勤労感謝の日ってなぁに?~「作る」「分かち合う」「ありがとう」の日~

目次
はじめに…君の一日にも潜むお仕事を見つけよう
11月23日は「勤労感謝の日」。今日の朝ご飯のお茶碗、ランドセルの金具、床を走る小さな埃取りまで、よく見ると誰かの工夫と手間がギュッと詰まっています。目には見えないけれど、家や街のあちこちで、たくさんの「お仕事」が静かに動いているのです。
この日は、難しい言い方をすると「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」日。もっとやさしく言えば、「作った人を褒めて、出来上がった物を皆で喜び、『ありがとう』を伝える」日です。だから「誰か偉い人を讃える日」ではなく、私達一人ひとりが関わる小さな働きにも光を当てる日、と考えてみましょう。
例えば、コップの水。水道まで運ぶ人、綺麗にする人、パイプを直す人、コップを焼く人、箱に詰める人、店に並べる人、家まで持ってくる人。そして「いただきます」と飲むあなた。短い物語の中に、登場人物がいっぱいいることに気づくと、自然と「ありがとう」が口からこぼれてきます。
この記事では、昔の収穫のお祭りから今の「勤労感謝の日」へとつながるお話を辿りながら、子どもにも伝えやすい合言葉「作る・分かち合う・ありがとう」を合図に、今日一日の中でできる体験をそっと置いていきます。お家でも、園や学校でも、施設でも、読み終わったらすぐに試せる小さな行動が待っています。
言葉だけの「ありがとう」で終わらせず、手と心を少しだけ動かしてみる。そんな温度のある一日を、いっしょに始めましょう。
[広告]第1章…昔の収穫のお祭りから今の勤労感謝の日へ~食べ物とお仕事の繋がり~
新嘗祭って何?
昔の日本では、秋に獲れたお米や野菜を神様に捧げて、今年も実りましたとお礼を伝えるお祭りがありました。これが「新嘗祭(にいなめさい)」。田んぼの匂いが残る季節に、皆で実りを喜ぶ日だったのです。お茶碗一杯のご飯にも、田を耕す人、苗を育てる人、水を見守る人、収穫して運ぶ人……たくさんの働きが重なっていることを、自然に感じ取る行事でした。
どうして同じ日なの?
やがて社会の形が変わっても、秋に実りへ感謝する気持ちは変わりませんでした。そこで、11月23日という日付はそのままに、1948年(昭和23年)に「勤労感謝の日」という名前の祝日が生まれます。難しい言い方では「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝しあう」。つまり、畑だけでなく、工場やお店、学校や家庭の中まで、あらゆる「働く」を大切にしよう、という合図に姿を変えたのです。
今の暮らしにどうつながる?
例えば、朝の食パン一枚。小麦を育てる人、粉に挽く人、捏ねて焼く人、袋に入れて運ぶ人、棚に並べる人、レジで「おはようございます」と笑う人。そしてテーブルで「いただきます」と頬張るあなた。昔の収穫祭が教えてくれた「つながりへの感謝」は、今、台所から通学路、職場のデスクまで、生活のどこにでも見つかります。
子どもに伝えるならどんな言葉?
「今日のご飯も、誰かの手から来たプレゼントだね」と声に出してみます。歴史の話を難しく広げなくても大丈夫。実りにありがとう、働く手にありがとう――その二つを1つに結ぶ日が、勤労感謝の日。お米のつぶに光る小さなツヤを見るたびに、昔と今が握手しているような気持ちになれたら、もう立派な第一歩です。
第2章…子どもへやさしく伝えるコツ~作る・分かち合う・ありがとうの3つの合言葉
「作る」から始める
難しいお話の前に、手を少しだけ動かしてみましょう。例えば朝のトーストに、バターを塗る役目を子どもにお願いしてみます。「自分の手で、朝ご飯の一部を作った」という小さな実感が生まれた瞬間、目の前の食べ物はただの四角いパンではなくなります。台所には小麦を育てた人や焼いた人の気配が潜んでいる、と気づく入口になるのです。粘土でおにぎりの形を作ってみたり、紙コップで糸電話を作ったりしても大丈夫。形が少し歪んでも、出来上がった瞬間の満足そうな顔が、合言葉の最初の「作る」をしっかり教えてくれます。
「分かち合う」で広がる
次に、出来た物を誰かと分けてみます。「一口どうぞ」「半分こしよう」という言葉は、まるで魔法の合図。自分の物が、誰かの笑顔に変わることを身体で覚えていきます。園や学校では、作品を並べて見せ合ったり、係のお仕事を交代してみたりすると、役割のバトンが滑らかに回る感覚が生まれます。家庭なら、テーブルをふく人、コップを運ぶ人、食器を並べる人と、役目をグルグル回してみると、いつものリビングが小さなチームに変わります。ここで伝えたいのは、「私」が「私達」になる心の動き。これが2つ目の合言葉「分かち合う」です。
最後は「ありがとう」
仕上げは、声に出すこと。「今日のバター、塗ってくれて美味しかったよ」「コップを運んでくれて助かったよ」と、できるだけ具体的に伝えます。短くても温度のある言葉は、子どもの胸のポケットにそっと入ります。言われた側は次に誰かへと返したくなり、家の中にやさしい連鎖が生まれます。もし失敗してパンがクシャッとなっても、「形が芸術的でいいね」と笑って受け止めれば、挑戦は続いていきます。これが3つ目の合言葉「ありがとう」。言葉は目に見えない贈り物。貰うほど、あげたくなる不思議な贈り物です。
合言葉は順番通りでなくてもOK。夕方の一言から始まって、夜に一緒に作って、翌朝に分け合う――そんな逆順でも立派な学びになります。大切なのは、毎日のどこかで3つの合図をそっと灯すこと。気づけば11月23日だけでなく、普段の一日まで「作る・分かち合う・ありがとう」でじんわり温かく色づいていきます。
第3章…お家で体験!ミニ1日コース~朝ご飯からお休みまで身の周りのお仕事探検
朝~「いただきます」は小さな開店ベル~
目が覚めたら、台所はもう静かな工場です。トースターが「チン」と合図を鳴らし、ヤカンが小さく湯気をあげる。ここで合言葉の最初、「作る」を点灯させましょう。バターを塗る係、コップに水を注ぐ係、食卓を拭く係。難しい手順はいりません。パンの上でバターが滑ってヘニャとなっても、それは芸術的な地形の1つ。笑いながら食べれば、朝から小さな達成感がテーブルに並びます。
昼~「分かち合う」は味付けになる~
お出掛けの途中で、パン屋さんの甘い空気や、スーパーのひんやりした通路を通り抜けます。並んだ商品は、見えないコンベアを遡る物語の主人公たち。家に帰ったら、今日の主役を1つ選んで、半分こにしてみましょう。サクッという音が二人の間で同時に鳴ったら、「私」が「私達」に変わった合図。味は同じでも、分けた瞬間に、なぜだか少し美味しくなるのが不思議です。
夕方~「ありがとう」を声に乗せてみる~
夕方は、1日のフィナーレに向けて舞台転換の時間。洗濯物を取り込んだ手、宿題の鉛筆、――どれも立派な演者です。「タオル、ふわふわで気持ちいいね」「鉛筆の跡がじょうずについているね」と、できるだけ具体的に言葉を添えてみましょう。褒め言葉は目に見えないリボン。結ばれた心は、次の出番に向けて少し背筋が伸びます。
夜~「また明日」までが物語~
お風呂の湯気には、誰かが温度を見てくれた気配があり、パジャマの柔らかさには、糸と布の長い旅があります。電気を消す前に、今日見つけた「お仕事」を1つだけ思い出して、「あの時の〇〇、助かったよ」と囁いてみてください。短い一言で、1日は丸く閉じ、明日のページがやさしく開きます。
朝は「作る」、昼は「分かち合う」、夜は「ありがとう」。順番が入れ替わっても大丈夫。合言葉のどれかが灯った瞬間、勤労感謝の日はカレンダーの外側へひろがり、ふつうの1日がそっと特別になります。
第4章…園・学校・施設でできる工夫~ありがとうカードとお仕事発見ウォーク~
ありがとうカードは小さなラブレター
色紙でもコピー用紙でも大丈夫。紙を二つに折って、表紙に大きく「ありがとう」。中には、今日見つけた「作る・分かち合う・ありがとう」のどれか一場面を、ひと言と絵でそっと残します。園や学校なら、給食室の前で手を振りながら手渡ししてもよし、クラスの箱に集めて代表が届けてもよし。高齢者施設では、入居者さんの言葉を職員さんが代筆しても温度はそのまま届きます。うまく書けなくてもかまいません。はみ出した色やゆがんだ線こそ、気持ちが動いた証拠です。
「お仕事発見」ウォークで舞台裏へ
建物の中をゆっくり散歩しながら、働く手の気配を探します。園庭の砂の感触、図書室の静けさ、事務室のテキパキ音、洗濯室の温かい空気。目に入った物や音を合言葉に結びつけて、「これは誰が作ったのかな」「ここでは何を分かち合っているのかな」と、声に出して考えてみましょう。施設なら、キッチンの湯気やリネン室のふわふわを感じ取るだけでも発見だらけ。見学が難しい場所は、写真一枚や道具一つをお借りして、教室やフロアで紹介してもらうと、舞台裏の距離がフッと縮みます。
小さな発表会で気持ちを円にする
歩いた後は、輪になって一人ずつ短くシェアします。「今日の『ありがとう』は、図書室の静けさです」「洗濯物の温度が心まで温かかったです」。拍手は大げさでOK。言葉が出てこない子やご利用者さんには、カードを掲げるだけの参加でも十分です。声にした瞬間、気づきは自分のものになり、同時に皆のものにもなります。
安全と配慮も、合言葉のうち
写真やお名前を紹介するときは、事前に許可をいただき、呼び方はやさしい愛称に。食べ物の場面ではアレルギーと体調を最優先にして、無理のない形で「分かち合う」を演出します。音量や移動距離も、その日の様子に合わせて軽やかに調整。誰も取り残さない工夫そのものが、「ありがとう」を行動で示す練習になります。
続けるためのちょっとした仕掛け
入口や掲示板に「ありがとうポスト」を置き、いつでも投函できるようにしておくと、日常の中で合言葉が生き続けます。週の終わりにポストを開けて、数枚だけ読み上げる時間を作れば、場の空気がふわりとやわらぎます。カードが増えるほど、壁の色はにぎやかに。気づけば、11月23日を待たなくても、毎日が「作る・分かち合う・ありがとう」でやさしく巡っているはずです。
[広告]まとめ…言葉だけじゃ足りないから行動で伝えるありがとう
11月23日の「勤労感謝の日」は、昔の実りを喜ぶ気持ちが形を変えて、今の暮らしへそっと続いている日でした。ご飯一粒、鉛筆一本、ふわふわのタオル一枚――どれも誰かの手仕事が重なって、君の毎日に届いています。
合言葉はたった3つ。「作る」「分かち合う」「ありがとう」。この順番でなくても大丈夫。朝でも夜でも、思いついたところから灯せば、普通の一日がやさしく色づきます。
家では、パンにバターを塗るだけで立派な「作る」になります。半分こしたら「分かち合う」。具体的なひと言をそえて「ありがとう」。それだけで、食卓の空気は少し温かくなります。
園や学校、施設では、ありがとうカードや「お仕事発見」ウォークが、小さな舞台の幕を上げてくれます。うまく書けなくても、歩幅が小さくても心配いりません。気づいた気持ちを円にして戻すたび、場の空気がフワッとやわらぎます。
もし失敗してパンがグニャリとしても、それは芸術的な地形。笑って味わえば学びに変わります。誰も取り残さないように、体調やアレルギー、気分の波に寄りそって調整すること自体が、一番丁寧な「ありがとう」です。
今日、合言葉のうち1つだけでいいから、試してみましょう。玄関で靴を揃える、食卓でひと口分ける、寝る前にひと言囁く――それだけで十分。11月23日を待たなくても、毎日はいつでも「勤労感謝の日」になれます。
言葉で伝え、手でたしかめ、笑顔で結ぶ。さあ、明日のページにも、やわらかな「ありがとう」をしおりのように挟んでおきましょう。
⭐ 今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m 💖
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