介護施設のおむつ交換!~匂いも苦情も減らす頻度・やり方・心遣いの教科書~
目次
はじめに…おむつは小さな主役、現場は大舞台
介護施設のおむつ交換って、いざ話題にすると「頻度が大事だよね」で終わりがちなんですが、現場はそんなに単純じゃありません。人手は足りない、時間は足りない、でも利用者さんの快適さは落としたくない。しかも、おむつは毎日ずっと使う消耗品で、ちょっとした判断が「部屋の空気」から「肌の調子」まで全部に影響してきます。小さな紙の世界なのに、現場のドラマが全部詰まっているんですよね。
そして、ここが施設ならではのポイント。ご家庭と違って、施設は同じ種類のおむつを大量に扱います。つまり「上手いやり方」が一度定まると、チーム全員の手際が揃って、時間も手戻りもグッと減らせる可能性がある。逆に、やり方がバラバラだと、同じ物を使っているのに毎回どこかでズレて、漏れて、着替えが増えて、結果的に忙しさが増える。おむつって、サボった分だけ未来の自分に請求書を回してくる、ちょっと怖い道具でもあります。
今回の記事では、「頻度はどれくらいが現実的?」「どう当てるとズレにくい?」「何に気をつけると肌トラブルや臭気を減らせる?」という基本を、現場目線で整理していきます。さらに、施設でありがちな“コストの話”にも一歩だけ踏み込みます。お金の話は下世話に見えがちですが、実はここ、利用者さんの快適さや家族の安心感にも繋がる大事な論点なんです。
堅い話ばかりだと読んでいる側もおむつみたいに重たくなるので、ところどころ笑いも挟みつつ進めます。今日の合言葉はこれです。「薄く、ズレず、肌を守り、あとで泣かない」。よし、参りましょう。
[広告]第1章…回数を減らすと空気が語りだす—頻度の落とし穴
おむつ交換の「頻度」は、介護の現場で一番揉めやすいテーマです。何故かというと、正解が1つじゃないから。利用者さんの体の状態、飲水量、薬、腎臓や心臓の具合、トイレ誘導の有無、体動の多さ、夜間の睡眠の深さ、そして施設の人員体制まで、全部が絡んできます。つまり頻度は“回数”ではなく“設計”なんですね。設計を間違えると、空気が語りだします。そう、あの独特の「ここは…戦場だったのだな…」みたいな匂いが。
ここで大前提として押さえておきたいのは、排泄は我慢できるものじゃない、ということです。一般的に排尿は1日でだいたい数回から多い方で10回近く、排便は1日1回前後の方が多いですが、便秘薬や下剤、抗生剤、経管栄養、感染性胃腸炎などが絡むと、状況は一気に変わります。つまり「いつもこの時間に交換してるから大丈夫」は、だいたい大丈夫じゃない。おむつの中は、予定表を読んでくれません。
匂い対策を増やすほど交換頻度のサインが見える
交換回数が足りなくなると、現場で起きるのは“匂い”だけじゃありません。換気を増やす、消臭剤を増やす、芳香剤を置く、という「空気の後処理」が増えます。これ、やってはいけないという話ではなくて、増えた瞬間に気づいて欲しいんです。「今、交換頻度か当て方のどこかがズレているな」と。
匂いって、実はとても正直です。漏れていないのに臭うなら、長時間のムレと皮膚の状態が悪化しているサインかもしれない。漏れて臭うなら、当て方かサイズ選びか吸収量の見立てがズレている可能性が高い。匂いが強いと、本人も周囲も落ち着かなくなりますし、居室が“生活の場”から“処理の場”に見えてしまう瞬間がある。ここは、精神的な快適さにも直結する大切なポイントです。
厚くすれば安心というのは逆に危ない理由
忙しいと「パッドを足して吸収量を増やせば交換回数が減る」という発想に寄りがちです。もちろん、状況によっては必要です。ただし、歩ける方、立てる方、移乗が出来る方には、厚みが増えるほどデメリットが増えます。股下の違和感は姿勢を変え、歩幅を変え、すり足を増やし、転倒の危険を押し上げます。排尿後は重みがぶら下がるように感じられて、動きづらさがさらに増える。本人が「何か変だな」と思って手を入れてズラすことも増えます。すると、漏れやすくなる。結果として着替えが増えて、交換も増えて、忙しさが増える。おむつは不思議です、足したはずなのに仕事が増えることがある。
それにもう1つ、声に出し難い現実があります。厚いおむつやパンパンになったおむつは、本人にとって“動きづらさ”を生みます。これは、意図せず行動を制限してしまう形になり得ます。もちろん、おむつを使うこと自体が悪いわけではありません。けれど、「回数を減らすための厚み」や「交換が間に合わず結果としてパンパン」になった状態は、本人の自由を削ってしまうことがある。ここは現場の人こそ、一度、自分で体験してみると理解が早いです。いわゆる紙おむつ一式をつけて、パッドを足して、階段を少し上り下りしてみる。そこで初めて「これは…確かに動き難い」と腑に落ちます。
“頻度”は回数より「観察のリズム」で決まる
じゃあ、どう考えればいいのか。コツは、交換回数を増やすか減らすかの二択ではなく、「観察のリズム」を作ることです。例えば、食事や水分のタイミング、服薬のタイミング、入浴の前後、就寝前、起床後。生活の節目に合わせて確認を入れると、本人の負担も少なく、職員の動きも組みやすくなります。ここが“設計”です。
夜間も同じで、ただ起こして交換すれば良い、ではありません。睡眠が浅い方を何度も起こすと、せっかくの休息が壊れて翌日の体調が崩れます。逆に、ムレや皮膚トラブルが出やすい方を放置すると、それはそれで別の地獄の始まりです。だから夜間は「起こさない優しさ」と「守るための確認」のバランスを取る。現場の腕の見せどころですね。まさに、夜勤は“静かな武闘派”です。
理想は「薄く間に合わせる」て現実は「薄く外さない」
頻度の話をまとめると、狙いたい方向性はこの2つです。なるべく薄くして動きやすさを守りつつ、漏れて手間が増えないように間に合わせる。そして、間に合わせるために必要なのは、回数を増やすというより「ズレを減らす」「観察を整える」「その人のパターンを掴む」こと。ここが整うと、交換が“追いかけっこ”から“段取り”に変わります。
おむつ交換は、雑にやると地味に地獄。丁寧にやると、地味に天国。違いは派手ではないのに、毎日の積み重ねで大差がつきます。さあ、次の章では、ズレない当て方と段取りの話に進みます。テープが迷子にならない世界へ、一緒に行きましょう。
第2章…テープは迷子になる~ズレない当て方の段取り術~
おむつ交換の「やり方」は、結論から言うと“器用さ”より“段取り”です。ベテランが速いのは手先が魔法だからではなく、頭の中の手順が決まっていて、ムダな動きがほぼ無いから。新人さんが時間を使うのも、能力不足というより「次に何をするか」が毎回その場で発生してしまうからなんです。おむつ交換は、慣れれば慣れるほど料理に似てきます。材料を切ってから火をつける人は落ち着いている、火をつけてから材料を探す人は焦る。おむつも同じで、焦るとテープが迷子になります。
そして施設ならではの強みは、同じ商品を大量に扱うこと。つまり、やり方が揃うとチームの速度が上がり、漏れが減り、着替えが減り、肌トラブルも減りやすくなります。逆に、同じ物を使っているのにやり方がバラバラだと、誰かの当て方の癖が“ズレ”として現れて、次の職員が後処理を背負う形になります。おむつ交換は、地味にリレー競技です。バトンが湿っていると、次の走者が泣きます。
まずは「準備」で半分勝っている
交換の上手さは、肌に触る前に決まります。手袋、清拭用品、保湿、必要なら皮膚保護材、交換後の衣類、汚物の処理袋。これらが「手の届く位置に揃っている」だけで、交換の質とスピードは別物になります。途中で物を取りに行くと、その間に本人が冷える、体勢が崩れる、汚れが広がる、ベッドが汚れる、という“連鎖”が起きやすい。おむつ交換は、1つのミスが次のミスを呼びます。だから準備は、未来の自分を助ける貯金です。
ここで施設におすすめの小ワザが1つ。おむつは購入時にコンパクトに畳まれていますが、現場では「扱いやすい畳み」に予め整えておくと強いです。全員が同じ畳み、同じ向きで取り出せるようにするだけで、あの一瞬のモタつきが消えます。地味だけど、1日に何十回も積み上がると大差になります。
中心線とサイドガードを守ると漏れが減る
ズレない当て方のコツは、派手な技ではなく2点です。体の中心とおむつの中心を合わせること、そしてサイドガードをきちんと立てること。ここが曖昧だと、前後左右にズレて、最終的に漏れます。漏れたら着替えが増えて、シーツ交換も増えて、結局、交換回数を減らしたいはずが仕事が増えます。おむつは嘘をつきません。ズレた分だけ、必ず何かが起きます。
あと、テープの止め方も「左右対称に近い形」を意識すると安定します。片側だけ強く引っ張ると中心がズレますし、きつ過ぎると皮膚トラブルや不快感が増えます。緩過ぎれば漏れます。ここは“締める”より“フィットさせる”が正解です。料理で言うなら、ラップをギュウギュウに押し付けるのではなく、空気を抜きつつ形に沿わせる感じ。あれです、あれ。伝わってほしい。
パッドを足すときは「量」より「形」を見る
パッドを追加する場面は確かにあります。ただし大切なのは枚数より“置き方”です。中心に固まりが出来ると股下が厚くなり、本人の動きが邪魔されます。さらに、尿が左右に流れず一箇所に溜まりやすくなり、結果として漏れやすくなることもあります。吸収量を増やしたいなら、ただ足すのではなく、尿の流れを想像して、広がるように配置する。これだけでも「足したのに漏れる」という悲劇が減ります。
歩ける方の場合は特に、厚みが増え過ぎると歩行が不安定になりやすいので、パッドの追加は慎重に。交換回数を減らすための工夫が、転倒の火種になったら本末転倒です。おむつが原因で“歩く気持ち”まで削ってしまうのも、かなりつらい話です。
立位が取れる人は「立位交換」で世界が変わる
寝たきりの方には向きませんが、立位が取れる方の場合、短時間での交換が出来る方法があります。本人に少し立ってもらい、背中側から膝を入れて座ってもらう形で、素早く交換するやり方です。全部をこれにするのではなく、皮膚の観察や陰部洗浄が必要な回は丁寧に行い、状態が落ち着いている回は負担の少ない短時間交換にする。こういう“使い分け”が出来ると、本人の疲れも減り、職員の腰も守れます。
ここで誤解されやすいのが、速さと雑さの違いです。速い=雑、ではありません。速い人ほど、触れる回数が少なく、体勢を崩さず、冷やさず、汚さずに終わります。つまり、速さは優しさになり得る。これは現場の美学ですね。テープを貼る手が早い人は、だいたい心も手早いです。優しさの反射神経が良い。
個別対応が必要な人ほど「共通ルール」が効く
尿道留置カテーテルの方、拘縮のある方、掻痒感でずらしてしまう方、皮膚トラブルが出やすい方。こういう“工夫が必要な方”がいるほど、逆にチームの共通ルールが大事になります。共通部分が揃っていれば、個別の工夫も共有しやすいし、引き継ぎも早い。誰かの職人技に頼り過ぎると、その人が休んだ日に現場が揺れます。施設の強さは、個人技よりチーム技です。
おむつ交換の「やり方」は、結局、漏れを減らす技術というより、本人の生活を安定させる技術です。次の章では、肌の赤みや痒み、ムレ、感染、そういう“見逃すと痛い”留意点を、もう少し踏み込んでいきます。肌は正直ですからね。嘘をつくのはテープじゃなくて、人間の記憶の方です。
第3章…肌は正直、赤みは叫ぶ—観察とケアのチェックポイント
おむつ交換の留意点を一言で言うなら、「肌は黙ってない」です。利用者さんは遠慮して「大丈夫」と言うこともありますし、認知症の方はうまく言葉に出来ないこともあります。でも皮膚だけは、正直に“通知”を出します。赤み、ブツブツ、爛れ、痒み、痛み、熱っぽさ、独特の匂い。これらは全部、「今のままだと困るよ」というサインです。しかもサインは、放っておくと大きな旗になります。旗が立つと、ケアは一気に重くなります。つまり、軽いサインのうちに気づくほど、現場も本人もラクになります。
ここでのコツは、交換のたびに“じっくり観察”を頑張ることではありません。忙しい現場で、毎回じっくりは無理です。だからこそ、「見るべきポイントを決めて、短く確実に見る」ことが大事になります。短い時間で当たりを付ける。現場のプロは、だいたいこの“目”が強いです。
赤みは「場所」と「消える速さ」で見分ける
まず赤み。赤い=すぐ危険、ではありません。大事なのは、赤みがどこに出ているか、そして体勢を変えた後に引いていくかどうかです。骨が当たる場所、例えば仙骨や尾骶骨、踵、股関節の出っ張りなどに、押されたような赤みがあり、体位変換や除圧をしても赤みがなかなか引かないときは要注意です。目安として、圧が抜けても赤みが続く感じがあるなら、早めに記録と共有をして、ケアの見直しに繋げた方が安心です。
一方で、おむつの中のムレや尿・便による刺激で出る赤みは、広がり方や場所が違います。太腿の付け根、陰部周辺、お尻全体に“面”で広がることが多く、ヒリヒリ感や痒みを伴いやすい。ここで怖いのは、「便が少し付いた」「ちょっと濡れた」が積み重なって、皮膚がふやけて弱くなり、拭くたびにさらに傷つく流れです。赤みは、本人のせいでも職員のせいでもなく、条件が揃うと起きる“自然現象”みたいなもの。だからこそ、条件を減らすことが大切です。
洗い過ぎ・拭き過ぎが肌をいじめることもある
清潔は大事。でも、清潔のやり方が強過ぎると、肌には逆効果になることがあります。特に「濡れたらゴシゴシ」が危険です。皮膚がふやけている状態は、スポンジケーキみたいに弱い。そこを強く擦ると、表面が剥がれて“爛れ”に繋がります。職員側としては一生懸命なのに、肌側からすると「今日も磨かれた…」みたいな悲鳴が出る。悲しいすれ違いですね。
ポイントは、落とすことと守ることをセットにすることです。汚れは優しく落とし、しっかり乾かし、必要に応じて保湿や皮膚保護をする。乾かす時も、タオルで擦るより“押さえる”感覚が肌には優しいです。保湿も、ベタベタに塗れば良いわけではなく、薄く均一に。塗り過ぎると逆にムレの原因になることもありますから、肌の状態に合わせて加減します。
そしてもう1つ現場あるある。テープの貼り直しを何度もすると、粘着力が無くなってグチャグチャになって皮膚が荒れる原因にもなります。だから第2章の「段取り」がここでも効くんです。迷わず1回で決める。テープの迷子は、肌にもストレスです。
便が絡むと難易度が跳ね上がるので優先順位を上げる
尿だけより、便が絡むと皮膚トラブルのリスクは一気に上がります。便には刺激になる成分もありますし、緩い便だと皮膚に広がりやすい。ここは遠慮なく優先順位を上げて良いところです。便が付着していたら、早めの交換と丁寧な処置が、その日の皮膚を守ります。
また、下痢が続く時は、単におむつの問題ではなく体調の問題が隠れていることもあります。食事や水分、薬の影響、感染症の可能性など、情報をチームで共有して、必要なら看護や主治医へ繋ぐ判断が重要です。おむつ交換は“生活のケア”でありながら、“体調の見張り番”でもあります。地味だけど責任重大。まさに縁の下の警備員です。
尊厳を守ると協力が増えて結果的に速くなる
留意点は肌だけではありません。本人の気持ち、プライバシー、恥ずかしさへの配慮が、実は作業効率にも直結します。声掛けがなく急に触られると、人は身構えます。身構えると筋肉が固くなり、体勢が取りづらくなり、交換が難しくなる。つまり、丁寧な声掛けは遠回りに見えて近道です。
カーテンやドアの配慮、露出を最小限にする工夫、寒くならないようにする気配り。こういう積み重ねが「この人には任せられる」という安心感になって、協力が得やすくなります。協力が得られると、交換は早く、静かに、綺麗に終わります。技術だけで勝とうとすると疲れますが、信頼を味方にすると強い。これは現場の真理です。
おむつ交換は、ただの作業じゃなくて“観察と予防のチャンス”です。赤みが小さいうちに気づけるか、拭き方を優しくできるか、便が続いた時に「何かあるかも」と立ち止まれるか。ここが整うと、次の章で触れる「施設としての姿勢」まで、自然と良い方向へ繋がっていきます。次は、安さの裏にあるドラマと、利用者さんと家族の安心に繋がる“やさしい商い”の話へ進みましょう。
第4章…安さの裏にドラマあり~おむつ費用と“優しい商い”の作法~
さて、ここまで「頻度」「当て方」「肌の観察」と、現場の腕前を磨く話をしてきましたが、ここで一度、視線を少しだけ引いてみます。施設のおむつ交換は、現場の努力だけで成立しているようで、実は“仕入れ”と“運用”という土台ががっちり関係しています。言ってしまえば、おむつは毎日使う消耗品であり、同時に施設運営の大きな歯車です。歯車が噛み合うと現場は静かに回り、噛み合わないと音が鳴ります。そう、あの「えっ、またこれですか?」という職員の心の音が。
施設では、同じ商品を大量に扱うことが多いので、一般のご家庭と比べて1枚あたりの価格はかなり抑えられます。販売側から見れば、1施設と契約すると年間で相当な枚数が動きますから、単価を下げても継続的な取引として成立しやすい。ここは、現場で働く人ほど「そうだよね」と頷くところかもしれません。問題は、その“抑えられたはずのコスト”が、どんな形で利用者さんと家族に戻っているか、という点です。
おむつが施設の「空気感」を作ってしまうことがある
おむつの運用は、施設の空気感に直結します。例えば、現場が薄くフィットさせて交換しやすい製品が揃っていると、職員の手戻りが減り、肌トラブルも減り、結果として介護の時間が「処理」から「生活」に戻ってきます。逆に、扱い難い製品が混ざる、サイズが合っていない、交換に向かない運用ルールがある、こうなると現場は漏れ対応と着替え対応に追われます。忙しさが増えると、声掛けの余裕が減り、尊厳を守るための一手が削られやすくなる。つまり、仕入れと運用は、ただの経費の話ではなく、ケアの質の話でもあるんです。
ここで誤解しやすいのが「安い=悪い」「高い=良い」という単純な図式のところです。実際は、安くても現場に合っていれば優秀ですし、高くても合わなければトラブルの種になります。大切なのは、利用者さんの状態と施設のケアの流れに合っているかどうかです。おむつは、“銘柄で選ぶ”というより“現場との相性で選ぶ”が現実的です。
家族が敏感に感じ取るのは「値段」より「姿勢」
そしてもう1つ、ここが施設の信頼に関わる話です。おむつを施設内で販売する場面があるとして、その時、家族が敏感に見ているのは、意外と値札そのものだけじゃありません。「この施設は、家族の事情を分かってくれているか」「福祉の場としての顔を忘れていないか」。ここです。例えば、説明が丁寧で、必要な量や選び方が分かりやすく、押し売りがなく、相談しやすい雰囲気がある。それだけで、家族の不安は減ります。
反対に、利益だけが前に出ると、家族は不思議なくらい早く気づきます。「やたらセットが多い」「必要以上に高品質なものを勧められる」「断りづらい空気がある」。こういう“空気”は、ジワジワ信頼を削ります。福祉の場は、生活の基盤に近い場所なので、いったん違和感が出ると長く残りやすいんですね。
だからこそ、施設として強いのは“優しい商い”です。必要な人に必要な物が届くように整え、説明と選択肢を用意し、無理のない範囲で続けやすい形にする。結局これが、遠回りに見えて一番堅実に支持されます。おむつは消耗品で、使うほど減り、失敗すれば廃棄になります。だからこそ、家族にとって「続けられる」「納得できる」ことが大切なんです。
現場の工夫を“共有できる仕組み”が、施設の強さになる
ここで、提案を1つ。施設内でおむつの扱いが統一されると強い、という話を第2章でしましたが、それを仕組みに落とすとさらに良いです。例えば、同じ製品を使うなら「当て方の基準」が共有されているだけで漏れが減ります。中心線の合わせ方、サイドガードの立て方、テープの止め位置の目安、パッドを追加する時の考え方。これらを“誰でも同じように”出来るようにしておく。すると、誰かの職人技に頼らず、チームとして安定します。
ここは大袈裟なマニュアルがなくても大丈夫です。大切なのは「新しく入った人が迷子にならない」こと。迷子になるとテープも迷子になるので、結果としてシーツが泣きます。シーツが泣くと洗濯室も泣きます。泣く人が増えると、施設の空気が湿ります。つまり、標準化は除湿器みたいなものです。目立たないけど効く。
地域に“頼れる場所”として残るために
おむつの話は、ときどき軽く扱われがちですが、実は地域の生活を支える根っこの部分でもあります。いずれ家で介護をするかもしれない家族、これから親の介護が始まる人、既に在宅で奮闘している人。そういう人たちにとって、施設が「相談できる」「聞いてくれる」「現実的な提案をくれる」場所であることは大きな安心になります。
施設が物を売るかどうか、どんな形で案内するかは各方針があります。ただ、どの形であっても、福祉の場としての“姿勢”が伝わると、地域の人はちゃんと覚えてくれます。派手な宣伝より、誠実な対応の方が記憶に残る。これは介護の世界が長い人ほど実感があるはずです。
おむつは、毎日使うものです。毎日使うものは、毎日人を助けることも、毎日人を疲れさせることもできます。だからこそ、現場の工夫だけでなく、運用や姿勢も含めて整えていくと、施設の強さはじわじわ育っていきます。次はいよいよ最後、まとめで「頻度・やり方・留意点」を一本の線にして締めましょう。
[広告]まとめ…今日も静かに英雄たちがテープを貼っている
介護施設のおむつ交換は、パッと見は「ただ交換しているだけ」に見えるかもしれません。けれど実際は、頻度の設計があって、当て方の段取りがあって、肌の観察と予防があって、さらに施設運用の姿勢まで繋がっている、なかなか壮大な世界です。小さな紙の道具なのに、現場の忙しさも、利用者さんの快適さも、家族の安心感も、全部巻き込んでくる。おむつって、静かに存在感が強いんですよね。まるで名脇役…いや、たまに主演です。
第1章では、交換の回数だけを追いかけると、結局「漏れ」「臭い」「着替え」「シーツ交換」といった未来の請求書が回ってくる、という話をしました。回数を減らす工夫は悪ではありませんが、厚みを増し過ぎると歩行や動作を邪魔して、転倒の火種にもなり得ます。狙いたいのは、薄くして動きやすさを守りつつ、間に合わせるように観察のリズムを整えること。回数という数字よりも、生活の節目に合わせた確認の流れが大切でした。
第2章では、やり方は器用さではなく段取りだ、という話をしました。準備を整え、中心線を合わせ、サイドガードを立て、テープは迷子にしない。これだけで漏れの確率が下がり、結果として二度手間や三度手間が減ります。施設の強みは同じ商品を継続して扱えることなので、やり方が揃えば揃うほどチームが強くなる。おむつ交換は、地味なリレー競技でしたね。バトンは乾いている方が良い。これは真理です。
第3章では、皮膚は正直だ、という話をしました。赤みやただれは“通知”で、見逃すほど処置が重くなります。忙しいからこそ、短い時間で見るべきポイントを決めて、確実に見る。洗い過ぎ・拭き過ぎが肌をいじめることもあるので、落とすと守るをセットにして、優しく・乾かして・必要なら保護する。便が絡むと難易度が跳ね上がるので、そこは優先順位を上げて良い。さらに、声掛けやプライバシーの配慮は、遠回りに見えて交換をスムーズにする近道でもありました。尊厳を守ると協力が増えて、結果として速くなる。現場って奥が深いんです。
第4章では、施設のおむつ運用が“空気感”を作る、という話をしました。安い高いではなく相性が大事で、現場の手戻りが減る選び方や運用が出来ると、ケアの時間が「処理」から「生活」に戻ってきます。家族が見ているのも値札そのものより姿勢で、無理のない案内、相談しやすさ、押しつけない雰囲気が信頼に繋がる。優しい商いは派手ではないけれど、地域の記憶に残りやすい。結局、一番堅実に強いのはそこでした。
おむつ交換は、派手な拍手が起きる仕事ではありません。でも、誰かがちゃんとやっているから、利用者さんは眠れます。誰かが丁寧に見ているから、赤みが大事にならずに済みます。誰かが段取りを整えているから、現場が少しだけ静かになります。つまり、今日も静かに英雄たちがテープを貼っているわけです。たぶん本人は英雄だと思っていません。そこがまた、格好良い。
最後に1つだけ、現場の皆さんへ小さな提案を置いておきます。もし「最近、漏れ対応が増えた」「匂い対策が増えた」「肌トラブルが続く」と感じたら、誰かの頑張りが足りないのではなく、仕組みが少しズレているサインかもしれません。交換頻度、当て方、観察、運用。どれか1つを少し整えるだけで、現場は驚くほどラクになることがあります。おむつの世界は地味ですが、改善の伸び代は割りと派手です。
さあ、明日もテープは迷子にしない方向でいきましょう。迷子になって良いのは、施設の猫だけです。
今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m
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