一人暮らしのおばあちゃんに届ける冬のご挨拶~気持ちがちゃんと伝わるお歳暮ガイド~

[ 12月の記事 ]

はじめに…「今年も元気でいてね」を形にする冬支度

年末が近付くと、ふと頭に浮かぶ人がいますよね。
春に会ったきりのおばあちゃん、夏に電話だけしたおばあちゃん、ずっと実家で一人で頑張っているおばあちゃん。
顔を見に行ければ一番いいのだけれど、距離や仕事や体調のことを考えると、どうしても「行く」のではなく「贈る」方を選ばざるを得ないこともあります。

そんな時に頼りになるのが、お歳暮という日本ならではの冬のご挨拶です。
元々は「一年間お世話になりました」という気持ちを、年の終わりにきちんと形にして渡すためのもの。
お正月にお迎えする神様へのお供えが始まりとも言われていて、家の中を整え、台所を潤し、家族が年を越せるようにする──そんなやさしい役目をもつ風習です。

ここで今回、少しだけ着目したいのが「一人暮らしのおばあちゃん」に贈るお歳暮だということです。
同じおばあちゃんでも、家族と同居している場合と、一人で暮らしている場合とでは、喜ばれる物が変わります。
量が多すぎると持て余してしまいますし、重たいものだと仏間や台所に運ぶのがひと苦労です。
逆に、日持ちがして、一人分ずつ使えて、しかも「私のことを覚えてくれていたんだ」と思ってもらえる品なら、それだけで心はポカポカになります。

もう1つ大事なのは、年末年始は誰でも少し寂しさを感じやすい時期だということです。
テレビやお店は「家族で」「皆で」と賑やかさを伝えてきますが、実際には、同じ家の中にいても人恋しくなる瞬間があります。
そんな時に、箱のフタを開けたら自分の好みをよく知っている家族からの贈り物が入っていたらどうでしょう。
「離れているけど、ちゃんと見てくれている」「うちのお正月のことを考えてくれている」──その実感こそが、年の終わりの一番のご馳走になります。

この記事では、
「お歳暮ってそもそもなにを大事にする行事だったかな?」
「一人暮らしのおばあちゃんには、どこを基準に選べばいいの?」
という素朴なところからゆっくり整理していきます。
昔ながらの決まりごとも緩やかに押さえつつ、今の暮らしに合わせた贈り方を混ぜてお伝えしますので、肩の力を抜いて読んでいただければ大丈夫です。

年末の箱に閉じ込めるのは、品物だけではありません。
「来年も元気でいてね」
「遠くにいてもあなたの味方ですよ」
そんな思いまで一緒に詰め込めるように、ここから先を見ていきましょう。

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第1章…お歳暮は「年の締め括りのご挨拶」か「お供えの準備」かを決めてから選ぶ

お歳暮というと、つい「何を贈ろうか」から考え始めてしまいますが、本来は少し順番を変えた方が選びやすくなります。
先に「これは1年間のお礼として渡すものにしよう」「それともお正月に困らないように用意してあげるものにしよう」と、贈る目的をはっきりさせておくのです。
このひと手間で、品物の種類も量も、のしを付けるかどうかも自然と決まってきます。

元々、お歳暮には大きく分けて2つの顔があります。
1つは、12月の終わりに「今年もお世話になりました」「離れていても気にかけています」という気持ちを届けるための冬の挨拶。
もう1つは、お正月にお迎えする神様やご先祖様にお供えできるように、家の食べ物や台所の品を整えておくという、年越しの準備の意味合いです。
どちらが正しくてどちらが間違い、ということではなく、地域や家のしきたりで比重が変わるだけです。

一人暮らしのおばあちゃんに贈る場合、この2つのうちのどちらを意識するかで選ぶ品がかなり変わります。
例えば「年の締め括りの挨拶」が中心なら、好きな物・ちょっと贅沢な物・お茶の時間が楽しくなる物のように、気分が上がる品を選びやすくなります。
一方で「お供えの準備」を意識するなら、日持ちする乾物や海苔、軟らかく炊けるお豆、少しずつ使える調味料など、年末からお正月にかけて台所で役に立つものを選ぶと喜ばれます。
同じおばあちゃんでも、仏壇やお墓を大切にしている方と、暮らしやすさを優先している方とでは好みが違いますから、その人らしさを思い浮かべて方向性を決めてしまいましょう。

贈る時期も、12月上旬から20日頃までを目安にしておくと安心です。
もともと12月13日は煤払いの日とされ、お正月の準備が始まる節目とされてきました。
この頃までに届いていれば、おばあちゃんも年末の掃除や買い物の流れの中で自然と片付けたり、仏間に並べたりできます。
最近は配送の量も増えていますから、あまりギリギリにせず、余裕を持って手配してあげると親切です。

のしや水引については、身内宛であればそこまで堅苦しく考える必要はありません。
ただし、おばあちゃんが昔ながらのしきたりを大切にする方なら、紅白の水引で「お歳暮」と書かれたものを付けておくと「ちゃんとしてくれたんだねえ」と目を細めてくれます。
逆に、気心の知れた祖母で「そんなのいらんよ」と笑ってくれるような関係なら、包装は簡素でも中身を丁寧に選ぶことを優先すれば十分です。
ここは相手との距離感で調整できます。

大事なのは、「何を贈るか」を悩む前に「どういう気持ちで渡すか」を決めておくこと
年末のご挨拶として渡すのか、年始を整えるために渡すのかを先に決めてしまえば、次の章で考える「おばあちゃんの暮らし方」とすっと繋がって、最終的に迷いの少ない1品に辿り着けます。


第2章…おばあちゃんの暮らし方を想像してみる~ひとり分・保存性・分けやすさの目線~

何を贈るかを決める前に、もう一段階だけやっておきたいことがあります。
それは「今のおばあちゃんの暮らしを、ちょっと細かめに思い浮かべてみる」ことです。
同じ一人暮らしでも、元気にあちこち出歩いている方と、家の中中心で静かに過ごす方とでは、欲しい物も、受け取って困る物も変わります。
ここを丁寧に想像しておくと、後で「せっかく贈ったのに食べきれなかった…」ということを防ぎやすくなります。

まず考えたいのは、食事の量とペースです。
高齢になると、若い頃のように1日3回しっかり食べるというよりは、朝は軽く、お昼と夜で調整、というスタイルに落ち着くことが多くなります。
すると、一度にたくさん届くものより、一人分ずつ取り出せるもの、少しずつ使える物の方が嬉しく感じられます。
冷蔵庫の中もあまり詰め込みたくはないので、冷凍や常温でゆっくり消費できると安心です。

次に、そのおばあちゃんが「人と分ける習慣があるかどうか」も思い浮かべてみましょう。
近所付き合いが活発で、サークルや老人会、ご近所さんとのお茶会などでよくお菓子を持ち寄る方なら、少し多めに入った焼き菓子や、包みをばらしてお裾分け出来る物はとても喜ばれます。
「この前孫が送ってくれたやつなのよ」と話のタネにもなりますし、贈り物を通しておばあちゃんの交友関係までちょっと豊かになるのです。
反対に、あまり外に出ない暮らしであれば、分ける前提の大容量より、1人で使い切れる量のほうが親切です。

住んでいる場所もポイントになります。
たとえば古くからの持ち家で、仏壇やお正月飾りを毎年きちんと整えるタイプのおばあちゃんなら、飾りやすく並べやすい和の食品、箱に入っていて棚に置けるものが似合います。
アパートやマンションで暮らしていて、収納もキッチンもコンパクトな場合は、場所を取らない物、重くない物を選んであげた方が取り回しが良くなります。
受け取る人が一人だからこそ、「持って運ぶ」「開けてしまう」「置いておく」という後の作業が楽になる贈り物が好まれるのです。

さらに言うと、年齢の割りにとても若々しいタイプのおばあちゃんもいます。
畑仕事をしていたり、グラウンドゴルフに出ていたり、趣味でバス旅行に出かけたり──こういう方は「高齢だからこういうのね」と決めつけられるのを少し寂しく感じることがあります。
そういう場合は、一般的な贈答品と同じラインナップの中から、食べやすさだけ少し配慮して選ぶとちょうど良くなります。
見た目が華やかで季節感のあるもの、パッケージが綺麗な物は、年末年始の気分を上げてくれます。

一方で、体調の波があって買い物に出る回数を減らしているおばあちゃんもいます。
この場合は「自分で買うにはちょっと重い」「貰えたら助かる」という日用品寄りの食品や調味料を贈ると本当に喜ばれます。
お正月だからといって豪華なものに拘らず、普段使いが出来て、しかも年末の忙しい時期に買い足さなくていいもの──この視点は見落としがちですが、とても実用的です。

このように、暮らし方を一度頭の中でなぞっておくと、次の章で考える「何を贈るか」が一気に現実的になります。
量は多過ぎないか、賞味期限は短か過ぎないか、手で持ち運べるか──こうした細かな条件は、全ておばあちゃんの今の生活から導けます。
贈り物を選ぶ時間の中で、少しだけ相手の一日を追体験してみる。
それが、離れて暮らすおばあちゃんにとって一番温かいお歳暮をつくる土台になります。


第3章…実際に喜ばれやすい品の考え方~食べ切れる・扱いやすい・体を労わる~

ここまでで「何のために贈るか」と「おばあちゃんはどんな暮らしをしているか」が見えてきました。
ここからは、いよいよ中身の話に入っていきます。
一人暮らしのおばあちゃん向けのお歳暮で大切なのは、派手さよりも「最後まで美味しく使い切れること」と「もらってすぐ困らないこと」です。
この2つを満たしていれば、たとえ高価な品でなくても、心に残る贈り物になります。

まず押さえておきたいのは量の問題です。
よくある詰め合わせは見栄えが良くてうれしいのですが、人数が少ない家では、賞味期限とにらめっこしながら食べることになります。
ですから、同じ詰め合わせでも、1個ずつ個包装になっている焼き菓子やおかき、レトルトのおかず、小さな瓶の佃煮やジャムなど、一人分で完結する形のものを選ぶと負担がありません。
今日はこれ、明日はこれ、と日を分けて楽しめるので、年末年始が少し華やかになります。

食事の準備を楽にしてあげる、という考え方もお勧めです。
寒い時期は買い物へ行く回数を減らしたくなりますし、鍋や煮物をするにも材料が多いと腰が重くなります。
そこで、湯せんするだけ・お湯を注ぐだけで1品になるスープや具だくさん味噌汁、少量ずつ真空パックされた煮魚・煮豚などは、とても重宝されます。
特に年末は掃除をしたり年賀状を書いたりと忙しくなりますから、「今日はこれを温めるだけでいいや」と思えるものは、実用面での満足度が高いのです。

お正月を意識するなら、少しだけ晴れがましいものを入れてあげると、箱を開けたの印象がグッと高まります。
昆布巻き、黒豆、栗きんとんのような和の品を少量ずつ詰め合わせたもの、上質な緑茶やほうじ茶、和三盆の干菓子などは、一人でもお客様が来ても役に立ちます。
お仏壇にお供えしてからいただくことも出来ますし、親戚が寄った時に「孫が送ってくれたのよ」と出すこともできます。
箱ごと渡せる見た目の良さと、1つずつ取り出して使える便利さが両立していると理想的です。

健康面をさりげなく気遣うのも、この世代への贈り物ならではです。
塩分や糖分が控えめなタイプ、やわらかく煮てあるタイプ、ノンカフェインの飲み物などは、年齢が上がるほどありがたく感じるものです。
ただし「体にいいからこれにしなさい」と押しつける形ではなく、「冬は温かい飲み物があるとホッとするからね」「これなら夜でも飲めるよ」といったやさしい理由づけが添えられる品を選ぶと、受け取る側も素直に喜べます。

一方で、避けておくと安心なものもあります。
量が多過ぎる生鮮品は、冷蔵庫の容量や体調によっては持て余しますし、アルコールも常飲の習慣がなければ少量にとどめておく方が安全です。
どうしても「おばあちゃん、これ好きだったな」と思い出の品を贈りたい時は、事前に電話で「お友だちと分けられそう?」と一言だけ聞いておくと、贈る方も安心です。

予算は概ね5,000円~10,000円を目安にしておけば、きちんとした季節の品を選びやすくなります。
ただ、祖母への贈り物は形式より気持ちが前に出るものですから、暮らしに合う内容が少し控えめな価格で見つかったなら、それでもまったく問題ありません。
「こんなのが好きだろうな」「これなら無理なく使えるだろうな」と想像して選んだこと自体が、何よりの贈り物になるからです。

まとめると、ひとりで使い切れること、台所に負担をかけないこと、年末年始の時間をちょっと楽しくすること
この3つを満たす方向で選んでおけば、大きくは外しません。
次の章では、こうして決めた中身をどうやって届けるか、どんな言葉を添えると一層嬉しくなるかを見ていきましょう。


第4章…届け方と一言の添え方で特別な贈り物に変える

贈る品が決まったら、最後は「どうやって渡すか」「どんな言葉を添えるか」です。
同じお菓子、同じお茶でも、箱を開けたときに目に入る一言があるかないかで、受け取る側の温度がフッと上がります。
離れて暮らすおばあちゃんの場合、このひと工夫がそのまま安心感になりますから、ここは少し丁寧にしておきましょう。

まずは届けるタイミングです。
12月の前半から中頃に届くようにしておくと、おばあちゃんのほうでも「年末が来たなあ」と心の準備ができます。
配達の多い時期に重ならないので、受け取るときに慌てなくて済むのも助かるところです。
もし遠方に住んでいて、天候の影響が心配な地域なら、少し早めに手配して「ちょっと早いけど、年末は忙しいでしょうから」と一言添えておくと、とても行き届いた感じになります。

次に、品物と一緒に添える言葉です。
長い手紙でなくても大丈夫です。
便せんに数行、あるいはギフトカードに一言でも、おばあちゃんの世代はきちんと目を通してくれます。
例えば次のような調子です。

「今年も元気でいてくれてありがとう。お正月に少しずつ食べてね。」
「一人だと買いに行きづらいかなと思って送ります。合いそうならまた来年も同じのにしますね。」
「皆で集まれなさそうなので、せめて気分だけでも年末らしくどうぞ。」

このくらいの分量でも、「ああ、私のことを考えて選んでくれたんだな」と伝わります。
ここで大事なのは、説教にならないことと、体調を責めるような書き方をしないことです。
「もう歳だからこれを食べなさいね」という書き方よりも、「冬は体が冷えるから、温かい物があると安心だよね」と並んで歩くような書き方にすると、スッと心に入ります。

のしや包装をどうするかも、相手に合わせてやわらかく考えましょう。
昔ながらのしきたりを大切にしているおばあちゃんなら、きちんと「お歳暮」と書いて紅白の水引をつけておくと喜ばれます。
一方、肩の力を抜いた関係なら、落ち着いた包装紙に手書きのカードを添えるだけでも十分です。
大事なのは、形式を守ることよりも、「あなたに向けて準備しました」という気配が見えることです。

もう1つ、できれば届けたあとに一度連絡してみてください。
電話でも、メッセージでも構いません。
「届いた? 重くなかった?」
「味どうだった? 来年もこれでいい?」
こうしたやり取りは、贈り物そのものと同じくらい、おばあちゃんにとっては嬉しいものです。
年末年始はどうしても人の出入りが減るので、届いた後に声を聞けると、それだけで心が温まります。

そして何より、「また来年も贈るね」と予告しておくと、次の冬の楽しみが1つ増えます。
高齢になると、先の予定があることが励みになりますから、「雪が解けたら会いに行くね」「来年もお正月の前に送るね」と未来の話を少し混ぜるのはとても良い方法です。
贈り物を切っ掛けに、季節ごとのコミュニケーションを繋いでいけると、離れていても距離を感じません。

このように、4章でお伝えしたいのは、品物そのものよりも「届け方」が気持ちを大きくするということです。
箱の中身は食べ終われば無くなりますが、誰から、どんな言葉と一緒に届いたかは、意外と長く覚えていてくれます。
せっかく年の締め括りに贈るのですから、「あの子からのは毎年嬉しい」と言ってもらえるような、丁寧な送り出し方をしてみてくださいね。

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まとめ…おばあちゃん専用の1品を選べば離れていても近くにいられる

年末に贈るものは、どうしても「形式」に目が行きがちです。
のしはどうする、12月の何日までに送る、金額はいくらくらいにする──こうしたことももちろん大切なのですが、一人暮らしのおばあちゃんに向けて贈るときに一番効いてくるのは「今の暮らしに合っているかどうか」です。

今回の流れを振り返ると、
まずはお歳暮のもともとの意味を思い出して、年の終わりのごあいさつにするのか、お正月の支度にするのかを決める。
次に、おばあちゃんがどんな生活リズムで、どんな家に住んでいて、人との繋がりがどのくらいあるのかを想像する。
そのうえで、一人でも無理なく使い切れる内容・温めるだけでも美味しい物・お正月に並べやすい物を選ぶ。
最後に、早めの時期に、短くても心の通う一言を添えて届ける。
この順番で考えれば、贈る側も迷わなくなります。

離れて暮らす家族への贈り物は、「ちゃんと覚えているよ」という合図でもあります。
品物が豪華かどうかより、「あなたの家の様子を思い浮かべて選びました」という気配の方が、年末には響きます。
そして一度この形が決まると、翌年以降も同じリズムで贈れるので、おばあちゃんのほうでも「そろそろ来る頃だね」と楽しみにしてくれるようになります。

年の締め括りに、遠くの家の灯りをそっと気にかける。
そのやさしい動きの中にお歳暮の本来の姿があります。
どうぞ、今年の冬はおばあちゃんの顔を思い浮かべながら、ゆっくりと1品を選んでみてくださいね。

今日も閲覧ありがとうございましたm(__)m


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