可食部100グラム当たり89キロカロリーです。たんぱく質は6.1グラム、脂質は3.5グラム、食物繊維(消化されにくい植物由来の成分)は7.1グラム含まれています。他にも鉄は2.8ミリグラム、ビタミンE(細胞を酸化から守る働きに関わるビタミン)は4.6ミリグラム、葉酸(新しい細胞が作られる時に関わるビタミン)は100マイクログラムです。粒の小ささからは想像しにくい、なかなか充実した顔触れです。
ただし、とんぶりを一度に100グラム食べる場面は多くありません。長芋和えに35グラムほど使う料理なら、単純に計算したとんぶり分の熱量は約31キロカロリーです。栄養の数字を見て山盛りにするより、いつもの料理へ少し散らし、食感と彩りを楽しむ方が似合います。名脇役が突然どんぶり一杯で登場したら、流石に主役も戸惑います。
とんぶりが食卓へ運んでくれるのは濃い味ではなく、ひと口を楽しくする小さなリズムです。
秋田県で親しまれている食べ方は、千切りにした長芋と和え、醤油を少したらす素朴な一皿です。長芋のシャクシャク、粘り、とんぶりのプチプチが重なり、静かな見た目に反して口の中は随分と忙しくなります。冷ややっこや納豆、ご飯、おにぎりへ添える他、きゅうりやツナとの和え物にもよく合います。味に強いクセがないため、和風だけに居座らず、たらこパスタやサラダへ加えても千変万化。料理の味を奪わず、食感だけを一段持ち上げてくれます。
扱い方には、小さなコツがあります。市販品は商品表示を確かめた上で、水切りしてそのまま使えるものなら、料理の仕上げに加えるのが手軽です。長く煮たり、塩分の濃い調味料へ早くから漬けたりすると、粒の中の水分が変化し、持ち味のプチプチ感が弱くなる場合があります。炒め物へ使う時も、最後にサッと混ぜる程度で十分。念入りに火を通して安心したくなる気持ちは分かりますが、とんぶりからすれば「私、もう茹でられています」と言いたいところでしょう。
ホウキギはユーラシアに広く分布し、中国では「地膚」や「掃帚菜」などの名で知られています。一部の地域では、若い茎や葉を茹でてから炒め物、和え物、餡の具などに利用し、種から油を取ったり菓子へ使ったりする例もあります。日本のように、皮を取り除いた小さな実を「とんぶり」として日常の料理へ散らす文化とは、少し違う歩みです。
中国では成熟した果実を乾燥させたものが「地膚子」と呼ばれ、伝統的な薬用素材としても扱われています。食卓の飾りとして活躍する秋田と、若葉を野菜にしたり、果実を別の用途へ生かしたりする中国。同じ植物でも、国や土地が変わると任される仕事まで変わります。なお、薬用素材を家庭の判断で食べたり、野生のホウキギをとんぶりの代わりに採取したりするのは避け、市販の食品として加工されたものを楽しむのが安心です。
とんぶりは、これだけでお腹を満たす食材ではありません。それでも、豆腐の白、ご飯の白、長芋の白へ小さな緑の粒が加わると、見慣れた一皿が少しだけ新しい顔になります。食卓を変えるには、珍しいご馳走を丸ごと買わなくても良いのです。スプーン一杯のプチプチが、いつもの献立へ秋田から小気味良い足音を届けてくれます。
第4章…池に実る栗を見つけた!~菱の実の硬い殻とホクホク料理~
秋の池や沼を覗くと、水面にひし形の葉が重なるように浮かんでいます。その水中へ手を伸ばすと現れるのが、黒っぽい殻と鋭い角を持つ菱の実です。見た目は小さな忍者道具のようですが、硬い殻の中には白くてホクホクした実が隠れています。栗より少々武装が本気なだけで、中身はやさしい秋の味です。
ヒシは、流れの穏やかな池や沼で育つ一年草の水草です。佐賀県神埼市では、9月中旬から10月下旬頃、大人が一人乗れる「ハンギー」という大きなたらいを水面に浮かべ、手作業で実を摘み取ります。水田の稲刈りとは違い、収穫する人まで水に浮かぶ光景です。秋の実りは山や畑から届くものだと思っていたら、池からタライに乗って登場しました。
生の菱の実は、可食部100グラム当たり183キロカロリーです。たんぱく質は5.8グラム、脂質は0.5グラム、炭水化物は40.6グラム、食物繊維(消化されにくい植物由来の成分)は2.9グラム含まれます。カリウム(体内の水分バランスに関わるミネラル)は430ミリグラム、マグネシウムは84ミリグラム、ビタミンB1は0.42ミリグラム、葉酸は430マイクログラムです。殻などを除く廃棄率は50%なので、殻付きの重さの全部が食べられるわけではありません。
数字を見ると、瑞々しい野菜というより、でんぷんを多く含む栗や芋に近い立ち位置が見えてきます。少量でもホクホクして食べ応えがあり、脂質は控えめです。ただし、「水草だから軽いだろう」と菱の実ご飯を3杯食べれば、ご飯と実の炭水化物が仲良く行進します。美味しい行進は歓迎したいところですが、隊列の長さには少し気を配りたいですね。
菱の実は、池の景色を眺めるだけでは分からない、質実剛健な秋のご馳走です。
初めて味わうなら、よく洗った菱の実を殻付きのまま塩茹でし、少し冷ましてから殻を剥く方法が素直です。中の白い実は、栗とレンコンの間を思わせるような、ほのかな甘味とほっくりした歯触り。殻には硬い角があるため、素手と包丁で正面対決せず、厚手の布、キッチンバサミ、殻割り器などを使って慎重に開きます。食べ物との初対面で指まで秋色にする必要はありません。
茹でた実は、そのままおやつにしてもよく、塩を少し振るだけで風味が引き立ちます。薄く切って天ぷらにすれば外は軽く、中はほっくり。鶏肉やきのこと煮れば、出汁を吸った煮物になります。茶碗蒸しへ入れると、銀杏だと思って口にした人が一瞬だけ考え込みます。「君は誰だ?」と聞かれても、菱の実は黙ってホクホクしているでしょう。
秋らしさを丸ごと楽しむなら、菱の実ご飯が似合います。茹でて殻を剥いた実を食べやすく切り、米、出汁、薄口醤油、酒と一緒に炊きます。味付けを濃くし過ぎない方が、実の甘味と新米の香りがほどよく重なります。鶏肉や油揚げを足せば満足感のある炊き込みご飯になりますが、最初の一膳は具を控えめにして、池から届いた味を探すのも一期一会です。
佐賀県神埼市では、菱の実を焼酎へ加工する他、硬い外皮まで菓子の材料として活用しています。食べにくそうな殻を捨てて終わらせず、地域の特産品へ育てているところに、暮らしの知恵が光ります。実はおやつや料理、殻は別の食品へ、水面の風景は秋の観光資源へ。小さな菱が、地域の中でいくつもの役目を担っています。
海の向こうでは、台湾南部の台南市官田区が菱角の大きな産地として知られています。収穫の最盛期は9月から10月頃で、秋には採れたての菱角や、様々な菱角料理を楽しむ催しも開かれます。日本では静かなクリークの秋仕事、台湾では地域を彩る食の祭り。同じ水草の実が、場所によって違うにぎわいを生み出しています。
中国の江南地方でも、菱角は夏から秋に出回る季節の味です。若い実の甘さや、熟した実を茹でた香りを楽しむ暮らしが語られています。ただ、水生植物には寄生虫などが付く可能性があるため、野生の実を拾って生のまま口へ運ぶのは避け、食品として流通しているものを十分に洗って加熱する方が安心です。「池にあったから天然のおやつだ」と直行するには、殻も衛生面も少々手強い相手です。
菱の実は、スーパーで毎週会える食材ではありません。それでも、見つけた日に塩茹でし、ご飯へ炊き込み、家族で硬い殻を眺めれば、その食卓には味だけでなく小さな発見が残ります。秋のご馳走は、山から落ちる栗だけではありません。静かな水面の下でも、ホクホクした実りが出番を待っています。
[広告]まとめ…知らない食材が秋の食卓をもう少し広くしてくれる
四方竹は秋に伸びる細身のタケノコ、マコモタケは水辺の植物と菌が育てる白い茎、とんぶりはほうき草から生まれる小さな粒、菱の実は硬い殻に守られた池のご馳走でした。四者四様の姿をしていますが、どれも土地の人が旬を見つけ、手間を惜しまず、食べやすい形へ育ててきた味です。
珍しい食材は、立派な郷土料理を完全に再現しなければ楽しめないものではありません。水煮や食品として加工されたものを使い、煮物、炒め物、和え物、ご飯料理へ少し加えるだけでも十分です。知らない名前を見て棚へ静かに戻した経験は誰にでもありそうですが、次に出会った時は「これは例の池の栗だな」と、買い物カゴへ迎えられるかもしれません。
4種類が揃った日には、「秋の四宝あんかけ丼」にすると一皿で楽しめます。2人分なら、下茹でした四方竹と皮をむいたマコモタケを各50グラム、茹でて殻を剥いた菱の実を6~8個ほど用意し、食べやすい大きさに切ります。少量の油でマコモタケを炒め、四方竹と菱の実を加えたら、だし150ミリリットル、醤油と味醂を各大さじ1ほど入れて軽く煮ます。水溶き片栗粉でトロミを付け、ご飯へかけ、最後にとんぶりを大さじ2ほど散らせば完成です。
シャキシャキした四方竹、ほのかに甘いマコモタケ、ホクホクした菱の実、仕上げでプチプチ弾けるとんぶり。全部を鍋へ早々に投入したくなりますが、とんぶりだけは最後までベンチで待機です。先発させると持ち味の食感が薄れ、「畑のキャビア、どこへ行った?」という小さな捜索が始まります。
味付けは和風ですが、胡麻油を使えば中華風、バターとコンソメなら洋風にも変えられます。和洋折衷を難しく考えず、4種類の歯触りを楽しむ一皿と考えれば、家庭の台所にも無理なく収まります。
知らない味を1つ迎えるだけで、いつもの食卓は少し遠くまで旅をします。
全てを一度に揃えられなくても構いません。まずは見つけた一種類を手に取り、茹でたり焼いたりしながら、その土地の秋を想像してみる。旬の食材を知る楽しさは、お腹を満たすだけでなく、毎日の景色を少し広げてくれるところにもあります。次の秋、売り場の隅に見慣れない食材がいたら、それは台所へ届いた小さな旅のお誘いかもしれません。
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